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除くクレームの活用(補正/訂正要件、進歩性)

29/7/2021

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Paragraph. ここをクリックして編集する.​7月29日 除くクレームの活用(補正/訂正要件、進歩性)
 
再開した高石秀樹弁護士のYouTube(弁護士高石秀樹の特許チャンネル)チャンネル第2段では、除くクレームの活用(補正/訂正要件、進歩性)についてわかりやすく解説されています。(約11分)
https://www.youtube.com/watch?v=MCoshkBBcRo
 
①『除くクレーム』~訂正要件/新規事項追加(※知財高裁大合議判決)
 
知財高判(大合議)平成18年(行ケ)10563『ソルダーレジスト』事件
※審決は訂正を認めて、拡大先願違反(特許法29条の2)を回避した。⇒審決維持
 
『『明細書又は図面に記載した事項』とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該補正は,『明細書又は図面に記載した事項の範囲内において』するものということができる。
 引用発明の内容となっている特定の組み合わせを除外することによって,本件明細書に記載された訂正前の発明に関する技術的事項に何らかの変更を生じさせているものとはいえないから,本件訂正が本件明細書に開示された技術事項に新たな技術事項を付加したものでないことは明らかであり,…願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。『除くクレーム』とする補正のように補正事項が消極的な記載となっている場合においても,…補正事項自体が明細書等に記載されていないからといって,当該補正によって新たな技術的事項が導入されることになるという性質のものではない。 』⇒新規事項追加ではない。拡大先願違反なし。
 
  • 『除くクレーム』~訂正要件/減縮といえるか?(※訂正要件×)
知財高判平成26年(行ケ)10204『経皮吸収製剤』事件<石井>
※除かれる部分が物として明確でないから、特許請求の範囲の減縮に当たらない。
「本件発明は,『経皮吸収製剤』という物の発明であるから本件訂正発明も,『経皮 吸収製剤』という物の発明として技術的に明確であることが必要であり,そのためには, 訂正事項3によって除かれる『経皮吸収製剤を収納可能な貫通孔を有する経皮吸収 製剤保持具の貫通孔の中に収納され,該貫通孔に沿って移動可能に保持された状態から押し出されることにより皮膚に挿入される経皮吸収製剤』も『経皮吸収製剤』という物として技術的に明確であること言い換えれば『経皮吸収製剤を収納可能な 貫通孔を有する経皮吸収製剤保持用具の貫通孔の中に収納され,該貫通孔に沿って 移動可能に保持された状態から押し出されることにより皮膚に挿入される』という使用態様が,経皮吸収製剤の形状,構造,組成,物性等により経皮吸収製剤自体を特定するものであることが必要というべきである。・・・使用態様によっても経皮吸収製剤 保持用具の構造が変われば,それに応じて経皮吸収製剤の形状や構造も変わり得るものである。…物として技術的に明確であるとはいえない。」⇒訂正要件 ×
 
  • 『除くクレーム』と訂正要件/新規事項追加
平成26年(ネ) 10080『スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法』事件(清水)
『… 「ソーダ中和された電解二酸化マンガンには小量のナトリウムが残ることが知られており,このナトリウム量は中和条件に依存する。また,ナトリウムで中和する代わりにカリウムで中和を行った場合も同様に電解二酸化マンガン中には少量のカリウムが残留し,このカリウム量は中和条件に依存する。」(段落【0006】)•••本件出願当時, 中和剤あるいは添加剤として用いられたナトリウムが,焼成後のリチウムマンガン複合酸化物やスピネル型 マンガンリチウムの結晶構造中に取り込まれることなく存在する場合があることや,その場合のナトリウムの具体的な存在形態を示す知見を認めるに足りる証拠はない。…』
『… 本件明細書には,「結晶構造中にナトリウムもしくはカリウムを実質的に含む」形態を除くスピネル型マンガン酸リチウムについて明示的な記載はなく,また,これが本件明細書の記載から自明な事項であるということもできないから,「(結晶構造中にナトリウムもしくはカリウムを実質的に含むものを除く。)」との技術的事項が,本件明細書に記載されているということはできない。』⇒新規事項追加。(明細書中に矛盾記載有り)
 
 
②『除くクレーム』と実質同一(特許法29条の2)
平成24年(行ケ)10433『太陽電池用平角導体』事件(富田)
 
 【請求項】体積抵抗率が50μΩ・mm以下で,かつ引張り試験における0.2%耐力値が90MPa以下(ただし,49MPa以下を除く)であることを特徴とする太陽電池用平角導体
 
『 …引張り試験における0.2%耐力値については,本願発明は90MPa以下で,かつ49MPa以下を除いているため,先願基礎発明の耐力に係る数値範囲(19.6~49MPa)を排除している。したがって,本願発明と先願基礎発明とは,耐力に係る数値範囲について重複部分すら存在せず,全く異なるものである。…
 本願発明は…耐力に係る数値範囲を90MPa以下(ただし,49MPa以下を除く)とすることによって,はんだ接続後の導体の熱収縮によって生じるセルを反らせる力を平角導体を塑性変形させることで低減させて,セルの反りを減少させるものである。これに対し,先願基礎発明は,…耐力に係る数値範囲を19.6ないし49MPaとすることによって,半導体基板にはんだ付けする際に凝固過程で生じた熱応力により自ら塑性変形して熱応力を軽減解消させて,半導体基板にクラックが発生するのを防止するというものである。そうすると,…両発明の課題が同一であるということはできない。』⇒特許〇
 
 
 
③『除くクレーム』と進歩性(特許法29条2項)
平成29年(行ケ)10032『導電性材料の製造方法(銀フレーク)』事件<高部>(一次判決)
⇒二次判決・平成30年(行ケ)10071<大鷹>は、拘束力を理由に同旨
 
『引用発明1の製造方法は,本件訂正発明9の「前記銀の粒子が互いに隣接する部分において融着し(但し,銀フレークがその端部でのみ融着している場合を除く),それにより発生する空隙を有する導電性材料を得る方法」とは異なる…。…引用例1は,銀フレークを端部でのみ焼結させて,端部を融合させる方法を開示するにとどまり,焼成の際の雰囲気やその他の条件を選択することによって,銀の粒子の融着する部位がその端部以外の部分であり,端部でのみ融着する場合は除外された導電性材料が得られることを当業者に示唆するものではない…。』⇒進歩性〇
*引用例の構成を「除く」クレーム⇒構成を変更する動機付けなし!!
 
平成30年(ネ)10006『システム作動方法』事件(カプコンv.コーエー)<鶴岡>
 【請求項1】ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶するとともに所定のゲーム装置の作動中に入れ換え可能な記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)を上記ゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって,…
 
『… 「キャラクタ」,「プレイ実績」の情報をセーブできない記憶媒体を採用すると,前作のゲームにおける「キャラクタ」,「プレイ実績」の情報が記憶媒体に記憶されないこととなり,「前作のゲームのキャラクタで,後作のゲームをプレイする」,「前作のキャラクタのレベルが16以上であると,後作において拡張ゲームプログラムを動作させる」という本件公知発明1を実現することができなくなることは明らかである。したがって,…本件公知発明1において,記憶媒体を,ゲームのキャラクタやプレイ実績をセーブできない「記憶媒体(ただし,セーブデータを記憶可能な記憶媒体を除く。)」に変更する動機付けはなく,そのような記憶媒体を採用することには,阻害要因がある。 』⇒進歩性〇
 
 
<特許庁>訂正2017-390031
 【請求項1】…抗体または抗体誘導体(ただし、抗体クローンAHIX - 5041:Haematologic Technologies社製、および抗体クローンHIX - 1:SIGMA - ALDRICH社製を除く)
 
 ⇒除かれた2つの公然実施発明(抗体)に基づいて 「凝血促進活性を増大させる」抗体を作成することは、当業者にとって容易想到ではなかった。
 
(審決抜粋)「…これら2つの抗体が『凝血促進活性を増大させる』ことまでが知られていたと認めるにたる証拠は示されていない。さらに、本件の優先日当時に、『第IX因子または第IXa因子に対する抗体または抗体誘導体」が「凝血促進活性を増大させる』ことが知られていたことを示す証拠もない。したがって、これら2つの抗体に基づいて『凝血促進活性を増大させる』抗体を作成することは、当業者にとって容易想到ではなく、訂正後の請求項1に係る発明は進歩性を有する…。」⇒進歩性〇
 
 
★引用例の構成を「除く」クレーム⇒構成を変更する動機付けなし‼
 
 
 
(まとめ/TIP)~『除くクレーム』の活用
 
①訂正要件~新規事項追加のメルクマール 『明細書又は図面に記載した事項』とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,補正が,このようにして導かれる 技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものである
(知財高裁大合議判決 『ソルダーレジスト』事件)
 
『スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法』事件判決⇒矛盾記載あり
 
②『除くクレーム』と実質同一(29条の2)~重複部分無し、課題が異なる
 
③『除くクレーム』と進歩性(29条2項)~動機付け無し、阻害要因あり《進歩性判断 における「付加」と「置換」(相違点の容易想到性)》
 
※本件発明が 「 A+B 」 であるときに ・・・ 、
①主引例 「 A 」 、 副引例 「 B 」 であれば 、 単なる B の付加 であり 、 容易想到 進歩性 × となり易い 。
⇒無効審判請求人は、相違点につき、主引例は不特定と主張すべき!!
 
他方、
 
② 主引例 「 A+C 」 、 副引例 「 B 」 であれば 、C を B に 置換 する ことの容易想到性が問題となる 。特に 、 C により既に課題を解決している場合は 、C を B に置 換する動機付けが論証し難い 。
⇒特許権者は、相違点につき、主引例は特定されていると主張すべき!!
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