他社の特許を侵害したことで倒産した会社のことなど聞いたことがないという人が多いのに驚きますが、他社の特許を侵害したことで倒産した会社の取締役が損害賠償を求められた訴訟で、令和3年9月28日、大阪地方裁判所は被告らに監視・監督義務があるとして1億円を超える損害賠償を認めました。
本件は、知財高裁特別部で判断された「二酸化炭素含有粘性組成物事件」の原告が、侵害事件で勝訴しましたが、被告会社が破産したため、実質経営者である取締役に対して訴訟を起こしたものです。 本件被告らは、特許事務所から非侵害の鑑定書を取得していたこと等を主張し、自らが取締役として求められる調査義務を尽くしており妥当な根拠に基づいた合理的な判断をした旨、あるいは、特許権侵害には当たらない、非侵害鑑定書も取得している等の説明を受けていたものであり、非侵害の確信をすることは無理からぬことだった、あるいは、自らは名目上の取締役にすぎなかったので責任を負わない、等と主張しましたが、その主張は認められませんでした。 他社の知的財産権を侵害する知財リスクについては、まだまだ啓蒙が必要な状況にあるのかもしれません。 令和1(ワ)5444 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 令和3年9月28日 大阪地方裁判所 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/602/090602_hanrei.pdf 特許権侵害と会社法429条1項 https://nsipat.com/blog_inner/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E6%A8%A9%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E3%81%A8%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95429%E6%9D%A11%E9%A0%85/ 2021.09.28 「メディオン v. P1・P2・P3・P4」 大阪地裁令和元年(ワ)5444 https://www.tokkyoteki.com/2021/11/2021-09-28-r1-wa-5444.html
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著者萬秀憲 アーカイブ
May 2022
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