製造業においてサービス提供型ビジネスへの移行、いわゆるモノからコトへの移行が拡大していますが、先行研究においては、従来型ビジネスからサービス提供型ビジネスへの移行プロセスに焦点が当てられており、知的財産についての言及は行われていないため、サービス提供型ビジネスを知的財産面から考察、サービス提供型ビジネスの競争優位性をいかに特許で保護するかを研究のテーマとしたということです。そして、従来型の製造業でありながら、スマート農業としてサービス提供型ビジネスへの移行が積極的に進められている農業分野を研究対象分野としています。
リサーチクエスチョン(RQ)としては、下記2つ。 RQ1:『日本の農業機械メーカーが進めているスマート農業の競争優位性は何か?』 RQ2:『スマート農業の競争優位性の源泉をいかに特許で保護しているか?』 『結果、 1)日本の主要農業機械メーカーであるクボタ、ヤンマー、井関農機はスマート農業の構築と拡販を積極的に進めている 2)農業機械メーカーが進めているスマート農業は、一連の農業サイクルをICT・GISを活用して全体を最適化するシステムである 3)3社のうちクボタのスマート農業の競争優位性が高く、特にその源泉はクボタのみが実装している「収穫物の食味のリアルタイムセンシング」であると思われる 4)クボタは「収穫物の食味のリアルタイムセンシング」について、技術特許とビジネスモデル特許からなる特許網を構築することで参入障壁を築き、競合他社が同様の技術を実装することを防いでいることがわかった。』 特許戦略調査として参考になるケースです。 サービス提供型ビジネスの競争優位性とその源泉を保護する特許戦略に関する一考察 栗田工業株式会社 イノベーション本部 IM 部門 知的財産部 松本 克美 会員・金沢工業大学(KIT)大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 加藤 浩一郎 パテント、Vol. 76、No. 1、P. 102(2023) https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4133 目次 1.はじめに 1.1 本論文の背景 1.2 本論文の目的 1.3 先行研究 1.4 リサーチクエスチョン(RQ) RQ1:『日本の農業機械メーカーが進めているスマート農業の競争優位性は何か?』 RQ2:『スマート農業の競争優位性の源泉をいかに特許で保護しているか?』 2.RQ1 の検証 2.1 日本の農業機械市場と主要農業機械メーカー 2.2 クボタの事業動向 2.3 ヤンマーの事業動向 2.4 井関農機の事業動向 2.5 クボタ、ヤンマー、井関農機のスマート農業の比較 2.6 RQ1 のまとめ 3.RQ2 の検証 3.1 サービス提供型ビジネスの特許保護の仮説 3.2 日本の農業機械メーカー 3 社の特許出願動向 3.3 日本の農業機械メーカー 3 社の出願特許の国際特許分類(IPC) 3.4 クボタの競争優位性の源泉である「収穫物の食味のリアルタイムセンシング」に関する特許 3.5 RQ2 のまとめ 4.結論 先進技術で農業の未来へ - スマート農業はクボタ https://agriculture.kubota.co.jp/product/smart-agriculture/index.html 「トラクターだけじゃダメ」 スマートな農業へ、クボタは手を組んだ 聞き手・中村建太2023年3月2日 https://digital.asahi.com/articles/ASR316WZSR2WPLFA001.html 東南ア、スマート農業の波 クボタはアプリを本格展開 2023年1月27日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS2380G0T20C23A1000000/ 「みどりの食料システム戦略」に貢献するクボタのスマート農業技術 2022/12/08 https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/smart/attach/pdf/forum2022-16.pdf クボタがテスラ創業者と進める「農業AI化」の正体 果樹園を「スマート化」、深刻な人手不足を解消 2022/07/11 https://toyokeizai.net/articles/-/602023?page=4 クボタのスマート農業 22/5/2021 https://yorozuipsc.com/blog/2652516 クボタの営農支援システム・農業用途の IOT 関連技術特許 24/2/2021 https://yorozuipsc.com/blog/-iot
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著者萬秀憲 アーカイブ
January 2025
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