金沢工業大学 加藤教授によれば、2019年の「経営における 知的財産戦略事例集」、2020年の「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」いずれにも取り上げら、かつ同一テーマを深掘りした企業は、6社とのことです。
このような学術的理論を背景とした知財ポートフォリオのマネジメントを行っている興味深い企業として、セイコーエプソンの事例がある。この 2020事例集に掲載の事例は、2019 事例集に示された考え方を実践した具体例(液晶プロジェクター) という関係となる。ここでは、プロダクトライフサイクルの段階に応じた知財ポートフォリオのマネジメントについて具体的な戦術手段例(非許諾、 クロスライセンス、売却許諾等)とともに示されており、今までの実務の延長として、具体的な知財ポートフォリオの活用を考えている企業に参考となろう。 金沢工業大学(K.I.T.)虎ノ門大学院イノペーションマネジメント研究科の加藤教授、IPジャーナル第14号(発行日:2020年9月15日)、『令和元年度特許庁「経営に資する知財マネジメントの実態に関する調査研究」の総括』より引用 経営における 知的財産戦略事例集 https://www.jpo.go.jp/support/example/document/keiei_senryaku_2019/keiei_chizaisenryaku.pdf 「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」 https://www.jpo.go.jp/support/example/document/chizai_senryaku_2020/all.pdf セイコーエプソンの主体的(Proactive)な知財活動については、知的財産本部長 小林 利彦氏の説明が、会社のHPに詳しく記載されています。 潜在的な知財課題に主体的に対応 イノベーションの支援・促進 知財ミックスと技術ブランド戦略 「Cカーブ」に沿った特許権利活用戦略 知財のプロフェッショナル集団 https://www.epson.jp/technology/intellectual_property/ また、下記もセイコーエプソンの主体的Proactiveな知財活動を理解する上で、参考になります。 大手メーカーの知財部門での活用 ¦ SPEEDA セイコーエプソン株式会社 「データを分析して可視化するのが目的ではなく、捻出した時間で情報をどう深掘りするのかが重要です。SPEEDAでそれが実現できました。」 https://jp.ub-speeda.com/ex/customers_epson/ 上柳雅誉, 経営に資する知財活動 -知的財産(活動)による事業貢献の見える化に向けて-,第6回JIPA知財シンポジウム (2007) http://www.jipa.or.jp/jyohou_hasin/sympo/pdf/06sym_kamiyanagi.pdf 知的財産戦略によるイノベーションの専有可能性 ―インクジェットプリンタの暗黙の知的財産同盟― https://www.ipaj.org/bulletin/pdfs/JIPAJ12-1PDF/12-1_p50-83.pdf 知識祐典, インクジェットプリンター市場における国内企業の特許出願と製品動向に関する考察, 平成27年度プロジェクトレポート http://www.ip-tanaka-lab.com/pdf/201604/Yusuke_Chishiki_pr.pdf 「Cカーブ」で、3. 売却・有償許諾領域<クロスライセンス締結によって事業の成長に貢献してきた特許を他社に売却もしくは有償で実施許諾することで資金回収(収益化)を行います。>と位置付けられた特許群は、確かに売却されています。 IPValue Managementの関連会社がセイコーエプソンからポートフォリオを追加買収, 2019-10-09 https://www.zaikei.co.jp/releases/879789/ セイコーエプソン株式会社から株式会社IP Bridgeが組成・運⽤する知財ファンドへの特許譲渡について, 公表⽇︓2016年7⽉18⽇ http://ipbridge.co.jp/news/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%B3%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%8B%E3%82%89%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BEip-bridge%E3%81%8C%E7%B5%84%E6%88%90 最近のクローズドのセミナーで、さらに突っ込んだ話を聞くことができたのですが、オープン情報ではないのでここに書くことができません。さすがセイコーエプソンさんと感心しました。 また、最近の動きで、エプソンのプリンターが「インクで儲ける」仕組みを自ら覆したということで、「過去、ビジネスの教科書に書かれてきた『プリンターはジレット・モデル』という常識」が覆っているらしいですが、この動きと知財の動きについて、何か書かれたものが出てくるのを期待しています。 山田英夫:早稲田大学ビジネススクール教授,エプソンのプリンターが「インクで儲ける」仕組みを自ら覆した理由, ダイヤモンド・オンライン(20200912) https://diamond.jp/articles/-/247351?page=4
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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