(第31回)知財実務オンライン:「なぜ日本のクレームの書き方では米国で登録にならないのか?」(ゲスト:MUNCY, GEISSLER, OLDS & LOWE, P.C. 吉田 哲)を視聴しました。アーカイブ動画がアップされています。(1時間43分)
https://www.youtube.com/watch?v=iZFinpy6Hq4 米国の審査は、審査官によるばらつきが大きいことが大きな問題であり、特にマニュアル通りで柔軟性でない判断が問題だと思っていますが、その中でうまく早く権利を取得するコツがわかり、非常に有益な話でした。 以下メモです。 日本では、「米国審査官はレベルが低い」「発明を理解せずに拒絶している」と思っている方が多い。しかし、80%以上は拒絶理由は妥当で、日本とは違う米国流のクレーム解釈を知らないで誤解している方が多い。米国での拒絶解消の考え方を説明。 早く特許をとる実務をやってきた。 USの平均OA回数は3.01回、吉田弁理士は1.7回 アウトライン
第1部 機能的表現の取り扱い MPFクレーム 非MPFクレーム こちらが日本で理解されていない Inherent(内在的)がポイント 事例 ポップコーンの容器の事例 新規性 JP〇、US× 欧州・日本・米国特許庁「新規性に関する事例研究:仮訳2009.11」事例5 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/nichibeiou/document/sinsa_jitumu_3kyoku/sinki_jp01.pdf Inherent(内在的)の考え方 実現可能か否かの議論、実現可能性判断を審査官は証拠なしで拒絶できる 日本側の反論 用途が違う、孔の大きさが違う、コーンの傾きが違う 審査官は、構造的特徴をクレームに書け 対策:構造的特徴を書く(穴の大きさの目安、コーンの傾きの範囲、だから一振りで数粒の供給ができる)、表記の問題ではない 難しさ:日本側代理人から「寸法は発明の本質ではない。お前発明を理解しているのか!!」(日本審査では不要)、機能実現の構造的開示がないので補正できない、あるいは図面だけに基づく補正で新規事項スレスレの補正 装置クレームの機能的表現の取り扱いは、構造的特徴の記述が必要 第2部 BRIの解釈 日米ルールは同じ(明細書を参酌してクレームを理解)、運用が違う 事例2 日本 実施例はそれなりに参照、重要でない構成は省略可能 米国 クレームは文言通り解釈、行間は読まない 事例3 明細書は参照するのか? ほぼない 行間は読まれない(覚悟) 対策:当たり前な構成でも書く 米国の裁判所と裁判所の基準は異なる 第3部 米国の事情 なぜ分からない? Inherent (内在の可能性)、BRI (参酌の程度) 審査官(個人)の裁量、運用の問題 日本的審査官での成功体験が残っている 反論の困難性 主管の議論だから 3.1実務上の留意点 ・審査官の主観 「なんでこんな先行文献が?」と思ったら拒絶 「Allowableの通知」審査官が良い発明だと思った証拠 ・訴訟弁護士の意見を真に受けないこと(課題、効果の記載は、進歩性が厳しくなるほど必要) 3.2米国審査官は意地悪? 早く特許査定にしたいけど、できないのが日本的クレーム 審査官のバラツキは大きい 3.3日本的クレームの印象 言葉が足りない 日本の実務(文化)「短いクレームがよい特許」 激短クレームの問題 3.4文字数と強度 特許クレームの文字数がすくないほど権利は強いというイメージがあるが、現実は・・・
1 Comment
川瀬
25/1/2021 08:16:10
大変興味深い情報の共有をありがとうございます。
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著者萬秀憲 アーカイブ
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