「経営に戦略的に活かす知財情報」というテーマで、9月8日、9日に行われた「PatentSight Summit Japan ONLINE」での2番手は、株式会社デンソー 知的財産部⻑ ⼭中昭利⽒と、同社エレクトリフィケーションシステム技術部 担当係⻑ 河野孝幸⽒で、『CASEにおけるデンソーの知財活動と特許情報活⽤』というテーマでした。
次世代モビリティ業界を象徴するCASE「Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング・サービス)、Electric(電動化)」へのシフトを進める自動車業界の中でも、デンソーは、「ELEXCORE」という技術ブランドを立上げました。 「技術者が考える電気制御の理想像を可視化する」というコンセプトを基に、ブランドネーム・ストーリー・製品デザインを通じて、デンソー独自の世界観を作り上げました。 ブランドの象徴として開発した5つの製品デザインは、光の角度や視点によって様々に表情を変えるエレメントが精緻に配置され、「電気を精細に捉え、自在に変容させる」という技術者の愚直なまでの想いを体現しています。 http://design.denso.com/works/works_073.html ELEXCOREは、デンソーの電動化製品全てを包括するブランドです。高品質と信頼の証として定めたELEXCOREは、電動化ニーズと私たちのコア技術の掛け合わせを由来とし、(Electrification × Core)心豊かな移動を支えるために最良のソリューションをご提供し続ける決意、走るよろこびと環境性能の両立で実現するためにドライバーの意思や環境の変化を、電気の「一雫」まで精細に捉えきる技術者の愚直なまでの熱意と今後すべての電動化の核を担っていくという決意」を表現しています。 https://www.denso.com/jp/ja/innovation/technology/elefi/effort/ デンソーの全社知財戦略としての重点的知財活動は、異業種プレーヤーが多いCASEに対応し、自動車業界における優位なポジションと知財権を武器にして他業種と仲間づくりをすることを柱としているようです。 株式会社デンソー, ビジネスエコシステム構築に向けた異業種の仲間作り, P.48-56 「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」(2020.6) https://www.jpo.go.jp/support/example/chizai_senryaku_2020.html 山中昭利, CASE、MaaSに関するデンソーの取り組み, 2019.9.25 ビジネス×知財フォーラム講演資料 https://www.inpit.go.jp/katsuyo/chiiki-forum/shiryo_2019forum-nagoya.html https://www.inpit.go.jp/content/100868667.pdf ビジネス×知財フォーラム開催報告書, P.26-27 (2019) https://www.inpit.go.jp/katsuyo/chiiki-forum/ip-forum2019nagoya.pdf デンソーの知財部は約80人で、それ以外に特許専任者が約60名おられるとのこと。 『CASEにおけるデンソーの知財活動と特許情報活⽤』の具体例の発表者が、知財部員ではなく、特許専任者であったこともあり、知財部員と特許専任者の役割分担が興味をひきました。 電動化事業と一体の知財活動、電動化システム事業グループ)の知財組織運営、知財情報活用の事例(自社ポートフォリオ分析、引用分析、シミラリティサーチ分析)の発表がありました。知財部員と特許専任者の役割分担、知財部員と特許専任者の連携で「三遊間のゴロ(新たな共通テーマ)」を着実に打ち取る、すなわち、電動化事業の新たな課題に対応する組織の垣根を越えた運用、のところに質問がありました。 (このあたりは、公開された情報が見当たりませんでした。) 知財の活用により自動車業界内では常に優位を保つ、知財の活用を通じて異業種に仲間を作る、知財の外部調達を推進する、という柱と、知財部員と事業部特許専任者の連携で「三遊間のゴロ(新たな共通テーマ)」を着実に打ち取る、というやり方は、うまくいっているようで、非常に参考になります。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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