金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 杉光一成教授、筑波大学ビジネスサイエンス系 立本博文教授が共同幹事として主宰する研究フォーラム「「知的財産と投資」の中間報告「コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告)」では、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)の例としての「重要特許」が提案されています。
「①特定の有償ツールの採⽤を企業に強いず,②企業に対して算出に過度の負担をかけない,という2つの観点を重視しつつ,合理性が⼀定程度は担保でいると考えられるいわば妥協案として,以下の KPI(計算式)を提案した. 重要特許の KPI = 同⼀ IPC 分類における年平均被引⽤回数の上位5% 例えば,特定の IPC 分類の全特許出願についてそれぞれ過去に引⽤された総数を確認し,その総数を出願年からの経過年数で割ることで平均の被引⽤回数を算出し,その数値を降順で並べて上位5%に⼊る特許出願を「重要特許」とする,という案である.経過年数で割る理由は出願から⻑期の出願するほど引⽤される可能性及び回数が増加することを踏まえてその点を平準化するためである.」 とのことで、「本KPI の計算式は化学系には適する可能性がある一方,その他の分野(特に電気・機械系)では適さない可能性が高い(追って検証する予定である).また,仮に業界の競合企業との間で「重要特許」として別の計算式(算出方法.有償ツールにより算出されるものも含む)について合意できる状況があれば,その範囲ではそれを採用しても良いのではないかと考えられる.」との脚注がつけられています。 投資家から「横並びの指標」を求める声が強いとしても、指標が独り歩きするリスクもあるため、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)は悩ましいところですが、各社のビジネスの優位性の裏付けとなる知的財産の指標に関して、今後の統合報告書の開示等での各社の工夫が注目されます。 コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告) https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/WP010.pdf 被引用情報を用いた重要特許抽出方法の検証 https://www.jstage.jst.go.jp/article/infopro/2017/0/2017_61/_pdf 特許固有の引用情報を考慮した特許文献の重要度算出方式の検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/5/51_5_334/_pdf/-char/ja 重要特許の判別指標 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j018.pdf 民間事業者が提供する特許情報サービスの機能紹介 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/h28-minkan.html 【6.5.3】引用・被引用情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/03.pdf 【6.5.4】特許スコア情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/04.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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