画像生成AI (Midjourney 5.2 , Stable-Diffusion XL 0.9, Adobe Firefly)の現状、映像生成AIの最先端、3D生成AIの最先端が紹介されています。進歩が目覚ましい感じです。
画像生成AIの最先端:画像生成AIの進化と映像・3D生成への拡張 https://www.youtube.com/watch?v=3HPKKwbj8_E 本講演ではStable-DiffusionやMidjourneyといった生成AIのサービスの変遷とそれぞれの特性の比較を行います。さらに、画像生成AIの応用例として、テキスト以外の情報を利用して生成画像をコントロールする技術、そして画像だけでなく映像を生成するtext-to-video、テキストから3D情報を復元するtext-to-3Dといった最新トピックを紹介します。 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-05_Ikehata.pdf
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文部科学省は、7月13日に、大学などでの教育活動における生成AIの取り扱いについて、それぞれの大学に指針を作るなどの対応を促す通知を出しました。
利活用可否の検討、利活用が想定される場面例として、「生成 AI を利活用することが有効と想定される場面としては、例えば、ブレインストーミング、論点の洗い出し、情報収集、文章校正、翻訳やプログラミングの補助等の学生による主体的な学びの補助・支援などが考えられる。この他にも、生成 AI は、今後さらに発展し社会で当たり前に使われるようになることが想定されるという視座に立ち、生成 AI の原理への理解、生成 AI へのプロンプト(質問・作業指示)に関する工夫やそれによる出力の検証、生成 AI の技術的限界の体験等により、生成 AI を使いこなすという観点を教育活動に取り入れることも考えられる。また、上記の学生による利活用以外にも、教員による教材開発や、効果的・効率的な大学事務の運営等に利活用することも考えられる。」 留意すべき観点として、生成AIの回答内容に事実関係の間違いが含まれることや、個人情報の流出、著作権の侵害などのおそれがあることも挙げ、取り扱いの方針やルールに反した場合の措置なども検討して示すことが望ましいとしています。 大学生の生成系AI活用実態を調査した結果が、7月7日にオンライン開催された【第67回】 大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム「教育機関DXシンポ」の発表のひとつ「大学生の生成系AI活用実態と今後の展望」(約14分)です。九州大学の発表です。 https://www.youtube.com/watch?v=wWYryI0RdvE 大学生のAI利用意識_アンケート調査(n=584)では、生成系AIの利用経験(活用している26.9%、触れたことがあるが活用していない35.8%)、生成系AIへの期待(10段階の7点以上が7割以上で、期待が高い)、AI活用への抵抗感(抵抗感があるのが2割弱、抵抗感なしが6割以上)、なるほどという結果です。 各大学の生成系AIへの対応調査では、AI 活用䛾ガイドライン (n=61)をみると、2割が推進、2割が規制、5割が中立。 大学生の生成系AI活用事例では、事例 ①:就活における活用事例(短期間で多くの企業のページの確認を効率化したくて、 ChatGPT で自分が知りたい情報のみを抽出してもらう)、事例 ②:プログラミングにおける事例1 (詳しくなくても、周りに聞ける人がいなくても一人でプログラムを書くことができた)、事例 ③:プログラミングにおける事例2(まずは自力で解決を試み、検索しても分からない場合 ChatGPT に解決策を求める)。 学生の生成系AI活用事例は、作業の効率化、スキル活用の補助の2つのカテゴリに分けられる。 九州大学で生成系AI活用が進んでいる理由は、多くの学部でプログラミングの授業が必修となっているので、プログラミングに触れた経験があるため、活用のイメージが湧きやすいため。 今後の展望は、大学生にとって生成系AI䛿よきパートナーとなる。活用で学びが加速。 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-06_Norizoe_Yi_Ikeda.pdf 生成AIの取り扱い 大学に指針を作るなどの対応促す通知 文科省 2023年7月13日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230713/k10014128551000.html 大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて(周知) https://www.mext.go.jp/content/20230713-mxt_senmon01-000030762_1.pdf 令和5年3月27日判決言渡の令和4年(行ケ)第10009号 特許取消決定取消請求事件(「ガス系消火設備」事件)は、「甲1発明、甲2技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。」との異議の決定に対して取り消しを求めた事件。
裁判所は、甲2技術的事項について、甲2には、特許庁が認定した技術的事項(ラプチャーディスクを用いることなく、「複数のシリンダーからのガス供給を開始する時点をずらすという技術思想」)を読み取ることはできないと判示しました。 また、周知技術については、特許庁が認定した周知技術「複数の消火ガス容器の開弁時期を制御部によりずらして防護区画へ消火ガスをあ/導入する手段が、本件出願前、ガス系消火設備の技術分野において周知であった」が周知技術であったとしても、当業者が、甲1発明において、上記周知技術を適用することについての動機付けがあることを認めるに足りる証拠や論理付けがないと判示しました。 主引用発明に副引用発明から技術的事項を抽出し、周知技術と組み合せて容易想到と判断された場合においては、副引用発明の上位概念化により強引に技術的事項が抽出されていないか、証拠や論理付けなく周知技術が適用されていないか、特許庁の判断をよく検討する必要があることがわかる例です。 令和5年3月27日判決言渡 令和4年(行ケ)第10009号 特許取消決定取消請求事件 判決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/973/091973_hanrei.pdf 特許 令和4年(行ケ)第10009号「ガス系消火設備」(知的財産高等裁判所 令和5年3月27日) 2023.06.20 https://www.soei.com/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%80%80%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%88%E8%A1%8C%E3%82%B1%EF%BC%89%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%99%E5%8F%B7%E3%80%8C%E3%82%AC%E3%82%B9%E7%B3%BB/ 令和4年(行ケ)第10009号「ガス系消火設備」事件 2023/05/31 https://unius-pa.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/R04_gyouke_10009.pdf 「ガス系消火設備」事件 (知財高判令和5年3月27日 令和4年(行ケ)第10009号) 2023.04.28 https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/12_2022_Gyo-Ke_10009.pdf カシオ計算機の腕時計「G-SHOCK(ジーショック)」初号機の形状が立体商標として登録されたとのことです。
審査では、令和3年8月12日付けで拒絶理由通知を受け、同年9月29日受付で意見書を提出したものの、同4年4月11日付けで拒絶査定されています。これに対して、同年7月15日に拒絶査定不服審判が請求され、令和5年5月23日付けで「原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。」とする審決が下されています。 審決では、 「上記アの認定事実によれば、本願商標に相当する形状を備える請求人商品は、その後継商品も含めると、1983年の発売以降に約40年の販売期間があり、その販売実績も長期にわたる安定した販売数量をあげ、むしろ近年にかけて販売数量は増加傾向にある。また、広告宣伝として、請求人商品などの商品写真を伴う商品紹介記事が継続してメディアを通じて掲載、放映されており、それら記事情報によれば、請求人商品は、請求人ブランド(G- SHOCK)を象徴する代表的なモデルに位置づけられ、その形状は、従来の腕時計にはない、耐衝撃性を備える独特の形状からなると評価されている 。そして、本件アンケート調査によれば、日本全国に居住する16歳以上の男女のうち、本願商標に相当する画像から、請求人との関連を回答できたのは、多肢選択式の回答も考慮すれば、6割を超える。 そうすると、本願商標に相当する立体的形状(ベゼル、ケース、バンド)は、請求人商品が備える独特な商品形状として、その指定商品に係る需要者の間において、相当程度認知され、請求人に係る出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至っていると認められる。 したがって、本願商標は、請求人による使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。」 と判断されており、本願商標の使用実績(甲9、甲174、甲178)や、本願商標(商品の形状)が自他商品の識別機能を獲得している証拠(甲77、甲126、甲159など)とともに、2021年9月9日付け調査報告書(甲143)で、日本全国に居住する16歳以上の男女1,100人を調査対象としたインターネットによるアンケート調査結果を示したことが決め手となったようです。 調査では、導入質問の後に、本願商標に相当する画像を示して、思い浮かぶブランドやメーカーなどを自由回答式で尋ね、次に同様の質問を多肢選択式で尋ね、調査対象者のうち、請求人又はその関連商品(カシオ、G-ショックなど)を回答したのは、自由回答式で55.09%、多肢選択式で66.27%という結果となっています。 さらに、上申書において、出願人は甲第204号証として、「日本を代表する知的財産法学者であり、商標のアンケート調査に関する第一人者であられます一橋大学大学院法学研究科教授、井上由里子先生ご執筆にかかる鑑定意見書」を追加提出しています。 『本鑑定意見書では、請求人が審査段階で提出した需要者アンケート(甲第143号証︓2021年6月実施)により得られた測定結果が「本願商標が『使用による識別力』(3条2項)を獲得するに至っていることを示すものといえる」と明確に述べられています(本鑑定意見書7頁16行目乃至18行目2.3.「鑑定意見の結論」より。)。』 カシオさん、さすが。 商標登録6711392 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-052961/4C292AF7EC757FA4839D5A183C5CD03F26CB611F7C8FE287759DC74012A8EBB2/40/ja カシオ「Gショック」初号機、立体商標に登録…八角形の外枠など認知 2023/07/15 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230714-OYT1T50435/ G-SHOCK立体商標に 初号機、八角形の形状で模倣対策 2023年7月13日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13C9I0T10C23A7000000/#:~:text=%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%BA%81%E3%81%8C%E3%80%81%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%82%AA%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%A9%9F,%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%A8%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82 G―SHOCK立体商標に 初号機、八角形の形状 2023年07月13日 https://www.47news.jp/news/9582848.html 商標登録6711392 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-052961/4C292AF7EC757FA4839D5A183C5CD03F26CB611F7C8FE287759DC74012A8EBB2/40/ja 日経ビジネス2023年7月17日号の「知財経営ランキング 特許で攻める村田製作所」は、参考になる情報満載です。
「知的財産をうまく活用し、イノベーションにつなげている企業」として、Patentsightの評価手法を用い、過去2年間の被引用件数を基にランキング化、2020年末時点と22年末時点でそれぞれ算出したボイントに基づき、成長度合いを「イノペーションモメンタム(Innovation Momentum) 」としてランキング化したということです。 PART1 特許価値成長ランキング見えない価値で探るイノベーション企業群 この「特許価値の成長に基づく分析から、日本経済の隠れた姿が明らかになった。」ということです。上位40社がリスト化されています。 PART2 首位・村田製作所、知財で未来を創る 屈辱から始まった戦略見直し INTERVIEW村田製作所の中島社長に聞く「技術トレンドを読み、M&Aの成功を導く」 PART3 素材・化学、しぶとさの理由 逆風を乗り越える「攻め」の特許戦略 PART4 上位に食い込んだ新興2社 スタートアップ、高速成長の裏に知財あり PART5 人的資本だけじゃない 求められる情報開示 知財を経営の本丸に 知財経営ランキング 「特許を生かす40社」一挙公開 https://business.nikkei.com/ 除くクレームは、権利範囲をできるだけ広く取得したい場合に、使い勝手の良い方法です。こんなに認められてよいのかな、という感覚はありますが。
7月12日に行われた知財実務情報Lab. 高橋政治弁理士の「除くクレームが新規事項追加になる場合があるのか? 除くクレームによって進歩性を出せるのか?」というセミナーの録画が専用サイトで公開されました。(約1時間3分) 高橋政治弁理士は、知財管理2023.6月号「レーザー加工装置事件①除くクレームと新規事項追加、特許請求の範囲の減縮、進歩性、②図面の記載に基づく補正・訂正」の著者でもあります。 下記サイトから登録することで、録画が見られ資料もダウンロードできます。 https://chizai-jj-lab.com/2022/12/21/faq/ 目次 1.除くクレームが新規事項追加になる場合があるのか︖
除くクレームで進歩性OK 令和3年(行ケ)第10111号 https://yorozuipsc.com/blog/ok-310111 Youtubeにアップされている動画「論理的推論と深層学習ベース自然言語処理の組み合わせによる判決推論」(国立情報学研究所情報学プリンシプル研究系 佐藤 健 教授)では、ChatGPTに聞いた例を示し、
「生成系AIでは論理的な推論を行っておらず、与えられたコンテクストで一番出現しやすい言葉をつないで文章を作っているので、もっともらしいが、間違いも多く、精査しないと使えない。」 「法的推論はまだ記号処理系AIに利点が存在する。」 「現在の法学へのAI応用は、言葉の重みづけのような浅い知識の活用にとどまる。より高度な支援のためには、論理的推論のような高度な推論や、常識的な知識が必要。したがって、生成系AIと記号処理系AIとの適切な融合が今後のキーとなる。」 としています。 生成系AIと記号処理系AIとの適切な融合を期待したいと思います。 論理的推論と深層学習ベース自然言語処理の組み合わせによる判決推論(約16分半) https://www.youtube.com/watch?v=0vtzeo5hG4g 我々は、判決推論をシミュレートする論理ベースの法的推論システム「PROLEG」を開発してきた。PROLEGシステムでは、法律条文や最高裁判例を原則ルールと例外として表現し、事件を事実述語で表現することで、判決に至る推論過程を示すことができる。しかし、弁護士がこのシステムを利用するには、事件の事実を論理的に表現する必要があり、障壁となっていた。 この講演では、自然言語で書かれた事件描写から事実述語に抽出する方法を提案する。この手法は、深層学習を用いた固有表現認識(Name Entity Recognition)に基づいており、通常のNERよりも詳細な固有表現を認識できる。 論理的推論と深層学習ベース自然言語処理の組み合わせによる判決推論 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-04_Satoh.pdf 「ChatGPTはなぜ計算が苦手なのか」京都大学大学院情報学研究科 湊 真一教授の動画「約24分」を視聴しました。
ChatGPTの基本構造では計算が難しいこと、同様に、ChatGPTの基本構造では「特許」や「文献」にIDを付けることをしていないので、回答に関連する特許や文献を正しく生成することは難しいことの理屈がよくわかりました。 ChatGPTはなぜ計算が苦手なのか https://www.youtube.com/watch?v=61XuTQpm7NU ChatGPTは、統計的な学習モデルによって、驚くほど滑らかに自然な対話を自動生成することができ、ここ半年の間にも社会に多大なインパクトを与えつつある。一方でChatGPTは、数を数えることや掛け算のような計算問題を解くのは苦手であり、小学生でも解けるような問題をしばしば間違えることが知られている。本講演では、アルゴリズムや計算量の観点から、ChatGPTがなぜ計算問題が苦手なのかを述べ、ChatGPTの能力の限界や、計算手順を理解するとはどういうことかについて論ずる。 「ChatGPTはなぜ計算が苦手なのか」 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-03_Minato.pdf パテントVol. 76 No. 5(2023)の「我が国において知的財産発のイノベーションがなぜ起こらないのか-知的財産権活用の実務的側面である知的財産権法務、実務、投資判断担当者間における相互理解の欠如に焦点を当てて-」は、「米国、中国からは、いわゆるGAFAと呼ばれるような巨大IT企業は誕生するものの、世界トップクラスの経済大国である日本からなぜ知的財産権発のイノベーションが起こらないのか。」と問うています。
「知的財産発のイノベーション」という言葉に引っかかりながらも、『発明者と、投資家、実業家、法律家などとの間に「発明内容の産業的価値(事業成功可能性)」に関する理解の壁がある』『技術的不確実性の問題を重視し、小粒な分かりやすい案件を中心として、リスクマネーの回収を重視して、多くの資金が運用されてきた』などはその通りでしょう。 我が国において知的財産発のイノベーションがなぜ起こらないのか https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4198 日本でイノベーションが起きない「根本的な誤解」 内田氏が警鐘 2022年07月12日 https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00679/00001/ WIPO⽇本事務所では様々なトピックのウェビナー(オンラインセミナー)を日本語で開催(参加無料)しています。
既に終了したウェビナーについても、アーカイブ動画を公開していることが多く、その時に視聴できなくとも後で視聴でき、資料のpdfも公開されているので便利です。 直近では、2023年7月12日に「最近の意匠制度をめぐる動向と施策の紹介」があり、すでに資料もアップされています。また、2023年7月26日に「最近の商標制度をめぐる動向と施策の紹介」があります。 過去のものは、下記のとおり。 2023年7月7日 シリコンバレーから見た米国のスタートアップの特許動向 2023年6月23日 中南米・中東アフリカの知的財産概況 2023年6月22日 マドリッド制度における名義変更、名義人の表示変更、代理人の管理手続 2023年6月9日 インドの知的財産概況 2023年5月31日 米国の知的財産概況 2023年5月25日 ASEANの知的財産概況 2023年5月23日 国際登録出願の準備 - 出願書類の作成方法と欠陥通報を回避するポイント 商標(マドリッド) 2023年5月18日 韓国の知的財産概況 2023年5月16日 欧州の知的財産概況 2023年4月13日 中国の知的財産概況 WIPO⽇本事務所ウェビナー https://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/webinars_in_japanese.html Apple は、米国で「Apple Music」を、保護対象にライブ演奏を含む形で商標出願していましたが、ライブ演奏に関する類似商標権者からの申立に先使用権を主張するという戦術ミスにより、すべての登録が拒絶されるという結果になったということです。
戦術ミスとは思えませんが、それほどむずかしい案件だということでしょうか。 Apple、戦術ミスで「Apple Music」商標登録に失敗 https://www.zaikei.co.jp/article/20230709/728887.html Apple、「Apple Music」の商標取得は不可~個人音楽家に権利 https://news.livedoor.com/article/detail/24573556/ Apple Music trademark denied, after tactical error by company https://9to5mac.com/2023/07/07/apple-music-trademark-denied/ APPLE JAZZ Mark Owner Vindicated at CAFC with Denial of Apple’s Petition for Rehearing https://ipwatchdog.com/2023/07/06/apple-jazz-mark-owner-vindicated-cafc-denial-apples-petition-rehearing/id=163058/ 知的財産高等裁判所の平成 29 年(ネ)第 10090 号「ピタバスタチン製剤医薬品」事件判決は、数値限定発明に対する先使用権を否定した判決で、先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例です。
こういう考え方だと、『製造当時のサンプル薬を所持し、必要に応じて、事後的に請求項記載の構成要件の規定に関係する成分を測定し、範囲内に含まれることを主張するだけでは発明の完成すら証明できない場合があることは留意すべきである。本判決からすれば、未だ出願もされていない内容と同じ発想で、サンプル薬を製造した時点で成分等を測定することや、数値範囲内に管理することが必要であることになり、先使用権の立証は非常に難しいと考えられる。』となります。 『主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例』と言われています。 パテントVol. 76No. 5の論文「特許発明実施の判断における課題を解決する意図の考慮」は、「特許発明は設定課題(発明者が解決しようと意図した主観的な課題)を解決する解決手段についての思想であることからするならば、特許発明実施の判断において、被疑侵害者の特許発明の設定課題を解決する意図を考慮すべきであると考える。すなわち、被疑侵害行為が特許発明の解決手段の具現化であっても、被疑侵害者に特許発明の設定課題を解決する意図がないときには、被疑侵害行為は特許発明の実施ではないとすべきであると考える。」との考え方もその通りと言いたくなります。 数値限定発明に対する先使用権を否定した事案 平成 30 年 4 月 4 日 平成 29 年(ネ)第 10090 号 「ピタバスタチン製剤医薬品」事件 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/3204 【特許★★】(傍論であるが、)先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例。主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例。(「医薬」事件(東和薬品v.興和)) https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%E3%80%90%E7%89%B9%E8%A8%B1%E2%98%85%E2%98%85%E3%80%91%EF%BC%88%E5%82%8D%E8%AB%96%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8C%E3%80%81%EF%BC%89%E5%85%88%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%8C%BB%E8%96%AC%E3%81%8C%E7%99%BA/ 2018.04.04 「東和薬品 v. 興和」 知財高裁平成29年(ネ)10090 https://www.tokkyoteki.com/2018/05/20180404-v-2910090.html 『東京地裁、医薬特許に対する先使用権の成立を否定』 http://www.abe-law.com/wp/wp-content/uploads/2018/01/180123Newsletter.pdf 平成29年(ネ)10090号「医薬」事件 https://unius-pa.com/infringement_lawsuit/5751/ 特許法の先使用権に関する一考察(2)-制度趣旨に鑑みた要件論の展開- https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/76026/4/54_05-Tamura.pdf 特許発明実施の判断における課題を解決する意図の考慮 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4197 偏光フィルム知財高裁大合議判決のサポート要件判断基準について、中村合同特許法律事務所 高石秀樹弁護士が、パテント Vol. 76No. 5(2023)で論じています。
高石秀樹弁護士は、『【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する 2 段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。』(パテント Vol. 76No. 5(2023))としています。 すなわち、『偏光フィルム知財高裁大合議判決は、サポート要件の判断基準として、 ❶条文の文言、及び ❷当業者が発明の課題を解決できると認識できるという要件に加えて、 ❸「パラメータ発明」については「本件発明はいわゆるパラメータ発明であり、サポート要件に適合するためには、発明の詳細な説明は、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか、又は、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載することを要する」と判示した。 この要件❸については、「パラメータ発明」に限らない一般的規範を判示した要件❷を「パラメータ発明」に特化して換言しただけであるという見解もあるが、理論的考察に加えて、大合議判決後の下級審判決で「パラメータ発明」が争われて判断されていることに鑑みると、要件❸に一定の意味があると考える。』 ということです。 要件❸は、「具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載する」という『作用機序(メカニズム)によるサポート』、又は、「技術常識を参酌して,当該数式が示す範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載することを要する」という『実施例によるサポート』のどちらのアプローチでも良いということで、わかりやすいと思っていました。 もっと深い意味がある、という議論は、なるほどと思いました。 特集<第28回知的財産権誌上研究発表会>(論考) 【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する2段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4196 「大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件」では、他社の特許権を侵害した会社の取締役らに対し、会社法429条1項に基づき、侵害者である会社と同等の損害賠償責任を認める判決でした。この判決では、専門家から非抵触の鑑定を得ていたにもかかわらず、取締役が会社と同等の個人責任を問われました。
この判決を、会社法第 429 条第 1 項の法的性質、他の裁判例との比較から検討したのが、パテント誌2023年5月号に掲載されている「特許権侵害事例における取締役個人の特許権者に対する損害賠償責任」と題する論文です。 取締役の善管注意義務の判断に広く用いられる経営判断原則に即した判断基準が提案されており、なるほどと思いました。 特許権侵害事例における取締役個人の特許権者に対する損害賠償責任 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4202 要 約 知的財産権侵害に関する紛争では侵害行為の主体とされる法人等に対する責任追及が行われるのが通常である。しかし、事案によっては、会社法 429 条第 1 項に基づき、侵害行為の主体とされる法人の取締役個人に対する責任追及が行われることも珍しくない。そこで本稿では、本条の法的性質等について概観した上で、複数の裁判例を題材に取締役に課される善管注意義務の内容及びいかなる場合に任務懈怠に関する重過失が認められるかについて検討を行った。その結果、善管注意義務の内容は「取引実施に当たっては、第三者の特許権を侵害しないよう配慮すべき義務」という点で概ね一致していた。しかし、具体的な判断基準に関しては、「中立的な専門家の意見聴取」等の調査義務の存在が示唆される一方、特許権侵害の可能性の多寡にかかわらず実施行為の停止ないし損害賠償相当額の留保等の経営判断が求められるなど著しい相違があることが明らかとなった。 目次 1.はじめに 2.会社法第 429 条第 1 項の法的性質等 3.取締役の責任を認めた裁判例 4.取締役の責任を認めなかった裁判例 5.大阪地判令和 3 年 9 月 28 日発明 119 巻 1 号 41 頁(裁判例⑦) 6.裁判例①ないし⑥と裁判例⑦の比較を踏まえた善管注意義務の判断基準について 7.おわりに 特許権侵害と取締役の対第三者責任 大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 https://innoventier.com/wp-content/uploads/2022/09/672f38f962e3d966bd0d8c2f32d574aa.pdf 特許権侵害の不法行為により特許権者に損害を与えた会社の役員個人に対し、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事例[大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号] https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/202201news.pdf ≪特許権侵害行為を行った会社の代表取締役および取締役に対する会社法429条1項に基づく損害賠償請求が認容された事例≫ 【令和3年9月28日(大阪地裁 令和元年(ワ)5444号)】 https://www.ip-bengoshi.com/archives/5743 【裁判例】令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 2022.02.16 https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13211.html 特許権侵害と取締役の責任 26/8/2022 https://yorozuipsc.com/blog/8279117 7月5日に公表された国立研究開発法人産業技術総合研究所の情報漏えい事案に係る再発防止策について、ChatGPTに、この対策について問題点を指摘してもらいました。なかなか鋭い指摘です。
**You:** 産業技術総合研究所の研究データが中国企業に漏洩した事件では、業務⽤のメールアドレスを使って研究情報を送信していたが、産総研はすぐに把握できなかったなど情報管理の⽢さが露呈した形で管理体制の強化が問われています。 産業技術総合研究所は再発防⽌策を公表しました。この対策について問題点を指摘してください。 **ChatGPT:** 産業技術総合研究所が公表した再発防⽌策の内容は以下の通りです。 1.モニタリングの強化: システム上の不審な動きを早期に探知し、情報漏えいを未然に防ぐために、情報システム、通信回線及び機器等で取り扱う情報のモニタリングを強化します。 2.採⽤・受⼊時等の適格性審査の強化: 採⽤・受⼊時における技術情報管理等の観点も踏まえた適格性審査を強化します。現職員は、兼業の⼿続きなどを改めて研修を通じて確認し、必要に応じて懸念される者の調査を引き続き⾏います。 3.技術情報の管理の厳格化: 技術情報については、情報の重要性に応じて、エリア管理、技術情報へのアクセス制限等をさらに強化し、厳格に管理します。 4.職員等の意識向上: 個々の研究内容や業務内容の確認を徹底するとともに、技術情報管理等における緊急特別研修を実施しています。今後も定期的に研修を実施していきます。 5.対策等の継続的なフォローアップ: 当⾯の対策の内容とその実施状況に関して、外部専⾨家によるレビューを⾏います。その結果を踏まえ、取組の改善や追加的な対策の実施を含め、再発防⽌を徹底していきます。 これらの対策について、以下のような問題点が考えられます。 1.具体性の⽋如: 上記の対策は⼀般的であり、具体的な⼿法やツールが⽰されていない。具体的な実施計画や⽬標が明確でないと、効果的な対策がとられるかが不透明です。 2.⼈的要因の考慮不⾜: 情報漏洩は往々にして⼈的要因によるものであるため、職員の意識向上だけでなく、内部監査やホイッスルブロー制度の強化など、⼈的要因に対する対策も重要です。 3.外部との連携: セキュリティ問題は⽇進⽉歩であり、外部の専⾨家や他の研究機関との連携を通じて、最新の脅威や対策について学ぶ必要があります。ただし、外部専⾨家によるレビューは⾔及されていますが、これをどの程度積極的に⾏うかが不明です。 4.データの分類と保護: すべてのデータが同じように扱われるべきではなく、機密性の⾼いデータは特別な保護が必要です。データの分類とそれに基づく保護レベルの設定が必要です。 5.緊急対応計画: もし情報漏洩が発⽣した場合の緊急対応計画が必要です。これには、漏洩した情報の特定、関係者への通知、対策の実施などが含まれます。 6.透明性と報告: 内部だけでなく、外部に対してもセキュリティ対策の進捗や結果を定期的に報告し、透明性を確保することが重要です。 7.リスク評価: 定期的なリスク評価を⾏い、新たな脅威や脆弱性に対して適切に対応できるようにする必要があります。これらの点を考慮し、具体的かつ総合的な対策を講じることが、情報漏洩の再発防⽌には必要です。 研究情報管理に甘さ、業務用メアドで送信 産総研漏洩 2023年7月5日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE260ZI0W3A620C2000000/ 情報漏えい事案に係る再発防止策について 令和5年7月5日 国立研究開発法人産業技術総合研究所 https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20230705_2.html ・情報漏えい事案の概要について https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/announce/au2023/0705_2/jiangaiyou0705.pdf ・再発防止策について https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/announce/au2023/0705_2/saihatsuboushi0705.pdf NECは、7月6日、日本市場向けに、大規模言語モデル(LLM)のライセンスのほか、ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなどを提供する生成AIサービス「NEC Generative AI」について発表しました。コンサルティングからソフトウェア、ハードウェア、データセンターまでをワンストップで提供することが特徴で、「NEC Generative AI Service Menu」として順次提供予定としており、コンサルティング、ナレッジエンジニアリング、教育、環境構築のサービスは7月、LLMは8月に先行評価、ソフトウェアとハードウェアは10月に提供(ハードウェアは評価版)開始の予定とのこと。
NEC社内では5月から生成AIの社内業務利用を開始しており、資料作成時間の50%削減、議事録作成の時間を平均30分から約5分に短縮、社内システム開発におけるソースコード作成業務の効率化で工数80%の削減、といった成果が出ているということです。 また、ソフトバンクは7月7日、生成AI(人工知能)を開発するためのスーパーコンピューターの整備に約200億円を投じると発表、経産省はこの事業に53億円を補助することを発表しました。 ChatGPTなどに対抗できるかどうかはわかりませんが、日本語データがしっかり事前学習された大規模言語モデル(LLM)が登場することは歓迎すべきことだと思います。 NEC、生成AIの総合サービス「NEC Generative AI」の提供を開始 2023年7月7日 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1514481.html NECが国産“生成AI”を発表 「デジタル敗戦」を経て日本企業が生き残る術は顧客ニーズへの最適化 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/587389 NEC、独自生成AIを法人向けに提供 8月から https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC066PT0W3A700C2000000/ NEC、日本市場向け生成AIを開発・提供開始 ~業種ナレッジの構築を目指したカスタマープログラムを開始~ https://jpn.nec.com/press/202307/20230706_01.html NEC “国産”生成AI 事業売り上げ目標 3年間で500億円規模 2023年7月6日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230706/k10014120461000.html NECが生成AI提供開始 高い日本語能力 2023/7/6 https://www.sankei.com/article/20230706-E5XD3NEQVNP37AZQ3OVCL47WI4/#:~:text=%EF%BC%AE%EF%BC%A5%EF%BC%A3%E3%81%AF%EF%BC%96%E6%97%A5%E3%80%81%E7%94%9F%E6%88%90,%E9%96%A2%E9%80%A3%E3%81%A7%E5%A3%B2%E3%82%8A%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A0%E3%80%82 ソフトバンク、生成AI向けスパコンに200億円 経産省も補助 2023年7月7日 https://digital.asahi.com/articles/ASR776601R77ULFA01D.html ソフトバンクは7日、生成AI(人工知能)を開発するためのスーパーコンピューターの整備に約200億円を投じると発表 経産省はこの事業に53億円を補助 政府がソフトバンクの生成AI向けに補助金約50億円 https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/readings/1443?fbclid=IwAR391T_rq8mG1_vLBxA27j3rYR3h8jCIaTfj23MEb0Ymn9RyILfoXpqg5X0 ソフトバンクのスパコンに補助 経産省、生成AI開発で 2023年7月6日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA064GB0W3A700C2000000/ 引用文献に一行記載された化合物(5-アミノレブリン酸リン酸塩)(5-ALAホスフェート)が本願発明の新規性を否定する「引用発明」と言えるかが争点となり、無効審判において新規性ありと判断した審決を知財高裁が支持しています。
新規の化学物質に係る発明の新規性の判断において、「引用発明」と認定するためには、「刊行物に製造方法を理解し得る程度の記載がない場合には、当該刊行物に接した当業者が、思考や試行錯誤等の創作能力を発揮するまでもなく、特許出願時の技術常識に基づいてその製造方法その他の入手方法を見いだすことができることが必要である」との「判断基準」を明確に提示していて、特許・実用新案審査ハンドブック3207にも同趣旨の記載がありますので、この点では、裁判所と特許庁の間に齟齬はなさそうです。 ただ、「特許出願時の技術常識」をどう見るかが難しい。 令和4年(行ケ)第10091号 審決取消請求事件 判決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/964/091964_hanrei.pdf 特許 令和4年(行ケ)第10091号「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」(知的財産高等裁判所 令和5年3月22日) 7月5日(水)配信 https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-07-05-6067 2023.03.22 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和4年(行ケ)10091(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) - 刊行物に新規化学物質の発明が記載されているといえるか(引用発明の適格性)の判断基準 - https://www.tokkyoteki.com/2023/04/2023-03-22-r4-gyo-ke-10091.html 「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」事件 (知財高判令和5年3月22日 令和4年(行ケ)第10091号) https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/09_2022_Gyo-Ke_10091.pdf 特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」について引用発明の適格性を否定した事例 https://www.ohebashi.com/jp/newsletter/IPNewsletter202306.pdf 特許・実用新案審査ハンドブック 第 III 部 第 2 章 新規性・進歩性 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/03.pdf#page=12 3207 刊行物に記載された発明を引用発明とすることができない例 審査基準「第 III 部第 2 章第 3 節 新規性・進歩性の審査の進め方」の 3.1.1(1)b 審査官は、刊行物に記載されている事項及び記載されているに等しい事項か ら当業者が把握することができる発明であっても、以下の(i)又は(ii)の場合は、 当該刊行物に記載されたその発明を「引用発明」とすることができない。 (i)物の発明については、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づい て、当業者がその物を作れることが明らかでない場合 (ii)方法の発明については、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づ いて、当業者がその方法を使用できることが明らかでない場合 例えば、刊行物に化学物質名又は化学構造式によりその化学物質が示されて いる場合において、当業者が出願時の技術常識を参酌しても、当該化学物質を 製造できることが明らかであるように記載されていないときは、当該化学物質 は「引用発明」とはならない(なお、これは、当該刊行物が特許文献であり、引 用発明とした当該化学物質を選択肢の一部とするマーカッシュ形式の請求項を 有するものである場合に、その請求項が第 36 条第 4 項第 1 号の実施可能要件を 満たさないことを意味しない。) 「サマリア」は、ChatGPTを活用した「特許文書(公開公報,特許公報)の効率的な読解を支援するAIアシスタントサービス」ですが、7月5日のアップデートで、特許公報の独自要約などをまとめて作成することができるようになりました。
特に、英語、中国語の特許公報に記載されている「要約」は読みにくいものであることが多いため、独自要約により、海外文献の読解作業が大幅に効率化できるのではないかと思います。 今のところ、「サマリア」は無料で使えますので、一度触ってみることをお勧めします。 サマリア機能アップデート2023/07/05 https://www.youtube.com/watch?v=aZHIQe-jQaw 2023/07/05 サマリア機能アップデート 1. 複数の特許文書に対して一括でAIアシスタントへ質問する一括処理機能 複数の特許文書に対して「わかりやすく説明して」などの質問をまとめて適用する「一括処理」機能が実装されました。 これにより、クライアントや研究開発部署へ特許公報リストを提供する際に、特許公報の独自要約などをまとめて作成することができます。 【主な利用シーン】 ・知財担当者がSDIにより発見した特許公報(国内外)をサマリを添付して研究開発部署へ送付する際 ・クリアランス調査、無効資料調査等においてサーチャーがクライアントへ納品する際のサマリ添付する際 特に、英語、中国語の特許文書に対しても日本語で回答させることが可能なため、海外文献の読解作業を大幅に効率化することができます。 特許公報に記載されている「要約」は一般的に読みにくいものであるため、一括処理機能により特許公報の読解負担を軽減することができます。 2. 簡単質問に、「請求項1の説明」「課題・解決手段の説明を追加 簡単質問の質問文に、以下の2つが追加されました。 ・ 請求項1をわかりやすく説明して ・ 課題・解決手段をわかりやすく説明して(日本語のみ) ・ 「請求項1をわかりやすく説明して」 明細書の特許請求の範囲の「請求項1」の内容を解説してもらいたい場合に使用します。 「請求項1」の内容を、明細書の内容を考慮してAIアシスタントがわかりやすく解説します。 ・ 「課題・解決手段をわかりやすく説明して(日本語のみ)」 日本語の明細書の「解決しようとする課題」「課題を解決するための手段」の箇所を、AIアシスタントがわかりやすく解説します。 明細書の記載事項に基づき、明細書の概要を短時間で把握したい場合に便利な機能です。 これらの簡単質問は「一括処理」機能においても使用することができます。 特許文書読解アシスタント「サマリア」 https://patent-i.com/summaria/ 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、7月4日に発表した、日本語に特化した400億パラメーターの生成AI(LLM:大規模言語モデル)は、まだ試作品で、さらに大規模な1790億パラメーターのLLMを開発中ということです。
「日本語のWebデータのみで学習」というところに引っかかるところはありますが、「国産」生成AIの開発がもっと進むことを期待しています。 日本語に特化した大規模言語モデル(生成AI)を試作~日本語のWebデータのみで学習した400億パラメータの生成系大規模言語モデルを開発~ 2023年7月4日 国立研究開発法人情報通信研究機構 https://www.nict.go.jp/press/2023/07/04-1.html 情報通信研究機構、日本語対応の生成AI 企業と連携へ 2023年7月4日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC039XT0T00C23A7000000/ 400億パラメータで日本語特化 NICT、独自の生成AIを試作 「GPT-3」と同規模のモデルも開発中 2023年07月04日 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2307/04/news174.html 日本語で学習した小規模な生成AI、情報通信研究機構が開発…著作権侵害防ぐ機能も 2023/07/04 https://www.yomiuri.co.jp/science/20230704-OYT1T50168/ 情報通信研究機構、日本語に特化した生成AIを試作 製品化も視野 毎日新聞 2023/7/4 https://mainichi.jp/articles/20230704/k00/00m/300/209000c 2023.07.04 「国産」生成AIの開発競争過熱 NICT、日本語特化モデル試作 https://dempa-digital.com/article/450583 日本語の生成AI開発 国の研究機関、性能アップ着手 2023年07月04日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023070400985&g=eco 日本語AI開発、国立法人も 「チャットGPTにかなわないが意外とつくれる」 情報通信研究機構 2023年7月5日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15679084.html 7月4日に行われた、東大×生成AIシンポジウム「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」では、岸田総理が祝辞を述べ、西村経済産業大臣、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長などが参加され、4つのテーマのパネルディスカッションが行われました。
特に、第1部の孫正義会長兼社長の話、OpenAI ChatGPT開発チーム幹部 シェイン・グウ(Shane Gu)氏の話が印象的でした。 動画がアップされていますので、ぜひ視聴していただきたいと思います。 第1部 生成AIが切り拓く未来(約55分) 第2部 行政機関(政府・自治体)における生成 AIの利用と課題(約46分) 第3部 広島AIプロセスについて(約58分) 第4部 生成AIと研究・教育(約56分) 東京大学でAIシンポジウム(2023年7月4日) https://www.youtube.com/watch?v=I-FtyWkQFZc 「チャットGPT」などの対話型AI=人工知能が急速に拡大していくなか、日本社会の展望について、政府や経済界、識者らが議論するシンポジウムが東京大学で開かれました。 岸田総理大臣「生成AI、本当に世界に大きな衝撃を与えています。この分野の技術の進歩は目まぐるしいわけであります」 シンポジウムで挨拶した岸田総理大臣は、「世界と比較して現時点で日本のAIに関する開発力が高くない」としたうえで、「研究者や企業が技術を向上できるよう、政府として支援していく」と述べました。一方、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、「AIは平均的な人間の100万倍、1兆倍と圧倒的に賢くなる」と述べ、「日本は今こそAIに、真正面から最大限に取り組むべきだ」と訴えました。 日テレNEWS 孫正義氏 生成AI・日本の取り組みに苦言「ガラケーになっちゃいけない」 https://news.ntv.co.jp/category/economy/b6d34b48fc0a4925805d9771fe02d691 ソフトパンクグループの孫正義会長は4日、世界中で研究開発が進む生成AIについて、日本の取り組み方に苦言を呈しました。 これは4日、ソフトバンクグループの孫正義会長が生成AIをテーマにした東京大学でのシンポジウムの中で「脇道にそれたような研究開発とか解決策というのは所詮、枝葉に過ぎない」などの発言をしたものです。 孫会長はさらに「小さな電気代を節約するとか、ちまちましたようなことを言っていると、あっという間に日本は取り残されてしまう」 「ガラケーになっちゃいけない」と、生成AIの本筋の研究開発に取り組むことの重要性を強調しました。 これに対して出席していた西村経産大臣は「効率的な、最先端のGPU(画像処理装置)、チップを日本は作る。これでやりたいと思ってます」と述べました。 岸田首相 AI開発で研究者やスタートアップ企業支援へ 2023年7月4日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230704/k10014118411000.html 生成AIシンポ 孫正義社長らが日本の開発投資の重要性を強調 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230704/k10014118231000.html ソフトバンクG孫氏「日本はAIに最大限取り組むべき」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB038QK0T00C23A7000000/ 孫正義氏「人のあり方議論する時」 生成AIシンポ、岸田首相も登場 https://mainichi.jp/articles/20230704/k00/00m/300/237000c G7原則、有志国とも共有 首相、東大AIシンポで https://www.tokyo-np.co.jp/article/260946 日本語の生成AI開発 国の研究機関、性能アップ着手 2023年07月04日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023070400985&g=eco 東大×生成AIシンポジウム 令和5年7月4日 総理の一日 https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/04seisei_ai.html 東大×生成AIシンポジウム「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」 日時|2023年7月4日(火)12時30分~17時 場所|東京大学安田講堂 共催|東京大学大学院工学系研究科、TMI総合法律事務所 https://www.t.u-tokyo.ac.jp/ev2023-07-04 開会挨拶東京大学 藤井 輝夫 総長(約7分) 岸田総理 祝辞 令和5年7月4日(約23分) https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/04seisei_ai.html 首相から生成AIに関連するさまざまな期待や課題、展望について包括的なお話があった。我が国が今後、この新しい技術をどのように利用し関わりあうべきか、競争力の増強やリスク低減のための政府のさまざまな取組も含め、ビジョンが示された。博士課程、修士課程に所属する大学院生2名の質問を受け、国や産業界、学術界の果たすべき役割などについて、丁寧にお答えいただいた。 パネルディスカッション
宮川 美津子 総合法律事務所パートナー弁護士 パネリスト 西村 康稔 経済産業大臣 孫 正義 ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長執行役員 シェイン・グウ() 開発チーム幹部 松尾 豊 東京大学大学院 工学系研究科 教授(AI戦略会議座長) ChatGPTに代表される生成AIが、ビジネスや教育の現場に急速に浸透しつつある。爆発的な産業の発展も期待される一方、人間の代名詞である高度な知的活動がAIに取って代わられるのではないかという危惧が呈されている。生成AIの技術的な現状や今後の開発の方向性について議論された後で、AI開発における世界での動きや日本の位置づけ、日本政府による強力な支援策も含め、今後の生成AIの発展に日本の産業がどう関わっていくべきか、経済界・政界・アカデミアの立場でのビジョンが示された。
境田 正樹 総合法律事務所パートナー弁護士 パネリスト 村井 英樹 内閣総理大臣補佐官 郷治 友孝 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ() 代表取締役社長・マネージングパートナー 川原 圭博 東京大学大学院工学系研究科 教授(AI戦略会議構成員) 須賀 千鶴 経済産業省商務情報政策局情報経済課長/デジタル庁参事官 行政機関(政府・自治体)において、どのようなルールで生成AIを利活用するか、また、生成AIの利活用により行政をどのように効率化し、また、行政からイノベーションをどのように創出するか。行政機関で急速に議論が進んでいる現在の状況について紹介された。また、近未来的に急いで実施すべき施策から、より長期的な展望も含めた戦略まで、行政、民間、アカデミアにおける役割分担や連携も含めた広範な議論が行われた。パネリストからは、それぞれの立場や経験に基づく、力強いメッセージが学生へ送られた。
大井哲也 総合法律事務所 パートナー弁護士 パネリスト 松本 剛明 総務大臣 須藤 修 中央大学 国際情報学部 教授 平野 未来 シナモン代表取締役 宍戸 常寿 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授 生成AIについては、広島サミット首脳宣言において、「生成人工知能(AI)に係る議論を年内に行うため、「広島AIプロセス」を立ち上げるよう関係閣僚に指示する。」とされ、G7各国による議論が日本主導で行われることとなった。広島AIプロセスを通じて合意される生成AIのガバナンス等の在り方はどのようなものであるべきか、その国内実装のあるべき姿はなにかなどについて議論した。
坂田 一郎 東京大学総長特別参与・教授 パネリスト 西條 正明 文部科学省大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当) 太田 邦史 東京大学 理事・副学長 柴野 相雄 総合法律事務所 パートナー弁護士 宮尾 祐介 東京大学大学院情報理工学系研究科教授 下田 倫大 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社事業開発部長 AI分野は成長分野であり、これを牽引する大学等の役割は多岐にわたるが、日本のAI産業を発展させるためには先端的かつ専門的な研究・教育が不可欠である。研究・教育の在り方とともに研究・教育の成果をどのように産業に結びつけるか、研究・教育の成果をどのように守っていくか、という点などについて、研究室における実例の紹介や、これまでのAI技術発展の経緯などの紹介も含め、議論があった。 閉会挨拶 加藤 泰浩 東京大学大学院工学系研究科 研究科長(約3分半) 参加者への感謝とともに、今回のシンポジウムが生成AIに対する理解を深め、より良い未来社会へと我々が歩みを進めるための議論のきっかけになれば幸いである、という結びの挨拶があった |
著者萬秀憲 アーカイブ
May 2025
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