9月29日、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)で、音楽教室のレッスンでの楽曲演奏が日本音楽著作権協会(JASRAC)による著作権使用料の徴収対象になるかが争われた訴訟の上告審弁論が開かれ結審しました。第一審判決は、音楽教室における「教師」および「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を肯定したのに対して、知財高裁は、音楽教室における「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を否定し、一、二審は生徒の演奏を巡り結論が分かれており、最高裁の判断が注目されます。判決は10月24日に言い渡されるとのことです。
知的財産事件に携わる実務家を対象として、北海道大学大学院法学研究科が毎年開催されているサマーセミナー「最新の知的財産訴訟における実務的課題」、今年度は、著作権・不正競争・意匠・商標に関する課題を取り上げられ、8月28日午前の上野教授「著作権法における行為主体論」では、音楽教室の講師や生徒の楽曲演奏が著作権使用料の徴収対象となるかが争われ、生徒による演奏について音楽教室が楽曲使用していると言えるか一審と二審の判断が分かれた訴訟が取り上げられ、最高裁における弁論(9月29日)、その後の最高裁として判断が注目されました。 上野教授によれば、 「・差止請求の相手方(=①行為主体の認定、②侵害幇助者に対する差止請求の可否)は、わが国著作権法学における過去20年間で最大の論点と言えよう →特に、①行為主体の認定は、差止請求の相手方にとどまらない一般的な射程を有し、激しい議論が展開されてきたが、現在もなお不明確な状況にある →そこでは、クラブ・キャッツアイ事件の最高裁判決(以下「キャッツアイ判決」という)1および同判決において示されたいわゆる「カラオケ法理」が、ロクラクⅡ事件の最高裁判決(以下「ロクラク判決」という)を経た現在、どのような位置づけにあるのか明確でない ・現在、音楽教室事件をめぐって、この問題が顕在化している →第一審判決は、音楽教室における「教師」および「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を肯定したのに対して、知財高裁は、音楽教室における「生徒」の演奏について音楽教室事業者の演奏行為主体性を否定した →最高裁は上告受理申立て理由の一部(第2「生徒の演奏による著作物の利用主体に係る法律判断の誤り」)を受理し(最決令和4年7月28日)、2022(令和4)年9月29日に弁論予定 →おそらく最高裁が下すことになるであろう判断は、35年近く前のキャッツアイ判決および「カラオケ法理」の運命に関わるものとして、わが国著作権法学の歴史にとって最重要のものになるであろう」 10月24日の判決を注目したいと思います。 音楽教室の著作権料訴訟、生徒演奏焦点 10月上告審判決 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE262850W2A920C2000000/ 音楽教室での楽曲使用料めぐる裁判 最高裁で弁論 判決は10月に https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220929/k10013842311000.html 最高裁、JASRACと音楽教室事業者間の訴訟の概要を公表 https://www.corporate-legal.jp/news/4973 北大サマーセミナー2022(著作権) https://yorozuipsc.com/blog/20225488327
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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