金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 杉光一成教授、筑波大学ビジネスサイエンス系 立本博文教授が共同幹事として主宰する研究フォーラム「「知的財産と投資」の中間報告「コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告)」では、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)の例としての「戦略上の中核となる特許及びその残存期間とそれに対する対応状況」が提案されています。
この中核特許は、「重要特許」のように計算で得られるものとは異なり、⾃社が「中核」と考えている特許を意味(e.g. 製薬企業における基本特許)しているとのことです。 中間報告では、重要・中核特許の獲得として、重要特許と中核特許の切り分けが十分されていないようにも思える表現があります。 『重要・中核特許」の存在が他社への参⼊障壁として機能している場合,特に購買者からの強いニーズの存在するある特定の製品の機能について「重要・中核特許」が存在する結果,他社がその機能を製品に実装できない,あるいは実装できるが特許のライセンスフィーの⽀払いが必要な場合,当該競争環境の下では,「重要・中核特許」を保有する企業が「顧客(市場)」の視点の CSF といえる「価格決定⼒」を保有する,というのも論理的かつ合理的な因果関係と考えられる.』 上記は、中核特許と考えるべきだろうと思っています。 いずれにせよ、投資家から「横並びの指標」を求める声が強いとしても、指標が独り歩きするリスクもあるため、知的財産に関する情報開⽰の際のKPI (重要業績評価指標)は悩ましいところです。 ビジネスの優位性の裏付けとなる知的財産の指標に関して、今後の統合報告書の開示等での各社の工夫が注目されます。 コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告) https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/WP010.pdf 被引用情報を用いた重要特許抽出方法の検証 https://www.jstage.jst.go.jp/article/infopro/2017/0/2017_61/_pdf 特許固有の引用情報を考慮した特許文献の重要度算出方式の検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/5/51_5_334/_pdf/-char/ja 重要特許の判別指標 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j018.pdf 民間事業者が提供する特許情報サービスの機能紹介 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/h28-minkan.html 【6.5.3】引用・被引用情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/03.pdf 【6.5.4】特許スコア情報の活用 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/service/document/h28-minkan/04.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
April 2023
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