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​よろず知財コンサルティングのブログ

サステナビリティ・ガバナンス改革

12/12/2021

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知財ガバナンス研究会のアドバイザーでもある日本経済新聞社東京本社編集局編集委員 渋谷高弘氏、HRガバナンス・リーダーズ株式会社社長CEO 内ヶ崎茂氏、元 早稲田大学ビジネススクール教授 (現:人事院総裁) 川本裕子氏、が執筆された「サステナビリティ・ガバナンス改革」は、「第12章 サステナプル経営、日本の生命線は知財ガバナンスだ!」は当然のごとく、その他全般についても、非常に参考になりました。
 
持続可能性を求める世界的な潮流が、企業行動を変えつつある。「サステナビリティ×ガバナンス」を構築するストーリーを第一人者が解説する。これからの経営の羅針盤であり、シン・資本主義への道標。
業種や領域を問わず「サステナビリティへのまなざしあるビジネス」が求められる時代。
コーポレートガバナンスも例外ではない。
多様なステークホルダーとの協働のもと、
持続的な企業価値向上に向けて社会的責任を重視したサステナビリティ経営や、
それを独立取締役や取締役会が監督するサステナビリティ・ガバナンスの重要性が高まっている。
一方で、取締役会として何を決定し、どう発信していけばいいのか、
きちんとした知見をもつ企業は少なく、試行錯誤の状態が続いている。
本書はこうしたニーズに応え、「サステナビリティ×ガバナンス」を
構築する意味と実践手法を解説する。
 
著者       内ヶ崎茂/川本裕子/渋谷高弘・著
発行元    日本経済新聞出版
発刊日    2021/12/08
ISBN      978-4-532-13522-5
サイズ    A5判 (313ページ)
 
目次
はじめに
プロローグ  ガバナンス問題は会社の宿命(コーポレートガバナンスの歴史)
第0章  なぜ今、コーポレートガバナンスとサステナビリティの議論なのか
第1章  ガバナンス改革は未来への懸け橋となるか
第2章  コーポレートガバナンスの課題とは
第3章  取締役会の改革が、ガバナンス改革の出発点
第4章  社外取締役の役割と限界
第5章  これからの日本の課題:サステナビリティ概念をどう経営に入れ込むか
第6章  コーポレートガバナンス改革とサステナビリティ経営
第7章  パーパスに根差したサステナビリティ経営の実現
第8章  日本版サステナビリティ・ガバナンスの構築
第9章  欧米企業のサステナビリティ・ガバナンスの取り組み事例
第10章  サステナビリティ・ガバナンスの未来像
第11章  「人財・知財を統合するインタンジプルズ・ガバナンス」構築への提言
第12章  サステナプル経営、日本の生命線は知財ガバナンスだ!
あとがきに代えて
 
著者プロフィール
内ヶ崎 茂  (ウチガサキ シゲル)  (著/文)
HRガバナンス・リーダーズ代表取締役社長CEO
早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了、早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(MBA)。法律系雑誌の編集者を務めたのち、2008年三菱UFJ信託入社。企業のガバナンスについてのコンサルティングを行う。2020年、三菱UFJ信託出資の新会社、HRガバナンス・リーダーズを設立し、社長に就任。
 
川本 裕子  (カワモト ユウコ)  (著/文)
人事院総裁
1982年、東大文学部卒。東京銀行入行。オックスフォード大学大学院経済学修士課程修了。マッキンゼーを経て2004年から2021年、早稲田大学教授(専門は金融機関の経営、コーポレートガバナンス)。数多くの政府の経済・金融系の審議会委員や企業の社外取締役を歴任。2014年から19年まで国家公安委員を務めた。2021年より現職。
 
渋谷 高弘  (シブヤ タカヒロ)  (著/文)
日本経済新聞社編集局経済解説部編集委員
平成2年入社。知財・法務関連を担当。発明と報酬に関する一連の記事で編集局長賞を受賞。
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発明者認定基準 日米比較・紛争回避対策

11/12/2021

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2021年度東京医科歯科大学人材養成プログラム特別講演会「発明者認定基準 日米比較・紛争回避対策」は、オプジーポ特許で、日本の裁判とアメリカの裁判で発明者認定基準の違いがクリアになり、特許取得・権利行使上の問題点及び紛争回避対策もクローズアップされるなかで、時宜を得た企画で、土曜日の早朝にもかかわらず400名以上の方が聴講されたというセミナーでした。
やはり、契約によるルールの明確化が紛争回避対策の鍵になるということです。
 
2021年度東京医科歯科大学人材養成プログラム特別講演会「発明者認定基準 日米比較・紛争回避対策」
https://tmdu-oi.jp/event/6834/?page=news
2021年12月11日
8:30~8:35  < 開会挨拶 >
東京医科歯科大学 統合イノベーション推進機構 教授 飯田 香緒里
8:35~9:20  < 講演 >
「アメリカ特許法における発明者認定基準:オプジーポ特許を巡る日米共同発明者紛争」
ワシントン大学・慶応義塾大学教授 竹中 俊子
9:20~10:20 < パネルディスカッション >
「特許取得・権利行使上の問題点及び紛争回避対策」モデレーター:竹中 俊子
< パネリスト >
●「発明者認定等に関する法的検討 -日本法の観点から」 -大江橋法律事務所 弁護士 重冨貴光
●「アカデミアにおける発明者認定の実務」 東京医科歯科大学の場合東京医科歯科大学 飯田 香緒里
●「発明者認定等に関する法的検討 -米国法の観点から」 -フィネガン・ヘンダーソン・ファラボー・ギャレット&ダナー LLP  米国弁護士 吉田直樹
 
 
================================
 
竹中 俊子, 癌免疫治療発明を巡る日米発明者認定訴訟;発明者認定基準の日米比較
AIPPI(2021)Vol.66 No.11 P838-852

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新規ビジネスのための事業戦略と知財戦略

10/12/2021

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東京都中小企業知的財産シンポジウムの基調講演「新規ビジネスのための事業戦略と知財戦略 ~中小・スタートアップ企業に必要な価値デザイン~」(小林 誠 氏 株式会社シクロ・ハイジア 代表取締役CEO)は、いつもながら、歯切れの良いわかりやすい講演でした。
「知的財産」を特許などの「知財”権”」ではなく、「知的財産(”資産”)」として広く捉えるべきであり、知的資産とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク等の目に見えない資産のことで、企業競争力の源泉となるものである。
新規ビジネスのための事業戦略や研究開発・知財戦略は、より中長期的な視点での検討が必要であり、事業戦略も知財戦略もバックキャスティングによる検討アプローチが重要であり、事業戦略と知財戦略は一体で考えるべきである。
既存事業のための知財戦略なのか、新規事業のための知財戦略なのか、事業の方向性を明確化し、戦略を検討する必要がある。
これまでは知財権ありき(独占)の知財戦略が中心だったが、これからは中長期戦略とビジネス(他者連携)視点の情報戦略として考えるべきで、中小・スタートアップ企業の方が、新規ビジネスのための事業戦略と知財戦略(􀀁􀀂ランドスケープ)は検討・実施しやすい。
新規ビジネスに対応した、適切なビジネスモデルと製品・サービス戦略等の構築、及び知財戦略の構築が必要として、新規ビジネス創出に関する知財戦略検討事例が紹介されました。

 
東京都中小企業知的財産シンポジウムの基調講演「新規ビジネスのための事業戦略と知財戦略 ~中小・スタートアップ企業に必要な価値デザイン~」
https://www.chizaisympo-tokyo2021.jp/program.html
 
 
都と都中小公社、知的財産シンポ開催 シクロ・小林CEOが講演
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/621106?isReadConfirmed=true
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壮麗な装丁と「知的財産権の紋章」が特長の本「世界の知的財産権」

9/12/2021

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店頭で見て、場違いとも思える壮麗な装丁の本「世界の知的財産権」に驚きました。そして、新たに創作された「知的財産権の紋章」が映えます。
WIPO(世界知的所有権機関)、および、日本・米国・欧州・中国・韓国、台湾の産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)、著作権・植物新品種権・GI、また不正競争防止法、独占禁止法の他、知財関連法域全般(条約、コモン・ロー体系と欧州大陸法系、EU法、知的財産基本法、外商投資法、技術管理輸出条例、関税法、他)を解説しており、海外へ進出する者にとって必要な知財の知識等が提供されていいます。
 
「世界の知的財産権」グローバル視点で知的財産権制度の活用が必須の今、読むべき一冊
https://note.com/ookinanami/n/n7117c61afac9
 
世界の知的財産権 (現代産業選書) 単行本 – 2021/12/7
大樹 七海 (著), 正林 真之 (監修), 大熊 雄治 (監修)
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E7%9F%A5%E7%9A%84%E8%B2%A1%E7%94%A3%E6%A8%A9-%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E7%94%A3%E6%A5%AD%E9%81%B8%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E6%A8%B9-%E4%B8%83%E6%B5%B7/dp/4806530697

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トヨタの知財活動と経営・事業に資する知財情報の活用に向けての特許庁の取組み

8/12/2021

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本ブログ11月16日にも取り上げました、CEATEC2021で行われた「経営・事業に資する知財情報の活用に向けて」という対談の動画がIPePlatで無料公開されました。(約1時間、 CEATEC 2021 ONLINEにて公開された動画を二次利用、2022年9月30日までの限定公開)トヨタの取組みと特許庁の取組みがコンパクトにまとめられており、対談では、小林 誠氏がうまく引き出しています。
https://ipeplat.inpit.go.jp/Elearning/View/Course/P_coseview.aspx#no-back
【モデレータ】が、株式会社シクロ・ハイジア 代表取締役CEO 小林 誠氏、【対談者】が、トヨタ自動車株式会社 知的財産部 部長 飯田 陽介氏と特許庁 総務部 企画調査課 課長 仁科 雅弘氏となっています。
「経営・事業に資する「知財情報」の活用の現状や、先進的に「知財情報」を経営・事業に活用している企業の取組について紹介するとともに、効果的な「知財情報」の活用の気付きを提供します。」というものです。
(2分)
経営・事業に資する知財情報の活用に向けて
特許庁 総務部 企画調査課 課長 仁科 雅弘氏
企業価値の源泉としての無形資産の重要性の高まり
経営デザインシートとIPランドスケープ
知財がビジネスにおいて果たす代表的役割
新規参入市場や提携候補企業の抽出((株)旭化成様ご提供)
IPランドスケープの理解・必要性・実施状況
知財情報を経営に活用するには・・・
特許出願技術動向調査(技術テーマ別)とは
技術テーマ毎の調査手法
調査技術テーマ
機械翻訳分野での調査結果例(全体傾向)
機械翻訳分野での調査結果例
(17分)
新しい時代に向けたトヨタの知財活動
トヨタ自動車株式会社 知的財産部 部長 飯田 陽介氏
SDGsへの取り組み 
社会課題解決を通じてSDGs達成、幸せの量産に貢献
企業は利益を得て社会課題を本質的に解決
カーボンニュートラル達成に貢献⇒SDGs実現
 SDGs知財活動(IP Teammate)
  未知の道を進むには、強い意志と地図となる情報が必要
  IP Teammateの基本的考え方
   「経営陣と共に」IP戦略の方向性を決定
   経営の意思が反映されたIP戦略の具体化
   具体化されたIP戦略の実行
  経営の意思が入ったIP戦略事例
   電動化特許無償オープン
   新ビジネス開発テーマ創出
   アライアンス戦略
   Other
地球規模での電動車の普及のために
   車両電動化技術の特許実施権を無償で提供
  特許オープン戦略する場合の検討事項
  (取り巻く環境)
   普及による社会的意義
   市場トレンド
   オープンにする目的
  (技術動向)
   技術の優位性
   競合他社の技術レベル
   サプライヤーの成熟度
  (特許)
   特許の優位性 量・質
      特許の注目度
(31分)
パネルディスカッション
知財情報の有用性
無形資産の重要化
技術動向調査の活用
SDGs、カーボンニュートラルと知財
IPランドスケープ活動
IPチームメイト 経営層の意志
コーポレートガバナンス・コード
(58分35秒)

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横浜ゴムによる中国における模倣品排除

7/12/2021

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横浜ゴムはこのほど、中国においてアルミホイールの模倣品排除に成功したと発表しました。中国の広東省佛山市において、正規販売ルート以外のインターネット通信販売(ECサイト)や販売店舗においてスポーツ系アルミホイール「ADVAN Racing」の模倣品を販売していた模倣品販売業者4社の情報を佛山市市場監督管理局に提供、摘発の申立てを行い、佛山市市場監督管理局は、情報提供および申立てを受け、模倣品販売業者4社を同時に摘発しアルミホイール模倣品を押収、模倣品販売業者4社全てに対してアルミホイール模倣品の破棄と過料の支払いを命じる行政処罰を決定したとのことです。
住友ゴム工業は、数年前より、模倣品企業の「生産時」と「輸出時」に焦点を絞った対策として、模倣品を生産する工場のある国で、生産プロセスに関する特許を出願・取得して生産停止させる、また、模倣品流通の中継地点がある国でトレッドパターンや溝の深さなど、外観に関する特許を細かく取得するということを粘り強くすすめているようで、その成果と言えそうです。
訴訟という司法による排除だけでなく、行政の力も借りて模倣品を排除する、中国での模倣品対策の王道でしょう。
 
 
横浜ゴム、アルミホイール「アドバンレーシング」の模倣品排除に成功
https://news.yahoo.co.jp/articles/331b3e4dc6eb8b71aff22bb3b25e0176b7f14d97
 
横浜ゴム、中国でアルミホイールの模倣品を排除
https://www.y-yokohama.com/release/?id=3681&lang=ja
 

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日立における環境と知的財産に関する取り組み

6/12/2021

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IPジャーナル19号(2021年12月発行)に、「日立における環境と知的財産に関する取り組み」が掲載されています。(株)日立製作所 知的財産本部の佐藤 英二郎氏、比嘉 正人氏、下萩原 勉氏の共著です。
2021年度に知的財産本部に新設された「環境知財強化センタ」は、「知的財産本部全体で価値起点を意識し、環境価値への貢献につながる知財活動を強化する仕組みづくりを行い、知的財産本部内に展開して実行につなげ、環境ビジネスに役立てていくことを方針」としているとのことで、今後の日立グループの環境事業成長や環境価値の向上の最大化への寄与が期待されます。
 
日立における環境と知的財産に関する取り組み
IPジャーナル19号(2021年12月発行)P18-28
http://fdn-ip.or.jp/ipjournal/opened_articles/
http://fdn-ip.or.jp/files/ipjournal/vol19/IPJ19_18_28.pdf
 
〈要約〉世界的に環境課題へ注目が集まり、その解決がより重要視されるようになっている。環境課題の解決のためには世界規模で協力し新たなイノベーションを起こすと同時に、持続可能な事業として取り組むことが必要不可欠である。日立は、環境課題の解決に寄与するイノベーションを大きな事業機会と捉え、環境課題の解決に事業を通じて貢献し、「環境の日立」「Climate Change Innovator」となることをめざしている。知財活動においても今、持続的事業成長と環境課題解決を双方共に実現すべく、前例にとらわれず、新しい時代の新しい取り組みへチャレンジしている。
  1. はじめに
  2. 日立の環境事業の取り組み
  1. これまでの振り返り
  • これまでの環境関連の知財活動
  • カーボンニュートラルに貢献する発明創生
  1. これからの展望
  • 「環境知財強化センタ」新設
  • 知財ライブラリ構想
  • WIPO GREEN
  • スタートアップ連携
  • ルール形成
  • 知財戦略の投資家への発表
  1. 環境関連の知財活動
  2. おわりに
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特許庁2022年公報システム刷新の実務への影響について

5/12/2021

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2022年1月から特許庁の公報システムが変わるということに不安を抱いている人が増えているようです。
公報システム刷新による実務への影響が想定される点は、下記の3点と思われます。
​
1)「毎週発行」から「毎日発行」を原則とする。
  ・公報の発行の頻度が変わるだけであり、公報の発行時期のスケジュールは同程度。
  ・特許異議申立については「特許掲載公報の発行の日から六月以内」、商標異議申立については「商標掲載公報の発行の日から二月以内」に申し立てることが必要であり、公報の発行日が重要となる。そのため、異議申立にあたっての出願経過のウオッチング等の運用には、多少影響を与える可能性がある。
 
2)法律で定められていない再公表特許を廃止。
  ・2020年の公開系公報の発行総件数が270,125件の7.8%を占める再公表特許(2020年に21,074件発行)が廃止される。そのため、今後特許庁は公開情報としては国際公開公報での確認を呼びかけている。
  ・SDI調査のやり方に影響を与える可能性がある。収録時点では国際公開の情報なのでFI/Fタームがなく検索対象外となることに注意が必要。
 
3)法律で定められていない判定公報を廃止。
  ・判定の結果を公報で知ることはできない。判定の結果を知る方法としてはJ-PlatPatで検索して経過情報を確認する等をして情報を取得する方法が考えられる。
 
商用データベース各社では、上記の影響について各種の工夫を加えていて問題が起きないようにしていると聞いています。
 
 
公報システム刷新に対応した公報の発行について
https://www.jpo.go.jp/system/laws/koho/oshirase/system-sasshin20201222.html
公報システム刷新に対応した公報の発行について
2020年12月22日
特許庁総務部普及支援課
平素より、特許公報類(以下、「公報」という。)の活用に御理解と御協力をいただき御礼申し上げます。
特許庁業務・システム最適化計画(2013年3月15日策定)に基づき、公報システム刷新(2022年1月に稼働予定)に対応した公報の発行について、以下のとおりお知らせします。
1.公報システム刷新に対応した公報の発行について
公報システム刷新に対応した公報については、新たに公報発行サイト(新URL)を立ち上げ、2022年1月12日から発行する予定です。
2.公報システム刷新による主な変更点
(1)公開公報(特許)、登録公報(特許及び実用新案)
「毎週発行」から「毎日発行」を原則とする。
採用するWIPO標準を「ST.96」とする。
PDF(Portable Document Format)ファイルの収録を廃止。
法律で定められていない再公表特許を廃止。
(2)登録公報(意匠)、公開公報(商標)及び登録公報(商標)
「毎週発行」から「毎日発行」を原則とする。
発行形式を「SGML」から「XML」とする。
採用するWIPO標準を「ST.96」とする。
(3)審決公報
発行形式を「SGML」から「XML」とする。
法律で定められていない判定公報を廃止。
(4)公示号
特許庁公報(審査請求リスト(特実)、拒絶査定出願放棄・取下・却下リスト(特許)、目録(商標)、拒絶査定出願放棄・取下・却下リスト(商標)、公示号)を「公示号」として発行する。
「毎月発行」から「毎日発行」を原則とする。
発行形式を「PDF(Portable Document Format)ファイル」から「CSV」とする。
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権利行使できる広い特許を獲得する方法と知識を解説した本「オオカミ特許革命」

4/12/2021

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2021年10月27日発売、権利行使できる特許の取り方を解説した、元特許庁長官の荒井寿光氏推薦の本「オオカミ特許革命」。
第1部「日本の実態と意識革命編」第1章では、極論ではありますが、狭い特許しか獲れない日本の実態を紹介し、これが日本のイノベーションが停滞している原因としています。
第1部「日本の実態と意識革命編」第2章では、特許制度を運用する側(特許庁・審査官・審判官)と、特許制度を利用する側(発明者・特許担当者・弁理士・経営者)の双方に内在する、権利行使できる特許が取得できない数々の根深い問題を紹介し、それらの解決方法を解説しています。「驚くべきことに、審査官や審判官だけでなく、発明者や弁理士までもが、特許の権利範囲を狭くしてしまうのです。」権利範囲の狭さという問題にフォーカスされてしまっていますが、権利範囲の狭さを象徴的な問題としてとらえるべきでしょう。
 第2部「オオカミ特許獲得編」第3章から第7章では、権利行使できる特許(=この本では「オオカミ特許」と呼んでいる)を獲得する考え方と方法を具体的な事例をもとに解説しています。特に目新しいことはありません。
 最終章では、オオカミ特許を定常的に獲得できるプロパテントカンパニーに変革するシナリオが書かれています。
 センセーショナルな表現に満ちており、極論過ぎる点もありますが、これくらいのインパクトがあったほうが、目が覚める人が多いかもしれません。
 
技術評論社ページ
https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-12397-0
 
目次
第1部 日本の実態と意識革命編
第1章 事業や技術を守るべき発明が、
権利行使できない特許になってしまう日本
第2章 特許の誤った固定観念と、それを打破する意識革命
第2部 オオカミ特許獲得編
第3章 オオカミ特許を獲るための肝「特許請求の範囲」
第4章 「拒絶理由通知」にひるむな!
第5章 審査での権利化戦略;公正な判断をあおぐ「拒絶査定不服審判」
第6章 「補正」で特許を変幻自在に操れ!
第7章 特許の可能性を大きく広げる!「分割出願」
最終章 プロパテントカンパニーへの道
「オオカミ特許プロジェクト」のご提案
 
オオカミ特許革命 事業と技術を守る真の戦略 単行本(ソフトカバー) – 2021/10/27
田所 照洋 (著)
●攻めのオオカミ特許が企業を強くする
――元特許庁長官 荒井寿光
●日本企業への処方箋がここにある!
――元リコー会長 近藤史朗
「苦労してノルマを達成して出願したのに、何の役にも立たない」
「模倣品が出てきても、訴えることすらできない」
「しかも、特許の数だけ模倣者にアイデアという塩を送ってしまう……」
……数だけの権利行使できない「ヒツジ特許」を量産していませんか?
特許の真の実態と特許制度の問題を知らない限り、競合他社の模倣を抑制し、利益を生み出す特許――「オオカミ特許」は取得できません。
「特許審査の罠を見破る方法(毒団子拒絶理由/ステルス拒絶理由通知)」
「ヒツジ特許をオオカミ特許に変革する、一番大事なルール(オールエレメントルール)」
「「キルビー特許」は、いかにして日本で1兆円稼げる特許になったのか?(オオカミ特許の獲得戦略)」
40年の実務経験を持つエキスパートだからこそ書けた、唯一無二の実践知見。
 
 
知財系ライトニングトーク #14 拡張オンライン版 2021 秋
権利行使できる特許の取り方 解説本「オオカミ特許革命」の紹介
https://note.com/tadoterry/n/ne699320fdcac
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デザインと知財:デザイン経営宣言のその後

3/12/2021

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11月19日に行われた独立行政法人経済産業研究所(RIETI)主催の公開ウェビナー「デザインと知財:デザイン経営宣言のその後」の動画と配布資料が無料で公開されています。
https://www.rieti.go.jp/jp/events/21111901/handout.html
スピーカー・モデレータ:西垣 淳子(RIETI上席研究員)
スピーカー:鷲田 祐一(RIETIファカルティフェロー / 一橋大学大学院経営管理研究科教授)
コメンテータ:前田 育男(マツダ株式会社常務執行役員)
コメンテータ:長谷川 豊(ソニーデザインコンサルティング株式会社代表取締役)
コメンテータ:俣野 敏道(経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループデザイン政策室長)
コメンテータ:今村 亘(経済産業省特許庁デザイン経営プロジェクトチームリーダー)
 
2018年5月に経済産業省と特許庁が「競争力とデザインを考える研究会」の報告書として、「デザイン経営」宣言を公表し、同時に、意匠法の大幅改正も実施しましたが、宣言後の取り組みなどについて語られています。
「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002.html
 
デザインがもたらす企業側への価値をいかに評価していくかという点から、デザイン部門が組織経営に与える影響についての評価指標を策定しようとしているRIETIの研究プロジェクトも興味深いです。
 

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ビジネス方法・ゲームのルールに関する発明の特許性と技術的範囲の判断

2/12/2021

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神戸大学大学院法学研究科 前田 健 教授の論説です。ステーキ提供方法判決についても触れています。難しい議論ですが、現在の裁判所、特許庁の実務範囲を超えた議論です。
 
 
別冊パテント/74 巻  26 号p. 25-47(2021)
ビジネス方法・ゲームのルールに関する発明の特許性と技術的範囲の判断
前田 健
https://www.jstage.jst.go.jp/article/patentsp/74/26/74_25/_pdf/-char/ja
 
ビジネス方法・ゲームのルールに関する発明の特許性と技術的範囲の判断              神戸大学大学院法学研究科 教授 前田 健
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キヤノンの知的財産活動

1/12/2021

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キヤノンの知的財産活動は「キヤノン特許部隊」という書籍に典型的に表れており、知的財産活動の在り方を考えるとき常に現在はどうしているのだろうと気にしてきた存在です。
そのキヤノンの知的財産活動を紹介するウェブサイトを公開したというニュースを読み、さっそく隅々まで拝見させていただきました。やはり、非常に参考になりました。
 
キヤノンの知的財産活動を紹介するウェブサイトを公開
時代を拓く!知的財産分野において産業界をリードする活動とは!?
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000725.000013980.html
ポイント① 知的財産分野において産業界をリードするキヤノンの活動
詳細:「主導するプロジェクト」https://global.canon/ja/intellectual-property/project/
ポイント② 時代を先読みした「攻めと守り」の知的財産戦略
詳細:「未来社会に向けて」https://global.canon/ja/intellectual-property/future/
詳細:「知で攻める・知で守る」https://global.canon/ja/intellectual-property/dna/
上記の他にも、模倣品の撲滅に向けた取り組みや、85年以上に渡る知的財産活動の長い歴史など、知的財産の面から今まで知らなかったキヤノンを知ることができます。
知的財産ウェブサイトURL:https://global.canon/ja/intellectual-property/
 
知的財産活動の新たな可能性─キヤノンのインクジ ェット事業を事例として─
http://hdl.handle.net/10097/00125698
知的財産部門と開発部門の戦略的協働 キヤノンの事例から
http://ip-edu.org/library/pdf/ipmr/ipmr17toukou01.pdf
キヤノンにおける独自技術開発と知財戦略――複写機開発を例に――
http://www.jshit.org/kaishi_bn2/18_2tanami.pdf
キヤノン特許部隊 (光文社新書) 新書 – 2002/2/1丸島 儀一  (著)
特許で守り、攻める。これが神話になった特許マンの仕事だ!
1950年代には未だカメラ専業メーカーであった、キヤノンの奇跡ともいえる60年あまりの歴史に、丸島の展開してきたビジネスはどのような役割をになったのか。企業戦略として特許を活用するとは、具体的にどのようなことなのか。昭和9年生まれの日本人が、朝からステーキを喰うアメリカのビジネスマンたちとどのように渡り合ってきたのか。そして私たち日本のビジネスパーソンは、特許あるいは知的財産権をどのように考え、仕事に生かすべきなのだろうか。


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発明の進歩性に関する大阪弁護士会のシンポジウム

30/11/2021

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11月29日に、大阪弁護士会の2021年知的財産シンポジウム「発明の進歩性に関する裁判例の動向と今後の課題~近時の最高裁判例と知財高裁大合議判決を踏まえて~」がありました。
「知財訴訟における進歩性判断の手法について~近時の裁判例を踏まえて~」と題する清水節弁護士(元・知的財産高等裁判所長)の基調講演は、進歩性判断の基本手順、拒絶査定審決や特許無効審決の取消訴訟における審決取消事由としての主張(侵害訴訟における無効の抗弁への反論も同様) を具体例についても説明され、化合物の医薬用途に係る特許発明の進歩性の有無に関し当該特許発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定した原審の判断に違法があるとされた事例として「局所的眼科用処方物事件」最高裁判決(最三判R1.8.27)について説明されました。裁判所が進歩性をどう判断しているか、わかりやすい説明でした。
はじめに
第1 進歩性(非容易推考性)判断の基本手順
第2 具体的主張
第3 「局所的眼科用処方物事件」最高裁判決(最三判R1.8.27)について
第4 権利行使の場面との調整

パネルディスカッションでは、下記のテーマでディスカッションが行われました。
序論-進歩性の判断の傾向と裁判所の判決の影響
進歩性の判断枠組と引用発明の認定(ピリミジン誘導体事件の知財高裁大合議判決を中心に)
進歩性判断における課題の位置づけ
顕著な効果の法的な位置づけと判断基準(局所的眼科用処方物事件の最高裁判決を中心に)
公然実施発明に基づく進歩性判断
 
印象に残ったのは、正確性には欠けますが、かきのようなやり取りのところでした。
小松陽一郎弁護士の質問「主引用例に何を持ってくるのかというとき、一致点の多い方を選ぶ、課題の共通性のある方を選ぶ、裁く法はどちらが良いという感覚を持っておられるのか」
清水弁護士「特許庁は技術課題に共通性があるのを優先している、相違点はひとつひとつつぶしていく、それで良いのかなと思っている」、杉浦部総括判事「相違点がいっぱい並んでいると進歩性有りという方向にいきやすい、課題の共通性同一性があると本件発明と主引用発明が近づいていくということで、そのあたりをこうりょしてほしい。」、青木弁理士「引用文献を少なくしたいので構成の違いの少ない方をとる」、小松弁護士「構成の違いの数が少ない方が良いと思っている」
岩坪弁護士の質問「令和元年の最高裁判決が審査基準に影響しているか」
清水弁護士「判決に基づいて審査基準を見直すかどうかの検討委員会があり、変えた方が良いのではと言ったが、審査基準を変えたくなかったよう。」前田教授「審査基準は多義的に読めるので変えた方が良いと言ったが変わらなかった。」青木弁理士「今の審査基準で最高裁判決は取り入れているというのが特許庁の見解」
 
 
2021年大阪弁護士会 知的財産シンポジウム  発明の進歩性に関する裁判例の動向と今後の課題~近時の最高裁判例と知財高裁大合議判決を踏まえて~2021.11.29
場所:大阪弁護士会館2階ホール     (オンライン同時配信)
https://www.osakaben.or.jp/event/2021/2021_1129_03.php
 
発明の進歩性は、特許要件の中でも最も重要な要件の1つであり、特許権侵害訴訟や審決取消訴訟においても、争点となることが多い事項です。また、日々の特許出願に際して
も、進歩性の有無の判断に迷うケースは多いのではないかと思います。
進歩性に関しては、ピリミジン事件の知財高裁大合議判決(知財高判平成30年4月13日、平成28年(行ケ)10182号、10184号)において、進歩性の判断枠組や引用発明の認定に関する一定の指針が示されました。また、「ヒトにおけるアレルギー性眼疾患を処置するための点眼剤」事件の最高裁判決(最判令和元年8月27日、平成30年(行ヒ)第69号)では、発明の顕著な効果に関する最高裁の判断が示されており、注目を集めています。
本シンポジウムでは、上記の知財高裁大合議判決の裁判長をされた清水節弁護士(元・知的財産高等裁判所長)に基調講演をしていただいた後、後半のパネルディスカッションでは、弁護士、裁判官、学者の先生、企業の知財担当者も交えて、発明の進歩性に関する裁判例の動向と今後の課題に関し、議論をさせていただきます。
第1部 基調講演
  清水  節(弁護士、元・知的財産高等裁判所長)
第2部 パネルディスカッション
パネリスト:
  清水  節(弁護士、元・知的財産高等裁判所長)
  杉浦 正樹(大阪地方裁判所第26民事部(知的財産専門部)部総括判事)
  前田  健(神戸大学大学院法学研究科 教授)
  青木  潤(弁理士、積水ハウス株式会社)
  重冨 貴光(大阪弁護士会会員 弁護士)
  速見 禎祥(大阪弁護士会会員 弁護士)
コーディネーター: 
  山田 威一郎(大阪弁護士会会員 弁護士)
キックオフスピーカー:
  冨田信雄、白波瀬悠美子、甲斐一真、佐野みず紀
             (大阪弁護士会会員 弁護士)
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WIPOオンラインイベント(無料)シンポジウム:グローバルな時代におけるイノベーション

29/11/2021

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12月2日と3日に、WIPOオンラインシンポジウム「グローバルな時代におけるイノベーション」が開催されます。
本シンポジウムでは、中小企業のグローバルな競争力強化、オープン・イノベーション、SDGsなどの視点から、イノベーション・サイクル活性化に資する知財管理を行うためのWIPO提供ツールの紹介、「日本がイノベーションを生み出すために」とのテーマの下でのパネルディスカッションなどがおこなわれるとのことです。
 
 
◆シンポジウム:グローバルな時代におけるイノベーション (Symposium on IP for Innovation in the Global Age) ◆
【日時】
1日目:2021年12月2日(木) 16:00開始(日本時間)
2日目:2021年12月3日(金) 16:00開始(日本時間)
【開催形式】 オンライン(Zoom)
【参加方法】
事前登録制(無料)
https://wipo-int.zoom.us/webinar/register/WN_Igm7684_Q1Cwq0DRxn6P9w
【言語】日本語・英語(同時通訳)
【プログラム概要】
https://www.wipo.int/sme/ja/news/2021/news_0005.html
<12月2日(木)>
  1.開会挨拶
澤井 智毅 (WIPO日本事務所長)
  2.基調講演
荒井 寿光 氏 (日本商工会議所 知的財産専門委員会委員長、元内閣官房・知的財産戦略推進事務局長)
  3.SMEを取り巻く市場動向解説
・導入
Guy Pessach (WIPO知的ビジネス部門及び知財イノベーション・エコシステム部門ディレクター)
・ソニーのデジタルストーリープロジェクト
Donna M. A. Hill (WIPO for Creatorsマネージャー)
・知財診断ツールとスタートアップ向けガイドブック
Tamara Nanayakkara (WIPO知的ビジネス部門及び知財イノベーション・エコシステム部門カウンセラー)
  4.日本のSMEの知財活動の活性化に向けて
   ・知財分野における日本商工会議所の取り組み
山内 清行 氏 (日本商工会議所 産業政策第一部 部長)
・AI・IoTベンチャーOPTiMの知財を活用した第4次産業革命への挑戦
菅谷 俊二 氏 (オプティム株式会社 代表取締役社長)
  5.イノベーションのエコシステムに向けて、スタートアップ成功国カナダより学ぶ
Neil Henderson 氏 (Amork IP Inc. 代表 兼 創業者)
  6.竹中 平蔵 氏 (慶応大学名誉教授、世界経済フォーラム理事、GII諮問委員)インタビュー
 
  <12月3日(金)>
  7.環境と知財
   ・グリーン技術を持つSMEの知財管理
Trod Lehong 氏 (AfriqInnov8 ディレクター)
Anja von der Ropp (WIPO気候変動・食糧安全保障担当 シニア・プログラム・コーディネーター)
   ・石油を使用しない100%天然バイオマス系生分解性プラスチックや脱炭素社会構築に向けた最先端材料、技術
森 良平 氏 (GSアライアンス株式会社 代表取締役)
   ・研究開発と海外展開,そのIP戦略と課題
藤田 香 氏 (日之出産業株式会社 取締役)
  8.グローバルな知財活用に向けて
   ・特許出願に関する技術者兼CEOの考察
Alessandro Ferretti 氏 (TRE ALTAMIRA Srl CEO 兼 法務代表)
   ・DuPontのイノベーションと知的財産活用
千田 拓也 氏 (DuPont de Nemoursグループ会社 Senior Intellectual Property Counsel)
  9.パネルディスカッション「日本がイノベーションを生み出すために」
    [モデレーター]
澤井 智毅 (WIPO日本事務所長)
    [パネリスト]
久貝 卓 氏 (日本商工会議所 常務理事)
渋谷 高弘 氏 (日本経済新聞社 編集局 編集委員室 編集委員)
西垣 淳子 氏 (独立行政法人経済産業研究所 上席研究員)
  10.閉会挨拶
 
     Guy Pessach (WIPO知的ビジネス部門及び知財イノベーション・エコシステム部門ディレクター)
 
【主催】
世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所
世界知的所有権機関(WIPO)知財ビジネス部門

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平成29年(行ケ)第10232号(ステーキ提供システム)判決を読み直す

28/11/2021

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パテント別冊第26号の「特許適格対象の画定における物の本来の機能論の意義」と題する東京大学大学院法学政治学研究科 田村善之 先生の論説を読み、平成29年(行ケ)第10232号(ステーキ提供システム)を読み直しました。
本判決では、本件特許発明1の構成要件Aであるステーキの提供方法に関しては「実質的な技術手段を提供するものということはできない」と発明該当性を認めていません。そして、「札」、「計量器」及び「シール(印し)」の技術的意義により、「札」、「計量器」及び「シール(印し)」という物を含む「ステーキの提供システム」に関して発明該当性を認めています。
「発明該当性」に係る「自然法則の利用性」についての実務上の判断は、特許庁編・特許実用新案審査基準,第Ⅲ部第2章2.1.4に書かれているように、
「発明特定事項に自然法則を利用している部分があっても、請求項に係る発明が全体として自然法則を利用していないと判断される場合は、その請求項に係る発明は、自然法則を利用していないものとなる。
 逆に、発明特定事項に自然法則を利用していない部分があっても、請求項に係る発明が全体として自然法則を利用していると判断される場合は、その請求項に係る発明は、自然法則を利用したものとなる。
 どのような場合に、全体として自然法則を利用したものとなるかは、技術の特性を考慮して判断される。」
との審査基準に基づいて、発明が全体として自然法則を利用しているか否かとの観点から判断されていて、特許庁審決と知財高裁判決とも、この判断手法によって判断していますが、「札」,「計量器」及び「シール(印し)」の技術的意義をどのようにとらえるかという点では、審決と判決が真逆の結論を出しているという理解をしていました。
すなわち、
審決が、本件特許発明1における「札」、「計量器」及び「シール(印し)」をそれぞれ独立して存在している物として持っている本来の機能の一つの利用態様が示されていると判断したのに対して、判決は、いずれもが他のお客様の肉との混同を防止するという効果との関係で技術的意義を有し、他のお客様の肉との混同を防止するという効果が、本件特許発明1の「お客様に好みの量のステーキを安価に提供する」という課題の解決に直接寄与していると判断し、結果、発明該当性の結論において真逆の結論が生じたと理解していました。
ただ、明細書に記載された、発明の技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らして、発明が全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するということができるか否かは、発明や明細書の記載などの個別事情によるところが大きいため判断が難しく、予測可能性に課題があるという捉え方です。
実務上は、「全体として」自然法則を利用していないと判断された判例,及び,「全体として」自然法則を利用していると判断された判例を解析して、どう有利に導く明細書の記載にするかというテクニックを磨くことになります。
「現在の運用の最大の問題点は,むしろ,冒頭で指摘したようにクレイム・ドラフティングで容易に克服可能であるために,発明の定義規定や自然法則の利用の要件においていかなる立場をとろうとも,それが特許の保護対象を限定する機能を果たし得ないところにある。」という視点からの議論は、裁判所と特許庁の枠組みの実務の中でどう対応するかという頭になっていると、ハッとする議論で、プロパテントではなくプロイノベーションの立場で考えることの重要性に思い至りました。
 
パテント別冊第26号P1「特許適格対象の画定における物の本来の機能論の意義」(東京大学大学院法学政治学研究科 田村 善之 教授)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/patentsp/74/26/74_1/_pdf/-char/ja
目 次
1 問題の所在
2 事実上の特許適格性の否定とその終焉
3 いきなりステーキ事件特許庁異議申立審決定
4 従前の裁判例
5 いきなりステーキ事件知財高裁判決
6 自然法則の利用の要件の意義
 1)序
 2)自然法則の利用の要件の淵源
 3)アプローチの仕方
 4)自然法則と関わり合いのないものを特許適格対象から外す機能
 5)自然法則とその利用を分ける意義に対する疑問
 6)人の行動の自由を確保する機能
 7)自然法則に反するものを特許適格対象から外す機能
 8)機械または変化基準
7 二つの対応策
 1)特許庁の実務の問題点
 2)対応策その 1:発明の定義規定の枠内による処理
 3)対応策その 2:進歩性要件による処理
8 むすび
 
知財実務オンライン
(番外編)いきなり!ステーキの知財高裁判決の検討から、ビジネスモデル特許の今後の明細書の書き方を考える
https://www.youtube.com/watch?v=whZh4VewnD4

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データ関連出願の発明該当性の判断

27/11/2021

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データ駆動型社会への移行により、データの重要度や注目度はますます上昇していますが、別冊パテント74 巻 26 号の『「データ(構造)」の特許法における保護』(下萩原 勉氏)では、データ(構造)の特許法における保護に関して、審査基準や審査ハンドブックを整理され、発明該当性による拒絶査定が取り消された審決事例(不服 2018-2483)を取り上げて検討されており、最近のデータ関連発明の審査における「データの有する構造がコンピュータによる情報処理を規定しているとはいえない」、「データ要素の内容を定義したものに過ぎず人為的な取り決めに止まる」、「どのような「構造」を有する「データ」なのか不明である」などの拒絶理由に対する対応の仕方やクレームドラフティングの際の注意事項にも触れられていますので、参考になります。
 
下萩原 勉 「データ(構造)」の特許法における保護
別冊パテント74 巻 26 号 p. 121-135 (2021)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/patentsp/74/26/74_121/_pdf/-char/ja
1.はじめに
2.審査基準や判例等
 2.1. 審査基準と審査ハンドブック
 2.2. 関連する判例
  (1)カラオケビデオ事件(平 9(行ケ)206 号)
  (2)「知識データベース」事件(平 26(行ケ)10014 号)
3.データ関連出願の動向
 3.1.データ関連出願の動向
 3.2.データ関連出願の審決・判例
4.審判事例(不服 2018-2483)
 4.1.事例の概要
 4.2.考察
  (1)事例における対応
  (2)データ関連発明の発明該当性の判断について
5.おわりに

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日中韓特許庁における審判実務に関する比較研究のうち「口頭審理に関する比較研究」が公表

26/11/2021

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JPO、CNIPA、KIPO間の審判分野における協力を促進し、情報交換や制度・運用の相違に関する分析を進め、相互理解を深める等の目的で、ユーザーが各国の審判制度についての理解を深められるよう、三庁は、各国の審判制度・運用に関する比較研究を行っているとのことで、この度、「口頭審理に関する比較研究」が公表されました。
各国における口頭審理の実情がわかりやすく整理され比較されており、参考になります。
 
日中韓における口頭審理に関する比較研究(第7回日中韓審判専門家会合 2020 年 11 月 20 日、Web 会議)2021 年 11 月公開
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/nityukan/document/nicyukan_shinpan_hikakuken/study-on-oral-proceedings-ja.pdf
目次
はじめに
第1章 各国における口頭審理の特徴点と対比
 1.口頭審理の一般的な制度について
 2.オンライン口頭審理について
第2章 各庁の制度や運用についての対比表
第3章 各国の口頭審理の概要.
  1. 日本
  2. 中国
  3. 韓国
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11月30日オンライン開催される国立大学経営改革促進事業シンポジウム

25/11/2021

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東京工業大学主催、東北大、名古屋大学共催で「国立大学経営改革促進事業シンポジウム~世界最高水準の教育研究の展開へ向けて~」が11月30日オンラインで開催されるとのことです。(申込締切:11月29日、参加費 無料)
大学経営のあり方が社会から問われている中、どう改革しようとしているか、その方向が示され、各大学の取組みが紹介されます。産学連携の相手先でもある大学の今後を知る良い機会にもなるでしょう。
 
2021年11月30日(火)13:15 - 17:35
 
プログラム
12:30 - 13:15 受付
13:15 - 13:20 開会挨拶
益 一哉(東京工業大学学長)
 
13:20 - 13:45 来賓挨拶
甘利 明(衆議院議員)
渡海 紀三朗(衆議院議員)
後藤 茂之(衆議院議員)
増子 宏(文部科学省高等教育局長)
 
13:45 - 14:00 国立大学経営改革促進事業の成り立ちと今後の展開
上山 隆大(総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)常勤議員)
 
14:00 - 15:35 パネルディスカッション「国立大学法人における経営改革の主眼」
パネリスト
大野 英男(東北大学総長)
松尾 清一(名古屋大学総長)
永田 恭介(筑波大学学長)
上山 隆大(総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)常勤議員)
益 一哉(東京工業大学学長)
ファシリテーター
佐藤 勲(東京工業大学総括理事・副学長)
15:35 - 15:45 休憩
15:45 - 17:30 国立大学経営改革促進事業採択校による取組紹介
東北大学、筑波大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、九州大学、北海道大学、東京工業大学、大阪大学
 
17:30 - 17:35 閉会挨拶
堀野 晶三(文部科学省国立大学法人支援課長)
 
https://www.titech.ac.jp/event/2021/062334?fbclid=IwAR3UGyp5S-Q2Con6SqoMv4B3aG3HODz7ZWOp3c80Kp49gmlC0MdWZhmr3UQ

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他社の特許を侵害したことで倒産した会社の取締役が損害賠償を求められた訴訟

24/11/2021

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他社の特許を侵害したことで倒産した会社のことなど聞いたことがないという人が多いのに驚きますが、他社の特許を侵害したことで倒産した会社の取締役が損害賠償を求められた訴訟で、令和3年9月28日、大阪地方裁判所は被告らに監視・監督義務があるとして1億円を超える損害賠償を認めました。
本件は、知財高裁特別部で判断された「二酸化炭素含有粘性組成物事件」の原告が、侵害事件で勝訴しましたが、被告会社が破産したため、実質経営者である取締役に対して訴訟を起こしたものです。
本件被告らは、特許事務所から非侵害の鑑定書を取得していたこと等を主張し、自らが取締役として求められる調査義務を尽くしており妥当な根拠に基づいた合理的な判断をした旨、あるいは、特許権侵害には当たらない、非侵害鑑定書も取得している等の説明を受けていたものであり、非侵害の確信をすることは無理からぬことだった、あるいは、自らは名目上の取締役にすぎなかったので責任を負わない、等と主張しましたが、その主張は認められませんでした。
他社の知的財産権を侵害する知財リスクについては、まだまだ啓蒙が必要な状況にあるのかもしれません。
 
令和1(ワ)5444  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 令和3年9月28日  大阪地方裁判所
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/602/090602_hanrei.pdf
 
特許権侵害と会社法429条1項
https://nsipat.com/blog_inner/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E6%A8%A9%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E3%81%A8%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95429%E6%9D%A11%E9%A0%85/
 
2021.09.28 「メディオン v. P1・P2・P3・P4」 大阪地裁令和元年(ワ)5444
https://www.tokkyoteki.com/2021/11/2021-09-28-r1-wa-5444.html
 

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他社の特許を侵害したことで倒産した会社

23/11/2021

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他社の特許を侵害したことで倒産した会社のことなど聞いたことがないという人が多いのに驚きます。
​最近、特許権侵害訴訟で負けたことが主な原因で倒産した会社についての報道がありました。
2020年2月、知的財産高等裁判所(特別部)の大合議により製品の譲渡等の差し止めと製品の廃棄、さらに約4億4000万円もの賠償金の支払いを命じる判決が下り、高裁判決後には売掛金の差し押さえが仮執行されたことにより資金繰り悪化に拍車がかかり、2021年4月には最高裁への上告受理が退けられ巨額の賠償債務を負うことが確定、事業継続が困難になる恐れがあることから、民事再生法の適用による再生の道を選択したとのことです。
2017年3月期の売上高が約15億円という会社にとって、特許による特長が製品の一部にしかない場合でも販売で得られたはずの利益全額を権利者の逸失利益として推定できると判断して高額な損害賠償金を認定したこの判決には納得できない部分もあるようです。
また、その他にも、今年は任天堂がコロプラを訴えた特許権侵害訴訟が和解金33億円で決着した事件もありました。
こうした損害賠償金額の高額化を危惧する見解も一部にはあるようですが、他社の知的財産権を侵害する知財リスクについては、まだまだ啓蒙が必要な状況にあるのかもしれません。
 
 
ただの“揉め事”ではない、知財リスクが引き起こした倒産劇の顛末
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbf873f0005e0c465e55a6964b6c6280e17e87b5
 
美顔ローラーのファイブスター、再生手続決定 特許権侵害の賠償金影響か
https://www.esthe.media/news/5054
 
美容ローラー特許侵害確定 4億4千万円賠償命令
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE15B360V10C21A4000000/
 
美容器特許、4.4億円賠償命令
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14384159.html
 
任天堂とコロプラの特許権侵害訴訟が和解で決着:和解金33億円は安いのか
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20210812-00252868
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