知財実務情報Lab. が10月17日に開催したセミナー:「欧州における数値範囲の実務(第6回欧州特許実務勉強会)」(ドイツ弁理士 欧州特許弁理士 日本弁理士 長谷川寛氏)のアーカイブ動画(約1時間)が無料で公開されており、資料もダウンロードできます。
日本との取扱いの違いも説明されていますので、理解しやすくなっています。 公開期間は約1週間となっていますので、お早めにご視聴ください。 下記から登録することで視聴できます。 https://chizai-jj-lab.com/2022/12/21/faq/ I. 記載要件 パラメータとは? GL F-IV, 4.11 「パラメータとは特性値のことで、直接測定可能な特性値(物質の融点、鋼材の曲げ強度、導電体の抵抗値など)である場合もあれば、複数の変数の多かれ少なかれ複雑な数学的組み合わせとして定義され、数式化されたものもある。」 特殊パラメータ(unusual parameter)とは? GL F-IV, 4.11.1 「特殊パラメータとは、本発明の分野では一般的に使用されないパラメータのことである。主に2つの状況が考えられる。 (i)特殊パラメータが、製品/プロセスの特性を測定しており、その特性に対して、発明の分野で一般的に認識されている別のパラメータが使用されている。 (ii)特殊パラメータは、発明の分野でこれまで測定されたことのない製品/プロセスの特性を測定する。」 II. 新規性 有効数字 公知範囲よりも狭い数値範囲 公知範囲と重複する数値範囲 パラメータの新規性 審査過程 III. 補正 数値範囲を上限と下限とに分けて記載しない 数値範囲同士の組合せは難しい 数値範囲同士の組合せを可能にするには? V. まとめ ・パラメータの測定方法は詳細に記載する。 ・公知数値範囲と一部オーバーラップする数値範囲は原則新規性が無い。 ・数値範囲を上限と下限とに分けない ・複数の数値範囲を開示する場合は、クレームまたは明細書のクレームに準じた記載で段階的に開示する
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報道された記事の中の「化学知識は大学院レベル」というのはどういうことで言っているのだろうか?ということで、東工大の発表をみると、下記のような記載でした。なるほど、うまいキャッチかもしれません。
『〇化学事象の認識 GPT-4 は種々の化合物の物性データや特徴に関する知識データを有しており、大学院レベルの問題にも回答可能であった。物質の分子構造も IUPAC 命名法や SMILES 記法(用語 4)などを通して一部認識できた。典型的な化学反応の種類やメカニズムを認識したり、反応条件や生成物に関する質問にも迅速に対応したりすることができた。一方で複雑な分子構造の認識や、先端レベルの化学反応においては誤答が目立った。』 今後は、『本研究の成果を受け、最先端の化学研究や科学知識にも適合したモデルの開発に取り組み始めている。さらに、自動実験のためのロボットアームの制御など、化学研究を幅広くサポートするための大規模言語モデルシステムの構築も検討中である。』とのことで、期待したいと思います。 また、国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)の研究でも、『GPT-4 exhibited a high understanding of general textbook-level knowledge in the field of organic chemistry. However, it fell short when dealing with specialized content or unique methods of synthesizing specific compounds. (GPT-4 は有機化学分野における一般的な教科書レベルの知識を高い理解度で示しました。しかし、特殊な内容や特定の化合物を合成する独自の方法を扱う場合には不十分でした。)』ということですので、大規模言語モデルの可能性と限界を見極めたうえで有効活用されることを期待します。 化学知識は大学院レベル、東工大が調査整理した「GPT―4」の実力値 10/16 https://news.yahoo.co.jp/articles/5b340a66311c0bf232c186aebca91d5aab509cc1 GPT-4を使った化学研究の課題と展望に関する研究 化学研究におけるAIの活用範囲を検討 公開日:2023.10.16 東工大ニュース https://www.titech.ac.jp/news/2023/067674 2023 年 10 月 11 日 東京工業大学Press Release GPT-4 を使った化学研究の課題と展望に関する研究 -化学研究における AI の活用範囲を検討- https://www.titech.ac.jp/news/pdf/tokyotechpr1011-hatakeyama.pdf 最先端材料科学研究:人工知能GPT-4が化学分野で能力を発揮 2023.10.16 https://response.jp/release/kyodonews_kokunai/20231016/124377.html Prompt engineering of GPT-4 for chemical research: what can/cannot be done? Kan Hatakeyama-Sato, Naoki Yamane, Yasuhiko Igarashi, Yuta Nabae &Teruaki Hayakawa 化学研究のための GPT-4 の迅速なエンジニアリング: 何ができるか、何ができないか? 畠山寛・佐藤ほか 記事 | オンライン公開: 2023 年 10 月 9 日 https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/27660400.2023.2260300?src= 10月16日、第3回文化審議会著作権分科会法制度小委員会が開かれ、生成AIについての有識者ヒアリングが行われ、AIと著作権についての議論がおこなわれました。
有識者提出資料としては、日本新聞協会(生成AIによる報道コンテンツ利用に対する意見)、国立研究開発法人情報通信研究機構(大規模言語モデルと著作権に関する一考察)、うめ 小沢高広氏(生成AIと漫画制作)の資料がアップされており、事務局がまとめた「生成AIに関する各国の対応について」「生成AIに関するクリエイターや著作権者等の主な御意見2023年10月現在」がアップされています。 今回の議論の内容はまだアップされていませんが、第1回、第2回の議論内容については、詳細な議事内容の記録がアップされていますので、どんな議論がされているのかがよくわかります。 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第3回) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_03/ AIと著作権「ルール整備を」 新聞協会「記事対価ない」 文化審に要望 2023年10月17日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15768599.html 生成AIの著作物無断学習は「利益侵害」、新聞協会が著作権法の改正訴え…文化審議会小委 2023/10/16 https://www.yomiuri.co.jp/national/20231016-OYT1T50239/ 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第2回) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_02/ 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第1回) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_01/ 先日、アスタリスク社vsユニクロ社事件を扱ったセミナーの質問で、アスタリスクがユニクロを訴えるという構図が日本企業の「常識」では考えにくい・・・・・という知財関係者が多いのに驚きました。日本製鉄がトヨタ自動車などを電磁鋼板の特許侵害で訴えた訴訟が提訴から2年も経過、その衝撃は大きかったはずですが、、、、。
日本製鉄は、2021年10月14日にトヨタ自動車と中国の宝山鋼鉄を、電動車に欠かせない「無方向性電磁鋼板」に関する特許権を侵害されたとして、東京地裁に提訴しました。損害賠償200億円と電動車の製造・販売中止を求めています。(特許第5447167号) トヨタ自動車は、他社の特許侵害がないことを確認の上、契約したと声明を発表しています。 日鉄のトヨタ提訴から2年 特許訴訟、長引く審理 鋼板巡り主張対立 2023/10/14 https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGKKZO75271340T11C23A0TEZ000&scode=5401 日鉄トヨタ特許訴訟、提訴から2年 水面下の審理続く 2023年10月13日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC131590T11C23A0000000/ 「法務力高い企業」三菱商事が連続首位 日本製鉄続く 企業法務税務・弁護士調査 ランキング 2022年12月26日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC137AA0T11C22A2000000/ 「商社不問」の不文律破れる 日本製鉄、三井物産も提訴 2022年4月29日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC077JL0X00C22A1000000/ 日本製鉄が特許侵害でトヨタに続き三井物産も提訴 28/12/2021 https://yorozuipsc.com/blog/2036466 「拝啓、トヨタ自動車様。我々と組まなくても生き残れるとお思いですか?」…日本製鉄社長が怒りの独占告白! 2021年11月6日 http://tskeightkun.blog.fc2.com/blog-entry-19377.html 2年前から調べていた日本製鉄 17/10/2021 https://yorozuipsc.com/blog/28016502 日本製鉄が特許侵害で中国・宝山鋼鉄とトヨタ自動車を東京地裁に提訴 16/10/2021 https://yorozuipsc.com/blog/5359392 富士通は12日、ESG(環境・社会・企業統治)分野のオンライン説明会で、社内公募による人材登用や中途採用が増えたことで売上高が伸びたとの分析結果を発表しています。2021年3月期と22年3月期を比較すると、売上高の伸びと、社内公募に自ら手を挙げて異動したり中途採用で入社したりした社員が異動者に占める割合の増加に強い相関があったという。営業利益の伸びにもやや相関が見られたとういことです。
「国内外の研究開発人員も増やし、人工知能(AI)や高度なコンピューター技術の開発にも力を入れる。」ということです。 また、10月11日には、川崎工場(川崎市中原区)で研究開発戦略説明会を開催していて、説明会では、AIをはじめとした各研究領域における現在の取り組みが紹介されています。 富士通は「Fujitsu Uvance」において、顧客に新しいソリューション、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)の最大のパートナーになることを掲げており、Uvanceを支えるキーテクノロジーに「AI」「Data & Security」「Converging Technologies(コンバージングテクノロジーズ)」「Computing(コンピューティング)」「Network」の5つを据えています。マハジャン氏は「当社が確実にグローバルで1位、 2位になれる技術を開発し、お客さまに提供する」と言っています。 AIの研究開発では、AIの適用価値を高めるためにAIプラットフォーム提供、適切な意思決定を支援するフレームワークの提供、安心・安全なAI活用環境の提供を戦略に位置付けていて、適切な意思決定を支援するフレームワークの提供は、生成AIとConmposite AIで対応、生成AIはソフトウェアエンジニアリングやセールス&マーケティング、顧客業務、製品開発、R&Dといった有望領域向けにドメイン特化型生成AIを開発しているようです。 Composite AIは、10月11日にAIイノベーションコンポーネントを自動生成するAI技術の開発を発表、個々のKozuchiユーザーが業務課題を自然言語で入力すればAIが課題の意図を汲み取り、適切な数式表現に自動変換し、顧客業務に特化したAIイノベーションコンポーネントを自動生成する技術で、必要AIを活用するまでに従来は1~2カ月を要していたが、1日に短縮できるというころで、トラブル続きの解消も期待したいところです。 富士通の人的資本経営の取り組みを発表‐キーワードは「適所適材」 2023年10月13日 https://www.excite.co.jp/news/article/Cobs_2674238/ 富士通株式会社 ESG説明会2023/10/12 https://www.youtube.com/watch?v=t6CSPJo1VRI ESG説明会「富士通の人的資本経営について」 https://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/presentation/pdf/20231012-01.pdf 質疑応答 https://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/presentation/pdf/20231012-02.pdf 富士通「社内の人材流動性高まり増収」 分析結果を公表 2023年10月12日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1255T0S3A011C2000000/ 新事業ブランド「Uvance」の強化に向けて、富士通が注力する6つの研究開発分野 2023/10/12 https://news.mynavi.jp/techplus/article/20231012-2791054/ 目次 富士通の研究開発をけん引する3つの観点 AIをはじめとした6つの領域での研究開発を推進 AIではKozuchiを中心とした研究開発 Fujitsu Web3 Acceleration Platformで新たな経済圏を生み出すデジタルテクノロジーと人文・社会科学の掛け合わせ 「富岳LLM」の開発を進めるコンピューティング領域 2026年以降に1000量子ビット超の超伝導量子コンピュータ公開次世代高性能・省電力プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」 富士通の次世代プロセッサ「MONAKA」は競合比2倍の電力効率、2027年度に投入 10/12(木) https://news.yahoo.co.jp/articles/ef05593cfdc08fe96d20cbd8c3f6fce3310fac5f 富士通、生成AIで開発効率30倍 1カ月の作業を1日で 2023年10月11日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC118H10R11C23A0000000/ 2023年10月11日 AIイノベーションコンポーネントを自動生成するAI技術を開発 自然言語で指示するだけで顧客業務に特化したAIを従来の1/20の期間で自動生成 https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/10/11.html 2023年10月10日 富士通株式会社 国立研究開発法人理化学研究所 富士通と理化学研究所、独自の生成AIに基づく創薬技術を開発 電子顕微鏡画像からタンパク質の広範囲な構造変化の予測を実現 https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/10/10-1.html 日経「知財経営ランキング」で12位の富士通 29/7/2023 https://yorozuipsc.com/blog/127895801 知的財産情報の開示 ブリヂストン、KDDI、ソフトバンク、富士通 22/3/2023 https://yorozuipsc.com/blog/-kddi 富士通のIPランドスケープ 17/2/2022 https://yorozuipsc.com/blog/ip2094274 富士通 知財部門が自ら多様なお客様やパートナーとの連携を仕掛け 13/3/2021 https://yorozuipsc.com/blog/8320930 富士通のDIGITAL CO-CREATIONを推進する知財戦略 15/10/2020 https://yorozuipsc.com/blog/digital-co-creation 海外売り上げが7割を占めるグローバル企業である横河電機が目指しているのは、従来の製造業から「ワールドクラスのソリューション・サービスカンパニー」に生まれ変わること。脱・物売り、「製造DX as a Service」で、もともと得意な工場やプラントのOT(オペレーショナルテクノロジー、機器の制御・運用技術)を、現在はOTとITを統合(OT/ITコンバージェンス)しようとしています。
また、マーケティングによる企業文化の変革を進め、知財活動においてはマーケティング本部内に知財部門を配置し、ブランド、R&D、マーケティングの各部門と密接な議論を行いながら、知財部門、研究開発部門、事業部門が三位一体となった活動を推進しています。 注目の会社のひとつです。 脱・物売り、横河電機が「製造DX as a Service」で目指す未来のビジネス デジタルで一変するプラントオペレーション、製造業の変革を後押し 2023.10.13 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/77190 中計、新規事業開拓、R&D、M&Aも「マーケティング」とする横河電機の狙い 嵐のような市場変化を乗り切るには「マーケティング×DX」が不可欠 2023.10.6 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/77275 コーポレート機能の変革から着手する両利きの経営──飛び地の新規事業の生存戦略、R&Dや知財経営とは? 2023/09/07 https://bizzine.jp/article/detail/9484 横河電機が推進するデジタル営業&マーケティングとストーリー・ブランディング【イベントレポート】 2023.08.18 https://growth-marketing.jp/seminar/globalized2023-b2b-yokogawa/ 知財とデザインの一体型組織が「課題を掘り起こす力」を資産に変える 変貌するデザイン組織 #8 横河電機 知的財産・デザインセンター 2023.6.9 https://diamond.jp/articles/-/324032 オープンイノベーション推進企業として知財功労賞の「特許庁長官表彰」を受賞 2023年4月11日 https://www.yokogawa.co.jp/news/press-releases/2023/2023-04-11-ja/ 企業価値向上に資する知的財産活用事例集―無形資産を活用した経営戦略の実践に向けてー 特許庁 2022(横河電機株式会社マーケティング本部 阿部剛士本部長が委員のひとり) https://www.jpo.go.jp/support/example/document/chizai_senryaku_2022/all.pdf P96- 101 横河電機 企業文化の変革により測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす 横河電機株式会社は、石油・ガス・化学などの様々なプラント設備の制御・運転監視システムを中心に事業を展開しており、近年はそのDX化を推進するとともに、将来の自律型プラントを目指し、最新のセンサー技術やAI技術を活用した開発を推進する。また、同社は売上の70%をハイドロカーボン産業に依存しており、温室効果ガスに関わる企業というイメージがあるが、2017年にSDGs貢献を宣言し、脱炭素社会へ寄与する企業としての事業展開を目指している。特に、スマートマニファクチャリングと、プラント操業の自動化から自律化(IA2IA)により、SoS(System of Systems)の概念にのっとり、単に一企業の単位ではなく、社会全体の共生エコシステム実現を目指している。さらに現コア事業に加えてバイオロジー分野での新たな事業展開を始めており、2021年にはバイオマス産業への参入のための横河バイオフロンティア(個社)を立ち上げた。さらに、創薬産業分野への展開も検討している。 これらの新たな挑戦の中で、同社はプロダクトアウト型ビジネスからの脱皮を図るため、マーケティングによる企業文化の変革を進め、知財活動においてはマーケティング本部内に知財部門を配置し、ブランド、R&D、マーケティングの各部門と密接な議論を行いながら、知財部門、研究開発部門、事業部門が三位一体となった活動を推進する。 横河電機の知財戦略 https://yorozuipsc.com/blog/2124077 「“あったらいいな”をカタチにする」というコーポレートスローガンの下、「新製品のアイデアを生み出す仕組み」を強みの源泉の一つと捉えてニッチ市場で成功している小林製薬のヒット商品づくりには3つのポイントがあります。
ポイント1:「小さな池の大きな魚」戦略 ポイント2:「あったらいいな」開発戦略 ポイント3:わかりやすさのマーケティング 年間アイデア提案数約5.7万件という40年継続中のアイデア提案制度がそのベースとなっていると思われます。 知的財産については、「世にない製品で新市場を創造する」というビジネスモデルの下、製品特性をわかりやすく伝えるネーミング・広告にこだわり、それらを商標権で確実に保護していること、開発初期から事業部と知財部門が連携し、開拓した新市場の将来像を予測し、特許、意匠も活用した多面的に商品保護、グローバルな知的財産権の確保、模倣品対策を実施しているということも、強みになっているようです。 全従業員が生成AI活用し始めたというのも、この強みをさらに強化しそうです。 20230823 小林製薬のヒット商品づくりの秘密 ニッチ市場で成功する3つのポイントとは? https://www.powerweb.co.jp/blog/entry/2023/08/23/100000 小林製薬 全従業員が生成AI活用へ AIチャットボット「kAIbot」でアイデア創出や業務効率化を期待 2023/08/04 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75175 小林製薬、「あったらいいな」の発掘に生成AIも活用 全社員参加のアイデア大会を開催 2023年08月02日 https://www.g-soumu.com/articles/f18f3932-6838-48df-ba26-662d062306d9 小林製薬 国内全従業員がChatGPT活用へ ~「全社員アイデア大会」を皮切りに、国内約3,200人が本格利用開始! 全社で“あったらいいな”を生み出す風土、AI活用でさらに加速化~ https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2023/20230801_01/ 小林製薬 コーポレートガバナンス報告書 2023年4月10日 https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/cg/pdf/cg_230413.pdf 【補充原則3-1-3】 当社は、「“あったらいいな”をカタチにする」というコーポレートスローガンの下、「新製品のアイデアを生み出す仕組み」を強みの源泉の一つと捉えております。当社はそのような強みを一層強化する観点より、新製品開発に向けたDX投資・M&A・人材投資を通じた無形資産(人的資本及び知的資本)への投資を推進しております。これらの投資を通じた価値創造プロセスや投資方針の詳細についても、統合報告書の20~23ページにて開示をしております。 特に知的財産について、当社は「世にない製品で新市場を創造する」というビジネスモデルの下、製品特性をわかりやすく伝えるネーミング・広告にこだわり、それらを商標権で確実に保護しています。開発初期から事業部と知財部門が連携し、開拓した新市場の将来像を予測し、特許、意匠も活用した多面的に商品保護、グローバルな知的財産権の確保、模倣品対策を実施しています。これらの活動により、2020年度に「知財功労賞特許庁長官表彰 知財活用企業(商標)」を受賞しています。 また、当社はTCFDの提言に対して賛同を行うとともに、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響についても、統合報告書の40~41ページや有価証券報告書の16ページにて開示しております。 統合報告書: https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/annualreport/pdf/KobayashiS_ar_2021_japanese_a3.pdf 有価証券報告書:https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/asr/pdf/2022_4yuho.pdf 2021年6月の改訂後のコードの趣旨を踏まえ、TCFDの枠組みに基づき、開示の質と量のさらなる充実を進めてまいります。 小林製薬 統合報告書2022 https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/annualreport/pdf/KobayashiS_ar_2022_japanese_a4_4.pdf.pdf 戦略1「小さな池の大きな魚」戦略(ニッチ戦略) 戦略2“あったらいいな”開発 アイデア提案制度40年継続中 年間アイデア提案数約5.7万件 製品化する平均開発スピード(医薬品を除く) 約2年 ニッチ製品を市場定着させる広告宣伝費 189億円 2023-2025年 中期経営計画 https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/explain/pdf/2206.pdf 小林製薬のビジネスモデルとオープンイノベーション 5/9/2021 https://yorozuipsc.com/blog/9406747 新製品4年寄与率20%以上を目標にする小林製薬 3/7/2021 https://yorozuipsc.com/blog/420 パナソニックホールディングスは、9月12日に、社外に向けて自社の知的財産を分かりやすく発信するウェブサイト「技術インデックス」を立ち上げましたが、知財を参入障壁とするだけでなく、他社との共創を生み出す「無形資産」として位置付け、社内外にアピールして新事業創出につなげる取り組みとして注目されています。
「パナソニック知財のパーパス」では、「無形資産を巡らし、価値に変えて、世界を幸せにする」ということで、
知的財産を起点とした共創により、社会課題をトリガーに世の中の課題を解決しようとする姿勢が示されているようです。 パナソニックHD、知的財産を参入障壁から共創の資産へ 2023年10月11日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC031H00T01C23A0000000/ 特許は参入障壁から共創の道具へ、知財起点で事業創出に挑むパナソニック 2023.09.28 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08446/ 統合報告書2023 パナソニックグループ https://holdings.panasonic/jp/corporate/investors/pdf/annual/2023/pana_ar2023j_a4.pdf パナソニック知的財産部門ウェブサイト https://holdings.panasonic/jp/corporate/about/intellectual-property.html サステナビリティデータブック2023「知的財産」 https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/pdf/sdb2023j-intellectual.pdf 知的財産権の排他性を利用した価値共創 ―協調・共創領域での知的財産権の役割の変容と新たな変容の予感― https://www.inpit.go.jp/content/100878646.pdf パナソニック自社保有知財情報検索サイトを外部公開 13/9/2023 https://yorozuipsc.com/blog/8682849 テレビ東京の番組「円卓コンフィデンシャル〜他社との遭遇〜」で、「知財部のすべて…パクリからアイデアを守る最前線!」では、小林製薬の鈴川啓輔氏、貝印の地曵慶一氏、知財図鑑の出村光世氏、弁理士の永沼よう子氏が議論されました。
最も興味ある話は、テレ東BIZでしか見られないですが、放映された部分は期限付きで無料でみることができます。 テレビ東京番組「円卓コンフィデンシャル〜他社との遭遇〜」 知財部のすべて…パクリからアイデアを守る最前線! テレビ東京 約25分 2023年10月8日(日) 07時00分~07時30分放送分 配信終了10月15日7時29分まで https://video.tv-tokyo.co.jp/confidential/episode/00102165.html 企業の知的財産を取り扱う「知財部」の全貌!パクリとの闘いからアイデアの積極活用まで。差別化、ブランド化、オープンイノベーション…知財戦略の最前線に迫る! 誰もが知る企業の人事と商品開発の担当者が集結!仕事の「やりがい」から「失敗談」まで本音で語り合う。人事のリアルから、あのヒット商品誕生の裏側まで、熱いトークが! 出演者 伊沢拓司 児嶋一哉(アンジャッシュ) 池谷亨(テレビ東京チーフコメンテーター) 鈴川啓輔(小林製薬) 地曵慶一(貝印) 出村光世(知財図鑑) 永沼よう子(弁理士) TechnoProducerのテーマ別 深掘りコラム「事業成功を支える企業知財部の仕事とは? ~考え方と三菱電機・レゾナック・村田製作所の成功事例を紹介」では、キヤノンで40年にわたり知財担当を務めた丸島儀一氏の著書『知的財産戦略』を参考にしながら、事業成功を支える企業知財部の仕事の考え方と、オープンイノベーションに知財を活用する三菱電機のOpen Technology Bank、新事業創出を支援するレゾナック(旧 昭和電工)の知的財産部、M&Aの判断に特許情報を活用する村田製作所の成功事例が簡潔に紹介されています。
事業成功を支える企業知財部の仕事とは? ~考え方と三菱電機・レゾナック・村田製作所の成功事例を紹介 2023.10.6 https://www.techno-producer.com/column/company-ip-department/ 三菱電機グループの知的財産活動 https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/chiteki/hoshin/index.html 特許資産規模ランキング1位の三菱電機“驚き”の知財戦略 5/9/2023 https://yorozuipsc.com/blog/18628334 Resonacの知的財産戦略 https://www.resonac.com/jp/rd/ip レゾナックのインテリジェンス活動 31/8/2023 https://yorozuipsc.com/blog/5404295 PATENTSIGHT SUMMIT 2023の講演レポートが公開(日東電工、日立製作所、明治HD、レゾナック) 24/8/2023 https://yorozuipsc.com/blog/patentsight-summit-2023hd 2023年6月7日に 村田製作所 知的財産に対する取り組み https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/governance/ip 日経ビジネス 知財経営ランキング 特許で攻める村田製作所 14/7/2023 https://yorozuipsc.com/blog/1723558 村田製作所の事業拡大を支える知財部門 13/7/2022 https://yorozuipsc.com/blog/1187685 株式会社村田製作所の知財活動(PATENTSIGHT SUMMIT 2022) 5/6/2022 https://yorozuipsc.com/blog/patentsight-summit-20223711624 「AI時代の知的財産権検討会」委員一覧、10月4日に行われたAI時代の知的財産権検討会(第1回)の議事次第、配布資料が公開されていました。
参考資料1-3もよくまとめられていて参考になります。 今後の検討スケジュールは、下記の通りで、 第2回(2023年10月18日)・関係事業者ヒアリング 第3回(2023年11月7日)・関係省庁ヒアリング(文化庁・特許庁)・議論 第4回(2023年12月11日)・議論 ※(可能であれば)「論点整理」 ※ 2024年1月以降も、検討継続 10月5日から始まった「AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集」が11 月5日(日) まで約1か月の期間が設定されており、それらも踏まえて、年内の論点整理めざすということです。 「AI時代の知的財産権検討会」委員一覧 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/kaisai/meibo.pdf AI時代の知的財産権検討会(第1回)の議事次第 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/gijisidai/index.html 令和5年10月4日(水)17:00 ~ 19:00 1. 開 会 2.議 事 (1)本検討会の開催趣旨・背景 (2)本検討会において検討すべき課題について 3.閉 会 配付資料 資料1 「AI時代の知的財産権検討会」の開催について 資料2 本検討会の開催趣旨・背景 資料3 本検討会において検討すべき課題について 参考資料1 知的財産推進計画2023(抜粋) 参考資料2 新しい情報財検討委員会報告書 参考資料3 生成AIに関するクリエイターや著作権者等の主な御意見 AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集について https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pdf/ikenbosyu_20231005.pdf 生成AIによる知的財産権の侵害防止策 年内にも具体化へ 政府 2023年10月10日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231010/k10014220131000.html 第1回AI時代の知的財産権検討会と意見募集 6/10/2023 https://yorozuipsc.com/blog/1ai 知財実務情報Lab. 専門家チームの田村良介弁理士(ライトハウス国際特許事務所)の「要素の組み合わせと、発明の捉え方」で、アイデアをつくりだすための原理と方法について書かれたジェームス・W・ヤング著「アイデアのつくり方」が紹介されていました。
この本には、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と書かれており、アイデアを作る方法(5つのステップ)「ステップ1.データを集めよう!ステップ2:データを噛み砕こう!ステップ3:データを組合せようステップ4:アイデア発見!ステップ5:アイデアを改善しよう!」が実務的には参考になります。 田村良介弁理士(の「要素の組み合わせと、発明の捉え方」も、この考え方をベースにしており、非常に参考になります。 要素の組み合わせと、発明の捉え方 2023.10.10 https://chizai-jj-lab.com/2023/10/10/1010/ アイデアのつくり方 単行本 – 1988/4/8 ジェームス W.ヤング (著), 竹内 均 (解説), 今井 茂雄 (翻訳) https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%96%B9-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9-W-%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/4484881047/ref=sr_1_1?adgrpid=73553177701&hvadid=651269503848&hvdev=c&hvlocphy=1009198&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=11182258253113267334&hvtargid=kwd-367680747973&hydadcr=14088_13515317&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2+%E3%81%AE+%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A+%E6%96%B9&qid=1696893403&sr=8-1 【要約】アイデアのつくり方(ジェームス・W・ヤング) https://www.asobide.com/producing-ideas/#%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%83%BB%E5%8E%9F%E5%89%87 もくじ(CONTENTS) 数あるアイデア発想法書籍の原点 著者:ジェーム・W・ヤングについて 文体・事例は古くても、内容は今も色褪せず! アイデアマンになるには… アイデア作りの原理・原則 原理1:アイデアとは何か 原理2:アイデアを生み出す才能とは アイデアを作る方法(5つのステップ) ステップ1.データを集めよう! ステップ2:データを噛み砕こう! ステップ3:データを組合せよう ステップ4:アイデア発見! ステップ5:アイデアを改善しよう! まとめ サンリオは、ハローキティをはじめとする多数のキャラクターを持つ知的財産ビジネスを世界で展開するグローバル・エンターテイメント企業で、実行力・機動力の高い組織を目指し、組織風土改革、国内外の構造改革の完遂、再成長の種まきを三本柱とした新たな中期経営計画を策定して取組を進めています。
23年3月期の決算発表では10年後をめどに時価総額1兆円、営業利益500億円という長期目標を掲げており、ファンの声を反映しながら育てる「自由」なキャラ展開が共感を集めていて、これがサンリオ独自のIP(知的財産)戦略ということです。 サンリオ「自由なIP」共感 キャラ450超、ファンが育成 2023年10月9日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC253SA0V20C23A9000000/ パリ五輪にキティが“参戦”するかも? 平野美宇や西矢椛もサポート、「カワイイ×スポーツ」の意外な相乗効果 2023年10月6日 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1886010 「“映え”だけじゃダメだ!」ブームのコラボカフェ、最後発サンリオカフェのガチすぎる“おじさん社員”の汗と涙「正気を疑われたことも」 2023年9月11日 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1220739 入場者1人あたり3000円の赤字…サンリオが大赤字事業「ピューロランド」を32年間も続けている理由 2023/03/31 https://president.jp/articles/-/67879 なぜ、サンリオは根強いファンが多い?脳科学で解明されつつある「優良顧客」が集まる理由 2023/01/19 https://www.sbbit.jp/article/cont1/101973 「他社情報や市場環境を逐一チェックできるようになり、株主の動向をウォッチするIR業務のためには欠かせません」エンターテイメント企業のIR部門における活用 株式会社サンリオ https://jp.ub-speeda.com/customers/sanrio/ 中外製薬は、経済産業省、東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」において、「DXプラチナ企業2023-2025」に選定されるなど、DX先進企業として知られていますが、9月29日、DXの取り組みに関する説明会を実施し、生成AI(人工知能)活用の現状や今後の見通しについても明らかにしました。
中外製薬では2030年までに「ヘルスケア産業のトップイノベーター」となることを掲げており、DXによる成長戦略「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を策定し、実現に向けた取り組みを進めています。高度化した個別化医療サービスなど革新的なサービスの提供や、R&Dプロセスの変革によるアウトプット増大、業務自動化による生産性向上、デジタル基盤の強化などに取り組んでいて、生成AIに関する取り組みもこうしたDX戦略の一環として展開しています。 中外製薬では、マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」を使ってChatGPTの利用環境を構築して、2023年5月にPoC(概念実証)を開始、①知財・著作権侵害、②個人情報・機密データの漏洩、③信憑性の欠如、④偏ったアウトプット、⑤目的外利用、⑥シャドーAI-の6項目のChatGPT活用で生じ得るリスクへの対策を盛り込んだルールを定め、2023年8月から全社展開を開始しています。 初期のユースケースでは、論文取得とアブストラクトの要約で研究者の業務効率がかなり上がることが確認されており、アンケート集計や定性的評価など従来ヒトの眼で行っていた作業でも業務効率がかなり上がっているとのことです。 ただ、他企業でも比較的取り組みやすいこれらの業務効率化などの取り組みは、自社独自の競争力を必ずしも高められるわけではないため、これらに加えて、各部門が持つ社内データとChatGPTを連携させることで、「SOP(標準作業手順書)検索」「システムや機器、ソフトウェアの利用方法確認」「問い合わせ対応」「社内外説明資料/教育資料のドラフト作成」などが実現できる可能性があり、特にR&D領域での活用を念頭に置きつつ、「独自の競争力を高めるため、将来的にはデータに基づくインサイトの抽出や意思決定支援などに生成AIを用いたい」と意気込みを見せています。 R&D領域での想定活用事例として、研究者の過去知見を再利用できる仕組みづくりや、基礎研究の成果を実用化につなげる橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)、治験実施計画書の作成、医薬品製造や開発のプロセスであるCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)業務の支援などを挙げています。 R&D領域での成果が期待されます。 「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」において「DXプラチナ企業2023-2025」に選定 中外製薬HP 2023年6月1日 https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20230601113000_1303.html 中外製薬 DX説明会 2023年09月29日 (金) https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/presentations.html 内容: CHUGAI DIGITALの進捗 上席執行役員 デジタルトランスフォーメーションユニット長 志済 聡子 デジタル基盤強化に向けた3つの取り組み ITソリューション部長 小原 圭介 デジタル戦略推進部長 金谷 和充 インサイトビジネスの取り組み 科学技術情報部長 石井 暢也 中外製薬 DX説明会 資料 https://www.chugai-pharm.co.jp/cont_file_dl.php?f=FILE_1_143.pdf&src=[%0],[%1]&rep=117,143 説明会スクリプト(質疑含む) https://www.chugai-pharm.co.jp/cont_file_dl.php?f=FILE_2_143.pdf&src=[%0],[%1]&rep=117,143 説明会動画配信(質疑含む) https://congre-gc.qumucloud.com/view/MKG2wRcyeOwrauvH1ihqP9 生成AIで独自の価値創出を、中外製薬が狙うR&Dプロセスの革新 10/6(金) https://news.yahoo.co.jp/articles/2fdf9e2c230c7b601e84d865b183ef1b7e515280 中外製薬 「中外版ChatGPT」全社利用を開始 初期は論文要約 社内データ分析から”打ち手“立案に期待 公開日時 2023/10/02 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75422 中外製薬が全社で生成AIを活用、創薬への応用目指し社内事例積み重ねる 2023.09.29 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/16014/ 1.特許の調査はいつすべきか?
「研究開発がある程度進んでから特許について考え始めその段階で特許調査をする。」という企業が多いことにびっくりします。こういうやり方では、他社特許があって仕様変更しなければいけなくなったり、思い通りの特許が取れなくなってしまうことが多いことは明らかなのですが、様々な事情からそうなってしまっているということのようです。 「テーマ立案時に知財を調べ、他社特許に抵触せずに知財が取れるやり方を選ぶ」ことが原則で、テーマ着手決裁時に特許調査報告を義務付けている企業も少なくありません。最近では、特許などの知的財産がR&D、事業、経営の中心に置かれ、テーマ着手前のテーマの企画段階でIPランドスケープを実施している企業が増えています。 そして、「IPランドスケープの結果を基にテーマを立案し、その段階で、クレームや明細書に記載する主な事項を書きだして、明細書の空白を埋めるように実験をする。」ということができればさらに良いでしょう。 さらに、「自社技術の確実な保護だけでなく、自社のこの開発商品・開発技術が世の中に出たら他社はどう出てくるかを考え、他社のやりそうな方法も特許を押さえる」ことまで、テーマ立案の段階で考えていれば、万全でしょう。 2.特許の調査は誰がすべきか? 企業において、特許調査を誰が行うべきかという問いには、一概に答えることができません。 特許調査の目的や種類、規模や予算などによって、最適な方法は異なるからです。実際に、研究開発担当者(発明者)がすべて行う企業と、特許調査専門の担当者や外部の専門家がすべて行う企業、その中間のやり方の企業と様々です。 一般的に言えることは、特許調査は研究開発担当者(発明者)と特許調査専門の担当者や外部の専門家との協力が必要ということです。 研究開発担当者(発明者)が自分の発明に関する基本的な先行技術調査を行うことを習慣化することは、自分の発明が世の中でどのような位置にあるのか把握し、他社にない優れた技術・商品を生み出すのにとても大切です。 ここでいう基本的な先行技術調査とは、自分の発明と同じ分野や技術領域の既存の特許文献や非特許文献を検索し、自分の発明の新規性や進歩性を確認することで、先行技術調査は、インターネット上で無料で利用できる特許データベースや検索エンジン、AIを用いた有料データベースなどを活用して、複雑な検索式を用いることなく行うことができます。 研究開発担当者(発明者)は、自分の発明に関する技術的な知識や背景を持っていますが、特許調査の方法やツールに精通しているとは限りません。また、特許調査に時間を割くことで、研究開発に集中できなくなる可能性もあります。そのため、研究開発担当者(発明者)は、自分の発明の概要や目的を明確にし、必要最低限の先行技術調査を行う程度に留めることが望ましいという考え方もあります。 自分の発明に関して、自分の発明と同じ分野や技術領域の他社の技術動向や知財戦略を把握し、自分の発明の価値や競争力を評価するような詳細な特許調査を必要とする場合は、特許調査専門の担当者や外部の専門家に依頼するやり方の方もあります。 研究開発担当者(発明者)と特許調査専門の担当者や外部の専門家とが連携して特許調査を行うことで、より効率的かつ効果的な特許調査が実現できます。 知財管理61巻(2011年) 7号 1041頁 特許調査担当のあり方に関する調査と提言 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=76be1f1f471ad06ecd3979a8576f5ea8 著者 知的財産情報検索委員会第4小委員会 抄録 事業戦略、研究開発戦略と三位一体となった知的財産戦略を遂行する上で特許情報はその基盤となる重要なものである。日々の知財業務においてその特許情報の創出を担っているのが特許調査担当である。近年、特許調査を取り巻く環境は大きく変化しつつあり、そのような状況における今後の特許調査担当のあり方について調査し、考察した。本論説では、各企業における特許調査担当の実態および特許調査業務に対する意識を明らかにするとともに、特許情報の受け手である研究開発部門、マネジメント層(経営層)の認識と対比し、これからの特許調査担当に求められる事項を整理し、今後のあり方を提言する。 10月5日に配信された第163回知財実務オンライン:「特許で競争優位は築けない? 企業の技術力を支える知財ポートフォリオ戦略」(セイコーエプソン 小嶋輝人氏)をアーカイブ動画(約1時間47分)で視聴しました。
1件の特許ではなく15~25件の特許ポートフォリオ戦略で競争優位を築くことの重要性、「出願先行・活用戦略後付け」の問題=「日本企業の知財組織の抱えている問題点は、出願という重要なインプット活動が無計画に行われているという構造的課題にある。」ということなど、わかりやすく話されていました。 あくまで資金力のある大企業の知財戦略であることは理解しておく必要がありますが。 (第163回)知財実務オンライン:「特許で競争優位は築けない? 企業の技術力を支える知財ポートフォリオ戦略」(ゲスト:セイコーエプソン株式会社 VP事業戦略推進部エキスパート(元知的財産本部 特許技術部長)小嶋 輝人) 2023/10/05 にライブ配信 https://www.youtube.com/watch?v=0vM5-mX4w84 目次 ポートフォリオ戦略 1.BP活動と特許クラスター 2.特許ステータスマップと特許戦略 3.プロダクトライフサイクルに応じたポートフォリオ管理 IPL・組織 4.市場動向予想とIPランドスケープ 5.経営と知財 6.中小企業と知財活動 セイコーエプソン執行役員が語る、企業価値向上に貢献する知的財産本部の挑戦 イノベーションを促進し未来を創る、知的財産活動のあり方とは 小林 利彦 – 2023.9.13 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76778 企業価値の持続的成長を支援する、セイコーエプソン 知的財産本部の取り組み https://jbpress.ismedia.jp/ts/seminar/legal/document/kobayashi.pdf セイコーエプソン統合報告書2023 価値創造基盤 P.47-48 知的財産戦略 https://corporate.epson/ja/investors/publications/pdf/integrated_report/epson_ir2023_07_j.pdf セイコーエプソンのPROACTIVEな知財活動 26/9/2020 https://yorozuipsc.com/blog/proactive 日経クロストレンドの記事『生成AIを「業務で日常利用」は2割に到達 活用フェーズ突入へ』(2023年10月06日)で、エクサウィザーズが、「ChatGPT」など生成AIの利用状況(業務に取り入れて実際に活用しているかどうか)を、レベル1(関心なし)、レベル2(関心はある)、レベル3(試しに利用)、レベル4(時々使用)、レベル5(日常的に使用)の5段階に分類して、22年4月末に続いて8月末に実施した調査した結果が掲載されています。
『レベル5の「業務に取り入れて日常的に使用している」が全体の約20%と前回の23年4月末の約7%から大幅に増えた。レベル4の「時々使用している」を合わせると約6割と、前回の3割強と比べて、活用に乗り出した層が大幅に増えている。一方でレベル1とレベル2を合わせた「試していない」層は1割弱と、前回の2割強から大幅に減っている。今回の結果から4割を占めるボリュームゾーンがレベル3「試しに利用」からレベル4「時々使用」に移った。』 『「生成系AIの進展とビジネス活用の要点 ―経営者にとって必要な情報を1時間で整理―」のセミナーに参加した368社、518名を対象に実施しました。』ということなので、数字は高めに出ていると思われますが、使用が大幅に拡大してきているということは間違いなさそうです。 生成AIを「業務で日常利用」は2割に到達 活用フェーズ突入へ 2023年10月06日 https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/02322/?n_cid=nbpnxr_mled_feature_02 2023.09.07リリース ChatGPTなど生成AIを「業務で日常使用」は2割、4カ月で13ポイント増、全社導入で利用が定着〜金融・公共・医薬・小売で積極活用進む、当社経団連後援セミナー368社518名アンケート〜 https://exawizards.com/archives/25353/ 令和4年(行ケ)第10064号「微細結晶」事件(令和5年7月13日判決)は、進歩性の判断で、阻害要因が認められているものと理解できます。
『 a 本件発明1と甲1結晶発明を対比すると、両者は、「化合物1の結晶」という点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は、平均粒径が0.5~20μmの微細結晶であると特定しているのに対して、甲1結晶発明は、平均粒径及び微細結晶であることの特定がない点 (相違点2)本件発明1は、結晶化度が40%以上であると特定しているのに対して、甲1結晶発明は、結晶化度の特定がない点 』 相違点1も相違点2も、それぞれ単独だと組み合わせる動機付けもあると考えられますが、相違点1の課題(溶解性)と、相違点2の課題(安定性)を考えたとき、溶解性を追求するとの観点から溶解性を高めるための周知技術(結晶の粒子径を小さくする)を採用し、かつ、安定性を追求するとの観点から溶解性を低下させる結果となり得る周知技術(結晶の結晶化度を大きくするとの周知技術)をあえて採用することが容易に想到し得たこととは認められませんでした。 周知技術の組み合わせを阻害する要因で進歩性が肯定されたわかりやすい事例といえるでしょう。 令和4年(行ケ)第10064号 審決取消請求事件 判 決 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/206/092206_hanrei.pdf 令和4年(行ケ)第10064号 「微細結晶」事件 https://unius-pa.com/wp/wp-content/uploads/2023/10/R4_gyouke_10064.pdf 令和4年(行ケ)第10064号「微細結晶」(知的財産高等裁判所 令和5年7月13日) https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-10-04-6282 2023.07.13 「共和薬品工業・日医工 v. 協和キリン」 知財高裁令和4年(行ケ)10064 - イストラデフィリンの結晶発明 溶解性と安定性のトレードオフ(阻害要因)により進歩性が肯定された事例 - https://www.tokkyoteki.com/2023/07/2023-07-13-r4-gyo-ke-10064.html 知財高裁令和4(行ケ)10064号(令和5年7月13日判決) https://iwanagalaw.livedoor.blog/archives/21379124.html 安高史朗の知財解説チャンネル 今月の進歩性 202307 ②令和4(行ケ)10064 審決取消請求事件(約24分) https://www.youtube.com/watch?v=61NDUgN_b9M 【コメント】 相違点1,2に係る本件発明の課題および解決手段はいずれも周知であると認定されているので、相違点1,2を個別に検討すると、一見設計事項(数値範囲の好適化・最適化)のようにも思える。 しかしながら、各課題を解決する周知の手段が複数存在すること、および「非晶質の薬物の方が一般に溶解性が高い」という技術常識Aが認定された結果、相違点1の課題(溶解性の向上)に悪影響を及ぼしかねない相違点2の解決手段(結晶化度を大きくする)をあえて採用することの容易想到性が否定された。 「他の解決手段が周知であった」ことから、あえて本件発明の解決手段を選択することが容易ではなかった(普通であれば他の周知の手段を採用するだろう)と判断されたのは興味深い。 また、結晶粒径を小さくするとかえって溶解性が低下し得るという技術常識Bも認定され、これらの技術常識A,Bに反して良好な溶解性および分散性を示したことが本件実施例で示されたことから、優先日当時に予測し得なかった効果があると認められた。 特許4606326 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2005-506044/103E212CA3FA86462F7D5ECCF70F39CB46DE1ECB5E667A8B2D5C0482A51C20B4/10/ja 知財管理66巻(2016年) 9号 1119頁 特許の進歩性判断における阻害要因主張の留意点─2種類の阻害要因─ http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=5f11091a86fd086871a3c21bc35be383 抄録 特許の進歩性判断における阻害要因について、審査基準では、「副引用発明を主引用発明に適用することを阻害する事情があることは、論理付けを妨げる要因(阻害要因)として、進歩性が肯定される方向に働く要素となる。」とされ、4類型に分けて具体例と共に説明されている。そして、「刊行物等の中に、請求項に係る発明を容易に想到することを妨げるほどの記載があれば、そのような刊行物等に記載された発明は、引用発明としての適格性を欠く。」とし、引用発明としての適格性欠如による阻害要因が説明されている。近年の裁判例を確認したところ、阻害要因ありと判断された裁判例の半数以上は、審査基準で具体例を用いずに示された「請求項に係る発明に容易に想到することを妨げるほどの記載」に基づく阻害要因であった。これを踏まえ、本稿では、適切な阻害要因主張について提言する。 近年の裁判例における阻害要因の分類と阻害要因の主張時における留意点の検討 https://jpaa-patent.info/patents_files_old/201511/jpaapatent201511_090-098.pdf 特許出願の中間処理,審決取消訴訟または特許権侵害訴訟において,発明の進歩性を主張するときに,主引用発明と副引用発明との組み合わせを阻害する要因(いわゆる阻害要因)を主張することが良く行われる。実際に実務を担当してみると,事案毎に適切な阻害要因の主張の論理を構築することには困難がつきまとう。このような困難を解決する一つの方策として過去の裁判例において主張された阻害要因の主張趣旨を類型に分類して整理しておくことが考えられる。このように分類して整理しておけば,事案に応じた適切な類型を選択して,阻害要因の主張の論理を構築しやすくなるからである。また,同じ類型であっても,阻害要因が認められた事例,及び阻害要因が認められなかった事例について整理しておけば,今後,より的を得た阻害要因の主張ができるものと思われる。そこで,本論文では,阻害要因が問題になった近年の裁判例を,その阻害要因の主張趣旨毎に分類して得られた阻害要因の類型について紹介する。そして,阻害要因の類型毎に近年の裁判例を紹介しつつ,阻害要因の主張時における留意点について検討した結果を報告する。 知財管理 62巻(2012年) 11号 1547頁 進歩性が争われた判決の研究─阻害要因について─ http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=aad509b9b5fb6ba71cf65e1956637da4 抄録 本稿は、平成21年1月~24年3月に進歩性に関連して知財高裁から出された判決のうち、阻害要因に関して判断された事例について検討した結果に基づき、出願人の立場から参考となる事例を紹介するものである。 審査において発明の構成要件が開示された複数の引用文献が審査官より提示されれば、阻害要因を主張しない限り進歩性が肯定されなかった時期もあった。しかし、現在の進歩性の判断においては、発明の構成が開示された複数の文献が存在している場合、阻害要因の有無が唯一の進歩性肯定の理由ではなく動機付けの有無と並ぶ一つの評価要素という位置付けになっている。 引用発明の記載を様々な観点から注意深く確認し、引用発明の組み合わせの阻害要因の存在を主張することは、進歩性を担保するうえで依然として有効かつ効果的である。 知財管理61巻(2011年) 2号 207頁 進歩性判断における阻害要因と証明責任 -テアニン含有組成物事件- http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=21c2ca72359c883181ddd9125db3eabe 抄録 本件は、進歩性欠如を1つの理由として請求棄却された拒絶査定の審決に対する取消請求事件であり、「テアニンを有効成分とする抗ストレス剤」に関する引用発明1に、「波増強剤」に関する引用発明2を適用して本件発明の進歩性を否定することの可否が争われた事件である。 裁判所は、自律神経系の作用を開示する引用発明1と中枢神経系の作用を開示する引用発明2とは技術分野を異にするため、両者を組み合わせることには阻害要因があるとし、また引用発明1の抗ストレス剤はストレス状態から平常状態にするものであるのに対して、引用発明2の波増強剤は平常状態からリラックス状態を導くものであるから、引用発明1に引用発明2を適用する示唆もないと判断した。 本稿では、2以上の引用発明同士を組み合わせる場合の「阻害要因」及び「証明責任」という側面から、進歩性の判断について検討した。 課題の相違が動機づけの阻害要因となるか否かに関する審決取消訴訟判決例 https://jpaa-patent.info/patents_files_old/200408/jpaapatent200408_082-097.pdf 特許・実用新案審査基準 第 III 部 第 2 章 第 2 節 進歩性 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0202bm.pdf RIETI Discussion Paper『⽇本企業の AI 導⼊と⽣産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果』では、AI関連特許は既存の非AI特許よりも企業の生産性を高める一方で、企業間格差を広げていることが指摘されています。
『特許出願企業の割合は、大企業で54%、中小企業で28%であるのに対し、AI関連特許出願企業は大企業の3.2%、中小企業の0.07% で、AI関連特許を出願する中小企業は極めて少数。AIは大企業のビジネスを強化する可能性があるので、中小企業におけるAIの導入、活用の支援などは今後重要。』という指摘は、納得感があります。 日本企業のAI導入と生産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/23j034.pdf RIETI Discussion Paper Series 23-J-034 2023 年 9 ⽉ ⽇本企業の AI 導⼊と⽣産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果 池内 健太(RIETI) 乾 友彦(RIETI、学習院⼤学) ⾦ 榮愨(専修⼤学) 要 旨 近年、⼈⼯知能(Artificial Intelligence, AI)のビジネスでの利⽤が広がり、AI が企業のパフォーマンスにどのようなメカニズムで、どれほど影響するかに関⼼が⾼まっている。本研究では、『経済産業省企業活動基本調査』、TSR の企業間取引データ、プレスリリースデータ、IIP パテントデータベース情報などを⽤いて、企業の AI 導⼊が企業のパフォーマンスに与える影響を分析する。⾃社の研究開発によって⽣み出される AI 関連特許導⼊に加え、取引先企業(サプライヤーとカスタマー)の AI 導⼊を通じた影響も分析する。また、AI による⽣産過程の効率化(プロセスイノベーション)に加え、新製品の創出や既存製品の付 加価値向上(プロダクトイノベーション)も分析する。主な結果は以下のとおりである。 (1)AI 関連特許は企業の⽣産性と正の相関があり、⾮ AI 特許よりも⽣産性との関係が強い。 (2)特許出願件数が減少し始めた 2009 年以降も、AI 関連特許と企業⽣産性の関係は強まっている。 (3)AI 関連特許は主に産業内で中間以上の⽣産性の企業の⽣産性に貢献する。⽣産性の低い企業ではAI 関連特許が⽣産性に負の影響を与える。 (4)取引関係企業の AI 導⼊が当該企業の⽣産性に正のスピルオーバー効果をもたらすことは確認できない。 (5)AI 関連特許は企業のプロダクトイノベーション、プロセスイノベーション、技術イノベーションのすべてに強く関係し、特に質の⾼い AI 関連特許はイノベーションに中期的かつ重要な影響を与える。 10月4日、第1回AI時代の知的財産権検討会(座長:渡部 俊也 東京大学執行役・副学長、未来ビジョン研究センター教授、事務局:内閣府 知的財産戦略推進事務局)がWEB開催されました。AI と知的財産権等との関係をめぐる課題への対応について、関係省庁における整理等を踏まえつつ、必要な対応方策等を検討することを目的としています。
会議では、内閣府 知的財産戦略推進事務局から「本検討会の開催趣旨・背景」(資料2)が説明され、その後、「本検討会において検討すべき課題について」(資料3)が説明されました。 「本検討会の開催趣旨・背景」(資料2) (1)「AI時代の知的財産権検討会」の開催趣旨 (2)背景 ①過去の検討結果:「新たな情報財検討委員会」 ②AIによるコンテンツ生成技術の動向等[h1] ③AI戦略会議「AI に関する暫定的な論点整理」(2023年5月) ④知的財産推進計画2023(2023年6月) ⑤国際的な動向 「本検討会において検討すべき課題について」(資料3) 1.基本的視点(案) 2.生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について(検討課題Ⅰ) 3. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について(検討課題Ⅱ) 「本検討会において検討すべき課題について」の議論の中で印象的だったのは、 『今後の審議の基礎とすべき検討の基本的な視点は以下の通りとする。 (1)産業競争力強化の視点 全体を貫く第一の視点として、生成AIの開発・提供・利用の促進により、公正で自由な社会経済環境の下、幅広い産業において付加価値が創出され、我が国の産業競争力の強化が図られることを目指す。 (2)AI技術の進歩の促進と権利保護のバランスの視点 生成AIの開発・提供・利用において、AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護のバランスが取れた方策等を目指す。 (3)国際的視点 AIは国際的な流通が容易であり、国境を越えた課題であることを踏まえ、国際的な動向を踏まえた方策等を目指す。』 という「基本的視点(案)」に対して、特に(2)で「AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護」が二項対立的に受け取られる表現になっているのではないかと懸念する意見が3人からでたことでした。東京大学の田村教授から修正案が出されていました。 また、(3)で、「広島AIプロセス」という枠組みを進め、G7として生成AIに関する国際ルールを年内に策定する方針で、そのイニシアティブを日本が主導する」という岸田総理の発言と、「国際的な動向を踏まえた方策等を目指す。」という今回の表現の違いを気にする発言もありました。 「2.生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について(検討課題Ⅰ) 、3. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について(検討課題Ⅱ)」の検討課題についても、活発な発言が相次ぎました。特に、「技術による対応」のところでは、技術に詳しい委員から説明があり、良い勉強になりました。 今後、関係事業者ヒアリング、関係省庁ヒアリング(文化庁・特許庁)が行われ、議論が深まっていくことが期待できそうです。 この問題は、影響が広範囲に及ぶことから、委員だけでなく、もっと幅広い方々の意見が反映されるようにした方がよいのではと思っていたところで、10月5日付けで、「AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集」が始まりました。11 月5日(日) まで約1か月の期間が設定されており、それらも踏まえて、年内の論点整理めざすということで、生成AIがもたらす懸念やリスク等への適切な対応を期待しています。 生成AIと知的財産権、年内論点整理めざす 内閣府の検討会が初会合 2023年10月4日 https://digital.asahi.com/articles/ASRB46SK1RB4UTFK00F.html AI時代の知的財産権検討会(第1回) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/dai1/index.html AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集について https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095230820&Mode=0 意見募集要領 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000260680 第1回AI時代の知的財産権検討会(R5.10.4)配布資料 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000260681 [h1] |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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