10月4日、第1回AI時代の知的財産権検討会(座長:渡部 俊也 東京大学執行役・副学長、未来ビジョン研究センター教授、事務局:内閣府 知的財産戦略推進事務局)がWEB開催されました。AI と知的財産権等との関係をめぐる課題への対応について、関係省庁における整理等を踏まえつつ、必要な対応方策等を検討することを目的としています。
会議では、内閣府 知的財産戦略推進事務局から「本検討会の開催趣旨・背景」(資料2)が説明され、その後、「本検討会において検討すべき課題について」(資料3)が説明されました。 「本検討会の開催趣旨・背景」(資料2) (1)「AI時代の知的財産権検討会」の開催趣旨 (2)背景 ①過去の検討結果:「新たな情報財検討委員会」 ②AIによるコンテンツ生成技術の動向等[h1] ③AI戦略会議「AI に関する暫定的な論点整理」(2023年5月) ④知的財産推進計画2023(2023年6月) ⑤国際的な動向 「本検討会において検討すべき課題について」(資料3) 1.基本的視点(案) 2.生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について(検討課題Ⅰ) 3. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について(検討課題Ⅱ) 「本検討会において検討すべき課題について」の議論の中で印象的だったのは、 『今後の審議の基礎とすべき検討の基本的な視点は以下の通りとする。 (1)産業競争力強化の視点 全体を貫く第一の視点として、生成AIの開発・提供・利用の促進により、公正で自由な社会経済環境の下、幅広い産業において付加価値が創出され、我が国の産業競争力の強化が図られることを目指す。 (2)AI技術の進歩の促進と権利保護のバランスの視点 生成AIの開発・提供・利用において、AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護のバランスが取れた方策等を目指す。 (3)国際的視点 AIは国際的な流通が容易であり、国境を越えた課題であることを踏まえ、国際的な動向を踏まえた方策等を目指す。』 という「基本的視点(案)」に対して、特に(2)で「AI技術の進歩の促進と知的財産権の保護」が二項対立的に受け取られる表現になっているのではないかと懸念する意見が3人からでたことでした。東京大学の田村教授から修正案が出されていました。 また、(3)で、「広島AIプロセス」という枠組みを進め、G7として生成AIに関する国際ルールを年内に策定する方針で、そのイニシアティブを日本が主導する」という岸田総理の発言と、「国際的な動向を踏まえた方策等を目指す。」という今回の表現の違いを気にする発言もありました。 「2.生成AIと知財をめぐる懸念・リスクへの対応等について(検討課題Ⅰ) 、3. AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方について(検討課題Ⅱ)」の検討課題についても、活発な発言が相次ぎました。特に、「技術による対応」のところでは、技術に詳しい委員から説明があり、良い勉強になりました。 今後、関係事業者ヒアリング、関係省庁ヒアリング(文化庁・特許庁)が行われ、議論が深まっていくことが期待できそうです。 この問題は、影響が広範囲に及ぶことから、委員だけでなく、もっと幅広い方々の意見が反映されるようにした方がよいのではと思っていたところで、10月5日付けで、「AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集」が始まりました。11 月5日(日) まで約1か月の期間が設定されており、それらも踏まえて、年内の論点整理めざすということで、生成AIがもたらす懸念やリスク等への適切な対応を期待しています。 生成AIと知的財産権、年内論点整理めざす 内閣府の検討会が初会合 2023年10月4日 https://digital.asahi.com/articles/ASRB46SK1RB4UTFK00F.html AI時代の知的財産権検討会(第1回) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/dai1/index.html AI 時代における知的財産権に関する御意見の募集について https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095230820&Mode=0 意見募集要領 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000260680 第1回AI時代の知的財産権検討会(R5.10.4)配布資料 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000260681 [h1]
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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