ロイターによれば、「ロシアのミシュスチン首相は30日、国内小売業社に対し、商標権者の許可なしに商品を輸入することを認可したと発表した。ウクライナ侵攻を受けて世界のブランドがロシアでの販売や輸出の停止に動く中、混乱している小売セクターを支援する狙いがある。ミシュスチン首相は「海外の政治家らによる敵意ある行動」に言及した上で、ロシアへの特定商品の出荷継続を確実にするために「並行輸入」が必要と強調した。また、並行輸入が可能な商品については、産業貿易省が決定するとした。」ということです。
ロシアでは並行輸入は商標権の侵害に該当すると考えられています。2018年2月、並行輸入に関係する民法の規定の合憲性を判断する憲法裁判所判決が出され、話題となりました。憲法裁判所は、結局、商標権の及ぶ範囲(商標権の消尽の問題)、並行輸入の合法性については立法の裁量に委ねられており、現行法については、並行輸入品は商標権を侵害することを確認した一方、権利者がロシア市場への物品の輸入に関して制限を課し、または、故意に、そして、不当にその製品に高値をつけることによって商標に関する独占権を濫用している場合等一定の条件における権利所有者の同意なき原物の輸入を許可することになったと理解しています。 その後、連邦反独占庁(FAS)は、ロシアへの並行輸入を認可するために民法典を改正する連邦法草案を作成し、2021年に施行される予定であり、5年を限度に、ブランドオーナーの許可なく、一定の物品の輸入をロシア政府が認可することを認めることとなるという情報がありましたが、最近どうなっているのかは知りませんでした。 今回の措置は、この法令によるものなのかなあとも思っていますが、正確な情報が知りたいところです。 ロシア、「並行輸入」を認可 世界的ブランドの販売停止に対応 https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-retail-imports-idJPL3N2VX7OA
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著者萬秀憲 アーカイブ
May 2025
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