Japio YEAR BOOK 2021に、特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)に関する2つの論説が掲載されていました。「特許審査ハイウェイのこれまでとこれから」(特許庁 審査第一部調整課審査企画班長 稲垣 良一 氏)と「日印特許審査ハイウェイの現状」(アジア特許情報研究会/アイ・ピー・ファイン株式会社 中西 昌弘 氏)です。
特許審査ハイウェイは、各特許庁間の取り決めに基づき、第1庁(先行庁)で特許可能と判断された発明を有する出願について、出願人の申請により、第2庁(後続庁)において簡易な手続で早期審査が受けられるようにする枠組みで、いくつかの特許審査ハイウェイ(試行)プログラムでは、特許可能性が示されたものであれば、特定の国際調査機関が作成した見解書(WO/ISA)や特定の国際予備審査機関が作成した見解書(WO/IPEA)又は国際予備審査報告(IPER)に基づいて、知財庁に早期審査を申請することも可能(PCT-PPH)となっています。 PPHは、出願人の海外での早期権利化を容易とすると共に、各特許庁にとっては第1庁(先行庁)の先行技術調査と審査結果の利用性を向上し、審査の負担を軽減し質の向上を図ることを目的としていますが、出願人にとってのメリットは、早期審査の手続きが簡素化、オフィスアクション回数の減少による審査期間の短縮と応答コストの軽減、特許査定率の向上になります。 早期審査及び審査期間の短縮、オフィスアクション回数の減少、特許査定率の向上の効果については、特許庁のPPHポータルサイト(統計情報ページ)に掲載されており、「海外庁における特許審査ハイウェイの実効性に関する調査研究報告書」(平成31 年3 月 一般社団法人 日本国際知的財産保護協会 AIPPI・JAPAN)にも報告されており、一定の効果が確認されていますが、ほとんど効果なしという声も聞きます。 Japio YEAR BOOK 2021に掲載されていた2つの論説は、PPHが会誌されてから15年、様々な課題を抱えながらも着実に発展していることを示しています。出願人の立場としては、そのメリットを最大限生かすとともに、デメリットをしっかり認識したうえで、選択する制度だろうと思っています。 特許審査ハイウェイのこれまでとこれから 特許庁 審査第一部調整課審査企画班長 稲垣 良一 氏 日印特許審査ハイウェイの現状 アジア特許情報研究会/アイ・ピー・ファイン株式会社 中西 昌弘 氏 https://japio.or.jp/00yearbook/yearbook2021.html 特許審査ハイウェイ(PPH)について https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/index.html PPHポータル https://www.jpo.go.jp/toppage/pph-portal-j/ 海外庁における特許審査ハイウェイの実効性に関する調査研究報告書 https://www.globalipdb.inpit.go.jp/jpowp/wp-content/uploads/2020/02/015f4d7d3b1c33a5ebc0d55d56fe5663.pdf
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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