権利者が分からない著作物の二次利用を促すための著作権法改正案が閣議決定されました。利用希望者からの相談や申請を受ける窓口組織を置き、一定額の補償金を支払うことで二次利用をできる新制度が2026年度までに施行される見通しということです。
二次利用が活発になることでコンテンツ産業が発展することを期待します。 過去の放送番組やアマチュア音楽など二次利用容易に…権利者不明でも「窓口」に補償金支払いで 2023/03/10 https://www.yomiuri.co.jp/culture/20230310-OYT1T50104/ 権利者不明作品の活用促進へ 著作権法改正案を閣議決定 2023/3/10 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE09AM70Z00C23A3000000/ 著作権法改正案を閣議決定 一元窓口創設や賠償算定見直し 2023年03月10日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023031000291&g=soc 著作権法の一部を改正する法律案の概要 https://www.mext.go.jp/content/230308-mxt_hourei-000028109_1.pdf 改正の趣旨 著作物等の公正な利用を図るとともに著作権等の適切な保護に資するため、①著作物等の利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない場合の著作物等の利用に関する裁定制度を創設する等の措置、②立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合等に著作物等の公衆送信等を可能とする措置及び③著作権等の侵害に対する損害賠償額の算定の合理化を図る措置について定める。 改正の概要 1.著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設等 ① 利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない著作物等の利用円滑化 ・未管理公表著作物等(集中管理がされておらず、利用の可否に係る著作権者等の意思を円滑に確認できる情報が公表されていない著作物等)を利用しようとする者は、著作権者等の意思を確認するための措置をとったにもかかわらず、確認ができない場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することにより、裁定において定める期間に限り、当該未管理公表著作物等を利用することができることとする。 ・文化庁長官は、著作権者等からの請求により、当該裁定を取り消すことで、取消し後は本制度による利用ができないこととし、著作権者等は補償金を受け取ることができることとする。 ② 窓口組織(民間機関)による新たな制度等の事務の実施による手続の簡素化 ・迅速な著作物等利用を可能とするため、新たな裁定制度の申請受付、要件確認及び補償金の額の決定に関する事務の一部について、文化庁長官の登録を受けた窓口組織(民間機関)が行うことができることとする。 ・新たな制度及び現行裁定制度の補償金について、文化庁長官の指定を受けた補償金等の管理機関への支払を行うことができることとし、供託手続を不要とする。 2.立法・行政における著作物等の公衆送信等を可能とする措置 ① 立法又は行政の内部資料についてのクラウド利用等の公衆送信等 ・立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、必要な限度において、内部資料の利用者間に限って著作物等を公衆送信等できることとする。 ② 特許審査等の行政手続等のための公衆送信等 ・特許審査等の行政手続・行政審判手続※について、デジタル化に対応し、必要と認められる限度において、著作物等を公衆送信等できることとする。 ※裁判手続についても、裁判手続のIT化のための各種制度改正に併せて、著作物等を公衆送信等できるよう規定の整備を行う(民訴手続については令和4年民事訴訟法等の一部改正法により措置済み) 3.海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直し ① 侵害品の譲渡等数量に基づく算定に係るライセンス料相当額の認定 ・侵害者の売上げ等の数量が、権利者の販売等の能力を超える場合等であっても、ライセンス機会喪失による逸失利益の損害額の認定を可能とする。 ② ライセンス料相当額の考慮要素の明確化 ・損害額として認定されるライセンス料相当額の算定に当たり、著作権侵害があったことを前提に交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記する。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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