第9回グローバル特許権行使戦略セミナー(2020年10月30日・31日)の一日目、第2部:特許クレーム解釈と均等論を聴講しました。
アメリカの後を追いかけるように均等論を採用しその適用範囲を拡大してきたように見える日本と、均等論が例外的な場面でのみ適用されるという立場を取り続けているように見えるアメリカ。現時点では、ほぼ同様な立ち位置のようであることがわかりました。 また、髙部眞規子高松高裁長官(前知財高裁所長)は、閉会の辞で「本日のテーマは重要なテーマであり、裁判所でも「国際知財司法シンポジウム※」のテーマにしている。・・・特許権者の保護も必要、法的安定性、予測可能性も必要、学者の先生方の理論と、裁判所の個々の事件についての利益衡量も含めた判断も求められる。・・・」述べられ、今後もさらに深い議論がされるであろうことがわかりました。 ※令和3年1月21日(木)午後8時から,「国際知財司法シンポジウム2020~日米欧における知財司法の現在地と課題~」をテーマに開催され、第1部(裁判所パート)で「①特許権侵害訴訟における均等論の実情」が取り上げられている。 https://www.ip.courts.go.jp/vc-files/ip/2020/Jsip2020.pdf いずれにせよ、権利化の局面では、重要な出願に関しては、高林先生の最も厳しい例外的な場面でのみ適用されるという説を想定して、あくまで文言で当初明細書に記載された範囲で最も広い権利範囲の取得を目指すべきであり、審査経緯で権利範囲を狭めるようなことがないように注意すべきであると再認識しました。 第2部: 2020年10月31日(土)9時~11時 テーマ: 特許クレーム解釈と均等論 司会: 中山一郎(北海道大学教授) 講師: ・Sharon Prost(連邦巡回区控訴裁判所首席判事) ・森義之(知的財産高等裁判所部総括判事) ・Polk Wagner (ペンシルベニア大学ロースクール教授) ・高林龍(早稲田大学教授) ・Michael Sandonato(Venable法律事務所パートナー) 閉会の辞: 髙部眞規子(高松高等裁判所長官) 第2部では、日米における特許クレーム解釈の展開、特に両国で異なった展開を見せているかのような均等論について再検討がなされる。日本の知財高裁が2016年のマキサカルシトール事件大合議判決で均等論を再び活性化させたようにみられる一方、連邦巡回区控訴裁判所では2019年のAmgen v. Sandoz判決のように均等論が例外的な場面でのみ適用されるという立場を取り続けているようにも見える。連邦巡回区控訴裁判所のProst首席判事、知財高裁の森部総括判事により、日米の学界・実務で主導的な立場の専門家も交えて、このような展開の背景について議論がなされる。いずれの部でも、パネルメンバーにより導入的な説明がなされ、質疑応答や会場とのディスカッションに先立って司会を交えたパネルディスカッションが行われる予定である。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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