Apple は、米国で「Apple Music」を、保護対象にライブ演奏を含む形で商標出願していましたが、ライブ演奏に関する類似商標権者からの申立に先使用権を主張するという戦術ミスにより、すべての登録が拒絶されるという結果になったということです。
戦術ミスとは思えませんが、それほどむずかしい案件だということでしょうか。 Apple、戦術ミスで「Apple Music」商標登録に失敗 https://www.zaikei.co.jp/article/20230709/728887.html Apple、「Apple Music」の商標取得は不可~個人音楽家に権利 https://news.livedoor.com/article/detail/24573556/ Apple Music trademark denied, after tactical error by company https://9to5mac.com/2023/07/07/apple-music-trademark-denied/ APPLE JAZZ Mark Owner Vindicated at CAFC with Denial of Apple’s Petition for Rehearing https://ipwatchdog.com/2023/07/06/apple-jazz-mark-owner-vindicated-cafc-denial-apples-petition-rehearing/id=163058/
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知的財産高等裁判所の平成 29 年(ネ)第 10090 号「ピタバスタチン製剤医薬品」事件判決は、数値限定発明に対する先使用権を否定した判決で、先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例です。
こういう考え方だと、『製造当時のサンプル薬を所持し、必要に応じて、事後的に請求項記載の構成要件の規定に関係する成分を測定し、範囲内に含まれることを主張するだけでは発明の完成すら証明できない場合があることは留意すべきである。本判決からすれば、未だ出願もされていない内容と同じ発想で、サンプル薬を製造した時点で成分等を測定することや、数値範囲内に管理することが必要であることになり、先使用権の立証は非常に難しいと考えられる。』となります。 『主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例』と言われています。 パテントVol. 76No. 5の論文「特許発明実施の判断における課題を解決する意図の考慮」は、「特許発明は設定課題(発明者が解決しようと意図した主観的な課題)を解決する解決手段についての思想であることからするならば、特許発明実施の判断において、被疑侵害者の特許発明の設定課題を解決する意図を考慮すべきであると考える。すなわち、被疑侵害行為が特許発明の解決手段の具現化であっても、被疑侵害者に特許発明の設定課題を解決する意図がないときには、被疑侵害行為は特許発明の実施ではないとすべきであると考える。」との考え方もその通りと言いたくなります。 数値限定発明に対する先使用権を否定した事案 平成 30 年 4 月 4 日 平成 29 年(ネ)第 10090 号 「ピタバスタチン製剤医薬品」事件 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/3204 【特許★★】(傍論であるが、)先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例。主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例。(「医薬」事件(東和薬品v.興和)) https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%E3%80%90%E7%89%B9%E8%A8%B1%E2%98%85%E2%98%85%E3%80%91%EF%BC%88%E5%82%8D%E8%AB%96%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8C%E3%80%81%EF%BC%89%E5%85%88%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%8C%BB%E8%96%AC%E3%81%8C%E7%99%BA/ 2018.04.04 「東和薬品 v. 興和」 知財高裁平成29年(ネ)10090 https://www.tokkyoteki.com/2018/05/20180404-v-2910090.html 『東京地裁、医薬特許に対する先使用権の成立を否定』 http://www.abe-law.com/wp/wp-content/uploads/2018/01/180123Newsletter.pdf 平成29年(ネ)10090号「医薬」事件 https://unius-pa.com/infringement_lawsuit/5751/ 特許法の先使用権に関する一考察(2)-制度趣旨に鑑みた要件論の展開- https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/76026/4/54_05-Tamura.pdf 特許発明実施の判断における課題を解決する意図の考慮 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4197 偏光フィルム知財高裁大合議判決のサポート要件判断基準について、中村合同特許法律事務所 高石秀樹弁護士が、パテント Vol. 76No. 5(2023)で論じています。
高石秀樹弁護士は、『【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する 2 段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。』(パテント Vol. 76No. 5(2023))としています。 すなわち、『偏光フィルム知財高裁大合議判決は、サポート要件の判断基準として、 ❶条文の文言、及び ❷当業者が発明の課題を解決できると認識できるという要件に加えて、 ❸「パラメータ発明」については「本件発明はいわゆるパラメータ発明であり、サポート要件に適合するためには、発明の詳細な説明は、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか、又は、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載することを要する」と判示した。 この要件❸については、「パラメータ発明」に限らない一般的規範を判示した要件❷を「パラメータ発明」に特化して換言しただけであるという見解もあるが、理論的考察に加えて、大合議判決後の下級審判決で「パラメータ発明」が争われて判断されていることに鑑みると、要件❸に一定の意味があると考える。』 ということです。 要件❸は、「具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載する」という『作用機序(メカニズム)によるサポート』、又は、「技術常識を参酌して,当該数式が示す範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載することを要する」という『実施例によるサポート』のどちらのアプローチでも良いということで、わかりやすいと思っていました。 もっと深い意味がある、という議論は、なるほどと思いました。 特集<第28回知的財産権誌上研究発表会>(論考) 【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する2段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4196 「大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件」では、他社の特許権を侵害した会社の取締役らに対し、会社法429条1項に基づき、侵害者である会社と同等の損害賠償責任を認める判決でした。この判決では、専門家から非抵触の鑑定を得ていたにもかかわらず、取締役が会社と同等の個人責任を問われました。
この判決を、会社法第 429 条第 1 項の法的性質、他の裁判例との比較から検討したのが、パテント誌2023年5月号に掲載されている「特許権侵害事例における取締役個人の特許権者に対する損害賠償責任」と題する論文です。 取締役の善管注意義務の判断に広く用いられる経営判断原則に即した判断基準が提案されており、なるほどと思いました。 特許権侵害事例における取締役個人の特許権者に対する損害賠償責任 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4202 要 約 知的財産権侵害に関する紛争では侵害行為の主体とされる法人等に対する責任追及が行われるのが通常である。しかし、事案によっては、会社法 429 条第 1 項に基づき、侵害行為の主体とされる法人の取締役個人に対する責任追及が行われることも珍しくない。そこで本稿では、本条の法的性質等について概観した上で、複数の裁判例を題材に取締役に課される善管注意義務の内容及びいかなる場合に任務懈怠に関する重過失が認められるかについて検討を行った。その結果、善管注意義務の内容は「取引実施に当たっては、第三者の特許権を侵害しないよう配慮すべき義務」という点で概ね一致していた。しかし、具体的な判断基準に関しては、「中立的な専門家の意見聴取」等の調査義務の存在が示唆される一方、特許権侵害の可能性の多寡にかかわらず実施行為の停止ないし損害賠償相当額の留保等の経営判断が求められるなど著しい相違があることが明らかとなった。 目次 1.はじめに 2.会社法第 429 条第 1 項の法的性質等 3.取締役の責任を認めた裁判例 4.取締役の責任を認めなかった裁判例 5.大阪地判令和 3 年 9 月 28 日発明 119 巻 1 号 41 頁(裁判例⑦) 6.裁判例①ないし⑥と裁判例⑦の比較を踏まえた善管注意義務の判断基準について 7.おわりに 特許権侵害と取締役の対第三者責任 大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 https://innoventier.com/wp-content/uploads/2022/09/672f38f962e3d966bd0d8c2f32d574aa.pdf 特許権侵害の不法行為により特許権者に損害を与えた会社の役員個人に対し、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事例[大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号] https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/202201news.pdf ≪特許権侵害行為を行った会社の代表取締役および取締役に対する会社法429条1項に基づく損害賠償請求が認容された事例≫ 【令和3年9月28日(大阪地裁 令和元年(ワ)5444号)】 https://www.ip-bengoshi.com/archives/5743 【裁判例】令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 2022.02.16 https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13211.html 特許権侵害と取締役の責任 26/8/2022 https://yorozuipsc.com/blog/8279117 7月5日に公表された国立研究開発法人産業技術総合研究所の情報漏えい事案に係る再発防止策について、ChatGPTに、この対策について問題点を指摘してもらいました。なかなか鋭い指摘です。
**You:** 産業技術総合研究所の研究データが中国企業に漏洩した事件では、業務⽤のメールアドレスを使って研究情報を送信していたが、産総研はすぐに把握できなかったなど情報管理の⽢さが露呈した形で管理体制の強化が問われています。 産業技術総合研究所は再発防⽌策を公表しました。この対策について問題点を指摘してください。 **ChatGPT:** 産業技術総合研究所が公表した再発防⽌策の内容は以下の通りです。 1.モニタリングの強化: システム上の不審な動きを早期に探知し、情報漏えいを未然に防ぐために、情報システム、通信回線及び機器等で取り扱う情報のモニタリングを強化します。 2.採⽤・受⼊時等の適格性審査の強化: 採⽤・受⼊時における技術情報管理等の観点も踏まえた適格性審査を強化します。現職員は、兼業の⼿続きなどを改めて研修を通じて確認し、必要に応じて懸念される者の調査を引き続き⾏います。 3.技術情報の管理の厳格化: 技術情報については、情報の重要性に応じて、エリア管理、技術情報へのアクセス制限等をさらに強化し、厳格に管理します。 4.職員等の意識向上: 個々の研究内容や業務内容の確認を徹底するとともに、技術情報管理等における緊急特別研修を実施しています。今後も定期的に研修を実施していきます。 5.対策等の継続的なフォローアップ: 当⾯の対策の内容とその実施状況に関して、外部専⾨家によるレビューを⾏います。その結果を踏まえ、取組の改善や追加的な対策の実施を含め、再発防⽌を徹底していきます。 これらの対策について、以下のような問題点が考えられます。 1.具体性の⽋如: 上記の対策は⼀般的であり、具体的な⼿法やツールが⽰されていない。具体的な実施計画や⽬標が明確でないと、効果的な対策がとられるかが不透明です。 2.⼈的要因の考慮不⾜: 情報漏洩は往々にして⼈的要因によるものであるため、職員の意識向上だけでなく、内部監査やホイッスルブロー制度の強化など、⼈的要因に対する対策も重要です。 3.外部との連携: セキュリティ問題は⽇進⽉歩であり、外部の専⾨家や他の研究機関との連携を通じて、最新の脅威や対策について学ぶ必要があります。ただし、外部専⾨家によるレビューは⾔及されていますが、これをどの程度積極的に⾏うかが不明です。 4.データの分類と保護: すべてのデータが同じように扱われるべきではなく、機密性の⾼いデータは特別な保護が必要です。データの分類とそれに基づく保護レベルの設定が必要です。 5.緊急対応計画: もし情報漏洩が発⽣した場合の緊急対応計画が必要です。これには、漏洩した情報の特定、関係者への通知、対策の実施などが含まれます。 6.透明性と報告: 内部だけでなく、外部に対してもセキュリティ対策の進捗や結果を定期的に報告し、透明性を確保することが重要です。 7.リスク評価: 定期的なリスク評価を⾏い、新たな脅威や脆弱性に対して適切に対応できるようにする必要があります。これらの点を考慮し、具体的かつ総合的な対策を講じることが、情報漏洩の再発防⽌には必要です。 研究情報管理に甘さ、業務用メアドで送信 産総研漏洩 2023年7月5日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE260ZI0W3A620C2000000/ 情報漏えい事案に係る再発防止策について 令和5年7月5日 国立研究開発法人産業技術総合研究所 https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20230705_2.html ・情報漏えい事案の概要について https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/announce/au2023/0705_2/jiangaiyou0705.pdf ・再発防止策について https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/announce/au2023/0705_2/saihatsuboushi0705.pdf NECは、7月6日、日本市場向けに、大規模言語モデル(LLM)のライセンスのほか、ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなどを提供する生成AIサービス「NEC Generative AI」について発表しました。コンサルティングからソフトウェア、ハードウェア、データセンターまでをワンストップで提供することが特徴で、「NEC Generative AI Service Menu」として順次提供予定としており、コンサルティング、ナレッジエンジニアリング、教育、環境構築のサービスは7月、LLMは8月に先行評価、ソフトウェアとハードウェアは10月に提供(ハードウェアは評価版)開始の予定とのこと。
NEC社内では5月から生成AIの社内業務利用を開始しており、資料作成時間の50%削減、議事録作成の時間を平均30分から約5分に短縮、社内システム開発におけるソースコード作成業務の効率化で工数80%の削減、といった成果が出ているということです。 また、ソフトバンクは7月7日、生成AI(人工知能)を開発するためのスーパーコンピューターの整備に約200億円を投じると発表、経産省はこの事業に53億円を補助することを発表しました。 ChatGPTなどに対抗できるかどうかはわかりませんが、日本語データがしっかり事前学習された大規模言語モデル(LLM)が登場することは歓迎すべきことだと思います。 NEC、生成AIの総合サービス「NEC Generative AI」の提供を開始 2023年7月7日 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1514481.html NECが国産“生成AI”を発表 「デジタル敗戦」を経て日本企業が生き残る術は顧客ニーズへの最適化 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/587389 NEC、独自生成AIを法人向けに提供 8月から https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC066PT0W3A700C2000000/ NEC、日本市場向け生成AIを開発・提供開始 ~業種ナレッジの構築を目指したカスタマープログラムを開始~ https://jpn.nec.com/press/202307/20230706_01.html NEC “国産”生成AI 事業売り上げ目標 3年間で500億円規模 2023年7月6日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230706/k10014120461000.html NECが生成AI提供開始 高い日本語能力 2023/7/6 https://www.sankei.com/article/20230706-E5XD3NEQVNP37AZQ3OVCL47WI4/#:~:text=%EF%BC%AE%EF%BC%A5%EF%BC%A3%E3%81%AF%EF%BC%96%E6%97%A5%E3%80%81%E7%94%9F%E6%88%90,%E9%96%A2%E9%80%A3%E3%81%A7%E5%A3%B2%E3%82%8A%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A0%E3%80%82 ソフトバンク、生成AI向けスパコンに200億円 経産省も補助 2023年7月7日 https://digital.asahi.com/articles/ASR776601R77ULFA01D.html ソフトバンクは7日、生成AI(人工知能)を開発するためのスーパーコンピューターの整備に約200億円を投じると発表 経産省はこの事業に53億円を補助 政府がソフトバンクの生成AI向けに補助金約50億円 https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/readings/1443?fbclid=IwAR391T_rq8mG1_vLBxA27j3rYR3h8jCIaTfj23MEb0Ymn9RyILfoXpqg5X0 ソフトバンクのスパコンに補助 経産省、生成AI開発で 2023年7月6日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA064GB0W3A700C2000000/ 引用文献に一行記載された化合物(5-アミノレブリン酸リン酸塩)(5-ALAホスフェート)が本願発明の新規性を否定する「引用発明」と言えるかが争点となり、無効審判において新規性ありと判断した審決を知財高裁が支持しています。
新規の化学物質に係る発明の新規性の判断において、「引用発明」と認定するためには、「刊行物に製造方法を理解し得る程度の記載がない場合には、当該刊行物に接した当業者が、思考や試行錯誤等の創作能力を発揮するまでもなく、特許出願時の技術常識に基づいてその製造方法その他の入手方法を見いだすことができることが必要である」との「判断基準」を明確に提示していて、特許・実用新案審査ハンドブック3207にも同趣旨の記載がありますので、この点では、裁判所と特許庁の間に齟齬はなさそうです。 ただ、「特許出願時の技術常識」をどう見るかが難しい。 令和4年(行ケ)第10091号 審決取消請求事件 判決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/964/091964_hanrei.pdf 特許 令和4年(行ケ)第10091号「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」(知的財産高等裁判所 令和5年3月22日) 7月5日(水)配信 https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-07-05-6067 2023.03.22 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和4年(行ケ)10091(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) - 刊行物に新規化学物質の発明が記載されているといえるか(引用発明の適格性)の判断基準 - https://www.tokkyoteki.com/2023/04/2023-03-22-r4-gyo-ke-10091.html 「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」事件 (知財高判令和5年3月22日 令和4年(行ケ)第10091号) https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/09_2022_Gyo-Ke_10091.pdf 特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」について引用発明の適格性を否定した事例 https://www.ohebashi.com/jp/newsletter/IPNewsletter202306.pdf 特許・実用新案審査ハンドブック 第 III 部 第 2 章 新規性・進歩性 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/03.pdf#page=12 3207 刊行物に記載された発明を引用発明とすることができない例 審査基準「第 III 部第 2 章第 3 節 新規性・進歩性の審査の進め方」の 3.1.1(1)b 審査官は、刊行物に記載されている事項及び記載されているに等しい事項か ら当業者が把握することができる発明であっても、以下の(i)又は(ii)の場合は、 当該刊行物に記載されたその発明を「引用発明」とすることができない。 (i)物の発明については、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づい て、当業者がその物を作れることが明らかでない場合 (ii)方法の発明については、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づ いて、当業者がその方法を使用できることが明らかでない場合 例えば、刊行物に化学物質名又は化学構造式によりその化学物質が示されて いる場合において、当業者が出願時の技術常識を参酌しても、当該化学物質を 製造できることが明らかであるように記載されていないときは、当該化学物質 は「引用発明」とはならない(なお、これは、当該刊行物が特許文献であり、引 用発明とした当該化学物質を選択肢の一部とするマーカッシュ形式の請求項を 有するものである場合に、その請求項が第 36 条第 4 項第 1 号の実施可能要件を 満たさないことを意味しない。) 「サマリア」は、ChatGPTを活用した「特許文書(公開公報,特許公報)の効率的な読解を支援するAIアシスタントサービス」ですが、7月5日のアップデートで、特許公報の独自要約などをまとめて作成することができるようになりました。
特に、英語、中国語の特許公報に記載されている「要約」は読みにくいものであることが多いため、独自要約により、海外文献の読解作業が大幅に効率化できるのではないかと思います。 今のところ、「サマリア」は無料で使えますので、一度触ってみることをお勧めします。 サマリア機能アップデート2023/07/05 https://www.youtube.com/watch?v=aZHIQe-jQaw 2023/07/05 サマリア機能アップデート 1. 複数の特許文書に対して一括でAIアシスタントへ質問する一括処理機能 複数の特許文書に対して「わかりやすく説明して」などの質問をまとめて適用する「一括処理」機能が実装されました。 これにより、クライアントや研究開発部署へ特許公報リストを提供する際に、特許公報の独自要約などをまとめて作成することができます。 【主な利用シーン】 ・知財担当者がSDIにより発見した特許公報(国内外)をサマリを添付して研究開発部署へ送付する際 ・クリアランス調査、無効資料調査等においてサーチャーがクライアントへ納品する際のサマリ添付する際 特に、英語、中国語の特許文書に対しても日本語で回答させることが可能なため、海外文献の読解作業を大幅に効率化することができます。 特許公報に記載されている「要約」は一般的に読みにくいものであるため、一括処理機能により特許公報の読解負担を軽減することができます。 2. 簡単質問に、「請求項1の説明」「課題・解決手段の説明を追加 簡単質問の質問文に、以下の2つが追加されました。 ・ 請求項1をわかりやすく説明して ・ 課題・解決手段をわかりやすく説明して(日本語のみ) ・ 「請求項1をわかりやすく説明して」 明細書の特許請求の範囲の「請求項1」の内容を解説してもらいたい場合に使用します。 「請求項1」の内容を、明細書の内容を考慮してAIアシスタントがわかりやすく解説します。 ・ 「課題・解決手段をわかりやすく説明して(日本語のみ)」 日本語の明細書の「解決しようとする課題」「課題を解決するための手段」の箇所を、AIアシスタントがわかりやすく解説します。 明細書の記載事項に基づき、明細書の概要を短時間で把握したい場合に便利な機能です。 これらの簡単質問は「一括処理」機能においても使用することができます。 特許文書読解アシスタント「サマリア」 https://patent-i.com/summaria/ 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、7月4日に発表した、日本語に特化した400億パラメーターの生成AI(LLM:大規模言語モデル)は、まだ試作品で、さらに大規模な1790億パラメーターのLLMを開発中ということです。
「日本語のWebデータのみで学習」というところに引っかかるところはありますが、「国産」生成AIの開発がもっと進むことを期待しています。 日本語に特化した大規模言語モデル(生成AI)を試作~日本語のWebデータのみで学習した400億パラメータの生成系大規模言語モデルを開発~ 2023年7月4日 国立研究開発法人情報通信研究機構 https://www.nict.go.jp/press/2023/07/04-1.html 情報通信研究機構、日本語対応の生成AI 企業と連携へ 2023年7月4日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC039XT0T00C23A7000000/ 400億パラメータで日本語特化 NICT、独自の生成AIを試作 「GPT-3」と同規模のモデルも開発中 2023年07月04日 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2307/04/news174.html 日本語で学習した小規模な生成AI、情報通信研究機構が開発…著作権侵害防ぐ機能も 2023/07/04 https://www.yomiuri.co.jp/science/20230704-OYT1T50168/ 情報通信研究機構、日本語に特化した生成AIを試作 製品化も視野 毎日新聞 2023/7/4 https://mainichi.jp/articles/20230704/k00/00m/300/209000c 2023.07.04 「国産」生成AIの開発競争過熱 NICT、日本語特化モデル試作 https://dempa-digital.com/article/450583 日本語の生成AI開発 国の研究機関、性能アップ着手 2023年07月04日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023070400985&g=eco 日本語AI開発、国立法人も 「チャットGPTにかなわないが意外とつくれる」 情報通信研究機構 2023年7月5日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15679084.html 7月4日に行われた、東大×生成AIシンポジウム「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」では、岸田総理が祝辞を述べ、西村経済産業大臣、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長などが参加され、4つのテーマのパネルディスカッションが行われました。
特に、第1部の孫正義会長兼社長の話、OpenAI ChatGPT開発チーム幹部 シェイン・グウ(Shane Gu)氏の話が印象的でした。 動画がアップされていますので、ぜひ視聴していただきたいと思います。 第1部 生成AIが切り拓く未来(約55分) 第2部 行政機関(政府・自治体)における生成 AIの利用と課題(約46分) 第3部 広島AIプロセスについて(約58分) 第4部 生成AIと研究・教育(約56分) 東京大学でAIシンポジウム(2023年7月4日) https://www.youtube.com/watch?v=I-FtyWkQFZc 「チャットGPT」などの対話型AI=人工知能が急速に拡大していくなか、日本社会の展望について、政府や経済界、識者らが議論するシンポジウムが東京大学で開かれました。 岸田総理大臣「生成AI、本当に世界に大きな衝撃を与えています。この分野の技術の進歩は目まぐるしいわけであります」 シンポジウムで挨拶した岸田総理大臣は、「世界と比較して現時点で日本のAIに関する開発力が高くない」としたうえで、「研究者や企業が技術を向上できるよう、政府として支援していく」と述べました。一方、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、「AIは平均的な人間の100万倍、1兆倍と圧倒的に賢くなる」と述べ、「日本は今こそAIに、真正面から最大限に取り組むべきだ」と訴えました。 日テレNEWS 孫正義氏 生成AI・日本の取り組みに苦言「ガラケーになっちゃいけない」 https://news.ntv.co.jp/category/economy/b6d34b48fc0a4925805d9771fe02d691 ソフトパンクグループの孫正義会長は4日、世界中で研究開発が進む生成AIについて、日本の取り組み方に苦言を呈しました。 これは4日、ソフトバンクグループの孫正義会長が生成AIをテーマにした東京大学でのシンポジウムの中で「脇道にそれたような研究開発とか解決策というのは所詮、枝葉に過ぎない」などの発言をしたものです。 孫会長はさらに「小さな電気代を節約するとか、ちまちましたようなことを言っていると、あっという間に日本は取り残されてしまう」 「ガラケーになっちゃいけない」と、生成AIの本筋の研究開発に取り組むことの重要性を強調しました。 これに対して出席していた西村経産大臣は「効率的な、最先端のGPU(画像処理装置)、チップを日本は作る。これでやりたいと思ってます」と述べました。 岸田首相 AI開発で研究者やスタートアップ企業支援へ 2023年7月4日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230704/k10014118411000.html 生成AIシンポ 孫正義社長らが日本の開発投資の重要性を強調 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230704/k10014118231000.html ソフトバンクG孫氏「日本はAIに最大限取り組むべき」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB038QK0T00C23A7000000/ 孫正義氏「人のあり方議論する時」 生成AIシンポ、岸田首相も登場 https://mainichi.jp/articles/20230704/k00/00m/300/237000c G7原則、有志国とも共有 首相、東大AIシンポで https://www.tokyo-np.co.jp/article/260946 日本語の生成AI開発 国の研究機関、性能アップ着手 2023年07月04日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023070400985&g=eco 東大×生成AIシンポジウム 令和5年7月4日 総理の一日 https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/04seisei_ai.html 東大×生成AIシンポジウム「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」 日時|2023年7月4日(火)12時30分~17時 場所|東京大学安田講堂 共催|東京大学大学院工学系研究科、TMI総合法律事務所 https://www.t.u-tokyo.ac.jp/ev2023-07-04 開会挨拶東京大学 藤井 輝夫 総長(約7分) 岸田総理 祝辞 令和5年7月4日(約23分) https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/04seisei_ai.html 首相から生成AIに関連するさまざまな期待や課題、展望について包括的なお話があった。我が国が今後、この新しい技術をどのように利用し関わりあうべきか、競争力の増強やリスク低減のための政府のさまざまな取組も含め、ビジョンが示された。博士課程、修士課程に所属する大学院生2名の質問を受け、国や産業界、学術界の果たすべき役割などについて、丁寧にお答えいただいた。 パネルディスカッション
宮川 美津子 総合法律事務所パートナー弁護士 パネリスト 西村 康稔 経済産業大臣 孫 正義 ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長執行役員 シェイン・グウ() 開発チーム幹部 松尾 豊 東京大学大学院 工学系研究科 教授(AI戦略会議座長) ChatGPTに代表される生成AIが、ビジネスや教育の現場に急速に浸透しつつある。爆発的な産業の発展も期待される一方、人間の代名詞である高度な知的活動がAIに取って代わられるのではないかという危惧が呈されている。生成AIの技術的な現状や今後の開発の方向性について議論された後で、AI開発における世界での動きや日本の位置づけ、日本政府による強力な支援策も含め、今後の生成AIの発展に日本の産業がどう関わっていくべきか、経済界・政界・アカデミアの立場でのビジョンが示された。
境田 正樹 総合法律事務所パートナー弁護士 パネリスト 村井 英樹 内閣総理大臣補佐官 郷治 友孝 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ() 代表取締役社長・マネージングパートナー 川原 圭博 東京大学大学院工学系研究科 教授(AI戦略会議構成員) 須賀 千鶴 経済産業省商務情報政策局情報経済課長/デジタル庁参事官 行政機関(政府・自治体)において、どのようなルールで生成AIを利活用するか、また、生成AIの利活用により行政をどのように効率化し、また、行政からイノベーションをどのように創出するか。行政機関で急速に議論が進んでいる現在の状況について紹介された。また、近未来的に急いで実施すべき施策から、より長期的な展望も含めた戦略まで、行政、民間、アカデミアにおける役割分担や連携も含めた広範な議論が行われた。パネリストからは、それぞれの立場や経験に基づく、力強いメッセージが学生へ送られた。
大井哲也 総合法律事務所 パートナー弁護士 パネリスト 松本 剛明 総務大臣 須藤 修 中央大学 国際情報学部 教授 平野 未来 シナモン代表取締役 宍戸 常寿 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授 生成AIについては、広島サミット首脳宣言において、「生成人工知能(AI)に係る議論を年内に行うため、「広島AIプロセス」を立ち上げるよう関係閣僚に指示する。」とされ、G7各国による議論が日本主導で行われることとなった。広島AIプロセスを通じて合意される生成AIのガバナンス等の在り方はどのようなものであるべきか、その国内実装のあるべき姿はなにかなどについて議論した。
坂田 一郎 東京大学総長特別参与・教授 パネリスト 西條 正明 文部科学省大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当) 太田 邦史 東京大学 理事・副学長 柴野 相雄 総合法律事務所 パートナー弁護士 宮尾 祐介 東京大学大学院情報理工学系研究科教授 下田 倫大 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社事業開発部長 AI分野は成長分野であり、これを牽引する大学等の役割は多岐にわたるが、日本のAI産業を発展させるためには先端的かつ専門的な研究・教育が不可欠である。研究・教育の在り方とともに研究・教育の成果をどのように産業に結びつけるか、研究・教育の成果をどのように守っていくか、という点などについて、研究室における実例の紹介や、これまでのAI技術発展の経緯などの紹介も含め、議論があった。 閉会挨拶 加藤 泰浩 東京大学大学院工学系研究科 研究科長(約3分半) 参加者への感謝とともに、今回のシンポジウムが生成AIに対する理解を深め、より良い未来社会へと我々が歩みを進めるための議論のきっかけになれば幸いである、という結びの挨拶があった 知財管理誌の6月号(Vol.73 No.6 2023)に掲載の論文「レーザ加工装置事件 令和3年(行ケ)第10111号」が著者の高橋政治弁理士の厚意で、下記からダウンロードできます。
https://chizai-jj-lab.com/2023/07/04/0704/ さらに、この論文では論文の分量(紙面量)の制約上いれられなかった3番目の論点「③ 加工対象物を限定すると装置発明は限定されるのか」についても掲載されています。 大変示唆に富むものでした。 レーザ加工装置事件──①除くクレームと新規事項追加,特許請求の範囲の減縮,進歩性 ②図面の記載に基づく補正・訂正── https://chizai-jj-lab.com/cjj/wp-content/uploads/2023/06/2023_06_chizaikanri.pdf 抄 録 本事件は,引用発明のみを除く「除くクレーム」とする補正を行うことで進歩性が認められた事案である。本事件および関連する裁判例から検討すると,引用発明における課題を解決するための必須構成要件を除くクレームとすることで,本発明の進歩性が認められる可能性があると考えられる。また,本事件は,図面に基づく補正が認められた事案である。図面に基づく補正や訂正が新規事項に該当するか否かを判断するにあたっては明細書等の記載が総合的に判断されるため,出願時明細書に本発明の基本的な技術思想,各構成の作用効果等を明記すべきであると考えられる。また,図面のみに基づく補正が新規事項追加ではないと認められる可能性は高いとは言えないものの,一方で,除くクレームは新規事項追加ではないと判断される可能性が高いため,図面に基づく補正であっても,可能であれば本事件のように,除くクレームであると主張したうえで,図面にも基づいていると主張するべきと考えられる。 令和3年(行ケ)第10111号 審決取消請求事件 判 決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/261/091261_hanrei.pdf 【特許★★】明細書中の図面から溝の不存在を看取し、除くクレームの訂正が認められた。引用発明は溝が必須であるから、阻害事由があるとして進歩性〇。 2022年10月26日 https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%e3%80%90%e7%89%b9%e8%a8%b1%e2%98%85%e2%98%85%e3%80%91%e6%98%8e%e7%b4%b0%e6%9b%b8%e4%b8%ad%e3%81%ae%e5%9b%b3%e9%9d%a2%e3%81%8b%e3%82%89%e6%ba%9d%e3%81%ae%e4%b8%8d%e5%ad%98%e5%9c%a8%e3%82%92%e7%9c%8b/ 令和4年(行ケ)第10030号「積層体」事件 「除くクレーム」と訂正要件 https://yorozuipsc.com/blog/410030 数値等の重複を避けるだけの「除くクレーム」での対応を試みる価値はある 29/3/2023 https://yorozuipsc.com/blog/6614236 除くクレーム 14/3/2022 https://yorozuipsc.com/blog/4130957 除くクレームの活用(補正/訂正要件、進歩性) 29/7/2021 https://yorozuipsc.com/blog/9352162 人工知能(AI)による特許情報検索システムであるAmplifiedは、従来の単語のマッチや統計的な類似性評価ではなく、Amplifiedは人間の判断を再現するように特許の全文の意味を学習したことで、類似性評価精度を向上させています。
今回、この独自の文献類似評価モデルに、新たに文書生成モデルを組み合わせることで、特許文献からの様々な推論や提案を行う機能を提供することを発表しました。 今回のリリースでは、既存のシステムに生成AIの得意な「キーワード提案機能」と、「特許文献要約機能」が既存システムに付け加わるという事で、有料ユーザー全員が新機能を利用できるという。また、秘匿性の高い情報を扱う業務での生成モデルの使用に不安を感じる利用者も安心して活用できるように、利用者が入力する情報を一切学習や生成に使わないころで、「発明活動という秘匿性の高い分野でも生成AIを抵抗なく使ってもらいたい」としています。 期待できそうです。 (この新機能の搭載で、2023年内に500社という契約目標の達成を目指しているということです。) 特許情報に基づく生成AIで技術者の特許情報利用を支援 生成AIによるキーワード提案や要約文書生成により特許情報活用と発明創出を加速 Amplified 2023年7月3日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000033344.html 米アンプリファイド、生成AIで発明支援 特許もとに 2023年7月3日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC266Z20W3A620C2000000/ 7月3日の朝日新聞朝刊の1面に、「特許の収益、税優遇検討 企業に研究開発促す 経産省」という記事が三段抜きの見出しで掲載されていました。
「経済産業省が、特許や著作権などが生み出した企業の所得に優遇税率を適用する「イノベーションボックス税制」の創設を検討していることが分かった。知的財産から生じるライセンス料などの所得を優遇することで、国内での研究開発投資を促す狙いがある。年末の税制改正での実現をめざす。」とのことですが、 『政府内には「優遇策を使えない業界との公平感も考える必要がある」と慎重論も根強い。どの分野が対象になるのか、今後議論になりそうだ。』と結んでいます。 経団連が2013年から要望してきたにもかかわらず、経産省はこれまで採用していませんでしたが、風向きがかわったようですので、この機会にぜひ実現していただきたいものです。 特許の収益、税優遇検討 企業に研究開発促す 経産省 2023年7月3日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15676905.html?ref=pcviewer 国内発の特許・著作権から得た企業収益に税優遇 経産省が制度検討 2023年7月3日 https://digital.asahi.com/articles/ASR6Z6D4CR6XUTFK00G.html 知財収入に税優遇案 医薬やソフトウエア対象 経産省、研究開発投資促す 2023年6月19日 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72000630Y3A610C2NN1000/ 特許やソフトウエアの知財から得る所得に軽減税率を適用する税制 20/6/2023 https://yorozuipsc.com/blog/8257068 今年の北大サマーセミナーは、8月26日(土)~8月29日(火)に、会場での受講とオンライン(Zoom)ライブ配信とのハイブリッドで行われるとのことで、6月30日から申込みが開始されました。
毎年行われている本セミナーでは、知的財産訴訟の最新の問題点とその対策を、一流の講師陣が、実務家向けにわかりやすく解説しています。今年度は、特許に関する課題が取り上げられています。 講師 髙部 眞規子(西村あさひ法律事務所弁護士):知的財産判例の形成と発展 韓 相郁(韓国 金・張法律事務所弁護士):メタバース、AI時代における知財紛争解決方法の望ましいモデル~紛争解決機関及び手続き等を中心に 田村 善之(東京大学大学院法学政治学研究科教授、北海道大学名誉教授):特許適格性要件の機能と意義、明細書記載要件:サポート要件と実施可能要件との関係~食品官能試験・バイオテクノロジーを素材として~ 中山 一郎(北海道大学大学院法学研究科教授):公衆衛生と特許権 駒田 泰土(上智大学法学部教授):ビジネス環境の国際化の進展と特許権の属地性 𠮷田 広志(北海道大学大学院法学研究科教授):特許法におけるパブリック・ドメインの保護 野中 啓孝(弁理士法人レクシード・テック弁護士・弁理士):数値限定発明に特有の留意点 金子 敏哉(明治大学法学部教授):特許権侵害による損害額の算定―近時の議論の焦点を中心に 2023年度 北海道大学サマーセミナー 最新の知的財産訴訟における実務的課題――特許法をめぐって―― https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/event/summer-seminar2023.html 各講義の概要(2023年度講義概要) https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2023/06/b1cfe7ba2ebc0e0513348b351bb47531.pdf 2023年4月~6月に発行された有価証券報告書(4694社)の記載をEDINETの書類全文検索画面から全文検索しました。 ブランド戦略85社、知財戦略78社、特許戦略10社で、ブランドへの関心が高いことがわかります。昨年の同時期の開示と大雑把に比較するといずれも増えており、とくに、知財戦略、IPランドスケープで大幅に増加していました。 IPランドスケープについて記載されていた会社(10社)を下記に記載しました。 知財に関しては、統合報告書への記載が増えていますが、今後、有価証券報告書への記載も増えるものと思われます。 7月6日に追加記載 ご要望に応え、2023年1月~3月に発行された有価証券報告書の記載をEDINETの書類全文検索画面から全文検索しました。 昨年の同時期の開示と大雑把に比較するとやや増えている、ほとんど変わらない、というところでしょうか。 ChatGPTなどの生成AIに対する著作権侵害の懸念が指摘されていますが、6月30日、文化審議会著作権分科会が開かれました。
今後、政策小委員会、法制度小委員会という2つの分科会で、生成AIと著作権に関する論点整理を行うことが決まったようです。 文化審議会著作権分科会(第68回)(第23期第1回) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/68/index.html 1開会 2議事 (1)文化審議会著作権分科会長の選出等について【非公開】 (2)第23期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について (3)小委員会の設置について (4)その他 3閉会 配布資料 資料1第23期文化審議会著作権分科会委員名簿 資料2文化審議会著作権分科会の議事の公開について(案) 資料3知的財産推進計画2023等の政府方針(著作権関係箇所抜粋) 資料4第23期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について(案) 資料5小委員会の設置について(案) 参考資料1文化審議会関連法令等) 参考資料2著作権分科会における審議状況と今後の対応(令和5年3月31日文化審議会総会資料2) 参考資料3著作権法の一部を改正する法律(概要) 参考資料4AIと著作権の関係等について 参考資料5インターネット上の海賊版による著作権侵害対策情報ポータルサイトについて 生成AIと著作権の論点整理へ 文化審議会著作権分科会の議論始まる 2023年6月30日 https://digital.asahi.com/articles/ASR6Z637BR6ZUCVL00R.html 6月28日開催されたセミナー「日本との比較から考える、アセアン主要6か国での知財権利化および権利行使時の注意点」(石川勇介弁理士、元ジェトロ・バンコク事務所)の録画が公開されました。
アセアン主要6か国の知財制度、日本との比較、日本の知財制度にはない制度(第1国出願義務など)、日本の知財制度とは異なる規定(職務発明規定、特許の共有の取扱い、医薬用途発明の取り扱い等)についてわかりやすい説明でした。 7月6日(木)の正午までの限定無料公開ということです。 「ぜひ、友人、知人、同僚、部下等にもご紹介ください。★★録画視聴方法についてのFAQをこちらのページにまとめましたので、必要に応じてご利用ください。 https://chizai-jj-lab.com/2022/12/21/faq/ 」 とのことです。 (無料セミナー)日本との比較から考える、アセアン主要6か国での知財権利化および権利行使時の注意点(6/28開催) https://chizai-jj-lab.com/2023/05/12/0628-2/ 出願後の技術水準の上昇と進歩性のレベル
「そーとく日記」2023年06月06日「時間的要件および評価的要件としての進歩性二要件:出願後の技術水準の上昇に埋もれゆく発明に求められる進歩性と均等論の適用について」Sotoku, 通号 11 号, 1-27 (2023)は、特許権の存続期間が出願から20年というのが妥当か?という視点から、その分野の知識を持つ技術者が独立に発明するとすれば、どれくらいの時間で発明できるか、という観念を「代表的独立創作時間」“RTC”(Representative Time of independent Creation)として、進歩性の水準を議論し、「今日の日本のように、発明の課題や効果を過剰に重視し、RTC が短い発明に特許権を付与するのなら、均等論が出る幕は限られる」とする議論をしています、難しい議論です。 時間的要件および評価的要件としての進歩性二要件 出願後の技術水準の上昇に埋もれゆく発明に求められる進歩性と均等論の適用について Sotoku, 通号 11 号, 1-27 (2023) https://thinkpat.up.seesaa.net/doc/Sotoku11-20230606.pdf atGPT導入の先頭を走るパナソニック コネクトでは直近3カ月の利用数は約26万回で、1日あたり5800回の利用と、想定の5倍以上となったということで、大規模言語モデルを活用した生成系AIは、定業務だけでなく非定型業務でも広範囲に活用可能だと想定、自社データを読ませた「自社特化AI」を展開するようです。
パナソニックコネクト、自社ChatGPTを「自社特化AI」として新開発へ。背景に「3カ月で26万回使われた」AI活用 6/29 https://news.yahoo.co.jp/articles/fadcd20d53ed5802cc3e2ad034e3808eabdd1647 パナソニックコネクト、社外秘情報にも対応する「自社特化AI」展開へ https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1512298.html リコーと理化学研究所数理創造プログラム(iTHEMS)は、特許や論文などの技術文書に記載されているキーワードから技術トレンドの変化点を把握する技術を開発したということです。
「データを使った技術トレンドの把握方法として、特許や論文などの技術文書に記載されているキーワードの分析が挙げられますが、時系列の変化パターンまでは考慮できておらず、新たな技術の兆し・変化点を定量的に捉えることは困難でした。 時系列データ中に出現するキーワードの増減パターンを数値で判別できるアルゴリズムとその可視化方法を開発し、特許や論文などの技術文書に記載されているキーワードから、技術開発における新たな兆し・変化点を抽出することができるようになりました。」 「本技術は、3つのステップから構成されます。 1. 折れ線グラフの面積計算ランドスケープによる急増度の判定 2. 2乗関数の面積(2nd moment)によるパターン分け 3. プロットによる可視化」 ということで、IPランドスケープなどにも使えそうです。 本技術は特許出願済みということですが、どんなふうに提供されるのでしょうか。 リコーと理研、特許・論文からトレンド テーマ探索に 2023年6月26日 https://www.nikkei.com/prime/tech-foresight/article/DGXZQOUC200OG0Q3A620C2000000 リコーと理研、文献データから技術トレンドの変化点を可視化する独自のアルゴリズムを開発 2023年6月14日 https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP657248_U3A610C2000000/ リコーと理化学研究所、文献データから技術トレンドの変化点を可視化する独自のアルゴリズムを開発 ~新たな技術の兆しの定量的な把握に成功~ https://jp.ricoh.com/release/2023/0614_1 |
著者萬秀憲 アーカイブ
July 2025
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