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パナソニックホールディングスは、9月12日に、社外に向けて自社の知的財産を分かりやすく発信するウェブサイト「技術インデックス」を立ち上げましたが、知財を参入障壁とするだけでなく、他社との共創を生み出す「無形資産」として位置付け、社内外にアピールして新事業創出につなげる取り組みとして注目されています。
「パナソニック知財のパーパス」では、「無形資産を巡らし、価値に変えて、世界を幸せにする」ということで、
知的財産を起点とした共創により、社会課題をトリガーに世の中の課題を解決しようとする姿勢が示されているようです。 パナソニックHD、知的財産を参入障壁から共創の資産へ 2023年10月11日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC031H00T01C23A0000000/ 特許は参入障壁から共創の道具へ、知財起点で事業創出に挑むパナソニック 2023.09.28 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08446/ 統合報告書2023 パナソニックグループ https://holdings.panasonic/jp/corporate/investors/pdf/annual/2023/pana_ar2023j_a4.pdf パナソニック知的財産部門ウェブサイト https://holdings.panasonic/jp/corporate/about/intellectual-property.html サステナビリティデータブック2023「知的財産」 https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/pdf/sdb2023j-intellectual.pdf 知的財産権の排他性を利用した価値共創 ―協調・共創領域での知的財産権の役割の変容と新たな変容の予感― https://www.inpit.go.jp/content/100878646.pdf パナソニック自社保有知財情報検索サイトを外部公開 13/9/2023 https://yorozuipsc.com/blog/8682849
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テレビ東京の番組「円卓コンフィデンシャル〜他社との遭遇〜」で、「知財部のすべて…パクリからアイデアを守る最前線!」では、小林製薬の鈴川啓輔氏、貝印の地曵慶一氏、知財図鑑の出村光世氏、弁理士の永沼よう子氏が議論されました。
最も興味ある話は、テレ東BIZでしか見られないですが、放映された部分は期限付きで無料でみることができます。 テレビ東京番組「円卓コンフィデンシャル〜他社との遭遇〜」 知財部のすべて…パクリからアイデアを守る最前線! テレビ東京 約25分 2023年10月8日(日) 07時00分~07時30分放送分 配信終了10月15日7時29分まで https://video.tv-tokyo.co.jp/confidential/episode/00102165.html 企業の知的財産を取り扱う「知財部」の全貌!パクリとの闘いからアイデアの積極活用まで。差別化、ブランド化、オープンイノベーション…知財戦略の最前線に迫る! 誰もが知る企業の人事と商品開発の担当者が集結!仕事の「やりがい」から「失敗談」まで本音で語り合う。人事のリアルから、あのヒット商品誕生の裏側まで、熱いトークが! 出演者 伊沢拓司 児嶋一哉(アンジャッシュ) 池谷亨(テレビ東京チーフコメンテーター) 鈴川啓輔(小林製薬) 地曵慶一(貝印) 出村光世(知財図鑑) 永沼よう子(弁理士) TechnoProducerのテーマ別 深掘りコラム「事業成功を支える企業知財部の仕事とは? ~考え方と三菱電機・レゾナック・村田製作所の成功事例を紹介」では、キヤノンで40年にわたり知財担当を務めた丸島儀一氏の著書『知的財産戦略』を参考にしながら、事業成功を支える企業知財部の仕事の考え方と、オープンイノベーションに知財を活用する三菱電機のOpen Technology Bank、新事業創出を支援するレゾナック(旧 昭和電工)の知的財産部、M&Aの判断に特許情報を活用する村田製作所の成功事例が簡潔に紹介されています。
事業成功を支える企業知財部の仕事とは? ~考え方と三菱電機・レゾナック・村田製作所の成功事例を紹介 2023.10.6 https://www.techno-producer.com/column/company-ip-department/ 三菱電機グループの知的財産活動 https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/chiteki/hoshin/index.html 特許資産規模ランキング1位の三菱電機“驚き”の知財戦略 5/9/2023 https://yorozuipsc.com/blog/18628334 Resonacの知的財産戦略 https://www.resonac.com/jp/rd/ip レゾナックのインテリジェンス活動 31/8/2023 https://yorozuipsc.com/blog/5404295 PATENTSIGHT SUMMIT 2023の講演レポートが公開(日東電工、日立製作所、明治HD、レゾナック) 24/8/2023 https://yorozuipsc.com/blog/patentsight-summit-2023hd 2023年6月7日に 村田製作所 知的財産に対する取り組み https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/governance/ip 日経ビジネス 知財経営ランキング 特許で攻める村田製作所 14/7/2023 https://yorozuipsc.com/blog/1723558 村田製作所の事業拡大を支える知財部門 13/7/2022 https://yorozuipsc.com/blog/1187685 株式会社村田製作所の知財活動(PATENTSIGHT SUMMIT 2022) 5/6/2022 https://yorozuipsc.com/blog/patentsight-summit-20223711624 「AI時代の知的財産権検討会」委員一覧、10月4日に行われたAI時代の知的財産権検討会(第1回)の議事次第、配布資料が公開されていました。
参考資料1-3もよくまとめられていて参考になります。 今後の検討スケジュールは、下記の通りで、 第2回(2023年10月18日)・関係事業者ヒアリング 第3回(2023年11月7日)・関係省庁ヒアリング(文化庁・特許庁)・議論 第4回(2023年12月11日)・議論 ※(可能であれば)「論点整理」 ※ 2024年1月以降も、検討継続 10月5日から始まった「AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集」が11 月5日(日) まで約1か月の期間が設定されており、それらも踏まえて、年内の論点整理めざすということです。 「AI時代の知的財産権検討会」委員一覧 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/kaisai/meibo.pdf AI時代の知的財産権検討会(第1回)の議事次第 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/gijisidai/index.html 令和5年10月4日(水)17:00 ~ 19:00 1. 開 会 2.議 事 (1)本検討会の開催趣旨・背景 (2)本検討会において検討すべき課題について 3.閉 会 配付資料 資料1 「AI時代の知的財産権検討会」の開催について 資料2 本検討会の開催趣旨・背景 資料3 本検討会において検討すべき課題について 参考資料1 知的財産推進計画2023(抜粋) 参考資料2 新しい情報財検討委員会報告書 参考資料3 生成AIに関するクリエイターや著作権者等の主な御意見 AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集について https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/ikenbosyu_20231005.pdf 生成AIによる知的財産権の侵害防止策 年内にも具体化へ 政府 2023年10月10日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231010/k10014220131000.html 第1回AI時代の知的財産権検討会と意見募集 6/10/2023 https://yorozuipsc.com/blog/1ai 知財実務情報Lab. 専門家チームの田村良介弁理士(ライトハウス国際特許事務所)の「要素の組み合わせと、発明の捉え方」で、アイデアをつくりだすための原理と方法について書かれたジェームス・W・ヤング著「アイデアのつくり方」が紹介されていました。
この本には、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と書かれており、アイデアを作る方法(5つのステップ)「ステップ1.データを集めよう!ステップ2:データを噛み砕こう!ステップ3:データを組合せようステップ4:アイデア発見!ステップ5:アイデアを改善しよう!」が実務的には参考になります。 田村良介弁理士(の「要素の組み合わせと、発明の捉え方」も、この考え方をベースにしており、非常に参考になります。 要素の組み合わせと、発明の捉え方 2023.10.10 https://chizai-jj-lab.com/2023/10/10/1010/ アイデアのつくり方 単行本 – 1988/4/8 ジェームス W.ヤング (著), 竹内 均 (解説), 今井 茂雄 (翻訳) https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%96%B9-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9-W-%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/4484881047/ref=sr_1_1?adgrpid=73553177701&hvadid=651269503848&hvdev=c&hvlocphy=1009198&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=11182258253113267334&hvtargid=kwd-367680747973&hydadcr=14088_13515317&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2+%E3%81%AE+%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A+%E6%96%B9&qid=1696893403&sr=8-1 【要約】アイデアのつくり方(ジェームス・W・ヤング) https://www.asobide.com/producing-ideas/#%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%83%BB%E5%8E%9F%E5%89%87 もくじ(CONTENTS) 数あるアイデア発想法書籍の原点 著者:ジェーム・W・ヤングについて 文体・事例は古くても、内容は今も色褪せず! アイデアマンになるには… アイデア作りの原理・原則 原理1:アイデアとは何か 原理2:アイデアを生み出す才能とは アイデアを作る方法(5つのステップ) ステップ1.データを集めよう! ステップ2:データを噛み砕こう! ステップ3:データを組合せよう ステップ4:アイデア発見! ステップ5:アイデアを改善しよう! まとめ サンリオは、ハローキティをはじめとする多数のキャラクターを持つ知的財産ビジネスを世界で展開するグローバル・エンターテイメント企業で、実行力・機動力の高い組織を目指し、組織風土改革、国内外の構造改革の完遂、再成長の種まきを三本柱とした新たな中期経営計画を策定して取組を進めています。
23年3月期の決算発表では10年後をめどに時価総額1兆円、営業利益500億円という長期目標を掲げており、ファンの声を反映しながら育てる「自由」なキャラ展開が共感を集めていて、これがサンリオ独自のIP(知的財産)戦略ということです。 サンリオ「自由なIP」共感 キャラ450超、ファンが育成 2023年10月9日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC253SA0V20C23A9000000/ パリ五輪にキティが“参戦”するかも? 平野美宇や西矢椛もサポート、「カワイイ×スポーツ」の意外な相乗効果 2023年10月6日 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1886010 「“映え”だけじゃダメだ!」ブームのコラボカフェ、最後発サンリオカフェのガチすぎる“おじさん社員”の汗と涙「正気を疑われたことも」 2023年9月11日 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1220739 入場者1人あたり3000円の赤字…サンリオが大赤字事業「ピューロランド」を32年間も続けている理由 2023/03/31 https://president.jp/articles/-/67879 なぜ、サンリオは根強いファンが多い?脳科学で解明されつつある「優良顧客」が集まる理由 2023/01/19 https://www.sbbit.jp/article/cont1/101973 「他社情報や市場環境を逐一チェックできるようになり、株主の動向をウォッチするIR業務のためには欠かせません」エンターテイメント企業のIR部門における活用 株式会社サンリオ https://jp.ub-speeda.com/customers/sanrio/ 中外製薬は、経済産業省、東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」において、「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されるなど、DX先進企業として知られていますが、9月29日、DXの取り組みに関する説明会を実施し、生成AI(人工知能)活用の現状や今後の見通しについても明らかにしました。
中外製薬では2030年までに「ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることを掲げており、DXによる成長戦略「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を策定し、実現に向けた取り組みを進めています。高度化した個別化医療サービスなど革新的なサービスの提供や、R&Dプロセスの変革によるアウトプット増大、業務自動化による生産性向上、デジタル基盤の強化などに取り組んでいて、生成AIに関する取り組みもこうしたDX戦略の一環として展開しています。 中外製薬では、マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」を使ってChatGPTの利用環境を構築して、2023年5月にPoC(概念実証)を開始、①知財・著作権侵害、②個人情報・機密データの漏洩、③信憑性の欠如、④偏ったアウトプット、⑤目的外利用、⑥シャドーAI-の6項目のChatGPT活用で生じ得るリスクへの対策を盛り込んだルールを定め、2023年8月から全社展開を開始しています。 初期のユースケースでは、論文取得とアブストラクトの要約で研究者の業務効率がかなり上がることが確認されており、アンケート集計や定性的評価など従来ヒトの眼で行っていた作業でも業務効率がかなり上がっているとのことです。 ただ、他企業でも比較的取り組みやすいこれらの業務効率化などの取り組みは、自社独自の競争力を必ずしも高められるわけではないため、これらに加えて、各部門が持つ社内データとChatGPTを連携させることで、「SOP(標準作業手順書)検索」「システムや機器、ソフトウェアの利用方法確認」「問い合わせ対応」「社内外説明資料/教育資料のドラフト作成」などが実現できる可能性があり、特にR&D領域での活用を念頭に置きつつ、「独自の競争力を高めるため、将来的にはデータに基づくインサイトの抽出や意思決定支援などに生成AIを用いたい」と意気込みを見せています。 R&D領域での想定活用事例として、研究者の過去知見を再利用できる仕組みづくりや、基礎研究の成果を実用化につなげる橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)、治験実施計画書の作成、医薬品製造や開発のプロセスであるCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)業務の支援などを挙げています。 R&D領域での成果が期待されます。 「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」において「DXプラチナ企業2023-2025」に選定 中外製薬HP 2023年6月1日 https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230601113000_1303.html 中外製薬 DX説明会 2023年09月29日 (金) https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/presentations.html 内容: CHUGAI DIGITALの進捗 上席執行役員 デジタルトランスフォーメーションユニット長 志済 聡子 デジタル基盤強化に向けた3つの取り組み ITソリューション部長 小原 圭介 デジタル戦略推進部長 金谷 和充 インサイトビジネスの取り組み 科学技術情報部長 石井 暢也 中外製薬 DX説明会 資料 https://www.chugai-pharm.co.jp/cont_file_dl.php?f=FILE_1_143.pdf&src=[%0],[%1]&rep=117,143 説明会スクリプト(質疑含む) https://www.chugai-pharm.co.jp/cont_file_dl.php?f=FILE_2_143.pdf&src=[%0],[%1]&rep=117,143 説明会動画配信(質疑含む) https://congre-gc.qumucloud.com/view/MKG2wRcyeOwrauvH1ihqP9 生成AIで独自の価値創出を、中外製薬が狙うR&Dプロセスの革新 10/6(金) https://news.yahoo.co.jp/articles/2fdf9e2c230c7b601e84d865b183ef1b7e515280 中外製薬 「中外版ChatGPT」全社利用を開始 初期は論文要約 社内データ分析から”打ち手“立案に期待 公開日時 2023/10/02 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75422 中外製薬が全社で生成AIを活用、創薬への応用目指し社内事例積み重ねる 2023.09.29 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/16014/ 1.特許の調査はいつすべきか?
「研究開発がある程度進んでから特許について考え始めその段階で特許調査をする。」という企業が多いことにびっくりします。こういうやり方では、他社特許があって仕様変更しなければいけなくなったり、思い通りの特許が取れなくなってしまうことが多いことは明らかなのですが、様々な事情からそうなってしまっているということのようです。 「テーマ立案時に知財を調べ、他社特許に抵触せずに知財が取れるやり方を選ぶ」ことが原則で、テーマ着手決裁時に特許調査報告を義務付けている企業も少なくありません。最近では、特許などの知的財産がR&D、事業、経営の中心に置かれ、テーマ着手前のテーマの企画段階でIPランドスケープを実施している企業が増えています。 そして、「IPランドスケープの結果を基にテーマを立案し、その段階で、クレームや明細書に記載する主な事項を書きだして、明細書の空白を埋めるように実験をする。」ということができればさらに良いでしょう。 さらに、「自社技術の確実な保護だけでなく、自社のこの開発商品・開発技術が世の中に出たら他社はどう出てくるかを考え、他社のやりそうな方法も特許を押さえる」ことまで、テーマ立案の段階で考えていれば、万全でしょう。 2.特許の調査は誰がすべきか? 企業において、特許調査を誰が行うべきかという問いには、一概に答えることができません。 特許調査の目的や種類、規模や予算などによって、最適な方法は異なるからです。実際に、研究開発担当者(発明者)がすべて行う企業と、特許調査専門の担当者や外部の専門家がすべて行う企業、その中間のやり方の企業と様々です。 一般的に言えることは、特許調査は研究開発担当者(発明者)と特許調査専門の担当者や外部の専門家との協力が必要ということです。 研究開発担当者(発明者)が自分の発明に関する基本的な先行技術調査を行うことを習慣化することは、自分の発明が世の中でどのような位置にあるのか把握し、他社にない優れた技術・商品を生み出すのにとても大切です。 ここでいう基本的な先行技術調査とは、自分の発明と同じ分野や技術領域の既存の特許文献や非特許文献を検索し、自分の発明の新規性や進歩性を確認することで、先行技術調査は、インターネット上で無料で利用できる特許データベースや検索エンジン、AIを用いた有料データベースなどを活用して、複雑な検索式を用いることなく行うことができます。 研究開発担当者(発明者)は、自分の発明に関する技術的な知識や背景を持っていますが、特許調査の方法やツールに精通しているとは限りません。また、特許調査に時間を割くことで、研究開発に集中できなくなる可能性もあります。そのため、研究開発担当者(発明者)は、自分の発明の概要や目的を明確にし、必要最低限の先行技術調査を行う程度に留めることが望ましいという考え方もあります。 自分の発明に関して、自分の発明と同じ分野や技術領域の他社の技術動向や知財戦略を把握し、自分の発明の価値や競争力を評価するような詳細な特許調査を必要とする場合は、特許調査専門の担当者や外部の専門家に依頼するやり方の方もあります。 研究開発担当者(発明者)と特許調査専門の担当者や外部の専門家とが連携して特許調査を行うことで、より効率的かつ効果的な特許調査が実現できます。 知財管理61巻(2011年) 7号 1041頁 特許調査担当のあり方に関する調査と提言 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=76be1f1f471ad06ecd3979a8576f5ea8 著者 知的財産情報検索委員会第4小委員会 抄録 事業戦略、研究開発戦略と三位一体となった知的財産戦略を遂行する上で特許情報はその基盤となる重要なものである。日々の知財業務においてその特許情報の創出を担っているのが特許調査担当である。近年、特許調査を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、そのような状況における今後の特許調査担当のあり方について調査し、考察した。本論説では、各企業における特許調査担当の実態および特許調査業務に対する意識を明らかにするとともに、特許情報の受け手である研究開発部門、マネジメント層(経営層)の認識と対比し、これからの特許調査担当に求められる事項を整理し、今後のあり方を提言する。 10月5日に配信された第163回知財実務オンライン:「特許で競争優位は築けない? 企業の技術力を支える知財ポートフォリオ戦略」(セイコーエプソン 小嶋輝人氏)をアーカイブ動画(約1時間47分)で視聴しました。
1件の特許ではなく15~25件の特許ポートフォリオ戦略で競争優位を築くことの重要性、「出願先行・活用戦略後付け」の問題=「日本企業の知財組織の抱えている問題点は、出願という重要なインプット活動が無計画に行われているという構造的課題にある。」ということなど、わかりやすく話されていました。 あくまで資金力のある大企業の知財戦略であることは理解しておく必要がありますが。 (第163回)知財実務オンライン:「特許で競争優位は築けない? 企業の技術力を支える知財ポートフォリオ戦略」(ゲスト:セイコーエプソン株式会社 VP事業戦略推進部エキスパート(元知的財産本部 特許技術部長)小嶋 輝人) 2023/10/05 にライブ配信 https://www.youtube.com/watch?v=0vM5-mX4w84 目次 ポートフォリオ戦略 1.BP活動と特許クラスター 2.特許ステータスマップと特許戦略 3.プロダクトライフサイクルに応じたポートフォリオ管理 IPL・組織 4.市場動向予想とIPランドスケープ 5.経営と知財 6.中小企業と知財活動 セイコーエプソン執行役員が語る、企業価値向上に貢献する知的財産本部の挑戦 イノベーションを促進し未来を創る、知的財産活動のあり方とは 小林 利彦 – 2023.9.13 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76778 企業価値の持続的成長を支援する、セイコーエプソン 知的財産本部の取り組み https://jbpress.ismedia.jp/ts/seminar/legal/document/kobayashi.pdf セイコーエプソン統合報告書2023 価値創造基盤 P.47-48 知的財産戦略 https://corporate.epson/ja/investors/publications/pdf/integrated_report/epson_ir2023_07_j.pdf セイコーエプソンのPROACTIVEな知財活動 26/9/2020 https://yorozuipsc.com/blog/proactive 日経クロストレンドの記事『生成AIを「業務で日常利用」は2割に到達 活用フェーズ突入へ』(2023年10月06日)で、エクサウィザーズが、「ChatGPT」など生成AIの利用状況(業務に取り入れて実際に活用しているかどうか)を、レベル1(関心なし)、レベル2(関心はある)、レベル3(試しに利用)、レベル4(時々使用)、レベル5(日常的に使用)の5段階に分類して、22年4月末に続いて8月末に実施した調査した結果が掲載されています。
『レベル5の「業務に取り入れて日常的に使用している」が全体の約20%と前回の23年4月末の約7%から大幅に増えた。レベル4の「時々使用している」を合わせると約6割と、前回の3割強と比べて、活用に乗り出した層が大幅に増えている。一方でレベル1とレベル2を合わせた「試していない」層は1割弱と、前回の2割強から大幅に減っている。今回の結果から4割を占めるボリュームゾーンがレベル3「試しに利用」からレベル4「時々使用」に移った。』 『「生成系AIの進展とビジネス活用の要点 ―経営者にとって必要な情報を1時間で整理―」のセミナーに参加した368社、518名を対象に実施しました。』ということなので、数字は高めに出ていると思われますが、使用が大幅に拡大してきているということは間違いなさそうです。 生成AIを「業務で日常利用」は2割に到達 活用フェーズ突入へ 2023年10月06日 https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/02322/?n_cid=nbpnxr_mled_feature_02 2023.09.07リリース ChatGPTなど生成AIを「業務で日常使用」は2割、4カ月で13ポイント増、全社導入で利用が定着〜金融・公共・医薬・小売で積極活用進む、当社経団連後援セミナー368社518名アンケート〜 https://exawizards.com/archives/25353/ 令和4年(行ケ)第10064号「微細結晶」事件(令和5年7月13日判決)は、進歩性の判断で、阻害要因が認められているものと理解できます。
『 a 本件発明1と甲1結晶発明を対比すると、両者は、「化合物1の結晶」という点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は、平均粒径が0.5~20μmの微細結晶であると特定しているのに対して、甲1結晶発明は、平均粒径及び微細結晶であることの特定がない点 (相違点2)本件発明1は、結晶化度が40%以上であると特定しているのに対して、甲1結晶発明は、結晶化度の特定がない点 』 相違点1も相違点2も、それぞれ単独だと組み合わせる動機付けもあると考えられますが、相違点1の課題(溶解性)と、相違点2の課題(安定性)を考えたとき、溶解性を追求するとの観点から溶解性を高めるための周知技術(結晶の粒子径を小さくする)を採用し、かつ、安定性を追求するとの観点から溶解性を低下させる結果となり得る周知技術(結晶の結晶化度を大きくするとの周知技術)をあえて採用することが容易に想到し得たこととは認められませんでした。 周知技術の組み合わせを阻害する要因で進歩性が肯定されたわかりやすい事例といえるでしょう。 令和4年(行ケ)第10064号 審決取消請求事件 判 決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/206/092206_hanrei.pdf 令和4年(行ケ)第10064号 「微細結晶」事件 https://unius-pa.com/wp/wp-content/uploads/2023/10/R4_gyouke_10064.pdf 令和4年(行ケ)第10064号「微細結晶」(知的財産高等裁判所 令和5年7月13日) https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-10-04-6282 2023.07.13 「共和薬品工業・日医工 v. 協和キリン」 知財高裁令和4年(行ケ)10064 - イストラデフィリンの結晶発明 溶解性と安定性のトレードオフ(阻害要因)により進歩性が肯定された事例 - https://www.tokkyoteki.com/2023/07/2023-07-13-r4-gyo-ke-10064.html 知財高裁令和4(行ケ)10064号(令和5年7月13日判決) https://iwanagalaw.livedoor.blog/archives/21379124.html 安高史朗の知財解説チャンネル 今月の進歩性 202307 ②令和4(行ケ)10064 審決取消請求事件(約24分) https://www.youtube.com/watch?v=61NDUgN_b9M 【コメント】 相違点1,2に係る本件発明の課題および解決手段はいずれも周知であると認定されているので、相違点1,2を個別に検討すると、一見設計事項(数値範囲の好適化・最適化)のようにも思える。 しかしながら、各課題を解決する周知の手段が複数存在すること、および「非晶質の薬物の方が一般に溶解性が高い」という技術常識Aが認定された結果、相違点1の課題(溶解性の向上)に悪影響を及ぼしかねない相違点2の解決手段(結晶化度を大きくする)をあえて採用することの容易想到性が否定された。 「他の解決手段が周知であった」ことから、あえて本件発明の解決手段を選択することが容易ではなかった(普通であれば他の周知の手段を採用するだろう)と判断されたのは興味深い。 また、結晶粒径を小さくするとかえって溶解性が低下し得るという技術常識Bも認定され、これらの技術常識A,Bに反して良好な溶解性および分散性を示したことが本件実施例で示されたことから、優先日当時に予測し得なかった効果があると認められた。 特許4606326 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2005-506044/103E212CA3FA86462F7D5ECCF70F39CB46DE1ECB5E667A8B2D5C0482A51C20B4/10/ja 知財管理66巻(2016年) 9号 1119頁 特許の進歩性判断における阻害要因主張の留意点─2種類の阻害要因─ http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=5f11091a86fd086871a3c21bc35be383 抄録 特許の進歩性判断における阻害要因について、審査基準では、「副引用発明を主引用発明に適用することを阻害する事情があることは、論理付けを妨げる要因(阻害要因)として、進歩性が肯定される方向に働く要素となる。」とされ、4類型に分けて具体例と共に説明されている。そして、「刊行物等の中に、請求項に係る発明を容易に想到することを妨げるほどの記載があれば、そのような刊行物等に記載された発明は、引用発明としての適格性を欠く。」とし、引用発明としての適格性欠如による阻害要因が説明されている。近年の裁判例を確認したところ、阻害要因ありと判断された裁判例の半数以上は、審査基準で具体例を用いずに示された「請求項に係る発明に容易に想到することを妨げるほどの記載」に基づく阻害要因であった。これを踏まえ、本稿では、適切な阻害要因主張について提言する。 近年の裁判例における阻害要因の分類と阻害要因の主張時における留意点の検討 https://jpaa-patent.info/patents_files_old/201511/jpaapatent201511_090-098.pdf 特許出願の中間処理,審決取消訴訟または特許権侵害訴訟において,発明の進歩性を主張するときに,主引用発明と副引用発明との組み合わせを阻害する要因(いわゆる阻害要因)を主張することが良く行われる。実際に実務を担当してみると,事案毎に適切な阻害要因の主張の論理を構築することには困難がつきまとう。このような困難を解決する一つの方策として過去の裁判例において主張された阻害要因の主張趣旨を類型に分類して整理しておくことが考えられる。このように分類して整理しておけば,事案に応じた適切な類型を選択して,阻害要因の主張の論理を構築しやすくなるからである。また,同じ類型であっても,阻害要因が認められた事例,及び阻害要因が認められなかった事例について整理しておけば,今後,より的を得た阻害要因の主張ができるものと思われる。そこで,本論文では,阻害要因が問題になった近年の裁判例を,その阻害要因の主張趣旨毎に分類して得られた阻害要因の類型について紹介する。そして,阻害要因の類型毎に近年の裁判例を紹介しつつ,阻害要因の主張時における留意点について検討した結果を報告する。 知財管理 62巻(2012年) 11号 1547頁 進歩性が争われた判決の研究─阻害要因について─ http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=aad509b9b5fb6ba71cf65e1956637da4 抄録 本稿は、平成21年1月~24年3月に進歩性に関連して知財高裁から出された判決のうち、阻害要因に関して判断された事例について検討した結果に基づき、出願人の立場から参考となる事例を紹介するものである。 審査において発明の構成要件が開示された複数の引用文献が審査官より提示されれば、阻害要因を主張しない限り進歩性が肯定されなかった時期もあった。しかし、現在の進歩性の判断においては、発明の構成が開示された複数の文献が存在している場合、阻害要因の有無が唯一の進歩性肯定の理由ではなく動機付けの有無と並ぶ一つの評価要素という位置付けになっている。 引用発明の記載を様々な観点から注意深く確認し、引用発明の組み合わせの阻害要因の存在を主張することは、進歩性を担保するうえで依然として有効かつ効果的である。 知財管理61巻(2011年) 2号 207頁 進歩性判断における阻害要因と証明責任 -テアニン含有組成物事件- http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=21c2ca72359c883181ddd9125db3eabe 抄録 本件は、進歩性欠如を1つの理由として請求棄却された拒絶査定の審決に対する取消請求事件であり、「テアニンを有効成分とする抗ストレス剤」に関する引用発明1に、「波増強剤」に関する引用発明2を適用して本件発明の進歩性を否定することの可否が争われた事件である。 裁判所は、自律神経系の作用を開示する引用発明1と中枢神経系の作用を開示する引用発明2とは技術分野を異にするため、両者を組み合わせることには阻害要因があるとし、また引用発明1の抗ストレス剤はストレス状態から平常状態にするものであるのに対して、引用発明2の波増強剤は平常状態からリラックス状態を導くものであるから、引用発明1に引用発明2を適用する示唆もないと判断した。 本稿では、2以上の引用発明同士を組み合わせる場合の「阻害要因」及び「証明責任」という側面から、進歩性の判断について検討した。 課題の相違が動機づけの阻害要因となるか否かに関する審決取消訴訟判決例 https://jpaa-patent.info/patents_files_old/200408/jpaapatent200408_082-097.pdf 特許・実用新案審査基準 第 III 部 第 2 章 第 2 節 進歩性 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0202bm.pdf RIETI Discussion Paper『⽇本企業の AI 導⼊と⽣産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果』では、AI関連特許は既存の非AI特許よりも企業の生産性を高める一方で、企業間格差を広げていることが指摘されています。
『特許出願企業の割合は、大企業で54%、中小企業で28%であるのに対し、AI関連特許出願企業は大企業の3.2%、中小企業の0.07% で、AI関連特許を出願する中小企業は極めて少数。AIは大企業のビジネスを強化する可能性があるので、中小企業におけるAIの導入、活用の支援などは今後重要。』という指摘は、納得感があります。 日本企業のAI導入と生産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/23j034.pdf RIETI Discussion Paper Series 23-J-034 2023 年 9 ⽉ ⽇本企業の AI 導⼊と⽣産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果 池内 健太(RIETI) 乾 友彦(RIETI、学習院⼤学) ⾦ 榮愨(専修⼤学) 要 旨 近年、⼈⼯知能(Artificial Intelligence, AI)のビジネスでの利⽤が広がり、AI が企業のパフォーマンスにどのようなメカニズムで、どれほど影響するかに関⼼が⾼まっている。本研究では、『経済産業省企業活動基本調査』、TSR の企業間取引データ、プレスリリースデータ、IIP パテントデータベース情報などを⽤いて、企業の AI 導⼊が企業のパフォーマンスに与える影響を分析する。⾃社の研究開発によって⽣み出される AI 関連特許導⼊に加え、取引先企業(サプライヤーとカスタマー)の AI 導⼊を通じた影響も分析する。また、AI による⽣産過程の効率化(プロセスイノベーション)に加え、新製品の創出や既存製品の付 加価値向上(プロダクトイノベーション)も分析する。主な結果は以下のとおりである。 (1)AI 関連特許は企業の⽣産性と正の相関があり、⾮ AI 特許よりも⽣産性との関係が強い。 (2)特許出願件数が減少し始めた 2009 年以降も、AI 関連特許と企業⽣産性の関係は強まっている。 (3)AI 関連特許は主に産業内で中間以上の⽣産性の企業の⽣産性に貢献する。⽣産性の低い企業ではAI 関連特許が⽣産性に負の影響を与える。 (4)取引関係企業の AI 導⼊が当該企業の⽣産性に正のスピルオーバー効果をもたらすことは確認できない。 (5)AI 関連特許は企業のプロダクトイノベーション、プロセスイノベーション、技術イノベーションのすべてに強く関係し、特に質の⾼い AI 関連特許はイノベーションに中期的かつ重要な影響を与える。 10月4日、第1回AI時代の知的財産権検討会(座長:渡部 俊也 東京大学執行役・副学長、未来ビジョン研究センター教授、事務局:内閣府 知的財産戦略推進事務局)がWEB開催されました。AI と知的財産権等との関係をめぐる課題への対応について、関係省庁における整理等を踏まえつつ、必要な対応方策等を検討することを目的としています。
会議では、内閣府 知的財産戦略推進事務局から「本検討会の開催趣旨・背景」(資料2)が説明され、その後、「本検討会において検討すべき課題について」(資料3)が説明されました。 「本検討会の開催趣旨・背景」(資料2) (1)「AI時代の知的財産権検討会」の開催趣旨 (2)背景 ①過去の検討結果:「新たな情報財検討委員会」 ②AIによるコンテンツ生成技術の動向等[h1] ③AI戦略会議「AI に関する暫定的な論点整理」(2023年5月) ④知的財産推進計画2023(2023年6月) ⑤国際的な動向 「本検討会において検討すべき課題について」(資料3) 1.基本的視点(案) 2.生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について(検討課題Ⅰ) 3. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について(検討課題Ⅱ) 「本検討会において検討すべき課題について」の議論の中で印象的だったのは、 『今後の審議の基礎とすべき検討の基本的な視点は以下の通りとする。 (1)産業競争力強化の視点 全体を貫く第一の視点として、生成AIの開発・提供・利用の促進により、公正で自由な社会経済環境の下、幅広い産業において付加価値が創出され、我が国の産業競争力の強化が図られることを目指す。 (2)AI技術の進歩の促進と権利保護のバランスの視点 生成AIの開発・提供・利用において、AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護のバランスが取れた方策等を目指す。 (3)国際的視点 AIは国際的な流通が容易であり、国境を越えた課題であることを踏まえ、国際的な動向を踏まえた方策等を目指す。』 という「基本的視点(案)」に対して、特に(2)で「AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護」が二項対立的に受け取られる表現になっているのではないかと懸念する意見が3人からでたことでした。東京大学の田村教授から修正案が出されていました。 また、(3)で、「広島AIプロセス」という枠組みを進め、G7として生成AIに関する国際ルールを年内に策定する方針で、そのイニシアティブを日本が主導する」という岸田総理の発言と、「国際的な動向を踏まえた方策等を目指す。」という今回の表現の違いを気にする発言もありました。 「2.生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について(検討課題Ⅰ) 、3. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について(検討課題Ⅱ)」の検討課題についても、活発な発言が相次ぎました。特に、「技術による対応」のところでは、技術に詳しい委員から説明があり、良い勉強になりました。 今後、関係事業者ヒアリング、関係省庁ヒアリング(文化庁・特許庁)が行われ、議論が深まっていくことが期待できそうです。 この問題は、影響が広範囲に及ぶことから、委員だけでなく、もっと幅広い方々の意見が反映されるようにした方がよいのではと思っていたところで、10月5日付けで、「AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集」が始まりました。11 月5日(日) まで約1か月の期間が設定されており、それらも踏まえて、年内の論点整理めざすということで、生成AIがもたらす懸念やリスク等への適切な対応を期待しています。 生成AIと知的財産権、年内論点整理めざす 内閣府の検討会が初会合 2023年10月4日 https://digital.asahi.com/articles/ASRB46SK1RB4UTFK00F.html AI時代の知的財産権検討会(第1回) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/dai1/index.html AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集について https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095230820&Mode=0 意見募集要領 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000260680 第1回AI時代の知的財産権検討会(R5.10.4)配布資料 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000260681 [h1] 特許研究 No.76に掲載されている「特許活動に関する情報開示の状況と株式市場の評価」
(明治大学情報コミュニケーション学部 山内 勇 准教授、岐阜聖徳学園大学経済情報学部 鈴木貴晶 准教授)では、特許活動に関する企業の情報開示の程度を定量的に把握した結果、情報開示の程度と株式市場での評価との相関を確認し、全体として、情報開示の量を増やした企業ほど株価の上昇率も高いことが示されています。 非常に興味深い分析結果です。 特許活動に関する情報開示の状況と株式市場の評価 特許研究 No.76 2023/9 P.49 https://www.inpit.go.jp/content/100878647.pdf 抄録 本稿では,特許活動に関する企業の情報開示の程度を定量的に把握するとともに,その情報の信頼性について分析を行った。そこでは,開示の媒体を,有価証券報告書とその他の開示資料(アニュアルレポートやニュースリリース等を含む)に分け,さらに開示の内容についても,「特許」という単語と同時に使用される単語から「攻めの開示」と「守りの開示」に分けて集計を行った。 その結果,近年では,その他の開示資料における攻めの開示が急激に増えていることが分かった。すなわち,各企業が,記載項目の自由度が比較的高い媒体において,自社の特許活動について積極的なアピールを行うようになってきている。また,有価証券報告書においても,特許活動に関する記述は緩やかに増えてきており,特にリスク開示の点から守りの開示が増えてきていることが確認された。 本稿では,こうした開示情報が,企業の特許活動を適切に反映しているかを確認すべく,特許出願の量や質との関係についても分析を行った。それによれば,特許出願が多くその質が高い企業ほど,情報開示の量が多い傾向があった。しかしながら,特許出願が少なく質が低い企業ほど,攻めの表現で積極的な開示を行っていることも明らかとなった。特に,記載の自由度の高い開示資料においてその有意性は強くなっている。 また,本稿では,情報開示の程度と株式市場での評価との相関も確認している。その結果,全体として,情報開示の量を増やした企業ほど株価の上昇率も高いことが分かった。他方で,攻めの開示は株式市場でさほど評価されていないという結果も得られた。これは攻めの表現で開示される情報の信頼性に起因している可能性がある。したがって,情報の開示を促すとともに,開示される情報の質を高める仕組みの設計も重要な政策的課題と考えられる。 1.はじめに 2.先行研究 3.特許活動に関する情報開示の動向 (1)時系列での情報開示動向 (2)業種別の情報開示動向 4.開示された情報の信頼性:特許出願の量・質との関係 5.情報開示の効果:株価上昇率との関係 6.おわりに 知財実務情報Lab.が10月4日に開催されたセミナー「商標 コンセント制度の導入と実務上の留意点」の動画が1週間だけ無料公開されています。下記のページから申し込むと資料もダウンロードできます。
コンセント制度の導入と実務上の留意点がわかりやすく解説されています。 1.コンセント制度の概要 コンセント制度とは? 導入の背景 適用の要件 2.実務上の留意点 コンセントを依頼する立場(出願人)の場合 コンセントの依頼を受ける立場(引用商標権者)の場合 対価の考え方 知財実務情報Lab.「商標 コンセント制度の導入と実務上の留意点」 https://chizai-jj-lab.com/2022/12/21/faq/ 題名:商標 コンセント制度の導入と実務上の留意点 講師:中村 祥二 先生(弁理士、Markstone知的財産事務所) 開催日:2023.10.4(水)(動画は約1時間21分) 公開日:2023.10.12(木)正午までの予定 なお、コンセント制度は、商標出願手続きにおいて、先行商標を理由に拒絶理由が通知された場合に、先行商標の権利者から併存の同意 (consent)を得ることで、拒絶を解消する制度で、日本におけるコンセント制度導入は、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が、令和5年6月7日に可決・成立し、令和5年6月14日に公布されることで、商標法ではコンセント制度が導入されることとなりました。公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日に施行されます。 現在、具体的な審査運用、提出書面、商標法4条4項の「混同」の判断手法等について、商標審査基準ワーキンググループで検討されています。(次回のワーキンググループは、10月6日金曜日10時からの開催予定) 不正競争防止法等の一部を改正する法律(令和5年6月14日法律第51号) https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/hokaisei/sangyozaisan/fuseikyousou_2306.html 令和5年8月31日(木)特許庁9階 庁議室 産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会 第32回商標審査基準ワーキンググループ https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/shohyo_wg/document/32-shiryou/03.pdf 議事録 https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/shohyo_wg/document/index/new32_gjiroku.pdf 2024年版THE世界大学ランキングが公表され、世界1位はオックスフォード大学(英国)、2位はスタンフォード大学(米国)、3位はマサチューセッツ工科大学(米国)、日本の大学では、東京大学が29位、京都大学が55位で、昨年と比較すると、東大39位→29位 京大68位→55位に、いずれも前の年から10以上、順位を上げました。
日本の大学は新たに指標に加わった「特許への貢献度」で好評価を得たことが影響したようです。 日本の大学の課題については、学生数の減少や他国に比べて国際性が劣る点への対応が挙げられており、そのとおりでしょう。 「世界の大学ランキング」日本勢が躍進 東大39位→29位 京大68位→55位に 「特許への貢献度」が好評価得る https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/748835 世界大学ランク、東大29位・京大55位…アジア勢最高は中国・清華大の12位 2023/09/28 https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20230928-OYT1T50148/ 世界大学ランキング2024 日本から国公私立119校がランクイン 一覧掲載 2023.09.28 https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/10485?page=2 THE世界大学ランキング2024 日本からランクインした大学一覧 【29位】 東京大学 【55位】 京都大学 【130位】 東北大学 【175位】 大阪大学 【191位】 東京工業大学 【201–250位】名古屋大学 【301–350位】九州大学 【351–400位】北海道大学、筑波大学 【401–500位】東京医科歯科大学 【601–800位】◎会津大学、広島大学、★順天堂大学、★慶應義塾大学、神戸大学 【801–1000位】千葉大学、熊本大学、◎京都府立医科大学、岡山大学、東京農工大学、★東京医科大学、★早稲田大学、◎横浜市立大学 【1001–1200位】 ★愛知医科大学、★藤田保健衛生大学、岐阜大学、浜松医科大学、金沢大学、★関西医科大学、★近畿大学、★久留米大学、◎名古屋市立大学、新潟大学、★日本医科大学、★産業医科大学、信州大学、◎東京都立大学、豊橋技術科学大学、★豊田工業大学、◎和歌山県立医科大学 【1201–1500位】 愛媛大学、電気通信大学、群馬大学、★兵庫医科大学、★東京慈恵会医科大学、香川大学、鹿児島大学、★北里大学、京都工芸繊維大学、九州工業大学、三重大学、長岡技術科学大学、長崎大学、名古屋工業大学、お茶の水女子大学、◎大阪公立大学、★立教大学、★立命館大学、★埼玉医科大学、◎札幌医科大学、★芝浦工業大学、滋賀医科大学、★昭和大学、★聖マリアンナ大学医学部、★東邦大学、★東海大学、徳島大学、東京海洋大学、★東京理科大学、富山大学、山形大学、山口大学、山梨大学、横浜国立大学 【1501位-】 秋田大学、★青山学院大学、★千葉工業大学、★中部大学、★中央大学、★獨協医科大学、★同志社大学、福井大学、★福岡大学、★法政大学、◎兵庫県立大学、茨城大学、岩手大学、★神奈川大学、★金沢医科大学、★関西大学、高知大学、◎高知工科大学、★工学院大学、★関西学院大学、★京都産業大学、★明治大学、★名城大学、宮崎大学、室蘭工業大学、奈良女子大学、大分大学、★大阪工業大学、★大阪医科薬科大学、★龍谷大学、琉球大学、佐賀大学、埼玉大学、島根大学、静岡大学、◎静岡県立大学、★上智大学、★帝京大学、★東京農業大学、★東京都市大学、★東京電機大学、鳥取大学、◎富山県立大学、★東洋大学、宇都宮大学 特許情報プラットフォームJ-PlatPatは、多くの人が使用している無料ツールなので、もっと機能を充実してほしいと思っています。
10月12日に行われるJ-PlatPatの機能改善は、 1,検索結果一覧画面における公報のPDFファイルのダウンロード件数を5件から20件に拡充 2,OPD書類一覧画面における書類のPDFファイルの一括でダウンロードできる件数を、5件から10件に拡充 3,長大文献を表示した際に、ページ番号を指定しての表示が可能に 4,特許・実用新案分類検索(PMGS)において、リンク先の表示が別タブ表示に変更 5,グローバルナビゲーションの意匠に「画像意匠公報検索支援ツール(外部サイトへリンク)へのリンクが追加 ということで、小さな改善かもしれませんが、助かります。 ユーザーのニーズにこたえる機能改善をさらにスピードを上げていただきたいと思っています。 特許情報プラットフォームの機能改善について(2023年10月12日) 令和5年10月2日 特許庁総務部総務課情報技術統括室 https://www.jpo.go.jp/support/j_platpat/kaizen20231012.html Paragraph. 編集するにはここをクリック.10月3日
『「除くクレーム」の効果を主張すべきでない理由』というタイトルで、田中研二弁理士が 「除くクレーム」と「効果」との関係についてうまくまとめていました。
『ただし、特許委員会の調査結果では、除くクレーム補正後の効果を主張している事例も一部見受けられ、現実には必ずしも上記のように単純な事例ばかりではないように思われます。 知財実務オンラインでご紹介したように、「除くクレーム」とする補正は、進歩性・新規事項・明確性・サポート要件など様々な要件が絡んでくるものですので、普段以上に慎重な検討が求められるでしょう。』 「除くクレーム」の効果を主張すべきでない理由 2023.10.03 https://chizai-jj-lab.com/2023/10/03/1003/ 2023/09/14 にライブ配信 「知財実務オンライン」【第160回】こんなに便利な「除くクレーム」 ■ゲスト:日本弁理士会 特許委員会 副委員長(2023年) 弁理士法人 志賀国際特許事務所 弁理士 田中 研二 https://www.youtube.com/watch?v=1QfcGA-Nh2E 除くクレーム(新規事項追加、進歩性) 13/7/2023 https://yorozuipsc.com/blog/8846082 令和4年(行ケ)第10030号「積層体」事件 「除くクレーム」と訂正要件 4/6/2023 https://yorozuipsc.com/blog/410030 数値等の重複を避けるだけの「除くクレーム」での対応を試みる価値はある 29/3/2023 https://yorozuipsc.com/blog/6614236 除くクレーム 14/3/2022 https://yorozuipsc.com/blog/4130957 除くクレームの活用(補正/訂正要件、進歩性) 29/7/2021 https://yorozuipsc.com/blog/9352162 「Japan Weeks 日経サステナブルフォーラム 第1回NIKKEI知財・無形資産シンポジウム/世界の機関投資家の潮流」は、2023年10月2日(月)に開催されました。
「第1回 NIKKEI 知財・無形資産シンポジウム」では、企業価値の源泉となる「知財・無形資産」をテーマに、企業価値創造に向けた攻めの経営・人材・法務戦略が議論されました。 「非財務情報」をいかに「財務価値」に繋げていくか、というテーマでしたが、早稲田大学大学院会計研究科 客員教授 柳 良平氏(元エーザイCFO)の話、やはりインパクトがありました。株価4万円、PBR(Price Book-value Ratio株価純資産倍率)2倍は達成できるという力強い発言と「柳モデル」説得力ありました。 「世界の機関投資家の潮流」では、岸田文雄首相も挨拶し、家計の資金を成長投資につなげ、家計の資産形成と、日本、そして世界の持続的な発展を実現する施策、日本の投資先としての魅力、知的財産の創出に向けたイノベーション投資やその産業化を促すため、特許などの所得に対する減税制度の創設、などについて話されました。「パネルディスカッションⅡ アセットマネージャー編」が投資家の考え方がわかりやすく整理されており参考になりました。 後日、日経新聞に開催報告が出され、アーカイブ視聴も可能になるようです。 「柳モデル」 https://www.camri.or.jp/files/libs/1886/202302271343235637.pdf 「柳モデル」は日本企業全体へも適用可能か https://diamond.jp/articles/-/308576 日経サステナブルフォーラム 令和5年10月2日 総理の一日 https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202310/02nikkei.html 年金運用に行動規範、24年夏に策定へ 岸田首相が表明 日経サステナブルフォーラム 2023年10月2日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA024G60S3A001C2000000/ 【ハイブリッド開催】 Japan Weeks 日経サステナブルフォーラム 第1回NIKKEI知財・無形資産シンポジウム/世界の機関投資家の潮流 https://events.nikkei.co.jp/60682/ 第1回NIKKEI知財・無形資産シンポジウム/世界の機関投資家の潮流 日経サステナブルフォーラムは、「知財・無形資産をテーマに日本企業の価値向上」と「世界の機関投資家の潮流」をテーマに、事業会社と機関投資家とのコミュニケーション創出を目的に実施します。 午後開催の「第1回 NIKKEI 知財・無形資産シンポジウム」では、企業価値の源泉となる「知財・無形資産」をテーマに、企業価値創造に向けた攻めの経営・人材・法務戦略を議論します。「非財務情報」をいかに「財務価値」に繋げていくか。「知財・無形資産」を活用したビジネスモデルの構築、企業の持続可能な成長に向けた知財・無形資産への投資を促進し、未来に向けたサステナブルな事業を作る好循環経営の重要性について、啓発・発信していきます。 夕刻開催の「世界の機関投資家の潮流」では、企業価値の源泉として、有形資産から無形資産に重心が変わる世界的な流れを紹介します。企業価値に占める無形資産の比率が増加する中、ESGなどの非財務情報と、知的財産などの無形資産への投資・情報開示の重要性を機関投資家側から発信します。PRI in Person に合わせて来日する海外の投資関係者を招き、世界のトレンドを踏まえながら日本企業の価値向上について議論し、世界で求められる日本企業の在り方を明らかにしていきます。 プログラム PROGRAM 第1回NIKKEI知財・無形資産シンポジウム 13:00~13:10 Opening Remarks Principles for Responsible Investment(PRI) Chief Executive Officer David Atkin氏 13:10~13:15 ご挨拶 旭化成 代表取締役社長/知財・無形資産 経営者フォーラム 会長 工藤 幸四郎氏 13:20~14:20 パネルディスカッションⅠ 「『攻めの知財・無形資産経営』で蘇る日本」 古河電気工業 取締役会長/知財・無形資産 経営者フォーラム 副会長 小林 敬一氏 ナブテスコ 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)/知財・無形資産 経営者フォーラム 副会長 木村 和正氏 TMI総合法律事務所 パートナー弁護士 宮川 美津子氏 内閣府 知的財産戦略推進事務局長 奈須野 太氏 <モデレーター> 日本経済新聞社 編集委員 渋谷 高弘 14:25~15:15 パネルディスカッションⅡ 「無形資産経営に向けた人への投資の在り方」 アサヒグループホールディングス 取締役EVP兼CHRO 谷村 圭造氏 慶應義塾大学 特任教授 岩本 隆氏 早稲田大学大学院会計研究科 客員教授 柳 良平氏 <モデレーター> HRガバナンス・リーダーズ 代表取締役社長CEO 内ヶ﨑 茂氏 15:20~16:10 パネルディスカッションⅢ 「戦略法務推進によって追求する無形資産経営」 日揮ホールディングス 執行役員 General Counsel ガバナンス統括オフィス 法務・ガバナンスユニット部長 鞍田 哲氏 TOPPANホールディングス 執行役員 法務本部長兼法務部長 小関 知彦氏 戦略法務・ガバナンス研究会 会長/パナソニック ホールディングス 取締役 執行役員 グループ・ゼネラル・カウンセル 少德 彩子氏 <モデレーター> EY弁護士法人 ディレクター 前田 絵理氏 16:10~17:00 休憩 世界の機関投資家の潮流 17:00~17:05 Opening Remarks 内閣総理大臣 岸田 文雄氏 17:05~17:15 講演 KKR Partner & Co-Head of Global Private Equity Nate Taylor氏 17:15~17:55 パネルディスカッションⅠ アセットオーナー編 「世界の機関投資家の潮流と日本市場への期待(仮)」 ノルウェー銀行インベストメント・マネジメント(NBIM)/PRI理事 Wilhelm Mohn氏 カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)/PRI理事 Sharon Hendricks氏 日本生命保険 執行役員/PRI理事 木村 武氏 <モデレーター> 日経BP総合研究所 ESGフェロー 酒井 耕一氏 17:55~18:05 講演 日本取引所グループ 取締役 兼 代表執行役グループCEO 山道 裕己氏 18:05~18:35 パネルディスカッションⅡ アセットマネージャー編 「日本市場の持続的発展のための対話と価値共創(仮)」 アムンディ・ジャパン チーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサー 岩永 泰典氏 三井住友トラスト・アセットマネジメント 専務執行役員 森木 重喜氏 <モデレーター> エミネントグループ 代表取締役社長CEO 小野塚 惠美氏 18:35~18:40 講演 韓国金融委員会 委員長 金周顯(キム・ジュヒョン)氏 9月27日に開催された「新しい資本主義実現会議」を踏まえ、岸田首相は国内投資促進に向けた施策のひとつとして、「イノベーションボックス税制」を創設する考えを示しました。
国内での研究開発によって生まれた特許権や、著作権で保護されたソフトウェアなどの知的財産から生じる所得(ライセンス所得、譲渡所得、それらの知財を組み込んだ製品の売却益など)に優遇税率を適用するもので、企業の研究開発拠点を国内に留め、イノベーションを促進することなどが狙いということのようです。 『国内投資促進については、第1に、米国等の税制措置も参考に、蓄電池、電気自動車、半導体など戦略分野の国内投資について、新たな減税制度を創設するなど、成長力の強化に資する減税の実施を図ります。 第2に、特許権等の知的財産から生じる所得に関して減税を行う、イノベーションボックス税制の創設を図ります。 第3に、ストックオプションを使い勝手のよいものとするための法制整備や減税措置の充実を検討するなど、イノベーションをけん引するスタートアップ等への支援、これを強化してまいります。』 というように、国内投資促進の3つの柱のうちのひとつ(2番目)という位置付けです。 第22回新しい資本主義実現会議 ー令和5年9月27日(約4分) https://www.youtube.com/watch?v=3XgMu_dlo_A 新しい資本主義実現会議 総理の一日 更新日:令和5年9月27日 https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/27shihon.html 令和5年9月27日、岸田総理は、総理大臣官邸で第22回新しい資本主義実現会議を開催しました。 会議では、「新しい資本主義の推進について(案)」について議論が行われました。 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。 「本日は、経済対策の議論を開始したことを受けて、持続的賃上げと国内投資促進を中心に、3年間の変革期間で、コストカット型の『冷温経済』を、持続的な賃上げや活発な投資がけん引する適温の成長型経済へ転換する手法について、御議論いただきました。 三位一体の労働市場改革やスタートアップ育成による企業の新陳代謝など、新しい資本主義の実行計画を変革期間で早期に実行します。 加えて、経済対策においては、持続的賃上げについて、第1に、賃上げ税制の減税措置の強化を図ります。 第2に、中小・小規模企業の賃金引上げのため、省人化・省力化投資への支援を実施することとし、カタログから選ぶように、使いやすい措置といたします。地方においても賃上げが広がるよう、工場等の新設を支援いたします。経営者保証を不要とする信用保証制度を年度内に創設いたします。 第3に、取引適正化に向けて、地元の最低賃金の上昇率や春闘の妥結額を基礎に価格交渉を行うなど、労務費転嫁の分かりやすい指針を年内に公表いたします。 第4に、非正規労働者と正規労働者の同一労働・同一賃金制について、対応が不十分な企業に対して指導を行うとともに、在職中の非正規労働者に対するリ・スキリング支援を開始いたします。 第5に、資産運用立国については、金融担当大臣を中心に、年内に政策プランを策定してもらいます。 そして、国内投資促進については、第1に、米国等の税制措置も参考に、蓄電池、電気自動車、半導体など戦略分野の国内投資について、新たな減税制度を創設するなど、成長力の強化に資する減税の実施を図ります。 第2に、特許権等の知的財産から生じる所得に関して減税を行う、イノベーションボックス税制の創設を図ります。 第3に、ストックオプションを使い勝手のよいものとするための法制整備や減税措置の充実を検討するなど、イノベーションをけん引するスタートアップ等への支援、これを強化してまいります。 本日取りまとめた、新しい資本主義の推進についての重点事項に沿って、新藤大臣を中心に関係大臣協力して、経済対策の取りまとめと施策の具体化を進めていただきたいと思います。 有識者各位の引き続きましての御協力をお願い申し上げます。」 新しい資本主義実現会議(第22回) 令和5年 9月27日(水) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai22/gijisidai.html 新しい資本主義の推進についての重点事項(案) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai22/shiryou1.pdf |
著者萬秀憲 アーカイブ
September 2025
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