月刊パテント 2023年1月号の「知財戦略カスケードダウンによるオープン・クローズ戦略の実例検討」(KSIパートナーズ法律特許事務所 石本貴幸 弁理士)は、オープン・クローズ戦略の実例として、QRコード、CC-Link、冷媒R32を取り上げています。
QR コード(1994年にデンソーの開発部門(現在は分社化してデンソーウェーブ)が発明したマトリックス型二次元コード) CC-Link (1996年に三菱電機㈱が開発した産業用ネットワークであり、マスタ局とスレーブ局とがフィールドネットワークで接続され、データ通信を行うもの) 冷媒 R32(2012年にダイキン工業が世界で初めて空調機(エアコン)の冷媒として用いた従来の冷媒(代替フロン RA410A)に比べて地球温暖化係数が約 1/3 の冷媒) なお、「カスケードダウン」とは、企業活動において経営層が設定した上位レベルの戦略や目標が、下位レベルの部や課、社員へと細分化されていることであり、筆者は「知財戦略カスケードダウン」を提案しており、本稿では事業と知財とが同時進行で方策を立案する、三位一体の概念の修正も提案しています。 知財戦略カスケードダウンによるオープン・クローズ戦略の実例検討 KSIパートナーズ法律特許事務所 石本貴幸 弁理士 パテント Vol. 76 No. 1 P.120(2023) https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4134 筆者は、事業戦略に基づいて知財戦略を立案する知財戦略カスケードダウンを提案しており、オープン・クローズ戦略の実例を知財戦略カスケードダウンに当てはめることで、事業戦略に基づいて立案される知財戦略を検討した。オープン・クローズ戦略は、技術の普及と独占により自社の利益を拡大するものであるが、実例を知財戦略カスケードダウンに当てはめて各企業の戦略・戦術を検討したところ、オープン・クローズ戦略の成功要因は、自社だけでなく、オープン化した自社開発技術を用いて他社も利益を得る環境作りが必要であるとの結論に至った。他社も利益を得る環境作りは、特許を無償開放すればよいというものではなく、他社が利益を得られるのであれば有償ライセンスでも構わない。そして、オープン・クローズ戦略を成功に導くためには、知財が事業を理解することが必要である。このため、本稿では、三位一体の概念の修正も提案する。 目次 1.知財戦略カスケードダウンの概要 2.オープン・クローズ戦略の実例検討 2.1 QRコード 2.2 CC-Link 2.3 冷媒R32 3.オープン化の成功要因 3.1 実例におけるオープン・クローズ戦略の比較 3.2 他社が利益を得る環境作り 4.まとめ -三位一体の概念図の修正- 知財戦略カスケードダウンと三方一選択 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/3781 (第62回)知財実務オンライン:「知財戦略カスケードダウンと三方一選択」(ゲスト:KSIパートナーズ法律特許事務所 弁理士 石本 貴幸) https://www.youtube.com/watch?v=a8lrb1d3IZQ QRコードの普及から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー https://note.com/trade_secret/n/nc9a26606ecbc アサヒビールの生ジョッキ缶から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー https://note.com/trade_secret/n/n4d83ca4178f6 CC-Linkの普及から考える知財戦略 ー知財戦略カスケードダウンへの当てはめー https://note.com/trade_secret/n/na62e665345e4
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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