令和4年6月27日に開催された「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会(第11回)」で、JPX400 のコーポレートガバナンス報告書での記載内容を分析した、CGC 改訂後の「知財・無形資産」情報開示 最新状況調査結果が報告されました。
「具体的な取り組みを開示することなく、コンプライしている会社が少なからずあるのではないか」という仮説が裏付けられています。 各社が知財・無形資産の投資・活用戦略を実行することで、事業競争力を強化し、企業価値を高めていくことが期待されており、知財・無形資産投資に関する情報は、将来の財務に影響する「プレ財務情報」と認識し、成長ストーリーにおいて、将来のキャッシュフローをイメージできるように内容を開示すべきでしょう。 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai11/siryou5.pdf ⚫ コーポレートガバナンス・コード(CGC)が昨年 6 月に改訂され、補充原則 3-1③、4-2②に知的財産投資に関する情報開示と取締役会での監督が追記された。これを受け、内閣府・経済産業省は「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(知財投資検討会)を発足し、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン(Ver1.0)」を本年 1 月に公表し、上場企業に対して「知的財産」として、知財権のみならず無形資産も対象とした投資・活用戦略(5 つのプリンシプル(原則)、7つのアクション)の実行を提唱した。 ⚫ このガイドラインの公表に先立って当検討会では、昨年 9 月に「中間報告」を公表した。中間報告では、上場企業が昨年末までに提出するコーポレートガバナンス報告書(CG 報告書)において、これらの補充原則にコンプライする基準として、上場企業が投資家から信頼を失わないよう、4 項目の知財・無形資産投資・活用戦略を提示し、それらの実施状況に応じてコンプライするか否かを判断するように求めている。 ⚫ 上場企業には、 CGC やガイドライン、そして上記中間報告に則した、知財・無形資産の投資等を経営戦略(取締役会での監督を含む)として策定・実行し、CG 報告書等を通じて具体的に開示する「知財・無形資産ガバナンス」を実践していくことが期待される。そこで、弊社が幹事として発起した「知財ガバナンス研究会」では、企業の活動を後押しするため、各上場企業の実践状況を調査・分析することにした。 ⚫ 今回の調査・分析は、対象を「JPX 日経インデックス 400 の構成銘柄企業」に絞り、CGC 改訂後最初の CG 報告書提出後のタイミングであるため、各社の CG 報告書(本年 3 月の最新情報)の開示内容に基づき、知的財産等の補充原則に対するコンプライ、エクスプレインの状況とその記載内容を客観的に分析した上で、その統計的な結果を本報告書として取りまとめた。 ⚫ この分析の結果、補充原則 3-1③について、コンプライする会社が多数(87%)占めるなか、知財・無形資産投資等戦略や知的活動について具体的に情報開示があった会社は56%にとどまった。コンプライしながら、情報開示が不十分、又は具体的な活動をしていない会社が44%存在し、さらに31%が知的財産への投資等に関する記載がないことが確認された。
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著者萬秀憲 アーカイブ
October 2024
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