知財管理, Vol. 72, No. 8, 2022の判例と実務シリーズ:No.532「特許権侵害と取締役の対第三者責任(大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件)」は、会社法429条1項(役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは,当該役員等は,これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う)に基づき,他社の特許権を侵害した会社の代表取締役及び取締役に対し,特許権者への損害賠償を命じた判決を分析した上で,企業実務への影響について検討しています。
今後の企業の対応についても触れており、『多くの企業が危惧する侵害リスク管理との関係について述べると,開発時におけるFTO調査と侵害警告時等における鑑定及びそれらの結果に基づく違法状態の回避,解消といった,一般的な侵害リスク対応の実務が定着していれば,通常,特許権侵害を理由に取締役が個人責任を負うことはなく,この判決を理由に実務の変更を検討するのは時期尚早と思われる。』などとしていて、参考になります。 (なお、本件は、控訴審(知財高裁令和3年(ネ)第10087号)における和解により終結しているようです。) 令和1(ワ)5444 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 令和3年9月28日 大阪地方裁判所 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/602/090602_hanrei.pdf 特許権侵害の不法行為により特許権者に損害を 与えた会社の役員個人に対し、会社法429条1項に 基づく損害賠償責任を認めた事例 https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/202201news.pdf 判例解説 大阪地裁令和 3 年 9 月 2 8 日判決 (令和元年(ワ)第 5 4 4 4 号) http://www.koyo-patent.co.jp/koyotsushin/koyotsushin202204.pdf 判例と実務シリーズ(No. 532) 論文名 (No. 532) 特許権侵害と取締役の対第三者責任 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=2d6b3abdac3a7176e2361063e2432348 大阪地方裁判所第21民事部(谷有恒裁判長)は、令和3年9月28日、他社の特許権を侵害した会社の取締役らに対し、会社法429条1項に基づき、侵害者である会社と同等の損害賠償責任を認める判決をした。この判決は、内閣の知的財産戦略本部の検討会で紹介されたことから多くの企業に注目され、また、動揺をもたらした。特に、専門家から非抵触の鑑定を得ながら、取締役が会社と同等の個人責任を問われた点は不安を生み、他方で、侵害者に対する新たな責任追及の手段を切り拓く判決とみる向きもある。しかし、この判決の判断枠組みは、取締役の対第三者責任の要件である任務懈怠や悪意重過失の把握において判例による会社法の解釈から乖離し、また、任務懈怠や悪意重過失のほか、因果関係にかかる認定判断にも欠落があると思われるため、判旨を一般化して実務の見直し等を検討するのは時期尚早と考えられる。 【裁判例】令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13211.html 2021.09.28 「メディオン v. P1・P2・P3・P4」 大阪地裁令和元年(ワ)5444 https://www.tokkyoteki.com/2021/11/2021-09-28-r1-wa-5444.html
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オムロンは、多くの事業を展開していますので、「各事業を公平に評価するための最適な指標」とるして、ROIC(Return On Invested Capital:投下資本利益率)を活用した「ROIC経営」を行っていることで有名です。 ROIC経営は「ROIC逆ツリー展開」と「ポートフォリオマネジメント」から構成されており、「ROIC逆ツリー展開」では、ROICの要素を分解し部門のKPIレベルにまで掘り下げています。 こうすることで担当者の目標とROICの関連性が明らかになり、各自が目標達成に取り組むことがROICの向上につながっていくということが腑に落ちるため、自分事として捉えることができるようになっているメリットがあるようです。 また「ポートフォリオマネジメント」では、約60のユニットに事業を分解し、各事業の経済価値を評価する指標としてROICを活用しています。 現状、この「ROIC逆ツリー展開」には、知財・無形資産は含まれていません。この「ROIC逆ツリー展開」に知財・無形資産が入ってくるとどんな入り方をするのか、非常に興味深く、今後、「ROIC逆ツリー展開」に知財・無形資産が入ることを期待しています。 オムロン「統合レポート2021」 https://www.omron.com/jp/ja/integrated_report/ P29 ROIC逆ツリー展開(オムロン統合レポート2021から引用) マルチマルチクレーム制限が実務に及ぼす影響について典型例を挙げて検討した結果が、「マルチマルチクレーム制限が日本の審査実務および外国出願へ及ぼす影響と対応策」(知 財管理Vol. 72, No. 8, 2022) に掲載されています。
『マルチマルチクレーム制限への対策として「および/または」「~なる群から選ばれる少なくとも1つ」という書き方を利用することが考えられる。』とのことですが、審査でどういう対応がされるのか見守りたいと思います。 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=df4aa16a356b34d014af701c6dd9d878 マルチマルチクレーム制限の概要、特に実務上の注意点について解説した。また、マルチマルチクレーム制限が日本の審査実務に及ぼす影響について典型例を挙げて検討し、マルチマルチクレームが制限されても、審査対象となった請求項についての新規性および進歩性の判断へは原則影響はないが、記載要件(サポート要件、実施可能要件)、発明の単一性(第37条)およびシフト補正(第17条2第4項)の判断へは影響が有り得ることを示した。また、それへの対応策を提案した。さらに、マルチマルチクレーム制限が外国出願、特に欧州、中国、韓国、米国への特許出願へ及ぼす影響について検討し、マルチマルチクレームが許容されている欧州においてマルチマルチクレームを含まない特許出願を行った場合に想定されるリスクについて言及した。そして、それらを考慮したPCT出願および日本への基礎出願における(特許)請求の範囲および明細書の記載方法について提案した。 知財管理8月号(Vol. 72, No. 8, 2022) の「後出の特許による既存事業の差止めは許されるか──特殊パラメータ発明の新規性・ 進歩性・記載要件・先使用権の検討──」という神戸大学大学院法学研究科 前田健教授の論説は、「特許権は絶対的効力を有するから,独自に開発された技術に基づいて事業に着手した場合であっても,後から現れた他者の特許により,事業の継続が困難となる場合がある。現在の一部の裁判例の立場を前提とすると,既存事業が後出の特許により差し止められるリスクは相当程度ある。」という現状認識に基づき、一部の裁判例の立場は特許制度の趣旨に照らすならば好ましいことではないという立場から、「特許法の解釈論について更なる議論が進むことを期待している。」というものです。
説得力のある議論だと思います。 後出の特許による既存事業の差止めは許されるか http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=4e4098da156881d760bd102bed0daa53 特許権は絶対的効力を有するから、独自に開発された技術に基づいて事業に着手した場合であっても、後から現れた他者の特許により、事業の継続が困難となる場合がある。現在の一部の裁判例の立場を前提とすると、既存事業が後出の特許により差し止められるリスクは相当程度ある。しかし、特許権は、創作のインセンティブを付与するために必要な限度で与えられるべきものであって、既存の技術や独自開発された技術の利用が制約される事態は、必要最小限度にとどめなければならない。 以上によると、先使用権の要件たる発明の同一性は緩やかに認めるべきであり、新規性・進歩性は、「新規」でない技術が技術的範囲に含まれる場合には、原則として否定されるべきである。また、クレームに効果・機能を記載することによりサポート要件を潜脱することを防止すべきである。このように、 上記理念に沿うよう特許法解釈を行えば、前記リスクを抑えることができる。 人工知能(AI)を活用した知的財産分野のサービスが増えています。
日経新聞の記事「知財AI、企業の助っ人に 出願書類作成が「適法」認定」では、AI Samurai(AIサムライ)、Patentfield(パテントフィールド)、cotobox(コトボックス)、Toreru(トレル)、弁護士ドットコム、リーガルフォースなどが紹介されています。 AI Samurai(AIサムライ)、Patentfield(パテントフィールド)は、使用したことがあります。 使い勝手良いです。 知財AI、企業の助っ人に 出願書類作成が「適法」認定 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC122VC0S2A710C2000000/ AI Samurai https://aisamurai.co.jp/ Patentfield https://patentfield.com/ cotobox https://cotobox.com/ Toreru https://toreru.jp/ 弁護士ドットコム https://www.bengo4.com/ リーガルフォース https://legalforce-cloud.com/ 特許行政年次報告書2022年版の特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報から「一次審査における新規性充足率が高い上位50社」をピックアップしてみました。 1位 TVS REGZA株式会社 2位 日立建機株式会社 3位 株式会社大一商会 4位 東芝三菱電機産業システム株式会社 5位 浜松ホトニクス株式会社 でした。 ちなみに、2021年における一次審査における新規性充足率と特許査定率の相関をみたところ、相関係数0.45で正の相関があることが確認されました。特許取得の考え方としてチャレンジクレームを考える場合もありますが、一般的には一次審査における新規性充足率は高い方が好ましいことに異論はありません。 特許行政年次報告書2022年版 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/index.html 経営・事業戦略に貢献する知財価値評価と効果的な活用法 技術情報協会(2021) 第2章 経営,事業に貢献する知的財産の価値評価の進め方 第4節 知的財産および知的財産活動の経営上の貢献度評価 https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2092.htm 特許行政年次報告書2022年版の特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報から「審査請求率が高い上位50社」をピックアップしてみました。 特許査定率、総合特許登録率と比べると重要下がりますが、無駄な出願をさけるという意味では、審査請求率は重要な指標になるでしょう。 1位 株式会社ニューギン 2位 ヤフー株式会社 3位 株式会社FUJI 4位 TVS REGZA株式会社 5位 株式会社大都技研マツダ株式会社 でした。 特許行政年次報告書2022年版 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/index.html 経営・事業戦略に貢献する知財価値評価と効果的な活用法 技術情報協会(2021) 第2章 経営,事業に貢献する知的財産の価値評価の進め方 第4節 知的財産および知的財産活動の経営上の貢献度評価 https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2092.htm 2022年6月3日に開催された「PatentSight Summit 2022『経営の知となるIPコミュニケーション』」にて、株式会社LIXIL 知的財産統括部長 弁理士/AIPE認定 知的財産アナリストの片岡 将己氏が、同社における知財部門の役割と位置づけを話しました。
Page1 イノベーションとリスクマネジメントを支えるLIXILの知財部門 Page 2 「日本発の技術」と「グローバル発のデザイン」を融合した商品戦略 Page 3 知財部門の役割は「管理から戦略」へ Page 4 知財部門が「戦略組織」になるための進化のフェーズ 知財部門が製品企画の段階から事業戦略に参画 Page 5 事業部門・経営陣とのコミュニケーション施策 知財部門を戦略屋にする数々の施策 LIXILのグローバル事業戦略を支える「戦略組織」としての知財部門──新たな役割と進化の道筋とは︖PatentSight Summit 2022 レポート Vol.3 https://bizzine.jp/article/detail/7869 株式会社LIXILの知財活動(PATENTSIGHT SUMMIT 2022) https://yorozuipsc.com/blog/lixilpatentsight-summit-2022 特許行政年次報告書2022年版の特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報から「総合特許登録率が高い上位50社」をピックアップしてみました。(日本企業のみ) 総合特許登録率は、審査請求率×特許登録で表されます。ここでは、2021年の特許総合登録率を特許行政年次報告書のデータから簡易的に下記の式で計算しました。 総合特許登録率(2021年)=審査請求率(2018年)×特許登録率(2021年) 1位 マツダ株式会社 2位 フジテック株式会社 3位 KDDI株式会社 4位 TVS REGZA株式会社 5位 東芝三菱電機産業システム株式会社 でした。 3年連続8割以上が、マツダ株式会社、フジテック株式会社、KDDI株式会社、東芝三菱電機産業システム株式会社、三菱電機ビルテクノサービス株式会社、株式会社ニューギン、株式会社FUJI、大王製紙株式会社の8社でした。 出願した特許がすべて権利化される、というのも理想形のひとつでしょう。 特許行政年次報告書2022年版 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/index.html 経営・事業戦略に貢献する知財価値評価と効果的な活用法 技術情報協会(2021) 第2章 経営,事業に貢献する知的財産の価値評価の進め方 第4節 知的財産および知的財産活動の経営上の貢献度評価 https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2092.htm 特許行政年次報告書2022年版の特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報から「グローバル出願率が高い上位50社」をピックアップしてみました。 1位 日本電信電話株式会社 2位 株式会社オートネットワーク技術研究所 3位 東京エレクトロン株式会社 4位 株式会社村田製作所 5位 オリンパス株式会社 でした。 3年連続8割以上が、株式会社オートネットワーク技術研究所、富士フイルム株式会社、株式会社ジャパンディスプレイ、ソニーグループ株式会社の4社でした。 特許行政年次報告書2022年版 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/index.html 特許行政年次報告書2022年版の特許登録件数上位200社(2021年)の出願・審査関連情報から「特許査定率が高い上位50社」をピックアップしてみました。
1位は3年連続で井関農機株式会社ですが、2位は株式会社日立ハイテク、3位三菱電機ビルテクノサービス株式会社、4位フジテック株式会社、5位ブラザー工業株式会社でした。この5社と日立建機株式会社、株式会社SUBARUが3年連続で特許査定率90%を超えていました。 特許査定率が高いことは「知的財産活動の成果」であり、「高い技術力の証」と言えるでしょう。 特許行政年次報告書2022年版 https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/index.html 井関農機株式会社は、8月10日「分野別登録数及び特許査定率の公表について」をホームページに掲載、特許の日本における分野別登録数 「その他の特殊機械分野」で第 2 位、特許査定率が「全産業中」第 1 位であることをアナウンスしました。
特許査定率は、2021年97.2%で第1 位ですが、2020年98.7%、2019年97.7%で、3年連続第1位で、知的財産活動の成果は、「井関グループの高い技術力の証」として、ISEKIレポート2022にも記載されています。先端技術との融合が生み出す 新たな農業「スマート農業」関連特許出願件数も3位で、今後が期待されます。 分野別登録数及び特許査定率の公表について https://www.iseki.co.jp/cms/upload/pdf/news/co_20220810_2.pdf 特許庁ホームページにて「特許行政年次報告書 2022 年版」が掲載され、当社の分野別 登録数及び特許査定率が公表されましたのでお知らせいたします。 当社の日本における特許出願の分野別登録数の多さや高い特許査定率は、新しい技術の開発、投入、実用化に積極的に取り組んできた技術開発の証しです。今後も、知的財産を重視した事業活動に取り組んでまいります。 私たちの誇り 認められた確かな技術 https://www.iseki.co.jp/recruit/pride/ ISEKIレポート2022 https://www.iseki.co.jp/csr/pdf/iseki_repo_2022.pdf スマート農機の開発加速する井関農機、先端技術への挑戦の今とこれから 2022年02月09日 https://newswitch.jp/p/30791 先端技術との融合が生み出す 新たな農業「スマート農業」 https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol48/01_page2.html 「クボタ」「ヤンマー」「井関農機」が他をリード 知的財産報告書2020年 創立95周年記念版 https://www.iseki.co.jp/cms/upload/pdf/ir/intellectual_property/1585894701-207416.pdf 井関農機(株)における知的財産権取得への取組について https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010923041.pdf 別冊パテント第27号に掲載の「内在特性と新規性 ―免疫関連分野の発明を題材にして―」が2022年 08月 02日から先行公開されています。
「一般に,発明 A の有する構成 P(内在特性)が公知の刊行物に記載された引用発明 B には具体的に開示されていないが,発明 B にその構成 P が内在し,その構成を必然的に有している場合,発明 A と発明 B とは内在的に同一であり,その他の構成に相違する点がなければ,発明 A の新規性は否定される。これを原則とし,これに沿った裁判例は多数存在する(1)。一方,当該内在特性について発明 B に記載がなく,出願当時,当業者が認識することができなかったことで,追試実験データを参酌することなく新規性を肯定する裁判例(2)も少なからず存在する。また,用途発明の場合に,物の構成が同一でも用途としての効果に相違があれば新規性を肯定するのか否かなどの問題(3)もあり,内在特性が関係する新規性の判断については,従前から種々の学説や見解が示されてきているが,いまだ明解な判断基準が確立されているとはいえない。」 悩ましい問題です。 内在特性と新規性 ―免疫関連分野の発明を題材にして― 弁理士 細田 芳徳 https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/4007 要 約 内在特性を備えた物の新規性や当該内在特性により導かれる用途発明の新規性は,化学・バイオ分野に特有な問題であり,なかでも当業者にとって認識困難な内在特性に対する扱いには,従来から種々の立場の解釈があり,見解も分かれやすい。すなわち,内在特性について出願後に追試実験データを参酌して判断することの可否や,例えば,美白化粧料が公知の場合に,同じ成分からなるシワ抑制用化粧料の発明に新規性を肯定することの是非は,議論の多いところである。今回,技術的に未解明な要素が比較的多い免疫関連分野の発明に関する最近の裁判例(IL-17 産生の阻害事件,IL-2 改変体事件,及びワクチン組成物事件)を例にして,特に,用途発明に焦点をあてて,これらの問題点を検討した。本稿では,従前からの見解と対比検討をしながら,多少異なる視点から,新規性についての見解の提示を試みた。 目 次 1.はじめに 2.問題の所在 3.免疫関連分野の最近の裁判例の概要 (1)IL-17 産生の阻害事件〔平成 30 年(行ケ)第 10036 号〕 (1-1)事件の概要 (1-2)考察 (2)IL-2 改変体事件〔令和元年(行ケ)第 10076 号〕 (2-1)事件の概要 (2-2)考察 (3)ワクチン組成物事件〔平成 28 年(行ケ)第 10107 号〕 (3-1)事件の概要 (3-2)考察 (4)小括 4.検討 (1)内在特性と新規性 (1-1)多様な内在特性 (1-2)内在特性が問題となる物 (1-3)内在特性と用途発明 (2)新規性の趣旨と新規性判断 (2-1)本稿での立場 (2-2)従前からの見解との対比 5.おわりに 8月4日にライブ配信された(第105回)知財実務オンライン:「明細書・意見書を書く人が絶対に読むべき書籍7選」(ゲスト:知財実務情報Lab.管理人 / ソナーレ特許事務所パートナー / 弁理士・技術士 高橋 政治)(約1時間47分)を視聴しました。
https://www.youtube.com/watch?v=hl7PR8H-rH8 18:28 1冊目これを読まなきゃ始まらない分厚い本「特許・実用新案 審査基準」 35:11 2冊目無料は信じ難い。文章の書き方はこれだけで概ねOK「特許ライティングマニュアル」 54:07 3冊目発明の把握からクレーム作成までをまとめた良書。初中級向け「特許明細書のクレーム作成マニュアル」 1:04:40 4冊目外国出願を考慮した明細書の書き方を学ぶ名著。中上級者向け「日米欧中に対応した特許出願戦略と審査対応実務」 1:11:26 オマケ 惜しくも7選に入れれなかった書籍紹介 1:25:38 5冊目化学・バイオ系なら必須、最高の一冊。しかし・・・「化学・バイオ特許の出願戦略」 1:33:01 6冊目「20年も早く生まれてしまった天才」のような本「広くて強い特許明細書の書き方」 1:39:41 7冊目最後に・・・・「進歩性欠如の拒絶理由通知への対応ノウハウ」 ということです。 1冊目に「審査基準」が出てきたのはびっくりしましたが、そうかもしれません。 今更聞けないシリーズ(No. 145) 新規性判断の基礎 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=85f9a249aa08095285d12536417495f5 「そーとく日記」の2022年08月10日『外縁説という迷宮(「新規性を考える」髙部眞規子先生,パテント 2022, 7月号について)』、及び、2022年07月27日『第103回知財実務オンライン「数値限定発明の憂鬱」(野中啓孝先生)について』は、大変興味深い議論。
日本では、知財高裁がプロパテントの最先端となっていますが、行き過ぎではないかという議論が増えてきているように感じています。 感覚的に言うと、実務家の肌感覚に加え、野中孝弁護士が公然と主張、「そーとく日記」、神戸大学の前田健教授らが理論的に支えている構図のように見えます。 実務家は、知財高裁の考え方を探り、その中で最適解を探そうとしますので、それが正しいかどうかの議論は、通常は避けます。あまりに行き過ぎると声を上げるパターンになりますが、そういう状況に近くなってきているように感じます。 2022年08月10日『外縁説という迷宮(「新規性を考える」髙部眞規子先生,パテント 2022, 7月号について)』 http://thinkpat.seesaa.net/article/490439761.html 2022年07月27日『第103回知財実務オンライン「数値限定発明の憂鬱」(野中啓孝先生)について』 http://thinkpat.seesaa.net/article/490002665.html 対象物を新着眼の特性で特定したクレームの特許性 : 発見かそれとも発明か? : 機能的に表現された抗体の発明のサポート要件及び進歩性要件を題材として : 知財高判令和元年10月30日平成31年(ネ)第10014号〔PCSK9に対する抗原結合タンパク質〕 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81012050 文部科学省 科学技術・学術政策研究所の「科学技術指標 2022」に関する報道発表資料では、
①昨年から続いて日本の研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の 7 か国)中第3 位、パテントファミリー(2 か国以上への特許出願)数では世界第 1 位。 ②日本の論文数(分数カウント法)は世界第 4 位から第 5 位、注目度の高い論文数のうちTop10%補正論文数は第 10 位から第 12 位、Top1%補正論文数は第 9 位から第 10 位。③Top1%補正論文数では中国が初めて米国を上回り、世界第 1 位。 ④日本の博士号取得者数は 2006 年度をピークに減少傾向にあります。韓国、中国、米国では 2000 年度(中国は 2005 年度)と最新年度を比較すると 2 倍以上。 でした。 報道の取り上げ方は、 「中国、科学論文で世界一「質」でも米抜き3冠」と中国に注目するもの、「日本の注目度高い論文数 韓国、スペインに抜かれ12位に」と日本に注目するもの、のふたつに分かれているようです。 「10兆円ファンド」の「国際卓越研究大学」構想や企業の知財・無形資産投資の拡大、官民挙げてのスタートアップ支援などがこの状況を変えることができるのか、期待したいところです。 「科学技術指標 2022」を公表します https://nistep.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=6798&file_id=13&file_no=5 文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP, 所長 佐伯浩治)では、日本及び主要国の科学技術活動を客観的・定量的データに基づき体系的に分析した「科学技術指標2022」を取りまとめました。 昨年から続いて日本の研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の 7 か国)中第3 位、パテントファミリー(2 か国以上への特許出願)数では世界第 1 位です。 日本の論文数(分数カウント法)は世界第 4 位から第 5 位、注目度の高い論文数のうちTop10%補正論文数は第 10 位から第 12 位、Top1%補正論文数は第 9 位から第 10 位となりました。Top1%補正論文数では中国が初めて米国を上回り、世界第 1 位となりました。 日本の博士号取得者数は 2006 年度をピークに減少傾向にあります。韓国、中国、米国では 2000 年度(中国は 2005 年度)と最新年度を比較すると 2 倍以上となっています。 中国、最上位論文数も世界一 日本の低落傾向続く―文科省 https://www.jiji.com/jc/article?k=2022080900854&g=soc 中国、科学論文で世界一 「質」でも米抜き3冠 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC04C8L0U2A800C2000000/ 中国、米並み「科技強国」へ ヒト・カネ戦略投資で3冠 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC051NM0V00C22A8000000/ 科学の注目論文 日本の国際的地位さらに低下 過去最低 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6435161 日本の注目度高い論文数 韓国、スペインに抜かれ12位に https://digital.asahi.com/articles/ASQ8954C1Q88ULBH002.html 注目論文数、過去最低の12位 スペインと韓国に抜かれる https://kumanichi.com/articles/754195 「国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律」が成立 https://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2022/20220520.html 東工大・医科歯科大、医工連携で競争力 24年統合目指す https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE090NX0Z00C22A8000000/ 東工大・医科歯科大が統合協議 「10兆円ファンド」目指す https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE083WT0Y2A800C2000000/ 日経ビジネスの8月9日付けの記事『さらば「現金貯め込み」経営 昭和電工はなぜ日立化成を買ったのか 脱「現金貯め込み」経営 事業再編4つのモデル(1)』は、2020年、日立化成(当時)を約9600億円で買収した昭和電工の大胆な事業再編を取り上げ、昭和電工の高橋秀仁社長の話から組み立てています。
昭和電工は川上側の製品が多く、川下側に強い旧日立化成の良さを生かし、製品改良や創造力を高める狙いで、シナジーの出せる分野を100件くらいリストアップして、外れたものには着手しない、ということなので、今後のシナジー効果を期待したいと思います。 さらば「現金貯め込み」経営 昭和電工はなぜ日立化成を買ったのか 2022.8.9 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00141/080500031/ 始動・共創型化学会社に向けて~昭和電工レポート2022 発行のお知らせ~ 2022年8月2日 https://www.sdk.co.jp/whatsnew/43446.html 今回のレポートでは、下記二つの点にこだわって制作しました。 一つ目は、私たちのパーパス起点での価値創造の道筋をできるだけ具体的にご理解いただくために、2030年を見据えた長期ビジョンに描いた、統合新会社の目指す姿の実現へ向けた戦略と取り組みを掲載したことです。当社はパーパスとバリューを合わせて経営理念とし、現在、従業員それぞれが自分ごと化するための取り組みを進めています。また、サステナビリティ重要課題を特定し、非財務目標に落とし込みつつある現状に加え、取り組みを進める現場リーダーの想いをご紹介しています。皆さまと建設的な対話を始めるため、このレポートと連動して従業員の声をウェブサイト上で順次発信していきます。さらには、各事業・機能部門においてさまざまなステークホルダーと進めている共創型化学会社としての事例も取り上げ、私たちらしい価値創造の取り組みをステークホルダーの皆さまにご理解いただけるよう工夫しました。 二つ目は、両社の実質統合における新体制にフォーカスしたことです。2022年1月からCEOを含む執行役員を両社兼務とし、12名のチーム髙橋として一体運営を開始しました。一人ひとりの想いとリーダーである髙橋の考えを存分にお伝えし、皆さまの信頼をいただければ存外の喜びです。また、コーポレート・ガバナンスの章では社長交代のプロセスと「なぜ今、髙橋だったのか」についての取締役の考えもご紹介しています。 2023年1月に私たちは新しい企業グループとしてスタートを切ります。統合過程の各領域での進捗については、リアルタイムにウェブサイトでの開示を充実させていきますので、こちらも併せてご一読ください。 私たちはこれからも皆さまとの対話の機会を大切にしてまいります。是非、ご忌憚のないご意見と共に、昭和電工グループへのご支援を賜りますようお願い申し上げます。 昭和電工 統合報告書2022 SHOWA DENKO Report 2022 https://www.sdk.co.jp/assets/files/csr/2022/SDK_AR22J_spread.pdf 昭和電工のSDGSへの取り組み https://yorozuipsc.com/blog/sdgs4425646 昭和電工におけるIPランドスケープ https://yorozuipsc.com/blog/ip5347606 昭和電工の知的財産活動 https://yorozuipsc.com/blog/7191642 ソニー、デンソー、本田技研、昭和電工、住友化学、旭化成の知財活動 https://yorozuipsc.com/blog/2274786 パテント Vol. 75 No. 6に『無効審判等における「オンライン口頭審理」の運用開始後の実施状況について』が掲載されています。無効審判で行われる口頭審理では審判廷に出頭しなければならなかったのが、令和3年の特許法等の改正でウェブ会議システムを用いて口頭審理に出頭することが可能となった後のオンライン口頭審理の実績及びアンケート調査により得られた意見を分析・検討した結果について紹介されています。オンライン口頭審理の概要も説明されており、参考になります。
無効審判等における「オンライン口頭審理」の運用開始後の実施状況について https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/4000 目次 1.はじめに 2.口頭審理について 2.1 口頭審理の概要 2.2 新型コロナウイルス感染症の影響 3.オンライン口頭審理について 3.1 法令改正 3.2 オンライン口頭審理の概要 3.3 審判廷の設備 3.4 省令要件等の事前確認 3.5 口頭審理の期日当日の本人等確認 4.オンライン口頭審理の運用開始後の実施状況 4.1 これまでの実績 4.2 オンライン出頭者の反応及びその分析 4.3 合議体の反応及びその分析 5.これまでのオンライン口頭審理の総括及び今後について 6.おわりに 特許無効審判等の口頭審理でオンライン出頭が可能になります 2021年10月1日 https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211001001/20211001001.html 無効審判における口頭審理の進め方について https://ipeplat.inpit.go.jp/Elearning/View/Course/P_chapterView.aspx 口頭審理及び証拠調べの実務について https://ipeplat.inpit.go.jp/Elearning/View/Course/P_chapterView.aspx 初めての口頭審理~初めてでも慌てないための実務的な留意点~ https://yorozuipsc.com/blog/1796190 「東亞合成グループレポート 2022」には、価値創造(取組み/成果)の一部として、知財・無形資産への投資がわかりやすく記載されています。
価値創造(取組み/成果)では、新製品開発事業部、研究開発担当取締役メッセージ、成長戦略を支える研究開発、各事業(基幹化学品事業、ポリマー・オリゴマー事業、接着材料事業、高機能材料事業、樹脂加工製品事業)が取り上げられ、「成長戦略を支える研究開発」の中で、「知財・無形資産への投資」として取り上げられています。 知財戦略(知財戦略委員会を設置、研究・生産技術会議および取締役会で実効的に監督、実務者レベルで開催する知財検討会)、 研究開発力の強化(研究開発費を増額:売上高研究開発費比率2021年2.8%、将来への投資として研究開発従事者比率を監視:2021年14.8%、研究開発費と研究開発従事者比率の年次経緯を図示)、 提案・職務発明等報奨制度(「提案制度」:2021年1,500件以上の提案、「職務発明等報奨制度」「実績報奨制度」「表彰制度」)、 知財・無形資産の教育(①研究・工場技術開発部門、②事業部や営業部、③新入社員、④管理職、の部門別または階層別知財・無形資産の教育、若手の発明提案書の作成演習、商標教育や契約教育、コンプライアンス教育、電子公証や公証役場の利用教育)、 新事業の創出活動(技術俯瞰図で全体像を可視化することで、関係部門の議論を活性化し活発なアイデア出しを実現:『VALUENEX Radar』による当社G高付加価値製品の技術領域例の図示)、 特許価値の向上(新製品開発事業の特許価値の質向上が、当社グループの特許価値をけん引:『LexisNexis PatentSight®』を用い2017~2021年の各年末時点での特許価値をCI(Competitive Impact)とPAI(Patent Asset Index)で図示)、 という枠組みで説明しています。 よく工夫された事例だと思います。 東亞合成グループレポート 2022 https://www.toagosei.co.jp/csr/csr_report/pdf/2022csr.pdf 2022年12月期 第2四半期決算説明会資料 2022年8月4日 https://www.toagosei.co.jp/news/assets/pdf/7ff314c1ff6113150a996c8095376d69.pdf コーポレートガバナンス報告書 東亞合成株式会社 https://www.toagosei.co.jp/csr/effort/pdf/c220331.pdf 東亞合成様 — VALUENEX株式会社 | バリューネックス株式会社 https://www.valuenex.com/toagosei よくあるパテントマップの解析のみだったので、「ここまでできるのか」という反応を得られました。経営層にも報告して高評価を得ています。 ソニーとホンダが電気自動車(EV)事業で提携し共同出資会社を設置し、2025年に両社で開発した電気自動車(EV)を発売することを発表、注目されています。
日経ビジネスで、「ホンダの決断」シリーズが始まりました。9回シリーズの予定のようですが、最終回が『ホンダの活路 「自動車」をやめる日』です。 どんな展開になるのでしょうか。 ホンダ三部社長、ソニーとのEV新会社「テスラと十分に戦える」 ホンダの決断(2) 2022.8.5 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00492/080100002/ ■連載予定(タイトルや回数は変わる可能性があります) ・ホンダの決断 ソニーとEV連合、激動の時代へ変革急ぐ ・ホンダ三部社長、ソニーとのEV新会社「テスラと十分に戦える」(今回) ・鍵となる電池とソフト ホンダが孤高では生き抜けない電動化 ・ホンダ、EVは「経験値」がネック 変貌する自動車開発 ・「拡大戦略のツケを払った」6年間 ホンダ大改革の現在地 ・転換迫られる稼ぎ頭 電動二輪でもホンダは勝てるのか ・「F1より難しい」 ホンダが挑戦する「空飛ぶクルマ」 ・工場の片隅で10年、あるホンダ女性技術者がつないだ新事業の芽 ・ホンダの活路 「自動車」をやめる日 [新連載]ホンダの決断 ソニーとEV連合、激動の時代へ変革急ぐ ホンダの決断(1) https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00492/080100001/ ソニーとホンダの電気自動車(EV)での提携に関するシナジーを特許情報で確認する(その1) https://note.com/anozaki/n/n9757d9838829 |
著者萬秀憲 アーカイブ
July 2025
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