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パテントリザルト社のパテントスコアは、特許出願後の審査経過情報をもとに、 個別特許の注⽬度をスコアリング評価する指標です。出願⼈、審査官、競合他社の3者のアクションに着⽬し、 同⼀技術分野、出願年の他の特許との相対⽐較により偏差値で評価します。縦軸は権利者スコアで権利者が持つ特許のパテントスコアの総和で、横軸は権利者が持つ特許のうち最もスコアの高い特許のパテントスコアの最高値で、円の⼤きさは特許件数を表しています。
技術分野Bの日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価した図が図2です。A社が、権利者スコア、特許件数ではトップですが、パテントスコア最高値ではD社がトップです。 同じ技術分野BのPatentSight社の特許価値評価ツールを用いた結果が図3です。縦軸にPAI(ポートフォリオ全体の価値)、横軸に200年から2018年までの年をとり、特許権者のPAI(ポートフォリオ全体の価値)の経時変化を表しています。日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価した結果とかなり景観が異なります。日本特許では権利者スコア、特許件数、パテントスコア最高値とも振るわなかったC社がグローバルではPAI(ポートフォリオ全体の価値)で圧倒しています。日本でトップのA社が2位に、B社が5位、D社が8位になっています。 技術分野C、技術分野Dの日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価したのが図4、図5です。D社の立場でみると、両分野とも特許件数は比較的多いものの、価値の高い特許が少ない状態であり、今後非常に苦しい状態になりかねないと考えられる結果です。 従来のパテントマップは過去の分析結果を示すものでしたので、ここで終わりですが、IPランドスケープは今後のシナリオ、競合が今後どのような技術開発をするのか、自社の進むべき道、自社の差別化ポイントは何か、を指し示すものなので、これから先が重要です。 PatentSight社の特許価値評価ツールによるCI(1ファミリー当たりの平均価値)の高い特許、パテントリザルト社の特許価値評価ツールによるパテントスコア最高値の特許等をさらに解析することにより、競合が今後どのような技術開発をするのかが予測でき、その予測を踏まえて自社の進むべき道、自社の差別化ポイントは何か、今後強化すべき技術に関するプライオリティ付けを提案し、実行する(権利化し、差別化の証である知財権の価値をセールストークや消費者コミュニケーションへ活用し、顧客に伝える)ことになります。 特許出願件数・特許登録件数という量的な評価だけで見ていると見えてこない視点です。 出願⼈、審査官、競合他社の3者のアクションに着目したのがパテントリザルト社のパテントスコアですが、このバランスを変えると見え方が違ってきますので、異なった視点による課題の発掘とシナリオの作成が可能となります。
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PatentSight社の特許価値評価ツールを用いると、ある会社に注目した時系列での特許価値評価を行うことができ、特許出願件数・特許登録件数という量的な評価だけで見ているのとは異なるその会社の知財戦略や課題が見えてくることは、昨日書いたとおりです。 特定の技術分野で、特許価値評価ツールを用いた競合分析を行うと、特許出願件数・特許登録件数という量的な評価だけで見ているのとは異なる各社の知財戦略や課題が見えてきます。 下図は私がかかわってきたある技術分野をPatentSight社の特許価値評価ツールで評価した例です。 縦軸にPAI(ポートフォリオ全体の価値)、横軸に200年から2018年までの年をとり、特許権者のPAI(ポートフォリオ全体の価値)の経時変化を表しています。D社に着目すると2000年にはその他大勢の中の一社でしたが、2018年にはこの分野でのPAI(ポートフォリオ全体の価値)をここ10年に渡って低下させてきたK社を抜きPAI(ポートフォリオ全体の価値)2位になっています。件数を見ているのとは違った景観(Landscape)になります。 同じ技術分野の日本特許について、パテントリザルト社の特許価値評価ツールで評価した図が下図です。パテントリザルト社のパテントスコアは、特許出願後の審査経過情報をもとに、 個別特許の注⽬度をスコアリング評価する指標です。出願⼈、審査官、競合他社の3者のアクションに着⽬し、 同⼀技術分野、出願年の他の特許との相対⽐較により偏差値で評価します。縦軸は権利者スコアで権利者が持つ特許のパテントスコアの総和で、横軸は権利者が持つ特許のうち最もスコアの高い特許のパテントスコアの最高値で、円の⼤きさは特許件数を表しています。
従来のパテントマップは過去の分析結果を示すものでしたので、ここで終わりですが、IPランドスケープは今後のシナリオ、競合が今後どのような技術開発をするのか、自社の進むべき道、自社の差別化ポイントは何か、を指し示すものなので、これから先が重要です。 D社が、権利者スコア、特許件数では圧倒していますが、パテントスコア最高値ではかならずしもD社が最高値ではありません。パテントスコア最高値は、A社が74.8、B社が74.5、D社が73.9でした。ここにD社の課題を見出すことができます。この各社のパテントスコア最高値の特許等を解析することにより、競合が今後どのような技術開発をするのかが予測でき、その予測を踏まえて自社の進むべき道、自社の差別化ポイントは何か、今後強化すべき技術に関するプライオリティ付けを提案し、実行する(権利化し、差別化の証である知財権の価値をセールストークや消費者コミュニケーションへ活用し、顧客に伝える)ことになります。 特許出願件数・特許登録件数という量的な評価だけで見ていると見えてこない視点です。また、出願⼈、審査官、競合他社の3者のアクションに着目したのがパテントリザルト社のパテントスコアですが、このバランスを変えると見え方が違ってきますので、異なった視点による課題の発掘とシナリオの作成が可能となります。 香川県の金刀比羅宮は、「こんぴらさん」の愛称で古来より日本全国から信仰を集める海の神様ですが、そこに、世界最大級の実物奉納「金色の大型船プロペラ」(スクリュー)がありました。自動車 (5,000台) 運搬専用大型船のプロペラで、真鍮製、直径6メートル、重さは19・2トンもあるということです。
整理していたら、懐かしい写真が出てきました。
入浴剤「バブ」を米国で発売しようとテストマーケットしていた時期の写真です。米国での販売名は「Actibath」でした。 調査は主としてミネソタ州で行いました。互角力の問題で聞き取りにくいグループインタビューで不労したこと、家庭訪問でのヒアリングで入浴習慣がないと思っていたアメリカ人でもドイツ系の人は結構バスタブに浸かっていることなどがわかったことなど、思い出してきました。 テストマーケットは、ミネソタ州とメイン州で行いました。今となっては、懐かしい想い出です。 昨日、野崎さんが書かれた「⽇経のIPランドスケープ記事について考えてみたー特許の量と質の議論ー」に同感です、ということを書きましたが、IPランドスケープについての話だけか、特許の量と質の議論についてもか、というご質問をいただきました。確かにあいまいでした。 野崎さんのまとめによれば、ポイントは下記の3点でした。 ①IPランドスケープという⾔葉に気を付けよう(IPランドスケープ=分析法というのは聞いたことない) ②特許の質を何で測っているのか確認しよう ③異なる業界・業種の企業を比較する際は注意しよう 昨日、私が触れたのは、①だけでしたから、①について「同感」というつもりでした。 では、②③はどうかですが、あらためて「同感です。」 日経記事は、素人にわかりやすくを心掛けているせいもあるとは思いますが、どうも議論が荒っぽすぎるような気がしています。 しかし、「パテントサイト」という分析ツールを⽤いて、ある会社の時系列での特許価値評価を行うということは、非常に有用です。 日経の記事でも、パナソニックとソニーの推移を⾒れば、2000年の⾃社と2020年の⾃社を⽐較すると、それぞれパナソニックが2倍、ソニーは5倍ほどのCI(1ファミリー当たりの平均特許価値)向上が確認できます。 下図は私がかかわってきたD社の例です。D社の2000年と2019年を⽐較すると、PAI(ポートフォリオ全体の価値)は数十倍、PS(特許の数)が十数倍、CI(1ファミリー当たりの平均価値)は約3倍になっており、この20年間で特許の量と質を高めてきたことがわかります。会社がある信じられない事件で危機に瀕し特許出願・権利化について必要最小限に縮小したことも見事に表されており、結構精度が高いのかもしれません。 さらに分析することができます。下の左側の図は、先に見たCI(1ファミリー当たりの平均価値)値の推移を年毎に表したもの(先の図と同じ)ですが、下の右の図は、CI(1ファミリー当たりの平均価値)値を、その構成要素である、技術的価値(実線)と市場的価値(点線)に分解したものです。
2011年をピークにCI(1ファミリー当たりの平均価値)値が2015年まで下がったのは、技術的価値(実線)と市場的価値(点線)の両方が同様の動きですが、2015年を底にCI(1ファミリー当たりの平均価値)値が上昇しているのは、市場的価値(点線)が上がっているからであり、技術的価値(実線)は横ばいです。 ここにD社の特許出願・権利化の課題を見出すことができます。さらに、分野別に解析することにより、どの技術分野に課題があるのかを解析します。そして、競合との比較を加えることにより、競争状況を把握し、研究開発戦略、知財戦略の見直し等に生かすことになります。実は、現場の担当者は肌感覚としてはこの状況をとらえているのですが、多くの場合うまく説明できていません。現場では問題がとらえられているのに、戦略に生かされていないというもったいない状況があるときに、客観性のある、説得力の高い説明が可能になるでしょう。 「IPランドスケープ」については、日本国内においては様々な定義が存在し混乱を招いていますが、主に「知財情報を経営戦略・事業戦略策定へ活用」や「知財を重視した経営」の意味合いで用いられることが多くなっているようです。
従来から特許業界で使われてきたパテントマップが過去のデータを扱うのに対し、自社、競合他社、市場の研究開発、経営戦略等の動向及び個別特許等の技術情報を含み、自社の市場ポジションについて現状の俯瞰し将来の展望等を示すもので、経営と知財を結びつけるのが「IPランドスケープ」と言えるでしょう。 こうしたなかで、日本経済新聞電子版(2020/5/3 2:00)に掲載された「知財、量に頼る日本企業 質は海外に見劣り-分析法「IPランドスケープ」で鮮明に」という記事が気になりました。分析法「IPランドスケープ」とされていて、「IPランドスケープ」が分析法と位置付けられているかのように見えることです。 「IPランドスケープ」を進めるうえで良く使われている情報分析ツールとしては、この日経の記事でも紹介されている「パテントサイト」(PatentSight)やVALUENEXのDocRader/TechRader、パテントリザルトのBizcruncherなどがありますが、この見出しをみただけだと、「IPランドスケープ」がこれらと同類の分析ツールに誤解されてしまわないか心配です。 知財情報コンサルタントとして有名な野崎さんが”誤った認識”として、強烈に批判されています。 野崎篤志、⽇経のIPランドスケープ記事について考えてみたー特許の量と質の議論ー https://note.com/anozaki/n/ndf9dff7da80c 同感です。 「IPランドスケープ」は、大企業の話であり、スタートアップ・ベンチャーとか中小企業には関係ない世界の話だよね、という声が聞こえてきます。しかし、実は、スタートアップ・ベンチャー・中小企業にこそ、「IPランドスケープ」が必要であり、生かせる場が多いのです。
「IPランドスケープ」の活用法としては、下記のことがあげられています。 ①会社の将来ビジョンの策定 ②M&Aや事業提携(オープン・イノベーション)の成功 ③新規ビジネスの市場・情勢分析 ④事業構造の大転換 ⑤知財を生かした資金調達 コア技術をどう獲得し、どう持続的に発展させるか?オープン領域の技術をどう獲得し、どう持続的に発展させるか?という視点から見ると、①~⑤に挙げられている「IPランドスケープ」の活用法は、大企業より、スタートアップ・ベンチャー・中小企業にとってより重要なことがわかります。 しかし、対処できるスキルや経験をもった人がいないため、みすみすチャンスを逃したり、失敗してしまっていることが多いのが現状です。 何から取り組むべきか まず、知的財産部が、事業の失敗を防ぐことを目的に、自社の製品やサービスが他社特許に抵触しないかどうかを調べることを主眼にしていた活動から、自社の戦略や事業を成功に導くことを目的とした知財重視の経営戦略、いわゆるIPランドスケープをめざすように変わることが必要です。また、自社のコア技術を創造する、乃至は強固にする方策を示し、オープン&クローズ戦略を推進することも重要です。 しかし、いきなり立派な分析結果をそろえて経営陣にプレゼンしてもうまくいくことは稀です。自社の抱える経営課題との関係が希薄なことが多いためです。どこの会社でも通用するような一般論にとどまるのではなく、経営陣が考えている自社の抱える経営課題とのかかわりで分析し、方向性を示すことが必要です。 多くの場合、経営陣と知財部の距離が遠いために、知財部が経営陣の考えている自社の抱える経営課題をうまく捉えていない、逆に言うと、経営陣が知財の力に自社課題の解決を期待していない、ことが問題と考えられます。 知財部は、経営陣と距離を近づけることを考えるべきです。知財軽視の経営がいかに問題を引き起こしているかを具体的に経営陣に示し、知財重視の経営に変わることでいかに問題を解決でき、これまでにない新たな発展の道を歩むことが可能になる、ことを実感してもらうことが大切でしょう。 早期権利化によるベネフィットを求め、早期審査請求が増加しており、それに伴い公開前登録も増加しています。
早期審査請求による早期権利化することにより他社牽制効果があり模倣対策に力を発揮することは大きなベネフィットです。 しかし、それだけでなく、
こうしたことから、早期審査請求件数が増え、2019年には約2.3万件となり、2019年の審査請求数約23.5万件の10%弱を占めるまでになっています。 (特許行政年次報告書2020年版より) https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2020/index.html また、それに伴い、出願から1年半後に発行される公開公報が発行される前に登録されるケースが増えています。発行年毎における公開前登録の割合をみると、2002から2006年頃は1%に満たなかったのが、直近では約6%となっているとのことです。 特許庁の努力により審査待ち期間が大幅に短縮され、早期審査制度が充実したことにより、「特許出願すると1年半後に公開され、その後登録されるから、公開公報で他者権利をチェックして邪魔になりそうな出願には情報提供」という、これまでの常識が通用しない時代に突入しているのかもしれません。 毎年特許庁が公表する特許行政年次報告書では、特許登録件数上位200社の出願・審査関連情報が公表され、特許登録件数が指標とされています。そして、特許登録率を重視する流れもあります。
特許出願した発明が最終的にどの程度特許になっているかが重要だという考え方もあります。総合特許登録率(=審査請求率×特許登録率)という考え方です。 総合特許登録率を正確に出すのは大変であるため、特許行政年次報告書に公表されている最新年の審査請求率×最新年の特許登録率という簡易法で、特許行政年次報告書2020年版の特許登録件数上位200社の総合特許登録率を算出して、高い順に並べてみました。高いほど出願した発明が登録されていることになります。特許出願に関して、費用対効果が優れているということになるでしょう。 1位が東芝エレベータkアブ式会社、2位がマツダ株式会社、3位が東芝映像ソリューション株式会社でした。 毎年特許庁が公表する特許行政年次報告書では、特許登録件数上位200社の出願・審査関連情報が公表されています。特許行政年次報告書から、発明通信社は、特許登録率に着目し、特許登録率上位30 位をまとめ公表しています。2019 年版までが出ています。
2019 年における特許登録率上位30位、発明KAWARA版 第22号 2019年11月6日 https://www.hatsumei.co.jp/column/index.php?a=column_pdf_output&id=333 2018 年における特許登録率上位30位、発明KAWARA版 第20号 2018年11月7日 https://www.hatsumei.co.jp/column/index.php?a=column_pdf_output&id=292 2020年7月14日に、2020年版の特許行政年次報告書が公表されましたので、同じやり方で2020 年における特許登録率上位30位をまとめてみました。 特許登録率の上位をみると、1位が井関農機株式会社 97.8%(昨年2位96.4%)、2位が東芝エレベータ株式会社 95.3%(昨年5位94.3%)、3位が リンナイ株式会社 94.1%(昨年は特許登録件数上位200社外のためデータなし)でした。ちなみに、昨年1位(96.8%)だったユニ・チャーム株式会社は今年14位(91.5%)、昨年3位(94.7%)だった京セラドキュメントソリューションズ株式会社は今年15位(91.5%)でした。 札幌市内最大のイベントである「さっぽろ雪まつり」は、1950年に始まり、メイン会場の大通公園に大雪像が立ち並ぶことなどから人気が高く、例年国内外から200万人以上もの人が訪れているそうですが、「さっぽろ雪まつり実行委員会」は、2021年のさっぽろ雪まつりについて、規模を縮小しての開催を決定し、大雪像の建設は中止することを発表しました。残念です。
四国の温泉というと、やはり道後温泉(どうごおんせん)です。日本三古湯の一つといわれ、夏目漱石の小説『坊つちやん』にも描かれています。 四国に行くときは、高松空港を利用することが多かったのですが、松山空港も結構利用しました。知的財産協会の行事で何度か道後温泉に泊まりましたが、通常の出張時に道後温泉まで足を延ばすのはほとんどありませんでした。 松山空港の近くには、松山空港に分断される形で帝人の松山事業所があります。知的財産協会の何かの行事で訪問させていただいたときに、2010年のノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏が東大工学部卒業後の1958年から69年まで帝人に在籍していたということで、受賞を祝うパネルが飾られていました。さすが帝人ですね。
コロナウイルス新規感染者が増加していることから、対面式で9月15日に予定されていたセミナー「知財戦略を遂⾏するために押さえておきたい3スキル〜①戦略策定②組織づくり③特許棚卸」がオンラインセミナーに変更されました。Zoomセミナーで、好きな場所で受講でき、見逃し・復習用として、配信動画の録画を視聴できるとのことです。
URL:https://www.tech-d.jp/seminar/show/4937 従来からの対面式のセミナーでは受講生の反応を見ながら話す中身を少しずつ変えて受講生の興味のある話を付け加えるなどしていました。オンラインセミナーでは受講生の反応がわかりにくくやりにくいので対面式でと思っていましたが、流れには逆らえないようです。 そんな講師側の事情とは別に、地方在住の方にとっては、従来は、旅費を使い移動にも時間をとられていた東京でのセミナーが、旅費がかからず移動時間も取られずに会社や自宅で受けられる良い環境が出来たという見方もあるようで、コロナ禍が収束してもオンラインセミナーが定着する可能性があるそうです。 「大学-企業間、民間企業間、ベンチャーとの共同研究開発の進め方と契約実務」と題した、Live配信セミナーが昨日(2020年7月30日(木) 10:30~16:30)無事終了しました。
Zoomにより双方向の質疑もでき、受講者の画像も見える設定でしたが、皆さん画像オフ、音声オフが標準で、反応がまったく見えないセミナーでした。講義時間が5時間に及ぶ長丁場で、受講した方々も大変だったでしょうが、産学連携の新しい動き、スタートアップと大企業の共同開発に関する構成取引委員会、経済産業省、特許庁の動きなど、最新の情報も取り入れて、わかりやすく話したつもりです。受講者の顔が見えないので、講師のひとり相撲になっていなかったか気になるところではあります。 質問は、特許料率に関するもの、交渉前契約案提示からどう最終契約書に仕上がるのか色んな例を知りたいというもの、契約のチェックポイントを知りたいというもの、外国企業との間の契約書の問題、トラブル事例とその解決策に関するものなどでした。皆さん実務で、なかなか教科書的な話では解決できないトラブル、悩みを抱えていることは、これまでのセミナーとかわらない感じでした。 特許調査では、教科書的な教育・研修を受けても、いざ自分でやってみると、いろいろ悩んでしまい、これで良いのか?と不安になることが多いようです。
外部のプロの特許調査報告書を見ても、立派な検索式が書かれており、途中のプロセスが見えないので、参考になりにくいですね。 他の人の検索プロセスを見ることができたら、と思っている方にぴったりの動画(無料)があります。 いずれも特許調査のプロである、イーパテントの野崎篤志さんとスマートワークスの酒井美里さんが、今年6月7日(日)22時に行った特許検索アーケードバトルです。 その場で検索テーマが与えられ、プロ二人がそれぞれ、どう検索していくのか、克明に 描かれています。ちょっと長いですが、もともと特許調査はそんなに簡単にできるものではありませんので、じっくり見てください。 (特許検索アーケードバトルの動画は、イーパテントのYoutubeチャンネルhttps://youtu.be/aey01aXx450から見ることができます。) 調査の基本を再度勉強したいという方には、YouTubeで毎週木曜日18時30分~20時に配信されている、知財実務オンラインのなかで、スマートワークスの酒井美里さんが登壇した「ここで差が付く!意外と知らない調査の基本」(6月18日)がおすすめです。とても参考になります。 https://www.youtube.com/watch?v=mb_9luiL-3k アーカイブから視聴可能 ゲスト:スマートワークス(株) 代表取締役 酒井美里先生(プロフィール) 企業知財部から特許調査の委託を受ける専門会社で、出願前調査、侵害前調査、無効資料調査など様々な調査を実施。 セミナー内容 第1部 企業担当者が陥りやすい調査の悩み ① 初心者:検索式がgoogleっぽいんですが・・ ② 中級者:「検索項目、どうしよう?」問題 ③ 「雑」な検索から、抜け出そう! ④ 「適合率・再現率」高ゾーンにたどり着くための最短の道 第2部 公報をどうしたら大量に読める!? ① 工程管理の考えを応用する ② 読みやすい順を探る ③ 標準作業時間を知る 知財担当を対象とした研修・教育というと、特許の出願・権利化が中心となる場合が多くなります。 知財人材の育成では、日本では、キヤノンがよく知られています。 「特技懇」誌に、「キヤノンにおける知財人材育成」が掲載されていましたが、非常に参考になります。「5年で一人前の権利化担当者に育て上げる」ようです。 権利化担当者の人材育成に関しては、「発明発掘から権利活用までの様々な現場で、事業戦略・特許戦略に沿って的確に判断し、自律的に行動できる人材を育成する」ことを目的としており、現場(OJT)で徹底的に実務能力を磨くこと、ベテラン社員を活用することを柱としているようです。
被育成者に「自ら成長する意欲」を持たせることに重点を置いた、充実した研修メニューです。 「知財スキルの評価」「モチベーションの維持・向上」が課題として挙げられていますが、同感です。 木下達也、キヤノンにおける知財人材育成より、tokugikon,.no.268,P17- ,2013.1.28 http://www.tokugikon.jp/gikonshi/268/268tokusyu2-1.pdf 技術系新入社員に対する知的財産に関する教育・研修は非常に大切です。 社内で行う自前の教育・研修システムと社外の教育・研修システムを併用しているところが多いですが、社内教育システムが整っている代表例が花王株式会社の特許講座です。「特技懇」という雑誌に、昨年末、花王の特許講座が詳細に紹介されていましたので、そこから引用します。 下図は、ほぼ20年前の特許講座一覧で、ほぼ私が受講した、あるいはお手伝いした当時と同じです。入社時に企業における特許の大切さを教える「特許導入講座」、明細書作成の実習を含む「特許作成講座」、特許戦略立案の実習を含む「特許戦略講座」、マネージャー向けの「GL特許研修」の4部で構成されていました。 記憶に残っているのは、特許戦略講座のパテントマップ作製実習です。3-4人で1テーマを決め、自社出願戦略を研究開発戦略とリンクさせて提案するもので、その後非常に役立ちました。 直近の特許講座一覧が下図です。 「特許作成講座」が、座学のみの基礎編と、明細書作成の実習を含む実践編とに分離され、「特許戦略講座」が「特許実務講座」と「特許戦略講座」とに分離されたようです。
また、「GL特許研修」が、特許マネージメントに必要な教育を充実させた「特許マネージメント講座」になり、オープン・クローズ戦略への方針変更にともない、社外との協働業務の増加を背景に、契約に関する独立講座として「契約講座」が新設されています。 こうした日々の地道な取り組みが、しっかりした特許などの知的財産を生み出す基盤となっているものと、いまさらながら感心しています。 1)袴田 美香子、“研究・事業戦略と共創する”花王の知財教育 tokugikon, no.295,P22- ,2019.11.26. http://www.tokugikon.jp/gikonshi/295/295tokusyu3.pdf 訴訟リスクは特許だけではありません。
不正競争防止法に基づき製品の販売差止等を求める仮処分命令を申立てられたことがあります。結果的には、原告が当該仮処分申立を取り下げ、本件仮処分事件は終了しましたが、約6カ月にわたり対応にあたり多忙でした。 その年の4月5日付で、K社から通知書が届きました。通知に関して、複数の弁護士・弁理士から見解を得て、問題のないことを確認したうえで、4月13日付で見解を詳細に申し述べるとともに、K社の主張が理解できないので説明を求める旨の回答書を送付しました。 これに対しK社は回答に何らのアクションもなく、いきなり、「書面のやり取りを通じては、実現されるに至らないものと判断し、販売の差止等を求める仮処分を申立てた」旨のニュースリリースを、ゴールデンウイーク中の5月1日に行いました。 https://www.kao.com/jp/corporate/news/business-finance/2017/20170501-003/ https://www.daio-paper.co.jp/wp-content/uploads/n290502.pdf 実は、K社からの通知の数日前に、取引関係のあったある法律事務所から、「今度ある会社から依頼があり貴社に対する案件の代理を引き受けることになった。代理することになった部門とは完全に遮断しているので、これまでと同様にお願いします。」旨の連絡がありました。どこからどんな内容でということは当然話せないことで聞きませんでしたが、一体どこから、どんな内容なんだろうか、想定されるようなものがないか、特許、意匠、商標などについて再チェックしていたところでした。 通知を受け取り、不正競争防止法であることに驚き、商品を取り寄せ、比較検討を急ぎました。同時に、商品発売前に不正競争法についても他社製品との比較で問題がないかチェックすることがルールになっていましたので、当該商品発売前のチェックに問題がなかったか、その経緯について書類をひっくり返して再チェックしました。また、外部の複数の専門家(弁護士、弁理士)にも意見を求めました。 通知に対する回答期日が「一週間以内に」という非常に短いものでしたので、(通常は、1カ月、短くて二週間です。)上記の対応がいかに大変だったか、わかっていただけると思います。 「一週間以内に」ということから、K社が相当に危機感を持っていることが推測されました。なんとか一週間で見解をまとめ回答書を送付しました。次のアクションがないなあと思っていたところへ、ゴールデンウイーク中の5月1日に、いきなりの「販売の差止等を求める仮処分を申立てた」旨のニュースリリースでした。 K社の危機感を象徴するような対応でした。 日経新聞が取り上げましたので、社外の知人からの問い合わせ等もあり、両社に関係ない方々が、インターネット上で取り上げたりしていました。現在も読めるのが下記です。 https://yamadatatsuya.com/archives/4341 https://paolabrador.com/custom569.html 企業間の争いの場合、通常は書簡あるいは面談で両社の見解の食い違いを埋め話し合いで解決しようとするものですが、今回の対応は、一度通知書がありそれに回答しただけでその後のコミュニケーションが全くなく、いきなり訴訟、しかも仮処分命令を申立てる、めずらしいケースでした。 K社の仮処分申立ては理解し難いものでしたが、仮処分命令申立書が当社に届くのに一週間以上かかったため、社内説明に苦労した記憶があります。弁護士・弁理士からの「これは無理筋」という見解も伝えましたが、社長や経営幹部からは、「K社が訴訟するのは勝算があるからだろう。本当に大丈夫なのか?」と問われ続けました。 K社の申立て理由は、D社商品の包装(商品パッケージの配色やデザイン)がK社商品と類似しているとのものでしたが、毎月東京地方裁判所での審理が進められた結果、11月2日、K社は当該仮処分申立を取り下げ、本件仮処分事件は終了しました。 https://www.daio-paper.co.jp/wp-content/uploads/n291127.pdf 知財に強い(と評価されている)会社から、強い姿勢で対応されると、それだけで委縮してしまうことも多いと思います。しかし、原理原則に則り、粛々と対応することの大切さを学びました。 島根県安来市の郊外に、2003年から17年連続で庭園ランキング日本一に選ばれている美術館があります。足立美術館です。 5万坪の日本庭園は、米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」による庭園ランキングで、17年連続日本一に選ばれています。このランキングは、「いま現在鑑賞できる日本庭園としていかに優れているか」を基準に調査・選考されており、特に足立美術館は、広大な庭園の細部にまで維持管理がゆきとどいている点が高く評価されているそうです。 美術館には、横山大観をはじめとする近代日本画を中心に総数約1500点が所蔵されています。 米子市内にある鳥取大学医学部との共同研究で米子には何回も行きましたので、ちょっと足を延ばしました。 米子市内にある鳥取大学医学部へ行くには、米子鬼太郎空港経由になります。
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著者萬秀憲 アーカイブ
January 2026
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