10月26日に開催された「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第6回)」では、「企業価値の向上/ESG投資を促す無形資産可視化とは?」(アスタミューゼ株式会社 永井社長)がプレゼンされました。
「企業価値における無形資産割合増加とCGC改定により、無形資産/知的財産評価に取り組む企業は増え、投資家も注目」「但し知財評価/開示する事は、ネガティブスクリーニングされないための前提であり、開示したからといって高い企業価値が認められるとも限らない」「今までの知財投資/評価は、下記の課題がある事が多く、結果的には既に知財評価・開示している会社も、企業価値・株価は低調な事も多いと安易な情報開示は逆効果になりかねない」ので、従来とは違った価値評価の必要性とその考え方を説明しています。 従来にない視点からの話も多く参考になりました。 企業価値の向上/ESG投資を促す無形資産可視化とは? https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai6/siryou4.pdf 1. アスタミューゼ会社紹介 2. 企業価値と無形資産 企業価値における無形資産割合増加とCGC改定により、無形資産/知的財産評価に取り組む企業は増え、投資家も注目 但し知財評価/開示する事は、ネガティブスクリーニングされないための前提であり、開示したからといって高い企業価値が認められるとも限らない 今までの知財投資/評価は、下記の課題がある事が多く、結果的には既に知財評価・開示している会社も、企業価値・株価は低調な事も多い 特許の資産価値算定方法としてはどれも短所が目立ってしまい納得感が無い割に、算定に手間がかかる 各企業の全技術をまとめて定量的に評価した場合、横比較は可能だが各事業のKSF・戦い方との各技術群の相関がわかりづらく評価しづらい バリューチェーン×技術特性別に評価した場合、事業におけるKSFが全て技術資産という違和感と投資家からは細かすぎで定性的すぎる 企業価値に影響を与える非財務(情報)を全体を広義の無形資産と捉え各無形資産を別々に評価する アスタミューゼの【無形資産/非財務情報可視化フレームワーク】は演繹・回帰の両方向から、企業価値と無形資産の因果・相関を可視化 当社では企業価値向上の源泉となる稼ぎ方(ビジネスモデル)を体系化しあらゆる事業に対応すべく9つの大分類に整理 事業毎に客観的に稼ぎ方(ビジネスモデル)を整理した上で、時間軸事にKSF及びKSF充足のドライバーとなる無形資産について整理 例えば、自社の脱炭素関連事業において如何に稼ぐ力を有しているかを可視化する時は下記のような整理を実施しドライバーとなる資本を判別 技術的インパクトの評価ではなく、客観性と網羅性を担保した定量的なスコアリングの形で、技術の経済的インパクトを測る事が重要 企業規模別に見ると、総合大手の場合、売上高に占める研究開発投資額と領域によって1件の特許価値(収益/KSFへのインパクト)は全く異なるニッチトップ企業の場合、特定領域の独占排他を如何に行うかで総合大手とは異なる傾向 大企業の場合、特許以外の要素の影響も大きく、且つ特許については広範な技術群/特許ポートフォリオによる独占排他力での戦い方が中心 ニッチトップゆえ、特許の重要性が高まり、特に基幹技術+複数の周辺用途技術群による独占排他力がより有効となる WO・日本・米国・欧州、各特許庁に出願された特許を対象に定量的な指標を用い、保有技術/特許の競争優位性を分析・評価 各国の特許の権利の大きさではなく、経済的インパクトを評価するため各国のGDPと該当領域における損害賠償額の値で重み付け 世界インデックス(MSCI ACWI)に対してパテントインパクトスコアを使ったポートフォリオの超過収益は6%超(年率) アスタミューゼの【無形資産/非財務情報可視化フレームワーク】は演繹・回帰の両方向から、企業価値と無形資産の因果・相関を可視化 対象企業群における、各種資本とPBR/ROEとの相関分析を踏まえ、企業価値可視化および向上に向けてより重点的に注目すべき資本を特定 対象企業群の経年での業績や各種財務分析指標を目的変数、各種資本スコアを説明変数として回帰分析を実施 企業価値(PBR-1)に対する無形資産/各種非財務資本の説明力は業界ごとに異なる 重要性が高い無形資産は時系列変化し、 製薬業界では中長期的に知的資本の重要性が増す。他方、自動車業界では自然資本1)の重要性が高い 3. ESG投資と無形資産 ESG投資は現時点で3000兆円超とも言われ、今後は日本でも普及し、ESG 投資という言葉が無くなるぐらい一般化するものと思われる ESG情報と非財務情報(無形資産投資)は重なる部分も大きくESG活動は無形資産への投資活動によって説明が可能 ESG対応する事は、ネガティブスクリーニングされないための条件であり、ESG対応≒企業価値・株価向上するとも限らない ESGはダイベストメント(投資撤退)には利用されているものの、下記の課題があり企業価値向上については現時点では、否定的な投資家も多い 単にSDGs・ESG活動に取り組むだけではなく、経済・環境・ステークホルダーへの観点から定量的に優先順位を決めて取り組む必要がある 各社会課題/ESGテーマに対して、各業界におけるマテリアリティ評価をする事で企業価値向上に資するESG活動が行える GRIが定めるマテリアリティの評価軸にも沿う形で、社会課題の重要度を客観的に評価。各企業のマテリアリティ検討の土台として役立てる 当社独自に整理した社会課題定義(技術との対応関係の整理済み)を評価するに当たって、大きく3つのパラメータを設定 具体的には以下の構成要素の積算により算出。その上でSASBのMaterialityMapとの相関度も織り込んで、スコア化 さらに、産業毎に異なるステークホルダーへの影響度も織り込むことで、業界毎のマテリアリティスコアを作成 マテリアリティスコア活用により、自社が取組むべき課題の初期的なスクリーニング/優先順位付けが可能に マテリアルな社会課題をに対して、具体的に自社の事業・技術の対応関係を明らかにするためにもブレイクダウンが必要 前述の無形資産評価方法にもあったように、例えばCCS/CCUは、少数のコア特許と多数のポートフォリオでブロックする両面から評価する 脱炭素アプローチの小分類毎に関連社会課題の紐づけを踏まえて、産業毎に有望企業をランキング 自社業界のマテリアリティが高い課題(ex.脱炭素など)に対して、自社技術資産の競争力があるかどうかを相対的に評価 排出量取引価格を考慮した上でGHG排出削減貢献額(脱炭素による経済機会の総量)を算出し、技術資本スコアで分配し各社の企業価値に組込む ESG×無形資産(グロース投資の源泉)の分析が可能な事により、他社が提供しえないパフォーマンスが出やすいESGの機会探索が可能に
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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