偏光フィルム知財高裁大合議判決のサポート要件判断基準について、中村合同特許法律事務所 高石秀樹弁護士が、パテント Vol. 76No. 5(2023)で論じています。
高石秀樹弁護士は、『【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する 2 段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。』(パテント Vol. 76No. 5(2023))としています。 すなわち、『偏光フィルム知財高裁大合議判決は、サポート要件の判断基準として、 ❶条文の文言、及び ❷当業者が発明の課題を解決できると認識できるという要件に加えて、 ❸「パラメータ発明」については「本件発明はいわゆるパラメータ発明であり、サポート要件に適合するためには、発明の詳細な説明は、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか、又は、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載することを要する」と判示した。 この要件❸については、「パラメータ発明」に限らない一般的規範を判示した要件❷を「パラメータ発明」に特化して換言しただけであるという見解もあるが、理論的考察に加えて、大合議判決後の下級審判決で「パラメータ発明」が争われて判断されていることに鑑みると、要件❸に一定の意味があると考える。』 ということです。 要件❸は、「具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載する」という『作用機序(メカニズム)によるサポート』、又は、「技術常識を参酌して,当該数式が示す範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載することを要する」という『実施例によるサポート』のどちらのアプローチでも良いということで、わかりやすいと思っていました。 もっと深い意味がある、という議論は、なるほどと思いました。 特集<第28回知的財産権誌上研究発表会>(論考) 【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する2段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4196
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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