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特許ニュース2022年3月16日、17日に掲載された「コーポレートガバナンス・コードに基づく知財戦略の戦略的開示」(弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 鮫島弁護士、阿久津弁護士)は、コーポレートガバナンス・コード改訂に関する「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」が(コーポレートガバナンス・コードがプリンシプルベース・アプローチであるので)開示に関するひな型の提示をしていないため、知財部門などが待望しているであろう「知財戦略の立案と開示に関する具体的な方法論」を「知財戦略セオリ」を踏まえて検討してみた結果が述べられています。
「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」にも沿っており、実践的にも参考になると思います。 第1 はじめに ~知的資産経営のころから指摘されていた「攻めのガバナンス」における地財施略の重要性
第3 CGコード以前の議論から価値共創ガイダンスへの系譜
https://www.chosakai.or.jp/intell/pat/p-top.htm https://www.toshinsha.co.jp/tokkyo/ 2021年10月 2日 コーポレートガバナンス・コードに基づく知財戦略の戦略的開示
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IPジャーナル第20号(2022.3)に、株式会社アシックス法務・知財統括部知的財産部知的財産戦略チー ムマネージャー 熊巳創氏による「知財戦略の推進と知財戦略委員会の設立」が掲載され、知財戦略専門チームの立ち上げ時に実施した、競合他社の特許分析から得た知見を基に、全社横断的に知財戦略を実行する知財戦略委員会の設立及びその運営に関する取り組みが紹介されています。
特に、知財戦略チームの立ち上げから、全社組織である知財戦略委員会の設置・運営までの紹介は、これから取組を始める会社にとって参考になるだろうと思います。 IPジャーナル第20号 http://fdn-ip.or.jp/ipjournal/latest.php 2022年 2月10日 アシックスが牛に靴を売る?スポーツメーカーの強みを活かす新戦略 2022年 1月21日 アシックス「王者奪還」への執念「Cプロジェクト」 知財管理 2022年3月号に「コニカミノルタの事業ポートフォリオ転換を支える知財戦略」では、祖業である写真フィルム・カメラ事業から撤退し 複合機を中心としたオフィス事業を主力事業として成長させる等大胆な事業ポートフォリオ転換を行ってきたコニカミノルタの事業ポートフォリオ転換を支える知財戦略について、簡潔にそのエッセンスが述べられています。
コニカミノルタの事業ポートフォリオ転換を支える知財戦略 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/mokuji/mokujinew.html
3 新たな中期経営計画「DX2022」と知財戦略 4. おわりに コニカミノルタ知的財産報告書2021 https://www.konicaminolta.com/jp-ja/investors/ir_library/intellectual_property/index.html 「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター2022」に選出 https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/2022/0311-01-01.html 【知財戦略で経営戦略を支える】 コニカミノルタでは、2014年度からの中期経営計画「Transform2016」および「SHINKA2019」において、ペーパーレス化の到来を睨んだ事業ポートフォリオ転換に注力し、これを支える知財戦略として、基本特許の獲得を掲げるとともに、特許の質を定量化して質向上を図る施策を実施してきました。さらに、2020年度からスタートした中期経営計画「DX2022」において、独自の「画像IoTプラットフォーム」を核としたDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて事業ポートフォリオの転換を図っています。これを知的財産面から支えるべく、Imaging AI技術をはじめとする「真に競争力の源泉となる特許」への知財リソースの集中を行い、特許ポートフォリオの転換を進めています。 これらの知財戦略の実行により構築された質の高い特許が、「イノベーションを生み出す価値の高い知的財産」として評価され、今回の受賞につながったものと考えています。 コニカミノルタは、知的財産を価値創造の源泉として位置づけ、社会に革新をもたらす新たな価値を創造するとともに、適正な投資を継続し、事業の成長に資する質の高い知的財産ポートフォリオの構築に努めてまいります。 2021年 9月 3日 コニカミノルタの知財投資・活用戦略 2021年 5月29日 画像IOT技術で知財ジャンルトップをめざすコニカミノルタの知財戦略 2021年 3月12日 コニカミノルタ 知財部門自ら顧客と接して把握した顧客価値を守る知財戦略の実践 2020年10月16日 コニカミノルタのデジタルトランスフォーメーション(DX)×知的財産戦略 特許研究 第73号(2022年3月発刊)の「用途発明のクレーム解釈と差止請求の可否及び損害賠償の範囲―方法の発明の間接侵害品の直接侵害化と用途の特許性に由来する権利行使の制約―」(ユアサハラ法律特許事務所 末吉剛弁護士)は、「○○用」との構成要件が付加された物の発明を用途発明と呼び,属否論及び特許性の判断のためのクレーム解釈(技術的範囲及び発明の要旨認定)について検討しています。
用途発明について類型別に議論されており、参考になります。 https://www.inpit.go.jp/content/100874753.pdf
(2)医療用医薬品における適応症と保険適用 (3)用途による特定の拡張 3.特許要件の判断における用途発明の解釈(発明の要旨認定における用途発明) (1)従前の裁判例 (2)特許庁の運用 (3)要旨認定の一般的な規範との整合性 ア 明細書の記載の参酌 イ 出願経過 4.属否論における用途発明の解釈(技術的範囲の確定における用途発明) (1)従前の裁判例 (2)技術的範囲の確定 5.将来の使用方法を特定した物の発明の直接侵害と方法の発明の間接侵害との対比 (1)専用品型か,多機能型か (2)将来使用される方法を現在に前倒しすることの困難性及び被告製品の特定 (3)差止請求における利益衡量 ア 利益衡量の必要性 イ 考慮されるべき要素 ウ 多機能型間接侵害の差止適格性説 (4)損害賠償 ア 実際に使用された割合での按分による事後的な清算 イ 多機能型間接侵害の場合との対比 6.作用又は特性が構成要件として用いられているその他のクレーム (1)用途発明以外に作用又は特性が構成要件として用いられている場合 (2)構成要素の作用又は特性に関する構成要件 (3)効果の構成要件 7.結語 工業所有権情報・研修館(INPIT)の「知っておきたい特許契約の基礎知識」が12年ぶりに改訂されたとのことです。(BLJ法律事務所 遠藤 誠弁護士が監修)
改訂のポイントは、下記のとおりです。 ・意匠、商標の記載を追加 ・限定提供データ、ソフトウェアの契約、電子契約等の記載を追加 ・法改正に対応 ・海外情報の更新 ・契約書雛形に商標を追加 ・契約書雛形を別冊化 本書は、契約に関する基礎知識、知的財産の契約に関する基礎知識、海外との契約の基礎知識、知的財産の契約についての関連知識、という内容で、Q&A形式で分かりやすく解説しています。 下記の各種契約書のサンプルも掲載されていますので、大変参考になります。 特許実施許諾契約書〔逐条解説〕、特許及びノウハウ実施許諾契約書〔逐条解説〕、共同研究契約書、オプション契約書、特許権譲渡契約書、特許専用実施権許諾契約書、特許共同出願契約書、秘密保持契約書1〔両当事者秘密保持義務のケース〕、秘密保持契約書2〔一方当事者秘密保持義務のケース〕、秘密保持誓約書、商標使用許諾契約書 知っておきたい知的財産契約の基礎知識 https://www.inpit.go.jp/content/100874703.pdf 目 次 1. 契約に関する基礎知識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (1)契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (2)契約書の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 1)なぜ契約書を作成するのですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2)どのような契約書を、どの段階で作成すればよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 3)契約の交渉開始から契約締結までの工程はどうなりますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・7 4)契約書に記載すべき内容は決まっているのですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 5)契約書はどのように書けばよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 6)契約書の一般的な構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 7)契約書の表題はどのようにすればよいですか。また、契約書・協定書・覚書・ 合意書・確認書の表題で効力は違いますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 8)契約書に使われる用語について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 9)見出しはどのように書けばよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 10)なぜ契約書に押印しなければいけないのですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 11)印鑑の種類によって契約の効力に違いはありますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 12)印鑑は契約書のどこに押せばよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 13)契約書には収入印紙を貼る必要がありますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 14)契約書の雛形はどのように利用するのがよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 15)株式会社の場合、契約書の調印者や署名者は誰にすればよいですか ・・・・・・・・14 16)契約書に規定していない問題が発生したときは、どうすればよいですか ・・・・15 17)契約書の訂正方法について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 18)内容証明郵便の効力について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 (3)契約期間中の問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 1)契約はいつ成立しますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 2)各当事者の調印日が違う場合は、どうなるのですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3)契約の解約と解除はどう違うのですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 4)契約不適合責任について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 5)契約を途中でやめることはできますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 6)すでに調印した契約の一部を変更する場合、どうすればよいですか ・・・・・・・・18 7)契約違反をした場合はどうなりますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 8)損害賠償の条項とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 9)契約終了後も契約書を保管しなければなりませんか。 また、契約書正本を紛失した場合、どうすればよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・19 10)契約の内容について当事者間で争いが起きた場合、どうすればよいですか ・・20 11)裁判管轄の合意とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 12)下請代金支払遅延等防止法(下請法)について教えてください ・・・・・・・・・・・・20 13)製造物責任法(PL法)について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 14)秘密保持契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 15)営業秘密と不正競争防止法の関係について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・23 16)電子契約について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 2. 知的財産の契約に関する基礎知識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 1)知的財産とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 2)産業財産権とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 3)ノウハウとは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 4)知的財産に関する契約の種類はどのようなものがありますか ・・・・・・・・・・・・・・29 5)産業財産権の譲渡契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 6)産業財産権の許諾契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 7)譲渡又は許諾の対象となるものにはどういうものがありますか ・・・・・・・・・・・・31 8)許諾契約におけるライセンサー/ライセンシーの 立場について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 9)産業財産権の実施について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 10)専用実施権と通常実施権の違いは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 11)仮専用実施権/仮通常実施権とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 12)通常実施権・仮通常実施権における独占的と非独占的の違いは何ですか ・・・・37 13)通常実施権者・仮通常実施権者がいるのにライセンサーが別の者に専用実施権・ 仮専用実施権を許諾した場合、通常実施権者・仮通常実施権者の立場はどう なりますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 14)出願中と権利成立後では、権利はどうなりますか。 また、契約にあたっては何に留意すればよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 15)公開される前の産業財産権をライセンスする際の留意点を教えてください ・・38 16)オプション契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 17)不実施補償契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 18)サブライセンス(再実施権)と下請けの違いは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 19)ライセンス契約の対価の算定方法について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・40 20)最低実施料(ミニマムロイヤルティ)とはどういう意味ですか ・・・・・・・・・・・・41 21)正味販売価格(純販売価格)とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 22)ライセンス契約終了後に、契約に基づき開示されたノウハウを使用すると どうなりますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 23)特許、実用新案、意匠の発明者、考案者、創作者(以下、発明者等)が 実施許諾をすることはできますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 24)社長が個人で所有している産業財産権(出願中を含む。)を会社が契約当事者 としてライセンス契約を締結する場合は、どうすればよいですか ・・・・・・・・・・43 25)ライセンサーが倒産した場合、許諾契約はどうなりますか ・・・・・・・・・・・・・・・・43 26)ライセンシーは、許諾契約において、製品をライセンサーの 了解を得ないで輸出できますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 27)産業財産権が共有とされている場合について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・44 28)譲渡条項について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 29)ライセンサーの担保責任とはどういうことですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 30)改良発明・改良技術とは何ですか。また取扱いはどうすればよいですか ・・・・46 31)不争条項とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 32)最恵待遇条項とは、どういうものですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 33)完全合意条項とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 34)共同研究契約とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 35)共同で研究開発する際の留意点を教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 36)共同研究で生まれた成果物(発明等)の取扱いについて教えてください ・・・・48 37)産業財産権と独占禁止法の関係について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 38)ソフトウェアの使用に関する契約について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・49 39)知的財産権に関わる契約等を行う上での契約書の雛形及び参考となる WEB サイトを紹介してください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 3. 海外との契約の基礎知識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 1)国内契約と海外契約との違いはありますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 2)日本の会社等が海外から技術ライセンスを受ける場合、 どのような規制がありますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 2)-1 指定技術とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 2)-2 事後報告の対象になるものと、その手続を教えてください ・・・・・・・・・・・53 3)日本の会社等が海外に技術ライセンスを行う場合、 どのような規制がありますか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53 4)米国の技術移転に係る法規制について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 5)中国の技術移転に係る法規制について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 6)韓国の技術移転に係る法規制について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 4. 知的財産の契約についての関連知識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 1)ライセンス契約の交渉開始から契約締結までの工程はどうなりますか ・・・・・・58 2)TLO が、大学の所有する特許権等を第三者に実施許諾する場合、TLO の 大学からの事務委託についてどのような条文を作成すればよいですか ・・・・・・59 3)ライセンス契約と消費税について教えてください ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59 4)ライセンシーが支払う対価をライセンサーは減価償却する必要が ありますか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 5)特許ノウハウ実施許諾契約を作成するための留意点を教えてください ・・・・・・60 6)特許製品が第三者の特許権等を侵害した場合、 どのように対応すればよいですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 7)特許ライセンス契約において独占禁止法上、気をつけなければならないことは 何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 5. 資料編 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 (1)法律用語の解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 (2)知的財産に関する用語の解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 (3)知的財産権の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67 (4)技術移転の流れと必要な契約の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68 (5)特許権移転登録申請書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 (6)実用新案権移転登録申請書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71 (7)専用実施権設定登録申請書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73 (8)仮専用実施権設定登録申請書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76 知っておきたい知的財産契約の基礎知識(別冊) https://www.inpit.go.jp/content/100874697.pdf 目 次 1.本別冊の構成及び利用上の注意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2.契約書雛形及びチェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (1)特許実施許諾契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 参考 1 請求書(一時金) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 参考 2 実施実績報告書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 参考 3 請求書(実施料) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 特許実施許諾契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 (2)特許及びノウハウ実施許諾契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 特許及びノウハウ実施許諾契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (3)共同研究契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 共同研究契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 (4)オプション契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 オプション契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 (5)特許権譲渡契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 特許権譲渡契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 (6)特許専用実施権許諾契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 特許専用実施権許諾契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 (7)特許共同出願契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 特許共同出願契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 (8)秘密保持契約書1〔両当事者秘密保持義務のケース〕 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 秘密保持契約書1〔両当事者秘密保持義務のケース〕チェックリスト ・・・・・・・42 (9)秘密保持契約書2〔一方当事者秘密保持義務のケース〕 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 秘密保持契約書2〔一方当事者秘密保持義務のケース〕チェックリスト ・・・・・45 (10)秘密保持誓約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 秘密保持誓約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 (11)商標使用許諾契約書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 商標使用許諾契約書チェックリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 杉光一成教授、筑波大学ビジネスサイエンス系 立本博文教授が共同幹事として主宰する研究フォーラム「「知的財産と投資」の中間報告「コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告)」では、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)の例としての「戦略上の中核となる特許及びその残存期間とそれに対する対応状況」が提案されています。
この中核特許は、「重要特許」のように計算で得られるものとは異なり、⾃社が「中核」と考えている特許を意味(e.g. 製薬企業における基本特許)しているとのことです。 中間報告では、重要・中核特許の獲得として、重要特許と中核特許の切り分けが十分されていないようにも思える表現があります。 『重要・中核特許」の存在が他社への参⼊障壁として機能している場合,特に購買者からの強いニーズの存在するある特定の製品の機能について「重要・中核特許」が存在する結果,他社がその機能を製品に実装できない,あるいは実装できるが特許のライセンスフィーの⽀払いが必要な場合,当該競争環境の下では,「重要・中核特許」を保有する企業が「顧客(市場)」の視点の CSF といえる「価格決定⼒」を保有する,というのも論理的かつ合理的な因果関係と考えられる.』 上記は、中核特許と考えるべきだろうと思っています。 いずれにせよ、投資家から「横並びの指標」を求める声が強いとしても、指標が独り歩きするリスクもあるため、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)は悩ましいところです。 ビジネスの優位性の裏付けとなる知的財産の指標に関して、今後の統合報告書の開示等での各社の工夫が注目されます。 コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告) https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/WP010.pdf 被引用情報を用いた重要特許抽出方法の検証 https://www.jstage.jst.go.jp/article/infopro/2017/0/2017_61/_pdf 特許固有の引用情報を考慮した特許文献の重要度算出方式の検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/5/51_5_334/_pdf/-char/ja 重要特許の判別指標 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j018.pdf 民間事業者が提供する特許情報サービスの機能紹介 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/h28-minkan.html 【6.5.3】引用・被引用情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/03.pdf 【6.5.4】特許スコア情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/04.pdf 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 杉光一成教授、筑波大学ビジネスサイエンス系 立本博文教授が共同幹事として主宰する研究フォーラム「「知的財産と投資」の中間報告「コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告)」では、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)の例としての「重要特許」が提案されています。
「①特定の有償ツールの採⽤を企業に強いず,②企業に対して算出に過度の負担をかけない,という2つの観点を重視しつつ,合理性が⼀定程度は担保でいると考えられるいわば妥協案として,以下の KPI(計算式)を提案した. 重要特許の KPI = 同⼀ IPC 分類における年平均被引⽤回数の上位5% 例えば,特定の IPC 分類の全特許出願についてそれぞれ過去に引⽤された総数を確認し,その総数を出願年からの経過年数で割ることで平均の被引⽤回数を算出し,その数値を降順で並べて上位5%に⼊る特許出願を「重要特許」とする,という案である.経過年数で割る理由は出願から⻑期の出願するほど引⽤される可能性及び回数が増加することを踏まえてその点を平準化するためである.」 とのことで、「本KPI の計算式は化学系には適する可能性がある一方,その他の分野(特に電気・機械系)では適さない可能性が高い(追って検証する予定である).また,仮に業界の競合企業との間で「重要特許」として別の計算式(算出方法.有償ツールにより算出されるものも含む)について合意できる状況があれば,その範囲ではそれを採用しても良いのではないかと考えられる.」との脚注がつけられています。 投資家から「横並びの指標」を求める声が強いとしても、指標が独り歩きするリスクもあるため、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)は悩ましいところですが、各社のビジネスの優位性の裏付けとなる知的財産の指標に関して、今後の統合報告書の開示等での各社の工夫が注目されます。 コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告) https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/WP010.pdf 被引用情報を用いた重要特許抽出方法の検証 https://www.jstage.jst.go.jp/article/infopro/2017/0/2017_61/_pdf 特許固有の引用情報を考慮した特許文献の重要度算出方式の検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/5/51_5_334/_pdf/-char/ja 重要特許の判別指標 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j018.pdf 民間事業者が提供する特許情報サービスの機能紹介 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/h28-minkan.html 【6.5.3】引用・被引用情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/03.pdf 【6.5.4】特許スコア情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/04.pdf NO&T IP Law Update 知的財産法ニュースレターNo.4(2022年3月)の『「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の概要とこれを踏まえた具体的なアクションプランについて』(長島・大野・常松法律事務所 殿村桂司氏、近藤正篤氏、内海裕也氏)では、知財・無形資産ガバナンスガイドラインを踏まえた具体的なアクションとして、下記の3つが必要である旨、強調されています。
(1) 開示に向けて、速やかに知財・無形資産の投資・活用戦略に関する社内検討 (2) 社内検討の方法は、バックキャストの視点からの検討で、現状(As Is)の正しい把握と法的観点からの分析、知財部門の役割の再検討・明確化 (3) 充実した開示内容の検討 また、「本ガイドラインは、これまで十分に活用されてこなかったと言われる知財・無形資産を積極的に活用するための視点・考え方を示すものであり、上場会社だけでなく、中小・スタートアップを始めとした全ての会社にとって参考になる重要なもの」としています。 そして、「各社におけるクリエイティブな発想に基づく工夫が期待されるところです。」とされており、いろいろな方々が、各社の取組を注視している状態であることを指摘しています。 各社の知財部の腕の見せ所になっていると言っても過言ではないようです。 「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の概要とこれを踏まえた具体的なアクションプランについて https://www.noandt.com/publications/publication20220331/ 令和3年度我が国の知的財産制度と経済の関係に関する調査報告書が公表されました。
令和3年度は、次の結果をとりまとめています。 (1)特許審査において面接・応対を行うことによる効果の分析 (2)不使用商標に関する分析 (3)特許の料金に関する分析 (4)特許庁の施策に資する国内外の計量経済学的研究の調査 (5)知的財産活動調査の全体推計方法の改善と、実運用に向けた検証 特許審査において面接・応対を行うことによる効果の分析では、「分析の結果、面接は特に、権利化意欲の高い発明(ファミリーサイズや拒絶理由通知回数で測定)、他社からの注目度が高い発明(被引用件数で測定)、早期権利化ニーズの高い発明(早期審査請求制度の利用状況で測定)に対して用いられていることが分かった。そのうえで、内生性をコントロールしても、面接利用の拡大は、補正による文字数の増加を抑える効果があること、また、無効審判の請求確率や成立確率を低下させることも明らかとなった。これらの結果は、面接によるコミュニケーションが、権利をより安定的なものとし、権利範囲の過度の縮小を抑制する効果を持つことを示唆している。」としています。 肌感覚と合致している分析結果です。 我が国の知的財産制度と経済の関係に関する調査報告 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/keizai_yakuwari.html 日本の特許では、マルチマルチクレームが今年4月1日出願日から禁止になりました。
個人的には、安易にマルチマルチクレームを採用するのは良くないので、しっかりどの権利範囲を取りたいかを明確にして、できるだけマルチマルチクレームを使わないやり方が良いと思っていますが、事情によってはマルチマルチクレームを使いたいという場合もでてくると思います。日本ではその道が閉ざされてしまいましたが、外国ではまだ残っています。 その場合の対応法について、わかりやすく解説してくれているのが、YouTubeの5 Minute Patent Practice(グローバル・アイピー東京特許業務法人 代表弁理士 高橋明雄氏) https://www.youtube.com/c/5MinutePatentPractice/videos です。 日本マルチマルチクレーム禁止による米国への影響(1)(2) https://www.youtube.com/watch?v=VPVLSvXJa5c https://www.youtube.com/watch?v=mZUffzNJwM8 日本マルチマルチクレーム禁止による中国への影響(1)(2) https://www.youtube.com/watch?v=UYQd7JU9JfM https://www.youtube.com/watch?v=ecsBhvELqY0 日本マルチマルチクレーム禁止による欧州への影響(1)(2) https://www.youtube.com/watch?v=wVU0psndXU0 https://www.youtube.com/watch?v=NGrnuIsVWuU が相次いでアップされており、参考になります。 ロイターによれば、「ロシアのミシュスチン首相は30日、国内小売業社に対し、商標権者の許可なしに商品を輸入することを認可したと発表した。ウクライナ侵攻を受けて世界のブランドがロシアでの販売や輸出の停止に動く中、混乱している小売セクターを支援する狙いがある。ミシュスチン首相は「海外の政治家らによる敵意ある行動」に言及した上で、ロシアへの特定商品の出荷継続を確実にするために「並行輸入」が必要と強調した。また、並行輸入が可能な商品については、産業貿易省が決定するとした。」ということです。
ロシアでは並行輸入は商標権の侵害に該当すると考えられています。2018年2月、並行輸入に関係する民法の規定の合憲性を判断する憲法裁判所判決が出され、話題となりました。憲法裁判所は、結局、商標権の及ぶ範囲(商標権の消尽の問題)、並行輸入の合法性については立法の裁量に委ねられており、現行法については、並行輸入品は商標権を侵害することを確認した一方、権利者がロシア市場への物品の輸入に関して制限を課し、または、故意に、そして、不当にその製品に高値をつけることによって商標に関する独占権を濫用している場合等一定の条件における権利所有者の同意なき原物の輸入を許可することになったと理解しています。 その後、連邦反独占庁(FAS)は、ロシアへの並行輸入を認可するために民法典を改正する連邦法草案を作成し、2021年に施行される予定であり、5年を限度に、ブランドオーナーの許可なく、一定の物品の輸入をロシア政府が認可することを認めることとなるという情報がありましたが、最近どうなっているのかは知りませんでした。 今回の措置は、この法令によるものなのかなあとも思っていますが、正確な情報が知りたいところです。 ロシア、「並行輸入」を認可 世界的ブランドの販売停止に対応 https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-retail-imports-idJPL3N2VX7OA 2022年3月17日にオンライン会議形式で行われた「三極知財・環境問題シンポジウム~カーボンニュートラル達成に向けた特許制度の貢献~」(日本国特許庁(JPO)主催、欧州特許庁(EPO)及び米国特許商標庁(USPTO)との共催)のアーカイブ動画が3月31日から公開されています。
本シンポジウムでは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、特許制度を戦略的に活用してカーボンニュートラル技術が開発・普及された事例が紹介され、知財のカーボンニュートラル達成への貢献について議論されました。 しっかりした同時通訳で日本語で視聴できますし、英語で行われたので英語版も公開されています。 三極知財・環境問題シンポジウム(全体版) https://www.youtube.com/watch?v=9NCbtxOTBR8 Trilateral Symposium on IP & Environmental Issues (Full Symposium) https://www.youtube.com/watch?v=__NmA3QtWus トピック1(日本の事例) 株式会社ユーグレナの社長・創業者である出雲充氏。ミドリムシ(ユーグレナ)を用いた次世代再生可能ディーゼルバイオ燃料が紹介、基礎特許を単独で取得した上で共同研究を実施する知財戦略。 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/seminar/document/ip_and_environment/euglena-text.pdf トピック2(欧州の事例) オーカンエナジー社のCTO・共同創業者であるアンドレアス・シュスター氏。廃熱利用発電プラントを販売する上で、170件の特許からなる知財ポートフォリオが鍵になった。こ資金調達、パートナーとの交渉、国際的な事業展開において、特許が果たす重要な役割。 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/seminar/document/ip_and_environment/orcan-text.pdf トピック3(米国の事例) 米ノケロ社のCEO・創業者であるスティーブ・カトサロス氏。低コストかつ低環境負荷の太陽光発電LEDの紹介、特許と意匠の両方で製品を保護する知財戦略。 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/seminar/document/ip_and_environment/nokero-text.pdf 三極知財・環境問題シンポジウムの結果について 2022年3月31日 https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/nichibeiou/symposium-20220317.html 3月31日、経済産業省が、国内特許を含む標準必須特許のライセンス交渉に携わる権利者及び実施者が則るべき、我が国としての誠実交渉の規範を示す「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」(誠実交渉指針)を策定したことを公表しました。
指針では、交渉を4段階に分け、特許侵害の証明をはじめそれぞれの過程で必要な対応策を示しています。 <ライセンス交渉の主要な4つのステップ> 【】内は、対応を行う交渉当事者を表す。 ステップ1: ライセンスオファー 【権利者】 ステップ2: FRAND条件での契約締結の意思表明 【実施者】 ステップ3: 具体的なライセンス条件の提示 【権利者】 ステップ4: 対案の提示(ステップ3のライセンス条件を受け入れない場合) 【実施者】 標準必須特許のライセンスに関しては、平成30年に特許庁から「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」が公表されていますが、「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」は、「国内外の事実を踏まえ、論点を客観的に整理した資料」であり、今回の「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」は、SEPライセンス交渉に携わる国内外の企業等の意見や、我が国の有識者及び産業界の意見を踏まえて策定した、「国内特許を含むSEPライセンス交渉に携わる権利者及び実施者が則るべき、我が国としての誠実交渉の規範」ということです。 つながる車の特許交渉手続き明示 経産省、侵害証明など https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA262700W2A320C2000000/ 「誠実交渉指針」と「交渉手引き」の位置付けの違い https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/sep_license/diff-METIguidelines-JPOguide-ja.pdf 「誠実交渉指針」と「交渉手引き」の位置付けの違い ⚫ 標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針は、「我が国としての誠実交渉の規範」。 ⚫ 標準必須特許のライセンス交渉に関する手引きは、「国内外の事実を踏まえ、論点を客観的に整理した資料」。 ⚫ いずれも、法的拘束力を持たず、将来の司法の判断を予断するものではない。 「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」を策定しました 2022年3月31日 経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220331001/20220331001.html 標準必須特許のライセンス交渉に関する手引きを公表しました 平成30年6月 特許庁 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/seps-tebiki.html 3月30日に、特許庁審判部から「審判実務者研究会報告書2021」が公表されました。
特許庁審判部は、平成18年度(2006年度)から、産業界、弁理士、弁護士及び審判官という各々立場の異なる審判実務関係者が一堂に会して審決や判決についての研究を行う「審判実務者研究会」(当初は「進歩性検討会」)を開催し、その成果を公表するなどの取組を行っていますが、2021年度の研究会における成果です。 私も2010年~2012年の3年間この研究会に参加させていただき、非常に勉強になりました。当時は、新型コロナウイルス感染症もなく、対面で研究会が実施され、ほぼ毎回、場を移して議論が行われ、産業界、弁理士、弁護士及び審判官の間での懇親も深まった記憶があります。 今回の報告書もじっくり読ませていただきたいと思っています。 事例 1(特許機械)新規事項 事例 2(特許化学 1 )数値限定発明のサポート要件 事例 3(特許化学 2 )進歩性判断における予測できない顕著な効果 事例 4(特許電気)発明該当性 事例 5(意匠)創作性 事例 6(商標)位置商標 事例 7(特許機械)特許法36条6項1号(サポート要件),同法29条2項(進歩性) 事例 8(特許化学 1 )特許法36条6項2号(明確性) 事例 9(特許化学 2 )特許法36条4項1号(実施可能要件),同条6項1号(サポート要件) 事例10(特許電気)分割要件違反 事例11(意匠)意匠法3条2項(創作性) 事例12(商標)商標法4条1項11号(結合商標の分離観察の妥当性) 審判実務者研究会報告書 https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/kenkyukai/sinposei_kentoukai.html 知財管理 2022年3月号の「OKRによる知的財産活動のマネジメント」(パナソニックIPマネジメント株式会社 代表取締役社長 足立和泰氏)は、KPI(重要業績評価指標: key performance indicators)ばやりの昨今では珍しい取り組みに見えるかもしれません。
『導入開始からまだ1年であるが見えてきた成果の一例として「事業貢献を意識した知財活動」「達成困難な目標への挑戦」,「緊急度は低いが重要度が高い業務の進捗」,「事業部門と整合した目標の設定」といった観点で成果が現れ始めている。』ということで、今後の成果に期待したい。 KPIは、最終目標(KGI)達成にいたるまでのプロセスをチェックする中間指標で、KGIを達成することが主眼となるため、KPIは現実的な数値を置き、達成することに意味がある指標なので、評価にも活用されます。 OKR(Objectives and Key Results)は、高い目標を達成するための目標管理法のことを指し、Objectives は「目標」、Key Resultsは「主要な結果」のことで、それぞれを企業・部門・チーム・個人という階層ごとに設定します。OKRの特徴は、個人と企業の目標をリンクさせており、目標設定・進捗確認・評価という一連の流れを高い頻度で行うことです。この手法は、1970年代にインテル社が採用したことに続いて、今ではGoogleやLinkedInなど多くの名だたる企業で導入されているようです。 通常、目標は100%達成できるような指標を置くものですが、OKRでは60~70%の達成度となるような高いレベルで、目標を設定することが望ましいとされていて、本来達成できそうなレベルよりもさらに高い100%を目指していくことで、さらなる高みを目指すことになり、成長が生まれるという理屈になっています。そして、OKRの達成率を評価には使用しないことが注意事項とされているようです。 知財管理 2022年3月号 「OKRによる知的財産活動のマネジメント」 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/mokuji/mokuji2203.html 抄録 今日,顧客ニーズの多様化,異業種との共創などを背景に,事業環境が複雑さを増し,将来予測が困難な時代となっており,研究開発成果を権利化し,自社製品の競争力を強化する従来の知財活動に加え,他社との共創や新規事業の創出など,より不確実かつ複雑な社会に対応した活動が求められている。 一方で,出願件数や収支などの目標数値で管理するマネジメントは目標達成が事業にどう繋がるのかが経営者に見えにくい,知財活動の目的が「事業への貢献」であることを従来以上に強く意識しなければならない等の課題認識がある。 こうした背景から,当社は変化のスピードに対応し,事業貢献を強く意識した高い目標に挑戦すべく. OKR (Objectives and Key Results) を導入した。OKRは今日の複雑かつ予測困難な新しい知財活動に適したマネジメントであると考えている。当社の経験を踏まえ,知財活動におけるOKRの設定,運用の特徴および課題など,OKRに関する組織運営について考察を行う。 2022年2月16日 パナソニックの伴走型IPランドスケープ ビジネス法務5月号に、「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」が特集されています。
「SDGs,ESGをめぐる世界の情勢からみるESG投資を呼び込む知財活用・知財戦略」では、SDGs,ESGをめぐる世界の情勢を概観し、ESG投資を呼び込むために、知的財産への投資等の情報開示・提供を求める改訂CGコードにどのように向き合うべきか、実際の企業の取組みを取り上げている。参考になる例として取り上げられているのは、味の素、塩野義製薬、シーメンス、アームで、しっかり勉強しなければ。 ビジネス法務、2022年5月号、P.65-89 「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」 https://www.chuokeizai.co.jp/bjh/latest/#page_idx_8795 2022年2月17日 味の素のIPランドスケープとCGC改定対応 2021年6月26日 味の素のデジタル変革(DX) 2020年9月24日 味の素(株)の知的財産活動 製薬会社の”IPランドスケープ”の取り組み(塩野義の例)・・・「経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究」より 2021.05.26 https://www.tokkyoteki.com/2021/05/chizai-johobunseki-report.html 2021年5月6日 HAAS 分野の IP ランドスケープに注力する塩野義製薬の知財活動 ビジネス法務5月号に、「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」が特集されています。
「知的財産をめぐる今後の取締役会のあり方」(中央大学商学部准教授 西村陽一郎氏)は、 改訂版コーポレートガバナンス・コードや知財・無形資産ガバナンスガイドラインを前提として,知財に関して取締役会が関与すべきイシュー、知財をめぐるガバナンスの観点から取締役会のあり方を提示しています。 各社が特に悩んでいる問題ではないかと思います。 取締役会が関与すべき知財をめぐるイシュー 知財の創出にかかわる事項 R&D投資の方向性、R&D投資の実施態様、知財の獲得方法等。 知財戦略にかかわる事項 創出された知財の保護にかかわる事項 保護方法 保護の地理的範囲、権利化の進捗管理、権利の維持管理等。 保護された知財の活用・エンフォースメントにかかわる事項 知財評価、ライセンス、パテントプール、標準化知財を利用した融資・証券化、 他社による知財の取得への対応、他社による侵害への対応等 取締役会が知財・知財投資に関するイシューに深く関与していくうえで 注意を払わなければならない問題 知的財産開示をめぐるアピールの不足 経営トップによる知財活用のバイアス 知財をめぐる取締役会のあり方の提案 第1に, 知財の投資 ・ 活用戦略の策定・実行について全社横断的な休制を構築するた め, 役員レベルに知的財産総括責任者をおくこと(たとえば 知財最高責任者 (CIPO: Chief Intellectual Property Officer) の設置)である。 第2に , 知財経験や知財の専門知識を持つ 取締役, それも知財経験や知財の専門知識を 持つ社外取締役(弁理士や知財を専門とする大学教員等)を取締役会の構成メンバー に加えることである。 ビジネス法務、2022年5月号、P.65-89 「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」 https://www.chuokeizai.co.jp/bjh/latest/#page_idx_8795 知的財産をめぐる 今後の取締役会のあり方 西村陽一郎 2021年6月,コーポレートガバナンス・コードの改訂版に,初めて知的財産に関わる項目が盛り込まれ,それにともない,知財・無形資産ガバナンスガイドラインが策定・公表された。本稿では,改訂版コーポレートガバナンス・コードや知財・無形資産ガバナンスガイドラインを前提として,知財に関して取締役会が関与すべきイシューを列挙するとともに,知財をめぐるガバナンスの観点から取締役会のあり方を提示する。 ビジネス法務5月号に、「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」が特集されています。
『ガイドラインに基づく「知財・無形資産ガバナンス」の実践方法』は、元ナブテスコの知財部長だった菊地氏(現HRガバナンス・リーダーズ株式会社フェロー、知財ガバナンス研究会幹事)によるもので、「2021年のコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂における知財投資の取締役会監督と情報開示に対して,知財・無形資産ガバナンスガイドラインの7つのアクションに基づき,企業がいかに取り組むべきかを考察するとともに,知財ガバナンス研究会の活動を紹介する。」というものです。 ぜひご一読を。 ナブテスコの知財経営戦略 -IPランドスケープ®を活用して成功させるグローバル展開 - https://www.inpit.go.jp/content/100869488.pdf ナブテスコの知的財産経営戦略におけるIPランドスケープの実践 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/69/7/69_298/_pdf ビジネス法務、2022年5月号、P.65-89 「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」 https://www.chuokeizai.co.jp/bjh/latest/#page_idx_8795 私たちがコードに「知財」を盛った訳 リーガルのつぼ 2021年5月26日 13:30 (2021年6月2日 13:30更新) https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL230SS0T20C21A5000000/ ビジネス法務5月号に、「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」が特集されています。「知財投資等に関する情報開示の具体的対応----知的財産の範囲,開示の内容・方法」(岩田合同法律事務所パー トナー弁護士,弁理土 工藤良平氏、岩田合同法律事務所パー トナー弁護士 伊藤菜々子氏)では、改訂CGコードの下で各社において知的財産の投資等に関していかなる情報開示が求められており,実務上いかなる対応を行う必要があるか,検討しています。
「改訂ガバナンスコードの下で各社に求められている開示の水準と各社の現状の開示実務 の間には 相応のギャップが存在しているように見受けられる。」 「現状でコンプライとの判断が難しい上場会社については 補充原則で求められる開示や取締役会による実効的監督をいかに進めるのか、さらにその前提となる知財・無形資産の投資・活用の現状を整理し、それらを戦略的にいかに実践していくかについて、今後の計画や検討方針についてエクスプレインするという対応が考えられよう。」 その通りだと思います。。 ビジネス法務、2022年5月号、P.65-89 「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」 https://www.chuokeizai.co.jp/bjh/latest/#page_idx_8795 以下、メモ。 知財投資等に関する情報開示の具体的対応 ----知的財産の範囲,開示の内容・方法 工藤良平・伊藤菜々子 改訂CGコード補充原則3-1③の下で求められている知財投資等に関する情報開示の水準と各社の現状の開示実務ないし意識の間は,相応のギャップが存在しているように見受けられる。本稿では,改訂CGコードの下で各社において知的財産の投資等に関していかなる情報開示が求められており,実務上いかなる対応を行う必要があるか,知財・無形資産ガバナンスガイドラインの内容もふまえ,検討する。 Ⅰ. はじめに ・東証公表の「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況(2021年12月末時点)によれば、補充原則3 - l ③のコンプライ率は2022年 4 月から開始される新市場区分におけるプライム市場選択会社で66.7%,スタンダード市場選択会社で58.6%。改訂CGコード全原則の中でも低い水準のコンプライ率に留まる。 ・相当数の上場会社がサステナビリティを重要な経営課題と認識し検討を深めつつも、検討を知財投資等に関する情報開示へつなげるまでには至っていない。 Ⅱ. 開示の「主体」 ・プライムまたはスタンダード市場以外の上 場会社や非上場会社については, 補充原則3 - 1③に基づくコンプライ・オア・エクスプレインの義務を負うものではない。 ・知財・無形資産が企業価値の源泉となる中小・スタートアップ企業に関しても,投資家・金融機関との対話の際に,知財・無形資産ガバナンスガイドラインで述べられているような知財・無形資産の投資・活用戦略に向けた取組み・情報発信の実施を通じて 投資家 金融機関から自社の知財戦略等に関して的確な評価を受け資金調達につなげるという活用方法も想定されている。 Ⅲ 開示対象となる「知的財産」の範囲 ・狭い意昧での「知的財産権(特許権、商標権、意匠権、著作権など)」に限られず、技術、ブランド、デザイン、コンテンツ、データ、ノウハウ、顧客ネットワーク、信頼・レピュテーション、バリューチェーン、サプライチェーン、これらを生み出す組織能力・プロセスなど幅広い「知財・無形資産」を含む。 Ⅳ. 開示の「内容」 1.ロジック/ストーリーとしての開示 ・上場会社は,自社の強みとなる知財・無形資産を把握・分析のうえ,それらがどのように持続的な価値創造やキャッシュフローの創出につながるかについて,具体的な[ロジック /ストーリー」の形に構築して開示•発信していくことが求められる。 ・「ある技術について〇件の特許権を保有している」,「保有知財一覧は○○のとおりである」といった単発の情報開示が求められているわけではない。 ・将来に向け,どのような知財・無形資産を活用することにより,顧客や社会にどのような価値を提供し,どのように持続可能なビジネスモデルを構築していくか さらに知財・無形資産の維持・強化に向けどのような投資を行い、あるいは損失リスクに対してどのような方策を講じていくかといった知財・無形資産の投資・活用戦略について、実効的な監督を行うべき取締役会(補充原則4 - 2②)での議論をふまえたうえでの情報開示を行うことが求められる。 2求められる7つのアクション ①現状の姿の把握⇒②重要課題の特定と戦略の位置づけの明確化⇒③価値創造ストーリーの構築⇒④投資や資源配分の戦略の構築⇒⑤戦略の構築・実行体制とガバナンス構築⇒⑥投資・活用戦略の開示•発信⇒⑦投資家等との対話を通じた戦略の錬磨という時系列に沿った形でのベストプラクティスと思われるアクション 「経営デザインシート」の活用 3 開示項目に関する留意点 改訂ガバナンスコードの下で各社に求められている開示の水準と各社の現状の開示実務 の間には 相応のギャップが存在しているように見受けられる。 V 開示の「方法」 自社のウェプサイト、統合報告書、サステナビリティレポート、中期経営計画、有価証券報告書などで開示し、ガバナンス報告書ではその内容を参照するという開示事例が多い。 Ⅵ. 役員のトレーニング・外部専門家の活用 取締役会での実質的議論を確保するため 取締役・監査役に対する知財・無形資産ガバナンスガイドラインの内容についての「トレーニングの機会の提供・斡旋」等の取組み必要となる。 自社リソースのみでのアクションの実行が難しい場合、外部専門家からの支援・アドバ イスを受けつつ、取締役・監査役へのトレーニングに加え、知財・無形資産の投資・活用戦略の構築に取り組むことも考えられる。 Ⅶ おわりに 現状でコンプライとの判断が難しい上場会社については 補充原則で求められる開示や取締役会による実効的監督をいかに進めるのか、さらにその前提となる知財・無形資産の投資・活用の現状を整理し、それらを戦略的にいかに実践していくかについて、今後の計画や検討方針についてエクスプレインするという対応が考えられよう。 ビジネス法務5月号に、「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」が特集されています。
2021年6月改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて新たに「人的資本」や「知的財 産への投資等」の開示を行うこと、取締役会においては関係する事項の実効的な監督を行うことが求められました。さらに、改訂CGコードをふまえ、2022年1月「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」が公表されました。 本特集では、今後企業が行うべき知財に関わる開示とガバナンス構築のあり方について、様々な角度から解説されており、参考になります。 ビジネス法務、2022年5月号、P.65-89 「知財・無形資産の投資・活用における「開示」と「ガバナンス構築」のすすめ方」 https://www.chuokeizai.co.jp/bjh/latest/#page_idx_8795 2022年1月28日公表 「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の概説 安井桂大・水谷勇斗 本年1月28日,「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドラ イン Ver 1.0」が公表された。改訂コーポレートガバナンス・コード対応の観点からも重要となる知財・無形資産の投資・活用に向けた取組みに関する指針が取りまとめられた本ガイドラインについて,その概要をご紹介する。 知財投資等に関する情報開示の具体的対応 ----知的財産の範囲,開示の内容・方法 工藤良平・伊藤菜々子 改訂CGコード補充原則3-1③の下で求められている知財投資等に関する情報開示の水準と各社の現状の開示実務ないし意識の間は,相応のギャップが存在しているように見受けられる。本稿では,改訂CGコードの下で各社において知的財産の投資等に関していかなる情報開示が求められており,実務上いかなる対応を行う必要があるか,知財・無形資産ガバナンスガイドラインの内容もふまえ,検討する。 ガイドラインに基づく 「知財・無形資産ガバナンス」の実践方法 菊地 修 2021年のコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂における知財投資の取締役会監督と情報開示に対して,知財・無形資産ガバナンスガイドラインの7つのアクションに基づき,企業がいかに取り組むべきかを考察するとともに,知財ガバナンス研究会の活動を紹介する。 知的財産をめぐる 今後の取締役会のあり方 西村陽一郎 2021年6月,コーポレートガバナンス・コードの改訂版に,初めて知的財産に関わる項目が盛り込まれ,それにともない,知財・無形資産ガバナンスガイドラインが策定・公表された。本稿では,改訂版コーポレートガバナンス・コードや知財・無形資産ガバナンスガイドラインを前提として,知財に関して取締役会が関与すべきイシューを列挙するとともに,知財をめぐるガバナンスの観点から取締役会のあり方を提示する。 SDGs,ESGをめぐる世界の情勢からみる ESG投資を呼び込む知財活用・知財戦略 渡辺直樹・大杉 真・根本鮎子・橋爪 航 サステナビリティを重要な経営課題として認識・対応しつつ,知的財産への投資等の情報開 示・提供を求める改訂CGコードに,どのように向き合うべきか。本稿では,SDGsやESG投資の概念を整理し,実際の企業の取組みを参考にして,対応の手がかりを考えてみたい。 競争力を高める「人的資本」の開示とは ――知的資本との関係を中心に 梅原潤一・トラン・チー ヒトが生み出した「知財・無形資産」はその内容により知的資本等の経営資本に区分され る。このヒトとは,「経済的アウトカムの達成に関連する個々人のKSAs(知識,スキル,能 力,その他特性)」,すなわち「人的資本」である。経営資本の源泉である「人的資本」の認 識・評価・開示の戦略ストーリーは,まさに企業戦略そのものである。よって,人的資本開示 に向けた投資は,経営資本強化・事業を通じたSDGs達成であり,新たな資金調達に資する。 |
著者萬秀憲 アーカイブ
September 2025
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