「弁護士・高石秀樹の特許チャンネル」の「【特許】++均等論(統合版)+★2020年収録後の均等論認容判決を追記済み」のYouTube動画(約1時間)は、最近の判決まで追記されています。
弁護士・高石秀樹の特許チャンネル 【特許】++均等論(統合版)+★2020年収録後の均等論認容判決を追記済み https://www.youtube.com/watch?v=Yl07OJMIUhg 均等論の5要件 ボールスプライン事件の最高裁判決(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決) 1.特許発明の構成中、対象製品等との相違部分が特許発明の本質的部分ではないこと。(非本質的部分) 2.相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏すること。(置換可能性、作用効果の同一性) 3.相違部分を対象製品等におけるものと置き換えることが、対象製品等の製造等の時点において容易に想到できたこと。(置換容易性) 4.対象製品等が、特許発明の出願時における公知技術と同一、または公知技術から容易に推考できたものではないこと。 5.対象製品等が特許発明の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと。 本判決~知財高判(大合議)平成28年3月25日(平成27年(ネ)第10014号) 第1~3要件 ⇒ イ号が特許発明と均等であると主張する者が主張立証責任を負う 第4~5要件 ⇒ イ号について均等の法理の適用を否定する者が主張立証責任を負う (⇒従前からの、下級審裁判例・多数説・最高裁判例解説と同じ。) 第1要件(非本質的部分) 「特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的な構成をもって社会に開示した点にある。したがって,特許発明における本質的部分とは,当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分である…。 そして,上記本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて,特許発明の課題及び解決手段 …とその効果…を把握した上で,特許発明の特許請求の範囲の記載のうち,従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。すなわち,特許発明の実質的価値は,その技術分野における従来技術と比較した貢献の程度に応じて定められることからすれば,特許発明の本質的部分は,特許請求の範囲及び明細書の記載,特に明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきであり,そして,①従来技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいと評価される場合には,特許請求の範囲の記載の一部について,これを上位概念化したものとして認定され(…訂正発明はそのような例である。),②従来技術と比較して特許発明の貢献の程度がそれ程大きくないと評価される場合には,特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定されると解される。」 第2要件(作用効果の同一性) 「(2)特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏すること …対象製品等において、『特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏する』かどうかは、特許発明の出願前の公知技術と特許発明とを対比して、従来技術では解決できなかった課題であって、当該特許発明により解決されたものを、対象製品等が解決するものであるかどうかにより決せられる。 すなわち、ここでいう特許発明の『目的』や『作用効果』は、あくまでも特許発明の出願時における従来技術と特許発明との対比により確定されるものであって、基本的には、明細書の『発明の詳細な説明』欄における『発明が解決しようとする課題』や『発明の効果』の項の記載に基づいて確定されるべきものである。 この際、明細書に記載された特許発明の作用効果のうち、当該課題の解決に加えて更に付加して認められる作用効果や実施例に特有の作用効果までも、本要件にいう特許発明の『目的』や『作用効果』として要件(2)の存否を判断するのは、相当ではない。そのように特許発明における課題の解決を超えた付加的作用効果や実施例に特有の効果までも対象製品等が同様に実現することを求めたのでは、均等の成立する余地がほとんどなくなってしまう。…」 第3要件(置換容易性) 均等論第3要件を認めた殆どの判決が、「進歩性の容易想到性と同じ枠組み」で判断している。均等論第3要件を認めなかった判決は、「当業者であれば誰もが、特許請求の範囲に明記されているのと同じように認識できる程度の容易さ」、という厳しい判断基準が形式的に適用される場合が多い。 『第3要件にいう「当業者」が「対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができた」とは,特許法29条2項所定の,公知の発明に基づいて「容易に発明をすることができた」という場合や第4要件の「当業者」が「容易に推考できた」という場合とは異なり,当業者であれば誰もが,特許請求の範囲に明記されているのと同じように,すなわち,実質的に同一なものと認識できる程度に容易であることを要するものと解すべきである(東京地裁平成3年(ワ)第10687号…参照)。』 第5要件(意識的除外)
弁護士・高石秀樹の特許チャンネル ++均等論(統合版)+2020年収録後の均等論認容判決を追記済み https://www.takaishihideki.com/_files/ugd/324a18_549d5d6c73cb44d5869d67fd45ea5536.pdf 近時の裁判例から見る均等論 https://yorozuipsc.com/blog/2632196 国際知財司法シンポジウム2020 裁判所パート 均等論の実情 https://yorozuipsc.com/blog/20204077078 特許クレーム解釈と均等論 https://yorozuipsc.com/blog/6403654
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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