第9回グローバル特許権行使戦略セミナー(2020年10月30日・31日)の一日目、第1部:パンデミック下における特許訴訟と証拠収集を聴講しました。
東京地裁民事第47部の田中孝一部総括判事から、査証について、個人的な意見だとしながらも、「立証のために画期的な制度であり、期待している。相応しい事件では、積極的にやっていきたい、柔軟に活用していきたい、と考えている。」と発言されていたのが印象的でした。 第1部: 2020年10月30日(金)9時~11時 テーマ: パンデミック下における特許訴訟と証拠収集 司会: ラーデマッハ クリストフ (早稲田大学准教授) 講師: ・Leonard Stark(デラウェア地区連邦地方裁判所首席判事) ・田中孝一(東京地方裁判所民事第47部部総括判事) ・Scott R. Boalick(米国特許商標庁特許公判審判部首席判事) ・末吉剛 (ユアサハラ法律特許事務所) ・Robert Parker (Rothwell Figg法律事務所メンバー) 第1部では、デラウェア地区連邦地方裁判所Stark首席判事と、東京地方裁判所の田中部総括判事により、特許訴訟で必要となる証拠の収集に際し日米の裁判所が近時直面している課題について議論がなされる。米国のディスカバリー手続の発展、難局そして好機についての議論に加えて、日本の特許訴訟で本年導入された査証制度についても議論がなされる。
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日本電産は、「自動車産業の「インテル」になる〈コロナはチャンス。2030年に売上10兆円を達成する〉」として、成長分野に位置づける車載事業で、電気自動車(EV)用駆動モーターを中心に攻勢を強めている。「ガソリン車と比較にならない価格でEVがつくれる時代が来る」「電気自動車(EV)用駆動モーターに最大1兆円規模を投資する」「EVモーターシェア45%へ」、「この事業は50年計画。売上高営業利益率3割を目指す」10月26日の決算説明会での永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)の説明です。決算説明会での話を聞いていると、この永守会長の自信は、大型投資のスピードが第一、そして第二に自社のモーター技術の優位性、からきているようです。
確かに2017年からの日本電産の特許出願の大幅増には目を見張るようなすごさを感じます。モーターの冷却技術等の優位性に加えモーター単品からモジュール化の事業拡大(川下市場に後発で参入)に伴い、これらを特許出願の大幅増で対応する考え方でしょうか。日本電産の知財活動は、多くのM&Aによる課題や係争増加を乗り越え、知財組織人員強化、発明部門知財体制構築、グループ会社の知財支援、パテントバッチ活動、グローバル化など、人脈を生かした特許庁との交流などもあり、飛躍的に強化されているようです。 永守重信(日本電産会長)/自動車産業の「インテル」になる〈コロナはチャンス。2030年に売上10兆円を達成する〉/井上久男(聞き手・構成)――文藝春秋特選記事【全文公開】 10/27(火) 6:00配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/3cc6de2daf175625174bb58ef24434e12dc070bb 増収増益の日本電産 欧州にEV向け新工場 売上高10兆円も視野 井上久男 | 経済ジャーナリスト 10/27(火) 12:15 https://news.yahoo.co.jp/byline/inouehisao/20201027-00204969/ 日本電産、1兆円投資支える2つの「カイゼン」 大阪経済部 岩戸寿 関西 京都 2020/10/30 2:00日本経済新聞 電子版 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65564660Y0A021C2000000/ 日本電産、EVモーターで描く「50年計画」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65482600W0A021C2000000/ 日本電産の永守会長「EVモーター、シェア45%へ」 記者会見タイムライン 2020年10月26日 16:20 (2020年10月26日 19:01 更新) [有料会員限定記事] https://r.nikkei.com/article/DGXMZO65436700V21C20A0000000?s=4 日本電産・永守会長76歳 「1円稟議」経営術の何が凄いか 井上 久男2020/10/27 source : 文藝春秋 2020年11月号 https://bunshun.jp/articles/-/41112 コロナ禍でも大健闘する京都企業 日本電産(Nidec) 2021年3月期の連結業績予想を上方修正 売上高は過去最高を更新する予想!2020年10月27日 (火) http://building-pc.cocolog-nifty.com/map/2020/10/post-7753e9.html 日本電産 知的財産情報 https://www.nidec.com/jp/technology/ip/ 「メーカーの知財」としてフェアなビジネスを守る権利形成と契約を。 https://www.nidec.com/corporate/recruit/career/interview/interview07.html 【日本電産の知財活動をご紹介 ~Nidec Patentバッジ~】 https://www.facebook.com/Nidec.JP/posts/889824781365016/ 石塚利博、「日立製作所(日立ハイテク)と日本電産の比較-創業、文化、知財など」(2020) http://chizairikkoku.com/archives/556 株式会社日立ハイテクは、今年5月に、日立製作所の完全子会社となりましたが、マーケッティングから始まる知財の創生・育成、サービスからの顧客情報を取り込んだ顧客ニーズの創生・育成、活用のサイクルを目指しており、「顧客第一主義」を貫く経営戦略の下、三位一体の活動を柱としています。平成21年度には、「知財功労賞」として「経済産業大臣表彰(特許戦略優良企業)」を受賞しています。
最近、流行の「IPランドスケープ」には「昔から取り組んでいた」ようです。 株式会社日立ハイテクHP https://www.hitachi-hightech.com/jp/about/csr/governance/intellectual/ 石塚利博、企業の知財戦略についてー日立ハイテクの取組みー https://www.inpit.go.jp/content/100762395.pdf 石塚利博、戦略的知財マネジメント https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaihatsukogaku/35/2/35_117/_pdf/-char/ja 石塚利博、グローバル時代における知的財産戦略 http://www.eufd.org/seminar/tms16.html 鈴木崇、日立小知的財産戦略 https://www.hitachi.co.jp/IR/library/presentation/120417/120417a.pdf 帝人の⾧期ビジョン:は、3つのソリューションで「未来の社会を支える会社」に、です。
3つのソリューションは、「環境価値ソリューション(マテリアル・IT)」「安心・安全・防災ソリューション(マテリアル・IT・繊維製品)」「少子高齢化・健康志向ソリューション(繊維製品・ヘルスケア・IT)」で、「3つのソリューション」に全投資額の85%を投入(設備投資・投融資)し、「3つのソリューション」売上高比率を2030年度までに75%へと計画しています。 マテリアル事業領域では、高機能素材とマルチマテリアル化による高付加価値用途へ、展開を加速、複合材料を使用した自動車向け部品では北米最大の「Tier1」メーカーとして自動車向け複合成形材料、航空機向け炭素繊維中間材料、アラミド、樹脂に注力しています。 ヘルスケア事業領域では、既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開、画期的なヘルスケアサービス・製品の創出を目指し、うつ病治療機器「ニューロスター」や、歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」、上肢麻痺のリハビリロボット「ReoGo-J」、機能性食品事業の拡大、地域包括ケアシステム関連新事業の創出を進め、医薬・在宅医療事業の組織変革による基盤強化や新薬上市により、主力薬の後発品参入影響(「フェブリク」クリフ)を最小化をはかっています。 特に、「フェブリク」クリフによる落ち込みを、新事業の拡大と医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーできるかどうかが重要になっているようです。国内における物質特許が2016年に満了し、結晶特許の⼀部請求項の無効が確定したため、ジェネリックが、2022年には承認・販売されると想定され、それを前提に事業展開が進められていますが、⽤途特許が残っており、この特許をどう生かすかが帝人グループの知財部の腕の見せ所になっているようです。 自動車などの軽量化に寄与する技術開発のための産学共同のオープンイノベーションプログラム「AZLパートナーネットワーク」に参画、自社の事業展開にAIを活用することにより将来の人々のQOL向上に貢献することを目指し株式会社フローディアに出資、フランスのSafran S.A. との間で航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結など、次々と事業展開がオープンになってきています。 帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコアを特定し、知的財産権を戦略的に取得することで、競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しており、事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報をもとに技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しているということですので、その成功例が姿を見せる日も近いと思っています。 帝人グループは、ドイツ・アーヘン工科大学の関連組織であるAZLアーヘンGmbH 主催による、自動車などの軽量化に寄与する技術開発のための産学共同のオープンイノ ベーションプログラム「AZLパートナーネットワーク」に参画することとしました。 「AZLパートナーネットワーク」には、現在、各国から約 90 機関が加盟しており、 熱硬化性・熱可塑性複合成形材料などの高機能材料のエキスパートが集結しています。 その中で帝人グループは、当ネットワークが 10 月 22 日に開始する、電気自動車(EV) 用のバッテリーボックスの開発・製造に向けた 8 か月間のプロジェクトなどに参画します。 当社は、こうした変化に対応するため、2017 年に米国の Continental Structural Plastics 社(以下「CSP社」)を買収し、以来、グローバル Tier1 サプライヤーとして 自動車向け複合成形材料事業を展開しています。また、CSP社のフランス現地法人 であるCSPヨーロッパでのSMC(*)工場新設、ポルトガルの Inapal Plasticos 社 (イナパル社)やチェコの Benet Automotive 社(ベネット社)の買収など、複合成形 材料事業の拡大を推進しており、昨年には、衝突規制に適合しながら、従来のスチール ドアに比べて全体の重量を削減したマルチマテリアルドアモジュールを開発しました。 さらに本年 2 月には、ドイツに次世代自動車開発に向けた市場開拓および技術調査を 担うテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(TACE)を設立し、長年に わたり培ってきた炭素繊維やアラミドなどの高機能素材に関する技術や知見に基づき、 新たなアイデアを活用したマルチマテリアルでの提案力強化を図っています。 軽量化技術に関するグローバルプロジェクトに参画 https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/22/20201022_01.pdf 帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、自社の事業展開にAIを活用 することにより、将来の人々のQOL向上に貢献することを目指し、このたび、株式会社 フローディア(本社:東京都小平市、社長:奥山 幸祐)に出資しました。 フローディアは、近年加速しているエッジコンピューティング(*1)への活用が可能で、 AIによるビッグデータの効率的な処理に不可欠な不揮発性メモリ(*2)の設計、開発、 販売、コンサルティングを手掛けており、このたびの出資に伴い、当社より 1 名が同社 取締役に就任するとともに、関連技術の取得に向けて、当社より技術者 1 名を派遣する こととしました AIとマテリアルの融合により未来の社会を支える会社へ 株式会社フローディアへの出資について https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/26/20201026_01.pdf 帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、フランスのSafran S.A. (本社:フランス・パリ市、CEO:Philippe Petitcolin、以下「サフラン社」) との間で、航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結しました。 サフラン社は、航空・宇宙、防衛に関連する事業を展開する複合企業体で、中でも 航空機向けの部品製造については、エンジンや降着装置、内装品など、品質の高い装備品 を製造・販売しており、航空機業界において高いプレゼンスを誇っています。 帝人は、これまで 25 年にわたりサフラン社に高機能素材の供給を行ってきましたが、 このたびの契約締結により、次世代航空機用の高機能素材の供給をさらに強化すると ともに、高機能複合材料の供給を開始します。当社は、航空機市場の諸課題に対して ソリューションを提供すべく、サフラン社と協力・連携し、生産コスト改善や環境負荷 低減に貢献する技術を開発していく予定です。 なお、本契約の締結後、帝人がサフラン社に供給する最初の材料の一部は、帝人グループ において高耐熱熱硬化プリプレグを製造・販売する米国・レネゲード社で製造します。 帝人は、2019 年のレネゲード社の買収や、米国サウスカロライナ州での新しい炭素繊維 製造拠点の建設など事業拡大策に取り組んでおり、今年度からの中期経営計画では、航空 機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(Strategic Focus)」と位置づけ ています。当社は、これからも欧州・米国のグループ会社と連携し、グローバル市場にお いて、川上から川下に至るまで幅広く用途開発を推進していきます。そして、航空機向け 炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030 年近傍までに航空機用途で年間 900 百万米ドル超の売上を目指します。 仏サフラン社と高機能複合材料の供給契約を締結 https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/27/20201027_01.pdf 帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコアを特定し、知的財産権を戦略的に取得することで、競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しています。事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報をもとに技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しています。 帝人株式会社 統合報告書2020年 https://ssl4.eir-parts.net/doc/3401/ir_material_for_fiscal_ym1/86665/00.pdf 帝人グループ・ヘルスケア事業にとっての最大の経営課題は、主力薬である高尿酸血症・痛風治療剤フェブリク®(一般名: フェブキソスタット)の後発品参入の影響を最小化すること、すなわち、フェブリク・パテントクリフによる売上収益の落ち込みを、新事業の拡大、医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーすることです。 2022年に想定されるフェブリク・パテントクリフによる売上収益の落ち込みがヘルスケア事業に大きなインパクトを与えると想像できます。国内におけるフェブリク®の物質特許は2016年に満了、結晶特許も一部請求項の無効が確定したため、フェブリク®のジェネリックが、再審査期間終了(2021年1月20日)後には申請、2022年には承認・販売されると想定されます。現在、フェブリク®の効能・効果のうち、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を保護すると思われる用途特許5907396に対して沢井製薬が無効審判を請求しています(無効2020-800008)。また、2020年4月28日に、同特許に対して別の無効審判が請求されました(無効2020-800044)。帝人としては、この効能・効果についてはジェネリックに承認を与えないために無効審判を戦うことになると思われます。 フェブリク・クリフによる落ち込みを新事業の拡大と医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーする、具体的には、既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開するとしています(中期経営計画 2020-2022―ALWAYS EVOLVING―説明資料)。上記の通り、事業展開の方向性は医薬品中心ではありませんが、中期経営計画期間中に上市を見込む新薬として、A型ボツリヌス毒素製剤NT-201、骨粗鬆症治療剤ITM-058(アバロパラチド酢酸塩) が挙げられています。 例えば、自立支援のための医療技術・サービスの提供への事業展開においては、歩行神経筋電気刺激装置や上肢麻痺のリハビリロボットをNT-201等と合わせ、脳卒中発症から予後までの総合ソリューションを提供することが次世代成長領域として描かれています。 帝⼈・ヘルスケア(医薬品)事業の知的財産活動の景⾊(2020) | 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ、2020.05.24 https://www.tokkyoteki.com/2020/05/teijin-2020.html 日立製作所との協創により新素材の研究開発でDX推進へ https://www.teijin.co.jp/news/2020/07/20/20200720_01.pdf 10月22日、中外製薬は2020年12月期の第3四半期までの決算発表を行いましたが、1-9月の売上高は前年同期比13.3%増の5765億円、コア営業利益は35.5%増の2319億円、コア四半期利益も33.0%増の1656億円と好調です。
スイスの世界⼤⼿ロシュの傘下に⼊り20年近くとなりますが、利益率がここ3年で倍になったこと、費⽤がかさむ臨床開発や販売などの海外展開をほとんどロシュに任せる効率経営で浮いた資⾦をバイオ創薬に集中した成果として2018年に発売した新薬が急成⻑中であることもあり、国内医薬品会社で引き続き時価総額トップとなっています。 そして、今後注⽬すべきは中外独⾃の「抗体エンジニアリング技術」を適⽤した新薬や候補品などの動向とされています。 また、中外製薬は、CHUGAI DIGITAL VISION 2030を掲げ、デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになることを目指し、3つの基本戦略(「デジタル基盤の強化」「すべてのバリューチェーン効率化」「デジタルを活用した革新的な新薬創出」)を、2019年10月に新設したデジタル戦略推進部がこれまで各部署で進めてきたデジタル施策を統括しながら推進しています。この4半期の成果として、「Biofourmis社と子宮内膜症に伴う痛みを客観的に評価するデジタルソリューションの共同開発を開始」「MRを中心にワークスモバイルジャパン社のLINE WORKSを導入」「NTTデータ社とAI技術支援を活用した治験効率化ソリューションの実証完了」があげられていました。 中外製薬株式会社、2020年12月期第3四半期決算発表 カンファレンスコール http://www.c-hotline.net/Viewer/Default/CHPHff54611b8db006e4f14e59acc9d616f8 ⼤鐘進之祐, 中外製薬、利益率3年で倍 ロシュ効果で開発に勢い, ⽇本経済新聞 電⼦版、2020/10/19 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65033390V11C20A0000000/ 橋本宗明、中外製薬「抗体エンジニアリング技術」の破壊⼒、⽇経ビジネス, 2020年10⽉26⽇ https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/102600057/?n_cid=nbponb_twbn 中外製薬のアニュアルレポート2019(統合報告書)には、2019年の知的財産活動のほか、中期経営計画「IBI 21」(2019~2021年)における知的財産のポイント、SWOT分析、知的財産機能の特徴、主な取り組みと進捗が掲載されています(p76-77, 88)。 中外製薬では、抗体エンジニアリング技術や中分⼦創薬技術を重要な創薬技術基盤として位置づけ、基本技術の開発と製品化への応⽤を両輪とした研究開発戦略を展開しており、2018年から富⼠御殿場研究所と鎌倉研究所に知財リエゾンを配置して研究初期段階での連携を強化し、技術や権利のホワイトスペースに⾃らの技術や開発品のポートフォリオを構築する戦略MIXを強化・推進、特に、抗体エンジニアリング技術に関連する特許については、独自のデータベースを構築することで、他社動向の把握を含めて知的財産戦略の立案に活用しているとのことです。 中外製薬 アニュアルレポート2019(統合報告書) https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/annual_reports.html 中外製薬の知的財産活動の景色(2019)、「医薬系 "特許的" 判例」ブログ https://www.tokkyoteki.com/2020/05/chugai-2019.html 中外製薬HP,知的財産 https://www.chugai-pharm.co.jp/profile/rd/intellectual.html 「ケミカルマテリアルJapan2020-ONLINEー」で、攻めと守りを実践するAGCの「両利きの経営」と題するAGC株式会社代表取締役 社長執行役員 CEO 島村琢哉氏と株式会社アクション・デザイン代表取締役 立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科兼任講師 加藤雅則氏の対談を視聴しました。なるほどと感心しました。
https://www.chemmate.jp/on2020/ 「イノベーションのジレンマ」(ハーバード・ビジネス・スクール クリステンセン教授)を「両利きの経営」(スタンフォード大学経営大学院 チャールズ・A・オライリー教授)で乗り切り、躍進した例としては、富士フイルムがコダックとの対比で取り上げられ説明されています。※1 「両利きの経営」を提唱したオライリー教授が、両利きの経営を実践していると認定した世界最大手のガラスメーカーであるAGC(2018年7月に旭硝子からAGCに商号変更)の創立は1907年、日本で初めて板ガラスの工業生産に着手・成功し、その後自動車用ガラス、電子部品、化学品、セラミックスなど数々のイノベーションを起こしながら事業領域を広げています。※2 AGC知的財産部では、必要な機能として、「戦略策定」「知財⼒(特許を効果的に活⽤する⼒、権利範囲を広げられるように特許を書く⼒)」「決めたことをやり遂げるPDCA」の3つをを強化していく⽅針を決め、2017年7⽉に知的財産部の中に、戦略策定を専⾨とするチームと、その戦略に沿った知財を出願権利化するチームを新たに作り、ゴールは「特許取得」でなく「事業への貢献」として、知財による間接的な牽制だけでなく、直接的に他社に働きかけ、標準化活動で業界のイニシアティブをとり、AGCグループの担うべき領域(コア事業&戦略事業)の収益拡大に貢献しています。※3 ※1 業界をリードする優秀な⼤企業が、⾰新的な技術を持った新興企業になすがままに敗れ去ることがあります。ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授は、このことを「イノベーションのジレンマ」という概念で説明しました。⼀⾔でいえば、抜本的なイノベーションを⾏うか、既存技術の延⻑路線で⾏くか、という戦略の間でジレンマに陥ってしまうことを指しています。今回は写真フィルムで⾼収益を上げていたコダックが、デジタルカメラという⾰新的な技術により敗れ去り、かたや富⼠フイルムは「両利きの経営」という⼿法でイノベーションのジレンマを⾒事に乗り切った事例を紹介します。 「イノベーションのジレンマ」を「両利きの経営」で乗り切る〜コダックVS富⼠フイルムの事例に学ぶ、 投稿⽇2020年4⽉20⽇ 更新⽇2020年6⽉23⽇ https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/innovation_dilemma 両利きの経営 (日本語) 単行本 – 2019/2/15チャールズ・A. オライリー (著), https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%A1%E5%88%A9%E3%81%8D%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB-%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4492534083 ※2 大西 綾、AGCの「両利き経営」(上) 主力が稼ぎ、傍流が種をまく、日経ビジネス2020年6月26日 大西 綾、AGCの両利き経営(下) 縦割りは若手が壊す、日経ビジネス2020年7月3日 https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00114/00070/ 平井良典、【編集長対談】創業以来100年以上受け継がれてきたAGCの「イノベーション魂」とは? 挑戦し続ける企業が教える「世の中を変えるイノベーション」を起こす方法 https://next.rikunabi.com/journal/20200414_c01/ 両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」 (日本語) 単行本 – 2020/3/5加藤雅則 (著), チャールズ・A・オライリー (著) https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%A1%E5%88%A9%E3%81%8D%E3%81%AE%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B%E2%80%95%E2%80%95%E5%A4%A7%E4%BC%81%E6%A5%AD%E7%97%85%E3%82%92%E6%89%93%E7%A0%B4%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8C%E6%94%BB%E3%82%81%E3%81%A8%E5%AE%88%E3%82%8A%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%80%8D-%E5%8A%A0%E8%97%A4%E9%9B%85%E5%89%87/dp/4862762867 ※3 遠藤幸雄、戦略的標準化 材料・部材メーカーからの取組み事例、2018-3-9 JAB25周年記念フォーラム https://www.jab.or.jp/files/items/6654/File/7_endou_sama.pdf ⼈材投⼊だけでは「知財戦略」は変えられない「特許出願のプロ」だけでは戦えない時代 https://www.msn.com/ja-jp/money/career/%E4%BA%BA%E6%9D%90%E6%8A%95%E5%85%A5%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%AF%EF%BD%A2%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E6%88%A6%E7%95%A5%EF%BD%A3%E3%81%AF%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84-%EF%BD%A2%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%87%BA%E9%A1%98%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AD%EF%BD%A3%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%AF%E6%88%A6%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E6%99%82%E4%BB%A3/ar-AAz4rCR 知的財産部 AGCグループの知を結集して世界へ展開 https://www.agc.com/recruiting/careers/about/technology/intellectual.html 内田啓一、わが社の知財戦略 https://www.newglass.jp/mag////TITL/maghtml/51-pdf/+51-p029.pdf 知財実務オンラインは、マクスウェル国際特許事務所 パートナー弁理士 加島 広基さんと特許業務法人IPX 代表弁理士CEO 押谷 昌宗さんが運営している無料のYouTubeオンラインセミナーです。チャンネル登録者数1,000人を目標にしていて、現在900人弱まできているとのこと。
先日(10月1日)、(第17回)知財実務オンラインで、「共同開発・知的財産で会社を元気にする ~共同開発・契約のコツ、特許出願大幅増・質向上のコツ~」というテーマで話しました。アーカイブ動画をYouTubeで見ることができますが、視聴回数が1,300回を超えたようです。より多くの方に視聴していただければ幸いです。 https://www.youtube.com/watch?v=xU9G0fc_wzI ちなみに、知財実務オンラインの中で視聴回数のトップは、(第3回)「ここで差がつく!意外と知らない調査の基本」(スマートワークス株式会社 代表取締役 酒井美里先生)で2,100回を超えており、二番目が(第5回)「経営で重み増す「共創・協創」の知財戦略」(東京知財経営コンサルティング 代表弁理士 林力一先生)で1,600回を超えていて、(第17回)は視聴回数では知財実務オンラインの中で3番目ということです。 (第3回)「ここで差がつく!意外と知らない調査の基本」 https://www.youtube.com/watch?v=mb_9luiL-3k (第5回)「経営で重み増す「共創・協創」の知財戦略」 https://www.youtube.com/watch?v=r8NYpio8PKg 知財実務オンラインの次回は、10月29日に、(第21回)知財実務オンライン:「IPランドスケープ実践に役立つ知財情報戦略 」(ゲスト:株式会社知財ランドスケープ CEO 山内 明先生)ということで、楽しみです。 https://www.youtube.com/watch?v=NQ-ngtpdNJs ネットで入手できる山内先生の主な著作には、下記があります。 ・「IPランドスケープ3.0」 JAPIO YEAR BOOK 2019 https://japio.or.jp/00yearbook/files/2019book/19_2_10.pdf ・「IPランドスケープ2.0」 JAPIO YEAR BOOK 2018 https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2018book/18_2_08.pdf ・「IPランドスケープ実践に役立つ知財情報戦略―特許マーケティングを中心として―」 JAPIO YEAR BOOK 2017 https://japio.or.jp/00yearbook/files/2017book/17_2_10.pdf 金沢工業大学大学院・イノベーションマネジメント研究科杉光一成教授らが翻訳された『コトラーのB2Bブランド・マネジメント』の出版記念オンラインイベントが、10月21日(水) 19:00 〜 20:30 行われました。
杉光教授の講演が予定の60分を大きく超える熱演で、コトラー博士の説の解説だけでなく、杉光教授の持論も紹介され、とても勉強になりました。 コトラー博士からは、本イベントに特別のビデオ・メッセージが届き、紹介されました。 本書は、杉光教授にとっては、コトラーのイノベーション・ブランド戦略 (日本語) 単行本 – 2014/12/22に続く2冊目の翻訳とのことでした。 ■イベント概要 ブランディングという強力なコンセプトは、食料品や化粧品、自動車などを製造するB2C企業において大きな発展を遂げました。「ブランドはB2Cビジネスの話で、B2Bビジネスには関係ない」「技術力が売りの会社にブランド構築は必要ない」「自社のブランドをネーミングして商標出願もしているから問題ない」と思われている方も多いのではないでしょうか。 しかし最近では、半導体メーカーのインテルの成功に見られるように、企業というプロを顧客とするB2B企業にもブランド構築は可能かつ必要であり、しかも有効である、という点は完全にコンセンサスを得ていると言えます。 B2B企業におけるブランド・マネジメントの気運が高まる中、2020年9月16日に白桃書房から『コトラーのB2Bブランド・マネジメント』が上梓されました。本書は、フェデックス、サムスン、セメックス、IBM、シーメンス、ランクセス、レノボなどB2B企業の成功事例をもとに、ブランドの基礎知識・理論を解説した上で、B2B企業のブランド構築とその運用についての指針を示しつつ、詳しく解説しています。 また、一般消費者にも身近なB2C企業との比較や相違を見ることで、B2B企業の将来をも展望しており、ブランドを構築する上で必要となるコンセプトや得られる価値、オンライン上での口コミ効果など最新の実践方法を知ることができます。 今回のKITプロフェッショナルミーティングでは、本書の出版を記念して、翻訳者でもあり監修者の杉光一成教授による特別講演を開催します。さらに、「マーケティングの神様」と評されるフィリップ・コトラー博士からビデオメッセージが届きましたので、日本で最初にご覧いただける貴重な機会となります。イベント後半の交流会および質疑応答セッションでは、参加者の皆さまからの闊達なご意見や質問を受け付けて参ります。 本書は、ブランドの基礎知識・理論を解説した上で、B2Bブランドとその構築・運用(ブランディング)についての指針を示しつつ、そのベストプラクティスを紹介する。さらに、B2Cブランディングとの比較や相違を見ることで、B2Bブランドの将来をも検討しており、B2Bブランドのコンセプトやメリット、価値について理解することができる。 2014年刊の『コトラーのイノベーション・ブランド戦略 ものづくり企業のための要素技術の「見える化」』も大変な好評を得ており、ものづくり企業にかかわる方たちは、この本でさらに考えを深めることもできよう。 【目次】 第1章 有名になるか、無名で埋もれるか 第2章 ブランド化するか、しないか 第3章 B2Bブランディングの次元 第4章 ブランディングによる加速化 第5章 B2Bブランディングの成功事例 第6章 ブランディングの落とし穴への注意 第7章 将来への展望 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) コトラー,フィリップ 「近代マーケティングの父」と称され、マーケティングに関する書籍・論文多数。現在、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン&サン特別教授であり、シカゴ大学で経済学の分野で修士号、MITにおいて同分野で博士号を取得している ファルチ,ヴァルデマール マーケティングを専門とするプフォルツハイム大学の国際ビジネス名誉教授。経済とビジネスの2つの修士号を持ち、ベルリン自由大学において社会科学の博士号を取得している 杉光/一成 1999年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。2006年東北大学大学院博士後期課程(技術経営分野)修了。博士(工学)。金沢工業大学大学院・イノベーションマネジメント研究科教授。デザイン・ブランド等のマーケティングに関係する知財を専門とし、「技術のブランド化」について経営学及び法学の共同研究に従事(平成21~24年)。受賞歴としてTEPIA第1回知的財産学術奨励賞(会長大賞)、経済産業省より知財功労賞(特許庁長官表彰)がある 川上/智子 2000年神戸大学大学院博士後期課程修了。博士(商学)。2015年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授。専門はマーケティング、イノベーション。2006年日本商業学会賞・日本経営学会賞を受賞。2017年アジアのマーケティング研究者トップ100に選出。2019年フィリップ・コトラー教授とワールド・マーケティング・サミット東京で共演。日本マーケティング学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 登録情報 発売日 : 2020/9/16 単行本 : 311ページ ISBN-10 : 4561662359 ISBN-13 : 978-4561662358 出版社 : 白桃書房 (2020/9/16) 言語: : 日本語 Amazon 売れ筋ランキング: - 483位本 (の売れ筋ランキングを見る本) - 6位マーケティング・セールス一般関連書籍 - 7位マーケティング・セールス全般関連書籍 Paragraph. ここをクリックして編集する. 10月17日に開催された第6回東京大学定期株主総会は、ライブ中継最大同時視聴者数が279名だったそうです。
YouTubeオンデマンドで配信されています。 https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/hcd/event/2020_event_13.html https://youtu.be/grHrt1IptbU 10月9日に、産業構造審議会知的財産分科会 第1回基本問題小委員会が開かれ、「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における産業財産権行政の在り方」が議論され、詳細な議事録が公開されました。
下記の5つの論点について自由討議が行われ、課題が明確化されてきているようです。今後の議論に期待します。 個人的に気になった点は、スーパー早期審査に対する評価が大企業と中小企業で大きく異なっていること、特許庁の財政がひっ迫していることでした。特許庁には、筋肉質になるよう体質改善を早急に行っていただきたいと感じます。 5つの論点 1 特許庁を取り巻く現状 ―産業構造の変化と特許出願の動向― 産業構造の変化・イノベーション戦略の変化は出願構造にどのような変化をもたらしたか 日本特許庁への出願が増加しないのはなぜか 欧米と比較して、日本企業による 4 庁(米欧中韓)以外への出願が少ないのはなぜか 欧米と比較して、国外からの出願件数の伸びが低いのはなぜか 2 特許、意匠、商標、審判の現状と取組 特許審査、意匠審査、商標審査、審判の現状に対する評価・要望 3 近年の主要な取組 特許庁の近年の取組と、今後の方向性に対する要望 4 コロナ禍の影響 ―足下の対応と新たな日常への対応― コロナ禍で顕在化した課題(レジリエントな業務体制の構築、手続きのオンライン化、柔軟な救済措置の整備など)への対応に対する要望 イノベーション促進に向けた、ポスト/ウィズコロナ時代の産業財産権制度への期待と要望 5 特許庁の財政状況とこれからコロナ禍の影響 ―現状認識と今後の論点― 特許庁の財政の現状に対する評価・要望 今後の特許庁に求められること 産業構造審議会 知的財産分科会 第1回基本問題小委員会 議事録 https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kihonmondai_shoi/document/index/01_gijiroku.pdf 産業構造審議会 知的財産分科会 第1回基本問題小委員会 議事次第 日 時:令和2年10月9日(金)14時00分~16時00分 会 場:特許庁庁舎9階 庁議室(オンライン会議併用) (議事次第) 1.開会 2. ウィズコロナ/ポストコロナ時代における産業財産権行政の在り方 3.自由討議 4.閉会 (配布資料) 議事次第 委員名簿 産業構造審議会 知的財産分科会 基本問題小委員会 委員名簿 長岡 貞男 東京経済大学経済学部 教授【委員長】 萩原 恒昭 日本経済団体連合会 知的財産委員会 企画部会長代行 凸版印刷(株) 法務・知的財産本部 顧問 戸田 裕二 日本知的財産協会 理事長 (株)日立製作所 知的財産本部長 濱田 百合子 日本弁理士会 副会長 特許業務法人栄光特許事務所 所長 弁理士 山内 清行 日本商工会議所 産業政策第一部長 本田 圭子 株式会社東京大学 TLO 副社長 鮫島 正洋 弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 松山 智恵 TMI 総合法律事務所 弁護士 合計 8 名 (敬称略) 資料1:ウィズコロナ/ポストコロナ時代における産業財産権行政の在り方 (80頁の資料) https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kihonmondai_shoi/document/01-shiryou/01-shiryo01.pdf 資料2:特に御議論いただきたい論点 特に御議論いただきたい論点 1 特許庁を取り巻く現状 ―産業構造の変化と特許出願の動向― 産業構造の変化・イノベーション戦略の変化は出願構造にどのような変化をもたらしたか 日本特許庁への出願が増加しないのはなぜか 欧米と比較して、日本企業による 4 庁(米欧中韓)以外への出願が少ないのはなぜか 欧米と比較して、国外からの出願件数の伸びが低いのはなぜか 2 特許、意匠、商標、審判の現状と取組 特許審査、意匠審査、商標審査、審判の現状に対する評価・ご要望 3 近年の主要な取組 特許庁の近年の取組と、今後の方向性に対するご要望 4 コロナ禍の影響 ―足下の対応と新たな日常への対応― コロナ禍で顕在化した課題(レジリエントな業務体制の構築、手続きのオンライン化、柔軟な救済措置の整備など)への対応に対するご要望 イノベーション促進に向けた、ポスト/ウィズコロナ時代の産業財産権制度への期待とご要望 5 特許庁の財政状況とこれからコロナ禍の影響 ―現状認識と今後の論点― 特許庁の財政の現状に対する評価・ご要望 今後の特許庁に求められること 10月17日に行われた東京大学第6回定期株主総会を視聴しました。
東京大学が国立初の大学債「東大債」を今年10月8日に発行し即日完売、研究力強化へ200億円を調達したこと、元内閣府知的財産戦略推進事務局長で、知的財産戦略ビジョンをまとめたほか、経営デザインシートを提案した住田孝之氏(現住友商事株式会社顧問)がパネリストとして登壇されるとのことで、視聴しました。 東京大学FSI債の概要 https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/public-info/for_investors.html 東京大学五神真総長の挨拶や2019事業年度決算報告を聞くと、大学が収益を得る組織体へ変身しつつあるように感じました。 ただ、東大の価値の8割が土地や建物などの有形資産であるという報告で、「大学の無形の価値を未来社会に向けてどのように位置づけるか」という特別座談会を興味深く聞かせていただきました。 10年前には不可能と思われていた「(大学の)無形の価値」を何とか表そうとしていて、それが不可能ではなさそうであり、評価方法の標準化がすすみ、今後急速に価値としての評価が進むだろうという感覚だけはわかりました。 東京大学第6回定期株主総会 開催日時:2020年10月17日(土)13時30分から15時20分まで 開催方法:Zoom(ウェビナー)によるライブ配信 【プログラム詳細】 13:30- 総長挨拶 東京大学総長 五神 真 13:40- 2019事業年度決算報告(オリジナル財務諸表説明を含む) 14:05- 特別座談会「大学の無形の価値を未来社会に向けてどのように位置づけるか」 <パネリスト> 渋澤健氏(コモンズ投信取締役会長) 住田孝之氏(住友商事株式会社顧問) 石井菜穂子(東京大学理事・未来ビジョン研究センター教授) <モデレーター> 坂田一郎(東京大学副学長・未来ビジョン研究センター教授) 14:35- Q&Aセッション(視聴者の皆様から頂いたご質問に、登壇者がお答えいたします。) <登壇者> 渋澤健氏(コモンズ投信取締役会長) 住田孝之氏(住友商事株式会社顧問) 石井菜穂子(東京大学理事・未来ビジョン研究センター教授) 有馬孝尚(東京大学総長特任補佐・新領域創成科学研究科教授) 高橋慎一郎(東京大学史料編纂所教授) <モデレーター> 坂田一郎(東京大学副学長・未来ビジョン研究センター教授) <統合報告書ダウンロードURL(ファイルサイズ:19MB)> https://webfs.adm.u-tokyo.ac.jp/public/yQtEQAHIsM6AZDsB0Zl1rggpDUaPqM0JpXZba-SUnH8R Siemens AGは、インダストリー4.0を先導する企業として、デジタル化が進むサービス分野に事業変革を進め、イノベーションを加速させるとともに、顧客が感じる価値を知財として保護しているドイツに本社を置くグローバル企業です。
Siemensにおいて価値の高い特許とは「顧客の感じる価値」を保護する特許のことであり、そのような特許を広範な地域にわたって権利を取得して、グローバルに保護することを目標とする知財戦略がSiemens の“Value Driven IP Strategy”。 日本企業に多く見られる、“Invention Driven”と呼ばれる、R&Dの成果を単に特許化するような、発明が提案されて始動する活動ではなく、事業創造を狙う領域や時間軸等を理解した上での活動が求められ、イノベーションの現場に入り込み、R&D部門に先んじて将来を見据え、戦略の策定・実行を進めることを目指しているということです。 経営層や事業部門等へ分かりやすく特許の価値を表現する方法については、市販のツール(Patentsight社)を使った「市場カバー率」と「技術的価値」という二つの指標を導入しており、知財担当者にもビジネス教育が行われ、最近ではソフトウエア発明に関する教育も実施しているということです。 ここまでビジネスに寄り添う知財活動をしている企業は少ないでしょう。 特許庁, 経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】(2020) https://www.jpo.go.jp/support/example/chizai_senryaku_2020.html 株式会社知財ランドスケープCEOの山内明氏は、IPランドスケープによってAI×医療(医療診断/シミュレーション、診断のための検出/測定)を巡る各国企業間の開発競争を深掘り分析した結果、 「IBMでは、AI/ディープラーニングを活用した画像分析支援プラットフォームへの傾注が認められ、Siemensでは、医療機器の売り切りからAIによる医療画像診断サービス、さらにはAs a Serviceモデルへの移行志向が認められた。また、SamsungおよびLGでは、スマートウオッチや家電といった既存の商材についてAIを駆使して訴求力を高める志向が認められた。」 と分析しています。 その中でも、Siemensは、「放射線診断や超音波診断、MRI診断への傾注が認められ」、「AIによる医療画像診断サービス関連の出願に力を入れており、同社が医療機器の売り切りだけではなく、診断サービスへの展開やAs a Service(サービス事業)モデルへの移行を志向していることが明らかになった。」としています。 知財担当者にもビジネスやソフトウエア発明に関する教育を実施している所以でしょう。 山内 明, IBMとシーメンス、サムスン、LGの次の収益源、鍵は医療×AI (第2回 IPランドスケープで医療分野の開発を深掘り分析) 2020.10.15 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04717/ 「知財が本当に経営に刺さっているかということです。社長、経営トップ、事業部門のトップの人達が本当に知財を信用し、知財に頼っていますか。」コニカミノルタの知財トップのこの言葉は重く噛みしめたい言葉です。
コニカミノルタは、「ジャンルトップ戦略」(成長が見込める領域、勝算のある領域にリソースを集中し、その領域のトップポジションを狙う戦略)」を着々と進めています。 2010年以降は、M&Aでいろいろな技術、人、ノウハウを獲得しながら、デジタルトランスフォーメーションに注力しています。何でも「アナログ」を「デジタル」に置き換えて済む話ではなく、「デジタルによる付加価値」と「顧客関係強化」の2つの軸で考え、プロダクトアウト型から顧客価値創出型への変革に取り組んでいるようです。 会社の目指す方向は「持続性ある高収益体質」です。これを知財力で支え、進化させるための3つの戦略「知的財産戦略2017-2020」「質向上のための戦略と施策」「人材育成のための戦略と施策」がコニカミノルタの知的財産戦略です。 こうした素晴らしい知財活動を進めているコニカミノルタの知財トップの下記の言葉は非常に共感します。この危機意識の下で、さらに成果を積み重ねられるものと期待しています。 「重要なポイントは、知財が本当に経営に刺さっているかということです。社長、経営トップ、事業部門のトップの人達が本当に知財を信用し、知財に頼っていますか。ここは非常に大事だと思います。 一方で、知財部員そのものがトランスフォーメーションについて、いろいろと考えた方がよいと思います。会社の成長のために何ができるかという、知財部と、その組織を構成する知財部員のマインドが知的財産であり、知的資本です。 そして、新たなビジネスモデルを確実に取り込むためには、特許だけではなく、知財を戦略として構築し、実行して、完結させることが必要です。 更に、知財資本と企業価値が、非常に関係してくるようになったと思います。特許の件数以上の価値を示していかないと、経営に刺さらないのではないかという問題意識を持っています。」 松枝哲也 コニカミノルタにおけるデジタルトランスフォーメーション( DX)× 知的財産戦略 2019年 9 月 25 日 https://www.inpit.go.jp/katsuyo/chiiki-forum/ip-forum2019nagoya.pdf https://www.inpit.go.jp/content/100868663.pdf コニカミノルタの知的財産報告書2020の本文によれば、 当社では、知的財産情報などに基づいて事業環境を分析し、経営や事業に対して戦略提案を行う「IP ランドスケープ」の重要性にいち早く着目し、特許解析ツールを用いた他社特許動向の解析や開発テーマの探索などを実施してきました。 「知的財産戦略2017-2022」 における特許情報分析・解析力の強化方針を実行すべく、2019年4月には知的財産部内に知的財産戦略を担当する専門組織を立ち上げ、経営に資する戦略提案の強化を図っています。 知的財産報告書2020 https://www.konicaminolta.com/jp-ja/investors/ir_library/intellectual_property/pdf/ip2020.pdf 富士通は現在、先端技術の活用によって社会課題や顧客課題を解決するサービスを提供する「DX(デジタルトランスフォーメーション)企業」への変革を目指しています。
富士通の知的財産活動は、Digital Co-creationを推進する知的財産戦略「EX3×IP2」として、イノベーションの水先案内人として、富士通の技術の強みを知財の専門性で活かし、デジタル時代の波を渡り、ビジネスをつなげることで、新たな価値を共創し、顧客エクスペリエンスを提供しています。 コア技術の知的財産権の確保(AR(拡張現実)技術を活用し製造部材の診断を効率化、スポーツICT)、ハッカソン支援、SDGs貢献活動(WIPO GREENとのパートナーシップ締結)、オープンライセンス活動(地域との共生を目的とした知的財産の活用<川崎モデル>)、標準化活動、OSS支援、共同研究支援、法務部門と連携したビジネス支援などが柱で、どう進化していくのか楽しみです。 富士通HP https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/intellectualproperty/ 知的財産活動のご紹介、富士通株式会社2017年12月 https://www.fujitsu.com/jp/Images/port2017.pdf 大水眞己, INPITビジネス×知財フォーラム 産業構造が大きく変わる時代の知的財産戦略, 25th September 2019 https://www.inpit.go.jp/content/100868665.pdf 富士通とフジクラが語る知財戦略の取り組みとは https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2002/27/news019_2.html 加藤幹之, 富士通の知的財産戦略 2008年 https://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/presentation/pdf/20080404-02.pdf 【10/8開催】富士通の知財戦略。コロナ時代の特許業務の取組み事例。≪Webセミナー≫ 令和2年度「知財功労賞」経済産業大臣賞を受賞した武田薬品工業は、インバウンド型オープンイノベーション(製品導⼊)の活⽤、ライフサイエンス/ヘルスケア業界におけるデジタル化とそれによる変革を推進する新たな取り組みなど、従来の枠組みを超えた取り組みにチャレンジしています。
知財戦略も相当変化しているようです。 令和2年度「知財功労賞」経済産業大臣賞を初受賞 【受賞ポイント】 2017年に湘南研究施設をオープンイノベーションエコシステムに変えるというビジョンを打ち出し、湘南ヘルスイノベーションパーク(所在地:神奈川県藤沢市)を2018年に開所した。ライフサイエンス研究に特化した設備を基盤に、現時点で産官学から60以上の企業・団体が結集し、最先端技術・知見を活用したアイデアやソリューションの創出、実現を加速化している。また、神奈川県、藤沢市、鎌倉市、湘南鎌倉総合病院と連携・協力に関する覚書を締結し、地域との連携も進めている。 創薬ターゲット・技術に関する募集課題を提⽰して、⼤学・企業等に所属する外部研究者のアイデアを幅広く募集し、研究助成を通じて研究を推進するプログラム「COCKPI-T」を2015年に、特定化合物群を外部研究者に提供することで新規細胞アッセイ系の研究推進を⽬指す「SKITOPEN Innovation」を2017年に開始している。 10年前は主要製品の7割以上が⾃前で開発したものであったが、近年ではインバウンド型オープンイノベーション(製品導⼊)等を活⽤することにより、⾃前で開発したものは同規模ながら5割程度と、⾃前主義から脱却した製品開発を加速している。 https://www.takeda.com/ja-jp/announcements/2020/2/ 武田、コロナ薬で問われるシャイアー買収の成果, 日経新聞 2020年10月12日 20:20 武⽥薬品⼯業などが開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬が最終段階の臨床試験(治験)に⼊った。回復した患者の⾎液成分を使う⾎液製剤で、武⽥は2019年に6兆円超で買収したアイルランド製薬⼤⼿シャイアーの技術を活⽤した。新型コロナ治療薬という注⽬分野で⼤型買収の成果が問われている。 https://r.nikkei.com/article/DGXMZO64906710S0A011C2TJ1000?s=5 武田、大衆薬売却を正式発表 米ファンドに2420億円, 日経新聞 2020/8/24 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62977840U0A820C2TJ2000/ 地域医療の充実のための次世代ヘルスケア社会システムを神奈川県とともに構築へ 2020年5月29日 -2019年9月に神奈川県と武田薬品が締結した「地域医療の充実及び医療費適正化の推進等に係る連携・協力に関する協定」に基づき、質が高く、切れ目のない医療サービスの提供を目指す -患者さんの症状をデジタルデバイスによりモニタリングすることで、パーキンソン病医療へ貢献を目指す -オンライン診療およびオンライン服薬指導を充実させ、患者に寄り添った包括的な医療環境の提供を目指す 武田薬品工業HP https://www.takeda.com/ja-jp/announcements/2020/collaboration-with-kanagawa/ セールスフォース・ドットコム、 武田薬品工業によるパーキンソン病患者を対象とした臨床研究へ技術提供 〜患者情報を包括的に管理・分析できる「Salesforce Health Cloud」を武田薬品工業へ提供〜 2020年5月29日 セールスフォース・ドットコムHP https://www.salesforce.com/jp/company/news-press/press-releases/2020/05/2005291/ 武田薬品 6・2兆円の買収劇、コードネームは「Yamazaki」「Hibiki」 2020.5.6 https://www.sankeibiz.jp/business/print/200506/bsc2005060640001-c.htm H29「バイオ医薬品分野における知的財産戦略及び活用の最適化に関する調査研究報告書」の概要(アンケート)について https://www.amed.go.jp/content/000032001.pdf 平井 真以子 武田薬品工業(株) オープン&クローズ戦略のための営業秘密・活用策 グローバル知的財産フォーラム2016 https://www.inpit.go.jp/content/100778933.pdf IBMは、特許取得で圧倒的な取得数を保持して首位を譲っていません。
そして、バックグラウンドIPを保有したうえで共同研究を進めアライアンスを前提とした出願や特許のオープン化の知財戦略をとっています。 IBMはうまくいっていない、という評価もあるようですが、事業の大胆な組み換え、特許をNPEに売却するなど、後からみるとこういう戦略だったのか、という解説本が現れることになりそうです。 國光 健一/Kenichi Kunimitsu デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー パートナー デジタルヘルス領域における特許出願と知財戦略の最新動向 異業種の参入が進むヘルスケア業界における新たな知財戦略のあり方 https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/strategy/articles/ipa/digital-health.html 主要プレイヤー(IBM)の知財戦略 主要プレイヤーの動向の例としてIBMの例を取り上げる。IBMは2015年にTeva Pharmaceuticalとデジタルヘルス領域における提携を発表、注力領域のひとつとして、既存医薬品の中から新規疾患へ適用可能な治療薬を探索する技術である「ドラッグ・リポジショニング」を挙げていた。 このアライアンスの成果としてIBMとTevaは2018年に、多剤併用する場合において、既存薬の新規疾患への適用可能性を評価する技術につき共同出願を行っている。 注目すべき点として、IBMはアライアンスよりも前に、類似の技術を単独で特許出願しているのである。具体的には、2014年から2017年にかけてIBMは、単剤の場合において、既存薬の新規疾患への適用可能性を評価する技術についての特許出願を5件行っている。これはIT業界においてよく行われる「バックグラウンドIP」の確保と呼ばれる方法である。 IBMはこのバックグラウンドIPを保有することにより、単剤での評価技術については自社固有の技術と主張することが可能になるため、共同開発成果の帰属の按分に関して一定の権利を確保することが可能となる。また単剤での評価技術についてはIBMの権利で取り扱うことができるため、IBMはこのIPを利用して類似したソリューションを他クライアントに展開することが可能になる。 IT企業は事業保護だけではなく、アライアンスを前提とした出願や特許のオープン化など、多様な知財戦略に長けているという強みがある。こうした新しい知財戦略が、今後デジタルヘルス領域ではスタンダードになってゆくと考えられる。製薬会社や医療機器メーカーがデジタルヘルス業界において発展するためには、こうした業界の特性を理解し、社内体制や知財戦略をアップデートしてゆくことが必要であると考えられる。 IBMがレガシーインフラ事業をスピンアウト、クラウド事業に全⾯的に舵を切る 2020年10月11日 by Ron Miller 翻訳:TechCrunch Japan https://jp.techcrunch.com/2020/10/11/2020-10-08-as-ibm-spins-out-legacy-infrastructure-management-biz-ceo-goes-all-in-on-the-cloud/ IBMがインフラサービス事業を2兆円規模の独立事業として分社化する計画を発表 2020年10月10日 by Ingrid Lunden (翻訳:滑川海彦@Facebook) https://jp.techcrunch.com/2020/10/10/2020-10-08-ibm-plans-to-spin-off-infrastructure-services-as-a-separate-19b-business/ 野⼝剛史, 戦略の変化︖︕IBMが特許をNPEに売却か︖ Open Legal Community https://openlegalcommunity.com/ibm-may-have-sold-patents-to-npe/ IBMはとてつもない特許数を保持していることで有名ですが、そのような豊富な資産の活⽤の⼀環として特許の売却も積極的に⾏っています。今まではサービスや製品を提供している運営会社(operating company)にのみ売却を⾏っていましたが、最新の取引ではどうやら売却先はNPEのようです。 IBMの特許分析 アッシュ(某企業の知財部員) 2020/01/20 17:14 https://note.com/zshiki/n/n30f3cbc44e3b US No1の称号は、外国企業に渡さないということでしょうか︖US以外への出願はそれほどでもないのでファミリー特許数では、今回2位のサムスン電⼦にダブルスコア近くだった記憶もありますが、IBMのアメリカでの出願は今年もトップでした。 ⾺場錬成, ⼤丈夫か⽇本企業の特許戦略, 潮流 (No.123), 2020.10.07 https://www.hatsumei.co.jp/column/index.php?a=column_detail&id=359 コンピュータ時代の覇者IBMは、依然として特許取得で圧倒的な取得数を保持して首位を譲っていない。追いすがるのが韓国のサムスン電子である。2010年の勢いでは首位を奪還するのは時間の問題だと思っていたが、そこからのIBMの底力はすごいもので、首位を譲らず今では差は開く一方である。 IBMは取得した膨大な特許群を一部開放して、自社の企業戦略に役立てようと方針転換した。しかしそれがうまくいって業績を上げたようには見えない。 上野 剛史 日本アイ・ビー・エム株式会社 理事・知的財産部長, データが価値を生み出す時代における、ビジネス変革とそれを支える知財・データ戦略 グローバル知財戦略フォーラム2018 https://www.inpit.go.jp/katsuyo/gippd/forumkokunai/forum_kokunai000030.pdf 上野剛史, グローバルな事業活動に貢献するIBM知財戦略, INPIT グローバル知財戦略フォーラム2015, January 26, 2015 https://www.inpit.go.jp/content/100639464.pdf 「知財管理」誌 Vol.64 記事詳細 掲載巻(発行年) / 号 / 頁 64巻(2014年) / 4号 / 487頁 論文区分 特集(知財パラダイムシフト) 論文名 IBMの知的財産戦略-ビジネスへの貢献- 著者 上野剛史 抄録 経営に資する知財ということが唱えられてから久しいが、具体的にどのように資するのか、企業知財部門としては常に追求し続ける命題であろう。知財戦略の巧拙が企業業績に大きな影響を与えるようになり、ときには会社の存亡にも関わりかねない。IBMは、21年間にわたり米国特許取得件数トップを続け、約10億ドルの知財収入を生み出し、オープンな知財活用にも積極的に取り組んでいる。このような実績を上げるためにも、IBMでは、イノベーションの文化を醸成し、知的財産部門において発明者が生み出したイノベーションを集中管理とグローバルな分散オペレーションにより戦略的・効率的に保護し、知的財産の価値を最大化するように活用しており、これらを通じて年間1,000億ドルにおよぶIBMビジネスに貢献している。知的財産が企業戦略の一環として明確に位置づけられているものであり、その有機的な仕組を紹介する。 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/syoroku/64/4_487.html http://www.jipa.or.jp/kaiin/kikansi/honbun/2014_04_487.pdf 竹内誠也,上野剛史, イノベーション推進のための知財戦略, 〈日本知財学会誌〉Vol.5 No.2 ― 2008 : 17- 28 https://www.ipaj.org/bulletin/pdfs/JIPAJ5-2PDF/5-2_p017-028.pdf 知財実務オンライン第18回は、⼤野総合法律事務所パートナー弁理士の森⽥裕氏による「バイオテクノロジー分野において、米国の特許出願の分析から分かったイノベーション保護に有効と考えられた特許」でした。
⽶ホワイトヘッド研究所のiPS細胞における特許戦略の分析から、バイオテクノロジー分野においては、これまでとは異なる特許戦略が必須として、下記の提言を行っているとのことです。 ●社会還元のために必須の特許 ●低い効果を狙った発明の戦略的権利化 ●分割出願戦略の有効性(最重要特許について) ●ビジネス指向で考える特許戦略 ●早期からの特許戦略と研究戦略への提言 高石秀樹弁護士が「※1:12:00に、オフレコと言いながら有用な発言あり。」と書かれていた部分がアーカイブ動画では削除されていませんでしたが、オフレコの資料1枚分がそっくり削除されていました。非常に共感するもので、オフレコで残念でした。 「高度な発明は特許制度になじまない 権利範囲を狭めてしまう誤解とは」から引用 森田氏が注力しているのが、海外の知財戦略の調査だ。公開された特許を分析することで、戦略が見えてくるという。 「いちばん興味深かったのは、米国のアカデミアでiPS細胞を製造するための中心技術の特許が成立していたこと。iPS細胞を開発し、ノーベル賞を獲得したのは山中伸弥教授なのに、iPS細胞の発見をしていない人がより広い特許を権利化できているのです」(森田氏) 米国のアカデミアが取得している特許は、細胞の初期化因子であるOct4を発現した初代体細胞を権利化したものだという。iPS細胞が発見される以前に出願されたもので、誰も活用しておらず、知られていなかった出願だが、Oct4はiPS細胞の製造において、ほぼすべての手法に必要となる。 一方で、京都大学iPS細胞研究所のiPS細胞関連技術の特許は、ほかの因子も多数組み合わせて達成する発明としており、権利の範囲が狭くなってしまっているそうだ。 この事例から浮かび上がるのは、研究成果をそのまま出願するのではなく、特許戦略になじむ形に加工してから出願したほうが権利として有利に働く、ということだ。森田氏は、特許の権利範囲が狭くなってしまう原因として、特許制度への誤解があると指摘する。 「高度な技術でないと特許にはならないと信じてられていますが、じつは高度な発明は、あまり特許制度になじまないのです」 一般的に、高度な発明とされるものは、いろいろな技術を組み合わせ、積み上げて達するものだ。その技術がひとつでも欠けると発明ではなくなる。その結果、権利の範囲が狭くなってしまう。 大学やベンチャーの要素技術の場合、製薬会社に技術導出して製品化するケースが多い。まだ具体的な製品が決まっていない段階で、狭い権利範囲の特許を出願してしまうのは不利に働いてしまう場合がある。一方で、研究成果の効果がそれほど高くなくても、特許性が得られる場合が存在する。 「特許制度では、効果よりも“進歩性”が重要。必ずしも効果が高くなくても、容易に思いつかないものであれば、特許になる。他者が思いつかないようなもので、広くとれるものを狙っていくことこそが、戦略です」 膨大な期間と知力、あらゆる資産を投入して、ようやく得られた研究成果を効果的に保護するには、研究戦略とは別次元で、知財戦略を立てていく必要があるのだ。 https://ipbase.go.jp/special/d5868d5d968b7c10e60d8be815f5723c5444ab84.php バイオ系スタートアップは「発明の低性能化」を⽬指すべき 最先端特許戦略ディスカッション、2020年03⽉27⽇ 09時30分更新、STARTUP×知財戦略 第62回「RINK FESTIVAL 2020」セッションレポート ⽂● 松下典⼦ 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●平原克彦 https://ascii.jp/elem/000/001/908/1908982/ 森田弁理士の特許“攻防”戦略 https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/032800019/ シスメックス株式会社 知的財産本部 理事 本部長の井上二三夫氏の講演を聴講する機会を得ました。努力の天才「イチロー」の「来た球を打ち返す」という当たり前の期待に応えられるように厳しい練習を続けるプロとしての生き様を念頭におかれて、「当たり前のことを当たり前に」をモットーに知財活動を推進しておられ、「IPランドスケープ」という言葉は使ってないけれども、そういう活動は昔からやっているよと、多くの実績に裏付けられた話はとても勉強になりました。
シスメックスは、2015年、個別化医療の実現に向けた研究開発の取り組みを加速させるため、新たなイノベーション創出の場としてオープンイノベーションラボ「Sysmex Open Innovation Lab.(略称:SOLA)」をシスメックスの研究開発の中核拠点「テクノパーク」(神戸市西区)内に開設するなどして、オープンイノベーションに取り組んでいます。 シスメックスのオープンイノベーションの特徴は、大学や研究機関、企業などが持つ技術・ナレッジとシスメックスの持つ技術を融合させ、新たな臨床価値を効率的に生み出す活動を推進していることで、より活動を加速させるために、国内外の研究者をテクノパークに招聘し、当社研究員とのコラボレーションを実現する場を設けています。 シスメックスは、検体検査(機器+試薬+サービス・サポート)を事業領域として、世界190 カ国以上の医療現場に製品・サービスを提供しており、海外売上比率は85%以上を占め、臨床検査機器、試薬で高いシェアを持っています。 それを支える知財活動の目標は、研究開発と事業展開の自由度を確保し、経営に資すること。 1.当たり前のことを当たり前に実施するプロフェショナル集団 2.“当たり前”のことは、「経営層」「研究開発部門」「事業部門」にとって当たり前のことであり、「知財部門」の当たり前ではない 3.知財活動の貢献度は、「経営」「研究開発」「事業」の成功度合いで評価 4.全社員の知財マインド向上施策 5.経営層への知財教育の必要性 6.定常的(日常的)な知財啓発活動 7.業務を通じての知財啓発 8.知財部門の意識改革 以下、いずれもシスメックスHP ・新たに研究開発オープンイノベーションラボを開設 2015.09.17 ・イノベーションの早期創出に向けグローバルR&D体制を強化 2018.10.22 ・ヘルスケア分野における新たなイノベーション創出に向けシスメックスと大阪大学が包括連携契約を締結 2019.05.27 https://www.sysmex.co.jp/news/2019/190527.html シスメックスとオプティム、医療⽤AI・IoTオープンプラットフォームおよびデジタルトランスフォーメーション・ソリューションの企画・開発・運営会社を共同設⽴ https://www.optim.co.jp/newsdetail/20200601-pressrelease-01 井上二三夫, アジア地域の国々と共存共栄を図る知財活動, Japio YEAR BOOK 2013 P32 https://japio.or.jp/00yearbook/files/2013book/13_a_06.pdf 井上二三夫, シスメックス株式会社のご紹介~事業のグローバル展開とそれを支える知財活動~, 国際知的財産活用フォーラム2013 https://www.inpit.go.jp/content/100519263.pdf 積水化学工業は、本年5月、「 Innovation for the Earth 」をビジョンステートメントとして掲げた、2030年度までの長期ビジョン「Vision 2030」を策定しました。
レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレクトロニクス/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つのドメイン、及び、ネクストフロンティア(大きなパラダイムシフトを見据えた新しい事業ドメインの創出)において、際立つコア技術を起点にイノベーションを起こし続けることで新領域を創出し、積水化学グループの持続的成長と社会の持続性向上を実現していくとのことです。 積水化学グループ 中期経営計画 「Drive 2022」の策定について https://www.sekisui.co.jp/news/2020/1350089_36493.html また、本年8月31日には、同社の高機能プラスチックスカンパニーが、水無瀬イノベーションセンター(通称MIC)を開設したと発表しました。 MICでは、1階部分をオープンイノベーションスペースとしている。同スペース内には、「テクノロジーガレージ」と名付けた展示・デモ実験エリアを設け、高機能プラスチックスカンパニーの最新技術・製品とともに、昨年制作したコンセプトカーを常設するほか、実験設備を備えた「ラボスタジオ」や打ち合わせスペースを併設。顧客との意見交換やプロトタイピングを促進、スピーディーにイノベーションのタネを創出するとともに、顧客との関係強化も図るそうです。 イノベーションセンター開設 積水化学、開発研究所内に, ゴムタイムス,2020年9月1日 https://www.gomutimes.co.jp/?p=157015 同社では、CTOは新領域で事業を立上げることに_重きを置いており、強いリーダーシップを発揮して「戦略知財活動」を推進しています。同社では知財部貝に対して、研究開発部門や企両部門の社貝との議論の機会を与えるとともに、「戦略知財部員」として求められる要件(スキルセット)を定めることで効果的に育成を進めており、「戦略知財部員」には、CTO、企画、 R&D部門等の密なディスカッションを促し、新規事業領域でのより高度な知財戦略の策定につなげています。同社では策定した知財戦略を、新領域の事業化や開発の方向性決定に資する情報として活用しており、この枠組みを「戦略知財活動」と呼んでいます。 「戦略知財活動」の成果が期待されます。 積水化学工業, 「戦略知財部員」を養成し、事業戦略に踏み込んだインサイトを提供し新事業創造に貢献, 経営における 知的財産戦略事例集 - 特許庁 https://www.jpo.go.jp/support/example/document/keiei_senryaku_2019/keiei_chizaisenryaku.pdf 三菱電機は2017年に、自前主義からの脱却を掲げてスタートアップとのオープンイノベーションに乗り出しました。「世界一流の技術を持つ機関との連携で、世界で勝てる技術を創出」の主体となったのは研究開発部門に当たる開発本部のデザイン研究所に設置した「未来イノベーションセンター」で、事業部門や研究部門との橋渡し役を担っています。
三菱電機は企業別の国際特許出願件数で2019年に世界2位、日本で1位を獲得するなど知的財産を重要な経営資源と位置付けていますが、自社に足りないピースの取り込み(「FAシステム」や「電力・産業システム」といった既存の事業部門にない技術を明確にし、ベンチャーキャピタルなどとともに協業先となるスタートアップを探す)と、研究所で埋もれた技術を外部に開放する、という2つの取組みが柱です。 50程度の案件を進めてきた3年間で実証実験に進んだのは8件にとどまり、いずれも実用化には至っていないとのことで、踊り場にきているようです。 今年4月には、従来の縦割り組織の弊害を改め事業本部間の連携を増やし、新たな事業を創出するのが狙いに、BI本部が設置され、BI本部が起点となり、外部企業と新たな事業を創出する「オープンイノベーション」を推進する方針も打ち出し、スタートアップに100億円を投資することも決めたということです。 黄金崎元, 「優等生」三菱電機、縦割り弊害を打破 オープンイノベーションに転換, 10/5(月) 7:17配信, (SankeiBiz) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/283a5fc61e64fdf2609921d61e039e48253ff627 佐伯真也, オープンイノベーションは難しい、それでも止めぬ三菱電機, 日経ビジネス2020年6月12日 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00112/061200006/ 新時代を創る日本発の「ものづくり」のかたちー三菱電機・未来イノベーションセンターのOI戦略, 2020年05月25日 https://tomoruba.eiicon.net/articles/1772 加藤恒, 変革の時代に向き合う知財戦略とは?, グローバル知財戦略フォーラム2020 https://www.inpit.go.jp/katsuyo/gippd/forumkokunai/forum_kokunai2020.pdf 藤田正弘, 三菱電機の研究開発戦略,三菱電機株式会社HP, 2019年2月 https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2019/0213-a.pdf |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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