9月29日、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)で、音楽教室のレッスンでの楽曲演奏が日本音楽著作権協会(JASRAC)による著作権使用料の徴収対象になるかが争われた訴訟の上告審弁論が開かれ結審しました。第一審判決は、音楽教室における「教師」および「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を肯定したのに対して、知財高裁は、音楽教室における「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を否定し、一、二審は生徒の演奏を巡り結論が分かれており、最高裁の判断が注目されます。判決は10月24日に言い渡されるとのことです。
知的財産事件に携わる実務家を対象として、北海道大学大学院法学研究科が毎年開催されているサマーセミナー「最新の知的財産訴訟における実務的課題」、今年度は、著作権・不正競争・意匠・商標に関する課題を取り上げられ、8月28日午前の上野教授「著作権法における行為主体論」では、音楽教室の講師や生徒の楽曲演奏が著作権使用料の徴収対象となるかが争われ、生徒による演奏について音楽教室が楽曲使用していると言えるか一審と二審の判断が分かれた訴訟が取り上げられ、最高裁における弁論(9月29日)、その後の最高裁として判断が注目されました。 上野教授によれば、 「・差止請求の相手方(=①行為主体の認定、②侵害幇助者に対する差止請求の可否)は、わが国著作権法学における過去20年間で最大の論点と言えよう →特に、①行為主体の認定は、差止請求の相手方にとどまらない一般的な射程を有し、激しい議論が展開されてきたが、現在もなお不明確な状況にある →そこでは、クラブ・キャッツアイ事件の最高裁判決(以下「キャッツアイ判決」という)1および同判決において示されたいわゆる「カラオケ法理」が、ロクラクⅡ事件の最高裁判決(以下「ロクラク判決」という)を経た現在、どのような位置づけにあるのか明確でない ・現在、音楽教室事件をめぐって、この問題が顕在化している →第一審判決は、音楽教室における「教師」および「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を肯定したのに対して、知財高裁は、音楽教室における「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を否定した →最高裁は上告受理申立て理由の一部(第2「生徒の演奏による著作物の利用主体に係る法律判断の誤り」)を受理し(最決令和4年7月28日)、2022(令和4)年9月29日に弁論予定 →おそらく最高裁が下すことになるであろう判断は、35年近く前のキャッツアイ判決および「カラオケ法理」の運命に関わるものとして、わが国著作権法学の歴史にとって最重要のものになるであろう」 10月24日の判決を注目したいと思います。 音楽教室の著作権料訴訟、生徒演奏焦点 10月上告審判決 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE262850W2A920C2000000/ 音楽教室での楽曲使用料めぐる裁判 最高裁で弁論 判決は10月に https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220929/k10013842311000.html 最高裁、JASRACと音楽教室事業者間の訴訟の概要を公表 https://www.corporate-legal.jp/news/4973 北大サマーセミナー2022(著作権) https://yorozuipsc.com/blog/20225488327
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(第111回)知財実務オンライン:「弁理士サーチャーが明かす実務における特許調査の活かし方」(ゲスト:秋山国際特許商標事務所 弁理士・博士(理学) / 技術トランスファーサービス 取締役 角渕 由英)を視聴しました。(約1時間39分)
特許調査の種類としては、 技術動向調査(研究開発戦略や研究テーマの決定に際し、特定分野の動向を俯瞰的に分析)、 先行技術調査特許出願前の段階で、既に類似した発明が出願されていないかを確認)、 侵害予防調査(新製品を市場に投入する際に、第三者の特許権等を侵害しないか確認)、 無効資料調査(自社製品が他社の特許権等に抵触する場合や、自社の事業活動の障害となり得る他社の特許権を無効化するための先行資料を探す) が主なものですが、特許調査全般について説明されたのち、先行技術調査、無効資料調査、侵害予防調査についてわかりやすく説明されています。 なるほどというところが多く参考になります。 (第111回)知財実務オンライン:「弁理士サーチャーが明かす実務における特許調査の活かし方」(ゲスト:秋山国際特許商標事務所 弁理士・博士(理学) / 技術トランスファーサービス 取締役 角渕 由英) https://www.youtube.com/watch?v=hsFmKnYymdw&t=2142s 1.特許調査について ・弁理士と調査業務 2.先行技術調査 ・調査に基づく強い明細書 3.無効資料調査 ・無効論とクレーム解釈との関係 ・ WEB情報が引用等される事例 4.侵害予防調査 ・侵害予防調査の実際 特許調査における先行技術資料および無効資料の変化 https://yorozuipsc.com/blog/5652536 弁理士のための特許調査の知識 https://yorozuipsc.com/blog/5488022 「TECHBLITZ【進化するR&D】ダイキン工業TICの目指すもの」(2022.09.13)では、ダイキン工業が2015年11月に、大阪府摂津市に開所したテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を紹介しています。
世界ナンバーワンの技術力を構築し、新たな商品・価値を創出することを目的に、異業種・異分野の技術を持つ企業や大学、研究機関との「協創」(Co-Creation)を技術開発の中心に掲げているダイキン工業TICが技術開発の中心に「協創」を据えた理由について書かれています。また、新規事業にはWhatとWhyが重要であり、『ものづくり』の土台の上に、お客さまや社会に新しい価値を創出していく『もの+ことづくり』の実現を目指していることが実例とともに紹介されています。 ダイキン工業TICの目指すもの(前編) 技術開発の中心に「協創」を据えた理由 https://techblitz.com/daikin01/ ダイキン工業TICの目指すもの(後編) 新規事業に必要なWhatとWhy 「もの+ことづくり」で新たな価値を https://techblitz.com/daikin02/ 株価上昇率で「グーグル超え」のダイキン https://yorozuipsc.com/blog/6943838 京都大学とダイキン工業の包括連携協定 研究開発テーマの再構築 https://yorozuipsc.com/blog/9179982 ダイキン工業CVC室の取り組み 途上国初のエアコンサブスクサービス https://yorozuipsc.com/blog/cvc ダイキンの協創イノベーション https://yorozuipsc.com/blog/1818992 Avanciは、は9月21日、日系自動車メーカーとの間で、Avanciに参加している51の通信事業者が保有する2G、3G、4Gの標準必須特許を自社のコネクテッドカーに使用できるようになる特許ライセンス契約を締結したと発表しました。契約した日系自動車メーカーは8社とみられています。この新たな契約により、Avanciのライセンスを使用する自動車ブランドは80を超え、1億台以上のコネクテッドカーに使われることになるということです。
取引先の部品メーカーに特許の権利処理を任せるという日本の自動車業界の慣行が、今後変わっていくことになるのかもしれません。 Avanci の 4G ライセンス供与先が 80 を超える⾃動⾞ブランドに拡⼤ ワンストップでライセンスを取得できる Avanci のマーケットプレイスを 世界の道路を⾛る 1 億台以上のコネクテッドカーが利⽤ https://www.avanci.com/wp-content/uploads/2022/09/Avanci-Expansion-release_Japanese-for-website.pdf Avanci Expands 4G Coverage to Over 80 Auto Brands https://www.avanci.com/2022/09/21/avanci-expands-4g-coverage-to-over-80-auto-brands/ Avanci Welcomes Toyota as a Licensee https://www.avanci.com/2022/09/21/avanci-welcomes-toyota-as-a-licensee/ トヨタや日産、つながる車の特許料支払いで合意 51社と https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC21ABQ0R20C22A9000000/ コネクテッドカー特許技術使用で日本メーカー8社 米企業と契約 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220922/k10013830571000.html トヨタやホンダ巻き返せるか 「つながる車」の特許交渉 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0804R0Y2A900C2000000/ 『会社法務A2Z』2022年 10月号の特集「特許を活用する!」で、
・特許の“現在地”/高石秀樹 弁護士・弁理士・米国カリフォルニア州弁護士 ・「稼ぐ力」「事業の差別化」のための特許を探す!/山本飛翔 弁護士 ・海外出願の変化/都野真哉 弁理士 が掲載されていました。 山本飛翔弁護士の『「稼ぐ力」「事業の差別化」のための特許を探す!』 ・「事業に貢献する特許」とはいかなる特許なのか 、という問いを考えなければいけません 。ただし、この問いは、一意に確定できる回答がなく、論者によってその答えが異なるものであると思われます。本稿では、特許を事業に活かすにはどうしたらよいか、という問いに対し、箪者なりの考えを明らかにします。 ・知的財産が事業戦略において果たすと考えられる機能を四つに分類します。市場排除機能、市場参入抑制機能、経営情報開示機能、市場参加機能 ・事業戦略における特許の活用方法 (1)自社が優位性を持つ市場を拡大しつつ、自社の支配力を一定程度維持していく手法 (2)いわゆるピジネスモテル特許で競合他社の本格進出を遅らせ、その間にユーザーの囲い込みを行う手法 事業への貢献を「稼ぐ力」「事業の差別化」と表現すると確かにわかりやすくなります。 Tsubasa Yamamoto 山本飛翔/弁護士・弁理士 - note https://note.com/ip_startup/ (第49回)知財実務オンライン:「スタートアップの知財戦略 」(ゲスト:中村合同特許法律事務所 弁護士 山本 飛翔) 2021/06/10 にライブ配信 https://www.youtube.com/watch?v=9U35oAPTXk0&t=5s 『会社法務A2Z』2022年 10月号の特集「特許を活用する!」で、
・特許の“現在地”/高石秀樹 弁護士・弁理士・米国カリフォルニア州弁護士 ・「稼ぐ力」「事業の差別化」のための特許を探す!/山本飛翔 弁護士 ・海外出願の変化/都野真哉 弁理士 が掲載されていました。 高石秀樹弁護士の「特許の“現在地”」では、下記が印象に残りました。 ・弁理士/知財部は、発明者から報告を受けた具体例を特許庁向けの文章にして整える事務職ではなく、それぞれの特許要件についての法律論 、特許・実用新案審査基準(以下「審査基準」といいます)を踏まえ、発明者の想定を超えて発明を広げ、中間概念を想定し、発明の課題を工夫し、分割出願や諸外国移行を念頭に置いた出願戦略を確立する、極めて高度な創造的価値を提供する業務を担っているのです。 ・以下、特許出願時の明細書に記載された発明の解像度を上げて、特許出願価値を最大化する方策について考察します。 ・・・・・・・・・・・ ・日本企業の特許出願戦略は、新規出願から分割出願・諸外国移行という方針に転換しており、柔軟な分割出願/優先権主張戦略に向けた優先基礎出願明細書の工夫が重要となっています。そのために、多くの特許出願が、分割を繰り返された特許庁の審査に係属中というステータスを維持しており、逆にいえば、他社特許のクリアランスをする立場のときは、他社特許出願が係属中である以上、明細書に記載されている発明は後に分割出願可能であることを踏まえて、請求項に記載された発明をクリアランスすればよいという意識では足りず、相手はこちらの製品をみながら請求項を創るという意識で対応することが必須です。その意味で、以前より他社特許件数が減少しているとしても、クリアランスの分量および難易度は上がっています。 弁護士・高石秀樹の特許チャンネル https://www.youtube.com/c/%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E9%AB%98%E7%9F%B3%E7%A7%80%E6%A8%B9%E3%81%AE%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB/videos 特許の現在地 https://www.youtube.com/shorts/Dw4fb49JKxA 弁護士・高石秀樹の特許チャンネル(弁護士/弁理士/米国CAL弁護士、PatentAgent試験合格) https://ameblo.jp/hideki-takaishi 9月16日に「改正意匠法に基づく新たな保護対象等についての意匠登録出願動向」の最新版が公表されました。
新たな保護対象についての意匠登録出願件数が、画像3,083件、建築物835件、内装606件で、新たな保護対象についての登録件数が、画像1,568件、建築物463件、内装272件、関連意匠についての意匠登録出願件数が本意匠の公報発行前の出願が7,755件、本意匠の公報発行後の出願が1,875件(いずれも令和4 年 9 月 1 日時点で取得可能なもののみ)でした。しっかり利用されているように感じます。 同じ日付けで、パテントVol. 75(別冊 No.27)P.1 (2022)に掲載の「新しい意匠に係る意匠権の権利行使に関する検討課題」が先行公開されました。権利が増加する中で、権利行使についても、いくつかの課題が残されているようです。 改正意匠法に基づく新たな保護対象等についての意匠登録出願動向 令和 4 年 9月 16日 特許庁審査第一部意匠課 https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/document/isyou_kaisei_2019/shutsugan-jokyo.pdf 新しい意匠に係る意匠権の権利行使に関する検討課題 大阪大学大学院法学研究科 准教授 青木 大也 パテントVol. 75(別冊 No.27)P.1 (2022) https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/4029 令和元年意匠法改正によって 3 つの新しい意匠(建築物の意匠,内装の意匠,画像の意匠)の登録が認められるようになり,これらの登録数についても,引き続き増加している状況である。しかし,新しい意匠に係る意匠権の権利行使の場面に関する議論は十分ではなく,本稿はその権利行使における留意点を探究するものである。 具体的には,各々の新しい意匠の実施概念と侵害時における類否判断について,従来の物品の意匠と異なる点に注目して検討を加えた。また,更に視認性や消尽といった事項についても,物品の意匠との違いを意識しつつ可能な限りで検討を加えた。 令和元年改正意匠法施行後の状況について https://japio.or.jp/00yearbook/files/2021book/21_1_05.pdf リーガルテック株式会社主催のウェビナーにおいて、森田裕弁理士の「オープンイノベーション時代の製薬バイオ市場と知財」と題する講演動画(約34分)を視聴しました。2022年 9⽉21⽇(水)10:00~9月28日(水)23:59まで無料で公開されています。
医薬品市場では、設計可能性・予測性が低い「低分子化合物」から、一旦作用機序がわかると模倣が生じやすい「バイオ医薬品」へという変化が生じていて、知財戦略も大きく変わってきているとのことです。小野薬品及び本庶教授の特許やモデルナ社の特許、iPS細胞の特許を例に、「バイオ医薬品」時代の特許戦略の考え方をわかりやすく解説しています。 「効果が低くても特許になる、低い技術的効果を狙った発明の方が権利が広くなり易い」ことを理解した要素技術出願権利化の重要性、技術動向や自社他社開発の進捗を踏まえた分割出願戦略の重要性、とても重要です。 オープンイノベーション時代の製薬バイオ市場と知財 https://webinarabc.jp/web/bio-med/?hm_ct=cad0b8ae5917eb67b722d03b1a5c8ef7&hm_cv=f7af8de9d9887e40824bb8fd7260dcbc&hm_cs=17317559285fbf139459dd30.28856876&hm_mid=mlsk&hm_id=mlsk&hm_h=a19.hm-f.jp 低分子医薬品市場では後発品の参入を抑えることが特許の主目的であった。対して、製薬バイオ市場では、オープンイノベーションによる外部技術導入が活発であり、先発品同士が同じ発明を活用した異なる医薬有効成分で市場参入し競合する構造を呈している。例えば、免疫チェックポイント阻害剤、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)、mRNAワクチンなどである。本講演では、バイオ医薬全盛期の現在において製薬バイオ市場で有用と考えられる特許出願戦略を取り上げる。 森田弁理士の特許“攻防”戦略 https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/032800019/ 「弱いのに勝てる」が戦略の面白さ。スタートアップが世界で勝つには、いかに自分たちを有利にできるか https://ipbase.go.jp/specialist/workstyle/page30.php リーガルテック株式会社主催のウェビナーにおいて、阿部隆徳弁護士の「新しい査証制度―伝家の宝刀か、錆びた刀かー(令和元年特許法改正)」と題する講演動画(約38分)を視聴しました。2022年 9⽉21⽇(水)10:00~9月28日(水)23:59まで無料で公開されています。
我が国の証拠収集手続きは脆弱であると批判されてきましたが、経団連や知財協などの反対を押し切って令和元年特許法改正において導入された査証制度について、導入に至る経緯、発令要件、手続、活用方法などについてわかりやすく解説されています。 新しい査証制度―伝家の宝刀か、錆びた刀かー(令和元年特許法改正) https://webinarabc.jp/web/bio-med/?hm_ct=cad0b8ae5917eb67b722d03b1a5c8ef7&hm_cv=f7af8de9d9887e40824bb8fd7260dcbc&hm_cs=17317559285fbf139459dd30.28856876&hm_mid=mlsk&hm_id=mlsk&hm_h=a19.hm-f.jp 査証制度:伝家の宝刀か、錆びた刀か http://www.abe-law.com/publications/newsletter/3252/ 「知財管理」72巻 9号 1033頁(2022年)「特許調査における先行技術資料および無効資料の変化」(著者 角渕由英/飛田保彦)は、世界の特許文献数と中国・インド・ASEAN等の台頭による調査対象国の増加、論文数及びジャーナルの増加、そして審査官引用にも非特許文献が引用されるケースが増加するという変化が見られ、先行技術資料または無効資料として調査すべき対象が拡大し続けている状況にどう対応すべきか論じています。
先行技術資料および無効資料を効率的に収集する手法、費用対効果の考え方など参考になります。 特許調査における先行技術資料および無効資料の変化 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=ce6e422c6fc5ac5fe44a85fda1e893c4 抄録 先行技術調査および無効資料調査は、主に発明の特許要件(新規性・進歩性等)を否定する資料の存在を確認するものである。従前は、特殊な技術領域を除いて、日本国内のみか、日本に加えて米国や欧州の特許文献を中心に調査を進めるのが主流であった。しかし、近年では、中国・インド・ASEAN等の台頭により、調査対象国が多くなってきている。また、電子ジャーナルの増加により論文数も激増している。更に、論文やホームページなどのWeb情報に留まることなく、YouTube等のSNS情報が審査官引用として挙げられるケースも見られ、先行技術資料または無効資料として調査すべき対象が拡大し続けている。このような状況について、最初に現状を整理・解説し、リソースが限られている企業の知財部門がどのように対応すべきか、留意点も含めて論ずる。 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ~特許調査のセオリー~ https://www.tectra.jp/akiyama-patent/wp-content/uploads/sites/2/2020/01/topics020.pdf 別冊「パテント」 No.27(2022)に掲載の同志社大学法学部 山根崇邦 教授の「営業秘密侵害と差止請求」が、2022年 09月 07日から先行公開されています。
「秘密であるところに価値が存する営業秘密にとって,営業秘密が侵害された場合の差止めのあり方は重要な問題である。ひとたび営業秘密が漏えいして拡散してしまうと,事実上その回収が不可能なだけでなく,その経済的価値や競争力が失われ,無価値なものになってしまうからである。それゆえ,営業秘密の不正使用をいかに防ぐことができるか,また,営業秘密を不正使用した製品の製造販売をいかに効果的に差し止めることができるかが,営業秘密保有者にとっては重要となる。もっとも,営業秘密には特許のクレーム制度のようなものがない。そのため,情報の利用を行おうとする者にとってはその保護範囲が明確とは言い難い。営業秘密と関連性が希薄な被告製品にまで差止めの範囲が広がる場合には,営業秘密の保護を超えた過剰な差止めとなるおそれがあろう。このように,営業秘密侵害と差止請求の問題をめぐっては,実効的な保護と過剰な差止めの防止のバランスをいかに実現するかが課題といえる。そこで本稿では,営業秘密侵害に対する差止請求を認容した裁判例の考え方を整理した上で,実務上問題となる論点について検討を加える。」というもので、参考になります。 営業秘密侵害と差止請求 https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/4028 営業秘密 従業員が営業秘密や情報を漏洩した場合の対応方法 https://www.home-one.jp/kigyouhoumu/compliance/eigyouhimitsu.html 営業秘密侵害と損害賠償 https://www.inpit.go.jp/content/100871116.pdf 営業秘密の民事的保護(1)‐差止請求権 https://www.businesslawyers.jp/practices/316#:~:text=%E5%96%B6%E6%A5%AD%E7%A7%98%E5%AF%86%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E7%AB%B6%E4%BA%89%E8%A1%8C%E7%82%BA%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%A1%E3%80%81%E5%96%B6%E6%A5%AD,%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82 AI Samuraiと三井住友海上火災保険が、知的財産権訴訟費用保険が無償付帯で、業界初となる『特許評価・作成サービス with 知財訴訟費用保険』を新発売するとのことです。
AI Samuraiの特許評価・作成サービスを利⽤して特許出願をし、当該特許権に関する製品・サービスに対し第三者企業から特許侵害訴訟を受けた場合、1つの特許につき最⼤100万円、訴訟提起を受けた業務に対して複数の特許権が含まれる場合、最⼤1000万円まで弁護⼠費⽤等の訴訟費⽤の⼀部が補償されとのことで、中小企業などにどれくらい利用されるのでしょうか。 特許評価・作成サービス with 知財訴訟費⽤保険 https://aisamurai.co.jp/2022/09/18/ip-insurance/ 特許訴訟に知財保険 AIサムライ、三井住友海上と共同 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC31A6E0R30C22A8000000/ エーザイのCFOだった柳良平氏が開発した「柳モデル」は、伝統的な財務諸表による開示の限界を超える、グローバルに通用する可能性のある新たな企業価値説明モデルとして、日本だけでなく海外でも注目されています。
エーザイでは、「研究開発投資を1割増やすと10年超でPBR(株価純資産倍率)が8.2%拡大」ということが、2020年の統合報告書で開示されており、TOPIX100企業についても、「研究開発投資を1割増やすと7年後のPBRが3.0%上昇」という結果がえられたとのことです。柳氏は、投資が成果として実を結ぶまでの時間を「遅延浸透効果」と呼び、非財務資本が財務資本に転換されるには時間がかかると説明しています。 「柳モデル」は日本企業全体へも適用可能か 柳 良平:早稲田大学大学院 会計研究科 客員教授、アビームコンサルティング エグゼクティブアドバイザー https://diamond.jp/articles/-/308576 柳 良平、2021年8月、『CFOポリシー〈第2版〉』中央経済社 日本コカ・コーラがキリンホールディングスの独自素材「プラズマ乳酸菌」の供給を受け、免疫ケアの機能性表示食品製品の企画および開発の開始を公表しました。
乳酸菌はホットな研究開発テーマで、2013年ごろから特許の出願件数は急増しており、「キリンの出願数は13件と22位だが、強力な商品群を作り上げることに成功した。」とされています。特許の数ではなく、特許の価値の評価が必要でしょう。 キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」の日本コカ・コーラ社への提供について 2022年9月13日 https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/0913_01.html 「プラズマ乳酸菌」を採用した製品の企画および開発の開始について https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20220913-11 キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」日本コカ・コーラに提供 9/13(火) 13:19配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/54f2173a4b25c0b8b5100155ff3e7819c8bd9575 人気沸騰の乳酸菌飲料、特許から見た勝ち組は https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00736/00040/ 石川県が14年をかけて開発した高級ブドウ「ルビーロマン」が、去年、同じ名前で生産・販売されているぶどうが韓国で見つかり苗木が流出したと見られる問題。昨年4月に施行された改正種苗法で苗木の海外への持ち出しは禁止されているが、流出は5年以上前とみられており、韓国では、別の業者が名称と品種を登録済みで、韓国で品種と商標を登録していなかった石川県は、販売差し止めができないということで、韓国産は、「1粒の重さが20グラム以上、糖度18度以上」などの日本での出荷基準を満たしていないため、ブランドイメージ低下をまねいてしまうようです。対策が望まれます。
ルビーロマン流出 知財保護体制強化急げ https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/103427 韓国で流出確認の石川県産高級ブドウ 県が国に阻止要望 https://digital.asahi.com/articles/ASQ9G7TTJQ9GPISC003.html 農林水産業の知的財産について ~主な知的財産(権)の内容及び知財ミックス~ https://www.affrc.maff.go.jp/docs/attach/pdf/intellect-21.pdf 農産物の知的財産権の強化へ 管理機関の設立を検討 農水省 2022年5月23日 https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/05/220523-58991.php 損失100億、シャインマスカット「中国流出」の痛恨 https://article.auone.jp/detail/1/3/6/7_6_r_20220910_1662755321509611 中国のファーウェイ(Huawei)の欧州特許庁での特許出願件数は1位、米国で取得した特許件数は5位、PCT国際特許出願件数は5年連続で世界一という実績からみても、「世界のイノベーション拠点はアジアに移動しており、中国は世界のイノベーションリーダーとしての地位を確立している。」という世界知的所有権機関の見方は妥当かもしれません。
「調査によると、知的財産保護に対する中国の社会的満足度は80.6ポイントに向上した。」「中国の欧州連合(EU)商工会議所のリポートによると、調査対象の企業の半数以上が、中国の知的財産権保護は「十分」または「非常に良好」と答えている。」というのは、本当かなという感じはしますが、「特許の価値評価を国家標準化」するなど、中国政府の知財の取組みには本気度が感じられます。 知的財産保護に力を入れる中国 世界経済の回復に貢献 2022年9月14日 https://www.afpbb.com/articles/-/3423372 中国、特許の価値評価を国家標準化 2022年8月16日 JETRO 香港事務所 https://www.jetro.go.jp/ext_library/1/world/asia/cn/ip/pdf/report_20220816.pdf 三菱電機は保有特許や技術を公開する「オープンテクノロジーバンク」の取り組みで、脱炭素やサーキュラーエコノミーなどの技術の紹介を増やしており、用途別に技術をまとめるカタログ形式の紹介方法を使い、紹介件数は開始初年度の21年度末に23件だったが、現在は37件となり、紹介用途数を2022年度内に40件以上にするという目標の達成が視野に入ったとのことです。今後が注目されます。
三菱電機が特許公開加速で協業したい分野 2022年09月13日 https://newswitch.jp/index.php/p/33741 三菱電機、特許公開を加速 技術紹介、協業先を探索(2022/9/8 05:00) https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00647785 オンライン営業で一手、三菱電機が公開した「ソリューションサイト」の全容 https://newswitch.jp/p/32694 三菱電機 Open Technology Bank https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/chiteki/otb/index.html 2022年1月15日 「言ったもん負け」の縦割り文化を「知財」を武器に打破する三菱電機 https://yorozuipsc.com/blog/5193860 2021年10月13日 三菱電機「OPEN TECHNOLOGY BANK」活動開始 https://yorozuipsc.com/blog/open-technology-bank 今年度の「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」は、第11回が6月27日に行われ、「知財・無形資産ガバナンスガイドラインを踏まえた取組、知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関する取組の好事例、知財・無形資産ガバナンスガイドラインの周知方策」が話し合われ、第12回(9月7日)では、「前回の議論の振り返り、今後の検討会における検討施策について」「投資家の目線から企業の開示・対話ガバナンスが評価される観点について~投資家と企業の思考構造(ロジックツリー)の突合せのために~①」が話し合われたとのことです。
その中で発表された、オムロン、旭化成の事例が公開されており、参考になります。 オムロン 1. オムロンの企業理念経営とエンゲージメント 2. 統合レポート2021を活用した対話の実績と総括 3. 統合レポート2022における知財・無形資産情報開示への挑戦 旭化成 はじめに:情報開示に関する基本的な考え方 開示媒体:知財報告書 旭化成グループ 知財戦略説明会開催 以下、知財戦略説明会 説明スライド(一部抜粋) 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第12回)事務局説明資料 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai12/siryou3.pdf オムロン株式会社 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会説明資料 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai12/siryou4.pdf 旭化成グループにおける知財投資・活用戦略の開示について https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai12/siryou5.pdf 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 第 11 回 議事要旨 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai11/gaiyou.pdf 大阪大学発バイオ企業のアンジェスは9月7日、従来型を標的にした新型コロナウイルスワクチンの開発を中止すると発表しました。今後はオミクロン型を標的にした鼻から投与するDNAワクチンを米国のスタンフォード大学と開発していくようです。残念ですね。
新型コロナウイルスのワクチンに関する、モデルナvs.ファイザー、ワクチン訴訟が気になりますが、JETRO NY 知的財産部によれば、モデルナの COVID-19 ワクチン特許訴訟に対する米国内の反応は、「誰もが知っている COVID-19 ワクチンに関する事件であることから一般的な関心は持たれているが、パンデミックが落ち着きワクチン供給も十分にされている状況であるため、これまでのところ政策的な議論には発展していない。」とのことで、日本ではまだまだ落ち着いたという感じがありませんが、パンデミックが落ち着いたため平時に戻りつつあるという証左かもしれません。 健康な人は流行株に合ったワクチンを年1回打つこととなり、インフルエンザワクチンと同じ扱いになる可能性が高いようです。 新型コロナウイルス感染症(武漢型)向け DNA ワクチンの開発中止及び新型コロナウイルス感染症の変異株に対する改良型 DNA ワクチン並びにその経鼻投与製剤の研究開始に関するお知らせ https://www.anges.co.jp/pdf_news/public/4cjqfdo3gHfLGBHdPZqaUSLCKvq3WZQN.pdf アンジェス 臨床試験中の新型コロナワクチンの開発中止を発表 2022年9月7日 19時38分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220907/k10013807981000.html アンジェス、コロナワクチン開発中止 従来型、効果乏しく https://www.nikkei.com/nkd/theme/1872/news/?DisplayType=1&ng=DGKKZO6414378008092022TB1000 2022年9月7日の発表について 本日発表したお知らせに関する説明動画と資料を公開 https://www.anges.co.jp/blog/detail.php?p=100531&page_now=1 モデルナvs.ファイザー、ワクチン訴訟のゆくえは「先端医薬ベンチャー」業界地図で際立つ存在感 石阪 友貴 : 東洋経済 記者 2022/09/11 6:30 https://toyokeizai.net/articles/-/616535 モデルナの COVID-19 ワクチン特許訴訟に対する米国内の反応 2022 年 9 月 7 日 JETRO NY 知的財産部石原、福岡 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2022/20220907.pdf 対コロナ、接種年1回に 米見通し、インフル同時も https://www.sankei.com/article/20220907-6MTTHPQHBRJ55A6UZK3I64SKFE/ 第109回知財実務オンライン:「特許権存続期間の延長登録を巡る新たな論点 ― レミッチ事件を契機として ―」(ゲスト:北海道大学大学院法学研究科博士後期課程(元・特許庁審査官)清水 紀子氏)のアーカイブ動画を視聴しました。
確かにマニアックな論点ではありますが、この延長登録出願の拒絶査定をしたご本人が、その後の審決、審決取消訴訟を含めてお話されるという稀有な講演で、大変参考になりました。 ■ 運営 日本橋知的財産総合事務所 代表弁理士 加島 広基 弁理士法人IPX 代表弁理士CEO 押谷 昌宗 https://www.youtube.com/watch?v=gu6LFDeRHNw
従来の争点
一連の判決の関係 拒絶審決取消訴訟の概要と判旨 判決の検討
医薬品等の特許権存続期間延長登録出願における「特許発明の実施をすることができなかった期間」を算定するために参酌すべき試験 : 特許法第67条の7第1項第3号の解釈 https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/78745 大好きな仕事をあきらめての再出発(2020年9月2日掲載) https://opened.network/column/column-0017/ 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ Nalfurafineの記事一覧 https://www.tokkyoteki.com/category/active-ingredient/%E2%97%86nalfurafine そーとく日記 「フリー体を有効成分とする止痒剤」特許:それでも塩酸塩を有効成分として含む止痒剤に権利行使させるべきか︖ http://thinkpat.seesaa.net/article/482223288.html 特許権の存続期間延長登録要件と 延長特許権の効力の実質的判断 ―ナルフラフィン特許訴訟を契機として― https://www.inpit.go.jp/content/100872970.pdf |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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