日本知財学会 2020年度秋季シンポジウム「SDGsはサーキュラーエコノミーの一里塚~循環経済の衝撃に知財はどう対応すべきか~」(11月 13日) で、「サーキュラーエコノミーへの転換に向けて」という経済産業省 産業技術環境局資源循環経済課長 横手広樹氏の話を興味深く拝見しました。
役所では Zoomが使えないので、自宅から登壇という横手課長、ディスカッションでは、妹尾教授をものともせずデータを武器に持論を展開する姿に頼もしさを感じました。 以下、メモです。 廃棄物対策・リサイクル制度の全体像3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進によって、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会から、環境と経済を統合した「循環型社会」の構築を目指す。 現行の廃棄物・リサイクル制度の成果廃棄物・リサイクルに係る各種法制度の整備により、最終処分量は減少、再生利用率や循環利用率は増加している。 1.循環経済ビジョン 2020について 循環経済とは .線形経済:大量生産・大量消費・大量廃棄の一方通行※の経済 ※調達、生産、消費、廃棄といった流れが一方向の経済システム(’take-make-consume-throw away’ pattern) .循環経済:あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済グローバルな経済社会の変化 1.世界的な人口増加・経済成長に伴う消費拡大と将来的な資源制約のリスク .世界人口の増加、新興国の成長に伴う国際的な資源需要の増加 Ex. 世界の資源採掘量: 530億トン(2000年) ⇒ 880億トン(2015年) ⇒ 1,900億トン (2060年) 将来的な資源価格の高騰、クリティカルメタルの安定確保が困難になるおそれ Ex. 銅:2030年までには需要量が供給量を上回るとの予想 2.国内外の廃棄物問題の顕在化新興国での廃棄物量増加、不適切な処理 Ex. 世界の一般廃棄物量:20億トン(2016年) ⇒ 34億トン(2050年) ASEAN6カ国の家電廃棄量: 1000万台(2014年) ⇒ 3500万台(2030年) アジア諸国の廃棄物輸入規制とグローバルでの廃棄物処理システムの機能不全、 国内処理システムへの影響 3.地球温暖化や海洋プラスチックごみ等の環境問題の深刻化と環境配慮要請の高まり気候変動が一因と考えられる異常気象の発生や海洋プラスチックごみによる海洋環境の悪化 Ex. 2050年には海洋中のプラスチック量が魚の量以上に増加するとの推計 4. ESG投資の拡大とデジタル技術の発展 .短期的収益に顕れない中長期的な企業価値を適切に評価し、投資を行う動き Ex. ESG投資の拡大(日本): 4740億ドル(2016) ⇒ 21800億ドル(2018) Ex. サーキュラーエコノミーを対象とした金融商品の導入 .デジタル技術によるサービス化の加速 循環経済に関する国際的な動向国際連合(国連環境計画国際資源パネル) G7,G20 欧州(EU)の主要な取組 : CEパッケージ( 2015年)Uプラスチック戦略( 2018年)CEアクションプラン(2020年) 循環経済への転換の必要性 .世界的な人口増加・経済成長に伴い、資源・エネルギー・食料需要の増大、廃棄物量の増加、温暖化・海洋プラスチックをはじめとする環境問題の深刻化はティッピングポイントを迎えつつあり、大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済モデルは、世界経済全体として早晩立ち行かなくなる畏れ。 .短期的利益と物質的な豊かさの拡大を追求する成長モデルから脱却し、あらゆる経済活動において資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じ付加価値の最大化を図る循環型の経済社会活動(循環経済)により、中長期的に筋肉質な成長を目指す必要。 .循環経済への移行の鍵は、デジタル技術の発展と市場・社会からの環境配慮要請の高まり。これを新たなドライバーに、循環型の経済活動へと転換を図ることで、地球環境の保全に貢献しつつ、我が国産業の中長期的な競争力の強化につなげることを目指す(環境と成長の好循環)。循環経済ビジョン 2020 <ポイント> ○環境活動としての3R⇒経済活動としての循環経済への転換 ○グローバルな市場に循環型の製品・ビジネスを展開していくことを目的に、経営戦略・事業戦略としての企業の自主的な取組を促進 (規制的手法は最小限に、ソフトローを活用)○中長期的にレジリエントな循環システムの再構築 循環経済への転換に向けた対応の方向性① ⇒循環性の高いビジネスモデルへの転換は、事業活動の持続可能性を高め、中長期的な競争力の確保にもつながるもの。あらゆる産業が、廃棄物・環境対策としての3Rの延長ではなく、「環境と成長の好循環」につなげる新たなビジネスチャンスと捉え、経営戦略・事業戦略として、ビジネスモデルの転換を図ることが重要。 ⇒動脈産業のビジネスモデル転換を促す上で、関係主体(静脈産業、投資家、消費者)の役割が重要。 循環性の高いビジネスモデルの例 . 事業活動を実施するに当たり、設計・生産・利用・廃棄のあらゆる段階において、その業態に応じた循環型の取組を選択する必要。 . 特に動脈産業(製造・小売など)は、廃棄段階まで含めたライフサイクル全体を考慮した循環性の高い製品・ビジネスモデルをデザインしていく必要。=SDGs⑫「作る責任、使う責任」 循環経済への転換に向けた対応の方向性②我が国産業競争力の強化につなげるべく、①ソフトローを活用しつつ、事業者のビジネスモデルの転換を促すとともに、こうした取組を支えるべく、②投資家など関係主体の役割・機能が発揮される事業環境の整備や③中長期的にレジリエントな循環システムの構築を進める。 「CE投資ガイダンス(仮称)」の策定 妹尾先生から;「環境活動としての3 R⇒経済活動としての循環経済への転換」良い。環境省の領分でなく、経産省の領分 以下、資料のみ。 2.我が国企業の先進的取組(プラスチックを例に) 3.企業取組。 横手課長資料は、下記にアップされています https://www.ipaj.org/symposium/2020/pdfs/yokote_20201113.pdf
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日本知財学会2020年度秋季シンポジウム「SDGsはサーキュラーエコノミーの一里塚~循環経済の衝撃に知財はどう対応すべきか~」(11月13日) で、NPO法人産学連携推進機構理事長妹尾堅一郎氏の【基調講演・問題提起】「SDGsはサーキュラーエコノミーへの一里塚〜消費主導経済の終焉とサーキュラーエコノミーの台頭」を興味深く拝見しました。
昭和の時代(「モノを売る時代 モノが売れる時代」って思うなよ!)と令和の時代の対比の比喩、いかにも妹尾先生らしい対比ですが、そのとおりですね。 「昭和」は消費主導経済を前提としたリニアエコノミー そんな消費主導経済に 2つの大問題 前門の虎 資源枯渇 人口の急増により2050年には地球2個分の資源が必要!! 後門の狼 環境汚染 資源枯渇と環境汚染がサーキュラーエコノミー(CE)台頭の背景 線形経済から循環経済へ 2030年SDGs 2050年CE 消費主導経済の終焉 リニアエコノミーからCEへの転換 動脈経済のみならず 静脈経済も含めた 循環経済へ ビジネスモデルの大胆な転換 ・サービスサブスクリプションによる長期継続利用 ・製造業のサービス化 ・製品寿命から‘製品健康寿命’へ延伸志向 再生可能製品(予めリュース可能に、予めリサイクル可能に) 捨てるところまで配慮した製造販売 モノづくり・モノ売りから ⇒モノづくり・モノ使わせ・モノづくり・モノ使いへ (1)当面の「3Rの脱構築」をとうするのか? (2)どうやって「3R経済」から「循環経済へ移行するのか? (3) CEに向かうピジネスモデル、CEにおけるピジネスモデルをどうデザインするのか? (4)知財マネジメントは何を寄与できるのか? 消費者側の評価軸が変わる 顧客を社会的加害者にしない! 顧客に後ろめたい思いをさせない! 次の世代に負の遺産を残さない! Respect or Reject では、とうすれば良いのか? 資料は下記にアップされています。 https://www.ipaj.org/symposium/2020/pdfs/senoh_20201113.pdf https://www.ipaj.org/symposium/2020/2020_symposium.html 日本知財学会2020年度秋季シンポジウム「SDGsはサーキュラーエコノミーの一里塚~循環経済の衝撃に知財はどう対応すべきか~」(11月13日) で、旭化成株式会社 上席執行役員 研究・開発本部長 白井博史氏の「旭化成のサステナビリティへの取り組み~サーキュラー・エコノミーへの第一歩~」を興味深く拝見しました。
知財の取り組みについても、サーキュラーエコノミーにおける知的財産権の活用、サーキュラーエコノミーの各要素における知財シナリオの策定という視点で触れられました。 おそらく、このテーマについてもIPランドスケープが進行しているのでしょう。成果を期待しています。 サーキュラー・エコノミーの基本理解 サーキュラー・エコノミーの3原則 1.廃棄物と汚染を生み出さない設計を行う。 2.製品と原料を使い続ける。 3.自然システムを再生する。 サーキュラー・エコノミー実現の為の循環の仕方 1.技術的サイクルと生物的サイクルを分ける。 2.循環し続けることでループを閉じる。 3.内側循環の方が環境への負荷が少ない。 サーキュラー・エコノミーの起点は欧州連合 2015年に世界でいち早く「サーキュラー・エコノミー・アクション・プラン」発表 「EUの産業競争力確保」「EUの付加価値向上と繁栄」という成長戦略 2015年のサーキュラー・エコノミー・アクション・プランの廃棄物対策の重点項目のトップ項目がプラスチック BASFの例:reciChain ブロックチェーンを活用したプラスチック資源のサーキュラー化プロジェクト。透明性、 トレーサビリティを提供する。 知財の取り組み サーキュラーエコノミーにおける知的財産権の活用 サーキュラーエコノミーの「循環の仕組み」を整理し、知財シナリオを構想しながら事業競争力の確保を目指す 旭化成のこれまでの研究開発方針は、環境負荷を低減する 原材料・プロセスを開発 サーキュラーエコノミーは製造(Production)、 使用(Use)、リサイクル(Recycling)のプロセスで構成され、ここに関与することが事業 競争力を確保する上で不可欠 「循環の仕組み」を整理したうえで知財シナリオを活用する 要素ごとに知財シナリオを構想、最終的にオープン&クローズの 戦略像として具現化する Raw materials Production Use サプライ チェーン Circular Economy Recycling トレーサビリ ティ 規制 価値評価 サーキュラーエコノミーの各要素における知財シナリオの策定 各要素の課題に対する戦略案を構想、先行事例に学び自社戦略案の精度を上げる サプライチェーンの複雑化、品質保証 ⇒ 標準必須特許の取得・活用 トレーサビリティの確保 ⇒ 要素技術の知財化 環境 規制 の厳格化 ⇒ 規制と認証を先読みした、特にサービス に関する知財化 適正な価値評価の導入 ⇒ 投資行動に影響を与える客観的指標作り 取組事例:ポリエチレンリサイクル 最も生産量が多いプラスチックで あるPEのリサイクル技術を開発す ることにより、サーキュラーエコノミー 実現に貢献する。 PEリサイクルへの取組 NEDO「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」 リサイクルメーカー:富山環境整備 樹脂メーカー:旭化成 成形加工メーカー:メビウスパッケージング(東洋製罐グループ) エンドユーザー:ライオン 最後に サーキュラー・エコノミー(CE)は、単なる「環境問題」や「資源問題」への貢献では無く、 欧州を起点に始まろうとしている、新しい経済システムに対する戦略そのものである。 完璧なCEを最初から目指すのはハードルが高いが、まずは一歩踏み出すことが重要 本活動(PEリサイクル)を通しての気づき、課題 品質にまつわる諸問題(異物、添加剤、物性バラツキ、品質保証) リサイクル品であることの証明、トレーサビリティ、透明性 再生可能エネルギーの使用 バリューチェーン参画企業の枠組み構築と情報の共有 国や自治体の政策、法規制 消費者の価値観、マインド、ライフスタイル 資料が下記にアップされています。 https://www.ipaj.org/symposium/2020/pdfs/shirai_20201113.pdf https://www.ipaj.org/symposium/2020/2020_symposium.html 日本知財学会2020年度秋季シンポジウム「SDGsはサーキュラーエコノミーの一里塚 ~循環経済の衝撃に知財はどう対応すべきか~」(11月13日) を視聴しました。 「社会課題解決に向けた知財活動~ IP for society ~」と題した 株式会社日立製作所 知的財産本部兼 水・環境ビジネスユニット主任技師森川達也氏の講演。さすが日立という感じで、「知財の力で未来を創る」が実現するのかもしれません。 若手が取り組んだ、岩見沢市 「母子健康調査」の取組みの紹介。低出生体重児割合の低減 パートナとともに母子健康調査に関する協創知財を創出し、「母子健康調査」に関する特許開放 することを宣言、特許開放によるコミュニティ形成と 社会実装/普及の加速をめざす。 WIPO Greenエコシステムへの参画、WIPO運営の環境技術移転プラットフォーム ・水・環境ビジネスユニット水処理技術の掲載登録 (高効率 海水淡水化システム 他) ・WIPO、コアメンバーとして日立を選出 (世界で12企業/団体のみ) ・WIPO Green Core Committee参加 サステナブル事業創生プロジェクト (Linc PJ) 現業の域を超えた「新ビジネスのアイデア」を常時受付 「水・環境ビジネスユニットの新たな事業の柱」を創生 本社CVC部門と連携し、グローバルビジネスコンテスト開催 正解を出す力、ロジカルシンキング(機能・論理)、競争/協創 知財 未来を描き、行動・仕掛ける力、センスメイキング(価値・共感)、IP for society https://www.ipaj.org/symposium/2020/pdfs/morikawa_20201113.pdf 日本知財学会2020年度秋季シンポジウム「SDGsはサーキュラーエコノミーへの一里塚〜循環経済の衝撃に知財はどう対応すべきか〜」の基調講演、パネリストが使用した資料がアップされました。 https://www.ipaj.org/symposium/2020/2020_symposium.html 【本シンポジウムの狙いと背景】 2030年が目標とされるSDGsの先、2050年を目標として欧州各国はサーキュラーエコノミー構築を着々と進めています。単なる資源枯渇や環境汚染への対処ということだけではなく、したたかな産業政策として展開しているのです。そして、イノベーション・ターゲットは「循環経済」に向けられています。さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)と新型コロナ禍によって、おおきく加速しています。欧州を中心に進む、このグローバルな動きに、日本は乗り遅れてはなりません。 たしかに今から30年先というのは、随分遠くのように見えますが、実際に先端技術の研究開発を今から仕込んでおかなければ間にあわないのでないでしょうか? また、2050年の世代に、「当時の世代はいったい何をやっていたんだ!?」と言われないようにしたいものです。 今からしっかり準備をしておくことが、現世代に向けられた大きな課題であると考えられます。もちろん、今から何が起こるか予想が難しい時代です。そうであるが故に、少なくとも「問題意識」を共有するためにも、このテーマを一度真剣に考えてみませんか? 秋季シンポジウムは、この問題意識に基づき、循環経済に真剣に向き合う方々をパネリストにお迎えして、問題提起を行うものです。 日 時 2020年11月13日(金)13:00~17:00(予定) 形 式 オンライン(Zoomウェビナー) 主 催 一般社団法人日本知財学会 協 力 NPO法人産学連携推進機構 参加費 無料(事前申込制、定員に達した場合は締め切ります) プログラム(予定) 13:00~13:05 オープニング 13:05~13:50 【基調講演・問題提起】 「SDGsはサーキュラーエコノミーへの一里塚 〜消費主導経済の終焉とサーキュラーエコノミーの台頭」 妹尾堅一郎氏(NPO法人産学連携推進機構理事長、本学会理事) 13:50~14:00 休憩 14:00~15:40 【パネル討論Ⅰ】ポジショントーク <パネリスト> 「サーキュラーエコノミーへの転換に向けて」 横手広樹氏(経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長) 「EUにおけるサーキュラーエコノミーに関わる新しい動き ~新産業戦略×[デジタル戦略+(CE+脱炭素)]が狙うもの~」 喜多川和典氏(公益財団法人日本生産性本部 エコ・マネジメント・センター長) 「旭化成のサステナビリティへの取り組み ~サーキュラー・エコノミーへの第一歩~」 白井博史氏(旭化成株式会社 上席執行役員 研究・開発本部長) 「社会課題解決に向けた知財活動~ IP for society ~」 森川達也氏(株式会社日立製作所 知的財産本部 兼 水・環境ビジネスユニット主任技師) 15:40~15:50 休憩 15:50~17:00 【パネル討論Ⅱ】ディスカッション 「SDGsはサーキュラーエコノミーの一里塚 ~循環経済の衝撃に知財はどう対応すべきか~ <モデレーター> 妹尾堅一郎氏(再掲) <パネリスト> 同上 本ブログで9月15日に「経営に戦略的に活かす知財情報」本⽥技研⼯業株式会社というテーマで、「Withコロナ時代の新しいIPランドスケープとして、HondaはK-methodを開発した。K-methodは2021年からテスト販売される。Withコロナ時代に合わせて、企業氏の業態の類似性を通じて思わぬ隣接関係について気づきを得るIPランドスケープがK-method。K-methodを使うと、自社の事業から遠い業界についても、どのような業界から参入しているのがわかる。成果の1つが、内⽥洋⾏が発売するオフィス⽤椅⼦?ホンダが軽⾃動⾞⽤シート向けに開発した抗アレルギー物質、抗ウイルス性能を持つ⽣地を採⽤した。」と紹介しました。
https://yorozuipsc.com/blog/1794934 現在、Patentsight社ホームページに発表の詳細が掲載されています。 https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-honda その「K-method」日経の記事になりました。ここまでくると、単なるアピールでなく、本気モードですね。ご成功を祈ります。 ホンダは市場における特許など知的財産の情報を幅広く分析できるソフトウエアの販売を2021年夏にも始める。ソフトの導入企業は知的財産のデータベースの情報などを解析し、特定の分野で協業できそうな企業を効率的に探すことが可能だ。製造業を中心にIT(情報技術)関連など異業種との連携の必要性が高まっており、需要が伸びると見込む。 ホンダが社内で開発・運用している知財分析ソフト「Kメソッド」を外部に販売する。価格などは今後詰める。・・・・・・・・ ホンダ、知財分析ソフト発売 異業種連携を後押し 2020/11/14 2:00日本経済新聞 電子版 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66223610T11C20A1910M00/ 10月27日におこなわれたFRONTEO AI Innovation Forum2020の基調講演「"チャンス発見学とデータ市場~成果の『ものさし』はAIで作れるか ~」大澤 幸生 氏(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 教授)を視聴しました。
データに基づく問題解決プロセスで大事なのは、問題をだれが与えるか、である。 二つのWHYと二つのHOW(人とAIはそれぞれ得意なことが異なるため、相補的に補い合うことが有効) 意図、制約 みかんを二人でわける例(WHYとHOWによって意図と制約を整理する) 「AIにデータを食わせる」話ばっかりでは、サルと同じでダメ。 「AIが示せるのはせいぜいヒント止まり」 オープンデータはタダじゃない IMDJ(Innovators Marketplace on Data Jackets)によるデータ市場 STEP1. 要求の提示 STEP2. 解決シナリオ(ソリューション)の創出 STEP3. ソリューションの評価 データエクスチェンジ(DX)の重要性 変化の説明の技術例 コロナ対策も データは流れてこない 自分ゴト感覚が大切 Society5.0では世界から最低16年遅れ 当日のコンテンツの一部が公開されました。 コンテンツURL: https://www.fronteo-ai-forum.com/?utm_source=corporate&utm_medium=banner&utm_campaign=internal 大澤研究室 http://www.panda.sys.t.u-tokyo.ac.jp/research.html Morning program ------------------------------------------------------- 10:30~10:40 オープニング 守本 正宏 株式会社 FRONTEO 代表取締役社長 -------------------------------------------------------- 10:40~11:10 ゲスト基調講演 "チャンス発見学とデータ市場~成果の『ものさし』はAIで作れるか ~ 大澤 幸生 氏 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 教授 -------------------------------------------------------- 11:10~11:35 AIクロストーク "複雑化するグローバル秩序の中で、チャンスを発見する" 水野 貴之 氏 株式会社FRONTEO 技術アドバイザー 武田 秀樹 株式会社 FRONTEO 取締役CTO / 行動情報科学研究所 所長 -------------------------------------------------------- 11:35~12:00 ゲスト講演 "AI人材不足の背景にある構造的な問題を超える" 小泉 誠 氏 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐 -------------------------------------------------------- 12:00~13:00 昼 休 憩 Afternoon program -------------------------------------------------------- 13:00~13:25 ゲスト講演 "計算社会科学で解き明かす!SNSにおけるインフォデミックリスク" 鳥海 不二夫 氏 東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻 准教授 -------------------------------------------------------- 13:25~13:45 金融業AIセッション "AIを活用した応接記録簿のコンプライアンスチェックへの取り組み" 大田 博也氏 株式会社 横浜銀行 デジタル戦略部 業務改革企画グループ -------------------------------------------------------- 13:45~14:05 ライフサイエンスAIクロストーク "超高齢化社会におけるデジタルヘルスケアの可能性" 大山 訓弘 氏 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 医療・製薬営業統括本部長 守本 正宏 株式会社 FRONTEO 代表取締役社長 -------------------------------------------------------- 14:05~14:25 官公庁・自治体AIセッション "児童虐待対応とAI活用 練馬区のケース" 今井 薫 氏 練馬区 練馬子ども家庭支援センター 所長 -------------------------------------------------------- 14:25~14:45 製造業AIセッション "匠KIBITを活用したガラス製造現場における技術・技能伝承" 井上 真 氏 AGC株式会社 (旧)フロート技術推進部 技術推進G マネージャー -------------------------------------------------------- 14:45~15:05 ライフサイエンスAIセッション "AIを活用した創薬プロセスの革新" 角田 浩行 氏 中外製薬株式会社 研究本部 創薬基盤研究部長 -------------------------------------------------------- 15:05~15:25 リーガルテックAIクロストーク "情報漏洩事案とAIを使ったダークウェブ調査" 齊藤 浩一 氏 サイファーマ株式会社 バイスプレジデント / ビジネス開発担当 野﨑 周作 株式会社 FRONTEO 執行役員 技師長 / 名古屋支社長 -------------------------------------------------------- 15:25~15:45 リーガルテックAIクロストーク "企業訴訟とAI活用" Edward H. Rippey Partner, Covington & Burling Lilith Bat-Leah Senior Director, Data Science & Strategy FRONTEO USA, Inc. -------------------------------------------------------- 15:45~16:05 ライフサイエンスAIクロストーク "Next Generation AI Drug Discovery" 伊井 雅幸 氏 Axcelead Drug Discovery Partners株式会社 統合トランスレーショナル研究 ヘッド 豊柴 博義 株式会社 FRONTEO ライフサイエンスAI CTO -------------------------------------------------------- 16:05~16:10 クロージングスピーチ 山本 麻理 株式会社 FRONTEO 取締役 VALUENEX株式会社と株式会社イーパテントが企画・運営して、11月10日、11日に行われた「DX & IP Forum 2020ーニューノーマルにおける情報解析の可能性」で、1日目の基調講演 旭化成 知的財産部長 中村 栄 氏「After/Withコロナ時代における知財部門の在り方」を視聴しました。
「コロナ禍での知財部の出社率7月8月は12%、10月は25%」数字をどうみるかはそれぞれの立場で異なってくるでしょうが、メリットとデメリットを整理して素早く対応を検討しているところ、そして、コロナ禍での環境変化をしっかりIPランドスケープ的な取り組みも若手に考えさせているところ、 IPL de Connect 2020の取組み、さすがと感じました。 以下、メモ。キーワードの羅列ですが。 1. 旭化成の紹介 90名の知財部員、半数が出願権利化で事業部に張り付いている 知財部はR&Dの傘下だが、戦略部隊は社長直轄の方が良いかもしれない 海外駐在は、知財交渉Gの指揮監督下で活動している 知財部長が変わっても変わらない知財部のミッションを決めた。 「旭化成の経営計画が実現されるようにすること」 存在意義は、「高度化する事業を持続的に支援する知財専門集団として、事業の利益を守り、かつ、事業の価値の最大化を実現する」重点活動は、時代に応じて変わる 計画的な中長期的人材育成プランの実行は変わらない 2. After/Withコロナを意識した活動 知財部の出社率7月8月は12%、10月は25% 在宅勤務のメリットと課題が見えてきた Afterコロナを見据えた活動(米、中、欧) コロナによって引き起こされる変化/加速するトレンドから、どう知財活動に生かす か、知財上どう手を打つか、若手に考えさせている アメリカ フリーキャッシュの確保⇒知財の売却増、NPE特許訴訟増⇒知財資産の購入による知財ポートフォリオの拡充、対NPE体制の整備 中国 補助金政策、公共交通機関の利用制限による自動車販売量増⇒サプライチェーンの停滞による模倣品の増加⇒模倣品取締施策の強化、商標出願の強化とブランド戦略、商標戦略策定 欧州 グリーンリカバリー施策⇒特定分野での知財資産の増、紛争増⇒最新政策が方向付ける技術革新分野の見極めと欧州知財戦略の策定 Afterコロナを見据えた活動(IPランドスケープ) 短期(先読み、スピードIPL)、 中期(事業機会探索IPL)、 長期(IP de Connect2020) 3. 今後のメガトレンドと知財の世界に与える影響 デジタル化、 専門職種におけるAIの活用、 知財業界でのDXおよびDX実現/放置シナリオ、 企業経営における無形資産の重要性の高まり グローバル化、 ソーシャル化 4. IPL de Connect 2020の紹介 2030年のありたい姿を想像し、高度専門職メンバーと企画、マーケティングをconnectさせイノベーション創出をめざす グラフィックファシリテーターによる図化 14:15~15:05 基調講演 旭化成 中村 栄 After/Withコロナ時代における知財部門の在り方 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い我々を取り巻く環境は一変しました。旭化成ではコロナ後の世界を見据えた次世代の知財部門の在り方を模索しています。本基調講演では旭化成・知的財産部の中村部長に現在の同社の取り組み状況も交えながら、今後のWith/Afterコロナ時代における知財部門および知財業務のあり方についてお話いただきます。 https://www.valuenex.com/dxip2020?utm_source=prtimes_medium=pr&utm_campaign=forum 今や、 DX=デジタルトランスフォーメーションという言葉を知らない人はいないでしょう。DXは暮らしやビジネスにおける道具や仕組みをデジタル化すること=IT化することではありません。進化し続けるデジタル技術を人々の生活やビジネスに浸透させ、データ駆動・データドリブンで新しい体験や常識を生み出すことです。人々の暮らしをより豊かなものにするために実施される抜本的な改革とも言えるでしょう。 様々な業界・業種においてそれぞれの特性を活かした、その企業・組織ならではのDXを実施していく必要があります。これまで特許情報を中心に自社のIP=知財戦略を担ってきた知財部門、事業戦略や研究開発戦略を担ってきた企画部門の皆様において、DXは喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。そこでDXとIPをテーマにした本フォーラムを企画しました。 本フォーラムでは主にIP=知的財産の切り口から、有識者の基調講演および 8社のスピーカーを通じて、自社ならではのDXとはどんなものなのか、特許情報はDXにどう活用できるのか、また知財のDXにおける役割とは何なのかについて考えていただくための、そしてDXを組織へ本格的に導入していくためのきっかけを、皆様に提供できればと考えております。 知財部門の方はもちろんのこと、企画・戦略立案やイノベーション創出のために情報解析・情報活用されている方、または活用を検討されている方は、ぜひ本フォーラムへご参加ください。 DX & IP™ Forum 2020 ニューノーマルにおける情報解析の可能性 11月10日(火)、11日(水) • 14:00~18:30 オンライン (Zoom) 参加費:無料 大阪工業大学 知的財産研究科が主催する関西知的財産セミナー (11/10)「スタートアップ知財戦略最前線 その課題と対策」を視聴しました。
本セミナーでは、特許庁が本年4月に公表したIPAS事例集「スタートアップがつまずく14の課題とその対応策」の作成に携わった担当弁護士が、スタートアップへのメンタリングで明らかになった知財戦略の課題と対応策を、具体的事例を交えて紹介致しました。 特許庁スタートアップ支援施策の動向を知ることができる良い機会でした。 https://www.oit.ac.jp/ip/graduate/meet/20201110_seminar.html ★鎌田 哲生氏 テーマ:スタートアップが抱える知財課題と特許庁スタートアップ支援施策 講演概要:スタートアップが抱える知財課題の解説と、それ対して特許庁が行っているスタートアップ支援施策をご紹介 ★比留川 浩介氏 テーマ:IPAS事例集「知財戦略支援から見えたスタートアップがつまずく14の課題とその対応策」(1) 講演概要:スタートアップが抱える以下の課題と対応策について解説 ●事業の絞り込み・優先順位付けが難しい ●自社の製品/サービスの顧客への提供価値が不明瞭 ●有効なライセンスビジネスを描けない ★櫻井 昭喜氏 テーマ:IPAS事例集「知財戦略支援から見えたスタートアップがつまずく14の課題とその対応策」(2) 講演概要:スタートアップが抱える以下の課題と対応策について解説 ●秘匿又は権利化の見極めがうまくできない ●大学や共同研究の成果に関する権利の帰属が問題になる ●既存の特許では自社コア技術を十分に守り切れていない ●契約や利用規約の文言の検討が不十分 東レは、知的財産の中期経営課題を「戦略的特許出願・ノウハウ秘匿による参入障壁構築の深化、グローバル知財力向上の推進」とし、領域ごとに「特許資任者」を定め、研究・技術開発部署や事業部署が参加する「特許会議」で審議やフォローアップを行う「特許責任体制」の下で、知的財産活動を推進しているとのことです。現在は統合報告書に統合されていますが、2017年度まで知的財産報告書を発行しており、経営の中にしっかり知財が根付いている会社のひとつと言えるでしょう。
2020~2022年度を対象とした中期経営課題 プロジェクト AP-G 2022" においては,グローバル知的財産戦略により、高い参入障壁を構築し、事業拡大に繋げていくために、 次の五つの施策を進めているとのこと。 第1は.グローバルな事業拡大に対応した東レグループの知的財産力強化です。 東レ本体の各分野 の担当役貝の指導の下, 国内外の関係会社の知的財産体制を整備し, 知的財産活動を進めています。 特に 地域ごとに中心的役割を担う関係会社の育成や, 新しくグループに加わった関係会社への支援に注力します。 第2は, 戦略的な特許出願とノウハウ秘匿による参入陪壁構築の深化です。出頻後公開されること によって模倣されてしまうリスクを考慮し, 特許出願とノウハウ秘匿を使い分けることによって参入障壁とするスキー ムを国内外の関係会社に展開. 強化します。 また. これまで注力してきた特許明細書の質の向上の取り組み. 外国出願・権利化の強化の取り組みを継続して行います。 第 3は,長期経営ピジョンに資する知的財産戦略の推進です。 今年 5 月に発表した長期経営ビジョン TORAY VISION 2030" に掲げる持続的かつ健全な成長を達成するための活動を推進します。 第4は,効率的な知的財産戦略推進のための環境整備です。 社内外の連絡, 照会. 回答といった業務や書類による回議を電子化. ワークフロー化することによって. ペーパーレス化. 知的財産業務の 効率化を進めます。 第5は,知的財産人材育成です。 グループ各社において知的財産戦略を推進できるエキスパートを 事業分野 ・ 地域に応じて育成します。 阿部晃一 東レの研究・技術開発戦略と知的財産戦略 知財管理 2020年10月号P1371-1372 http://www.jipa.or.jp/kaiin/kikansi/honbun/2020_10_1371.pdf 東レ統合報告書 知的財産 https://www.toray.co.jp/ir/integrated_report/pdf/report2020_19.pdf 繊維・紙・パルプ】他社牽制⼒ランキング2019 トップ3は東レ、帝⼈、東洋紡 パテントリザルト https://www.patentresult.co.jp/news/2020/06/fcitpaper.html 冨岡 久美子 衝撃】日本発、東レが手掛ける「破壊的イノベーション」 NewsPicks2020/10/7 https://newspicks.com/news/5280496/body/ 東レが100億投じた新研究拠点を公開 次世代型素材を開発 SankeiBiz 2020.1.24 18:47 https://www.sankeibiz.jp/business/news/200124/bsc2001241847012-n1.htm 第一三共は、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」となることを2025年ビジョンとして掲げており、中でも、トラスツズマブ デルクステカン(Trastuzumab Deruxtecan、DS-8201、日米製品名:エンハーツ®(ENHERTU®))は、第一三共とってがん領域における初のグロ ーバル製品で、第一三共の将来の業績をけん引するとして注目されている抗体医薬に薬物を結合した「抗体薬物複合体(ADC; Antibody Drug Conjugate)」と呼ばれる新しいタイプの抗がん剤です。
ADCは次世代の抗体医薬として世界中で研究開発が活発に行われており、現在、グローバルで290を超える薬剤が開発中で、世界市場も拡大が見込まれており、2026年までに130億ドルに達するとの予測もあり、競争が激化しているようです。 第一三共には、トラスツズマブ デルクステカン以外にも、異なる標的抗原を狙った抗体に、同じリンカーと薬物を結合させたADCのプロジェクトが多数あり、第一三共はこれらの抗体薬物複合体(ADC)技術を多くの特許によって保護しています。 しかし、10月19日に、やはりADCの技術を強みとするSeagen社(旧Seattle Genetics社)が、第一三共による米国でのエンハーツ(ENHERTU)の販売等行為が、Seagen社が保有する米国特許10,808,039を侵害していると主張して、テキサス州東部地区連邦地方裁判所に提訴したとのことです。 第一三共の眞鍋淳社長は2020年度 第2四半期決算説明会(10月30日)で、「あの特許の成立について疑問を持っているし、成立しても我々が侵害しているとは思わない」と述べていて、今後、第一三共側は本特許を無効にするための手続きを開始するものとみられます。 旧Seattle Genetics社と第一三共は、2008年7月に共同研究契約を締結してADCの開発を目指しましたが、結局2015年6月に契約は終了していて、その後、第一三共は独自に開発をすすめているようですが、日経ビジネスの記事では、「共同研究においては他社からの情報の受領にも注意を」として、今回の問題が「情報コンタミネーションの事例」の可能性を指摘しています。 医薬の特許は1件の特許の重みが非常に大きく、この訴訟の行方が第一三共の今後に大きな「厄介ごと」となりそうですが、知財部の役割の重要性がクローズアップされてくるのかもしれません。 ADCによる成長シナリオ 学会記録・論文記録 - アメブロ、2020-06-30 https://ameblo.jp/kato-antibody/entry-12607849448.html 拡大期迎えたADC、ギリアド・メルク参入でプレイヤーも増加…市場は近く1兆円規模に AnswersNews、2020/10/14 https://answers.ten-navi.com/pharmanews/19505/ Seagen社(旧Seattle Genetics社)が第一三共による米国でのエンハーツ(ENHERTU)の販売等を特許侵害で提訴 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ、2020.11.03 https://www.tokkyoteki.com/2020/11/20201103-seagen-seattle-genetics-daiichisankyo-enhertu.html 橋本 宗明、降って湧いたADC特許訴訟に困惑の第一三共 日経ビジネス、2020年11月6日 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/110400058/?P=1 第一三共がADC技術の帰属を巡り訴訟提起 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ、2019.11.05 https://www.tokkyoteki.com/2019/11/adc.html 第一三共の知的財産活動の景色(2019) 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ、2020.05.16 https://www.tokkyoteki.com/2020/05/daiichisankyo-2019.html 11月5日の(第22回)知財実務オンライン:「弁理士業界におけるリーガルテクノロジーの歴史」(ゲスト:株式会社 AI Samurai 代表取締役社長 CEO 白坂 一)を視聴しました。
特許ツールの時系列・用途別整理で、重量課金制のパトリスなどSEARCH(検索)の時代から始まり、EVALUATION(評価/分析)の時代を経て、CREATION(創造)の時代になるという話、ぜひ実現していただきたいものです。 https://www.youtube.com/watch?v=QAuwqLU_mP4 来週(11月12日)の知財実務オンラインは、(第23回)Amplified のCEO & Founder Samuel Davis氏「特許実務家はAIから何を得られるか?~出願のプロセスを例に~」です。 世界初のディープラーニングによる特許調査プラットフォーム「Amplified」 AIモデル更新で調査精度がさらに向上 AIが特許のキーコンセプトをより正しく捉えることによって、関連特許の発見がより楽に Amplified2020年9月30日 15時38分 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000033344.html 誰でも使えて、瞬時にプロレベルの調査結果を得ることができるAI搭載の特許調査ツール「Amplified」 https://www.amplified.ai/ja/demo シャープが中国や米国の企業に対し、液晶パネルや通信技術に関する特許権侵害訴訟を立て続けに起こしています。
シャープの戴正呉会長は、シャープには「たくさん特許があったのに売ってしまい残念だ。特許は売らない」と語っていたことがあり、「鴻海グループの知財管理に関するスキルを活用して活用度を高める」といっていましたので、これが実行段階にはいっているということでしょう。 ちなみに、シャープは、特許自体はシャープが保有していますが、知的財産の管理を2016年10月3日シャープの知財部門の分社化により設立されたScienBiziP Japan 株式会社(サイエンビジップジャパン株式会社)に移管しています。 シャープの親会社鴻海の知財業務を受託しているScienBiziP Consulting Inc.の知財管理については、特許庁の「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」(2020)にも取り上げられており、AIを用いた分析システムを構築しているとのことです。 日本企業の知財戦略もグローバル標準に近づかざるを得ないようです。 テスラも標的、米中企業に訴訟連発するシャープの知財戦略 https://special.sankei.com/a/economy/article/20200710/0001.html 権利行使に熱心なシャープ https://ameblo.jp/123search/entry-12591793073.html シャープ、ドイツでダイムラーに勝訴 LTE規格特許に関する特許侵害訴訟 https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1276513.html オッポジャパンに対する特許権侵害訴訟の提起について https://corporate.jp.sharp/news/200130-a.pdf シャープ、知財管理を鴻海との合弁会社に委託 https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12IGH_S6A910C1TI1000/ ScienBiziP Consulting Inc. 経営の合理化と競合異形の効率的な分析を可能にする知財情報分析システムの構築 「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」(2020) P170-177 https://www.jpo.go.jp/support/example/document/chizai_senryaku_2020/all.pdf 日経新聞11月3日付けの記事「知財戦略 部門連携進め、「攻め」の⼀⼿へ」は、企業報道部の若杉朋⼦さんの署名で、質問に金沢工業大学の杉光⼀成教授が答える構成になっています。旭化成とナブテスコの例が挙げられています。
・IPランドスケープはどのような⼿法ですか。 ・どんな情報をどうやって分析しますか。 ・これまでも知財部門が研究の⽅向性を決めるのに、知財情報を分析する事例はありました。IPランドスケープとは何が違うのですか。 ・⽇本でIPランドスケープをうまく活⽤している業界や企業の事例はありますか。 ・海外勢の動向はどうですか。 ・これから新たにIPランドスケープに取り組む企業に必要なことは何ですか。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65780030S0A101C2XV3000/ 知的財産に関する情報を分析し、経営戦略⽴案に⽣かす「IPランドスケープ」と呼ばれる⼿法が、企業の間でじわりと広がりつつある。特許出願や知財管理など「守り」が中⼼だった知財戦略を、どうすれば「攻め」の⼀⼿にできるか。⾦沢⼯業⼤学の杉光⼀成教授に聞いた。 ⽇本は1970年代に世界最多の特許出願国となるなど、製造業を中⼼に多くの企業が⾃社の研究者に特許出願を奨励してきた。2002年には当時の⼩泉政権が「知財⽴国をめざす」と宣⾔し、特許審査の迅速化や知的財産⾼等裁判所設⽴などの施策を実⾏した。だが、現状 は知財⽴国とは⾔いがたい状況だ。最近では「知財強国」を掲げる中国勢の台頭も著しい。⽇本企業の特許戦略がこの数⼗年、特許保有数を増やすことから進化しなかったのに対して、欧⽶勢は知財情報を経営戦略⽴案に⽣かす「IP(知的財産)ランドスケープ」を着実に進めてきた。 旭化成とナブテスコの例については、下記を参照すると、より理解が深まります。 旭化成中村氏とKIT杉光教授が語るIPランドスケープ──DX、3つの目的、事業部との対話の設計とは? ゲスト:旭化成株式会社研究・開発本部 知的財産部長/シニアフェロー 中村栄氏【前編】 [公開日]2020年10月21日 https://bizzine.jp/article/detail/5046 旭化成のIPランドスケープ活用──Afterコロナを見据えたコア価値の磨き方、未来の兆しの掴み方とは ゲスト:旭化成株式会社研究・開発本部 知的財産部長/シニアフェロー 中村栄氏【後編】 [公開日]2020年10月22日 https://bizzine.jp/article/detail/5047 菊地 修 ナブテスコの知財経営戦略-IPランドスケープ®を活用して成功させるグローバル展開 – グローバル知財戦略フォーラム2020 https://www.inpit.go.jp/content/100869488.pdf (ナブテスコ)知的財産戦略 ナブテスコHP https://www.nabtesco.com/web/pdf/roadmap03.pdf 菊地 修 ナブテスコの知的財産経営戦略におけるIPランドスケープの実践 情報の科学と技術2019 年 69 巻 7 号 p. 298-304 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/69/7/69_298/_pdf/-char/ja 10月29日に行われた(第21回)知財実務オンライン:「IPランドスケープ実践に役立つ知財情報戦略 」(ゲスト:株式会社知財ランドスケープ CEO 山内 明)、印象に残ったのは、一つの「作品」に、50時間という短時間で分析されているとのこと。同様の分析を自分でやろうとすると、よく知っている分野であれば十分すぎる時間ですが、通常はよく知らない分野になりますのでおそらくもっと多くの時間がかかるだろうなと思っていました。
「IPランドスケープ3.0」に至るまでのポイントが、わかりやすく、かいつまんで説明されていますので、文献を読むより理解しやすくなっています。 目次 1-1 IPランドスケープとは(広義} 1-2.IP ランドスケープとは(狭義) 2-1 知財情報戦略のポイント概要 2-2 同ポイント詳細 2-2-1 ①「特許情報/非特許情報」の両視点 2-2-2 ②「攻め/守'り」の両視点 2-2-3 ③「時系列/非時系列」の両視点 2-2-4 ④「マクロ/ミウロ」の両視点 2-2-5 ⑤「仮説/検証」の積上 2-2-6 ⑥「ポジション把握」 2-2-7 ⑦「ベンチマーク対比」 2-2-8 ⑥「将来予測」 3 課題解決アプローチ 4-1.IPランドスケープ2.0とは 4-2 ポイント① (業界潮流把握) 4-3ポイント②(自社立ち位置確認) 4-4ポイント③(自社ポジション分析) 4-5 ポイント④(テーマに落とし込んだら・・) 4-6 ポイントまとめ 4-7 事例①(DX潮流:ロジスティヴス分野) 4-8 事例②(DX潮流:保険分野) 4-9. 事例③(CASE時代の新潮流) 5-1.IPランドスケープ3.0とは 5-2.事例「中国×AIの脅威」ストーリー構築 5-3.事例「中国×AIの脅威」魅せ方 https://www.youtube.com/watch?v=NQ-ngtpdNJs 知財実務オンラインの次回は11月5日、(第22回)知財実務オンライン:「弁理士業界におけるリーガルテクノロジーの歴史」(ゲスト:株式会社 AI Samurai 代表取締役社長 CEO 白坂 一)です。 白坂社長は、特許庁が公開する特許公開公報と特許公報をデータベース化し、類似する先行技術の事例から出願予定の特許の登録が成立する可能性をランク別に評価するAI特許類似文献評価システム『AI Samurai®』を運営する会社の創業者で、様々な苦労をされながら、新たな風を吹き込んでいるようで、今回も楽しみです。 https://www.youtube.com/watch?v=QAuwqLU_mP4 リーガルテックで日本に眠るアイデアを掘り起こす ゴールドアイピー代表取締役社長の白坂一氏に聞く 2017/12/19 https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2844047022032018000000 リーガルテック(法律×IT)をわかりやすく解説 企業一覧、課題、市場規模は? 2019/06/21 https://www.sbbit.jp/article/cont1/36465 法律をもっと身近に! リーガルロボットサービス提供! Sotaがリーガル・コミュニケーションをサポート 2016年11月7日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000021559.html 第9回グローバル特許権行使戦略セミナー(2020年10月30日・31日)の一日目、第2部:特許クレーム解釈と均等論を聴講しました。
アメリカの後を追いかけるように均等論を採用しその適用範囲を拡大してきたように見える日本と、均等論が例外的な場面でのみ適用されるという立場を取り続けているように見えるアメリカ。現時点では、ほぼ同様な立ち位置のようであることがわかりました。 また、髙部眞規子高松高裁長官(前知財高裁所長)は、閉会の辞で「本日のテーマは重要なテーマであり、裁判所でも「国際知財司法シンポジウム※」のテーマにしている。・・・特許権者の保護も必要、法的安定性、予測可能性も必要、学者の先生方の理論と、裁判所の個々の事件についての利益衡量も含めた判断も求められる。・・・」述べられ、今後もさらに深い議論がされるであろうことがわかりました。 ※令和3年1月21日(木)午後8時から,「国際知財司法シンポジウム2020~日米欧における知財司法の現在地と課題~」をテーマに開催され、第1部(裁判所パート)で「①特許権侵害訴訟における均等論の実情」が取り上げられている。 https://www.ip.courts.go.jp/vc-files/ip/2020/Jsip2020.pdf いずれにせよ、権利化の局面では、重要な出願に関しては、高林先生の最も厳しい例外的な場面でのみ適用されるという説を想定して、あくまで文言で当初明細書に記載された範囲で最も広い権利範囲の取得を目指すべきであり、審査経緯で権利範囲を狭めるようなことがないように注意すべきであると再認識しました。 第2部: 2020年10月31日(土)9時~11時 テーマ: 特許クレーム解釈と均等論 司会: 中山一郎(北海道大学教授) 講師: ・Sharon Prost(連邦巡回区控訴裁判所首席判事) ・森義之(知的財産高等裁判所部総括判事) ・Polk Wagner (ペンシルベニア大学ロースクール教授) ・高林龍(早稲田大学教授) ・Michael Sandonato(Venable法律事務所パートナー) 閉会の辞: 髙部眞規子(高松高等裁判所長官) 第2部では、日米における特許クレーム解釈の展開、特に両国で異なった展開を見せているかのような均等論について再検討がなされる。日本の知財高裁が2016年のマキサカルシトール事件大合議判決で均等論を再び活性化させたようにみられる一方、連邦巡回区控訴裁判所では2019年のAmgen v. Sandoz判決のように均等論が例外的な場面でのみ適用されるという立場を取り続けているようにも見える。連邦巡回区控訴裁判所のProst首席判事、知財高裁の森部総括判事により、日米の学界・実務で主導的な立場の専門家も交えて、このような展開の背景について議論がなされる。いずれの部でも、パネルメンバーにより導入的な説明がなされ、質疑応答や会場とのディスカッションに先立って司会を交えたパネルディスカッションが行われる予定である。 第9回グローバル特許権行使戦略セミナー(2020年10月30日・31日)の一日目、第1部:パンデミック下における特許訴訟と証拠収集を聴講しました。
東京地裁民事第47部の田中孝一部総括判事から、査証について、個人的な意見だとしながらも、「立証のために画期的な制度であり、期待している。相応しい事件では、積極的にやっていきたい、柔軟に活用していきたい、と考えている。」と発言されていたのが印象的でした。 第1部: 2020年10月30日(金)9時~11時 テーマ: パンデミック下における特許訴訟と証拠収集 司会: ラーデマッハ クリストフ (早稲田大学准教授) 講師: ・Leonard Stark(デラウェア地区連邦地方裁判所首席判事) ・田中孝一(東京地方裁判所民事第47部部総括判事) ・Scott R. Boalick(米国特許商標庁特許公判審判部首席判事) ・末吉剛 (ユアサハラ法律特許事務所) ・Robert Parker (Rothwell Figg法律事務所メンバー) 第1部では、デラウェア地区連邦地方裁判所Stark首席判事と、東京地方裁判所の田中部総括判事により、特許訴訟で必要となる証拠の収集に際し日米の裁判所が近時直面している課題について議論がなされる。米国のディスカバリー手続の発展、難局そして好機についての議論に加えて、日本の特許訴訟で本年導入された査証制度についても議論がなされる。 日本電産は、「自動車産業の「インテル」になる〈コロナはチャンス。2030年に売上10兆円を達成する〉」として、成長分野に位置づける車載事業で、電気自動車(EV)用駆動モーターを中心に攻勢を強めている。「ガソリン車と比較にならない価格でEVがつくれる時代が来る」「電気自動車(EV)用駆動モーターに最大1兆円規模を投資する」「EVモーターシェア45%へ」、「この事業は50年計画。売上高営業利益率3割を目指す」10月26日の決算説明会での永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)の説明です。決算説明会での話を聞いていると、この永守会長の自信は、大型投資のスピードが第一、そして第二に自社のモーター技術の優位性、からきているようです。
確かに2017年からの日本電産の特許出願の大幅増には目を見張るようなすごさを感じます。モーターの冷却技術等の優位性に加えモーター単品からモジュール化の事業拡大(川下市場に後発で参入)に伴い、これらを特許出願の大幅増で対応する考え方でしょうか。日本電産の知財活動は、多くのM&Aによる課題や係争増加を乗り越え、知財組織人員強化、発明部門知財体制構築、グループ会社の知財支援、パテントバッチ活動、グローバル化など、人脈を生かした特許庁との交流などもあり、飛躍的に強化されているようです。 永守重信(日本電産会長)/自動車産業の「インテル」になる〈コロナはチャンス。2030年に売上10兆円を達成する〉/井上久男(聞き手・構成)――文藝春秋特選記事【全文公開】 10/27(火) 6:00配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/3cc6de2daf175625174bb58ef24434e12dc070bb 増収増益の日本電産 欧州にEV向け新工場 売上高10兆円も視野 井上久男 | 経済ジャーナリスト 10/27(火) 12:15 https://news.yahoo.co.jp/byline/inouehisao/20201027-00204969/ 日本電産、1兆円投資支える2つの「カイゼン」 大阪経済部 岩戸寿 関西 京都 2020/10/30 2:00日本経済新聞 電子版 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65564660Y0A021C2000000/ 日本電産、EVモーターで描く「50年計画」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65482600W0A021C2000000/ 日本電産の永守会長「EVモーター、シェア45%へ」 記者会見タイムライン 2020年10月26日 16:20 (2020年10月26日 19:01 更新) [有料会員限定記事] https://r.nikkei.com/article/DGXMZO65436700V21C20A0000000?s=4 日本電産・永守会長76歳 「1円稟議」経営術の何が凄いか 井上 久男2020/10/27 source : 文藝春秋 2020年11月号 https://bunshun.jp/articles/-/41112 コロナ禍でも大健闘する京都企業 日本電産(Nidec) 2021年3月期の連結業績予想を上方修正 売上高は過去最高を更新する予想!2020年10月27日 (火) http://building-pc.cocolog-nifty.com/map/2020/10/post-7753e9.html 日本電産 知的財産情報 https://www.nidec.com/jp/technology/ip/ 「メーカーの知財」としてフェアなビジネスを守る権利形成と契約を。 https://www.nidec.com/corporate/recruit/career/interview/interview07.html 【日本電産の知財活動をご紹介 ~Nidec Patentバッジ~】 https://www.facebook.com/Nidec.JP/posts/889824781365016/ 石塚利博、「日立製作所(日立ハイテク)と日本電産の比較-創業、文化、知財など」(2020) http://chizairikkoku.com/archives/556 株式会社日立ハイテクは、今年5月に、日立製作所の完全子会社となりましたが、マーケッティングから始まる知財の創生・育成、サービスからの顧客情報を取り込んだ顧客ニーズの創生・育成、活用のサイクルを目指しており、「顧客第一主義」を貫く経営戦略の下、三位一体の活動を柱としています。平成21年度には、「知財功労賞」として「経済産業大臣表彰(特許戦略優良企業)」を受賞しています。
最近、流行の「IPランドスケープ」には「昔から取り組んでいた」ようです。 株式会社日立ハイテクHP https://www.hitachi-hightech.com/jp/about/csr/governance/intellectual/ 石塚利博、企業の知財戦略についてー日立ハイテクの取組みー https://www.inpit.go.jp/content/100762395.pdf 石塚利博、戦略的知財マネジメント https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaihatsukogaku/35/2/35_117/_pdf/-char/ja 石塚利博、グローバル時代における知的財産戦略 http://www.eufd.org/seminar/tms16.html 鈴木崇、日立小知的財産戦略 https://www.hitachi.co.jp/IR/library/presentation/120417/120417a.pdf 帝人の⾧期ビジョン:は、3つのソリューションで「未来の社会を支える会社」に、です。
3つのソリューションは、「環境価値ソリューション(マテリアル・IT)」「安心・安全・防災ソリューション(マテリアル・IT・繊維製品)」「少子高齢化・健康志向ソリューション(繊維製品・ヘルスケア・IT)」で、「3つのソリューション」に全投資額の85%を投入(設備投資・投融資)し、「3つのソリューション」売上高比率を2030年度までに75%へと計画しています。 マテリアル事業領域では、高機能素材とマルチマテリアル化による高付加価値用途へ、展開を加速、複合材料を使用した自動車向け部品では北米最大の「Tier1」メーカーとして自動車向け複合成形材料、航空機向け炭素繊維中間材料、アラミド、樹脂に注力しています。 ヘルスケア事業領域では、既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開、画期的なヘルスケアサービス・製品の創出を目指し、うつ病治療機器「ニューロスター」や、歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」、上肢麻痺のリハビリロボット「ReoGo-J」、機能性食品事業の拡大、地域包括ケアシステム関連新事業の創出を進め、医薬・在宅医療事業の組織変革による基盤強化や新薬上市により、主力薬の後発品参入影響(「フェブリク」クリフ)を最小化をはかっています。 特に、「フェブリク」クリフによる落ち込みを、新事業の拡大と医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーできるかどうかが重要になっているようです。国内における物質特許が2016年に満了し、結晶特許の⼀部請求項の無効が確定したため、ジェネリックが、2022年には承認・販売されると想定され、それを前提に事業展開が進められていますが、⽤途特許が残っており、この特許をどう生かすかが帝人グループの知財部の腕の見せ所になっているようです。 自動車などの軽量化に寄与する技術開発のための産学共同のオープンイノベーションプログラム「AZLパートナーネットワーク」に参画、自社の事業展開にAIを活用することにより将来の人々のQOL向上に貢献することを目指し株式会社フローディアに出資、フランスのSafran S.A. との間で航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結など、次々と事業展開がオープンになってきています。 帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコアを特定し、知的財産権を戦略的に取得することで、競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しており、事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報をもとに技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しているということですので、その成功例が姿を見せる日も近いと思っています。 帝人グループは、ドイツ・アーヘン工科大学の関連組織であるAZLアーヘンGmbH 主催による、自動車などの軽量化に寄与する技術開発のための産学共同のオープンイノ ベーションプログラム「AZLパートナーネットワーク」に参画することとしました。 「AZLパートナーネットワーク」には、現在、各国から約 90 機関が加盟しており、 熱硬化性・熱可塑性複合成形材料などの高機能材料のエキスパートが集結しています。 その中で帝人グループは、当ネットワークが 10 月 22 日に開始する、電気自動車(EV) 用のバッテリーボックスの開発・製造に向けた 8 か月間のプロジェクトなどに参画します。 当社は、こうした変化に対応するため、2017 年に米国の Continental Structural Plastics 社(以下「CSP社」)を買収し、以来、グローバル Tier1 サプライヤーとして 自動車向け複合成形材料事業を展開しています。また、CSP社のフランス現地法人 であるCSPヨーロッパでのSMC(*)工場新設、ポルトガルの Inapal Plasticos 社 (イナパル社)やチェコの Benet Automotive 社(ベネット社)の買収など、複合成形 材料事業の拡大を推進しており、昨年には、衝突規制に適合しながら、従来のスチール ドアに比べて全体の重量を削減したマルチマテリアルドアモジュールを開発しました。 さらに本年 2 月には、ドイツに次世代自動車開発に向けた市場開拓および技術調査を 担うテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(TACE)を設立し、長年に わたり培ってきた炭素繊維やアラミドなどの高機能素材に関する技術や知見に基づき、 新たなアイデアを活用したマルチマテリアルでの提案力強化を図っています。 軽量化技術に関するグローバルプロジェクトに参画 https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/22/20201022_01.pdf 帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、自社の事業展開にAIを活用 することにより、将来の人々のQOL向上に貢献することを目指し、このたび、株式会社 フローディア(本社:東京都小平市、社長:奥山 幸祐)に出資しました。 フローディアは、近年加速しているエッジコンピューティング(*1)への活用が可能で、 AIによるビッグデータの効率的な処理に不可欠な不揮発性メモリ(*2)の設計、開発、 販売、コンサルティングを手掛けており、このたびの出資に伴い、当社より 1 名が同社 取締役に就任するとともに、関連技術の取得に向けて、当社より技術者 1 名を派遣する こととしました AIとマテリアルの融合により未来の社会を支える会社へ 株式会社フローディアへの出資について https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/26/20201026_01.pdf 帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:鈴木 純)は、フランスのSafran S.A. (本社:フランス・パリ市、CEO:Philippe Petitcolin、以下「サフラン社」) との間で、航空機の部品に使用される高機能複合材料の供給に関する契約を締結しました。 サフラン社は、航空・宇宙、防衛に関連する事業を展開する複合企業体で、中でも 航空機向けの部品製造については、エンジンや降着装置、内装品など、品質の高い装備品 を製造・販売しており、航空機業界において高いプレゼンスを誇っています。 帝人は、これまで 25 年にわたりサフラン社に高機能素材の供給を行ってきましたが、 このたびの契約締結により、次世代航空機用の高機能素材の供給をさらに強化すると ともに、高機能複合材料の供給を開始します。当社は、航空機市場の諸課題に対して ソリューションを提供すべく、サフラン社と協力・連携し、生産コスト改善や環境負荷 低減に貢献する技術を開発していく予定です。 なお、本契約の締結後、帝人がサフラン社に供給する最初の材料の一部は、帝人グループ において高耐熱熱硬化プリプレグを製造・販売する米国・レネゲード社で製造します。 帝人は、2019 年のレネゲード社の買収や、米国サウスカロライナ州での新しい炭素繊維 製造拠点の建設など事業拡大策に取り組んでおり、今年度からの中期経営計画では、航空 機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(Strategic Focus)」と位置づけ ています。当社は、これからも欧州・米国のグループ会社と連携し、グローバル市場にお いて、川上から川下に至るまで幅広く用途開発を推進していきます。そして、航空機向け 炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030 年近傍までに航空機用途で年間 900 百万米ドル超の売上を目指します。 仏サフラン社と高機能複合材料の供給契約を締結 https://www.teijin.co.jp/news/2020/10/27/20201027_01.pdf 帝人グループの知的財産戦略では、詳細な事業環境分析の結果に基づいて、事業のコンピテンシーとなり得るコアを特定し、知的財産権を戦略的に取得することで、競争優位性を確保するための強固な知財ポートフォリオを構築しています。事業戦略の立案に係る知財情報の解析においては、IPランドスケープ等の手法も取り入れ、ICTツールを駆使して特許情報のみならず非特許情報をもとに技術動向や競争優位性を解析し、その結果を事業上の意思決定に役立てる取り組みを実施しています。 帝人株式会社 統合報告書2020年 https://ssl4.eir-parts.net/doc/3401/ir_material_for_fiscal_ym1/86665/00.pdf 帝人グループ・ヘルスケア事業にとっての最大の経営課題は、主力薬である高尿酸血症・痛風治療剤フェブリク®(一般名: フェブキソスタット)の後発品参入の影響を最小化すること、すなわち、フェブリク・パテントクリフによる売上収益の落ち込みを、新事業の拡大、医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーすることです。 2022年に想定されるフェブリク・パテントクリフによる売上収益の落ち込みがヘルスケア事業に大きなインパクトを与えると想像できます。国内におけるフェブリク®の物質特許は2016年に満了、結晶特許も一部請求項の無効が確定したため、フェブリク®のジェネリックが、再審査期間終了(2021年1月20日)後には申請、2022年には承認・販売されると想定されます。現在、フェブリク®の効能・効果のうち、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を保護すると思われる用途特許5907396に対して沢井製薬が無効審判を請求しています(無効2020-800008)。また、2020年4月28日に、同特許に対して別の無効審判が請求されました(無効2020-800044)。帝人としては、この効能・効果についてはジェネリックに承認を与えないために無効審判を戦うことになると思われます。 フェブリク・クリフによる落ち込みを新事業の拡大と医薬・在宅医療事業の生産性向上とコスト構造改革でカバーする、具体的には、既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開するとしています(中期経営計画 2020-2022―ALWAYS EVOLVING―説明資料)。上記の通り、事業展開の方向性は医薬品中心ではありませんが、中期経営計画期間中に上市を見込む新薬として、A型ボツリヌス毒素製剤NT-201、骨粗鬆症治療剤ITM-058(アバロパラチド酢酸塩) が挙げられています。 例えば、自立支援のための医療技術・サービスの提供への事業展開においては、歩行神経筋電気刺激装置や上肢麻痺のリハビリロボットをNT-201等と合わせ、脳卒中発症から予後までの総合ソリューションを提供することが次世代成長領域として描かれています。 帝⼈・ヘルスケア(医薬品)事業の知的財産活動の景⾊(2020) | 「医薬系 "特許的" 判例」ブログ、2020.05.24 https://www.tokkyoteki.com/2020/05/teijin-2020.html 日立製作所との協創により新素材の研究開発でDX推進へ https://www.teijin.co.jp/news/2020/07/20/20200720_01.pdf 10月22日、中外製薬は2020年12月期の第3四半期までの決算発表を行いましたが、1-9月の売上高は前年同期比13.3%増の5765億円、コア営業利益は35.5%増の2319億円、コア四半期利益も33.0%増の1656億円と好調です。
スイスの世界⼤⼿ロシュの傘下に⼊り20年近くとなりますが、利益率がここ3年で倍になったこと、費⽤がかさむ臨床開発や販売などの海外展開をほとんどロシュに任せる効率経営で浮いた資⾦をバイオ創薬に集中した成果として2018年に発売した新薬が急成⻑中であることもあり、国内医薬品会社で引き続き時価総額トップとなっています。 そして、今後注⽬すべきは中外独⾃の「抗体エンジニアリング技術」を適⽤した新薬や候補品などの動向とされています。 また、中外製薬は、CHUGAI DIGITAL VISION 2030を掲げ、デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになることを目指し、3つの基本戦略(「デジタル基盤の強化」「すべてのバリューチェーン効率化」「デジタルを活用した革新的な新薬創出」)を、2019年10月に新設したデジタル戦略推進部がこれまで各部署で進めてきたデジタル施策を統括しながら推進しています。この4半期の成果として、「Biofourmis社と子宮内膜症に伴う痛みを客観的に評価するデジタルソリューションの共同開発を開始」「MRを中心にワークスモバイルジャパン社のLINE WORKSを導入」「NTTデータ社とAI技術支援を活用した治験効率化ソリューションの実証完了」があげられていました。 中外製薬株式会社、2020年12月期第3四半期決算発表 カンファレンスコール http://www.c-hotline.net/Viewer/Default/CHPHff54611b8db006e4f14e59acc9d616f8 ⼤鐘進之祐, 中外製薬、利益率3年で倍 ロシュ効果で開発に勢い, ⽇本経済新聞 電⼦版、2020/10/19 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65033390V11C20A0000000/ 橋本宗明、中外製薬「抗体エンジニアリング技術」の破壊⼒、⽇経ビジネス, 2020年10⽉26⽇ https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/102600057/?n_cid=nbponb_twbn 中外製薬のアニュアルレポート2019(統合報告書)には、2019年の知的財産活動のほか、中期経営計画「IBI 21」(2019~2021年)における知的財産のポイント、SWOT分析、知的財産機能の特徴、主な取り組みと進捗が掲載されています(p76-77, 88)。 中外製薬では、抗体エンジニアリング技術や中分⼦創薬技術を重要な創薬技術基盤として位置づけ、基本技術の開発と製品化への応⽤を両輪とした研究開発戦略を展開しており、2018年から富⼠御殿場研究所と鎌倉研究所に知財リエゾンを配置して研究初期段階での連携を強化し、技術や権利のホワイトスペースに⾃らの技術や開発品のポートフォリオを構築する戦略MIXを強化・推進、特に、抗体エンジニアリング技術に関連する特許については、独自のデータベースを構築することで、他社動向の把握を含めて知的財産戦略の立案に活用しているとのことです。 中外製薬 アニュアルレポート2019(統合報告書) https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/annual_reports.html 中外製薬の知的財産活動の景色(2019)、「医薬系 "特許的" 判例」ブログ https://www.tokkyoteki.com/2020/05/chugai-2019.html 中外製薬HP,知的財産 https://www.chugai-pharm.co.jp/profile/rd/intellectual.html |
著者萬秀憲 アーカイブ
May 2025
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