令和2年12月21日(月)に行われた、産業構造審議会 知的財産分科会第4回基本問題小委員会の議事録には、特許庁のミッション・ビジョン・バリューを再定義する作業が進行中であることが述べられており、特許庁長官の決意が示されています。期待したいと思います。
産業構造審議会知的財産分科会第4回基本問題小委員会議事録 https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kihonmondai_shoi/document/index/04_gijiroku.pdf ○糟谷特許庁長官 資料2でございます。12月15日に私から職員に向けてメッセージを出 しまして、特許庁のミッション・ビジョン・バリューを再定義することなど呼び掛けを行 いました。この背景について御説明をさせていただきます。 まず第1に、危機感の共有であります。この委員会で御議論をいただいて、産業財産権 行政の在り方について見直しを進め、また特許特別会計の抜本改革が待ったなしとなって いる中で、庁内で改めて危機感を共有し、職員一人ひとりの主体的取組や協力を促す必要 があると考えたことでございます。資料2の1ページ目の最後から2つ目のパラグラフま でがそれに相当するところであります。 第2に歳出削減という、カットする、小さくなるということだけではなくて、課題対応 - 8 - と両立させていかなければいけないということでありまして、これは資料2の1ページ目 の最後のパラグラフであります。昨年、庁内に財政本部会合をつくり、特許特会の歳出削 減の取組を本格的に開始をしたわけであります。既存の予算の削減や新規事業の凍結など を進めてまいりました。ただ、その一方で「予算がないので新しい取組はできない」とい う発言をときどき職員から聞くようになりました。しかし、新しい取組ができないという のでは、新たに生じている課題には対応できないわけであります。歳出削減を進めながら も、同時に新たな課題にも着実に対応することが必要でありまして、“思考停止”に陥って はならない、お金がないからできないという言い訳をしないということをしっかりと伝え たかったということであります。 第3に、部門の枠を超えた取組が必要であるということでありまして、これは資料2の 2ページ目の2つ目のパラグラフあたりであります。先ほども御説明がありました来年度 予算案、今日の午前中の閣議で決定をされましたけれども、今年度に比べて5.3%削減した 予算になっております。また来年度の予算を緊縮予算として組むだけではなくて、今年度 の予算の執行に当たっても、もう既にできる限りの節約に努めてきております。今年度は、 締めてみないとわかりませんけれども、今年度予算を数%は使わずに残せることを目指し て取り組んでおります。 一方で、これまでの節約の取組はそれぞれの部署ごとに、また現在の仕事の進め方を前 提としたものにとどまっているきらいがありまして、このままでは早晩、歳出カットに行 き詰まるのではないか、そういう可能性があるというふうに感じております。歳出削減を 最大限行っても足りない分は料金値上げをお願いせざるを得ないわけでありますけれども、 歳出削減努力が不十分であってはユーザーの皆様の御理解は得られないわけであります。 十分な歳出削減のためには部門の中の最適化ではなくて、部門の壁を越えて最大最適とな るように見直すこと、また従来のやり方や固定観念にとらわれずに変革していくことが不 可欠でありまして、改めて部門を超えた取組を求める必要があると考えたということが第 3点目であります。 最後に、何でミッション・ビジョン・バリューを再定義するのかということであります けれども、この資料2の最後の2つぐらいのパラグラフですが、変革を進めていくに当た っては何を変革するのかということと同時に、何は変えないで維持をするのかということ について、職員の認識が揃っていることが必要でありまして、その軸になるべきは組織の ミッションであり、ビジョンであり、バリューであろう。この会議の第1回目で、特許自 - 9 - 身の経営デザインシートをつくったらどうかという御意見をいただきまして、従来の特許 ビジョン、これは資料3にありますけれども、これをもとに経営デザインシートを記載を してみたのですけれども、何か違和感が残るものになってしまいました。何で違和感があ るのだろうということを考える中に、従来のビジョンは「グローバルな知財システムの構 築に貢献する」とか、「ユーザーのニーズに応える質の高いサービスの提供をする」、こん なことが大きな柱になっているのですけれども、それ自体、間違いではないのですけれど も、グローバルということ以外にどんな知財システムを目指すのかということが明らかで はない。ユーザーニーズに応えるというのですけれども、多様化するユーザーニーズの全 てに応えられるのか、またコストにかかわらず全て応えるのが適切なのか、少なくとも相 矛盾する要望には応えられないのではないか。経営資源に制約があって優先順位をつけて 選択をしなければいけないという中で、従来のビジョンでは判断の基準にはならないので はないかというふうに考えたわけでありまして、そのために「ミッション」、「ビジョン」、 「バリュー」を改めて整理、再定義をして共有することが不可欠であるというふうに考え たわけであります。 特許庁はデザイン経営を進めておりまして、部門横断的なデザイン経営プロジェクトチ ームというのを数年前から設けて活動しております。このチームが新たなミッション・ビ ジョン・バリューのたたき台をつくってくれまして、まだ完全なものではありませんけれ ども、このたたき台をつくる過程ではチーフデザインオフィサーである岩崎技監、それか ら私も加わって議論をしてまいりました。それについてプロジェクトチーム長の今村から 御説明を申し上げます。 (以下省略)
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AI Samurai特許情報フェア2020特別セミナー「ニューノーマル時代の知財戦略~オープンイノベーション3.0~」(Xinova Japan 上級副社長・日本総代表 加藤幹之氏)を視聴しました。
Youtubeで公開されています。 確かに日本企業には、オープンイノベーション3.0(新規の技術開発とビジネスモデル開発に組み合わせ、まったく新しい事業を展開)が求められています。 https://www.youtube.com/watch?v=fz3ZtLI4fv0&t=352s 求められるイノベーションのありかた ・DX(デジタルトランスフォーメーション) ・今まで求められていた変革が待ったなしになった ・多くの要素技術は既に開発済のことが多い。新しいビジネスモデルをつくることが重要 イノベーションの定義 2つの要素の両方の段階で先行し、着実に実現する必要あり ・革新的技術の発明・開発 日本は、今でも特許件数も多いし、基礎研究も一定の成果はある。しかし、本当に革新的でビジネスに結びつく技術が生まれているか? ・技術の実用化や活用 日本企業は特に、新しいビジネスモデルの開発や適応、グローバルビジネスの展開に課題がある IoT、AIやビッグデータの時代 産業のプレーヤーの変化 既存の自動車産業 vs IT企業 農業の工業化=IT企業が農業分野に進出 結果として、オープンイノベーションが必須の時代になった=自前主義の限界 業種の垣根が無くなり、新規技術が必要となる 技術の複雑化・高度化 莫大な研究開発費用 開発のスピード 単独で技術開発するリスクと負担が増加 自分の研究組織を持たない新興IT企業の出現 研究開発と事業化の分離、分担の傾向が進む しかし、日本ではオープンイノベーションが未発達 研究開発部門の排他性 外部(特に海外)の技術やビジネスに関する情報不足 技術やビジネスの目利きをし、俯鰍的に分析する能力の欠如 自前での研究開発と、外部から調達する場合との経済的、経営的比較ができない結果、両者の明確な戦略的切り分けができない 日本では伝統的な人事制度、雇用制度の結果、社内開発を優 しがちであり、技術を直ちに外部調達に変えることが難しい傾向にある ライセンス等の外部からの技術調達の手段の理解や経験、交渉力がない結果、外部調達のメリットを生かせない オープンイノベーションを可能とする知財戦略の手法例 一方的ライセンス、クロスライセンス 共同研究、研究委託 技術や特許等の知財の購入(市場が作られつつある) 技術をターゲットとした外部研究への投資、ベンチャーや既存事業の買収(グーグルによるモトローラ購入の例) 技術標準化=デファクト標準、(国際)標準機関への参加、コンソーシアム形成 パテントプールヘの参加 オープンイノベーション3.0 オープンイノベーション1.0=違った技術やビジネス形態を結合する段階(マッチメーキングの段階) オープンイノベーション2.0=技術シーズを見つけて自分なりに開発・応用し、自分のビジネスを展開 オープンイノベーション3.0=新規の技術開発とビジネスモデル開発に組み合わせ、まったく新しい事業を展開 今までオープンイノベーションの実現が難しかったのは、新しい技術に必要なビジネスモデルの構築が不完全だったため オープンイノベーションには 経営者や技術者だけではなく、彼らを支援する周囲の環境が必要 イノベーション・エコシステムが必要 専門家がネットワークを作り、協働して総合的なサービスを経営者や技術者に提供できる仕組み イノベーション・エコシステムのプレイヤー達 技術コンサルタント=豊富なビジネス経験を持ち、広い見地からより客観的に技術の目利きやコーディネートのできる技術者 プロフェッショナル=自分の専門分野だけでなく、技術やビジネスを理解する会計士や弁護士、弁理士 投資家=リスクを負って新しい技術や事業に投資する者(投資と融資は違う) プロデューサー=技術が分かり経営ができるビジネスの創出者(時には、新規事業のCEOとして参加できる人) オープンイノベーション実現の仕組み、日米の大きな違い 2つのIP Internet Protocol 自由でオープンな社会、自分の権利を主張せず、広く利用を促進。 Intellectual Property 法律に基づく独占と「規制」の世界? クローズドな社会? 社会はますますオープン化 クラウドやビッグデータが、次々と新しいビジネスモデルを生み出す コンテンツ利用から開発、応用もオープンに オープンソフトウエア コミュニティが無償でソフト開発 GPL (general public license) で無償開放 研究開発もクラウドソーシングする時代に 最近は、オー分データ化の動きもある コモンズ(共同社会)の形成 オープンソフトの世界からさらに広範囲に Creative Commons Patent Commons Wisdom of crowds 群衆の英知(みんなの意見は案外正しい) 大衆参加の時代 クラウドやIoT技術のさらなる進展 ソーシャルネットワークが民主主義を促進 社会のオープン化の中で、クローズド社会を形成する知財制度は逆行?知財は悪か?いずれ絶滅するのか? 二律背反? 知財だけではない プライバシーとセキュリティ― プライバシーと表現の自由、知る権利 国家の安全保障と知る権利(例、Wikileaks) 2つのIPのバランス 2つのIPは対立軸ではなく、両立するもの。 2つの側面を組み合わせて、新しいビジネスモデルが生まれる。オープンにする部分で市場を拡大し、クローズドの部分で利益を確保する。このために知財制度は必須。 仮に知財制度がなければ、逆に権利を事実上独占する者が生まれる。知財制度はその牽制のためにも必要。 Xinovaの推進するオープンイノベーション https://www.xinova.jp/ 技術の発明・開発に、世界中に広がる発明家ネットワークを活用:発明のシェアリング経済 技術の実用化や活用にも積極的に参加:=試作品の開発や試験の実施。テストデータの作成。 スタートアップ企業等には、資本出資協力。 発明者ネットワーク:12,000人以上の (60カ国以上に広がる)大学教授、企業の研究開発やビジネス経験者、専門的なコンサルタント等がXinova と契約 コロナ禍後には、 Xinova の「技術開発のシェアリング」方式は より大きな意味 3つのレベルの基本サービス Level 1:Insight on-demand(1カ月程度、2万ドル程度) 現在直面する課題に絞って 、 短期間で分析を行う。Xinovaのサービスやネットワークの概要を知るにも最適 顧客の個別の課題に(1か月程度の)短期間で回答 素早く、必要な解決を効率的に提供 最高レベルの広い専門知識と経験を持つ科学者、エンジニア、技術者が貴社の課題悌決の支援を行う。貴社のイノペーション促進を支援し適切な分析と判断を行うため、新鮮で専門的な専門家たちの知見を得ることができる。 ここでは、貴社の必要に応じて、1週間程度で特定の質問に答える場合から、個別具体的な課題に対して詳細な分析を行う場合まで、各種のサーピスを提供。技術や市場の課題が特定されている場合、(1か月程度の)比較的短期間に、(2万ドル程度の)比較的低価格で鰯決方法を回答。 Level 1 servicesには、次のようなものがある。 →(特定の)技術分析Technology Assessment →(特定の)市場分析Market Assessment →技術の吟味(ディリジェンス)Technology Diligence →技術者の確保Talent Scouting →その他、必要に応じた個別のサービス Level 2:Innovation Solutions(2カ月程度、 アイデアを創出し、具体的なソルーションを提案するXinova の中心的な技術開発のサービス 過去800以上のプロジェクトを推進。 案件ごとに、 必要な専門知識を持つ専門家を特定し 、 彼らと協業して、 効率良い技術開発の場を提供する。 RapidInnovationsessions(RIS) が弊社特有で基本となる手法。 通常2か月程度を用いて、 課題の定義から具体的提案まで行う。 社内の技術者と、 発明者ネットワークから選ばれる専門家がチームとなり、ブレインストームを繰り返し、発明、アイデア、ソルーションを創出する。 途中、依頼企業との打ち合わせや意見交換の場も持たれる。 Xinovaの専門家と組んで イノベーションの課題の定義、 分析、 解決提案を広範囲で行う Level 2 servicesには、次のようなものがある。 →イノベーション Requests for Innovation →発明 Requests for Invention →応用・活用方法 Requests for Application →技術と市場の分析 Opportunity Analysis Research →その他 And more! Level Ill: Map. Design. Build. (MOB) 破壊的ビジネス設計 多くの企業で、現在の技術や市場を超えて、将来のビジネスモデル構築が求められています。 Xinovaの「破壊的ピジネス設計」は、市場の大きな変化を理解し、現在のビジネスや産業構造を破壊し、将来のビジネス機会を特定し、それに至る方法を提案します。 まず現状の分析とmapping(いろいろな事象を関運付け、 全体像を描いていくこと)を行います。そこでは、現状の商流や技術、慣習や方式等を分析し、次にそれらを個別の要素に分解した上で再構築し、より侵れた革新的で低コストのモデルを提案します。 通常、5人ほどの専門家が担当し、4から6か月をかけて実施します。 より全般的、 根本的な課題解決、 ビジネス提案を行う 破壊的ビジネス設計のための作業は、 次のようなステップで行われます: 現在持っている技術や能力の評価:新しいピジネスを創造し、理解し、実現する能力の分析 資金力やパリューチェインヘの対応能力の評価 競合を明確化するための構造的な分析 ビジネス戦略の構築 、M&Aや研究開発等、各種・複数のオプションの提示 具体的な製品やサービスの提案や、それに必要な技術ロードマップの提示、さらに資金調達手段や実施計画立案 商流(food chains)や価値の連鎖(value chains)を分析 Replace Insert Consolidate Divert 事例 PepsiCo 船井電機 クレジットカード会社 AkzoNobel Collins Woerman Coffee Flour Meat & Livestock Australia RAISIO BENEMILK LTD 公正取引委員会と経済産業省は共同して、スタートアップとの事業連携に関する指針を策定することを検討しており、12月23日付けで、「スタートアップとの事業連携に関する指針(案)」が公表され、意見募集が令和3年1月25日まで行われています。
契約書案は、これまで公表されていた新素材編に、AI編が加わりました。 新素材編では、かなりスタートアップに肩入れした内容になっていましたが、AI編もやはり同じようです。 大企業で契約実務を担当している方は、今後、これまでのやり方を見直すなど、注意したほうが良さそうです。 スタートアップとの事業連携に関する指針(案) 令和2年○月○日 公正取引委員会 経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201223005/20201223005-2.pdf スタートアップとの事業連携に関する指針(案)に対する意見公募について https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595220056&Mode=0 スタートアップとの事業連携に関する指針(案) PDF 関連資料1スタートアップとの事業連携に関する指針(別添)(案) PDF 関連資料2モデル契約書ver1.0_秘密保持契約書(新素材) PDF 関連資料3モデル契約書ver1.0_技術検証(PoC)契約書(新素材) PDF 関連資料4モデル契約書ver1.0_共同研究開発契約書(新素材) PDF 関連資料5モデル契約書ver1.0_ライセンス契約書(新素材) PDF 関連資料6モデル契約書ver1.0_秘密保持契約書(AI)(案) PDF 関連資料7モデル契約書ver1.0_技術検証(PoC)契約書(AI)(案) PDF 関連資料8モデル契約書ver1.0_共同研究開発契約書(AI)(案) PDF 関連資料9モデル契約書ver1.0_利用契約書(AI)(案) PDF スタートアップとの事業連携に関する指針(案) 目次 第1 スタートアップとの事業連携に関する指針の必要性と構成·············1 1 本指針の必要性·····················································1 1 本指針の必要性 大企業とスタートアップの連携により、チャレンジ精神のある人材の育成や活用を図り、我が国の競争力を更に向上させることが重要である。他方、大企業とスタートアップが連携するに当たり、スタートアップからは、大企業と共同研究すると、特許権が大企業に独占されたり、周辺の特許を大企業に囲い込まれたりする、といった偏った契約実態を指摘する声がある。 このような現状を踏まえ、未来投資会議(令和2年4月3日開催)において、政府としてオープンイノベーションの促進及び公正かつ自由な競争環境の確保を目指す方針が掲げられ、企業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップが大企業から一方的な契約上の取決めを求められたりしないよう、問題事例とその具体的改善の方向や独占禁止法の考え方を整理したガイドラインを策定するとされ、成長戦略実行計画(令和2年7月17日閣議決定)において、ガイドラインについて、公正取引委員会と経済産業省連名で年内を目途に案を作成し、意見公募手続を開始するとされた。 また、公正取引委員会は、「スタートアップの取引慣行に関する実態調査報告書」(令和2年11月27日)において、スタートアップと事業連携を目的とする事業者(以下「連携事業者」という。)との間の秘密保持契約(以下「NDA」という。)、技術検証(以下「PoC」という。)契約、共同研究契約及びライセンス契約に係る問題事例等を公表した。 本指針は、事業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップと連携事業者との間であるべき契約の姿・考え方を示すことを目的としている。特にNDA、PoC契約、共同研究契約及びライセンス契約の4つの契約に着目し、これらの契約において生じる問題事例とその事例に対する独占禁止法上の考え方を整理するとともに、それらの具体的改善の方向として、問題の背景及び解決の方向性を示した。 本ガイドラインが広く普及することで、契約や交渉に係るスキルが向上するのみならず、スタートアップと連携事業者の双方において、公平で継続的な関係を基礎としたオープンイノベーションが促進されることが期待される。 (令和2年11月27日)スタートアップの取引慣行に関する実態調査について(最終報告) https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/nov/201127pressrelease.html スタートアップとの事業連携に関する指針(別添)~オープンイノベーションの契約にかかる基本的な考え方~(案)令和2年○月○日 経済産業省 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000211816 2 本指針の構成·······················································1 第2 各契約種別における指針···········································3 1 NDA(秘密保持契約)················································3 (1) NDAの概要························································3 (2) NDAに係る問題について············································3 ア 営業秘密の開示·················································3 イ 片務的なNDA等の締結············································7 ウ NDA違反························································9 2 PoC(技術検証)契約··············································10 (1) PoC契約の概要··················································10 (2) PoC契約に係る問題について······································11 ア 無償作業等···················································11 3 共同研究契約·····················································14 (1) 共同研究契約の概要·············································14 (2) 共同研究契約に係る問題について·································15 ア 知的財産権の一方的帰属·······································15 イ 名ばかりの共同研究···········································17 ウ 成果物利用の制限·············································19 4 ライセンス契約···················································21 (1) ライセンス契約の概要···········································21 (2) ライセンス契約に係る問題について·······························22 ア ライセンスの無償提供·········································22 イ 特許出願の制限···············································24 ウ 販売先の制限·················································25 5 その他(契約全体等)に係る問題について···························27 (1) 顧客情報の提供·················································27 (2) 報酬の減額・支払遅延···········································28 (3) 損害賠償責任の一方的負担·······································30 (4) 取引先の制限···················································32 (5) 最恵待遇条件···················································33 第3 参考情報·······················································36 12月24日付けで、産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 報告書「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)」が公表され、意見募集が令和3年1月25日まで行われています。読むだけでも大変な量です。
ポイントとして、まとめを抜きだしました。 ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案) 令和 2 年 12 月 24 日 産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会 https://www.jpo.go.jp/news/public/iken/document/201224_covid/houkokusho.pdf はじめに 特許制度小委員会では、「AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方」についてこれまで議論を実施し、令和 2 年 7 月に中間とりまとめを提示した。 中間とりまとめでは、イノベーションの加速が喫緊の課題であることも踏まえ、AI・IoT 技術やデジタル化への対応や、特許活用の多様化等について現状の分析を行うとともに、円滑な紛争処理に向けた知財紛争処理システムについて、引き続き議論を深化していくべきとした。 さらに、本年度の産業構造審議会総会や知的財産分科会基本問題小委員会では、ウィズコロナ/ポストコロナ時代において、接触回避(デジタル化・オンライン化の加速)等に対応した政策や行政組織のあり方について議論が行われ、新型コロナウイルスの影響により「新たな日常(ニューノーマル)」への移行についても、新たな検討課題となっている。 本小委員会中間とりまとめで取り上げたもののうち、議論を深化するとした以下の知財紛争処理制度について、第 42 回以降の本小委員会にて検討を実施した。 早期の紛争解決を図る新たな訴訟類型(二段階訴訟制度) 当事者本人への証拠の開示制限(アトニーズ・アイズ・オンリー制度) 第三者意見募集制度(アミカス・ブリーフ制度) 侵害者利益吐き出し型賠償制度 訂正審判等における通常実施権者の承諾 さらに、基本問題小委員会等の議論を踏まえ、以下に掲げる、新型コロナウイルス感染拡大等に伴い顕在化した課題や制度利用者の要望を踏まえた特許法等の手続上の論点等についても、検討を実施した。 審判等における口頭審理期日における当事者の出頭のオンライン化 災害等の発生時における割増手数料の取り扱い 権利回復制度の見直し 模倣品の越境取引に関する規制の必要性について 本報告書は、これまでの審議内容を取りまとめ、AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方の議論を踏まえ、ウィズコロナ/ポストコロナ時代の特許制度の見直しについて提言するものである。
意見を求めることができる範囲は、法律問題や経験則(一般的経験則)などに限定せず、事業実態などの意見も募集できるよう、裁判所が事案に応じて必要と認めた事項とすることが適当である。そして、裁判所が当事者を介さずに第三者の意見を裁判所の判断の基礎とすると、弁論主義についての問題が生じ得るため、意見募集が当事者の申立てにより実施され、第三者が裁判所に意見書を提出し、当事者が意見書を閲覧・謄写し書証として裁判所に提出することで、裁判所が意見書を裁判所の判断の基礎とできるようにすることが適当である。すなわち、本制度の法的な位置づけは、当事者による証拠収集手続であり、裁判所が主体となって意見募集を行う点で、証拠収集手続の特例といえる。また、双方当事者の合意を得ることが困難な場合があるため、一方当事者の申立てを要件としつつ、裁判所が他の当事者の意見を聴いた上で意見募集の要否を判断することが適当である。 対象とする訴訟について、現時点において本制度に適すると考えられる典型的な対象が「判決が当事者の属する業界のみならず、他の業界の企業等にも大きく影響を及ぼし得る特許権侵害事案」であることを踏まえれば、まずは、特許権に係る侵害訴訟を対象とし、今後、意匠権や商標権の分野、審決等取消訴訟などの訴訟類型においても、本制度に適する具体的な事案が見受けられるようにな った段階において、その導入の必要性を検討することが適当である。 対象とする審級について、証拠は本来第一審で全て提出することが望ましいため、特許権に係る侵害訴訟の専属管轄を有する東京地裁、大阪地裁及び知財高裁において本制度を利用できるとすることが適当である。 当事者による第三者への意見提出の働きかけについて、本制度が当事者による証拠収集手続であるため、働きかけを禁止する必要はない。 第三者が提出できる意見書数の制限について、特定の意見の数の有意性を示すことは基本的に困難であるため、提出できる意見書数を制限する必要はない。 特許権と同様に技術的思想に係る権利である実用新案権についても、同様の課題、制度の必要性が存在し得るため、実用新案法においても本制度を導入することが適当である。
今後は、裁判の動向を見守りつつ、その上で更なる法改正が必要であるといった具体的なニーズが高まった時期に、改めて制度の法的根拠や要件などを含め、検討することとするのが適当である。
訂正審判の請求及び特許無効審判又は特許異議の申立ての手続の中で行う訂正の請求における通常実施権者(許諾に基づく通常実施権者、職務発明に基づく通常実施権者及びいわゆる独占的通常実施権者を含む。以下同じ。)の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。 また、特許権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。 専用実施権の放棄、仮専用実施権の放棄及び実用新案登録に基づく特許出願における通常実施権者の承諾(仮専用実施権の放棄については仮通常実施権者の承諾)の要否については、特許法上通常実施権者の承諾を不要として契約により対応するという意見、通常実施権者の承諾を不要とした上で通常実施権を対抗できるように手当するという意見及び引き続き通常実施権者の承諾を必要とするという意見があり、引き続き、ユーザーニーズ等を踏まえて、改正の必要性を検討することが適当である。 (イ)実用新案法及び意匠法の改正の方向性 実用新案法上、訂正及び実用新案権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。 また、意匠法上、意匠権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
このため、今後引き続き、調査研究を通じた実態調査等を通じ、検討を継続していくことが適当である。
ェブ会議システムやテレビ会議システムといった映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる手段)を用いて、当事者、参加人及び代理人が物理的に審判廷に出頭することなく口頭審理の期日における手続に関与することを可能にすることが適当である。 また、ウェブ会議システム等を用いた口頭審理を開催するかどうかの判断については、当事者の希望や原本確認の必要性等の個別の事情を踏まえて柔軟に選択できるような運用とすることが適当であり、また、運用の内容についてはガイドライン等としてまとめてユーザーに周知していく必要がある。 インターネットを通じた公開(傍聴)については、それを積極的に認める意見と導入に慎重な意見の双方からの意見が出されたことを踏まえ、引き続きユーザーの意見等を聴取して慎重に検討することが適当である。
また、実用新案法、意匠法、商標法に規定する割増登録料についても同様の趣旨から、併せて措置することが適当である。
おわりに 法目的に鑑みて、新たなビジネス環境に即した特許制度の見直しを図っていく必要があることは言うまでもない。さらに、イノベーション戦略を支援するという視点から、ユーザーにとって利便性の高い特許制度を構築していくことも、特許庁に与えられた役割である。取り巻く環境やユーザーの意見を踏まえ、各国における動向等も参考にしながら、引き続き特許制度の在り方について検討していくことが望ましいものと結論付け、本小委員会において提言する。 2020年9月8日 & 9月9日に行われたPatentSight Summit Japan ONLINE『経営に戦略的に活かす知財情報』の講演の一部を、本ブログ9月にご紹介しました(9月11日ソニー、9月14日デンソー、9月15日本⽥技研工業、9月16日昭和電工、9月17日住友化学、9月18日旭化成)。
ちゃんとした報告がアップされていましたので、ご参考まで。 知財部門における情報分析活動と、新しい価値の創出 ソニー株式会社 https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-sony AIと特許価値情報を活用した知財ポートフォリオの管理 本田技研工業株式会社 https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-honda 昭和電工による“知財DX”の実践──「AI活用による特許情報の効率的収集」と「IPランドスケープ」 https://bizzine.jp/article/detail/4971 昭和電工のIPランドスケープ活動 昭和電工株式会社 https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-showadenko 住友化学による、IPランドスケープを活用した経営戦略──事業・R&D戦略立案に資する情報解析とは? https://bizzine.jp/article/detail/4970 旭化成が挑戦する経営戦略としてのIPランドスケープ──先進企業と語った人材の「要件」と「評価・育成」 https://bizzine.jp/article/detail/5025 IPランドスケープを支える知財アナリストの育成 旭化成様、昭和電工様、住友化学様の鼎談 https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-ipl-talent 特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しましたが、12月21日に、基調講演2として、小川紘一氏(東京大学 未来ビジョン研究センター シニア・リサーチャー)の話がありました。 「オープン&クローズの戦略思想を必要とする経済が広がる=データ利活用と仮想化の2020年代に新規事業創造の知財戦略をどう方向付けるか=」というテーマです。 2020年代のサイバー空間がコストゼロの新たなデジタル経済を造り出すというまだ見ぬ世界に、コストゼロの経済パワーを取り込む知財戦略を、我々一人一人が自らの手で創り出すこと、新しい知財マネジメントと新しいビジネスモデルを統合するDXが必要とのことでした。 オープン&クローズの知財思想を必要とする時代の到来 =IoT/データ利活用時代の知財マネジメントをどう方向付けるか= https://www.inpit.go.jp/content/100868662.pdf IoT時代のイノベーション戦略 http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/shintaku/lecture/s2/lecture/6_open_and_close_strategy.pdf IoT 時代に向けた我が国イノベーションモデルの再構築に向けて(1)イノベーションモデルの再構築が必要となった背景と新たな方向性 https://pari.ifi.u-tokyo.ac.jp/unit/iam/outcomes/pdf/papers_180228.pdf 100年に1度の経済革命 データを活かす現場力が価値創造のカギ https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00568349 オープンイノベーション白書第三版 https://www.joic.jp/joic_members/_/paper/2016/web_%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%99%BD%E6%9B%B8%E7%AC%AC%E4%B8%89%E7%89%88_%E5%85%A8%E6%96%87.pdf IoTがバリューチェーンにもたらす影響と革新的ビジネスモデルの調査研究報告書 https://www.bpfj.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/%E3%80%8CIoT%E3%81%8C%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%82%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%99%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%A8%E9%9D%A9%E6%96%B0%E7%9A%84%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%80%8D%E5%85%A8%E6%96%87.pdf 以下メモ。
オープン・アーキテクチャーのエコ空間システム 市場が10倍以上へ急成長する 日本でも、伝統的な大規模企業が市場撤退1990年代 1980-90年代にIBMが経営危機、 モノ単体の経済から分業と繋がりの経済へ コンポーネント側の知財権を武器にしたビジネスモデル オープン&クローズ戦略の登場 つながる仕組み造りを先導した企業が市場を席捲 アップルのオープン&クローズ戦略 欧州企業の携帯電話のオープン・アーキテクチャー MSポリマーのオープン&クローズ戦略 コンポーネント試思考イノベーション と アーキテクチャー思考イノベーション 一物一特許(群)の知財権で保護 と コンポーネントの知財権で保護 3.2020年代のサイバー空間が、コストゼロの新たなデジタル経済を造り出す サイバー空間に生まれる経済パワー 距離と時間がどこでもゼロ 限界費用(追加費用)ゼロ 仮想化がと黒田素パワー データと人工知能 どこでもコストゼロのプラットフォーム AFV:サイバーイノベーション 日本 Society5.0 ドイツ インダストリー4.0 2020年代は産業データが主役の仮想化経済が進展 日本企業の勝ちパターンは 強い領域はさらに強化し苦手な領域はパートナーと協業 着眼大局、着手小局 モノ/アセットの仮想化を先導すれば勝てる 4.コストゼロの経済パワーを取り込む知財戦略とCPSのビジネスモデル 我々一人一人が自らの手で未来を創り出すこと 新しい知財マネジメントと新しいビジネスモデルを統合するDXが必要 特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しましたが、12月21日に、久保 英明氏 (花王株式会社 研究開発部門副統括 執行役員)の「新事業の創造に向けて 花王の共創イノベーションと知財戦略の事例」の話がありました。
花王は、既存事業では原料調達・R&D・生産・販売までバーティカル・インテグレーション(垂直統合)により自前主義で大きくなってきた会社です。その高度化を図るとともに、近年ではホリゾンタル・コラボレーション(共創)により、大きな社会課題解決に向けた取り組みを進めています。花王が仲間と一緒に歩んでいるオープンイノベーションの中から、ヘアカラーの事例が紹介されました。“インバウンド・ アウトバウンド型オープンイノベーション ”として他社との協働による新市場の創造の事例です。 小川紘一氏(東京大学 未来ビジョン研究センター シニア・リサーチャー)も、林力一氏(PwCコンサルティング合同会社 マネージャー)も、遠山敬彦氏(特許庁 総務部 企画調査課 特許戦略企画調整官)も、絶賛でした。 今回の資料が公開されるかどうかは不明ですが、本事例について、花王の次期社長である長谷部佳宏氏(花王株式会社 代表取締役 専務執行役員 研究開発部門 統括)が今年の1月28日に「グローバル知財戦略フォーラム2020」で行った特別講演「ESG経営を加速する共創イノベーションと知財戦略 既存のヘアカラーリング製品を超えた、新たなカラーリング文化創造への挑戦」の講演資料が下記で公開されています。 https://www.inpit.go.jp/content/100869490.pdf 以下 メモ。 技術インバウンドとしては、染料メーカーと協働し、新たなヘアカラー技術を創造。 技術アウトハウンドとしては、ヘアカラーメーカーに技術を開放し、新たなヘアカラー市場を創造。 酸化型ヘアカラーで悩める人(アレルギー)を救いたい、従来染料では不可能な鮮やかな髪色を実現したい、そのためには、他社と共創し、課題の早期解決を図り、魅力的な製品を他社と共同して世界の皆様へ提供。社会課題解決による新市場を創造したい。 対象をリアルに再現する、写真用染料に着目 富士フイルムからの技術インバウンドによるRainbow染料の開発 互いの強みを活かして技術共創(染毛組成物・染料) ヘアカラー市場成長に向けた戦略 花王は、製品を売るとともに、競合他社に染料・カラー薬剤を売る 知財権を活用したOpen-Close戦略① 知財権許諾 最先端レインボー技術を上市/従来技術は技術開放により市場拡大を加速 知財権を活用したOpen-Close戦略② エリア・カテゴリー マス製品は、日本では非許諾、欧州・米国では各社ごとにエリア・許諾特許を選択 サロン製品は、日本では各社ごとにエリア・許諾特許を選択、欧米では非許諾 「Hitachi Intellectual Assets Forum知的資産の活用で、未来につながるイノベーションを」(2020年12月1日(火)10:00~2021年3月15日(月)23:59まで無料開放中)
https://hitachi-intellectual-assets.jp/ のなかで、「“IP for society” ~デジタル新時代の知財戦略」と題した株式会社日立製作所 理事 知的財産本部 戸田 裕二氏の講演を視聴しました。日立の知財活動の変遷、特許権行使の光と影、オープン・クローズ戦略の再デザイン、パーパスドリブンな知財戦略などについてご紹介されています。 コンパクトにまとまっており、非常にわかりやすく話されています。 以下メモ 日立の紹介 日立の純利益の推移 事業構造改革 成長へ向けた継続的事業ポートフォリオ見直し(社会イノベーション事業 Lumada(160か国に商標登録) 社会イノベーション事業を通じて成長 社会価値環境価値創造 社会イノベーション事業でCOVID-19による課題も解決 日立の知財活動の変遷 IP Value Pyramid 日立の知財活動ヒストリー 創業期の知財活動 Level 1:技術のキャッチアップ Level 2&3:量から質へ 2つの訴訟 知財戦略見直しの契機(ストレージ訴訟;70人の体制で戦った) Level 4:事業構造変革に伴う知財戦略の再構築 社会イノベーション事業のための知財戦略 振返り 振返り “IP for society” ~デジタル新時代の知財戦略~ デジタル新時代の知財課題 標準必須特許(SEP)問題 自動車メーカーが危機感を持っている 競争と協創(協調)、オープン・クローズ戦略の変化 DX/デジタルソリューションにおける知財の重要性 デジタル新時代の知財活動 ソリューション発明の強化① ソリューション発明の強化② 社会課題解決(SDGs)に向けた知財活動 Level 5:パーパスドリブンな知財戦略 IP for societyの具体的な活動 WIPO Green DBへの まとめ 特許権行使の光と影 オープン・クローズ戦略の再デザイン パーパスドリブンな知財戦略 エコプロOnline 2020ほか、SDGs Week Online の展示会で、主催者セミナーのうちのひとつ「ジャパンモデルで挑む海洋プラスチックごみ対策 ~企業アライアンスが生み出す新たなイノベーション~」を視聴しました。
日本製紙、ライオン、花王が登壇しましたが、中でも、競合しているライオンと花王が協働してリサイクル実証実験を開始した取り組みについて、かなり詳細に話がされ、興味深く聞きました。 12月25日(金)までアーカイブ公開中です。 https://sdgs.nikkeineon.jp/talks 実際にやろうとして、どんな困難があったか? ライオン 花王からライオンに持ち掛けがあった。びっくりした。期待感はあった。花王から本音を聞いた。花王から、ぜひ一緒にやりたい。自社だけでなく、業界あげて協力したい、と話があり、やろうということになった。 花王 課題も多いしむずかしい。企業文化も、技術の領域も違う、本当にやっていけるか、違うからこそシナジーがでるかもしれない。 流通、包装業界などの反応は? ライオン できるの?無理だよね。でも比較的協力的。ビジョンが共有できればやれる。 花王 本気度が周囲に伝わった。流通、包装業界も加わってくれた。 消費者啓発はどうしていくのか? ライオン イトーヨーカ堂の協力で、回収実験をしている。洗って持ってきてください、と言っている。洗い方、継続できるか、など課題。 イトーヨーカ堂からのアドバイス ライオン 他の回収と一緒に並べてみよう。 「ジャパンモデルで挑む海洋プラスチックごみ対策 ~企業アライアンスが生み出す新たなイノベーション~」 11/25(水) 13:30 〜 15:20 登壇者 柳田 康一 氏 クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス事務局 技術統括 野田 貴治 氏 日本製紙 パッケージング・コミュニケーションセンター 技術調査役 長谷川 貴通 氏 ライオン 生産技術研究本部 管理部長 南部 博美 氏 花王 リサイクル科学研究センター センター長 兼 マテリアルサイエンス研究所 副所長 花王・ライオンが協働してリサイクル実証実験を開始 イトーヨーカドー曳舟店にて使用済みつめかえパックの店頭回収をスタート https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2020/3308 ライオン小和田氏、シンポジウムで水平リサイクルへの決意語る https://www.syogyo.jp/news/2020/11/post_029304 花王とライオン、競合関係を超えてプラを共同で回収 https://www.alterna.co.jp/32951/ 花王・ライオン 異例の連携 容器リサイクルで技術開発 中国廃プラ規制契機に https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63712390Q0A910C2TJ2000 プラスチック包装容器資源循環の推進に向けて花王とライオンがリサイクリエーション活動の協働を開始~フィルム容器リサイクルの社会実装をめざして~ https://www.kao.com/jp/corporate/news/sustainability/2020/20200910-002/ 新事業創出に向けての旭化成におけるIPランドスケープの取組みの話がありました。旭化成におけるIPランドスケープは、「(既存)事業を優位に導くために」から始まり、「新事業創出のために」と「事業判断のために」については、その事例が語られることはほとんどありませんでした。
今回、特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催している、DAY 2 : 2020年12月15日(火)に、旭化成の研究・開発本部知的財産部長シニアフェロー 中村 栄氏が登壇しましたので、視聴しました。 IPL de Connect 2020開催の部分までの公開で、それ以降の成果は、今後の楽しみのようです。 残念ですが、今回の動画はアーカイブ発信されないようです。 以下、メモです。 COVID-19対応における貢献 知的財産部の体制 知的財産部のミッション ‘'Sustainable IP Goals (SIPGs) " 新事業創出に向けての取り組み 中期経営計画"Cs+ for Tomorrow 2021"での新事業創出の考え方 「多様なコア技術」×「マーケティング機能」×「Connect」 旭化成におけるIPランドスケープの目的 「(既存)事業を優位に導くために」 「新事業創出のために」 「事業判断のために」 PL de Connect コンセプト IPL de Connect 2020開催 旭化成全領域から約220名参加 目的:未来洞察 個人レベルでワクワクする 2030年の未来を描き、 そこから旭化成のビジネスのありたい姿を想像する 特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しており、DAY 2 : 2020年12月15日(火)「オープンイノベーションをデザインする」講演者:竹林 一氏 (オムロン株式会社 イノベーション推進本部 インキュベーションセンタ長)の話(本ブログの12月19日参照)に続き、令和2年度産業財産権制度問題調査研究「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」と題するPwCコンサルティングTechnology LaboratorySolution/ IP・チームマネージャー、東京知財経営コンサルティング代表弁理士 林 力一氏の話を視聴しました。
1社でビジネスが実現できていた時代から、技術開発・事業開発の効率化のために系列外企業との提携を前提とするエコシステムによるビジネス展開が主流となりつつあり、必要な知財機能が変化していること、知財戦略においても、従来の「競争力強化・維持」のための知財戦略(転結の知財戦略)に「提携先との関係性構築・促進」のための知財戦略(起承の知財戦略)を組み合わせることが求められていることがわかりやすく説明されています。 アーカイブ動画がありませんが、下記に、同様の趣旨の説明がありますので、ご参考まで。 (第5回)知財実務オンライン:「経営で重み増す「共創・協創」の知財戦略 〜オープン&クローズ戦略による事業創出〜」(ゲスト:東京知財経営コンサルティング代表弁理士 林 力一氏) https://www.youtube.com/watch?v=r8NYpio8PKg&t=7s 重み増す「共創」の知財戦略 林力一氏 日経新聞、私見卓見2020年5月12日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58937360R10C20A5SHE000?s=5&fbclid=IwAR2WJZK3CweMFtmTqYsBPcHYrFo5fBUJK_lT8uUzhDeYjP_VaT7knaFHhZg 日本におけるオープンイノベーションの動向と知的財産戦略 https://www.iam-media.com/ribenniokeruofuninoheshiyonnodongxiangtozhidecaichanzhane?fbclid=IwAR2JrT1LrWv4MstBJGuTDE1oRLdjwXVqu9EGa7Bls1OS5vxcJAzGWYj3BKI 以下、メモ。 新しい知財戦略フレームワーク:共創の知財戦略例(IBMの事例) IBMは、軸を切り替えてアーキテクチャー思考で既存事業の太陽電池を用いたソリューションヘ転換。事前に基本IP(太陽電池の製造方法)を垂直統合型提携で開発し、そのうえで、系列外の事業効率高い製造メーカーに基本IPを使用させて太陽電池を製造させている。 知財新機能の再定義:技術開発・事業開発の効率化 共創の知財戦略を適切に構築·実行することで、技術開発を効率化できるのみならず、事業(製造・販売・データ連携)を効率化することができる。 ひいては、バリューチェーン全体として創出する価値を拡大することができる。 (参考)事例紹介~IBMの共創の知財戦略への舵きりのきっかけ~ IBMは、経営危機に直面したときにソリューションビジネスヘの変遷(軸を切り替える)と同時に提携先の事業を支援する知財を持続的に開発する共創の知財戦略へ舵を切った(特効薬の処方箋) 知財機能の再定義:「競争」型に加えて新たな「共創」型の知財戦略 前述の背景の中、知財戦略においても、従来の「競争力強化・維持」のための知財戦略(転結の知財戦略)に「提携先との関係性構築・促進」のための知財戦略(起承の知財戦略)を組み合わせることが求められている。 事例紹介 インテルが展開するソリューションビジネスモデル コア収益源であるCPUを守る一方、マザーボードなどCPU動作基盤、周辺機器等の仕様をオープン化し 台湾等の新興メーカーとのアライアンスを通じて販売増、買い替え需要を喚起している 本年度の調査ポイント:知財機能の再定義と機能の実現方法 ヒアリングでは、「起承」フェーズでの共創の知財戦略の仮説に基づき、 各項目における取組や、それを実現するための土台(ビジョン・組織・人材)について聴取 (参考)共創の経営戦略で求められる知財機能 1社でビジネスが実現できていた時代から、技術開発・事業開発の効率化のために系列外企業との提携を前提とするエコシステムによるビジネス展開が主流となりつつあり、必要な知財機能が変化 (第28回)知財実務オンライン:「オープンイノベーションの現状/政策的意義と技術法務の考え方」(ゲスト:内田・鮫島法律事務所 代表パートナー 弁護士・弁理士 鮫島 正洋)を視聴しました。(アーカイブ視聴できます。)
https://www.youtube.com/watch?v=Ja0GBqdkOAg オープンイノベーション、技術法務に関して著名な弁護士である鮫島先生の話がコンパクトに聞けるだけでなく、下町ロケットの凄腕弁護士の神谷修一弁護士(モデルは鮫島弁護士)と鮫島先生との違い、クライアントをいかに満足させるかのテクニック、など、普段聞けない鮫島先生のいろいろな話がありました。「企業の競争力の源泉をつくるのが知財の仕事」という締めの言葉が印象に残りました。 以下メモです。 第一部 オープンイノベーション論、その現状と政策的意義 「イノペーションの起こし方」 イノベーションなき者は市場から退場せよ 「イノベーションとイノベーションネタ」
なぜ今、オープンイノベーションか? 大企業には、イノベーションネタを生み出す風土に欠ける 中小・ベンチャー企業/大学にはイノベーションネタを生み出せるが、グローバル展開する能力に欠く オープンイノベーションネタの創出主体と事業化主体を繋ぐ 大企業の意識風土改革(アントレプレナーシップの回復) オープンイノベーション交渉の問題点 公正取引委員会ガイドライン モラルハザード事例 モデル契約書 第二部 技術法務概論 技術を収益化するための要件 技術を収益化=①ものづくり(物売り) /②ライセンス のいずれか 知財(特許)の役割】 特許データで課題を解決、技術法務×オープンイノベーション https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00434/111300025/ 特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しています。
DAY 2 : 2020年12月15日(火)「オープンイノベーションをデザインする」 講演者:竹林 一氏 (オムロン株式会社 イノベーション推進本部 インキュベーションセンタ長)の話を視聴しました。 企業における人材の4つの役割(起承転結)と、イノベーションにおいて「軸」を創る「承」人材の重要性のところ、やっぱりすごいですね。 「起」人材:0から1を創る。極めて個性的で、大企業組織にはなじめない場合も多い 「承」人材:前工程で作られた1(もしくは0.N)をもとに、軸を作り、グランドデザインを描く 「転」人材:MECE分析など行い、事業計画を作成し、KPIを設定する。リスクを分析する 「結」人材:実行フェーズをにない、QCD(品質・コスト・デリバリー)に責任を持つ - 大企業では「転」「結」人材が中心だが、「承」人材もいると良い - ベンチャーとの連携においては、ベンチャー側にも「承」人材の存在が望ましい - 両方の「承」人材の持つ「軸」が、互いに補完し合うことがベスト 今回の動画は、アーカイブ発信されないようなので、下記ご参考まで。 オムロン㈱ 竹林インキュベーションセンタ長講演 イノベーションは結果に過ぎない新規事業をつくりだす「起承転結」の組織づくり https://logmi.jp/business/articles/32336 【実践家に真髄を学ぶ】対談動画:オムロン竹林一氏(しーさん)第3部 起承転結人材 http://www.balancedgrowth.co.jp/column/takebayashi03.php 以下、メモです。 あなたの会社のイノベーションって何? イノベーションってなんですか? オープン・イノベーションって何ですか? 持続的イノベーションと破壊的イノベーション どのレイヤーでどんな共創/協創をしますか DXってなんですか? DXをデザインする 新たな軸を定め世界観をデザインする 新しい軸を定め世界観を創る時代へ 顧客満足度 {CS) から考える新しい価値 駅におけるソーシャルニーズの創造 新しい軸を定め世界観をデザインする(鉄道への入りロ→街への入りロ) 改札機と人とのコミュニケーションが始まる 自動改札機が子供の安心•安全を守る 顧客との協創をデザインする 新しい軸を定め世界観をデザインする(新たな事業の軸:‘‘駅は街への入り口”) イノベーションの軸をデザインする 新たな軸を定め世界観をデザインする(業界/企業を越えてセンシングデータが自由に活用される仕組み 知財センターから発信されたピジネス) データ活用の未来像(社会的課題:社会課題が複雑になり企業/業界を越えた連携が必用) 共創で新市場を創り、 その中で競争する 実現に向けた検討の加速 データ収集・連携・流通でビジネス展開 センシングデータ流通市場で目指すもの タイミングを読み軸を定める 世界観をデザインする 浮上のタイミングを読む 新たな価値を創造する人材と仕組み 新しい価値を生み出す人材(価値を創造するにはバラエティに富んだ人材が必要) 起承転結 価値創造には支援者とプロデューサーが必要 起承転結と2つの開発体制 共創/協創の要は「承」 「起承転結」エコシステムを考える(事業が生まれ・育つ「起承転結」が連携する仕組みを創る) 0社のイノベーションプラットフォーム 筋の良い新事業のネタをいかに大羅に取り込むか X社のイノベーションプラットフォーム Z社のイノベーションプラットフォーム 起承型知財&転結型知財 年中夢求 イノペーションの原点は“人” イノベーションを加速させる忍者と武士 第1部基調講演1(内容は3日程共通)は、2019年、2020年に発行された「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」・「経営における知的財産戦略事例集」の解説で、講演者:加藤 浩一郎氏 (金沢工業大学虎ノ門大学院 イノベーションマネジメント研究科 専攻主任・教授)、篠崎 亮 (PwCコンサルティング合同会社 マネージャー)でした。 大部の報告書をコンパクトにわかりやすく紹介されていました。 ご覧になっておられない方は、12月21日に視聴可能なようですので、視聴をお勧めします。 https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/open-innovation201124.html 第2部(15:15~17:15)は、3日程異なる登壇者の講演で、 DAY 1 : 2020年12月11日(金) 講演テーマ:「オープンイノベーションとビジネスエコシステム(仮)」 講演者:立本 博文氏 (筑波大学ビジネスサイエンス系 教授) DAY 2 : 2020年12月15日(火) 講演テーマ:「オープンイノベーションをデザインする(仮)」 講演者:竹林 一氏 (オムロン株式会社 イノベーション推進本部 インキュベーションセンタ長) DAY 3 : 2020年12月21日(月) 講演テーマ:「オープン&クローズの知財思想を必要とする時代の到来(仮)」 講演者:小川 紘一氏 (東京大学 未来ビジョン研究センター シニア・リサーチャー) 「【 LEADERS Online 】社会や産業を変える人工知能の未来」登壇者:松尾 豊 氏(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター・技術経営戦略学専攻 教授)を視聴しました。人工知能の最新動向、特にディープラーニングについて、意義や研究の進展、事例についてわかりやすい話で、人工知能の変化が今後、どのように社会や産業を大きく変えることがわかりました。従来は、少数のパラメータで記述できる系のみを科学技術として体系化してきた。AIが多数パラメータの科学を発展させ新しい認識論を形成するようです。
現状使用している自然言語処理は、·そもそも文の意味を理解していない(大きなりんごの木があります。 ・ りんごとは何か、 木とは何かが分かっていない。・ 表層的に、 りんごと果物がよく出てくるとか、りんごとみかんが関連しているとかは分 かっている。)にも関わらず、 大量のデータ、大容量の深層学習のモデルを使えば、人闇並みの精度まで上ってしまうのであり、本当に意味が理解できる正しい仕組みで言語処理を行えば、 完全に人間の精度を超えるはずということのようです。 とうことは、特許の世界でも、特許明細書等だけでなく、審査基準や審査プロセス(拒絶理由通知、意見書、補正書、特許査定、拒絶査定など)、審判プロセス(審判請求書、拒絶理由通知、意見書、補正書、審決など)、訴訟プロセス(訴状、弁論準備書面、判決など)などの書類をしっかり本当に意味が理解できる正しい仕組みで言語処理を行わせ、図面情報も紐付けできるようになると、完全に人間(審査官)の精度を超えるはずということでしょうか。 配信期間が2020年12月14日(月) 8:00~2020年12月16日(水)23:59 視聴可能だったため、現在は視聴できないようですが、松尾 豊氏の別の講演「【グローバル・インテリジェンス・シリーズ】相対化する知性-人工知能が世界の見方をどう変えるのか(配付資料・動画配信)」は、下記で視聴可能です。 https://www.rieti.go.jp/jp/events/20121001/handout.html AIといってもさまざまな意味:IT・データ・ディープラーニング 現在大きな変化が起きているのは、 ディープラーニング(深層学習) 深層学習は新型コロナウイルス対策にも活用されている ITに対して、長期的な投資・重要度の認識不足が存在 AIを積極導入している企業の国別比較においても、 日本は劣後 IT重要度の認識が不足 IT人材がベンダーに偏在している ユーザ企業の知識を深めるため、 日本ディープラーニング協会でも、オンラインの学習コンテンツを無料公開 ディープラーニング活用事例(7例) DLのいろいろな実装 どこに向かうのか? DLを使った一部業務の自動化が進む。 業務プロセス全体でのデジタル化・効率化が進む。 業界全体のサプライチェーン、 バリューチェーンがDXにより統合·効率化されていく 業界全体の変化のクロックスピードが上がり、 市場の変化や顧客ごとの個別化に 対応できるようになる。ー 変化に速く対応する力=強さ 特にフラグメント化された産業、 リアルな現場をもつ産業、 ローカル性の強い産業 で巨大な変化が生まれる。 デジタル技術の進展により、 データによる価値創造サイクルが加速 実際、 業種によるが製品ライフサイクルはどんどん短くなっている 企業が一つのサービスで競争優位性を保てる期間も短くなっている GPT-3 Deep Learningの登場 AI > Mechine Learning > Deep Learning GPT-3 {2020/7からベータリリース} GPT-3の進展 多くのタスクがGPT-3によって可能になる可能性 ー法務、人事、調達、交渉、調整、... こうした変化が英語圏(および中国語圏)が先導して起こり、 日本語圏での活用が大きく遅れる懸念 ーデータ量(数超words) 巨大なモデル(1750億パラメータ) 、 計算量(1 回まわすのに巨額の費用) 富岳などの活用の可能性 ーただし、 計算あたりの単価でいうと、 GPUを使ったもののほうがかなり効率的 今後も要注目 深層学習の成功 いずれも非常に多数のパラメータをもったモデルを用いる 人間を超えるパフォーマンスを出すことも 高次元科学、 丸山宏先生(PFN) 科学の原理:「少ないパラメタで多くの現象を説明する」 実問題の多くは、多パラメタ空間:例: ExRNA に基づくがん診断 汎用計算機構としての深層学習 桁違いに多いパラメタ 深層学習による科学の変化:高次元科学 なぜ現実世界を「理解」できる(ことがある)のか 人間が理解できるのは少数バラメー タで記述できる系のみ ゆがむ、すべる、 壊れる。非線形・非平衡. 「熟練の技」と言われてきた。 それがモデル化できるようになってきた。 現実世界には、人間が理解できないけれど、モデル化できる、予測できることが相当たくさんあるようである。 深層学習による画像認謙 深層強化学習による物体把持 アルファ碁 深層学習による翻訳 いずれも数千万~散億のパラメークを使ってモデル化 むしろ、少数のパラメータで記述できる系のみを科学技術として体系化してきたのではないか. 新しい科学技術論・認識論へ ・多数パラメータの科学、 我々が「理解する」ということの可能性と限界 ・一般設計学、 人工物工学 ・現代社会の問題とAlの活用が意味するもの ・結局、 我々の知性がAlによって相対化している。 東京大学松尾研によるAl教育 松尾研周辺からのスタートアップ 増加する起業 日本ディープラーニング協会 JDLAの資格試験 高専生の可能性 地方からの起業促進 今後は、 すべての産業で、 サプライチェーン・バリューチェーンのDX化が進んでいきます。 日本が強い領域で、 大企業とスタートアップが連携し、 グローバルな競争力へつなげていければ。 特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しています。
第一部基調講演1(内容は3日程共通)は、2019年、2020年に発行された「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」・「経営における知的財産戦略事例集」の解説で、講演者:加藤 浩一郎氏 (金沢工業大学虎ノ門大学院 イノベーションマネジメント研究科 専攻主任・教授)、篠崎 亮 (PwCコンサルティング合同会社 マネージャー)でした。 大部の報告書をコンパクトにわかりやすく紹介されていました。 ご覧になっておられない方は、12月21日に視聴可能なようですので、視聴をお勧めします。 https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/open-innovation201124.html 昨今、企業を取り巻く環境は刻々と変化しており、成熟事業の深掘りと新分野の開拓を同時に進める「両利きの経営」や、新たな事業の軸を定めて世界観を描き、価値を創出することが求められるようになってきています。このような中で、既存事業の強化のみならず新規事業の創出にも寄与する知財戦略や組織の在り方についての情報発信を目的として、本ウェビナーを実施いたします。 【開催日程・時間】 DAY 1 : 2020年12月11日(金) DAY 2 : 2020年12月15日(火) DAY 3 : 2020年12月21日(月) 本ウェビナーは2部構成で実施します。(全日程共通) 第1部:14:00から15:00まで 第2部:15:15から17:15まで 【プログラム】 第1部 (14:00~15:00) 開会挨拶 基調講演1 特許庁より2020年6月に発行された「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」、および2019年6月に発行された「経営における知的財産戦略事例集」に記載の事例のうち、特にオープンイノベーションを活用した事業創造に関する事例を取り上げ、その内容を詳細に解説いただきます。 ※基調講演1の内容は3日程共通となります。 講演テーマ:「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」・「経営における知的財産戦略事例集」解説 講演者: 加藤 浩一郎氏 (金沢工業大学虎ノ門大学院 イノベーションマネジメント研究科 専攻主任・教授) 篠崎 亮 (PwCコンサルティング合同会社 マネージャー) 三菱電機は企業別の国際特許出願件数で2019年に世界2位、日本で1位を獲得するなど知的財産を重要な経営資源と位置付けていますが、今後は、海外拠点から出願する特許を増やすほか、今後5年間で100億円を投じる予定のスタートアップなどが特許を活用しやすい仕組みを整備して、スタートアップとの協業などを円滑に進めることで、新たなビジネスの創出につなげるようです。
海外での権利行使も積極的に行っているようで、注目です。 三菱電機、海外発の特許出願増やす 新興と交流促進 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67301630U0A211C2X20000 インタビュー/三菱電機常務執行役・日下部聡氏 知財グローバル化 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00579664?isReadConfirmed=true 眠っていた特許 日本の大手企業である三菱電機が、OPPO に権利行使? Newsletter NO.2010 2020.12.15 発行者:北京銀龍知識産権代理有限公司 銀龍専利東京事務所(東京ブランチ) 日本の三菱電機は、電機分野がメインであるが、通信の分野でも活躍している。10 月 26 日、27 日に、中国国家知識産権局の専利複審・無効審理部が、無効審判について 7 件の審決を出した。 ◇審判請求人:OPPO 広東移動通信有限公司(以下、OPPO という) ◇専利権者 :三菱電機株式会社(以下、三菱電機という)。 OPPO と三菱電機は、技術分野が関わりのない 2 つ会社であるという印象があるが、専利権者である三菱電機が訴訟などを提起しなければ、OPPO が三菱電機に対して無効審判を提起する理由がない。 中国の訴訟は、関係者が公表しない限り、侵害訴訟が提起されているかどうかがわからない。現在の情報によると、三菱電機は、数年前に OPPO に対して訴訟を提起したと判断しえます。 両当事者は、通信の分野で争っており、三菱電機の 7 件はファミリー特許であり、いずれも通信標準必須特許ではない。出願日は、2002 年 8 月 21 日であり、それはつまり、この 7 件の特許は 20 年の存続期間の残りが 2 年未満であるという意味である。 OPPO が三菱電機の上述の 7 件の特許に無効審判の請求をしたのは 2019 年 11 月 15 日である。つまり双方が交戦する期間は短いが、審理の結果、7 件の特許が全て有効に維持された。 OPPO の立場は明らかに受動的である。OPPO の相手が Qualcomm、Samsung、Nokia、LG、Ericsson、HUAWEIのような通信分野のリーダではなく、相手は、5G の基準必須特許の声明数が上位 32 位にも入っていない三菱電機であるということである。なお、OPPO は、その第 11 位にランクされている。 現在、OPPO は、SHARP と激しい特許紛争の最中です。複数の国と数十の特許が関係しているとのことです。現在、多くの国内の特許に無効審判の審決が下されています。無効化に成功した件も失敗した件もありますが、しかし、失敗がある限り、不利な局面に直面することになります。 中沢 康彦ら、三菱電機、アップルとの共通点 革新力増強へ知財を経営の中心に 日経ビジネス、2020年4月3日 https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00402/?ST=print 加藤恒, 変革の時代に向き合う知財戦略とは?, グローバル知財戦略フォーラム2020 https://www.inpit.go.jp/katsuyo/gippd/forumkokunai/forum_kokunai2020.pdf 三菱電機グループの知的財産活動 https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/chiteki/hoshin/index.html 三菱電機、産学連携のリアル 「日経TRENDY」2020年11月号 https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/chiteki/pdf/trend_2020_11.pdf 特許庁、経営における知的財産戦略事例集(P8に三菱電機が紹介) https://www.jpo.go.jp/support/example/keiei_senryaku_2019.html 特許庁、経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】(112頁~117頁に三菱電機が紹介) https://www.jpo.go.jp/support/example/chizai_senryaku_2020.html#jirei2019 加藤恒、知財活動の変遷と将来展望、三菱電機技報 https://www.giho.mitsubishielectric.co.jp/giho/pdf/2014/14092131.pdf 12月12日に開催された、東京医科歯科大学、medU-netが開催した「医療イノベーション人材養成プログラムの特別講演会「コロナ禍での特許オープン・クローズ戦略」でのキヤノン株式会社常務執行役員知的財産法務本部長の長澤健一氏の「COVID-19 と戦う知財宣言」と題した講演を視聴しました。
こと取組みは、医薬品業界からの参加が非常に少ないことなど特許をめぐる複雑な状況が鑑みられますが、画期的な取り組みのひとつでしょう。ちなみに、キヤノンのコア特許も本対象になるようです。 以下は、長澤氏の講演から。 コロナ蔓延で、社会貢献したいけど特許件数膨大で全ての特許は精査できないし・・・・、なんとか早期立ち上げしたいと考えたのが、団体を介さずカスタマイズ可能なやり方。 OCD(OPEN COVID-19 DECLARATION;知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言)を立ち上げた。 現状 宣言者数 101 対象特許数 927,897 https://www.gckyoto.com/about-2 知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言について 知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言(COVID-19と戦う知財宣言)について 新型コロナウイルス感染症の蔓延をくい止めるためには、業界の垣根を越えた、治療薬、ワクチン、医療機器、感染防止製品、ソフトウエア等の開発、製造、流通などを、産官学がグローバルに連携し、従来の常識や固定観念にとらわれないスピードで進める必要があります。もし特許権、意匠権、ソフトウエアプログラムの著作権その他の知的財産権が、これらの開発および製造の障害となるのであれば、権利者が保有する知的財産権の権利行使を行わない事を宣言することが、迅速かつ最善の開発および製造を可能とし、また倫理的にも必要であると考えます。 我々は、世界中の知的財産のオーナーに、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を唯一の目的とした行為に対しては、一切の対価や補償を求めることなく、保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利を一定期間行使しない宣言をするよう呼びかけます。 2020年4月3日 12月12日に開催された、東京医科歯科大学、medU-netが開催した「医療イノベーション人材養成プログラムの特別講演会「コロナ禍での特許オープン・クローズ戦略」では、竹中俊子氏「イントロダクション」、東京経済大学教授の長岡貞夫氏「創薬イノベーションにおける新型コロナウイルス危機の克服」に続き、パネルディスカッションでは、武田薬品工業の森誠司氏、キヤノンの長澤健一氏、山本特許法律事務所の馰谷剛志氏が登壇し、ワシントン大学・慶応大学教授の竹中俊子氏がモデレーターとして行われました。
以下は、「医薬品産業における取組と知財Issue」と題した武田薬品工業 森誠司氏の講演から。 新型コロナ感染症に対する武田薬品の主な取り組み CoVlg-19 アライアンス Novavax社との日本におけるワクチンに関する提携 Moderna社・厚労省との日本におけるワクチンに関する提携 新型コロナ感染症に対し、製薬各社は多種多様な提携によりチャレンジを克服しようとしている。 新型コロナ感染症に対応する当局主導、国際協調のパートナーシップ •CTAP(Coronavirus Treatment Acceleration Program) 米国FDA主導による治療薬開発のための官民パートナーシップ •ACTIV(Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines) NIH主導、研究開発を進めるための仕組みづくり、プロジェクトの優先順位付け FDA、NIH、ASPR、CDC、EMA、製薬企業、バイオテック企業が参加 •ACT (Access to COVID-19 Tools)Accelerator COVID-19に関する診断、予防、治療に関するイノベーションの加速と公平なアクセスを担う CEPI、GAVI、The Global Fund、UNITAID、IFPMAなどが参加 •COVAX(COVID-19 Vaccine Global Access Facility) CEPI, GAVI, WHOが主導するワクチンを共同購入する仕組み。高・中所得国が自ら資金を拠出し自国用にワクチンを購入する仕組みと、ドナー(国や団体等)からの拠出金により途上国へのワクチン供給を行う仕組みを組み合わせている。 製薬特許活用の特徴(他業界との比較) 自動車、IT業界などの特許 a)製品あたり数百から数千の特許 b) 1つの特許の影響は小さい c) 他社特許の存在が開発を妨げる可能性は低い d) 国際標準化の流れ 医薬品業界の特許(従来型) a) 製品あたり基本特許は原則一つ b) 1つの特許の影響は大きい(特許独占性が高い、高額実施料) c) 他社特許の存在により製品開発を断念するケースも多い 現在の製薬のビジネスモデル ◆長期の研究開発期間(10~20年) ◆多大なコスト(数100億円~1000億円以上/1製品) ◆承認取得の必要性⇒ビジネス機会の限定 低分子医薬のようなフルセット垂直統合型(自前主義)のビジネスモデルの維持が困難になっている。Open Innovation / External Innovationが重要に。 新型コロナに対応した知財関連の動き OVID-19と戦う知財宣言(日本)https://www.gckyoto.com/covid19 Open COVID Pledge (米国)https://opencovidpledge.org/ Medicines Patent Pool https://medicinespatentpool.org/ 2020年3月31日、MPPはCOVID-19への世界的な対応に貢献する可能性のあるすべての医療技術を含めるようにその対象を一時的に拡大 COVID-19 technology access pool (WHO) https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/global-research-on-novel-coronavirus-2019-ncov/covid-19-technology-access-pool WHO主導の新型コロナウイルス感染症へのワクチン、検査薬、治療薬を国際共有財とするためのイニシアチブ。新興国を中心に約40ヶ国が参加。ワクチン開発でリードする企業の本社がある米国や英国、スイス、日本が非加入。 TRIPS協定の一部の義務を免除するインド・南ア提案 https://docs.wto.org/dol2fe/Pages/SS/directdoc.aspx?filename=q:/IP/C/W669.pdf&Open=True 2020 年10月2日付でTRIPS理事会に対し、以下について理事会で決定することを提案。 コロナ対策関連の医療品(治療薬、ワクチン、診断キット、マスク、人工呼吸器等)への手頃な 価格でのタイムリーなアクセスを可能とすることが目的。 TRIPS 協定上の義務の一部(協定第 2 部の第 1 節(著作権及び関連する権利)、第 4 節(意匠)、 第 5 節(特許)、第 7 節(開示されていない情報の保護)の実施・適用、及びこれら に関する第 3 部のエンフォースメントに係る義務)の当面の免除。 当該義務免除の期間は、ワクチンが世界的に普及し、世界人口の大半が免疫を獲得するまで継続されるべであるとして、「義務免除が採択された日から起算して[X]年」としている。 製薬業界団体のポジション IFPMA statement on “Intellectual Property and COVID-19” 日本製薬工業協会「感染治療薬・ワクチンの創製に向けた製薬協提言 - 新型コロナウイルス感染症発生を契機として-」 パンデミックのような非常事態に際しては特許権も含めて既存の枠組みにとらわれない柔軟な対応が求められる場合もあると思われるが、そもそもCOVID-19の対応に特許権が障害となっている事例は認識されておらず、COVID-19のパンデミックによって医薬品のアクセスが妨げられるとすれば、それは特許の問題ではなく広くパンデミックによる流通等の様々な混乱に起因すると思われ、それらの問題が生じないよう製薬業界は全力で取り組んでいる。 COVID-19のパンデミックという緊急事態への対応として、・・・特許に対する強制実施権、・・・パテントプールの取り組みがなされている。・・・TRIPS協定に沿ってこれらの制度が実施されることはひとつの選択肢となり得る可能性はある。しかしながら、ワクチンや治療薬がこれらの制度のみで新たに生み出され、かつ、生産量を拡大し必要な人々に迅速に供給され、・・・緊急事態に十分に対応できるわけではない。これらの制度は求められているワクチンや治療薬の研究開発促進を妨げないよう実施されるべきである。 東京医科歯科大学、medU-netが例年開催している「医療イノベーション人材養成プログラム」は、2004年~2020年の総受講者数が609名になったそうです。今年はオンライン開催になっており、特別講演会「コロナ禍での特許オープン・クローズ戦略」も、12月12日にオンラインで開催されました。
ワシントン大学・慶応大学教授の竹中俊子氏の「イントロダクション」、東京経済大学教授の長岡貞夫氏「創薬イノベーションにおける新型コロナウイルス危機の克服」のあと、パネルディスカッションが行われ、武田薬品工業の森誠司氏、キヤノンの長澤健一氏、山本特許法律事務所の馰谷剛志氏が登壇し、竹中俊子氏をモデレーターとして行われました。 東京経済大学教授の長岡貞夫氏の講演「創薬イノベーションにおける新型コロナウイルス危機の克服」を非常に興味深く視聴しました。 コロナ禍で、ワクチン開発でmRNAやウイルスベクターなどの新しい創薬技術活用が飛躍的に進捗したこと、臨床試験ではバイオテクノロジー企業と、製造能力や治験で高い能力やノウハウをもった大手製薬企業とがうまく協業したこと、政府によるプル・インセンティブとプッシュ・インセンティブの両方が重要な役割を果たしたと考えられること。しかし、治療薬開発では、特許による様々な状況があり、複雑になっている事がわかりました。 ワクチン、治療薬とも、早期の実現を期待しています。 創薬イノベーションによる新型コロナウイルス危機の克服 ⻑岡貞男 東京経済大学経済学部教授、経済産業研究所プログラムディレクター https://www.rieti.go.jp/jp/events/20080401/pdf/nagaoka.pdf コロナ危機と医療・創薬(配付資料・動画配信) 日時:2020年8月4日 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI) https://www.rieti.go.jp/jp/events/20080401/handout.html 東京経済大学教授の長岡貞夫氏の講演メモ はじめに •新型コロナウイルスによる健康被害、経済被害を克服するための最も抜本的な解決策は創薬 •既に多くの創薬企業や大学などの研究機関が新型コロナウイルスの治療あるいは予防の研究開発に乗り出している •二つのリサーチ・クエスチョンを分析 -第一に、比較的短期間にワクチンと治療薬への創薬投資が大きく進展しているのは何故か。 -第二に、ワクチン開発や既存薬からのドラッグ・リパーパシングにおいて、専有可能性からの制約がどの程度重要であるか •市場に任せておいたのでは、ワクチン開発も既存薬のリパーパシングも、進まないのではないか。 •12月初頭で世界全体で、51 の候補ワクチンが、人を対象とした臨床開発の段階。さらに163の候補ワクチンが前臨床の段階。(WHO(2020,12月))。 •中でも、13のワクチンの大規模な第3相の臨床試験を実施中。一部は高い有効性・安全性が確認され、接種に移行しつつある。 -新しい創薬技術が活用されている(mRNA、ベクター、タンパク質、VLP) -mRNA、ベクターなど新技術によるワクチンでは 90%を超える有効率。 -2020年5月の段階で人を対象とした臨床試験に入っていたワクチン候補の多くが、第3相最終段階まで進んでいる。 治療薬の開発 •治療薬については、FDA(2020,12月) によると、10月末で、370の医薬品が人を対象とした臨床開発の対象 •人を対象とした臨床試験に入っているのは、既存薬(ないし候補薬)の活用(リポジショニングあるいはリパーパシング)がメイン ・新薬の開発も増加しているが、まだ初期段階 創薬の担い手 •ワクチンも治療薬も「バイオテクノロジー企業」が多い •こうした企業は、従来から新創薬技術の開発をしてきており、その成果を活用。エボラなどの感染症、癌などへのワクチンの可能性 •中国の企業が積極的に創薬に参加。臨床開発も国際的に推進。 ワクチンへの開発とインセンティブ •COVID-19のワクチンの場合は、政府調達となるため、研究開発投資のホールドアップ問題 医薬品が成功した段階(第3相臨床試験終了段階に)で価格交渉→政府調達である ため企業側の交渉力が弱く、ワクチンの価値を価格に十分反映できない→サンク費用となる研究開発投資を回収できない 加えて、 -専用生産設備への投資リスク -副作用による被害救済 -需要の不確実性 (1)パンデミックの収束(例 Ebola)。 (2)どの程度、広い接種を確保出来るのか(集団免疫は公共財)。 •事前買い取り約束と研究開発への支援 事前買い取り契約(プル・インセンティブ)はどのような場合に有効か •第3相の臨床試験のコスト(以下でC)が高い ワクチンの場合は、健常者に投与するので安全性へのスタンダードが高く、数万人規模の臨床試験 •創薬企業の事後的交渉力(以下でθ)の低さ (社会的な利益をどの程度価格に反映できるか) •政府にとっても、数量を確保することで計画的な接種ができ、また企業の事後的な独占力の発生による不効率(価格が供給費用を大幅に超えることによる死荷重)を抑止できるメリット プッシュ・インセンティブの役割 •プッシュ・インセンティブは、ワクチンの研究開発コストを直接補助。 •研究成果の波及効果(外部性)が大きく、専有可能性が低い、基礎的、あるいは基盤的な研究には、政府は従来から補助 •人を対象とした医薬品の臨床試験の場合には、補助対象となっていない場合が大半であるが、COVID-19の場合、 -プル・インセンティブで議論したように、上市からの収益性が不確実、 -創薬を加速することに大きな意義、さらに -新しいワクチン創薬技術が実証されることによる波及効果 COVID_19におけるプル・インセンティブとプッシュ・インセンティブの活用 •米国では、第3相の臨床試験の前に価格と購入量をコミット(プル・インセンティブ)。また、緊急事態対処法(PREP Act)で治療薬やワクチンの供給企業は訴訟リスクから免責されている •また、試験開発自体も直接支援(プッシュ・インセンティブ)。例、モデルナ社の臨床試験はNIHがスポンサー。 •日欧でも、事前買い取り契約について米国と同様の措置。 既存薬からのドラッグ・リパーパシング •既存薬では、物質特許が失効、後発薬が既に供給されている場合もある。このため、仮にCOVID-19の治療薬として上市をしても収益性は乏しく、臨床試験への投資回収が制約される。 -新型コロナ・ウイルスでの有効性を確認し、また最適な投与タイミングや用量の決定のためには、第3相の臨床試験が必要。自然治癒する確率も高く、検証には大規模な臨床試験が必要。 -新型コロナ・ウイルスが一過的なパンデミックで終われば、新薬を活用する機会は限られている。 -用途特許は獲得できるかどうか(できても行使ができるかどうか)。 -新効能についてのデータ保護期間(あるいは再審査期間)は比較的短く(日本の場合4年)、保護が限定されている国もある(米国ではバイオ医薬品にはデータ保護期間による保護はなく、それ以外の医薬品は2年である) 第3相の臨床試験は順調か •承認された医薬品は、日本ではレムデシビルとデキサメタゾン。米国ではレムデシビルのみ。検証には大規模で質の高い臨床試験が必要。 -レミデシビルでも有効性に疑問符(WHO(2020、11月)。 •既存薬のリパーパシングにおいて、既存薬の特許が有効でない場合にもオリジネーターが高いレベルで投資が可能なのか。 -レムデシビル 対 アビガンの臨床試験 -レムデシビルも臨床試験をNIHが支援。またデキサメタゾンは英国のRECOVERY(Randomised Evaluation of COVid-19 therapy)試験の成果。バリシチニブなどを緊急使用許可(FDA,2020) 他方で、ドラッグ・リパーパシングの機会自体は、特許切れで後発品がある場合の方が早期に見いだされる可能性 •既存薬からのドラッグ・リパーパシングの可能性の発見は、多くの場合、その医薬品を当初創製した企業(オリジネーター)ではなく、大学や公的研究機関。 •統計的検証によると、特許権、後発品の有無は、オリジネーターの参入より大学等の臨床研究への参加により影響。かつ、大学の参入の方がオリジネーターの参入より、第3相臨床開発まで進んでいるかどうかに影響が大。 機会の発見が重要。物質特許が失効し、後発薬が既に供給されている有効成分の場合には、大学等で臨床研究を行うことがより容易? まとめ •ワクチンについては、mRNAやウイルスベクターなど、新しい創薬技術が活用されたことが急速な進展にとって重要であった。バイオテクノロジー企業と大学がその担い手。 -これらの創薬技術では新しいウイルスの遺伝子情報が識別されれば、短期間でワクチンの設計ができる優位性、化学合成が可能。 •ワクチンの臨床試験では、製造能力や治験で高い能力やノウハウをもった大手製薬企業と連携。 •ワクチンでは、バイオテクノロジー企業を含め、多くの組織によるCOVID-19克服を向けた創薬への参入を支えたと考えられる。しかし、同時に、政府によるプル・インセンティブとプッシュ・インセンティブの両方が重要な役割を果たしたと考えられる。 •治療薬では、既存の医薬品(あるいは候補薬)からのドラッグ・リパーパシングが短期的には主力となっている。ドラッグ・リパーパシングには、機会の発見と専有可能性の両方が重要。 •ドラッグ・リパーパシングでも有効性を実証するには、COVID-19の場合、大規模で質の高い臨床試験が必要であり、専有可能性は重要。 •同時に機会の発見を促進するために、有効な特許権を保有するオリジネーターも、治験薬の提供等を含めたオープンアプローチが重要。 (第27回)知財実務オンライン:「知財戦略による企業経営・事業運営の革新と、 知財部門の組織改革・人財育成への取り組み」(ゲスト:ナブテスコ株式会社 技術本部 理事 菊地 修)を視聴しました。
https://www.youtube.com/watch?v=zmvg2SnNANc なお、「2020特許・情報フェア&コンファレンス」企業プレゼンテーションの株式会社レイテック【1220】のブースで、「 IPランドスケープによる企業経営・事業運営の革新手法 」というタイトルで、ナブテスコ株式会社の菊地修氏がIPランドスケープについて講演をされています。30分程にコンパクトにまとめられており、こちらも大変参考になります。 https://pifc2020.event-tank.com/pif/au/ また、2021年1月20日(水)11:00〜12:15の【H2Hセミナー】知財を企業価値に変える ~前任と新任者が語る、ナブテスコ知財経営戦略の伝承と深化~では、後任の井上博之氏とともに登壇される予定とのことです。 https://jp.ub-speeda.com/seminar/20210120/ |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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