知財実務オンライン第104回「企業における知的財産活動 ~ ブランド保護活動事例の紹介」(株式会社アシックス 法務・知財統括部 齊藤 浩二氏)では、アシックスのブランド保護活動事例が紹介されました。
https://www.youtube.com/watch?v=10L1WjJLZgU 目次 1. アシックスにおける知的財産組織とその役割、姿勢 2. 知的財産活動に求められる戦略的思考 3. 知的財産を取り巻く社会動向 4. 戦略的ブランド保護活動事例の紹介 アシックス コーポレート・ガバナンス報告書 https://www2.jpx.co.jp/disc/79360/140120220316506369.pdf 4)知財戦略【補充原則3-1-3】 当社のビジョンである「スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」にもあるように、当社の事業の競争力の源泉は技術であり、世界の人々が健康で幸せな生活を実現できる製品やサービスを提供するために、最新の技術を用いて事業に取り組んでいます。 そしてこの技術を強い特許で守るだけでなく、「知的技術」へと昇華し、当社の企業価値向上に戦略的に貢献する重要なツールとして、知的財産の戦略的な獲得及び活用を実施しています。これは、当社が開発した製品に係る特許や商標の獲得による伝統的な権利保護のみならず、IPランドスケープを用いた競合他社戦略の分析を通じて知的財産的側面での競争優位性を確保するための事業提案、経営提案も含むものであります。 そしてこれらの知的財産と経営を一体化させたいわゆる「知財経営」の実践を企図し続けていきます。 今年に入り、当社はこの「知財経営」を更に推し進めるため、全社の経営幹部(各部署の最高責任者)をメンバーとする社長直轄の諮問機関「知財戦略委員会」を立ち上げました。この全社横断組織を通じて、中期経営計画に掲げる3つのテーマ(デジタル、パーソナル、サステナブル)に関わる知的財産戦略を定期的に議論し経営に組み込んでいくことを志向しています。そして何よりも、ASICSというブランドが当社にとっての最大の知的財産と考えており、「知財経営」の実践がブランドの保護、ブランド価値の向上、ひいては企業価値向上に戦略的に貢献するとの認識の下、今後も知的財産戦略の強化を目指してまいります。 ASICS統合報告書2021 https://assets.asics.com/system/media_libraries/1423/file.pdf?_ga=2.86386648.1162820615.1659189263-1195929082.1659189263 2022年 5月 9日 アシックスの中国における商標武装した模倣品との闘い https://yorozuipsc.com/blog/2245669 2022年 4月12日 アシックスの知財戦略の推進と知財戦略委員会の設立 https://yorozuipsc.com/blog/8322877 2022年 2月10日 アシックスが牛に靴を売る?スポーツメーカーの強みを活かす新戦略 https://yorozuipsc.com/blog/1976053 2022年 1月21日 アシックス「王者奪還」への執念「Cプロジェクト」 https://yorozuipsc.com/blog/c
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「統合報告における価値創造プロセスの検討-DKSのケーススタディ-」では、2017年の第一工業製薬(DKS)グループの統合報告書における価値創造プロセスが詳細に検討されています。当時の坂本社長(現会長)へのインタビューもあり、2021年版と比較するとその深化がわかります。
統合報告における価値創造プロセスの検討-DKSのケーススタディ- https://scholar.google.co.jp/scholar?q=%E7%B5%B1%E5%90%88%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BE%A1%E5%80%A4%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%A4%9C%E8%A8%8E%EF%BC%8D%EF%BC%A4%EF%BC%AB%EF%BC%B3%E3%81%AE%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%A3%EF%BC%8D&hl=ja&as_sdt=0&as_vis=1&oi=scholart DKSレポート 2021 https://www.dks-web.co.jp/rc_pdf/rc2021.pdf 第一工業製薬 コーポレート・ガバナンス報告書 https://www2.jpx.co.jp/disc/44610/140120220615579818.pdf 中期経営計画「FELIZ 115」 https://www.dks-web.co.jp/ir/strategy/index.html 「・・・知的財産権を用いなくても産学連携がうまくいくことはいくらでもあるのに、大学と企業の双方が産学連携の成功を願いながらも、その契約の知的財産に関する条項でもめるケースは多い。一体、何をもめているのだろうか。自問自答しながらその課題をピックアップし、また、留意点や、解決に向けた提案に言及し、最後に筆者の考える産学連携の理想像を紹介したい。」という、いかにも青木さんらしい導入で始まる『「産学連携契約」―知的財産に関する課題とコーポレートガバナンス・コードの改定―』(知財ぷりずむ 2022年4月)は、産学連携で契約に携わっている人におすすめの論説です。
「日本の大学が税金を使っているので、差し止めなどの侵害排除に踏み切れないという宿命も踏まえれば、外国特許権だけ取得し、日本企業は自由に実施でき、外国特許権は共同研究をした企業に譲渡し、その使い方を企業に委ねることも、現状よりは妥当な気がする。」などの極論も披露されていますが、本質をついたいくつかの提案がなされています。 https://www.chosakai.or.jp/intell/contents22/2204.htm https://www.chosakai.or.jp/intell/contents22/202204/202204_3.pdf 「産学連携契約」―知的財産に関する課題とコーポレートガバナンス・コードの改定―
2. 2 産学連携推進時代へ 2. 3 具体的な施策の時代 2. 4 具体的な内容紹介
3. 2 企業認識(データ) 3. 3 企業間の共同研究との相違 3. 4 筆者の活動
4. 2 共有権利の出願維持費用(原則企業負担) 4.3 共有権利の出願維持費用(実施・優先期間との関係) 4.4 出願維持費用についてのまとめ
5.2 共有権利にかかる発明の企業実施(不実施補償) 5.3 まとめ
6. 2 第三者への許諾(共有特許)
7.2 権利にならないもの 7. 3 特許権の譲渡 7. 4 その他の問題点 7. 5 まとめ
8. 2 不実施補償と独占実施補償 8. 3 独占禁止法
9. 2 知の移転のために 9. 3 理想のサイクル 毎年発行されている「特許行政年次報告書」の2022年版が公表されました。
2022年版の報告書では、国内外の出願・登録状況や審査・審判の現状を、より効率よく把握できるよう、統計情報に重点を置き、ポイントを絞った記載にするとともに、これまでの<本編>及び<統計・資料編>の2分冊を合本し、コンパクトな報告書となっています。 2022年版の報告書から知ることができるポイントは、 ・2021年の特許出願件数及び特許審査請求件数は前年より増加した。 ・外国人による日本への特許出願件数では、中国のみではなく米国・欧州からの日本への出願件数が前年より増加した。 ・商標審査の一次審査通知の件数(FA件数)が前年比23.3%増と大幅に増加した。 であるとのことです。 https://www.meti.go.jp/press/2022/07/20220727002/20220727002.html 日経新聞が取り上げたのは、「21年の商標登録、最多の17万件超 登録まで2カ月短く」という記事で、特許庁は審査に関わる調査などで人工知能(AI)を導入したり、外部委託したりすることで効率化を進めていたこと、商標の審査官も17年から40人ほど増やしていることも紹介しています。 21年の商標登録、最多の17万件超 登録まで2カ月短く https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA273ZB0X20C22A7000000/ 企業の知財担当にとっては、特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報、意匠登録件数上位20社(2021年)の登録件数推移、商標登録件数上位20社(2021年)の登録件数推移が、会社の実績が成績表のように公表されるので、毎年気になります。 特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/document/index/020210.pdf 意匠登録件数上位20社(2021年)の登録件数推移 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/document/index/020211_12.pdf 商標登録件数上位20社(2021年)の登録件数推移 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/document/index/020211_12.pdf 国内スタートアップ計1353社の経営者を調査対象として、スタートアップとのオープンイノベーションに積極的な大企業の人気を調査した「イノベーティブ大企業ランキング」の2022年度版を2022年7月26日に発表。ランキングの1位と2位は、昨年に引き続きKDDI、トヨタ自動車だったとのことです。
KDDIが1位 オープンイノベーションに積極的な大企業 https://www.projectdesign.jp/articles/news/9339911f-65c6-40b7-b0e7-494fcdb89c68#:~:text=%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%9D%E3%83%B3%EF%BC%88%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E6%96%B0%E5%AE%BF,KDDI%E3%80%81%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82 有望スタートアップ企業が選ぶ「イノベーティブ大企業ランキング2022」 結果を発表! https://port.creww.me/innovation/105723 7月8日に行われた「医療、ライフサイエンス、バイオの企業が知っておきたい 知財戦略と契約 by IP BASE in 神戸」の開催報告がアップされていました。
スタートアップ向けですが、米国バイオベンチャーから学ぶ薬事・ 開発戦略を見据えた特許戦略、オープンイノベーション促進のためのモデル契約書、秘密保持契約(契約はオーダーメイドで~秘密保持契約を例に~)など参考になります。 オンラインセミナー「医療、ライフサイエンス、バイオの企業が知っておきたい 知財戦略と契約 by IP BASE in 神戸」を開催しました! https://ipbase.go.jp/event/report/2022/07/event-0722.php 本ブログ7月22日に取り上げました。 https://yorozuipsc.com/blog/8622642 パテントVol. 74 No.7 P.108(2021)に掲載されている「統合報告書に記載された知的財産に関する取り組み」では、日経 225 採用銘柄(日経平均株価を構成する 225 社)で統合報告書を発行していた 215 社のうち,68 社(約 31.6%)に知的財産に関する取り組みの記載が見られ、調査結果の概要及び特に記載内容が印象に残った 8 社(中外製薬、デンソー、キヤノン、Z ホールディングス、東宝、昭和電工、荏原製作所、バンダイナムコホールディングス)の知的財産に関する取り組みを紹介しています。
コーポレートガバナンス・コード改訂前のものではありますが、参考になります。 統合報告書に記載された知的財産に関する取り組み https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3825 エバラ時報No. 262(2021年10月)に、「荏原製作所における知財価値評価とその活用」と「座談会 開発・発明をビジネスにつなぐ知財戦略−技術を守る特許出願の数と質を向上させる取り組み−」が掲載されています。地道な知財活動が積み重ねられていることがわかります。
荏原製作所における知財価値評価とその活用 https://www.ebara.co.jp/jihou/no/list/detail/262-6.html 当社では世界金融危機後に特許出願数が減り知財活動の危機を経験したが,知財活動の見直しを行う機会になり,特許出願数も回復させることができた。知財活動の目的は事業活動から得られる利益を最大化することである。我々はそれに基づいた新たな知財価値評価の考え方を構築し,出願数だけでなく質も高められるよう,知財ポートフォリオ管理,リスク管理,情報分析,協創といった観点で知財活動の向上を図ってきた。本稿では知財価値評価の考え方や,知財戦略や業務改善を含む知財価値評価の活用状況について述べる。 座談会 開発・発明をビジネスにつなぐ知財戦略−技術を守る特許出願の数と質を向上させる取り組み− https://www.ebara.co.jp/jihou/no/list/detail/262-5.html 荏原グループは,研究開発型企業として,数多くの知的財産(知財)を産み出してきました。知財は,長期ビジョンE-Vision2030の実現のためにも欠かせない企業資産で,今後もさらなる強化が期待されます。 そこで,風水力事業,環境プラント事業,精密・電子事業,3つの事業体の知財への取り組み,知財部門との関わり,知財活動の今後をお聞きするため,各事業体の研究開発部門から,駒井さん,松岡さん,渡辺さんに参加していただき,コーポレート知財の髙栁さんとオンライン座談会を行っていただきました。 荏原グループの研究開発現場での知財活動の未来を探ります。 GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」 https://www.gpif.go.jp/esg-stw/20220315_corporate_governance_report.pdf 荏原製作所は、 2票獲得。 最終更新日:2022年4月5日 株式会社 荏原製作所 コーポレートガバナンス報告書 https://www2.jpx.co.jp/disc/63610/140120220330514485.pdf 7月20日付けの東洋経済ONLINE『経営目標に「非財務KPI」、導入進むも玉石混淆 ストーリー見えない「アリバイ工作」的目標も』は、旭化成、三井化学の取り組み例をあげながら、『中期や長期の経営計画のKPI(重要業績評価指標)に、営業利益やROEといった財務の目標だけでなく、非財務の目標を盛り込む企業が増えてきた。変化の激しい時代に、成長への道筋を可視化することで企業評価を高める効果などがあるようだ。一方で、有識者からは「機関投資家からの評価稼ぎ目的で、中身のないものが多い」という指摘も出ている。』、『非財務KPIは国内で一般化してきたが、現状は〝石が多めの〟「玉石混淆」のようだ。今はまだ、大きな差は出ていなくとも、非財務KPIにどう取り組むかは5年、10年先の企業評価を分ける分水嶺になるかもしれない。』としています。なかには、「アリバイ工作」的目標もあるとのことで、そう見られないようにしなければいけないでしょう。
旭化成では、同社が重視するモビリティやデジタル、ヘルスケア関連など10の事業(GG10)関連の有効特許件数の割合を、2021年度の30%超から2030年度に50%超へ高めることも重要目標に入っており(経営説明会2022 P.46)、同社の知財重視経営が際立っているかもしれません。 経営目標に「非財務KPI」、導入進むも玉石混淆 ストーリー見えない「アリバイ工作」的目標も https://toyokeizai.net/articles/-/604529?page=2 中期や長期の経営計画のKPI(重要業績評価指標)に、営業利益やROEといった財務の目標だけでなく、非財務の目標を盛り込む企業が増えてきた。変化の激しい時代に、成長への道筋を可視化することで企業評価を高める効果などがあるようだ。一方で、有識者からは「機関投資家からの評価稼ぎ目的で、中身のないものが多い」という指摘も出ている。 旭化成は、この4月から始まった3カ年の中期経営計画(2022年度~2024年度)の中で、中計としては非財務KPIを初めて打ち出した。同社が重視するモビリティやデジタル、ヘルスケア関連など10の事業(GG10)関連の有効特許件数の割合を、2021年度の30%超から2030年度に50%超へ高めることや、デジタルプロ人材を2024年度に2021年度比で10倍の2500人程度に増やすことなどを重要目標に掲げた。 大坪知央IR室長は、「投資家の間では非財務情報が企業価値を評価するうえで欠かせないという認識が強まっており、ニーズや要望を重視した」と説明する。 非財務項目とはいえ、財務目標との関連性を重視した点がミソだ。項目の中には、経営基盤の強化に関わるものが多い。「経営基盤が固まれば、そこに乗っかる各事業で高いパフォーマンスが発揮できるようになり、財務のKPI、売り上げや利益も高まる」(大坪氏)という考えからだという。有効特許件数をGG10とひも付けたのも、GG10を成長エンジンに利益を拡大させる財務目標とつながっている。 三井化学も、2030年度までの長期経営計画に非財務KPIを組み入れている。同社が独自に重視する環境貢献製品などの売上収益の拡大、後継者候補準備率(戦略重要ポジションに就けそうな後継者候補数÷戦略重要ポジシ ョン数)や従業員エンゲージメントスコアの引き上げなどを重要目標として追いかける。 同社が非財務KPIを掲げた一因は、強まる事業環境の不確実性だ。橋本修社長は「外部要因によって営業利益が想定通りに進んで(増えて)いなくとも、多方面な視点で着実に実績を上げていると確認できれば、目標に向かって進んでいるとわかる」と話す。 ESGの取り組みと利益の向上の両立が求められるため、社員のストレスが増大することも想定される。橋本社長は「(非財務KPIで)自身の進歩、変革が進んでいることを理解することが、モチベーションや原動力になる」と語る。非財務KPIは社外向けのみならず、社内向けに会社が目指す方向性の共通理解の形成にも役立つという考えだ。 旭化成 中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~ の策定について 2022年4月11日 説明資料 https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/initiative/pdf/220411jpn.pdf 旭化成株式会社 知財戦略説明会 2022年7月7日 https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/business/pdf/220707.pdf 旭化成グループ 知的財産報告書 2022 https://www.asahi-kasei.com/jp/r_and_d/intellectual_asset_report/pdf/ip_report2022.pdf 「月刊 研究開発リーダー 」2022年7月号の<特集2>『後発でも勝てる特許出願と権利化戦略』の「先発企業の特許網の調査、弱みの特定と特許出願・権利化戦略」を執筆しました。
『後発で勝つための特許ポートフォリオ (特許網) の分析と構築』(株)IP調査塾 代表取締役 松尾 健司氏、『後発ならではのメリットと後発でも勝てる特許戦略』加藤弁理士事務所 代表 弁理士 加藤 実氏、『参入障壁となる先行企業の特許網を破る、攻略する方法』湘南国際特許事務所 所長 弁理士 牧山 皓一氏も、読みごたえがあります。 ご参考まで。 https://www.gijutu.co.jp/doc/magazine/R_2022_07.htm 「先発企業の特許網の調査、弱みの特定と特許出願・権利化戦略」 1.はじめに 後発で市場に進出する場合、市場の壁、技術の壁、知的財産権の壁があり、これらの壁を打破できるか否かが鍵となる。強力な特許網で先発メーカーが圧倒的なシェアを持っていた市場へ参入する場合には、参入障壁となる先発企業の特許網をくぐり抜けて、自社技術で先発企業の商品・サービスを凌ぐ品質の商品・サービスを作り上げ、さらに競合他社が同様の品質の商品・サービスを実現できないように強力な特許網を構築していく必要がある。 2.参入障壁となる先発企業の特許網の調査と弱みの特定 2.1 先発企業の特許の調査と参入障壁となる特許網の特定 2.1.1 障害特許のピックアップ 2.1.2 特許網としての技術を理解し、参入障壁となる特許網を特定 2.2 先発企業の特許網の弱みの見つけ方 2.2.1 特許網構築の考え方 2.2.2 特許網の弱みの見つけ方 2.3 先発企業の個別特許の弱みの見つけ方 2.3.1 審査プロセス確認、審査官判断の妥当性検討 2.3.2 審査における先行技術調査の妥当性検討 2.3.3 外国出願のある場合は外国での審査状況検討 2.3.4 特許庁が行う通常の検索では調査しない範囲で調査を実施 2.3.5 記載要件違反の検討 3.後発で勝つための特許出願・権利化戦略 3.1 顧客も気付いていない潜在的なニーズ・ウォンツの見つけ方 3.2 先発企業との差別化技術の開発推進 3.3 参入障壁としての特許網の作り方 4.おわりに 【 第196号 内容】 月刊 研究開発リーダー 2022年7月号 <特集2> 『後発でも勝てる特許出願と権利化戦略』 1.『後発で勝つための特許ポートフォリオ (特許網) の分析と構築』 ■(株)IP調査塾 代表取締役 松尾 健司 2.『後発ならではのメリットと後発でも勝てる特許戦略』 ■加藤弁理士事務所 代表 弁理士 加藤 実 3.『先発企業の特許網の調査、弱みの特定と特許出願・権利化戦略』 ■よろず知財戦略コンサルティング 代表 萬 秀憲 4.『参入障壁となる先行企業の特許網を破る、攻略する方法』 ■湘南国際特許事務所 所長 弁理士 牧山 皓一 https://www.gijutu.co.jp/doc/magazine/R_2022_07.htm “後発で勝つ”ための研究開発・知財戦略の立て方、進め方 発 刊 : 2020年9月30日 体 裁 : A4判 723頁 ※書籍絶版 オンデマンド版 33,000円(税込) (上製本ではありません) ISBN:978-4-86104-905-7 https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2064.htm 「数値限定発明の憂鬱」と題する7月21日に行われた知財実務オンラインのアーカイブ動画を視聴しました。 現在の実務では、数値限定発明は明細書の書き方の工夫で権利化できる場合が多く、審査が一番厳しく、審判、知財高裁にあがるにつれ権利化できる範囲が広がっています。いったん権利になると、第三者の先使用権の主張は認められにくいが、記載要件等で無効になることが多く、有効であっても権利範囲の確定に困難性を伴うため、訴訟提起しても勝ち切ることがむずかしいという状況です。数値限定発明が、産業の発展に寄与するよりも、むしろ弊害になっているのではないか、こうした現状を、野中弁護士・弁理士は、「数値限定発明の憂鬱」と表現されています。 企業の知財担当者としては、競争に負けないために、ルールに則って最善を尽くします。もはやこの問題は、ルールを変更しない限り解決しないのではないか、という点はその通りかもしれません。 (第103回)知財実務オンライン:「数値限定発明の憂鬱」(弁護士法人レクシード / 弁理士法人レクシード・テック / レクシードグループ代表社員 弁護士・弁理士・工学修士(化学) 野中 啓孝氏)(約1時間50分) https://www.youtube.com/watch?v=iauqkoQmMzE&t=3044s 数値限定発明に特有の留意点の解説 明細書作成時から特許訴訟時まで (現代産業選書 知的財産実務シリーズ) 著者 野中 啓孝 (著) https://books.chosakai.or.jp/books/catalog/30633.html 数値限定発明の憂鬱を解消しよう! 元エンジニアの特許弁護士が、数値限定発明にテーマを絞り、明細書作成時から特許訴訟時までの留意点を分かりやすく解説する。 ◎主要目次 第1章 はじめに 第2章 進歩性 第3章 記載要件 第4章 権利行使 第5章 先使用の抗弁 第6章 創作物アプローチとパブリック・ドメインアプローチ 第7章 他社の数値限定発明特許への対応の仕方 第8章 数値限定発明に関する審査実務の国際比較 裁判例索引【商品解説】 2022年7月14日 数値限定発明に特有の問題について 2022年6月14日 弁護士高石秀樹の特許チャンネルで数値限定発明(統合版)アップ 2022年5月11日 数値限定発明の進歩性に関する審査基準と裁判所の考え方の乖離 本年7月8日にライブ配信された「医療、ライフサイエンス、バイオの企業が知っておきたい 知財戦略と契約 by IP BASE in 神戸」のアーカイブ動画が公開されています。
スタートアップ向けですが、米国バイオベンチャーから学ぶ薬事・ 開発戦略を見据えた特許戦略、オープンイノベーション促進のためのモデル契約書、秘密保持契約(契約はオーダーメイドで~秘密保持契約を例に~)など参考になります。 医療、ライフサイエンス、バイオの企業が知っておきたい 知財戦略と契約 by IP BASE in 神戸 https://www.youtube.com/watch?v=1JBePtzo1Q4 【目次】 00:00 巻頭ムービー 09:56 オープニング 11:10 IP BASE、スタートアップ向け知財施策の紹介(芝沼 隆太氏 特許庁 企画調査課 スタートアップ支援班長)&オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(仁科 雅弘氏 特許庁企画調査課長 兼 オープンイノベーション推進プロジェクトチーム長) 25:11 神戸市におけるスタートアップエコシステムについて(神戸市 医療・新産業本部 医療産業都市部 調査課長 藤井 秀典氏) 34:29 米国バイオベンチャーから学ぶ薬事・ 開発戦略を見据えた特許戦略(南野研人氏) 51:51 契約はオーダーメイドで~秘密保持契約を例に~(藤野睦子氏) 1:16:10 パネルディスカッション「スタートアップが専門家の支援を受けるときに重要なポイント」(パネリスト:南野氏、藤野氏、仁科氏、司会:芝沼氏) オープンイノベーション促進のためのモデル契約書 https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/index.html 政府は5月に成立した経済安全保障推進法で定めている「特定重要技術」の開発支援などに向けた基本指針の案をまとめました。
今年5月に成立した経済安全保障推進法では、国の安全保障に関わる「特定重要技術」について、官民一体での研究開発に向け、資金面などで支援する仕組みを盛り込んでいますが、対象となる分野については明確になっていませんでした。 この「特定重要技術」の開発支援などに向けた基本指針の案が示され、AI=人工知能やバイオ技術など20の分野で調査研究を進め、今後、支援の対象を絞り込むとしています。 ▽バイオ技術 ▽医療・公衆衛生技術 ▽人工知能・機械学習技術 ▽先端コンピューティング技術 ▽マイクロプロセッサ・半導体技術 ▽データ科学・分析・蓄積・運用技術 ▽先端エンジニアリング・製造技術 ▽ロボット工学 ▽量子情報科学 ▽先端監視・測位・センサー技術 ▽脳コンピューター・インターフェース技術 ▽先端エネルギー・蓄エネルギー技術 ▽高度情報通信・ネットワーク技術 ▽サイバーセキュリティ技術 ▽宇宙関連技術 ▽海洋関連技術 ▽輸送技術 ▽極超音速 ▽化学・生物・放射性物質及び核 ▽先端材料科学 これら20の分野の調査研究を進めたうえで、有識者も含めた会議などで対象を絞り込むことにしていますが、「特定重要技術」については、民間から研究者を公募したうえで、プロジェクトごとに官民の協議会を設置し、政府が予算措置を講じている基金から資金支援をすることになりますが、どれくらいのインパクトになるか注目したいと思います。 経済安全保障推進法案の概要 https://www.cas.go.jp/jp/houan/220225/siryou1.pdf 経済安保の「特定重要技術」、極超音速やAIなど20分野から選定し資金投入 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220718-OYT1T50003/ 特定重要技術、20分野から絞り込み 「経済安保」政府が基本指針案 https://mainichi.jp/articles/20220719/k00/00m/010/239000c キューピーは、調味料分野で特許総合力トップ、食品分野の特許資産規模ランキング2020 で第3位(トップはサントリー、2位JT)で、令和2年度「知財功労賞」知的財産権制度活用優良企業として「特許庁長官表彰」を受賞しています。
キユーピーグループの統合報告書2022では、グループの社会的価値向上に向けた知的財産投資について説明されており、持続可能な社会の実現に貢献していくための特許取得として、国際的な社会課題に対する特許取得状況(持続可能な食事の実現、健康的な食事の実現、カロリー過剰摂取の改善)が説明され、サステナビリティに関わる技術や知的財産への投資が示されています。 海外模倣品排除では、商標権・意匠権の知財MIX活用についても先進的な取り組みを進められており、今後の活躍が期待されます。 キユーピーグループ統合報告書2022 P26 グループの社会的価値向上に向けた知的財産投資 https://www.kewpie.com/ir/pdf/kewpie-report/ir_kewpie-report2022_spread.pdf 知的財産活動のミッションは、「当社グループの創造性を高め、価値を向上させること」であり、これらの実現につながる知的財産の創出、保護、活用を積極的に推進しています。なかでも、調味料領域における、乳化、酸化防止、微生物制御、機能性付加などの技術や、卵加工技術は、当社グループの強みであり、グローバルな視点で権利取得と活用に力を入れていきます。 また、世界の食と健康に貢献する当社グループの「めざす姿」は、活発化するサステナビリティに関わる技術領域と密接な関係があります。これらの技術領域においては、ステークホルダーとの連携、協力を念頭におきつつ、知的財産の創出と事業活動の自由度確保に取り組んでいきます。 持続可能な社会の実現に貢献していくための特許取得 国際的な社会課題に対する特許取得状況 持続可能な食事の実現 健康的な食事の実現 カロリー過剰摂取の改善 海外展開における「KEWPIE」商標取得推進 キユーピーグループ 知的財産権 https://www.kewpie.com/rd/intellectual-property/ 私たちの技術と知的財産権 特許権(国内外で約750件の特許保有) 特許出願における注力分野 分野別の特許出願状況
ブランド価値向上に守りと攻め、その両面が評価 令和2年度「知財功労賞」知的財産権制度活用優良企業として「特許庁長官表彰」を受賞 https://www.kewpie.com/newsrelease/2020/1782/ 【調味料】特許総合力トップ3はキユーピー、MIZKAN HOLDINGS、長谷川香料 https://www.patentresult.co.jp/news/2021/09/seasoning.html 【食品】特許資産規模ランキング2020 トップ3はサントリー、JT、キユーピー https://www.patentresult.co.jp/news/2021/02/food.html 食品・日用品企業における知財情報開示を考える 事例3 キユーピーにおける海外模倣品排除 商標権・意匠権の知財MIX活用 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai6/siryou7.pdf 特許庁における審判での口頭審理は,2019 年では、特許・実用新案118 件,意匠 9 件,商標 8 件が実施されたとのことで、7件数が少ないこともあり、経験された方は少ないように思います。必要に迫られたとき慌てないための実務的な留意点が説明されているのが、(第102回)知財実務オンライン:「初めての口頭審理」(ゲスト:インハウスハブ東京法律事務所 パートナー弁理士 西田 聡子氏)です。(約1時間42分)
口頭審理の事例紹介もあり、証人尋問の例として、無効2017-800111(特許4912492)、無効2017-800118(特許4659980)「二酸化炭素含有粘性組成物」、無効2019-800012(特許6188984)「抗ウイルス性衛生マスク」、判定2019-600008(特許6097467)「通信系のシステムに関する発明、検証の例として無効2018-800036(特許5658831) 「ランプ及び照明装置」、かっこよかった 口頭審理として無効2020-400005(実 3173736) 「充気装置の圧力表示装置」がとりあげられています。 パテント 2022年4月号にも同内容が取り上げられています。 (第102回)知財実務オンライン:「初めての口頭審理」(ゲスト:インハウスハブ東京法律事務所 パートナー弁理士 西田 聡子) https://www.youtube.com/watch?v=jZeFpruSEdk&t=4200s 初めての口頭審理~初めてでも慌てないための実務的な留意点~ 特許庁審判部審判課 審・判決調査員(1) 久保田 祐佳 会員,特許庁審判部審判課 審・判決調査員(1) 西田 聡子 https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3974 目次 1.はじめに 2.口頭審理に関する基本事項 2.1 口頭審理に関する規律 2.2 口頭審理の利点 2.3 年間での件数やスケジュールの目安 2.4 審判廷の様子や法改正への対応 3.口頭審理の流れ 3.1 期日の指定と審理事項通知書,陳述要領書 3.2 当日のよくある流れ 3.3 証拠に関する留意点 (1) 原本の持参 (2) 証拠説明書の書き方 (3) 文書の成立の真正への認否 (4) 提出する証拠に営業秘密が含まれる場合 4.まとめ 関連資料一覧 「審判実務者研究会報告書2021」(特許庁審判部・2022年) https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/kenkyukai/document/sinposei_kentoukai/2021_houkokusyo_honpen.pdf 日東電工の知的財産活動は、「三新活動」(現市場から,新たな用途開拓,新たな製品開発を進め,新たな需要・市場を創造する活動)と「ニッチトップ戦略」(成長するマーケットにおいて先行者のいないニッチ分野を見出し,Nittoグループ独自の技術を生かすことで,シェアNo.1を狙う戦略)という事業戦略の下、実行しており、その成果は、クラリベイト・アナリティクス社が世界で最も革新的な企業/研究機関100社を選考する「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2022」に選出されたことでも明らかのようです。
Nitto独自のビジネスモデル 「三新活動」「ニッチトップ戦略」 https://www.nitto.com/jp/ja/about_us/concepts/businessmodel/ 事業戦略と知的財産活動 知財管理Vol. 72No. 6(2022) http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/mokuji/mokujinew.html 「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2022」 Nittoが知財・特許関連で世界のトップ100社に選出 https://www.nitto.com/jp/ja/press/2022/0224.jsp Paragraph. ここをクリックして編集する.7月17日
「企業成熟度、技術競争力とデフォルトリスク」(証券アナリストジャーナル 2022年7月号P.97~P.108、ニッセイ基礎研究所上席研究員 チーフ株式ストラデジスト井出 真吾氏、早稲田大学大学院経営管理研究科の竹原 均教授)では、企業成熟度と技術競争力(YK値)が、倒産距離とそれに含まれるパラメータに与える影響を分析しています。 「本稿では企業成熟度と技術競争力が、倒産距離とそれに含まれるパラメータに与える影響を分析した。長期パネルデータを使用した回帰分析の結果から、成熟度と技術競争力は総資産ボラティリティを低下させるものの、倒産距離を上昇させる状況は確認できなかった。ただし技術競争力は企業成熟度と総資産ボラティリティ、ならびに総資産成長率との間に確認された負の相関関係を緩和するモデレータであることが明らかとされた。」ということで、よく理解できないところが多いのですが、特許価値をベースにした技術競争力(YK値)という指標がファイナンス分野で研究に使われるようになってきていることが重要なことだろうと思います。 https://www.saa.or.jp/learning/journal/each_title/2022/07.html https://www.saa.or.jp/dc/sale/apps/journal/JournalShowDetail.do?goDownload=&itmNo=39122 工藤一郎国際特許事務所 価値評価 http://www.kudopatent.com/works/valuation/index.html 技術競争力指標で分析する企業の事業力 YK値 https://yorozuipsc.com/blog/-yk 令和4年6月27日に開催された「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第11回)」で、JPX400 のコーポレートガバナンス報告書での記載内容を分析した、CGC 改訂後の「知財・無形資産」情報開示 最新状況調査結果が報告されました。
「具体的な取り組みを開示することなく、コンプライしている会社が少なからずあるのではないか」という仮説が裏付けられています。 各社が知財・無形資産の投資・活用戦略を実行することで、事業競争力を強化し、企業価値を高めていくことが期待されており、知財・無形資産投資に関する情報は、将来の財務に影響する「プレ財務情報」と認識し、成長ストーリーにおいて、将来のキャッシュフローをイメージできるように内容を開示すべきでしょう。 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai11/siryou5.pdf ⚫ コーポレートガバナンス・コード(CGC)が昨年 6 月に改訂され、補充原則 3-1③、4-2②に知的財産投資に関する情報開示と取締役会での監督が追記された。これを受け、内閣府・経済産業省は「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(知財投資検討会)を発足し、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン(Ver1.0)」を本年 1 月に公表し、上場企業に対して「知的財産」として、知財権のみならず無形資産も対象とした投資・活用戦略(5 つのプリンシプル(原則)、7つのアクション)の実行を提唱した。 ⚫ このガイドラインの公表に先立って当検討会では、昨年 9 月に「中間報告」を公表した。中間報告では、上場企業が昨年末までに提出するコーポレートガバナンス報告書(CG 報告書)において、これらの補充原則にコンプライする基準として、上場企業が投資家から信頼を失わないよう、4 項目の知財・無形資産投資・活用戦略を提示し、それらの実施状況に応じてコンプライするか否かを判断するように求めている。 ⚫ 上場企業には、 CGC やガイドライン、そして上記中間報告に則した、知財・無形資産の投資等を経営戦略(取締役会での監督を含む)として策定・実行し、CG 報告書等を通じて具体的に開示する「知財・無形資産ガバナンス」を実践していくことが期待される。そこで、弊社が幹事として発起した「知財ガバナンス研究会」では、企業の活動を後押しするため、各上場企業の実践状況を調査・分析することにした。 ⚫ 今回の調査・分析は、対象を「JPX 日経インデックス 400 の構成銘柄企業」に絞り、CGC 改訂後最初の CG 報告書提出後のタイミングであるため、各社の CG 報告書(本年 3 月の最新情報)の開示内容に基づき、知的財産等の補充原則に対するコンプライ、エクスプレインの状況とその記載内容を客観的に分析した上で、その統計的な結果を本報告書として取りまとめた。 ⚫ この分析の結果、補充原則 3-1③について、コンプライする会社が多数(87%)占めるなか、知財・無形資産投資等戦略や知的活動について具体的に情報開示があった会社は56%にとどまった。コンプライしながら、情報開示が不十分、又は具体的な活動をしていない会社が44%存在し、さらに31%が知的財産への投資等に関する記載がないことが確認された。 知財管理Vol. 72No. 6(2022)掲載の「クレーム解釈に当たり発明の解決課題及び作用効果に関する明細書の記載を参酌した事例」(髙部眞規子弁護士)では、「充足性を認め特許無効の抗弁を排斥して,請求を一部認容した第1審判決を変更し,発明の課題や作用効果を参酌してクレームを限定解釈するなどして,請求を棄却した」知的財産高等裁判所 令和3年6月28日判決令和2年(ネ)第10044号特許権侵害損害賠償請求控訴事件を取り上げて、「クレーム解釈に当たっては,発明の解決すべき課題及び発明の奏する作用効果に関する明細書の記載を参酌し,当該構成によって当該作用効果を奏し当該課題を解決し得るとされているものは何かという観点から検討すべきことを明言したものとして意義がある」としています。
「発明の課題や作用効果を参酌してクレームを限定解釈」したというよりは、「発明の解決課題および作用効果を参酌してクレームの用語の意義を正当に解釈した」ということだと思えます。 クレーム解釈に当たり発明の解決課題及び作用効果に関する明細書の記載を参酌した事例 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/mokuji/mokuji2206.html 令和2年(ネ)第10044号 特許権侵害損害賠償請求控訴事件(原審 東京地方裁判所平成29年(ワ)第29228号)口頭弁論終結日 令和3年3月24日 判 決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/472/090472_hanrei.pdf 発明の解決課題および作用効果を参酌して用語の意義を解釈することにより被告製品が特許発明の技術的範囲に属さないと判断した事例 https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/202110news.pdf クレーム解釈における課題と解決手段の位置付け等に関する流体供給装置事件知財高裁判決について https://innoventier.com/archives/2021/07/12726 侵害差止等請求事件 » 令和2年(ネ)第10044号「流体供給装置」事件 https://www.unius-pa.com/case/patent/cancel-patent/7760/ 『法律実務研究第37号』(東京弁護士会)に、数値限定発明に特有の問題について、東京弁護士会の知的財産権法部が検討を行った結果がまとめられています。裁判例がコンパクトにまとめられており、参考になります。
数値限定発明に関する諸問題(P.271~322) 『法律実務研究第37号』東京弁護士会 2022/3/31 https://www.toben.or.jp/message/pdf/houritsujitsumukenkyu_37.pdf 第一 はじめに 第二 対象製品の一部が数値範囲に含まれる場合の充足性等の判断 第三 測定方法が定まっていない場合の充足性の立証(明確性要件との関係も含めて) 第四 上限又は下限が定められていない数値限定発明においてサポート要件違反と判断された事例 第五 上限又は下限が規定されていない数値限定発明について、サポート要件が肯定された裁判例 弁護士高石秀樹の特許チャンネルで数値限定発明(統合版)アップ https://yorozuipsc.com/blog/2948702 数値限定発明の進歩性に関する審査基準と裁判所の考え方の乖離 https://yorozuipsc.com/blog/3734894 |
著者萬秀憲 アーカイブ
October 2024
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