ESGと企業価値をつなぐ方法論「柳モデル」を製薬大手のエーザイでCFOとして確立した柳良平氏によれば、「日本企業に対する投資家の企業価値評価が低い。主因は説明不足にある。」とのこと。なるほどと思います。
ESG活動のマテリアリティとパーパス経営 https://diamond.jp/articles/-/309699 日本企業に対する投資家の企業価値評価が低い。主因は説明不足にある。外国企業との差を端的に示すのがPBR(株価純資産倍率)。会計上の簿価に対してどれだけ付加価値を創出しているか、市場が判断する指標だ。人材など非財務資本の活用と同時に、それをきちんと伝えて市場に評価されることが求められる。今、注目のESGはその象徴といえる。ESGと企業価値をつなぐ方法論「柳モデル」を製薬大手のエーザイでCFOとして確立した柳良平氏が、その理論と実践法を全10回の連載で提示していく。連載の最終回は、「ESG活動のマテリアリティとパーパス経営」の関係について解説する。 知的資本のPBRへの遅延浸透効果:「アスタミューゼスコア」と「柳モデル」の応用 https://www.camri.or.jp/files/libs/1748/202203021223397835.pdf 日本企業の知的資本と企業価値には以下のような傾向が示唆された。 ・TOPIX100企業およびTOPIX500企業では「研究開発費」投入が、6−10年程度遅延して、事後的・長期的に企業価値(PBR)を高める傾向がある ・TOPIX500企業では、情報の非対称性から、短期的には「研究開発費」は会計上、利益のマイナス要因なので、株価に負の影響を及ぼす可能性がある ・TOPIX100企業ではIRの資源投入が豊富なため、情報の非対称性が緩和され、足元の利益の圧迫要因である「研究開発費」が株価にマイナスとならない蓋然性がある ・TOPIX100企業では「技術資産」の価値向上が6−10年程度遅延して、事後的・長期的に企業価値(PBR)を高める傾向がある ・TOPIX100企業では、情報の非対称性から、短期的には「技術資産」は研究開発投資を併発して会計上、利益のマイナス要因なので、株価に負の影響を及ぼす可能性がある ・いずれのケースもPBR1倍割れ企業の知的資本は企業価値評価につながっていない蓋然性がある エーザイで確立した「柳モデル」 https://yorozuipsc.com/blog/4342631
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「弁護士・高石秀樹の特許チャンネル」の「【特許】++均等論(統合版)+★2020年収録後の均等論認容判決を追記済み」のYouTube動画(約1時間)は、最近の判決まで追記されています。
弁護士・高石秀樹の特許チャンネル 【特許】++均等論(統合版)+★2020年収録後の均等論認容判決を追記済み https://www.youtube.com/watch?v=Yl07OJMIUhg 均等論の5要件 ボールスプライン事件の最高裁判決(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決) 1.特許発明の構成中、対象製品等との相違部分が特許発明の本質的部分ではないこと。(非本質的部分) 2.相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏すること。(置換可能性、作用効果の同一性) 3.相違部分を対象製品等におけるものと置き換えることが、対象製品等の製造等の時点において容易に想到できたこと。(置換容易性) 4.対象製品等が、特許発明の出願時における公知技術と同一、または公知技術から容易に推考できたものではないこと。 5.対象製品等が特許発明の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと。 本判決~知財高判(大合議)平成28年3月25日(平成27年(ネ)第10014号) 第1~3要件 ⇒ イ号が特許発明と均等であると主張する者が主張立証責任を負う 第4~5要件 ⇒ イ号について均等の法理の適用を否定する者が主張立証責任を負う (⇒従前からの、下級審裁判例・多数説・最高裁判例解説と同じ。) 第1要件(非本質的部分) 「特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にある。したがって,特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分である…。 そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段 …とその効果…を把握した上で,特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。すなわち,特許発明の実質的価値は,その技術分野における従来技術と比較した貢献の程度に応じて定められることからすれば,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載,特に明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきであり,そして,①従来技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいと評価される場合には,特許請求の範囲の記載の一部について,これを上位概念化したものとして認定され(…訂正発明はそのような例である。),②従来技術と比較して特許発明の貢献の程度がそれ程大きくないと評価される場合には,特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定されると解される。」 第2要件(作用効果の同一性) 「(2)特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏すること …対象製品等において、『特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏する』かどうかは、特許発明の出願前の公知技術と特許発明とを対比して、従来技術では解決できなかった課題であって、当該特許発明により解決されたものを、対象製品等が解決するものであるかどうかにより決せられる。 すなわち、ここでいう特許発明の『目的』や『作用効果』は、あくまでも特許発明の出願時における従来技術と特許発明との対比により確定されるものであって、基本的には、明細書の『発明の詳細な説明』欄における『発明が解決しようとする課題』や『発明の効果』の項の記載に基づいて確定されるべきものである。 この際、明細書に記載された特許発明の作用効果のうち、当該課題の解決に加えて更に付加して認められる作用効果や実施例に特有の作用効果までも、本要件にいう特許発明の『目的』や『作用効果』として要件(2)の存否を判断するのは、相当ではない。そのように特許発明における課題の解決を超えた付加的作用効果や実施例に特有の効果までも対象製品等が同様に実現することを求めたのでは、均等の成立する余地がほとんどなくなってしまう。…」 第3要件(置換容易性) 均等論第3要件を認めた殆どの判決が、「進歩性の容易想到性と同じ枠組み」で判断している。均等論第3要件を認めなかった判決は、「当業者であれば誰もが、特許請求の範囲に明記されているのと同じように認識できる程度の容易さ」、という厳しい判断基準が形式的に適用される場合が多い。 『第3要件にいう「当業者」が「対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができた」とは,特許法29条2項所定の,公知の発明に基づいて「容易に発明をすることができた」という場合や第4要件の「当業者」が「容易に推考できた」という場合とは異なり,当業者であれば誰もが,特許請求の範囲に明記されているのと同じように,すなわち,実質的に同一なものと認識できる程度に容易であることを要するものと解すべきである(東京地裁平成3年(ワ)第10687号…参照)。』 第5要件(意識的除外)
弁護士・高石秀樹の特許チャンネル ++均等論(統合版)+2020年収録後の均等論認容判決を追記済み https://www.takaishihideki.com/_files/ugd/324a18_549d5d6c73cb44d5869d67fd45ea5536.pdf 近時の裁判例から見る均等論 https://yorozuipsc.com/blog/2632196 国際知財司法シンポジウム2020 裁判所パート 均等論の実情 https://yorozuipsc.com/blog/20204077078 特許クレーム解釈と均等論 https://yorozuipsc.com/blog/6403654 10月29日付けで、「弁護士・高石秀樹の特許チャンネル」で、『【特許】近時の(特許)重要裁判例20選(2022年9月収録)「すごい知財EXPO2022」で放映した動画の完全版』がYouTubeにアップされています。(約1時間)
<目次>
4.先使用権(+公然実施発明との対比) 5.特許法104条(新規物質の生産方法の推定) 6.均等論(第3要件、第5要件。第2要件) 7.譲渡の申し出(日本国内譲渡を国外で申し出) 8.諸外国移行を念頭においた出願戦略(優先基礎出願明細書の工夫) 9.特許権侵害と、取締役の個人責任(会社法429条1項) 10.共同侵害 11.特許権行使と独占禁止法 12.外国サーバと日本国内における実施 13.消尽論の日米比較 14.クレーム文言の工夫<12選>まとめ 【特許】近時の(特許)重要裁判例20選(2022年9月収録)「すごい知財EXPO2022」で放映した動画の完全版 https://www.youtube.com/watch?v=jTjDl9d8dFI サムスン幹部が「海外での特許紛争問題とこれに対する企業対応戦略」パネル討論において、「(企業が)良い特許を持っていても活用に失敗した事例がある」として日本シャープを挙げ、「シャープは良質特許を多数保有するも活用できず、うちに負けた」と言っているという記事が出ていました。
それ自体は、日本の知財関係者の間ではよく知られていることですが、韓国側の当事者の言葉として語られたので記事になったということでしょうか。 対極に、アップルがあります。「日本企業の轍は踏まず──サムスンを訴え続けるApple」という記事参照。 サムスン幹部「シャープは良質特許を多数保有するも活用できず、うちに負けた」 2022年10月24日 https://korea-economics.jp/posts/22102414/ 韓国のサムスン電子の子会社であるサムスンディスプレイが、かつて日本のシャープが良質な特許を多数保有していたにも関わらずこれをうまく活用できず、当時サムスンとの間で繰り広げられたLCD事業の競争において、その格差を埋めることができなかったことを明らかにした。 ウ・ギョンイク=サムスンディスプレイグループ長は去る21日、ソウル龍山で開かれた韓国知識財産協会(KINPA)カンファレンスの「海外での特許紛争問題とこれに対する企業対応戦略」パネル討論において、「(企業が)良い特許を持っていても活用に失敗した事例がある」として日本シャープを挙げた。 液晶表示装置(LCD)市場でシャープより後発走者だったサムスン電子は2000年代初頭からLCD特許出願と売上でシャープを上回り始め、10余年後の2012年には格差を大きく広げた。 ウ・ギョンイク氏は「シャープは2000年まででも技術や特許、ビジネス(事業)の面でサムスンよりはるかに優位にあった」とし、「サムスンがシェアを拡大するのを防ぐために遅れて訴訟を起こした」と説明した。 続いて「サムスンも(シャープを相手に)カウンター訴訟を仕掛けて熱く戦った結果、(シャープは)サムスンから少ないロイヤルティを受けて(交渉)妥結をした」とし「結局、サムスンに事業の自由度を与えることになって既に行われた(LCD)事業の格差を取り戻すのは難しかった」と述べた。 日本企業の轍は踏まず──サムスンを訴え続けるAppleの覚悟 なぜAppleはサムスンと特許訴訟で和解しないのか。日本の電機メーカーの失敗を教訓にしているかのような動きだ。 2014年7月19日 https://www.gqjapan.jp/life/business/20140719/apple-samsung-war シスメックスの知的財産活動は、「当たり前のことを当たり前にやっているだけ」ということです。しかし、なかなかそれがうまくできないのが常なのにできているのは、「経営に資する知財活動を行うこと、知財活動が企業価値(株価時価総額)を上げることを究極の目的としていることを社内に周知」、そういうカルチャーを長年かけて培ってきた賜物なんだろうと思います。
昨年のコーポレートガバナンスコード改訂以来の「知財・無形資産への投資の開示」の動きにしたがってシスメックスの知財・無形資産投資の開示をみると、それほど開示されていません。「知財・無形資産への投資」は従来からやっておりしっかり儲かる仕組みができているので、「取らぬ狸の皮算用はやりません」と言っているようにも見えます。 シスメックスのESG・サステナビリティの取り組みは?配当情報も【2022年10月】2022.10.23 https://hedge.guide/feature/sysmex-esg-dividend-2210.html 知財投資に対する情報開示で 企業の儲ける力を強化する https://mkt.ub-speeda.com/rs/550-EMV-558/images/20210916_WP_SPEEDAH2H.pdf シスメックスは、「知的財産活動は研究開発と事業展開の自由度を確保し経営に資することを目的とする」を知的財産活動の基本理念を定めており、『知財活動によって企業価値(株価時価総額)を上げることを究極の目的としていることを社内に宣言し周知しています。』 『知財活動は最小の投資で最大の事業効果を得ることが大原則』 『知財投資の効果として、知財権の活用によりどれだけの経営数字を得たか、将来どれだけのキャッシュが得られるかが重要』 『当社は知財レビューにより、事業リスクの最小化や、競争力の強化、成長に繋がる知財活動ができているかどうか常に監視。このような知財活動を行うことで、安定したキャッシュの獲得と、さらなるキャッシュの増加を目指しています。』 『知財部門は各事業部門の活動を知財プロフェッショナルとして支え』『製品が世に出るまでの各フェーズにおいて、知財レビューをシステマティックに実施』『すべてのフェーズで知財マターを明らかにして勝つシナリオを作り、次のフェーズに進むことを厳格に実施』 コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2022年7月14日更新) https://www.sysmex.co.jp/corporate/governance_j.pdf シスメックスレポート 2022 https://www.sysmex.co.jp/ir/library/annual-reports/Sysmex_Report_2022.pdf シスメックス サステナビリティデータブック 2022 https://www.sysmex.co.jp/csr/report/sustainability2022_all.pdf シスメックスの知的財産活動 https://www.sysmex.co.jp/rd/ip/index.html シスメックスのオープンイノベーション https://yorozuipsc.com/blog/4519841 経営・事業戦略に貢献する知財価値評価と効果的な活用法 発刊:2021年3月31日 体裁: A4判 685頁 定価:88,000円(税込) ISBN:978-4-86104-833-3 https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2092.htm 第3章 知財力強化のための知財戦略の策定、体制整備とその運営 第7節 シスメックスにおける知的財産戦略と戦略実現のための環境整備、人材の育成 1.知的財産戦略の考え方 1.1 企業理念との関係 1.2 知的財産活動の基本理念 1.3 経営に資する知財活動 1.3.1 経営層の求めていることの理解 1.3.2 実践している知財活動の適切な「報告」 1.3.3 知財活動に満足していただく 2.検体検査分野の競争環境 3.知財戦略の立案 3.1 知財はビジネスのルールであり競争のツールである 3.2 第三者特許に対する戦略 3.3 自社特許に対する戦略 3.4 オープンイノベーション・アライアンスに対する考え方 3.5 商標に関する戦略 4.知財戦略実践のための環境整備と人材育成 4.1 環境整備 4.1.1 社内環境整備 4.1.2 社外環境整備 4.2 人材育成 4.2.1 知財部員に対する教育 4.2.2 全社員(知財部員以外)への教育 三菱電機が10月20日公表した、品質不正問題についての外部調査委員会の最終報告では、煩雑な検査が人手で行われ、不正の温床となってきたことが指摘されています。
また、2022年4月に三菱電機に入社された、三菱電機 常務執行役 CPO(ものづくり担当)、CQO(品質改革推進本部長)の中井良和氏が『「2022年4月に入社してから各製作所を回ったが、やらなくてもいいことにリソースを使っていることが問題の要因になっているのではないかと感じた。従業員は不正をやりたくてやっているのではなく、やらざるを得ない環境下にあっただけだろう。現場の環境整備こそが解決策に他ならない」と強調』されているのが印象的でした。 知財の分野で先進的な取り組みをおこなっている三菱電機です。品質風土・組織風土・ガバナンスの3つの改革の徹底による再発防止を期待しています。 三菱電機、DXの欠如が品質不正の温床に 調査委が最終報告 2022.10.24 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00304/102400099/ 『三菱電機は10月20日、品質不正問題について、弁護士らでつくる外部調査委員会の最終報告を公表した。1年4カ月にわたる調査で浮き彫りになったのは、煩雑な検査が人手で行われ、不正の温床となってきたことだ。企業に促してきたDX(デジタルトランスフォーメーション)が、社内では欠如していたといえる。』 『デジタル化できるにもかかわらず、多くの現場で人力による作業が残っていた。漆間啓社長は、出荷量の少ない製品を扱う受注生産の製作所や、量産する一部の製作所でも「検査ツールが導入されていないケースがあった。自動化が進まないなかで不正が行われてきた」と語った。鉄道車両部品を生産する伊丹製作所(兵庫県尼崎市)、長崎製作所(長崎県時津町)で見つかった不正は全196件のうち44件に上った。DXが進んでいない現場で不正が多い傾向があった。 三菱電機は検査部門などで21年10月から、従来人力で実施してきた計測と結果入力を自動化させるシステムを順次導入し始めた。23年度上期までに計300億円を投じる。 顧客と契約した内容に沿って検査の方法などを定めるときに、これまで人が介在してエクセルなどでデータを集計していたが、一元的にシステムで管理できる体制に変更する。品質担当役員は「人手での作業はすべて排除したい」と話した。』 『DXが不十分なために、不正の温床が維持される――。日本の経営者らは改めてDXの重要性について考えるべきだ。』 当社における品質不適切行為に関する原因究明及び再発防止等について(総括) https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2022/pdf/1020-a1.pdf 三菱電機が品質不正の調査を終了、総数197件に上り柵山前会長も課長時代に関与 https://news.yahoo.co.jp/articles/17f15017fb654b7dd523c590ee56c42ed4ca0b56?page=3 三菱電機 常務執行役 CPO(ものづくり担当)、CQO(品質改革推進本部長)の中井良和氏は「2022年4月に入社してから各製作所を回ったが、やらなくてもいいことにリソースを使っていることが問題の要因になっているのではないかと感じた。従業員は不正をやりたくてやっているのではなく、やらざるを得ない環境下にあっただけだろう。現場の環境整備こそが解決策に他ならない」と強調する。 三菱電機「オープンテクノロジーバンク」の取り組み https://yorozuipsc.com/blog/3629233 「言ったもん負け」の縦割り文化を「知財」を武器に打破する三菱電機 https://yorozuipsc.com/blog/5193860 三菱電機「OPEN TECHNOLOGY BANK」活動開始 https://yorozuipsc.com/blog/open-technology-bank 「製造業における共存共栄の関係構築を目指して」(柵山正樹三菱電機株式会社取締役会長) https://yorozuipsc.com/blog/6159091 三菱電機、海外発の特許出願増やす https://yorozuipsc.com/blog/8238941 『弁護士・高石秀樹の「特許」チャンネル』で、『特許の現在地(10分短縮版)』がYouTubeで公開されています。
前半が、経営層向けの特許出願戦略、後半が、知財部向け特許制度の現状と活用指針となっています。個々の動画が別にアップされていますので、詳細はそちらで、となっています。 資料は、pdfとして公開されています。 【付加価値】特許の現在地(10分短縮版)~<前半>経営層向けの特許出願戦略、<後半>知財部向け:特許出願の傾向にみる、特許制度の現状。実業における、特許制度の活用指針(2022版) https://www.youtube.com/watch?v=X_BrJa_84ME&t=0s <目次> 1.はじめに 2.特許制度概論(+IPランドスケープ)(「オープン・クローズ戦略」は省略) ⇒コーポレートガバナンス(CG)コードを踏まえた、意思決定者が把握すべき知財 3.強い(特許を取れる)発明(パイオニア発明)=将来のイ号製品を捉える分割出願を可能とする当初明細書 4.技術分野別の特許出願戦略(IT、医薬・バイオ) 5.特許戦略レベルの重要判決(等)+特許以外の知財に関する重要ポイント 6.発明の「解像度」(★) ⇒特許要件を踏まえた「明細書に記載された発明の解像度」 7.特許出願後、出願日の優先権を確保したまま、競合他社の実施品を見た後に、別の発明を権利化する余地(『オプション権』)を確保する出願戦略(★) ⇒分割出願戦略(裁判例に見る「新規事項追加」) ⇒諸外国移行を念頭においた出願戦略(優先基礎出願明細書の工夫/諸外国の実務) 8.特許出願価値を最大化するための、その他の工夫(多種多様な小技) 弁護士・高石秀樹の「特許」チャンネル 特許の現在地 ※特許出願の傾向にみる、特許制度の現状。 実業における、特許制度の活用指針(2022版) https://www.takaishihideki.com/_files/ugd/324a18_491543f63dab4471ae743b34e4910d85.pdf 10月24日、音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件の最高裁判決が出され、知財高裁の判断が維持され、「音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した者(生徒)のレッスンにおける演奏に関し上記運営者が音楽著作物の利用主体であるということはできないとされた事例」として、判決文が公開されています。
今年夏の北大サマーセミナーで上野達弘先生が取り上げられていましたが、『今回の最高裁判断について早稲田大学の上野達弘教授は「クラブ・キャッツアイ判決と同じ演奏権をめぐる訴訟でありながら同判例を引用しないばかりか、カラオケ法理に沿わずに楽曲の利用主体を判断した。今後は下級審でも同法理を適用することはなくなるだろう。技術革新にもプラスとなる」と評価する。』(日経新聞) 『他方、福井健策弁護士は「JASRACなどの団体が管理しておらず、個別の権利者を探し許可を得ることが難しいゲーム音楽、インディーズ系の人気楽曲を教室で使うことへの萎縮が広がる懸念がある」と指摘する。』(日経新聞)としていますが、「弁護士 福井健策のコラムでは、『今回の結論は、一般の感覚にも合致する条文解釈という点で、知財高裁と最高裁が適正なバランスを追い求めた上での判決であったと、個人的には評価したいと思います。』とされています。 『著作権法に詳しい神戸大学法学部の前田健教授は、「生徒の演奏を教室の演奏だとするのはそもそも無理があった。最高裁も全て無料とまでいえなくても、高額な徴収は望ましくないと考えたのではないか」と指摘します。』という指摘もありました。 栗原潔弁理士(知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授)は、『音楽教室において先生が演奏しないということは想定しがたいので、結局のところ、音楽教室側がJASRACに著作権使用料を払わなければいけないという結論に変わりはなく、変わるとするならば、JASRACが元々要求してきた2.5%という著作権使用料率の算定根拠が変わるので、料率が変わる可能性があるということになります。一部メディアが「音楽教室の生徒演奏、著作権料は不要」と言ったぱっと見ると誤解しそうな見出しで報道したりしているので勘違いしないよう願います。』としています。 学習院大の横山久芳教授(知的財産法)は、『とても短い判決でしたが、私は妥当な判断だと考えます。判決は、考慮すべき点として演奏の目的や態様などを挙げ、二審と同様に「生徒の演奏に教室が著作権料を払う必要はない」とする結論でした。カラオケ法理は「管理と利益」を特に重視するものでしたが、「演奏の目的や態様など、もっと幅広く様々な事情を考慮すべきだ」という考え方を打ち出しました。カラオケ法理を融通無碍(ゆうずうむげ)に拡張して解釈するのではなく、線引きをしたわけです。この点は重要で、演奏以外の著作権の考え方にも影響を与えると思います。カラオケは「歌うこと」自体が目的ですが、判決が言うように、音楽教室の生徒にとっては「教授・指導を受けること」が目的であり、演奏は手段だと言えます。性質が全く違うので、最高裁は常識的な判断をしたと思います。』(朝日新聞) 今後、様々な影響が出そうです。 令和3年(受)第1112号 音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件 令和4年10月24日 第一小法廷判決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/473/091473_hanrei.pdf 音楽教室側、判決を歓迎 JASRACは「誠に残念」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE24AER0U2A021C2000000/ 音楽教室の著作権使用料「生徒は対象外」最高裁判決ポイントは https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221024/k10013868361000.html 音楽教室訴訟 最高裁、技術萎縮の「カラオケ法理」脱却(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD218OO0R21C22A0000000/ 弁護士 福井健策のコラム 2022年10月19日 (2022/10/24追記) 「ついにJASRAC・音楽教室裁判が最高裁決着論点と、判決の影響をもう一度駆け足で考えてみる」 https://www.kottolaw.com/column/221019.html JASRAC対音楽教室裁判の最高裁判決について https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20221024-00320799 危うい「カラオケ法理」と線引き 音楽教室訴訟、識者はどう見たか https://digital.asahi.com/articles/ASQBS67HNQBNUTIL02B.html 2022年10月24日 一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC) 音楽教室における請求権不存在確認訴訟の最高裁の判断について https://www.jasrac.or.jp/release/22/10_2.html JASRAC、最高裁で主張認められず「率直に言って残念」 使用料率の見解については明言避ける https://www.oricon.co.jp/news/2253966/full/ 音楽教室における生徒の演奏 10月24日に最高裁判決 https://yorozuipsc.com/blog/-1024 JASRACと音楽教室の裁判、10月24日に最高裁で決着へ https://yorozuipsc.com/blog/jasrac1024 「知財管理」10月号に、積水ハウスの知財活動が紹介されています。
『当社では,知的財産を「武器」ではなく「事業支援のツール」と考えています。』『「知的財産でこれを解決できる」を事業部門に提供し,またそれを実践し,「知財室のおかげで事業がうまくいったよ」と言われることが私たちの組織目標です。』としており、特徴的な活動として、『知財業務のレベルアップのために年度毎に10件ほどのテーマを設定して行うプロジェクト活動』を挙げています。 『リーダーもメンバーも立候補制』というこの取組みの成果が期待されます。 わが社の知財活動 積水ハウス株式会社 https://www.jipa.or.jp/kaiin/kikansi/honbun/2022_10_1292.pdf 3. わが社の知的財産活動 (1)活動の基本方針 当社では,知的財産を「武器」ではなく「事業支援のツール」と考えています。よって,知的財産権のライセンスや売却で直接収益を得るのでなく,事業の様々なステージで,その成功をサポートするための活動をしています。 (2)特徴的な活動 知的財産室では2021年度から「新たな取り組み」を開始しています。これは知財業務のレベルアップのために年度毎に10件ほどのテーマを設定して行うプロジェクト活動です。 各プロジェクトは,業務全体を俯瞰しながら取り組めるため,日常業務とは異なる成果が得られ,また,新たなことに取り組むことで各人の能力を高める機会となっており,リーダーもメンバーも立候補制なので,多忙でもモチベーションを維持しながら推進できています。 4. 目指すもの,願うこと 「知的財産でこれを解決できる」を事業部門に提供し,またそれを実践し,「知財室のおかげで事業がうまくいったよ」と言われることが私たちの組織目標です。 Value Report 2022 説明会資料 - 積水ハウス https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/2022/p20220805.pdf Value Report 2022 — Our Engage(統合報告書) https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/ir_document/2022/2022_togo/00_2022_Value_report_all.pdf コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2022年6月30日 https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/info/gov/g20220630_1.pdf (3)知的財産への投資 <投資> 当社グループは、研究開発の重要性を認識し、「総合住宅研究所」「住生活研究所」を中心とする研究開発拠点への十分な研究開発費の投入や積極的な設備投資を行っています。 また、近年では、プラットフォームハウス事業などの新規事業領域を中心として、産学連携や、異業種の企業とパートナーシップにより、将来的な事業の推進に資する分野にも積極的に投資しております。 さらに、お客様参加型イベントの開催や住環境に関する様々な体験の機会提供する「納得工房」など、直接な技術開発以外にも積極的に投資し、これらよって得られるものを総合して、経営資源(知的資本)と位置付けております。 <成果の保護> こうした知的資本のうち、技術、デザインは、特許権や意匠権で保護を図り、また、お客様からいただいたお声に加え、長年の取り組みによるノウハウ、データなども、営業秘密として保護を図っております。 さらに、投資結果の事業化段階においては、ネーミングにもこだわり、バリューチェーンを通じお客様にご満足、安心を提供するための象徴として商標権で保護しています。 このように当社は知的資本を、各知的財産権をバランスよく用い保護しています。 さらに、他社との共有の知的財産権の取扱いは、事業の方向性や、お取引先様との価格を決めるため、契約も知的財産の保護ツールと位置付けています なお、これらの活動を従来以上に重要視し、2021年8月には、知的財産を統括する専門組織として、知的財産室を新設し、また、社内での育成にとどまらず、他社で知財の統括責任者を務めた人物を含め、知財の専門家を積極的に採用しています。 <継続的成長のための活用とリスク管理> このような投資とその成果の保護の両輪によって、当社のコアコンピタンスである「技術力」、「施工力」、「顧客基盤」を構築し、また、住まいづくりのすべてのプロセスを担う「独自のバリューチェーン」で価格決定力をもとに、競争優位性を発揮し、お客様への価値提供とともに、継続的な企業成長を支える根幹を成しています。 なお、当社の継続成長のために把握しておくべき知的財産に関するリスクを取締役に共有し、毎年そのリスクを見直す体制を構築しています。 (2022年1月末実績) ・研究開発費 94億円 ・意匠権保有件数 343件 ・特許権保有件数 716件、商標権保有件数947件 積水ハウス株式会社コーポレートガバナンス報告書 https://yorozuipsc.com/blog/2372626 優れたコーポレート・ガバナンス報告書 https://yorozuipsc.com/blog/4578652 マッサージチェアのシェア1位であるフジ医療器とシェア3位のファミリーイナダが、互いの製品に関する特許侵害を巡りあらそっている訴訟で、最近判決がでています。
フジ医療器が原告となった訴訟での知財高裁における判決は10月20日に言い渡され、ファミリーイナダに約3億9千万円の賠償と製品の製造・販売差し止めが命じられました。 ファミリーイナダが原告となった2件の訴訟での大阪地裁における判決は9月15日に言い渡され、フジ医療器に、1件では約28億円の賠償、もう1件では製品の廃棄と約5千万円の賠償が命じられました。 いずれも、侵害で生じた特許権者の損害について、相手方が得た利益などを基に推定した金額に、特許のライセンスを供与したとみなして算出した金額を上乗せできると判断した上で賠償額を算定しており、特許権者の利益を幅広く認めています。 特許訴訟による賠償額の高額化の流れは続きそうです。 お取引様各位(特許裁判判決に関するご連絡) ファミリーイナダ株式会社 https://www.family-chair.co.jp/wp-content/uploads/20221021.pdf お取引様各位 平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。 既にご存知のお取引様もおられるかとは存じますが、弊社は株式会社フジ医療器(以下、フジといいます)と特許裁判を行っており、この度、フジが原告となっている下記の特許裁判(以下、本事件①といいます)について、2022年10月20日付けで知的財産高等裁判所より判決を受けましたので、報告申し上げます。 記 知的財産尚等裁判所令和2年(ネ)第10024号特許権侵害差止等請求控訴事件 事件① 本事件①において、被告製品1(製品名:INADADREAMWAVE,型番:HCP 11001)および被告製品2(製品名:ファミリーメデイカルチェアSOGNO,型番:FMC 10000)の2製品がフジの特許権l件を侵害するとして、弊社に対して製造販売の差止と3億9000万円余りの賠倍を命じる判決がなされました。 しかし、被告製品1は海外向け製品であり既に廃番となっております。被告製品2は国内向け製品ではありますが2010年3月末日に廃番となっており、アフターサービスも2016年3月末日をもってサポートが終了しております。従いまして、貴社の販売活動に一切影響を及ぼすことはございません。 一方、別件で弊社が原告の下記の特許裁判(以下、本事件②,③といいます)もあります。 記 大阪地方裁判所平成29年(ワ)第7384号特許権侵害差止等請求事件 事件② 大阪地方裁判所平成30年(ワ)第1391号特許権侵害差止等請求事件 事件③ 本事件②,③は2022年9月15日付けで判決を受け、両当事者が控訴しなかったため、同年10月5日をもって判決が確定しております。そして、本事件②,③では、フジに対して本事件②,③を合わせて28億円超の賠償を命じる判決がなされています。 上記次第であり、貴社とのお取引において影響はございませんので、ご安心ください。 なお、本事件①に対しては、判決内容を精査のうえ、最高裁への上告も含めた対応を検討中であることを申し添えます。 以上のとおりでございますので、今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。 特許巡り損害広く認定 マッサージチェア大手訴訟、27億円賠償も https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65361800R21C22A0CT0000/ 特許侵害の損害 広く認め 3億9000万円余の賠償命じる 知財高裁 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221020/k10013865651000.html 知的財産尚等裁判所令和2年(ネ)第10024号特許権侵害差止等請求控訴事件 判決の要旨 https://www.ip.courts.go.jp/vc-files/ip/2022/2n10024.pdf 大阪地方裁判所平成29年(ワ)第7384号特許権侵害差止等請求事件 判決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/463/091463_hanrei.pdf 大阪地方裁判所平成30年(ワ)第1391号特許権侵害差止等請求事件 判決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/462/091462_hanrei.pdf いよいよJASRACと音楽教室の裁判の最高裁判決が10月24日に出されます。
音楽教室における生徒の演奏に著作権料が課されるのかが争点です。 YouTubeにアップされている動画「 JASRAC vs 音楽教室 決着へ【“法廷の決断”司法記者が徹底解説】」がわかりやすい。 JASRACと音楽教室の裁判、決着へ 生徒の演奏に著作権料は? https://digital.asahi.com/articles/ASQBP5G18QBMUTIL02L.html JASRAC vs 音楽教室 決着へ【“法廷の決断”司法記者が徹底解説】(2022年10月21日) https://www.youtube.com/watch?v=VYJKjCJVrzU 「ついにJASRAC・音楽教室裁判が最高裁決着へ 論点と、判決の影響をもう一度駆け足で考えてみる」 https://www.kottolaw.com/column/221019.html 音楽教室における生徒の演奏 10月24日に最高裁判決 https://yorozuipsc.com/blog/-1024 令和2年(ネ)第10022号 音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不 存在確認控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(ワ)第20502号,同第25300号) 口頭弁論終結日 令和3年1月14日 判 決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/223/090223_hanrei.pdf 平成29年(ワ)第20502号,同第25300号 音楽教室における著作物使 用にかかわる請求権不存在確認事件 口頭弁論終結日 令和元年12月13日 判 決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/632/089632_hanrei.pdf 季刊じぱ Vol.23AUTUMN 2022に、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」アステラス製薬株式会社の記事がでていました。
アステラス製薬は、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して2005年4月に誕生した医療用医薬品を中核事業とするグローバル製薬企業ですが、医療の変化を捉えることで、継続的にアンメットメディカルニーズ(満たされない医療ニーズ)を特定し、革新的な技術・モダリティを創出する発明を奨励しそれらを適切に保護する知財を創出、強力な知財ポートフォリオを構築しています。 季刊じぱVol.23AUTUMN 2022 2022年10月15日発行 http://www.jipa.or.jp/kikansi/jipa/pdf/2022_Autumn.pdf コーポレートガバナンス報告書 [2022年6月30日] https://www.astellas.com/en/system/files/corporate_governance_report_jp_20220630_0.pdf <知的財産への投資> 研究開発型製薬企業である当社のビジネスにとって、知的財産への投資は必要不可欠です。当社は、アンメットメディカルニーズとより良い治療アプローチに焦点を当てた、新しい技術や革新的な医療ソリューションへ継続的に投資しています。 経営計画2021では、研究開発戦略の考え方であるFocus Areaアプローチの実行をさらに強化して優先度の高いPrimary Focusを加速、拡大し、複数の革新的な治療法の確立を目指しています。また、新たな事業領域として立ち上げた「Rx+事業」では、革新的なデジタル、デバイス技術や、診断技術、バイオエレクトロニクスなどを用いて、科学の進歩を患者さんの価値に変えるための新たな方法を探求しています。これら注力している研究開発領域において、製品に関わる知的財産権のみならず、先端的なモダリティ/テクノロジーの基盤となる知的財産・無形資産に対する投資を重点的に行っています。また、社外に補うべき資産や能力、人材を有しているパートナーが見つかった場合には、共同研究、外部提携、買収などを実施しています。 研究開発費及び無形資産については、「2022年3月期(第17期)有価証券報告書」に記載しています。 https://www.astellas.com/jp/investors/ir-library/securities-report 共同研究、外部提携や買収等による技術の獲得については、適時適切にプレスリリースにて開示しています。 https://www.astellas.com/jp/news?tab=latest&page=0 2022年3月期 統合報告書2022 https://www.astellas.com/en/system/files/astellas_ir2022_jp_20221004.pdf 製品に関わる特許のみならず、グローバルでの新薬開発・商業化のノウハウや多様な新規モダリティに対応する技術力という競争力の源泉となる知的資本を保有しています。 知的財産に関するポリシー https://www.astellas.com/en/system/files/property.pdf 途上国における知的財産権についての基本的な考え方 https://www.astellas.com/en/system/files/ip_jp_20200316.pdf 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第13回)令和4年10月7日(水)における事務局説明資料では、投資家の目線から企業の開示・対話・ガバナンスが評価される観点について4点を挙げています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/siryou3.pdf P.10 企業の開示・対話・ガバナンスが評価される観点 ・対話のきっかけとなる開示を意識すること ・価値創造ストーリー等を踏まえた全体戦略・ミッションを起点とした論理構造化された取組ツリーを示すこと ・将来価値や財務パフォーマンスにつながるロジカルなストーリー(因果パス)を伝えること ・知財・無形資産と人材投資とのつながりや好循環による組織能力の向上を意識すること 特に、P.12には、『企業と投資家の思考構造(ロジックツリー)のギャップを埋める点において、自社の全体的な戦略ストーリーを踏まえた上で、知財・無形資産の役割(差別化等)と財務とのつながりを示すことが有効である。事例として、以下の「ROIC逆ツリー」が挙げられる。ROIC逆ツリーの改善ドライバーにどの知財・無形資産を寄与させようとしているかを明確に示した上で、どのような論拠で有意な改善ドライバーのパフォーマンス向上につながるのかの因果関係の証明(因果パス)を加えて、はじめて説得力を持つ。』と説明され、「OMRON統合レポート2022」を基に事務局にて加工し、知財・無形資産の例として、「先端技術、特許、斬新な意匠等」を付加価値率に紐付け、「破壊的な製造コスト削減をもたらす革新技術等」を製造固定費率に紐付け、「顧客基盤・ネットワーク等」を販管費率に紐付けた「ROIC逆ツリーの例(オムロン株式会社)」が示されています。 OMRON統合レポート 2022 https://www.omron.com/jp/ja/ir/irlib/pdfs/ar22j/OMRON_Integrated_Report_2022_jp_A4.pdf 金融庁が、法務省と連携しながら、技術力や知的財産も担保にできる新法を検討しているようです。無形資産を含めた事業価値全体を対象とする「事業成長担保権」をつくる方向で、実現すれば、不動産担保や経営者保証を前提としてきた日本独自の融資慣行が変わり、不動産の保有が少ない中小・新興企業にマネーを供給する新たな流れにもなるようです。
技術力や知的財産の評価も、課題のようです。注目したい流れのひとつです。 技術力や知的財産も担保、融資可能に 金融庁が新法検討 https://vs-group.jp/tax/vspicks/news/20221018-id7988/ 技術力・知財、融資の担保に 中小・新興にマネー供給 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB141A00U2A011C2000000/ 企業向けデジタル金融 三井住友「アジア最大狙う」 マイクロソフトと連携「金融超えたサービス提供」 2022/10/19付 https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=2&n_m_code=121&ng=DGKKZO65248300Y2A011C2EE9000 令和4年10月7日におこなわれた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第13回)では、事務局説明(内閣府知的財産戦略推進事務局)の他、味の素株式会社、株式会社荏原製作所、東京海上ホールディングス株式会社、 株式会社丸井グループのプレゼンテーションがありました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/gijisidai.html 丸井グループの無形資産投資 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/siryou7.pdf 「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」において 丸井グループが小売業部門で「第1位」を2年連続で獲得している丸井グループ。 丸井グループの無形資産投資は2020年3月期では、無形投資倍率(無形投資/有形投資)が2.0倍となっており、ビジネスモデルが労働集約型の小売主導から知識創造型(小売×フィンテック×未来投資)に進化していることがわかります。 未来投資は、共創投資(スタートアップ・ファンドへの投資)と新規事業投資(ECを基軸としながら当社の店舗イベント運営やフィンテックを活かし、独自の障壁の高いビジネスモデルを構築)です。 単年度の損益項目から中長期的に企業価値向上につながる項目を「人的資本投資」として再定義、将来収益に貢献する人的資本投資を120億円まで拡大し、人件費に占める割合は35%まで上昇、未来投資など今後の成長領域を支えるWeb系人材を拡充、知識創造型企業への進化をはかっており、26年3月期には収入(限界利益)がコスト(人的資本投資の償却費)の5倍を見込むとのことです。(人的資本投資 IRRは 11.7%となり、株主資本コストを上回る見通し) 「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」において 丸井グループが小売業部門で「第1位」を2年連続で獲得 2022年10月13日 https://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/22_1013/22_1013_2.pdf 丸井がエポスカード特許訴訟ではまった罠、「社員の発明対価」の備えを怠った企業の末路 https://diamond.jp/articles/-/300569 丸井Gエポスカード特許訴訟第1回、「発明は会社に600億円の利益」と元役員 https://diamond.jp/articles/-/303348 丸井Gが「5万円」の発明報奨金を急ごしらえ、狙いは訴訟対策と社員に対する“踏み絵”? https://diamond.jp/articles/-/303349 令和4年10月7日におこなわれた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第13回)では、事務局説明(内閣府知的財産戦略推進事務局)の他、味の素株式会社、株式会社荏原製作所、東京海上ホールディングス株式会社、 株式会社丸井グループのプレゼンテーションがありました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/gijisidai.html 東京海上ホールディングス株式会社 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/siryou6.pdf 「直近の統合報告書における知財・無形資産の開示」で行われた東京海上ホールディングスのプレゼンテーションでは、 「保有データ・デジタル技術」、「M&A・PMIの実⾏⼒」を競争⼒の源泉としての重要な知的財産・無形資産と位置付け、統合報告書では、「非財務資本」強化のパートで「人的資本」と共に開示している他、随所に関連情報を盛り込んでいる、とのことです。 「保有データ・デジタル技術」は、「いつも支える存在」へと進化するための「キードライバー」としても位置付けていて、保有データとデジタル技術をどのように活用するのか、それによってどのような価値を創出するのかを分かり易く図示しています。 「M&A・PMI実⾏⼒」が、グローバルリスク分散の実現には「手段」として不可⽋としてその重要性を具体的に示し、「厳格な買収基準」を具体的に開示、買収だけでなく、「フォワードルッキングな事業売却」とセットで実⾏している実績を具体的に示すことで、実効性を強調しています。 「知的資本」の活用・強化が、当社の事業活動や企業価値向上に対して、どう位置付けられているのかをシンプルに図示、統合報告書で訴求している当社の「3つの強み」を、「知的資本」の強化によって向上・下支えする関係性を示しています。 東京海上というと、東京海上日動火災保険が10月からM&A(合併・買収)後に買収先の知的財産を巡るトラブルを補償する保険を売り出す、というようなニュースで、知財との関係が出てきますが、無形資産という見方をするとより幅広い活動が見えてきます。 東京海上、シンガポールITに出資 デジタルで保険販売 2022/10/15 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1234Q0S2A011C2000000/ 東京海上ホールディングス統合レポート 2022 https://www.tokiomarinehd.com/ir/download/l6guv3000000fubw-att/Integrated_Report_2022_J.pdf 東京海上、買収先の知財トラブルを補償 特許侵害に備え 2022年9月21日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB152Z50V10C22A8000000/ (株)AI Samuraiは、東京海上日動火災保険と連携し、知的財産権リスクの補償を行う国内M&A保険(表明保証保険)を開発しました。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000241.000021559.html 令和4年10月7日におこなわれた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第13回)では、事務局説明(内閣府知的財産戦略推進事務局)の他、味の素株式会社、株式会社荏原製作所、東京海上ホールディングス株式会社、 株式会社丸井グループのプレゼンテーションがありました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/gijisidai.html 荏原製作所 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/siryou5.pdf 荏原製作所のプレゼンテーションでは、 1.情報開示の充実について 2.統合報告書について 3.会社概要 4.新規事業の開拓・創出 が触れられています。 2022年版統合報告書のポイントの中でも、新たな取り組みである「技術人材戦略」が注目されます。特に、c①風目されるのは、荏原グループ全社技術の全体俯瞰、②戦略的技術強化施策の策定・実践、③コア技術の組み合わせによる新事業・新製品・新サービスの提供、④技術補完、M&A展開、⑤技術技能継承、⑥人材ローテーション戦略、を目的として、「技術人材の見える化」=技術・技能を持つ専門人材を紐づけたデータベースとして構築した「技術元素表」です。 荏原製作所における知財価値評価とその活用 https://www.ebara.co.jp/jihou/no/list/detail/262-6.html 荏原製作所における知財価値評価とその活用 26/7/2022 https://yorozuipsc.com/blog/8444205 令和4年10月7日におこなわれた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第13回)では、事務局説明(内閣府知的財産戦略推進事務局)の他、味の素株式会社、株式会社荏原製作所、東京海上ホールディングス株式会社、 株式会社丸井グループのプレゼンテーションがありました。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/gijisidai.html 味の素グループにおける無形資産を活かす価値創造の取組みでは、 無形資産を活かした持続的価値創造、イノベーションによる持続的成長戦略を進めていること、 事業モデル変革(BMX)の4つの成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)、 4つの無形資産(人財、技術、顧客、組織)を重視していること、 技術資産の強化では、高度化と融合、Smart R&D、 顧客資産の強化では、ブランディング、ブランド価値向上(コーポレートブランド価値の外部指標:インターブランドを採用。)、 人財資産の強化では、個人と組織の共成長、ASVマネジメントサイクル、エンゲージメントサーベイと業績の相関、ASV実現プロセスの導入、人財投資と成果、 をポイントとしています。 2030年に向けた成長イメージも明確です。 味の素グループにおける無形資産を活かす価値創造の取組み https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai13/siryou4.pdf IR Day 2022オープニングリマークス ~ASV経営の進化 サステナビリティと人財資産~ https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/event/ir_day/main/01/teaserItems1/01/linkList/0/link/Opening%20Remarks_J.pdf 社長メッセージ2022|統合報告書|ESG・サステナビリティ https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/ir/ceo_2022.html 味の素グループASVレポート 2022(統合報告書) https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/library/annual/main/014/teaserItems1/00/linkList/00/link/ASV%20Report%202022_J_A3.pdf 事業モデル変革(BMX)による成長戦略 - 味の素 https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/ir/event/business_briefing/main/0112/teaserItems1/00/linkList/00/link/Business%20Model%20Transformation_J.pdf 知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関する取組事例集 2022年6月27日内閣府知的財産戦略推進事務局 P9企業の取組事例:事例2|味の素 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai11/siryou6.pdf 味の素のIPランドスケープとCGC改定対応 https://yorozuipsc.com/blog/ipcgc 味の素(株)の知的財産活動 https://yorozuipsc.com/blog/5004645 10月12日特許庁から令和4年度審査の質についてのユーザー評価調査報告書が公表されました。平成24年度から継続されているユーザー評価調査で、年々評価が上がってきていて特許庁の努力の成果が表れています。
今年の評価結果で気になったのが「図 24:国際段階と国内段階との間での判断の一貫性についての評価」で、令和3年、令和4年と2年続けて評価が下がっています。不満・やや不満を合わせた数字が17.8%で、28年以降で最も高い数字になっています。何か要因があるのでしょうか。 『分析の結果、「判断の均質性」、「第29条第2項(進歩性)の判断の均質性」、「国際段階と国内段階との間での判断の一貫性」の項目が、国内出願における特許審査及びPCT出願における国際調査等の全般の質の評価への影響が大きく、かつ相対的な評価が低いことが分かったため、これらを優先的に取り組むべき項目と設定しました。』と記載されており、改善されるものと期待しています。 令和4年度審査の質についてのユーザー評価調査報告書を公表します https://www.meti.go.jp/press/2022/10/20221012002/20221012002.html 令和4年度特許審査の質についてのユーザー評価調査報告書 https://www.jpo.go.jp/resources/report/user/2022-tokkyo.html 令和4年10月12日 特許庁調整課品質管理室 世界最高品質の特許審査を実現するためには、特許審査に対するユーザー(出願人や権利を行使される第三者等)の皆様のニーズや期待を適切に把握することが不可欠であるとの認識のもと、特許庁は、平成24年度より特許審査の質についてのユーザー評価調査を実施しております。 今般、令和4年度調査の結果を報告書に取りまとめましたのでお知らせします。 本報告書は、令和3年度の特許審査・国際調査等全般の質について「満足」、「比較的満足」、「普通」、「比較的不満」、「不満」の5段階で評価いただいた結果を取りまとめたものです。調査は令和4年5月~6月に実施し、回答率は8割を超えました(調査対象715者中607者)。御協力いただいたユーザーの皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。 国内出願における特許審査全般の質についての評価(全体評価)は、「普通」以上の評価の割合が95.7%、上位評価割合(「満足」・「比較的満足」の評価の割合)が61.3%でした。 PCT出願における国際調査等全般の質についての評価(全体評価)は、「普通」以上の評価の割合が97.5%、上位評価割合が59.0%でした。 分析の結果、「判断の均質性」、「第29条第2項(進歩性)の判断の均質性」、「国際段階と国内段階との間での判断の一貫性」の項目が、国内出願における特許審査及びPCT出願における国際調査等の全般の質の評価への影響が大きく、かつ相対的な評価が低いことが分かったため、これらを優先的に取り組むべき項目と設定しました。今後も、法令・審査基準・指針に即した審査を行いつつ、ユーザーへのコンタクト等を通じた具体的な課題の把握、審査官間の協議等を通じた審査官相互の知識の共有を進め、判断の均質性の向上に努めてまいります。 特許庁は、引き続き特許審査の質の維持・向上に努めてまいります。 https://www.jpo.go.jp/resources/report/user/document/2022-tokkyo/2022-tokkyo.pdf 経済産業省 METI Journal ONLINE9月号で、知財で挑むESG経営という政策特集が組まれ、vol.4とvol.5 で、「知財を活躍させる企業統治」とは。プロが明かす重要ポイント」が取り上げられています。
スリーダムアライアンス社執行役員の原田雅子氏は、 『知財部署は他から分離させず、社内のどこにでも潜んでいる感じにしています。技術だけでなくビジネスも分かっている存在です。周囲が研究開発の話をしているときでも臆せず、仲間として「ビジネスの面からはこういう技術にはできないのか」などと持ちかけています。』と話しています。 スタートアップならではとも言えますが、ブリヂストンの荒木充氏(知的財産部門 部門長)も『会社が持っている知財を「こんなふうに使えるはず」とか「ここをちょっと変えてみれば」と社内で提案するのです。ブリヂストンではそのために、知財部門が開発部門や事業部門などに草の根的に入り、つなぎ役をしています。』と話していますように、基本は一緒でしょう。 経済産業省ウェブサイト「METI Journal ONLINE」 「知財を活躍させる企業統治」とは。プロが明かす重要ポイント【前編】 URL:https://journal.meti.go.jp/p/23628/ 「知財を活躍させる企業統治」とは。プロが明かす重要ポイント【後編】 URL:https://journal.meti.go.jp/p/23682/ 特許庁が第2回IPランドスケープセミナーを無料公開 26/10/2021 https://yorozuipsc.com/blog/2ip スタートアップのIPランドスケープ~経営層の意識は高い!~ 5/1/2021 https://yorozuipsc.com/blog/ip5682275 |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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