北大サマーセミナー2023の日程が、8月26日~29日で確定したとのことです。
今年は、特許権の年です。 現時点(2023年1月19日)では、開催方式は未定とのことですが、やはり対面が良いですね。 サマーセミナー2023の日程 https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/news/seminer2023.html 開講日 開講時間 講師 テーマ 8月26日(土) 10:00-12:30 髙部 知的財産判例の形成と発展 14:00-16:30 駒田 ビジネス環境の国際化の進展と特許権の属地性 8月27日(日) 10:00-12:30 田村 特許適格性要件の機能と意義 14:00-16:30 金子 特許権侵害による損害額の算定 ―近時の議論の焦点を中心に 16:45-17:30 韓 メタバース、AI時代における知財紛争解決方法の望ましいモデル ~紛争解決機関及び手続き等を中心に 8月28日(月) 10:00-12:30 中山 公衆衛生と特許権 14:00-16:30 𠮷田 特許法におけるパブリック・ドメインの保護 8月29日(火) 10:00-12:30 野中 数値限定発明に特有の留意点 14:00-16:30 田村 記載要件:サポート要件と実施可能要件との関係~食品官能試験・バイオテクノロジーを素材として~ *講師 髙部 眞規子(西村あさひ法律事務所弁護士) 韓 相郁(韓国 金・張法律事務所弁護士) 田村 善之(東京大学大学院法学政治学研究科教授、北海道大学名誉教授) 中山 一郎(北海道大学大学院法学研究科教授) 駒田 泰土(上智大学法学部教授) 𠮷田 広志(北海道大学大学院法学研究科教授) 野中 啓孝(弁理士法人レクシード・テック弁護士・弁理士) 金子 敏哉(明治大学法学部教授) *開催方法は未定。 *Webサイトからの「申込みフォーム」は、5月以降に利用可能となる予定です。
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改訂CGCに対応した知財KPIの策定と開示に悩んでおられる知財担当者が多いと思います。
『知財KPI策定の勘所-改訂CGC対応に向けた知財KPI策定の基礎と実践-』(知財管理 2023年1月号、株式会社知財ランドスケープCEO 山内明弁理士,高野誠司特許事務所 高野誠司弁理士)では、『知財KPIの策定に難儀し,他社の動きを様子見するとともにコーポレートガバナンス報告書等への開示を躊躇している企業を想定し,かかる状況打開の一助となるよう,知財KPI策定の基本的な考え方や事例』が紹介されています。 想定された企業だけでなく、すでにコーポレートガバナンス報告書等への開示を行っている企業にとっても、参考になるものと思います。 1. はじめに 2.改訂CGC対応実態と知財KPI開示事例 2.1 改訂CGC対応の実態 2.2 知財KPIの開示事例 3.知財KPI策定上の留意事項 4.知財KPIの策定事例 4.1 KPI項目の検討例 4.2 KPI策定事例とIPランドスケープとの関係 5.おわりに 知財管理 2023年1月号 31頁 知財KPI策定の勘所-改訂CGC対応に向けた知財KPI策定の基礎と実践- http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=ea4885b7e94520914625251454f6c220 2021年6月のコーポレートガバナンス・コード(以下、CGCと略す)改訂1)を受け、知的財産への投資等について事業戦略との整合性や実効性等の開示が実質的に義務化されたことに伴い、かかる知財活動を定量化したKPI(以下、知財KPIと略す)策定が喫緊の課題となっている。しかしながら、本稿執筆時点(2022年9月)においてもコーポレートガバナンス報告書等で知財KPIを開示している企業は僅かであり、また開示された知財KPI自体、特許件数やイノベーション投資額といった無難なものが殆どである。大半の企業が改訂CGCの趣旨を理解していても、知財KPIの策定に難儀し、他社の動きを様子見するとともに開示を躊躇している状況が窺える。そこで本稿では、かかる状況打開の一助となるよう、知財KPI策定の基本的な考え方や事例を紹介したい。 『協業相手選定におけるIPランドスケープの活用と契約交渉時における留意点』(知財管理 2023年1月号)では、
どこまで使えるようになるのかという点で疑問もありますが、協業候補の選定や交渉にIPランドスケープ指標が活用可能なことは間違いないでしょう。 目次 1. はじめに 2.仮想事例 3.IPランドスケープによる協業相手の選定 3.1 目 的 3.2 比較分析 3.3 まとめ 4.知財権の取扱いにおける協業相手との契約交渉時の留意点 4.1 仮想事例の補足 4.2 二者購買を実現するための留意点 4.3 市場独占を実現するための留意点 4.4 IPランドスケープ指標から見る,協手との交渉時における留意点 5.おわりに 協業相手選定におけるIPランドスケープの活用と契約交渉時における留意点 「知財管理」73巻(2023年) / 1号 / 90頁 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=d11b111ed0e3d4216ac35ce5e15b994e 抄 録 近年,IPランドスケープにより経営・事業に貢献する機運が高まっており,特に新規事業・用途開発での活用が期待されている。本稿では,新規事業・用途開発段階において,協業相手の選定を目的としたIPランドスケープの活用方法を検討し,更に,選定した協業相手との契約交渉上の留意点を提案する。具体的には,仮想事例を設定し,IPランドスケープにより協業相手の技術力,事業力,及び,共同開発成果の帰属に対するスタンスを予測し,協業相手を精査した。続いて,協業におけるありたい姿として二者購買や市場独占を挙げ,これを実現する上での契約交渉時における留意点を整理し,IPランドスケープで精査した協業相手に対する契約交渉時の考え方を検討した。 『イノベーション創出に貢献する「架け橋」としての知財部門のあり方』(知財管理 2023年1月号)では、『イノベーション創出に貢献する知財部門のあり方』のうち、「架け橋」としての役割にフォーカスし、『企業活動のフェーズとして,技術開発,製品・サービス開発,事業創出の3パターン』、『つなぐ相手として,社内をつなぐ,社外から社内へつなぐ,社内から社外へつなぐ,の3パターン』を想定し、3×3の計9パターンについて、考察しています。
『各企業活動のフェーズにおいて知財部門がイノベーション創出に貢献する「架け橋」を担うためには,知財業務により培われる基本的なスキルセットに加え,それぞれに応じたプラスアルファの知見や素養,それを備える人材や組織構成が重要となる。 しかし,ひとえにプラスアルファの知見や素養と言っても, 技術開発では幅広い技術知識と異なる技術分野を組み合わせるセンス, 製品・サービス開発では利害の異なる様々な部門間をつなぐコミュニケーション力やロジック構築力, 事業創出では様々な情報を俯瞰的に捉えるビジネスセンス と,知財部門が新たにコミットしようとする領域に応じて必要とされるものが異なる。』 として、それぞれに応じた『知財部門がイノベーション創出に貢献する「架け橋」となるために重要なマネジメントのポイント』が整理されているのも参考になります。 目次 1. はじめに 2. イノベーション創出に貢献する「架け橋」とは? 2.1 「架け橋」のパターン 2.2 仮説の検証 3. ヒアリング結果と考察 3.1 技術開発 3.2 製品・サービス開発 3.3 事業創出 4.「架け橋」として貢献するために(提言) 4.1 技術開発 4.2 製品・サービス開発 4.3 事業創出 5. おわりに イノベーション創出に貢献する「架け橋」としての知財部門のあり方 「知財管理」73巻(2023年) / 1号 / 78頁 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=fb87bab9e286d2ce704f2c56ed09ebf1 企業活動において知財部門がイノベーション創出に貢献する「架け橋」となるために効果的な組織・人材マネジメントを検討するため,本研究では,技術開発,製品・サービス開発,事業創出といったイノベーション創出のきっかけとなる各企業活動のフェーズと,社内部門間,社外から社内,社内から社外の技術やアイディア,情報をつなぐ相手ごとに「架け橋」のパターンを整理した。それぞれのパターンにおいて知財部門が「架け橋」として活動している企業の事例において,「架け橋」が求められる背景,知財部門の役割,活動を推進する組織・人材,情報の活用等を調査し,当該活動を成功に導くポイントを考察した。 2020年に設立された株式会社CyberneXは、富士ゼロックスの脳研究技術開発チームがスピンアウトしたブレインテックスタートアップ、独立時に国内外80件以上の関連知財を買い取っており、知財譲渡の契約は内田鮫島法律事務所の鮫島正洋弁護士が支援し、現在は技術法務担当顧問弁護士として参画しているということです。
研究開発型イノベーション創出のケーススタディとして紹介されており、参考になります。 富士ゼロックスで培った0→1の価値創造、特許戦略のノウハウを実践で社会に還元する2023.01.26 https://ascii.jp/elem/000/004/120/4120937/ 大企業スピンアウトからブレインテック/ニューロテックを牽引するユニコーンを目指すCyberneX 2023.01.20 https://www.joic.jp/cases/interview/article16.html CyberneX 脳情報を日常に解放する https://cybernex.co.jp/ 「早期審査された特許の無効性に 影響を与える要因の分析」(知財管理Vol. 73No. 1,2023)では、本稿では異議申立が早期審査された特許に及ぼす影響を解析し、「早期審査された特許は,通常審査されたものと比べて異議申立による取消決定の割合が高く,中でも拒絶査定されずに登録された特許は,拒絶査定を覆したものと比較して,取消決定の割合が高かった。更に,取消決定の割合が高かったものは,拒絶理由通知では指摘されず,異議申立で初めて申立てられたサポート要件違反が高い傾向が認められた。」と結論づけています。
そして、「早期審査の審査過程ではサポート要件違反が見過ごされやすいことを示唆している」と考察しています。そのうえで、早期審査に係るサポート要件違反の回避策について提案しています。 「明確性要件もサポート要件と同様の傾向が認められている。」とのことなので、今後の研究に期待したいと思います。 早期審査された特許の無効性に 影響を与える要因の分析 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=26c5a5c9d6c8e0da93afa204a40fcdd1 2021年版の特許行政年次報告書1)によると、早期審査制度の活用実績は上昇しており、そのニーズの高さが窺える。一方、早期審査された特許は、通常審査されたものと比較して無効審判を請求される割合が高く、無効リスクを内在していると言われている2)。また、近年、特許異議申立件数は無効審判請求件数を大きく上回り、利便性の高さが窺える。早期審査と異議申立の活用実績は、共に上昇傾向にあることから、本稿では異議申立が早期審査された特許に及ぼす影響を解析した。早期審査された特許は、通常審査されたものと比べて異議申立による取消決定の割合が高く、中でも拒絶査定されずに登録された特許は、拒絶査定を覆したものと比較して、取消決定の割合が高かった。更に、取消決定の割合が高かったものは、拒絶理由通知では指摘されず、異議申立で初めて申立てられたサポート要件違反が高い傾向が認められた。本稿では、早期審査に係るサポート要件違反の回避策についても提案する。 「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」が開催され、メタバースのエコシステムと法的課題(ルール形成)等について、課題把握と論点整理が3つの分科会で進められています。
【第一分科会】 〇現実空間と仮想空間を交錯する知財利用、仮想オブジェクトのデザイン等に関する権利の取扱いについて 【第二分科会】 〇アバターの肖像等に関する取扱いについて 【第三分科会】 〇仮想オブジェクトやアバターに対する行為、アバター間の行為をめぐるルールの形成、規制措置等の取扱いについて 分科会での論点整理を受け、さらに必要に応じて官民一体となったソフトローの整備等について検討するようですが、新聞報道によれば、政府が今国会に特許法や不正競争防止法など知財関連6法の改正案を提出する予定で、不正競争防止法改正案では、仮想空間「メタバース」などにおけるデジタル上の模倣品を規制する内容なども盛り込む考えだと報じられています。国境のないメタバース空間におけるルール形成も課題に挙げられており、国内の法整備と国際調和も期待しています。 なお、公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)が、令和5年2月17日に第21回国際シンポジウム「メタバースと独占禁止法・競争政策」を開催するとのことです。 メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議 第一分科会(第1回)議事次第(1月13日 首相官邸) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kanmin_renkei/dai1bunkakai/dai1/gijisidai.html 模倣行為の差し止め請求権、メタバースも対象へ 知的財産の改正法案(1月17日 朝日新聞) https://digital.asahi.com/articles/ASR1K565WR1KUTFK009.html メタバースでも模倣品規制 政府、知財デジタル化に対応(1月17日 日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA171W30X10C23A1000000/ メタバース上の模倣品を規制 政府、関連改正法案を国会提出へ(1月18日 共同通信) https://www.47news.jp/8825208.html 令和5年2月17日 第21回国際シンポジウム「メタバースと独占禁止法・競争政策」の開催について https://www.jftc.go.jp/cprc/events/symposium/2022/230217sympo.html 公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)は、令和5年2月17日(金)に、以下のとおり、第21回国際シンポジウムを開催いたします。 1 開催趣旨 メタバースは今後一層の発展が予想されるサービスであり、統一的な定義は未だ定まっていないものの、その多くは、仮想空間内において、ユーザーが自らのアバターを用い、様々なコンテンツ等を制作・消費し、現実世界と同様に他のユーザーと交流することが可能であるという性質を有します。 メタバースはユーザーに対して新しい体験を提供することが期待される一方で、デジタル市場における革新的なサービスであるために、様々な法律上の論点に関して議論が必要であることが指摘されています。 メタバースと独占禁止法・競争政策に関しては、メタバース運営者がサービスの提供に当たって反競争的な行為を行う可能性が海外において指摘され、また、メタバースに関連する分野における海外競争当局の執行活動も見られつつあります。 今後の発展が見込まれるメタバースではありますが、我々の生活に大きな影響を与える可能性があることから、デジタル・プラットフォームへの独占禁止法の適用の経験を踏まえ、メタバースと独占禁止法・競争政策の関係について議論を始めることは重要です。 本シンポジウムでは、メタバースの実態等を踏まえ、メタバースと独占禁止法・競争政策がどのように関係してくるのかを探り、競争上の問題が生じる可能性について広く理解していただくことを目的として、有識者による講演やパネルディスカッションを行います。 2 日時・会場 タイトル 「メタバースと独占禁止法・競争政策」 日 時 令和5年2月17日(金曜)16時30分~18時30分 会 場 イイノホール/オンライン開催(ライブ配信)同時開催 →地図(外部サイトへリンクします) 開催言語 日本語⇔英語(同時通訳あり) 参加料 無料 主催者 公正取引委員会競争政策研究センター 共催者 株式会社日本経済新聞社、公益財団法人公正取引協会 令和5年1月17日(火)に行われた「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第18回)議事次第の事務局説明資料によれば、2月中旬には、昨年しめされた「知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.1」の改訂版として、「知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2」の案がパブリックコメントにかけられるようです。
事務局資料は、企業は『経営者が自ずから、自社の経営戦略等に応じ、知財・無形資産投資を ①全体戦略や経営改革と繋がるストーリーの中で説明する ②具体的な企業価値向上のKPIとつなげて説明する ③企図する因果パスの中で説明する 等の必要性があるのではないか。』としており、ストーリー(企業変革への道筋:知財・無形資産投資を、全体戦略や経営改革と繋がるストーリーの中に位置付け、キャピタルアロケーションとして、自社の戦略を成立させる重要な要素として示し、Unlock Valueに寄与)、ROIC逆ツリー(繋がり・進捗検証:「アセット」としての知財・無形資産や、それを生み出す「組織能力」と、利益率の向上や企業価値(PER等)の関係を紐づけて示す)、企図する因果パス(ロジック:知財・無形資産による製品・サービスの独自性・優位性・持続可能性について、トラックレコード等も踏まえ、関係性をもって語る)が求められそうです。 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第18回)事務局説明資料 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai18/siryou3.pdf 今後の検討の進め方(現時点の見込み) 第18回(1月17日) 改訂版ガイドラインの方向性、骨子案について 第19回(1月下旬から2月上旬(P)) ガイドラインの改訂案 第20回(2月14日) ガイドラインの改訂案(⇒パブリックコメント)普及促進の取組みについて 第21回(3月下旬(P))ガイドラインの改訂案(パブリックコメント後) 特許庁が運営するポータルサイト「IP BASE」に掲載されている「投資家向けの知財ホワイトペーパー」は、
1. 投資家による知的財産支援の意義とは 2. 投資家による知財戦略支援とは 3. ラウンド別のよくある落とし⽳ 4. IPAS 知財メンター、知財アソシエイトメンター紹介 5. メンターインタビュー情報 という内容で、スタートアップと仕事をすることを考えている人にとって参考になります。 スタートアップ投資の落とし穴とは? IP BASE、「投資家向けの知財ホワイトペーパー」公開 2023年01月20日 https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/121/4121377/ スタートアップに投資を行う投資家必見 特許庁が運営するポータルサイト「IP BASE」が 投資家向けの知財ホワイトペーパーを公開 2023.01.20 https://www.atpress.ne.jp/news/342437 特許庁が開設している知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」は、スタートアップに投資を行う投資家向けに知財戦略の基本的なポイントについて、「よくある知財の落とし穴とその対策」をラウンド別にわかりやすく解説したホワイトペーパーを1月20日に公開しました。 知財戦略のポイントだけでなく、2021年度のIPAS(知財アクセラレーションプログラム)の知財メンター、知財アソシエイトメンターの所属や得意分野がわかるインデックスも記載しています。 投資家のための知財ホワイトペーパー https://ipbase.go.jp/learn/wp-forvc/ ベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引 https://www.jpo.go.jp/support/startup/document/index/venture_tebiki.pdf 本書の特徴は以下の3点です。 ①投資家向けに書かれた初めての知的財産に関する手引きであること ②投資の際に実際に起きたリアルな落とし⽳を集めていること ③国内外の事例を取り扱っていること 1月16日、日本取締役協会が発表した、コーポレートガバナンスを用いて、中長期的に健全な成長を遂げている企業を応援する「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」の2022年度受賞企業は、Grand Prize Companyが株式会社 日立製作所、Winner Companyが株式会社 野村総合研究所、株式会社 村田製作所、特別賞・経済産業大臣賞が株式会社 荏原製作所、特別賞・東京都知事賞が株式会社 クボタでした。
選定理由をみると、なるほどと思います。 コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー®2022 受賞企業/受賞者発表 https://www.jacd.jp/news/cgoy/230116_2022-1.html 2023年1月16日 日本取締役協会は、企業表彰コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーの2022年度受賞企業/受賞者を決定しました。 本表彰は、コーポレートガバナンスを用いて、中長期的に健全な成長を遂げている企業を応援するため、2015年より開設されました。 受賞企業 Grand Prize Company 株式会社 日立製作所 Winner Company 株式会社 野村総合研究所 株式会社 村田製作所 特別賞・経済産業大臣賞 株式会社 荏原製作所 特別賞・東京都知事賞 株式会社 クボタ 石灰石を主原料とした新素材「LIMEX」で234億円の資金を調達し、グローバルでの事業拡大を進めているスタートアップ「株式会社TBM」が注目されています。
「合計234億円もの資金調達につながった特許戦略」が経営トップと知財担当から語られていて参考になります。 合計234億円もの資金調達につながった特許戦略とは 株式会社TBM代表取締役CEO 山﨑 敦義氏インタビュー 特集 STARTUP×知財戦略 2023.01.19 https://ascii.jp/elem/000/004/120/4120892/ 株式会社TBMは、環境に配慮した新素材の開発・製造・販売と資源循環の2つのビジネスを展開。石灰石を主原料とした新素材「LIMEX」(ライメックス)の開発に知財と連携した体制を構築し、世界40カ国以上で特許を取得。知財に裏打ちされた技術力を武器に合計234億円の資金を調達し、グローバルでの事業拡大を進めている。こうした知財の活用が評価され、令和4年度の知財功労賞を受賞。株式会社TBM代表取締役CEOの山﨑 敦義氏と同社の知財を担当する中村 宏氏に、スタートアップにおける知財活用と社内の知財体制について伺った。 知財戦略どうやって取り組んでいるの︖ 株式会社TBM https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol54/03_page1.html 株式会社 TBM 関連する知財 https://www.shogipremium.jp/live/121 58歳、ベンチャー正社員、ひろしの挑戦。 https://www.media.tb-m.com/332/ BM、知財活用ベンチャーとして「知財功労賞 経済産業大臣表彰」を受賞 ~ LIMEX のグローバル展開における知的財産活用の取り組みを評価~ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000241.000016815.html 日本の特許分析と素材戦争 期間限定WEBINAR 20/12/2022 https://yorozuipsc.com/blog/-webinar 発明の効果をクレームアップするやり方が注目されています。
請求項中に記載された「効果」が発明特定事項と認められた裁判例における発明では、クレームアップされた「効果」が、物(の構成、用途等)を、更に特定するものであるものが大多数で、請求項中に記載された「効果」が発明特定事項と認められなかった裁判例における発明では、クレームアップされた「効果」が、物(の構成、用途等)を、更に特定するものではないため、発明特定事項と認められなかったと考えられます。 令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」事件では、『請求項1の「噴射製品」及び請求項3の「噴射方法」の各記載事項に、それぞれ「粘膜への刺激が低減された」又は「粘膜への刺激を低減する」という作用に係る記載事項を加える訂正(訂正事項1及び2)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものか。』が争点となり、 『本件明細書には、本件訂正前の請求項1及び3の上記各構成にした場合であっても、「粘膜への刺激の低減」の作用効果を奏しない場合があることについての記載も示唆もない。』として、『訂正事項1及び2により加えられた「粘膜への刺激が低減された」又は「粘膜への刺激を低減する」という作用に係る記載事項は、本件訂正前の請求項1及び3の上記各構成によって奏される作用効果を記載したにすぎないものであるから、訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項1及び3の各発明に係る特許請求の範囲を狭くしたものと認めることはできない。したがって、訂正事項1及び2は、「特許請求の範囲の減縮」…を目的とするものと認めることはできない…。』としました。 発明の効果をクレームアップする場合には注意すべき事項でしょう。 【特許】効果のクレームアップ(進歩性) https://www.youtube.com/watch?v=-w3mbeWXA_M 令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」(知的財産高等裁判所 令和4年8月4日) 1月4日(水)配信 https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-01-04-5572 令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」(知的財産高等裁判所 令和4年8月4日) https://www.soei.com/%e7%89%b9%e8%a8%b1%e3%80%80%e4%bb%a4%e5%92%8c%ef%bc%93%e5%b9%b4%ef%bc%88%e8%a1%8c%e3%82%b1%ef%bc%89%e7%ac%ac%ef%bc%91%ef%bc%90%ef%bc%90%ef%bc%99%ef%bc%90%e5%8f%b7%e3%80%8c%e5%99%b4%e5%b0%84%e8%a3%bd/ 令和3年(行ケ)第10090号 判例要旨 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/366/091366_point.pdf ○ 発明の名称を「噴射製品および噴射方法」とする発明に係る特許の無効審判におけ る訂正請求が「特許請求の範囲の減縮」(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目 的とするものと認められず、審決には訂正要件の判断に誤りがあるとして、審決が取り 消された事例。 (事件類型)審決(取消・不成立)取消 (結論)審決取消 (関連条文)特許法134条の2第1項ただし書1号 (関連する権利番号等)特願2018-509670号 (審決 ) 無効2020-800014号 判 決 要 旨 1 原告は、被告が特許権を有する発明の名称を「噴射製品および噴射方法」とする発明 に係る本件特許について無効審判を請求した。被告が本件特許について訂正請求(以下 「本件訂正」という。)をしたところ、特許庁は、本件訂正を認めた上で、「本件審判の 請求は、成り立たない。」との審決をした。 2 本判決は、要旨次のとおり判断し、本件訂正の訂正事項1及び2は「特許請求の範囲 の減縮」(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とするものと認められず、 本件審決には訂正要件の判断に誤りがあるとして、本件審決を取り消した。 ⑴ 訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項1の「噴射製品」及び請求項3の「噴射 方法」の各記載事項に、それぞれ「粘膜への刺激が低減された」又は「粘膜への刺激 を低減する」という作用に係る記載事項を加えたものと認められる。 しかるところ、本件明細書の「粘膜への刺激の低減」に関する各記載によれば、本 件明細書には、「粘膜への刺激の低減」の作用効果は、本件訂正前の請求項1の「前 記噴口から15cm離れた位置における噴射された前記害虫忌避組成物の50%平均 粒子径r15と、前記噴口から30cm離れた位置における噴射された前記害虫忌避 組成物の50%平均粒子径r30との粒子径比(r30/r15)が、0.6以上と なるよう調整され」との構成又は本件訂正前の請求項3の「前記噴口から15cm離 れた位置における50%平均粒子径r15と、前記噴口から30cm離れた位置にお ける50%平均粒子径r30との粒子径比(r30/r15)が、0.6以上となり」 との構成によって奏することの開示があることが認められる。一方で、本件明細書に は、本件訂正前の請求項1及び3の上記各構成にした場合であっても、「粘膜への刺 激の低減」の作用効果を奏しない場合があることについての記載も示唆もない。 そうすると、訂正事項1及び2により加えられた「粘膜への刺激が低減された」又 は「粘膜への刺激を低減する」という作用に係る記載事項は、本件訂正前の請求項1 及び3の上記各構成によって奏される作用効果を記載したにすぎないものであるか ら、訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項1及び3の各発明に係る特許請求の範 囲を狭くしたものと認めることはできない。 ⑵ したがって、訂正事項1及び2は、「特許請求の範囲の減縮」(特許法134条の 2第1項ただし書1号)を目的とするものと認めることはできない。 本件審決には、本件訂正の訂正要件の判断に誤りがあり、この判断の誤りは、本件 特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明の要旨認定の誤りに帰するか ら、本件審決は取り消されるべきものである。 令和4年8月4日判決言渡 令和3年(行ケ)第10090号 審決取消請求事件 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/366/091366_hanrei.pdf IPジャーナル第23号に、「リコーにおけるIPランドスケープの取り組み」が紹介されていました。
リコーグループは、複写機やプリンタなどのOAメーカーからデジタルサービスの会社への大きな事業転換を進めており、この事業転換に合わせて知財戦略も変化させています。IPランドスケープの取り組みがこの知財戦略の変化の中核のひとつであることがよくわかります。 「IPランドスケープの自己評価」について一部開示されていることも参考になります。
図3 リコーグループの知財戦略
図5 ステークホルダーマップ 図6 知財情報解析の取り組み事例 図7 解析メニュー 図8 IPランドスケープの自己評価
図10 科学研究費からの将来有望領域の探索 図11 lPランドスケープの進化した取組み IPジャーナル 第23号 (第15回)リコーにおけるIPランドスケープの取り組み 石島 尚 株式会社リコー プロフェッショナルサービス部 知的財産センター(エキスパート) http://fdn-ip.or.jp/ipjournal/latest.php リコーグループは、複写機やプリンタの提供を通じてお客様のオフィスでのデジタル化をお手伝いしてきた。人々の生活や働き方が大きく変化している中、OAメーカーからデジタルサービスの会社への事業転換を進めている。さらにその先の未来を描き、2036年ビジョン「"はたらく"に歓びを」作り出す会社になるための挑戦も行っている。本稿では、リコーグループのIPランドスケープの取り組みを、このような事業転換に合わせて変化させている知財戦略と共に紹介する。 リコーグループ 知的財産への取り組み https://jp.ricoh.com/technology/rd/ip リコーグループは、技術開発の成果である知的財産を重要な経営資産のひとつと捉えています。事業戦略、技術戦略に基づく価値ある知的財産の創出を奨励すると共に、事業の保護と成長に貢献する知的財産の獲得と活用に取り組んでいます。 知的財産の獲得状況 日本公開特許件数 2,140件(2021年度) 日本保有特許件数 15,372件(2022年3月末現在) 海外保有特許件数 22,105件(2022年3月末現在) 活動内容 活動体制 知的財産活動を支える組織能力向上への取り組み 知的財産情報解析の取り組み 開放特許への取り組み 社会貢献 知的財産活動を通じたSDGsへの貢献 マテリアリティに対する取り組み事例 WIPO GREENへの参画 表彰 リコー グループ統合報告書2022 https://jp.ricoh.com/-/media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/about/integrated-report/pdf2022/all_J_spread.pdf?rev=81aa6d290ef3408397316c8ba9d3323e 知的資本 デバイスの開発力や共創プラットフォーム(RSI)、 さらには社内実践で培ったノウハウが強み これまで培ってきたエッジデバイスの技術力(画像処理技術、光学技術)や開発力、生産能力は、デジタルサービスの会社としてお客様の“はたらく”をデータ化するエッジデバイスを提供する上で大切な力です。共創プラットフォーム(RICOH Smart Integration; RSI)の強化によりデジタルとデータの利活用を促進します。 デジタル技術を活用した業務プロセス改革を間接業務だけでなく開発、生産などの現場も含め全社で実践するなど自ら培ったノウハウのもと、お客様のオフィスの生産性向上に長年貢献してきました。 事業戦略、技術戦略に基づく価値ある知的財産の創出を奨励するとともに、事業成長に貢献しうる知的財産の獲得と活用に取り組んでいます。 ・特許保有権利数 約40,000件 ・研究開発費 967億円 スタートアップ連携にかかるリコー、デンソーの事例 14/12/2022 https://yorozuipsc.com/blog/4460174 リコー対ディエスジャパン 再生トナーカートリッジ訴訟 21/11/2022 https://yorozuipsc.com/blog/7082333 リコーにおけるIPランドスケープの取組と課題 9/11/2021 https://yorozuipsc.com/blog/ip7661624 リコーのビッグデータ解析の取組 15/6/2021 https://yorozuipsc.com/blog/8061275 リコーのIPランドスケープ 21/5/2021 https://yorozuipsc.com/blog/ip1839990 1月13日に行われた進歩性に関する東北大学知財セミナーを聴講しました。
【東北大学知財セミナー】ご案内 https://www.rpip.tohoku.ac.jp/jp/property/chizai-seminar.html まず、進歩性の論点に関する第31回東北大学知財セミナーへの導入として、特許庁で平成26年4月-平成27年9月、特許・実用新案審査基準および審査ハンドブックの全面改訂業務にプロジェクトリーダとして従事された東北大学大学院法学研究科 戸次一夫 教授から、「進歩性の審査基準のポイント解説」がありました。非常に上手な説明でした。 第30回 東北大学知財セミナー「進歩性の審査基準のポイント解説」 https://peatix.com/event/3419524/view 次に、中村合同特許法律事務所 高石秀樹 弁護士から、第31回東北大学知財セミナー「進歩性の全論点(+各論点毎のポイント整理、他の特許要件との関係、諸外国移行を踏まえた出願戦略)」がありました。高石秀樹 弁護士は、特許裁判例を全件チェックし、書籍『特許裁判例事典(第3版)』を執筆されており、進歩性に関する全論点を網羅的に、特許法上の他の論点との相同性、更に各論点についての諸外国との対比も説明されました。高石秀樹 弁護士は、YouTube「弁護士・高石秀樹の特許チャンネル」で、20年間にわたる特許侵害訴訟・特許審決取消訴訟の経験と、特許裁判例事典・意匠裁判例事典を執筆した網羅的な裁判例情報に基づいて、知財実務に役に立つ情報を提供されていますが、最新版となっていました。 第31回 東北大学知財セミナー「進歩性の全論点(+各論点毎のポイント整理、他の特許要件との関係、諸外国移行を踏まえた出願戦略)」 https://peatix.com/event/3419526/view YouTube「弁護士・高石秀樹の特許チャンネル」 https://www.youtube.com/@tokkyo 東北大学知財セミナーは、次回以降も魅力的なセミナーを企画されています。 第32回 東北大学知財セミナー「事件から見えて来る秘密管理性の課題/営業秘密管理の基本事項と組織に求められる具体的な対策」 https://peatix.com/event/3419527/view ◆セミナーの内容 管理レベルを上げることによって企業秘密を、不正競争防止法で規定されている営業秘密として守ることができます。図面、製造ノウハウ、顧客名簿などは、営業秘密として守るべき情報です。 警察庁からは、警察が検挙した実際の事例を踏まえ、漏洩事故が起きた際の営業秘密侵害事犯の立証ポイント、秘密管理措置や営業秘密侵害事犯発生時の対処要領について説明するとともに、INPITからは、日常的に、企業の現場で秘密管理を指導している知財戦略アドバイザーが、これまでの経験に基づき、権利化と秘匿化、営業秘密管理の重要事項、管理体制構築実務に関する重要ポイントを解説します。 ◆講師 警察庁生活安全局 大野 則幸 生活経済対策管理官付 不正商品係長 独立行政法人 工業所有権情報・研修館 (INPIT) 小原 荘平 知財戦略アドバイザー ◆日時 2023年2月1日(水)15:00-16:30(開場:14:50) 第33回 東北大学知財セミナー「データの戦略的利活用と知財戦略」 https://peatix.com/event/3419528/view ◆セミナーの内容 データに関して法的に誤った理解を前提とする契約がまだまだ散見されています。そこで、データの取扱いに関する契約の具体的な条項を踏まえて、正しいデータ法務をご説明させて頂きます。加えて、具体的なデータの利活用スキーム(データプラットフォーム)をご紹介し、そのスキームに含まれる法的な論点や知財戦略もご説明させて頂きます。 ◆講師 iCraft法律事務所 内田 誠 弁護士・弁理士 ◆日時 2023年2月21日(火)15:00-16:30(開場:14:50) 令和4年(行ケ)第10019号「多角形断面線材用ダイス」事件は、『発明の名称を「多角形断面線材用ダイス」とする発明について、発明特定事項における「略多角形」は第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとして、特許無効審判請求を不成立とした審決を取り消した事例』です。
「約、略、実質的に」など表現は便利ですが、やはり、こういう判決を見ると、できる限り「略」のような表現の使用は避けた方がよいですね。どうしても使用しなければいけないような場合には、客観的にその範囲が理解できる程度に明細書及び図面に記載しておくことを考えるべきです。 知財高裁令和4(行ケ)10019号(令和4年11月16日判決) : 理系弁護士の何でもノート2 2023/01/13 https://iwanagalaw.livedoor.blog/archives/17705338.html 令和4年(行ケ)第10019号「多角形断面線材用ダイス」(知的財産高等裁判所 令和4年11月16日) 2022.12.20 https://www.soei.com/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%80%80%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%88%E8%A1%8C%E3%82%B1%EF%BC%89%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%99%E5%8F%B7%E3%80%8C%E5%A4%9A%E8%A7%92%E5%BD%A2/ 令和4年(行ケ)第10019号 判決要旨 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/532/091532_point.pdf (事件類型)審決(無効不成立)取消 (結論)審決取消 (関連条文)特許法36条6項2号 (関連する権利番号等)特許第6031654号 (審決)無効2020-800043号 判 決 要 旨 1 本件は、発明の名称を「多角形断面線材用ダイス」とする本件発明1ないし12(本 件各発明)についての特許無効審判請求を不成立とした審決(本件審決)に対する取消訴 訟である。本件審決は、本件各発明の「略多角形」は明確であると判断した。 2 本件発明1(なお、本件発明2ないし12も、発明特定事項に「略多角形」を含むも のである。) 略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイスを保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形 状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダーと、 内部に収納された潤滑剤が材料線材に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線 材が引き込まれるボックスと、を含む引抜加工機であって、 前記引抜加工用ダイスのベアリング部の開口部は略多角形の断面形状を有し、 前記開口部の断面形状は前記材料線材の引抜方向に沿って同じであることを特徴とする 引抜加工機。 3 本判決は、以下のとおり、本件各発明の「略多角形」が明確であるとした本件審決の 判断には誤りがあるとして、本件審決を取り消した。 本件各発明の「略多角形」の意義 特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載によると、本件各発明の「略多角形」とは、 本件各発明の効果(ダイスのベアリング部の開口部(以下「開口部」という。)の角部に 潤滑剤がたまりにくくなること)を得るため、「基礎となる多角形断面」の角部の全部又 は一部を円弧、鈍角の集合又は自由曲線に置き換えた図形(以下、角部を円弧、鈍角の集 合又は自由曲線に置き換えることを「角部を丸める」などといい、角部に生じた円弧、鈍 角の集合又は自由曲線を「角部の丸み」などということがある。)をいうものと解するこ とができる。そして、特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載によると、「基礎とな る多角形断面」とは、従来技術における開口部(角部を丸める積極的な処理をしていない - 2 - もの)の断面を指すものと解されるから、結局、本件各発明の「略多角形」とは、本件各 発明の上記効果を得るため、その角部を丸める積極的な処理をしていない開口部につき、 その角部の全部又は一部を丸める積極的な処理をした図形をいうものと一応解することが できる。 「略多角形」と「基礎となる多角形断面」との区別 前記 のとおり、本件各発明の「略多角形」は、「基礎となる多角形断面」の角部の全 部又は一部を丸めた図形をいうものと一応解されるから、両者の意義に従うと、両者は、 明確に区別されるべきものである。 しかしながら、証拠及び弁論の全趣旨によると、ワイヤー放電により、その断面形状が 多角形である開口部を形成するくり抜き加工をした場合、開口部の角部には、不可避的に 丸みが生じるものと認められる。そうすると、「基礎となる多角形断面」も、くり抜き加 工をした後の開口部の断面である以上、角部が丸まった多角形の断面であることがあり、 その場合、客観的な形状からは、「略多角形」の断面と区別がつかないことになるから、 本件各発明の「略多角形」は、「基礎となる多角形断面」と区別するのが困難であり、本 件各発明の技術的範囲は、明らかでない。 「略多角形」の角部の形状 開口部の角部の丸みについては、その曲率半径がどの程度まで小さければ不可避的に生 じる丸みであるといえ、どの程度より大きければ不可避的に生じる丸みを超えて積極的に 角部を丸める処理をしたものであるといえるのかを客観的に判断する基準はないし、また、 当該曲率半径がどの程度を超えれば本件各発明の上記効果が得られるようになるのかは、 客観的に明らかとはいえないから、本件各発明の「略多角形」については、特許請求の範 囲の記載、本件明細書の記載及び本件出願日当時の技術常識を踏まえても、「基礎となる 多角形断面」の角部にどの程度の大きさの丸みを帯びさせたものがこれに該当するのかが 明らかでなく、この点でも、本件各発明の技術的範囲は、明らかでないというべきである。 以上のとおり、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載によ ると、本件各発明の「略多角形」とは、本件各発明の上記効果を得るため、その角部を丸 める積極的な処理をしていない開口部につき、その角部の全部又は一部を丸める積極的な 処理をした図形をいうものと一応解することができるものの、客観的な形状からは、本件 各発明の「略多角形」と「基礎となる多角形断面」とを区別することができず、また、「基 礎となる多角形断面」の角部にどの程度の大きさの丸みを帯びさせたものが本件各発明の 「略多角形」に該当するのかも明らかでなく、本件各発明の技術的範囲は明らかでないと いうほかないから、本件各発明の「略多角形」は、第三者の利益が不当に害されるほどに 不明確であると評価せざるを得ず、その他、本件各発明の「略多角形」が明確であると評 価すべき事情を認めるに足りる証拠はない。 令和4年11月16日判決言渡 令和4年(行ケ)第10019号 審決取消請求事件 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/532/091532_hanrei.pdf 「年報知的財産法2022-2023」の[2022年判例の動向]「判例の動き 1.特許法・実用新案法 1 クレーム充足性 (2)均等侵害」で、令和3年(ネ)第10040号差止請求権不存在確認請求控訴事件〔学習用具事件〕が、『均等侵害を是認した高裁判決であり、被疑侵害品が特許発明にはない作用効果を生じている場合について、当該特許発明に係る効果を奏した上で「付加的な効果」を生じさせるものにすぎず、均等の第 2 要件の充足性に影響しないと判断した点で実務上参考となる。』として、とりあげられています。
本判決では、『…均等の第2要件における「作用効果」は,特許発明の出願時における従来技術と特許発明との対比により確定されるものであって,基本的には,明細書の「発明の効果」の項の記載に基づいて確定されるべきものであるところ,本件明細書の「発明の効果」の欄には,「楽しみを感じながら知らず知らずに特定の国家や自治体,行政単位に関連する地域の地図上の形状,又は該地域を象徴する国旗,シンボルマーク等の模様,等の記憶対象が憶えられる。」(【0059】)と明記されており,原告製品を使用したコンピューターにおいても,イラスト画,形状・イラスト画,都道府県形状画が,これに対応する語句の音声データと同期して再生されることで,都道府県の形状を覚えることができるのであって,本件発明の効果を奏するものということができ,組画を地方単位でしか選択できない(都道府県単位で選択できない)からといって,上記効果を奏しないとはいえない。また,原告製品を使用したコンピューターにおいて,イラスト画,形状・イラスト画,都道府県形状画以外に都道府県位置画が存在することは,既に説示したとおり,本件発明の効果を奏した上で付加的な効果を生じさせるものにすぎず,均等の第2要件を充足しないという根拠となるものではない。』均等と論第2要件が成立する旨判示しています。 『(ⅰ)本件特許発明の課題の解決に関する「作用効果」と、(ⅱ)更に付加して認められる「作用効果」や実施例特有の「作用効果」を、区別して議論すべきである。これらを「作用効果」の程度という土俵で議論して、(ⅱ)の効果はなくても(ⅰ)という程度の効果は奏していると議論しても、認められない傾向にある。』という、下記、高石秀樹弁護士の解説とあわせて読むと参考になります。 【特許★】対象製品が奏する効果は「本件発明の効果を奏した上で付加的な効果を生じさせるもの」に過ぎないとして、均等論第2要件を認めた事例 2022年03月28日 https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%E3%80%90%E7%89%B9%E8%A8%B1%E2%98%85%E3%80%91%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%81%8C%E5%A5%8F%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%9C%AC%E4%BB%B6%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%AE/ 令和3年(ネ)10040【学習用具】<菅野> 均等成立 第2要件 https://ameblo.jp/hideki-takaishi/entry-12707440969.html 令和3年10月14日判決言渡 令和3年(ネ)第10040号差止請求権不存在確認請求控訴事件(原審・大阪地 方裁判所平成31年(ワ)第3273号) https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/090634_hanrei.pdf ソフトウェア関連発明特許に係る判例紹介 ~進歩性欠如の無効の抗弁は認めず均等侵害を認めた裁判例~ 令和3年(ネ)第10040号 https://knpt.com/contents/software/software2022.01.21.pdf コロナ禍、米中対立泥沼化という厳しい状況下でも、中国の技術力は競争力を高めていることを、日経ビジネス 2023年1月16日号「チャイノベーション2023 中国 技術覇権の今」は、説得力ある解説となっています。
特に、知財ランドスケープが分析に協力した「PART1 コロナ禍でも研究開発の手緩めず 知財分析で浮き彫り、中国EV躍進の秘訣」は、知財分析、IPランドスケープの有用性を見せています。 「PART4 ゼロコロナ大転換でリスク再認識 「予見不可能な国」との付き合い方」では、「予見不可能な国」との付き合い方として、3つの対応をすすめています。 「技術漏洩を前提に事業を展開する」 「撤退条件をあらかじめ決めておく」 「複線的な体制の構築」 確かにその通り。 日経ビジネス 2023年1月16日号 チャイノベーション2023 中国 技術覇権の今 https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00204/ PART1 コロナ禍でも研究開発の手緩めず 知財分析で浮き彫り、中国EV躍進の秘訣 EV(電気自動車)大国への道を突き進む中国。コロナ禍中、関連特許の出願数は中国勢が倍増した。知財分析や研究開発、ものづくりを支える頭脳の実力を探る。 PART2 米中対立が翻弄、「半導体」の今 米規制で打撃もパワー半導体に活路 中国に対する米国の半導体輸出規制が厳しさを増している。ロジックやメモリーといった主要技術の成長にストップがかかりそうだ。足元ではパワー半導体など、先端技術を必要としない領域への投資が拡大する。 PART3 プリンター、工作機械、医療機器……「製造強国」実現へ禁じ手も辞さぬ執念 2015年にハイテク振興策「中国製造2025」を掲げた中国。「製造強国」を目指し、貪欲に先端技術の獲得に動いている。プリンターに工作機械、医療機器まで、チャイノベーションの今を見ていく COLUMN 中国スタートアップ「冬の時代」の生き残り方 医療・メタバースに脚光 景気低迷や政府の締め付けで、投資環境が厳しさを増すスタートアップ業界。投資の選別が進む中、医療やメタバース関連に資金が集まっている。 PART4 ゼロコロナ大転換でリスク再認識 「予見不可能な国」との付き合い方 堅持してきた「ゼロコロナ政策」をいきなり大転換するなど、中国ビジネスには予見不可能なリスクが付きまとう。切っても切り離せない「世界の工場」「世界の市場」とどう向き合うべきか。日本企業の成功の条件を探る。 公正取引委員会は、1月13日、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(案)を公表しました。2月15日まで意見募集をしています。
「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(案)では、 「グリーン社会の実現に向けた事業者等の取組は基本的に独占禁止法上問題とならない場合が多い。一方、事業者等の取組が価格・数量、技術等を制限し、事業者間の公正かつ自由な競争を制限する効果のみを持つ場合、それが名目上はグリーン社会の実現に向けた事業者等の取組であったとしても、独占禁止法上問題となる。また、事業者等の取組に競争制限効果が見込まれつつ競争促進効果も見込まれる場合、当該取組の目的の合理性及び手段の相当性(より制限的でない他の代替手段があるか等)を勘案しつつ、当該取組から生じる競争制限効果と競争促進効果を総合的に考慮して、独占禁止法上の問題の有無について判断される。」としたうえで、「独占禁止法上問題とならない行為」及び「独占禁止法上問題となる行為」等の想定例を示しつつ、考え方を説明しています。 考え方は、以下の五つの部分により構成されています。 第1 共同の取組 第2 取引先事業者の事業活動に対する制限・取引先の選択に係る行為 第3 優越的地位の濫用行為 第4 企業結合 第5 公正取引委員会への相談について 第1~第4は、それぞれ、総論、問題とならない行為、問題となる行為、(留意を要する行為)、想定例が説明され、第5は、相談手続の案内、相談を迅速・円滑に進めるために望まれる準備、相談窓口の案内となっています。 指針案では75の事例が示されています。 例えば、「第1 共同の取組」では、下記のように記載されています。 「原則として独占禁止法上問題となる共同の取組の想定例としては、以下のようなものが挙げられる <独占禁止法上問題となる行為の想定例> (温室効果ガス削減に係る費用の徴収の共同実施) ○ 役務Aを提供する事業者X、Y及びZは、役務Aの提供に当たって排出される温室 効果ガス削減の方法を議論するための作業部会を立ち上げた。当該作業部会において、 各種対策を行うために一定のコスト増が見込まれることが判明したことから、役務A の提供に当たって共通の温暖化対策費を需要者から徴収することを決定した。 (生産量の制限) ○ 商品Aの製造販売業者により構成される事業者団体Xは、商品Aの製造過程で排出 される温室効果ガスを直接的に削減するため、会員事業者各社が製造する商品Aの年 度別生産量を団体において議論し、会員事業者に対して生産量の割当てを行った。 (生産設備の共同廃棄) ○ 商品Aの製造販売業者X、Y及びZは、商品Aの製造過程で排出される温室効果ガ スの排出量削減のため、既存の生産設備を温室効果ガス排出量が少ない新技術を用い る新たな生産設備へ転換することをそれぞれ検討していた。そこで、X、Y及びZは、 業界としての足並みを揃えるため、それぞれ独自に判断することなく、相互に連絡を 取り合い、既存の生産設備を廃棄する時期や廃棄する生産設備の対象を決定した。 【解説】 この行為は、重要な競争手段である設備の廃棄時期等を競争者と共同で決定してお り、独占禁止法上問題となる。 需要者のニーズ等に鑑み、各事業者独自の判断で生産設備の廃棄時期等が決定され、 暗黙の了解又は共通の意思が形成されることなく決定内容が類似のものとなること自 体は、独占禁止法上問題となるものではない。 (技術開発の制限) ○ 商品Aの製造販売業者X、Y及びZは、商品Aの需要者から温室効果ガス削減のた めの技術開発を強く要請されている。しかし、新技術の開発競争が激しくなることを 避けるため、X、Y及びZは、自社において行っている研究開発の状況について情報 交換を行うとともに、今後需要者に対して提案する商品に用いる新技術の内容を制限 した。」 脱炭素に向けた企業間の連携が、独禁法を気にしすぎて萎縮することなく、協業できる環境となれば良いと思います。 脱炭素への協業、独占禁止法の注意点整理 公取委指針案 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12CE70S3A110C2000000/ 脱炭素の企業連携、どこから違反? 公取委、独禁法の指針案を公表 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15526734.html (令和5年1月13日)「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(案)に対する意見募集について 令和5年1月13日 公正取引委員会 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jan/230113_publiccomment.html (令和5年1月13日)「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(案)に対する意見募集について https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jan/230113_publiccomment/230113_doc01.pdf (別紙1)グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(案) https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jan/230113_publiccomment/230113_doc02.pdf (別紙2)グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方(案) https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jan/230113_publiccomment/230113_doc03.pdf (別紙3)グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関するガイドライン検討会議事要旨 https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jan/230113_publiccomment/230113_doc04.pdf グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方 (案) 令和5年●月●日 公正取引委員会 目 次 はじめに ........................................................................................................................................... 1 1 本考え方の策定背景及び趣旨................................................................................................ 1 2 基本的考え方......................................................................................................................... 2 3 本考え方の構成 ..................................................................................................................... 3 4 今後の対応............................................................................................................................. 4 第1 共同の取組............................................................................................................................. 5 1 独占禁止法上問題とならない行為 ........................................................................................ 6 2 独占禁止法上問題となる行為................................................................................................ 8 3 独占禁止法上問題とならないよう留意を要する行為........................................................... 9 (1)自主基準の設定............................................................................................................ 10 (2)業務提携....................................................................................................................... 13 ア 基本的な考え方............................................................................................................ 13 (ア)提携当事者の競争に与える影響の検討 ................................................................ 15 (イ)市場全体に与える影響の検討............................................................................... 15 イ 業務提携の類型別の主な考慮要素等 ........................................................................... 16 (ア)共同研究開発 ........................................................................................................ 16 (イ)技術提携................................................................................................................ 18 (ウ)標準化活動............................................................................................................ 20 (エ)共同購入................................................................................................................ 22 (オ)共同物流................................................................................................................ 23 (カ)共同生産及び OEM .................................................................................................. 25 (キ)販売連携................................................................................................................ 27 (ク)データ共有............................................................................................................ 29 第2 取引先事業者の事業活動に対する制限及び取引先の選択.................................................. 31 1 取引先事業者の事業活動に対する制限............................................................................... 32 (1)取引先事業者に対する自己の競争者との取引や競争品の取扱いに関する制限.......... 32 ア 独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 32 イ 独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 33 (2)販売地域に関する制限 ................................................................................................. 34 ア 独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 35 イ 独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 35 (3)選択的流通 ................................................................................................................... 36 ア 独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 36 イ 独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 37 (4)小売業者の販売方法に関する制限............................................................................... 37 ア 独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 37 2 イ 独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 38 2 取引先の選択....................................................................................................................... 39 (1)単独の取引拒絶............................................................................................................ 39 ア 独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 39 イ 独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 40 (2)共同ボイコット............................................................................................................ 41 ア 独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 41 イ 独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 42 第3 優越的地位の濫用行為 ........................................................................................................ 43 1 購入・利用強制 ................................................................................................................... 45 (1)独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 45 (2)独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 45 2 経済上の利益の提供要請..................................................................................................... 46 (1)独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 46 (2)独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 47 3 取引の対価の一方的決定..................................................................................................... 48 (1)独占禁止法上問題とならない行為............................................................................... 48 (2)独占禁止法上問題となる行為 ...................................................................................... 48 4 その他の取引条件の設定等................................................................................................. 49 第4 企業結合 .............................................................................................................................. 51 1 企業結合審査の流れ............................................................................................................ 51 (1)届出を要する企業結合計画.......................................................................................... 51 (2)届出を要しない企業結合計画 ...................................................................................... 53 2 企業結合審査の基本的な考え方.......................................................................................... 53 (1)一定の取引分野............................................................................................................ 53 (2)競争の実質的制限 ........................................................................................................ 55 ア 水平型企業結合のセーフハーバー基準........................................................................ 55 イ 垂直型企業結合又は混合型企業結合のセーフハーバー基準....................................... 55 ウ セーフハーバー基準に該当しない場合........................................................................ 56 (ア)水平型企業結合による競争の実質的制限............................................................. 56 (イ)垂直型企業結合による競争の実質的制限............................................................. 60 (ウ)混合型企業結合による競争の実質的制限............................................................. 62 (3)問題解消措置................................................................................................................ 64 第5 公正取引委員会への相談について ...................................................................................... 65 1 相談制度の概要 ................................................................................................................... 65 (1)事前相談制度による相談.............................................................................................. 65 (2)「事前相談制度」によらない相談................................................................................. 65 2 相談を迅速・円滑に進めるために望まれる事業者等における準備................................... 66 3 相談窓口 .............................................................................................................................. 67 「年報知的財産法2022-2023」の[2022年判例の動向]「判例の動き 1.特許法・実用新案法 2 特許無効の抗弁」で、数値限定発明について公然実施による新規性欠如を認めた事例として、「黒鉛系炭素素材事件」(東京地方裁判所:平成31年(ワ)第7038号及び第9618号)がとりあげられています。(なお、本件発明は、本論説では数値限定発明とされていますが、広義の数値限定発明であり、パラメータ発明とも言えます。)
数値限定発明、パラメータ発明は、当業者にとってみれば新規性がないと思われるものでも、審査段階では拒絶することが難しく特許になってしまうことも多いという悩ましい問題を抱えたカテゴリーの発明です。 本判決は「法29条1項2号にいう『公然実施』とは、発明の内容を不特定多数の者が知り得る状況でその発明が実施されることをいい、本件各発明のような物の発明の場合には、商品が不特定多数の者に販売され、かつ、当業者がその商品を外部から観察しただけで発明の内容を知り得る場合はもちろん、外部からそれを知ることができなくても、当業者がその商品を通常の方法で分解、分析することによって知ることができる場合も公然実施となると解するのが相当である。」という一般論を公然実施該当性の判断基準として述べた上で、出願後に測定された実験データにより、公然実施による新規性欠如を認めた事例で、「外部からそれを知ることができなくても、当業者がその商品を通常の方法で分解、分析することによって知ることができる場合も公然実施とあ、なると解する」の、「通常の方法」のレベル感、「出願後に測定された実験データ」のレベル感など気になる点はいろいろありますが、参考になります。 年報知的財産法2022-2023 https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8949.html 東京地方裁判所:平成31年(ワ)第7038号及び第9618号 判決文 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/726/090726_hanrei.pdf 「グラフェン前駆体として用いられる黒鉛系炭素素材」事件 特許権侵害行為差止等請求事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件) 東京地方裁判所:平成31年(ワ)第7038号(第1事件)、同第9618号(第2事件) 判決日:令和3年10月29日 https://www.unius-pa.com/wp/wp-content/uploads/h31_wa_7038.pdf 公然実施による特許無効の抗弁が認められた事例 [東京地方裁判所 令和3年10月29日判決 平成31年(ワ)第7038号、第9618号] https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/202204news.pdf 公然実施された発明に基づく特許無効の抗弁が認められた事例[東京地方裁判所 平成26年3月27日判決 平成24年(ワ)第11800号] https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/201407news.pdf 【特許★★】(傍論であるが、)先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例。主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例。(「医薬」事件(東和薬品v.興和))2019年01月30日 知財高判平成30年4月4日、平成29年(ネ)第10090号 <高部裁判長> https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%E3%80%90%E7%89%B9%E8%A8%B1%E2%98%85%E2%98%85%E3%80%91%EF%BC%88%E5%82%8D%E8%AB%96%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8C%E3%80%81%EF%BC%89%E5%85%88%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%8C%BB%E8%96%AC%E3%81%8C%E7%99%BA/ ≪公然実施該当性を否定した事例≫ 【平成24年1月27日(知財高裁 平成21年(行ケ)第10284号)】 https://www.ip-bengoshi.com/archives/5350 化学分野における公然実施製品と他者登録特許 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/syoroku/71/8_1021.html 公然実施発明に基づく新規性、進歩性判断 3/1/2022 https://yorozuipsc.com/blog/1358731 公然実施を立証するために http://www.soei.com/wordpress/wp-content/uploads/2016/06/%E5%85%AC%E7%84%B6%E5%AE%9F%E6%96%BD%E3%82%92%E7%AB%8B%E8%A8%BC%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB1.pdf 数値限定発明の充足論,明確性要件(複数の測定条件が存在する場合,その他の類型について) https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3011 昨年12月当ブログでもとりあげました、明治大学知的財産法政策研究所(IPLPI)シンポジウム「音楽教室事件最高裁判決を語る」(主催:明治大学知的財産法政策研究所)が、登壇者の先生方のご了解のもと、アーカイブ動画として公開されています。
アーカイブ動画へのリンク、講演資料等が下記ウェブサイトよりアクセスできます。http://www.isc.meiji.ac.jp/~ip/index.html http://www.isc.meiji.ac.jp/~ip/archive.html#20221227 【開催日時】 2022年12月27日(火) 10時30分~12時30分 【実施形態】 Zoomウェビナー形式 定員 500名 【プログラム】 主催者挨拶 中山信弘 (東京大学名誉教授・弁護士、明治大学知的財産法政策研究所顧問) 第一部 基調講演 <報告資料> 上野達弘(早稲田大学教授) 第二部 パネル討論・質疑応答 登壇者(敬称略、50音順) 上野達弘(早稲田大学教授) 奥邨弘司(慶應義塾大学教授) <資料> 福井健策(弁護士 骨董通り法律事務所for the Arts代表) <資料> (司会) 金子敏哉 (明治大学教授、明治大学知的財産法政策研究所代表) 音楽教室事件最高裁判決 https://yorozuipsc.com/blog/9012627 |
著者萬秀憲 アーカイブ
November 2024
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