知財管理 2022年3月号の「OKRによる知的財産活動のマネジメント」(パナソニックIPマネジメント株式会社 代表取締役社長 足立和泰氏)は、KPI(重要業績評価指標: key performance indicators)ばやりの昨今では珍しい取り組みに見えるかもしれません。
『導入開始からまだ1年であるが見えてきた成果の一例として「事業貢献を意識した知財活動」「達成困難な目標への挑戦」,「緊急度は低いが重要度が高い業務の進捗」,「事業部門と整合した目標の設定」といった観点で成果が現れ始めている。』ということで、今後の成果に期待したい。 KPIは、最終目標(KGI)達成にいたるまでのプロセスをチェックする中間指標で、KGIを達成することが主眼となるため、KPIは現実的な数値を置き、達成することに意味がある指標なので、評価にも活用されます。 OKR(Objectives and Key Results)は、高い目標を達成するための目標管理法のことを指し、Objectives は「目標」、Key Resultsは「主要な結果」のことで、それぞれを企業・部門・チーム・個人という階層ごとに設定します。OKRの特徴は、個人と企業の目標をリンクさせており、目標設定・進捗確認・評価という一連の流れを高い頻度で行うことです。この手法は、1970年代にインテル社が採用したことに続いて、今ではGoogleやLinkedInなど多くの名だたる企業で導入されているようです。 通常、目標は100%達成できるような指標を置くものですが、OKRでは60~70%の達成度となるような高いレベルで、目標を設定することが望ましいとされていて、本来達成できそうなレベルよりもさらに高い100%を目指していくことで、さらなる高みを目指すことになり、成長が生まれるという理屈になっています。そして、OKRの達成率を評価には使用しないことが注意事項とされているようです。 知財管理 2022年3月号 「OKRによる知的財産活動のマネジメント」 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/mokuji/mokuji2203.html 抄録 今日,顧客ニーズの多様化,異業種との共創などを背景に,事業環境が複雑さを増し,将来予測が困難な時代となっており,研究開発成果を権利化し,自社製品の競争力を強化する従来の知財活動に加え,他社との共創や新規事業の創出など,より不確実かつ複雑な社会に対応した活動が求められている。 一方で,出願件数や収支などの目標数値で管理するマネジメントは目標達成が事業にどう繋がるのかが経営者に見えにくい,知財活動の目的が「事業への貢献」であることを従来以上に強く意識しなければならない等の課題認識がある。 こうした背景から,当社は変化のスピードに対応し,事業貢献を強く意識した高い目標に挑戦すべく. OKR (Objectives and Key Results) を導入した。OKRは今日の複雑かつ予測困難な新しい知財活動に適したマネジメントであると考えている。当社の経験を踏まえ,知財活動におけるOKRの設定,運用の特徴および課題など,OKRに関する組織運営について考察を行う。 2022年2月16日 パナソニックの伴走型IPランドスケープ
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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