近年は、特許製品の販売だけでなく、それらを用いたサービスの提供により収益を得るビジネスモデルの重要性が増しているため、特許製品を譲り渡したにもかかわらず、譲受人又は転得者が当該製品を使用する行為に対して、特許権の行使が可能となるよう、何らかの手段を講じたいと考えるのは、企業の知財担当者であればごく自然のことです。
パテント, Vol. 76, No. 1,P47(2023)に掲載されている「特許権者による消尽の迂回の是非-コト消費時代における消尽論-」(神戸大学 前田健 教授)は、「特許権者は、現行法の下、消尽を迂回できるか」という点について、「消尽の迂回の手段としては、契約による迂回として、①条件付き譲渡による迂回、②所有権留保による迂回、③ライセンス条件による迂回を、間接侵害品の譲渡による消尽の法理に関して、④方法特許の活用、⑤完成品特許の活用を、そして、⑥新たな製造法理の活用を考えることができる。この 6つの論点について、現在の通説・裁判実務を整理したい。」としてわかりやすく整理しています。 そのうえで、 「従来の日本の裁判例では、契約による迂回は原則できないとされ、方法特許など別の特許を用いた権利行使の道が僅かに確保されてきた。特許権者によるビジネスモデルの選択をより広く認めることは、政策判断としてはあり得るところである。ただし、取引の安全を確保するため、解釈論としては、契約による迂回を拡大すべきではなく、方法特許など別の特許を活用する道を模索すべきである。判例や種苗法改正による先例が既にあると評価し得ることも踏まえると、立法論としては、表示又は公示により取引の安全を確保した上で、契約による迂回を認めることも検討に値する。」 と、立法論の方向性についても述べています。 現時点では、「契約による迂回は原則できないとされ、方法特許など別の特許を用いた権利行使の道が僅かに確保されて」いる状態なので、その僅かに確保されているやり方で対応することになりますが、将来は、もう少し門戸が開かれても良いように思います。 特許権者による消尽の迂回の是非-コト消費時代における消尽論- https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4128 方法特許の消尽論 「モノ」から「コト」への産業構造変化を踏まえて https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4011 方法特許の消尽 28/8/2022 https://yorozuipsc.com/blog/8343478 IoT時代における特許権の消尽について 23/6/2022 https://yorozuipsc.com/blog/iot6384585
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工藤一郎国際特許事務所 工藤一郎所長が、日本弁理士会研修会(知的財産経営センター)にて「経済的意義を有する特許価値指標YK値」と題して行った講義の資料が同所ホームページにアップされています。「YK値がどのように組成される指標で、どのような予測力があるのか」を具体的に説明している資料(全88頁)、実例が示され参考になります。
https://www.kudopatent.com/news_and_topics/2023-03-07_001.html 知財評価・分析を通じて企業の成長に貢献する経済的意義を有する特許価値評価指標 YK値 https://www.kudopatent.com/pdf/20230307V01841.pdf 2023年03月06日【プレスリリース】YK値企業ランキングを公表 https://www.kudopatent.com/pdf/kudopat_press_release20230306.pdf Paragraph. 編集するにはここをクリック.3月14日
日本ペイントホールディングスが菊水化学工業に対し、営業秘密を不正に取得、使用したとして営業秘密侵害行為差止等請求を提起していた民事訴訟が、2023 年3月6日付で和解が成立したとの発表がありました。 菊水化学工業は、「訴訟の長期化による当社の事業に与える影響等も踏まえ、総合的に検討した結果」とし「和解内容の詳細等につきましては、内容に秘密保持条項が含まれておりますので、開示は差し控えさせていただきます。」ということですが、「和解金を含む訴訟費用372百万円を特別損失に計上する予定」とのことです。 なお、菊水化学へ転職する際に日本ペイントの営業秘密を持ち出して菊水化学で開示・使用したとされる日本ペイントの元執行役員に関する刑事事件では、被告は持ち出したデータの営業秘密性を高裁まで争いましたが、懲役2年6月、執行猶予3年、罰金120万円の判決となっているとのことです。 刑事事件の判決が確定している以上、早期和解は妥当な判断と言えるのではないかと思います。 当社に対する訴訟の和解、特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ https://www.kikusui-chem.co.jp/ir/upload_file/tdnrelease/7953_20230303523925_P01_.pdf 日本ペイントと菊水化学が和解 営業秘密漏えい 2023年3月7日 https://www.chunichi.co.jp/article/648543 菊水化学工業、日本ペイントHDと訴訟和解 特損3億円 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD065QX0W3A300C2000000/#:~:text=%E7%B7%8F%E5%90%88%E5%A1%97%E6%96%99%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%8F%8A%E6%B0%B4,%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E8%A8%88%E4%B8%8A%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82 日本ペイントデータ流出事件の民事訴訟(和解) https://www.xn--zdkzaz18wncfj5sshx.com/ 平成28(わ)471 不正競争防止法違反 令和2年3月27日 名古屋地方裁判所 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/139/090139_hanrei.pdf 判例評釈 日本ペイント営業秘密刑事事件 https://www.chosakai.or.jp/intell/pat/contents21/202105/202105_9.pdf 判例評釈 日本ペイント営業秘密刑事事件高裁判決 https://www.chosakai.or.jp/intell/pat/contents21/202112/202112_11.pdf 権利者が分からない著作物の二次利用を促すための著作権法改正案が閣議決定されました。利用希望者からの相談や申請を受ける窓口組織を置き、一定額の補償金を支払うことで二次利用をできる新制度が2026年度までに施行される見通しということです。
二次利用が活発になることでコンテンツ産業が発展することを期待します。 過去の放送番組やアマチュア音楽など二次利用容易に…権利者不明でも「窓口」に補償金支払いで 2023/03/10 https://www.yomiuri.co.jp/culture/20230310-OYT1T50104/ 権利者不明作品の活用促進へ 著作権法改正案を閣議決定 2023/3/10 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE09AM70Z00C23A3000000/ 著作権法改正案を閣議決定 一元窓口創設や賠償算定見直し 2023年03月10日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031000291&g=soc 著作権法の一部を改正する法律案の概要 https://www.mext.go.jp/content/230308-mxt_hourei-000028109_1.pdf 改正の趣旨 著作物等の公正な利用を図るとともに著作権等の適切な保護に資するため、①著作物等の利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない場合の著作物等の利用に関する裁定制度を創設する等の措置、②立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合等に著作物等の公衆送信等を可能とする措置及び③著作権等の侵害に対する損害賠償額の算定の合理化を図る措置について定める。 改正の概要 1.著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設等 ① 利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない著作物等の利用円滑化 ・未管理公表著作物等(集中管理がされておらず、利用の可否に係る著作権者等の意思を円滑に確認できる情報が公表されていない著作物等)を利用しようとする者は、著作権者等の意思を確認するための措置をとったにもかかわらず、確認ができない場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することにより、裁定において定める期間に限り、当該未管理公表著作物等を利用することができることとする。 ・文化庁長官は、著作権者等からの請求により、当該裁定を取り消すことで、取消し後は本制度による利用ができないこととし、著作権者等は補償金を受け取ることができることとする。 ② 窓口組織(民間機関)による新たな制度等の事務の実施による手続の簡素化 ・迅速な著作物等利用を可能とするため、新たな裁定制度の申請受付、要件確認及び補償金の額の決定に関する事務の一部について、文化庁長官の登録を受けた窓口組織(民間機関)が行うことができることとする。 ・新たな制度及び現行裁定制度の補償金について、文化庁長官の指定を受けた補償金等の管理機関への支払を行うことができることとし、供託手続を不要とする。 2.立法・行政における著作物等の公衆送信等を可能とする措置 ① 立法又は行政の内部資料についてのクラウド利用等の公衆送信等 ・立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、必要な限度において、内部資料の利用者間に限って著作物等を公衆送信等できることとする。 ② 特許審査等の行政手続等のための公衆送信等 ・特許審査等の行政手続・行政審判手続※について、デジタル化に対応し、必要と認められる限度において、著作物等を公衆送信等できることとする。 ※裁判手続についても、裁判手続のIT化のための各種制度改正に併せて、著作物等を公衆送信等できるよう規定の整備を行う(民訴手続については令和4年民事訴訟法等の一部改正法により措置済み) 3.海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直し ① 侵害品の譲渡等数量に基づく算定に係るライセンス料相当額の認定 ・侵害者の売上げ等の数量が、権利者の販売等の能力を超える場合等であっても、ライセンス機会喪失による逸失利益の損害額の認定を可能とする。 ② ライセンス料相当額の考慮要素の明確化 ・損害額として認定されるライセンス料相当額の算定に当たり、著作権侵害があったことを前提に交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記する。 3月10日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたということで、報道では、「メタバース(仮想空間)などのデジタル空間で販売・譲渡されている模倣品の差し止め請求を可能にする。」「登録可能な商標の対象を広げる。(氏名が入った商標:一定の知名度があれば、他人の同意がなくても登録できるようにする。他人が既に登録している商標と類似する商標:先行商標権者の同意があり出所混同のおそれがない場合には登録可能にする。)」などが取り上げられています。
法律案の趣旨は、「知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の見直しが必要。 (1) デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化、 (2) コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備、 (3) 国際的な事業展開に関する制度整備 の3つを柱に、不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法、工業所有権特例法の改正を行う。」 ということです。 「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方」という令和5年3月 産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 最終報告も参考になります。 「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました 2023年3月10日 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230310002/20230310002.html 1.法律案の趣旨 知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の見直しが必要です。 このため、(1)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化、(2)コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備、(3)国際的な事業展開に関する制度整備の3つを柱に、不正競争防止法等の改正を行います。 2.法律案の概要 本法律案の主要な措置事項は以下のとおりです。 (1)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化 ①登録可能な商標の拡充 商標法について、他人が既に登録している商標と類似する商標は登録できませんが、先行商標権者の同意があり出所混同のおそれがない場合には登録可能にします。 ※ 併せて、不正競争防止法について、上記により登録された商標について、不正の目的でなくその商標を使用する行為等を不正競争として扱わないこととします。 商標法について、自己の名前で事業活動を行う者等がその名前を商標として利用できるよう、氏名を含む商標も、一定の場合には、他人の承諾なく登録可能にします。 ②意匠登録手続の要件緩和 意匠法について、創作者等が出願前にデザインを複数公開した場合の救済措置を受けるための手続の要件を緩和します。 ③デジタル空間における模倣行為の防止 不正競争防止法について、商品形態の模倣行為について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できるようにします。 ④営業秘密・限定提供データの保護の強化 不正競争防止法について、ビッグデータを他社に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止め請求等を可能とします。 不正競争防止法について、損害賠償訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど、営業秘密等の保護を強化します。 特許法、実用新案法および意匠法について、一定の場合に特許権者の意思によらず他者に実施権を認める裁定手続において、提出書類に営業秘密が記載された場合に閲覧制限を可能にします。 (2)コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備 ①送達制度の見直し 特許法及び工業所有権に関する手続等の特例に関する法律について、在外者へ査定結果等の書類を郵送できない場合に公表により送付したとみなすとともに、インターネットを通じた送達制度を整備します。 ②書面手続のデジタル化等のための見直し 特許法、商標法及び工業所有権に関する手続等の特例に関する法律について、特許等に関する書面手続のデジタル化や商標の国際登録出願における手数料一括納付等を可能とします。 ③手数料減免制度の見直し 特許法について、中小企業の特許に関する手数料の減免について、資力等の制約がある者の発明奨励・産業発達促進という制度趣旨を踏まえ、一部件数制限を設けます。 (3)国際的な事業展開に関する制度整備 ①外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充 不正競争防止法について、OECD外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独贈賄行為も処罰対象とします(両罰規定により、法人の処罰対象も拡大)。 ②国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化 不正競争防止法について、国外において日本企業の営業秘密の侵害が発生した場合にも日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不競法を適用することとします。 法律案概要 https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230310002/20230310002-1.pdf デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方 令和5年3月 産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会 最終報告 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiteki_zaisan/fusei_kyoso/pdf/20230310_1.pdf メタバースでも模倣品禁止 政府、改正法案を決定 https://www.sankei.com/article/20230310-FSKXISHJDVK43F3CV5WSLIHEF4/ メタバースで模倣品差し止め 政府、法改正案を閣議決定 https://www.nikkei.com/nkd/theme/54/news/?DisplayType=2&ng=DGXZQOUA10111010032023000000 IPジャーナル第24号に金沢工業大学大学院 杉光一成 教授らが寄稿された「重要特許が企業の財務データに及ぼす影響の一考察」では、「同⼀IPC分類における年平均被引⽤回数の上位5%」という計算式から算出される指標として「重要特許」という言葉を用いています。
「仮説1(H1):重要特許(MPS)の数が多いほど、当該年度の利益率が高くなる」という仮説は支持されず、「仮説2(H2):重要特許(MPS)の数の財務指標への影響には時間経過が必要である。」という仮説は支持されたということです。 重要特許(MPS)の数の財務指標への影響は、「概ね7年から10年後」という結果も、納得感があります。 重要特許が企業の財務データに及ぼす影響の一考察 金沢工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科 教授 杉光 一成 筑波大学 ビジネスサイエンス系 教授 立本 博文 株式会社SBI証券 金融調査部 チーフクオンツアナリスト 波多野 紅美 三井物産株式会社 建機・輸送車両事業部 部長補佐 天野 達郎 IPジャーナル第24号 発行日:2023年3月15日 http://fdn-ip.or.jp/files/ipjournal/vol24/IPJ24_26_38.pdf 本研究では、杉光・立本(2022)で提案されている新しい指標の1つである「重要特許」(同一IPC分類における年平均被引用回数の上位5%)に着目し、本指標と財務データ(ファンダメンタル特徴)に及ぼす影響について2つの仮説の検証を試みた。その結果、仮説1「重要特許の数が多いほど当該保有年度の利益率が高くなる」は支持されず、仮説2「重要特許による財務指標への影響には時間差がある」は支持された。その結果、「重要特許」の指標は時系列分析に適した指標であることがわかった。 コーポレートガバナンス・コード改訂に伴う知的財産に関する KPI 等の設定(中間報告) 杉光 一成 東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 立本 博文 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授 IFI Working Paper No.10 January 2022 https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/01/WP010.pdf 「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)Ver2.0案」(本編65頁、参考資料編51頁)が公表され、意見募集期間が3月10日(金)~3月17日(金)になっています。
「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン改訂」に係る意見募集 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095230250&Mode=0 案の公示日 2023年3月10日 受付開始日時 2023年3月10日 受付締切日時 2023年3月17日 意見提出が30日未満の場合その理由 ガイドライン作成する際の検討事項が多く、当初予定よりも多くの期間を要していることから、30日の期間は取ることが難しい。 意見募集要領(提出先を含む) https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000250131 知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン改訂案 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000250132 知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及び ガバナンスに関するガイドライン (略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン) Ver2.0 案 ~企業と投資家・金融機関の対話を通じて将来の企業価値を創造する~ 月刊パテント 2023年1月号の「知財戦略カスケードダウンによるオープン・クローズ戦略の実例検討」(KSIパートナーズ法律特許事務所 石本貴幸 弁理士)は、オープン・クローズ戦略の実例として、QRコード、CC-Link、冷媒R32を取り上げています。
QR コード(1994年にデンソーの開発部門(現在は分社化してデンソーウェーブ)が発明したマトリックス型二次元コード) CC-Link (1996年に三菱電機㈱が開発した産業用ネットワークであり、マスタ局とスレーブ局とがフィールドネットワークで接続され、データ通信を行うもの) 冷媒 R32(2012年にダイキン工業が世界で初めて空調機(エアコン)の冷媒として用いた従来の冷媒(代替フロン RA410A)に比べて地球温暖化係数が約 1/3 の冷媒) なお、「カスケードダウン」とは、企業活動において経営層が設定した上位レベルの戦略や目標が、下位レベルの部や課、社員へと細分化されていることであり、筆者は「知財戦略カスケードダウン」を提案しており、本稿では事業と知財とが同時進行で方策を立案する、三位一体の概念の修正も提案しています。 知財戦略カスケードダウンによるオープン・クローズ戦略の実例検討 KSIパートナーズ法律特許事務所 石本貴幸 弁理士 パテント Vol. 76 No. 1 P.120(2023) https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4134 筆者は、事業戦略に基づいて知財戦略を立案する知財戦略カスケードダウンを提案しており、オープン・クローズ戦略の実例を知財戦略カスケードダウンに当てはめることで、事業戦略に基づいて立案される知財戦略を検討した。オープン・クローズ戦略は、技術の普及と独占により自社の利益を拡大するものであるが、実例を知財戦略カスケードダウンに当てはめて各企業の戦略・戦術を検討したところ、オープン・クローズ戦略の成功要因は、自社だけでなく、オープン化した自社開発技術を用いて他社も利益を得る環境作りが必要であるとの結論に至った。他社も利益を得る環境作りは、特許を無償開放すればよいというものではなく、他社が利益を得られるのであれば有償ライセンスでも構わない。そして、オープン・クローズ戦略を成功に導くためには、知財が事業を理解することが必要である。このため、本稿では、三位一体の概念の修正も提案する。 目次 1.知財戦略カスケードダウンの概要 2.オープン・クローズ戦略の実例検討 2.1 QRコード 2.2 CC-Link 2.3 冷媒R32 3.オープン化の成功要因 3.1 実例におけるオープン・クローズ戦略の比較 3.2 他社が利益を得る環境作り 4.まとめ -三位一体の概念図の修正- 知財戦略カスケードダウンと三方一選択 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/3781 (第62回)知財実務オンライン:「知財戦略カスケードダウンと三方一選択」(ゲスト:KSIパートナーズ法律特許事務所 弁理士 石本 貴幸) https://www.youtube.com/watch?v=a8lrb1d3IZQ QRコードの普及から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー https://note.com/trade_secret/n/nc9a26606ecbc アサヒビールの生ジョッキ缶から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー https://note.com/trade_secret/n/n4d83ca4178f6 CC-Linkの普及から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー https://note.com/trade_secret/n/na62e665345e4 <構成・内容ともに圧倒的なクオリティを誇る,新時代のスタンダードテキスト>というキャッチコピーの「知的財産法 第2版」【愛知 靖之 (京都大学教授),前田 健 (神戸大学教授),金子 敏哉 (明治大学教授),青木 大也(大阪大学准教授)/著、有斐閣】は、初版刊行から約5年で内容を全面的に見直したということです。
同じ著者による「知財判例コレクション」を見ながら勉強するのが良いと思います。 知的財産法 第2版 https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641179547 愛知 靖之 (京都大学教授),前田 健 (神戸大学教授),金子 敏哉 (明治大学教授),青木 大也 (大阪大学准教授)/著 2023年03月発売 個別の問題の位置づけと相互連関を意識しながら学習できるよう配慮し,制度趣旨や基本概念も丁寧に解説。特許法・著作権法のみならず,意匠法・商標法・不競法まで一冊で網羅する。構成・内容ともに圧倒的なクオリティを誇る,新時代のスタンダードテキスト。初版刊行から約5年を経て,内容を全面的に見直した。 第1編 知的財産法総説 第2編 特許法 第3編 著作権法 第4編 意匠法 第5編 商標法 第6編 不正競争防止法 第7編 不法行為法・種苗法等による保護 第8編 知的財産の国際的保護 知財判例コレクション https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641243415 愛知 靖之 (京都大学教授),前田 健 (神戸大学教授),金子 敏哉 (明治大学教授),青木 大也 (大阪大学准教授)/著 2021年06月発売 知的財産法オールインワン型の判例集。約200件の判例を収録。全件につき事案紹介・判旨引用・コメントを付した。バランスのとれた過不足ない判例選択と簡潔明瞭な解説で,学習のみならず実務にも最適。知財判例の森を概観できる,頼れる一冊。 目次 第1編 知的財産法総説 第2編 特許法 1 特許要件/2 権利の主体/3 出願手続・審査・査定/4 審判・異議申立て・審決等取消訴訟/5 特許権の効力と制限/6 権利の侵害と救済/ 7 権利の活用と実施権 第3編 著作権法 1 著作物/2 権利の主体/3 著作権の効力/4 著作権の制限/5 著作者人格権/6 権利の侵害と救済/7 権利の活用 第4編 意匠法 第5編 商標法 1 商標の登録要件/2 商標権に関する手続/3 権利の効力と制限・侵害と救済/4 同一性・類似性 第6編 不正競争防止法 1 周知表示の使用による混同惹起行為/2 著名表示の冒用行為/3 商品形態模倣行為/4 営業秘密に係る不正行為/5 その他の不正競争行為 第7編 不法行為法等による保護 第8編 知的財産法の国際的保護 月刊パテント 2023年1月号に掲載の「発明の新規性理論の特許法29条の2の規定及び発明の進歩性への展開」(特許庁 審査第三部 加藤 幹 上席総括審査官)は、「パブリック・ドメインの保護という観点からの発明の新規性理論」(パテント 75 巻 12 号 53 頁、2022年)に示された「一般新規性理論」(発明の新規性(特許法 29 条 1 項各号)については、客観的にみて出願発明が公知技術の上位概念又は同一概念であることが、出願発明が新規性を否定されるための必要十分条件である)を、特許法 29 条の 2 の規定や発明の進歩性(特許法 29 条 2 項)において検討したものです。
発明の進歩性について、神戸大学 前田健教授が「対象物を新着眼の特性で特定したクレームの特許性:発見かそれとも発明か?」(神戸法学雑誌 70 巻 1 号 63 頁2020 年)で、「創作の技術的困難性が問われているのは、請求項において特定されている発明思想なのか、あるいはそれを構成する個々の具体的技術なのか」という問題を提起し、前者を「特定事項説」、後者を「具体物説」と位置づけていますが、『特定事項説は、関係者に具体物説に立脚した適切な主張、判断及び説示を促す学界からの警鐘として存在する意義を有するとはいえるものの、それ以上の意義を有するものではないように思われる。』としている点など、興味深い点が多々ありました。 発明の新規性理論の特許法29条の2の規定及び発明の進歩性への展開 加藤 幹 パテント 76(1) p.77-89 (2023) https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4131 特許法29条の2の規定の趣旨が複合的なものであるため、同条の「同一」も同法29条1項各号における考え方と同法39条1項における考え方とを重畳したものとなることを指摘した。併せて、同規定の準公知の趣旨について検討し、拡大先願の趣旨は特許法に導入する審査請求制度を実効的なものとするためのものであるのに対し、準公知の趣旨は特許法に導入する審査請求制度を発明の保護及び利用を図るという特許法の目的のために十分に利用するためのものであることを指摘した。 また、発明の進歩性の考え方を具体物説に立脚して理論的に整理し、一致点・相違点の認定は効率的な判断のためにのみ存在するものであること、主引用発明に副引用発明や周知技術を適用する動機付けや適用するにあたっての阻害要因、適用した場合の効果は出願発明の下位概念たる具体的態様の容易到達性として検討されることなどを指摘した。併せて、具体物説に立脚した判断が特定事項説に立脚した判断であるかのように見える場合があることを指摘し、その実例を示した。 目次 1.はじめに 2.特許法 29 条の 2 の規定について 2.1 特許法 29 条の 2 の規定とその趣旨 2.2 先願明細書等に記載された「発明」と「同一」であるときとは 2.3 特許法 39 条における技術的思想同一論 2.4 出願発明と先願明細書等に記載された発明との「同一」性 2.5 いくつかの試論 2.6 準公知の趣旨の意義 2.7 準公知の趣旨の再考 3.発明の進歩性について 3.1 具体物説と特定事項説 3.2 上位概念化の可否 3.3 動機付け・阻害要因・発明の効果の位置付け 3.4 具体物説に立脚した判断が特定事項説に立脚した判断であるかのように見える場合 3.5 特定事項説に立脚すると評される裁判例の検討 3.6 特定事項説の意義 4.おわりに 「パブリック・ドメインの保護という観点からの発明の新規性理論」(パテント 75 巻 12 号 53 頁、2022年) https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4101 前田健「対象物を新着眼の特性で特定したクレームの特許性:発見かそれとも発明か?」神戸法学雑誌 70 巻 1 号 63 頁(2020 年) https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/81012050/81012050.pdf 製造業においてサービス提供型ビジネスへの移行、いわゆるモノからコトへの移行が拡大していますが、先行研究においては、従来型ビジネスからサービス提供型ビジネスへの移行プロセスに焦点が当てられており、知的財産についての言及は行われていないため、サービス提供型ビジネスを知的財産面から考察、サービス提供型ビジネスの競争優位性をいかに特許で保護するかを研究のテーマとしたということです。そして、従来型の製造業でありながら、スマート農業としてサービス提供型ビジネスへの移行が積極的に進められている農業分野を研究対象分野としています。
リサーチクエスチョン(RQ)としては、下記2つ。 RQ1:『日本の農業機械メーカーが進めているスマート農業の競争優位性は何か?』 RQ2:『スマート農業の競争優位性の源泉をいかに特許で保護しているか?』 『結果、 1)日本の主要農業機械メーカーであるクボタ、ヤンマー、井関農機はスマート農業の構築と拡販を積極的に進めている 2)農業機械メーカーが進めているスマート農業は、一連の農業サイクルをICT・GISを活用して全体を最適化するシステムである 3)3社のうちクボタのスマート農業の競争優位性が高く、特にその源泉はクボタのみが実装している「収穫物の食味のリアルタイムセンシング」であると思われる 4)クボタは「収穫物の食味のリアルタイムセンシング」について、技術特許とビジネスモデル特許からなる特許網を構築することで参入障壁を築き、競合他社が同様の技術を実装することを防いでいることがわかった。』 特許戦略調査として参考になるケースです。 サービス提供型ビジネスの競争優位性とその源泉を保護する特許戦略に関する一考察 栗田工業株式会社 イノベーション本部 IM 部門 知的財産部 松本 克美 会員・金沢工業大学(KIT)大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 加藤 浩一郎 パテント、Vol. 76、No. 1、P. 102(2023) https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4133 目次 1.はじめに 1.1 本論文の背景 1.2 本論文の目的 1.3 先行研究 1.4 リサーチクエスチョン(RQ) RQ1:『日本の農業機械メーカーが進めているスマート農業の競争優位性は何か?』 RQ2:『スマート農業の競争優位性の源泉をいかに特許で保護しているか?』 2.RQ1 の検証 2.1 日本の農業機械市場と主要農業機械メーカー 2.2 クボタの事業動向 2.3 ヤンマーの事業動向 2.4 井関農機の事業動向 2.5 クボタ、ヤンマー、井関農機のスマート農業の比較 2.6 RQ1 のまとめ 3.RQ2 の検証 3.1 サービス提供型ビジネスの特許保護の仮説 3.2 日本の農業機械メーカー 3 社の特許出願動向 3.3 日本の農業機械メーカー 3 社の出願特許の国際特許分類(IPC) 3.4 クボタの競争優位性の源泉である「収穫物の食味のリアルタイムセンシング」に関する特許 3.5 RQ2 のまとめ 4.結論 先進技術で農業の未来へ - スマート農業はクボタ https://agriculture.kubota.co.jp/product/smart-agriculture/index.html 「トラクターだけじゃダメ」 スマートな農業へ、クボタは手を組んだ 聞き手・中村建太2023年3月2日 https://digital.asahi.com/articles/ASR316WZSR2WPLFA001.html 東南ア、スマート農業の波 クボタはアプリを本格展開 2023年1月27日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS2380G0T20C23A1000000/ 「みどりの食料システム戦略」に貢献するクボタのスマート農業技術 2022/12/08 https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/smart/attach/pdf/forum2022-16.pdf クボタがテスラ創業者と進める「農業AI化」の正体 果樹園を「スマート化」、深刻な人手不足を解消 2022/07/11 https://toyokeizai.net/articles/-/602023?page=4 クボタのスマート農業 22/5/2021 https://yorozuipsc.com/blog/2652516 クボタの営農支援システム・農業用途の IOT 関連技術特許 24/2/2021 https://yorozuipsc.com/blog/-iot <「知財」がまるごとわかる>「知的財産法のエッセンスを一冊に凝縮。重要事項を重点的かつ平易に説き,知財法の全体像をわかりやすく示す。改訂に際し,最近の法改正や重要判例を織り込んでアップデートした。知財の世界への第一歩を踏み出すための確かな案内図となる,信頼のテキスト。」というキャッチフレーズの「入門 知的財産法 第3版」【平嶋 竜太 (南山大学教授),宮脇 正晴 (立命館大学教授),蘆立 順美 (東北大学教授)/著】は、初版のときには意匠法についてほとんど書かれていなかったことにびっくりした記憶が残っています。(その後、第2版からは意匠法の章も一応は設けられています。)
企業の多くでは、社内教育や知的財産協会の研修により知財に関する知識等を学びます。その内容は、多くの場合、企業での実務で必要な知識だけに狭くなっているようです。バランスをとるためにも、大学の先生方が書かれた入門書に目を通してみてはどうでしょうか。 入門 知的財産法 第3版 https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641243606 第1章 はじめに 1 知的財産とは何か/2 知的財産保護の目的/3 各法の特徴と相互関係/4 知的財産の国際的な保護 第2章 特許法 1 特許法の目的と全体像/2 特許法の保護対象と保護要件/3 特許権の効力と限界/4 特許権の侵害と法的救済/5 特許権の発生と帰属/6 特許権を取得するための手続/7 特許権を財産権として活かす仕組み 第3章 著作権法 1 著作権法の全体像/2 著作物の要件/3 権利の帰属/4 著作権の効力/5 著作権の制限/6 著作者人格権の効力と制限/7 権利侵害と救済/8 保護期間/9 著作権・著作物の利用 第4章 商標法 1 商標法の全体像/2 商標登録の要件/3 商標権の効力・制限/4 類 似 第5章 不正競争防止法 1 不正競争防止法の全体像/2 周知商品等表示混同行為/3 著名商品等表示冒用行為/4 商品形態のデッドコピー/5 営業秘密の不正利用/6 限定提供データの不正利用 終 章 知的財産法の交錯領域 1 なぜデザインを保護するのか/2 意匠法の概要/3 意匠法と他の知的財産法 3月3日に明らかになった明治グループの菓子事業、ガム事業からの撤退は、明治グループ2026ビジョンに掲げる『国内ではコア事業であるヨーグルト、チョコレート、ニュートリションに注力すると同時に、将来の成長ドライバーとなる事業の育成を図り、さらなる事業ポートフォリオの強化を目指していきます。』というコア事業への注力と将来の成長ドライバーとなる事業の育成という方針の具現化と思われます。
こうした明確な事業方針に基づき、知的財産への取り組みも、新体制で取り組むようです。 明治ホールディングスに知財戦略部を新設し、社長兼CEOの川村和夫氏が知財戦略部管掌、 さらに執行役員の谷口茂氏が知財戦略部管掌、知財戦略部長には、現株式会社明治の研究本部知財戦略部長の坂元孝至氏が就任するとのことです。株式会社明治の研究本部では、①知財戦略部を廃止②研究戦略統括部知的財産部を新設ということですから、全社コーポレート部門に社長直轄の知財戦略部が、研究開発部門に知的財産部が新設されるということでしょう。旭化成と同様の知財戦略部門設置型(司令塔部門設置型)と思われますが、今後の活躍に期待したいと思います。 明治「キシリッシュ」販売終了の裏にあった“戦略の失敗” 売上高はピークから9割減3/4(土) https://news.yahoo.co.jp/articles/56edb06c3c8929c731bf9be9b35a6ea7578ac9d9 明治「キシリッシュ」など 今月でガム事業から撤退へ 3/3(金) https://news.yahoo.co.jp/articles/e43fd9849875a10a72c7a494e3062ab4f4f9e030 丸紅「ヨーグレット」商標権取得へ 明治の子会社買収 2023年3月3日 https://www.fnn.jp/articles/-/494419 明治産業株式会社の全株式及び商標権の取得について 2023/03/03 https://www.marubeni.com/jp/news/2023/release/00027.html 連結子会社の異動を伴う株式等譲渡に関するお知らせ 2023/03/03 https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2023/0303_01/ 明治グループ2026ビジョン https://www.meiji.com/investor/vision/management/ 2023中期経営計画 https://www.meiji.com/investor/vision/mid-term-plan/ 人事、明治ホールディングス 2023年2月21日 https://www.nikkei.com/article/DGXZTSJM20101_R20C23A2000000/ 明治ホールディングスの役員人事に関するお知らせ https://www.meiji.com/pdf/news/2023/230221_01.pdf 知的財産戦略 https://www.meiji.com/innovation/intellectual_property/ 食品事業の知財戦略 https://www.meiji.com/innovation/intellectual_property/food.html 医薬品事業の知財戦略 https://www.meiji.com/innovation/intellectual_property/pharmaceuticals.html 明治グループのイノベーション https://www.meiji.com/innovation/our_innovation/ ESGミーティング(2022年12月9日開催) 説明資料 https://www.meiji.com/pdf/investor/library/presentation-presentation_2023_esg.pdf 質疑応答 https://www.meiji.com/pdf/investor/library/presentation-presentation_2023_esg_qa.pdf 今回は、株式会社明治の人気ヨーグルト商品にまつわるトピックについて解説します。 ローマ字や数字の極めて簡単な組合せからなる商標が例外的に登録 明治「R-1」「LG21」が登録されるまでの道のりとは https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol56/07_page1.html 「R-1」、「LG21」が文字商標に登録 明治、価値の訴求とヨーグルト市場の活性化に取り組む 2022/11/13 https://wellness-news.co.jp/posts/%E3%80%8Cr-1%E3%80%8D%E3%80%81%E3%80%8Clg21%E3%80%8D%E3%81%8C%E6%96%87%E5%AD%97%E5%95%86%E6%A8%99%E3%81%AB%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%80%80%E6%98%8E%E6%B2%BB%E3%80%81%E4%BE%A1%E5%80%A4%E3%81%AE%E8%A8%B4/ 「全国的に認識されているもの」として、例外適用による登録「R-1」、「LG21」が文字商標に登録~3,000件以上の登録商標を持つ明治が、お客さまに明治らしさを届け続けるための取り組み~ 2022/11/09 https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2022/1109_01/index.html 令和4年度関東地方発明表彰 日本弁理士会会長賞 固形タイプの育児用ミルク(特許第4062357号) http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/chihatsu/R4/jusho_kanto/detail/benrishi1.html 明治ホールディングス㈱)2022 年3月期の統合報告書 11/12/2022 https://yorozuipsc.com/blog/2022-3 株式会社明治 特許、技術ノウハウ、商標の3つの観点からの知的財産マネジメント 10/10/2022 https://yorozuipsc.com/blog/-3 株式会社明治のIPランドスケープ 21/9/2020 https://yorozuipsc.com/blog/ip3030825 「nano tech 2023」にて2月3日に行われたNEDOセミナー「発展・拡張する”CN”Fの世界 ~セルロースナノファイバーの社会実装を進める先駆者たちの戦略~」のアーカイブ動画(約44分)がYouTube NEDO Channelで公開されています。
セルロースナノファイバー(CNF)は、木材等をこまかくほぐして取り出したナノサイズの繊維で、バイオマス由来の高性能素材です。軽量・高強度等の特性から、幅広い分野で活用され、植物由来であることから、カーボンニュートラル(CN) の一端を担うことができる材料として、期待されている素材です。 日本製紙、王子ホールディング、東京大学、京都大学といったこの分野を牽引している企業、大学等出ていませんが、花王、スギノマシン、大王製紙、パナソニックの発表と、経済産業省時代からCNF実用化を推進されてきた渡邉政嘉氏(ナノセルロースジャパンCNF塾長(京都大学 特任教授・学外連携フェロー、愛媛大学 紙産業イノベーションセンター客員教授)のコメントにより、セルロースナノファイバーの社会実装の現状と課題がよくわかります。 YouTube NEDO Channel https://www.youtube.com/@nedo_channel/featured 発展・拡張する”CN”Fの世界 ~セルロースナノファイバーの社会実装を進める先駆者たちの戦略~(「nano tech 2023」にて2023/2/3開催のNEDOセミナー) https://www.youtube.com/watch?v=ROlf2KSXCFM&t=106s 日時 2023年 2月3日(金) 13時30分~14時15分 会場 東2ホール シーズ&ニーズセミナーB【講演概要】 セルロースナノファイバー(CNF)は、木材等をこまかくほぐして取り出したナノサイズの繊維で、バイオマス由来の高性能素材です。軽量・高強度等の特性から、幅広い分野で活用され、植物由来であることから、カーボンニュートラル(CN) の一端を担うことができる材料であり、現在NEDOにおいて事業を展開中です。 日本の産業界とアカデミアでは、長年ナノサイズならではの特性を追求する中で、市場や分野毎に要求される最適なサイズ、物性のセルロースを作る技術を獲得してきました。 NEDO・CNF事業プロジェクトリーダーの福岡大学の八尾教授をモデレータに、CNFの特性にいち早く着目し、国の政策や先発企業としてCNF市場を牽引してきた研究者等の有識者をパネリストに迎え、それぞれの立場で、今まさに発展・拡張する ”CN”Fの世界、その社会的価値、事業化における現在地と“CN”Fの未来を見据えて、ディスカッションを実施します。 パネリスト 八尾 滋(モデレーター) CNFプロジェクト プロジェクトリーダー 機能・構造マテリアル研究所 所長 工学部 化学システム工学科 教授 熊本 吉晃 花王株式会社 研究開発部門 テクノケミカル研究所 主席研究員 小倉 孝太 株式会社スギノマシン 経営企画本部 新規開発部 開発プロジェクトグループ アシスタントマネージャー 玉城 道彦 大王製紙株式会社 生産本部 新素材研究開発室 上席執行役員 室長 渡邉 政嘉 ナノセルロースジャパンCNF塾長 京都大学 特任教授・学外連携フェロー 愛媛大学 紙産業イノベーションセンター客員教授 三田 友紀 パナソニックHD株式会社 マニュファクチャリングイノベーション本部 成形技術開発センター 先行成形技術開発部 開発二課 課長代理 3月3日知的財産戦略本部の第2回構想委員会が開かれ、知的財産推進計画2023検討の視点(案)が提示され、「知的財産推進計画2023」に向けた検討が行われています。
資料5知的財産推進計画2023検討の視点(案)の<現状認識>としては、 『米国や欧州企業は、2010年以降、急速にマークアップ率が上昇する一方、日本企業は、低水準で推移、知財・無形資産による差別化により、マークアップ率を引き上げることが成長と分配の好循環のため必要。』 とされ、多様なプレイヤーが社会に蓄積された知的財産を最大限活用できる社会の一層の推進(1.デジタル時代のコンテンツ戦略における先行的トライアル、2. オープンイノベーションと知財マネジメント)を<知財分野における課題仮説>としています。 そして、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」については、<主な施策の柱>の中の産業競争力の知財投資の中で、『本年3月改定の「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」では、企業価値評価をめぐる、投資家等と企業との思考ギャップを埋めるツールであるROIC逆ツリー等のコミュケーションフレームワークを提示するともに、アセットオーナー等へ知財・無形資産に注目した中 期的な運用・エンゲージメントに対するコミットメントを求めている。本ガイドラインの普及・実践を推進すべく、投資家等からの評価を企業経営者に対し、直接フィードバックしうる取組等について検討する。』とされています。 資料5 知的財産推進計画2023検討の視点(案) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2023/dai2/siryou5.pdf 3月6日から「知的財産推進計画2023」の策定に向けた意見募集も始まりました。(4月7日まで) 「知的財産推進計画2023」の策定に向けた意見募集 案件番号095230240 案の公示日2023年3月6日 受付締切日時2023年4月7日23時59分 所管省庁内閣府 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public 意見募集要領(提出先を含む) https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000249496 知的財産戦略本部 第2回構想委員会 令和5年3月3日(金) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2023/dai2/gijisidai.html (1)新たな情報財検討委員会報告書等のフォローアップについて (2)「知的財産推進計画2023」に向けた検討について 配付資料 資料1 AI生成物と著作権について 資料2 限定提供データと損害賠償額算定規定について(経済産業省) 資料3 AIの作成・利活用促進に向けた方向性等について(特許庁)( 資料4 特許審査を通じたイノベーションの創出に向けて(特許庁) 資料5 知的財産推進計画2023検討の視点(案) 資料6 コンテンツ戦略WGの検討課題等について 資料7 クリエイトジャパンWGに向けて 資料8 遠藤委員提出意見 参考資料 バリューチェーン共同参画型オープンイノベーション促進に向けた知財ガバナンスを巡る課題 早稲田大学知的財産法制研究所(RCLIP)の国際シンポジウム「欧州の単一特許制度・統一特許裁判所の動向」(2023.3.4)をオンライン視聴しました。5時間に及ぶ長時間のシンポジウムでした。
第1部:UPCの幕開け UPCの控訴裁判所長官となるクラウス・グラビンスキー判事と、ドイツ特許法の権威でありUPC判事となるヘディケ教授らが、新裁判所の構造と手続きの概要を説明し、既に付与された、これから付与されるヨーロッパ特許を統一特許に変更するか否かの選択が、どのような結果をもたらすか等について話されました。 第2部:手続き上の論点(証拠収集手続き及び専門家の役割) UPC での訴訟に関連して生じる具体的な手続上の問題、新しい規則の下でどのように証拠収集を行い、収集した証拠を利用するのか、そして、新しい手続の下で専門家がどのような役割を担うのかについて話されました。 東京地方裁判所の國分隆文裁判官は、「日本における証拠収集に関する近時の動向査証手続及び第三者意見募集制度」について説明、 『日本において、査証制度は、「伝家の宝刀」と考えられており、査証の申立てがされた事例はいくつかあるものの、査証が実施された事例はない。UPCでの侵害訴訟の手続には、日本の査証制度と類似の制度として、証拠保全命令と査察命令が存在するが、それらはどの程度活用されるか。UPCでの証拠保全命令及び査察命令の運用に当たっては、UPCA批准国、例えば、ドイツの実務と同様の運用がされることになるか。また、それらの批准国での証拠保全命令及び査察命令に関して、現在、議論となっている点は何か。』 『日本の第三者募集制度は、当事者に新たな証拠収集手段を提供することにより、裁判所の判断基盤を強化することに特徴がある。UPCでは、第三者の意見を広く募集し、それを証拠として活用する手段として、どのようなものが考えられているか。』 『第1号事件(令和4年(ネ)第10046号、DWANGO Co., Ltd. v. FC2. Inc. and HPS Inc.)に関して、日本の第1審裁判所は、属地主義の観点から、システムの「生産」に該当しないと判断した。UPCの訴訟においては、フランスからドイツの場合、アイルランドからドイツの場合、イギリスからドイツの場合の各事例について、侵害が認められ得るか?』と質問し、議論されました。 3月28日には、UPCの控訴裁判所長官となるクラウス・グラビンスキー判事も再び来日され、「慶應義塾大学 知的財産フォーラム Keio IP Forum 2023 ~欧州統一特許裁判所創設後のグローバル紛争解決と知財戦略~」が開催される旨のアナウンスもされました。 国際シンポジウム「欧州の単一特許制度・統一特許裁判所の動向」 https://rclip.jp/2023/01/19/20230304seminar/ 【開催案内】慶應義塾大学 知的財産フォーラム Keio IP Forum 2023 ~欧州統一特許裁判所創設後のグローバル紛争解決と知財戦略~(2023.03.28開催) https://www.kgri.keio.ac.jp/news-event/135493.html 主催:慶應義塾大学 知的財産フォーラム プロジェクト 共催:慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)、法学部・大学院法学研究科 日時:2023年3月28日(火)09:00~18:00 (08:45開場) 場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 南校舎5階ホール 講演者(登壇順) ■ 髙部 眞規子(西村あさひ法律事務所オブカウンセル 前知的財産高等裁判所長) ■ ジェラルド E. ローゼン(米国ミシガン州東部地区連邦地方裁判所 元主席判事) ■ エドガー H. ハウグ(ハウグパートナーズ LLP会長) ■ クラウス バッハー(連邦通常裁判所民事第10部部総括判事) ■ クラウス グラビンスキー(欧州統一特許控訴裁判所所長) ■ クリスティアン W. アッペルト(べーマート&べーマート パートナー) パネリスト ■ 長澤 健一(キヤノン株式会社 専務執行役員、知的財産法務本部本部長、経済安全保障統括室室長) ■ 高橋 弘史(パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 知的財産センターIPエグゼクティブエキスパート、弁理士) ■ 神谷 宏(本田技研工業株式会社 知的財産・法務統括部 訴訟・係争部部長) ■ 和泉 恭子(富士通株式会社 ビジネス法務・知財本部 知財グローバルヘッドオフィス長、弁理士) パネル司会 ■ シーラ モータザヴィ(ハウグパートナーズLLP パートナー) ■ ハインツ ゴッダー(べーマート&べーマート パートナー) ■ 一色 太郎(一色法律事務所・外国法共同事業マネージングパートナー、慶應義塾大学 非常勤講師) ■ 君嶋 祐子(慶應義塾大学法学部・法学研究科教授、KGRI所長) プログラム 09:00 - 09:15 開会の挨拶 09:15 - 10:00 日本 日本の知的財産法・実務を巡る最近の動向 10:00 - 10:45 米国 地方裁判所と上訴裁判所、PTABとITC手続の相互関係 10:45 - 11:00 休憩 11:00 - 11:45 米国 米国における裁判外紛争手続 ―仲裁と調停― 11:45 - 12:15 日本・米国 パネルディスカッション 12:15 - 13:15 昼食休憩 13:15 - 14:00 ドイツ 連邦通常裁判所民事第10部における最近の動向 14:00 - 14:45 欧州 UPC―欧州における新たな特許裁判所― 14:45 - 15:00 休憩 15:00 - 15:45 欧州・ドイツ ◆ 欧州統一特許/欧州統一特許裁判所と各国特許・欧州特許の比較 ―実務家の視点から ◆ オプトアウト―その対象、タイミングと方法 15:45 - 16:15 ドイツ・欧州 パネルディスカッション 16:15 - 16:45 ネットワーキング コーヒーブレーク 16:45 - 17:45 日本から世界へ 産業界の知的財産戦略と展望 ―日本、米国、ドイツ、欧州の最新動向を踏まえて― 18:00 - 20:00 懇親会 2月24日に開催された「リーガルテック展2023」のアーカイブ動画がYouTubeで公開されています。
https://www.youtube.com/@AOSYoutubeStudio https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000042056.html 知財部⇒社長秘書⇒コンデンサ企画部⇒知財部⇒経営企画部⇒新規事業推進部⇒知財部という多様なキャリアの谷野 能孝氏(株式会社村田製作所 執行役員 コーポレート本部 法務・知財統括部 統括部長)の 「知財に求められるビジネス創出に貢献する力 〜経営企画連携とM&A〜」という話(約38分)、出雲 充氏(株式会社ユーグレナ 代表取締役社長)の「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。~世界を救うミドリムシの知財~」(約36分)など興味深い話が聞けます。 「知財に求められる ビジネス創出に貢献する力 〜経営企画連携とM&A〜」 株式会社村田製作所 執行役員 コーポレート本部 法務・知財統括部 統括部長 谷野 能孝氏 https://www.youtube.com/watch?v=xyh6Rrnb5Ig 「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。~世界を救うミドリムシの知財~」 株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充氏 https://www.youtube.com/watch?v=vHJKhw6sO2s モノづくり新時代に挑む〜鯖江商工会議所の知財戦略〜 鯖江商工会議所 事務局長田中 英臣氏 https://www.youtube.com/watch?v=HwAqd3SmueM 「法務・知財のDXを支える次世代プラットフォーム」 AOSデータ株式会社 取締役 志田 大輔氏 https://www.youtube.com/watch?v=t3d-1Prftno 「知財デューデリの意義とその手法」 正林国際特許商標事務所 所長 正林 真之氏 https://www.youtube.com/watch?v=GpTa9G-O-pI 「M&Aにおける知財デューデリ効率化のポイント」 Tokkyo.Ai株式会社 取締役 平井 智之氏 https://www.youtube.com/watch?v=GpTa9G-O-pI 3月2日に開催された第18回産業構造審議会知的財産分科会では、約2時間、出願・審査の現状、特許審査の現状と今後の在り方、知財エコシステムの協創に向けた取組についての説明、議論が行われました。
多くの方が触れられていたのが、「2024年度以降、任期付審査官の定員の時限が到来(以降、約100名ずつ減少し、 2028年度には約3割減)」という、今後の特許審査に向けた審査官数に関する課題でした。 ・現状でも一人当たりの審査処理件数は欧米の2.5倍以上という大変な状況ですが、 ・さらに外国特許文献の増加や請求項数の増加により1件当たりの審査の業務量は年々増加、 ・AIやIoTのように、複数の技術分野に応用される融合技術も増加。GX関連出願の増加も予測される。 ・GX技術等の注目技術について世界中の技術動向を把握し、我が国企業が技術優位性をグローバルにアピールできるようにするためには、世界に通用する技術区分表を策定し、技術を俯瞰可能とすることが肝要。そのためには、最新技術の知見を有する審査官による技術区分表の策定・更新と普及が不可欠。 ・特許出願の非公開制度の導入に伴い、特許審査官が担う業務として、一次審査に関する業務をはじめ、新たな業務が発生、 ・早期審査制度の利用拡充により、未公開時点で審査が必要な案件数が増加 ・スタートアップ、大学や地域中小企業に対する支援が重要 AIの活用による効率化と質の向上は進めるものの、このままでは2028年度には審査官数が約3割減というのは大きな問題です。 第18回産業構造審議会知的財産分科会 配布資料 https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/chizai_bunkakai/18-shiryou.html 日時:令和5年3月2日(木曜日)16時00分~18時00分 場所:特許庁庁舎16階 特別会議室(オンライン併催) 議事次第 開会 出願・審査の現状 特許審査の現状と今後の在り方 知財エコシステムの協創に向けた取組 特許・意匠・商標制度小委員会の報告 財政点検小委員会の報告 不正競争防止小委員会の報告 閉会 配布資料 議事次第 資料1:委員名簿 資料2:出願・審査の現状( 資料3:特許審査の現状と今後の在り方 資料4:知財エコシステムの協創に向けた取組 資料5:特許・意匠・商標制度小委員会の報告 資料6:財政点検小委員会の報告 資料7:不正競争防止小委員会の報告 参考資料1:特許制度小委員会報告書(案) 参考資料2:意匠制度小委員会報告書(案) 参考資料3:商標制度小委員会報告書(案) 参考資料4:不正競争防止小委員会報告書(案) [更新日 2023年3月2日] ドイツ政府は、2023 年2 月17 日、同日にドイツが統一特許裁判所(UPC)協定を批准した旨、公表しました。UPCの提示した最新の計画表に基づき、統一特許裁判所協定(UPCA)は、2023年6月1日に正式に発効する予定で、同日から統一特許(UP)の取得も可能となります。 そして、統一特許裁判所(UPC)の管轄から外れるオプトアウトが可能となる3 か月のサンライズ期間が2023年3月1日に開始されました。 「単一特許制度の下で、欧州企業はより広範で効果的な特許保護をより低いコストで受けることができるようになり、これは特に中小企業にとって重要なことである。」ということですが、まだわからないことが多く、情報入手が必要です。 Sunrise period kick-off https://www.unified-patent-court.org/en/news/sunrise-period-kick 欧州単一効特許・統一特許裁判所、2023年6月1日に開始予定 https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2023/20230217.pdf 国際シンポジウム「欧州の単一特許制度・統一特許裁判所の動向」(2023.3.4) https://rclip.jp/2023/01/19/20230304seminar/ プログラム (敬称略) 13:00 – 13:10: 開会の辞 元知財高裁所長・弁護士 飯村敏明 13:10 – 15:00 第1部:UPCの幕開け モデレーター:早稲田大学教授 Christoph Rademacher スピーカー: UPC控訴裁判所長官・裁判官 Klaus Grabinski フライブルク大学教授、UPC中央部裁判官 Maximilian Haedicke Baker & McKenzie法律事務所(ドイツ・ミュンヘン)弁護士 Alexander Ritter DTS 特許法律事務所(ドイツ・ミュンヘン)欧州・ドイツ弁理士 Christian Wende 阿部・井窪・片山法律事務所 弁理士 加藤 志麻子 15:30 – 17:30 第2部:手続き上の論点(証拠収集手続き及び専門家の役割) モデレーター: 名古屋大学教授 鈴木將文 スピーカー: Arnold Ruess法律事務所(ドイツ・デュッセルドルフ)弁護士 Lisa Rieth La Gro Geelkerken法律事務所(オランダ・ハーグ)弁護士 Marleen van den Horst Wildanger 法律事務所(ドイツ・デュッセルドルフ)弁護士 Alexander Wiese 東京地方裁判所 裁判官 國分隆文 阿部・井窪・片山法律事務所 弁護士 服部 誠 パネリスト: UPC控訴裁判所長官・裁判官 Klaus Grabinski フライブルク大学教授、UPC中央部裁判官 Maximilian Haedicke 17:30 閉会の辞 RCLIP所長、早稲田大学教授 高林龍 概要 数十年にわたる議論と10年以上にわたる準備を経て、新しい欧州単一特許制度が2023年6月1日にスタートし、欧州連合の17カ国にわたる単一の統一特許制度が実質的に確立されます。この17カ国には、ドイツ、フランス、オランダ、イタリアなど、欧州特許に関する最大の国々が含まれています。単一特許の保有者は、各国の裁判所で国内特許を行使するのに代えて、新たに設立される統一特許裁判所(UPC)で審理される1つの裁判で、参加するEU17カ国すべてに対して当該単一特許を行使できるようになります。 このシンポジウムでは、UPCの控訴裁判所長官となるクラウス・グラビンスキー判事を含む第一線の専門家が、新しい裁判手続の様々な側面に関しての見解を述べます。第一部では、グラビンスキー判事と、ドイツ特許法の権威であり、UPC判事となるヘディケ教授が中心となって、新裁判所の構造と手続きの概要を説明し、既に付与された、あるいは、これから付与されるヨーロッパ特許を統一特許に変更するか否かの選択が、どのような結果をもたらすか等について議論します。また、このパネルでは、侵害に関する実体的な規則についても議論します。 第二部では、UPC での訴訟に関連して生じる、より具体的な手続上の問題、例えば、新しい規則の下でどのように証拠収集を行い、収集した証拠を利用するのか、そして、新しい手続の下で専門家がどのような役割を担うのかについて議論します。日本の講演者は、欧州の新しい手続と日本の特許訴訟手続きとの比較をし、議論を発展させます。第一部、第二部共に、最後にパネルディスカッションと質疑応答を行います。聴講者からの質疑の機会も設ける予定です。 【開催案内】慶應義塾大学 知的財産フォーラム Keio IP Forum 2023 ~欧州統一特許裁判所創設後のグローバル紛争解決と知財戦略~(2023.03.28開催) https://www.kgri.keio.ac.jp/news-event/135493.html ルブタンが「レッドソール」とも言われるソールの赤色を「色彩商標」(色彩のみからなる商標)として商標登録を求めた裁判で、知財高裁はルブタンの請求を退けました。
裁判所では、古くから色彩のみからなるものを不正競争防止法上の出所表示として認めてきましたが、一貫して、単色の色彩からなるものは出所表示として認めないというスタンスをとってきており、今回も同様の判断でした。 色彩商標は、2014年の商標法改正によって新たに登録の対象となり、これまでにセブンイレブン・ジャパンが看板などで使用している「白地にオレンジ・緑・赤」の色彩と、トンボ鉛筆が消しゴムカバーで使用している「青・白・黒」の色彩などが認められていますが、単一の色彩のみからなる商標の登録のハードルは高いということでしょう。 不正競争防止法による模倣品の排除のハードルはもう少し低いと考えられます。 令 和 4 年 ( 行 ケ ) 第 1 0 0 8 9 号 女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色(PANTONE 18-1663TP)の色彩のみからなる商標について、商標法3条2項が定める「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品」であることを認識することができるものに該当するものとはいえないと判断された事例。 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/784/091784_point.pdf 令和5年1月31日判決言渡 令和4年(行ケ)第10089号 審決取消請求事件 判決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/784/091784_hanrei.pdf クリスチャン・ルブタンの「レッドソール」で「色彩商標」が認められなかった理由 2023年02月19日 https://www.bengo4.com/c_18/n_15672/ 「ルブタン」の“赤”、知財高裁も請求棄却 レッドソールの保護は“公益性の例外”として認められず https://www.wwdjapan.com/articles/1516611 |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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