RIETI Discussion Paper『⽇本企業の AI 導⼊と⽣産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果』では、AI関連特許は既存の非AI特許よりも企業の生産性を高める一方で、企業間格差を広げていることが指摘されています。
『特許出願企業の割合は、大企業で54%、中小企業で28%であるのに対し、AI関連特許出願企業は大企業の3.2%、中小企業の0.07% で、AI関連特許を出願する中小企業は極めて少数。AIは大企業のビジネスを強化する可能性があるので、中小企業におけるAIの導入、活用の支援などは今後重要。』という指摘は、納得感があります。 日本企業のAI導入と生産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/23j034.pdf RIETI Discussion Paper Series 23-J-034 2023 年 9 ⽉ ⽇本企業の AI 導⼊と⽣産性:スピルオーバー効果とイノベーション効果 池内 健太(RIETI) 乾 友彦(RIETI、学習院⼤学) ⾦ 榮愨(専修⼤学) 要 旨 近年、⼈⼯知能(Artificial Intelligence, AI)のビジネスでの利⽤が広がり、AI が企業のパフォーマンスにどのようなメカニズムで、どれほど影響するかに関⼼が⾼まっている。本研究では、『経済産業省企業活動基本調査』、TSR の企業間取引データ、プレスリリースデータ、IIP パテントデータベース情報などを⽤いて、企業の AI 導⼊が企業のパフォーマンスに与える影響を分析する。⾃社の研究開発によって⽣み出される AI 関連特許導⼊に加え、取引先企業(サプライヤーとカスタマー)の AI 導⼊を通じた影響も分析する。また、AI による⽣産過程の効率化(プロセスイノベーション)に加え、新製品の創出や既存製品の付 加価値向上(プロダクトイノベーション)も分析する。主な結果は以下のとおりである。 (1)AI 関連特許は企業の⽣産性と正の相関があり、⾮ AI 特許よりも⽣産性との関係が強い。 (2)特許出願件数が減少し始めた 2009 年以降も、AI 関連特許と企業⽣産性の関係は強まっている。 (3)AI 関連特許は主に産業内で中間以上の⽣産性の企業の⽣産性に貢献する。⽣産性の低い企業ではAI 関連特許が⽣産性に負の影響を与える。 (4)取引関係企業の AI 導⼊が当該企業の⽣産性に正のスピルオーバー効果をもたらすことは確認できない。 (5)AI 関連特許は企業のプロダクトイノベーション、プロセスイノベーション、技術イノベーションのすべてに強く関係し、特に質の⾼い AI 関連特許はイノベーションに中期的かつ重要な影響を与える。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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