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​よろず知財コンサルティングのブログ

旭化成CVC「CVCから事業を生み出す3つの仕組み」

14/1/2021

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​日本の化学企業としていち早く米国などに拠点を置き、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を運営する旭化成の森下隆ゼネラルマネジャーが「CVCから事業を生み出す3つの仕組み〜研究開発型組織が仕掛ける、M&A、アクセラレータ、カーブアウト〜」というタイトルでオンライン(Zoom)講演しました。(日時:2021年1月14日(木)日本時間10:00-10:50)
UV-LED技術を開発するCrystal IS(米国)や、空気・ガスセンシング技術を開発するSenseair(スウェーデン)の買収をはじめ、25社のポートフォリオを持つ旭化成CVC(EXITした会社を含む)。この旭化成CVCのジェネラルマネージャー 森下 隆氏が、スタートアップへの投資や投資先の上場支援、戦略的提携を通じた新規事業開発に携わってきた経験を踏まえて、CVCから新規事業を作り出す3つの方法をメインに、コロナ禍においてのCVCの活動や現地(シリコンバレー)のトレンド、スタートアップと事業会社の連携について語りました。
日本企業の中に根付かせるために、非常にうまいアプローチが随所に工夫されていることがわかりました。
 
 
技術の掛け合わせで事業創出。旭化成が語る、米国での「やめない」挑戦2020-08-22
https://initial.inc/articles/cvc-toranomaki-asahikasei
 
 
旭化成のコーポレート・ベンチャーキャピタル
――ベンチャー投資による新規事業の創出
【一橋ビジネスレビュー】 2020年度 Vol.68-No.1
青島矢一/村上隆介
(一橋大学イノベーション研究センター長・教授/
 一橋大学大学院経営管理研究科イノベーションマネジメント・政策プログラム)
日本の総合化学メーカー旭化成が、2008年に戦略目的で設立した旭化成コーポレート・ベンチャーキャピタル(旭化成CVC)は、これまで2件の買収に成功し、社内的な支援を受けて着実に予算規模も増やしている。その成功要因は、キーパーソンの存在、漸進的な社内認知の向上、初期の成功事例の重要性、現地採用人材による投資実績の蓄積、CVCの独立性と全社的シナジーの同時追求、事業多角化を尊重する企業文化という6つの視点からまとめることができる。CVCで特に課題となるのは、活動の独立性を担保し、ベンチャーコミュニティーの内部者になることと、親会社との戦略的なシナジーを追求することとが、相互に矛盾しがちであるという点である。本論文では、当事者への取材を通し、旭化成CVCがこの矛盾を巧みに解きつつ発展してきたことを描き、CVC活動を活発化している日本企業にとっての示唆を考える。
https://www.iir.hit-u.ac.jp/blog/2020/05/28/br68-1-2020/
 
 
旭化成のシリコンバレー活用法。「CVCは新事業を生み出すインフラだ」2019/09/30
https://techblitz.com/asahikasei/
 
 
平成29年度産業技術調査事業(研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携加速に向けた調査)最終報告書2018年2月28日
事例紹介⑨|旭化成×Crystal IS
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000231.pdf
 
 
旭化成のスタートアップ投資 新事業創出へ買収も2018年9月4日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34920810T00C18A9000000
 
 
旭化成のCVCが成功に向かっている、4つの理由2018年06月19日
https://eetimes.jp/ee/articles/1806/19/news009.html

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日立知財ソリューション イノベーションを生む現場のリアル

13/1/2021

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​2020年12月16日(水)に行われた「Innovative Data Management 2020不確実時代のイノベーションに求められるデータ活用戦略~市場を捉え、新事業を創造する~」(クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社、株式会社 日立製作所 共催)の中で行われた「イノベーションを生む現場のリアル ~情報活用の課題と解決策を探る~」という講演が株式会社日立製作所の知財ソリューションオンラインイベントHitachi Intellectual Assets Forumで、追加アップされました。約1時間です。
イノベーションを主導するには、ストーリーテラーが必要である、特許情報はマップ化できるけれどもストーリーとして説明できない人が多い、うまくいっている企業とうまくいっていない企業がありうまくいっている企業では統計データが信じているわけではなく視点を増やすことが重要と考えている、Fタームは知財では当たり前だが事業企画では重要、現状のAIを使ったマクロなマップだけでは納得感がない、など興味深い話が出ています。
https://hitachi-intellectual-assets.jp/contents/index.html
 
■イノベーションを生む現場のリアル ~情報活用の課題と解決策を探る~
講演者:株式会社村田製作所 戸波與之氏、
株式会社ダイセル 江川祐一郎氏、
    クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社 褚冲(ツー ツォン)氏、
    株式会社日立製作所 小野雄一郎
概要  :イノベーションを主導するストーリーテラー、関係者が納得するデータの準備と説明、各部署で異なる方針を包含する共通のゴール設定などについてご紹介します。

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国際知財司法シンポジウム2020 裁判所パート 均等論の実情

12/1/2021

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国際知財司法シンポジウム2020~日米欧における知財司法の現在地と課題~が、1月21日(木)午後8時から午後11時40分に、ウェブ会議による開催(インターネットによる同時中継)で行われます。
事例説明の動画(約16分)、(日本の)模擬裁判の動画(約58分)がシンポジウムのHPにアップされていました。
事例説明は、資料、スライドだけよりも、やはり動画があったほうがわかりやすいですね。
​(日本の)模擬裁判の動画は、若干実務と異なる部分もありますが、裁判所の審理について理解するには良い動画だと感じます。
https://www.jsip-tokyo.go.jp/index.html
 
裁判所パートは、20:05-21:45に行われ、パネルディスカッションは二つのテーマです。
①特許権侵害訴訟における均等論の実情
②新型コロナウイルス感染症の影響下での裁判運営
 
モデレーター
知的財産高等裁判所 髙橋 彩裁判官
日弁連知的財産センター 城山康文弁護士
パネリスト
日本
 知的財産高等裁判所 大鷹一郎所長
 知的財産高等裁判所 熊谷大輔裁判官
 弁護士知財ネット 相良由里子弁護士
アメリカ
 連邦巡回区控訴裁判所 Sharon Prost長官
イギリス
 高等法院 Colin Birss裁判官
ドイツ
 連邦通常裁判所 Klaus Bacher裁判官
 司会
知的財産高等裁判所 眞鍋美穂子裁判官
 
模擬裁判の事例、模擬裁判の事例説明スライド、事例説明の動画(約16分)、模擬裁判の動画(約58分)がシンポジウムのHPにアップされています。
https://www.jsip-tokyo.go.jp/program.html
 
国際知財司法シンポジウム2020
知財高裁・模擬裁判の事例
1 事案の概要
 Pony社は,2002年1月11日,中空ゴルフクラブヘッドに関する発明(以下「本件発明」という。)について,特許出願をし,2005年9月30日に設定の登録(登録第20201028号)を受けた(以下「本件特許」といい,その特許権を「本件特許権」という。)。
Donkey社は,2017年4月20日より,業として,スーパーIP2020という商品名のゴルフクラブ(以下「被告製品」という。)を製造し,販売している。
Pony社は,2019年12月12日,特許権侵害訴訟を提起し,被告製品の製造,販売行為は本件特許権を侵害していると主張して,Donkey社に対し,被告製品の製造,販売の差止め,損害賠償として5億円(500万米ドル)の支払を求めた。
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大学特有の知財に関する諸問題と処方箋

11/1/2021

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1月7日にライブ配信された第29回知財実務オンライン 「大学特有の知財に関する諸問題と処方箋」 (ゲスト:国立大学法人山口大学 学長特命補佐(知財戦略担当) 山口大学顧問弁理士 知的財産センター東京所長 佐田 洋一郎氏)を、アーカイブで視聴しました。
https://www.youtube.com/watch?v=3VedG1_Hv6M
 
大学が抱える知財に関する諸問題、及び、処方箋について、わかりやすい話でした。一部のTLOの拝金主義?を困った問題と考えている関係者が多いことも聞いていましたが、佐田先生からこういう発言が出てくるとは思っていませんでした。
 
以下メモ。
本日お伝えしたい大学の知財管理について、下記7点。
  1. 産学連携活動の典型形態と知財管理
  2. 不実施補償問題の打開策
  3. 混同しがちな発明の寄与率と持分
  4. 大学、研究機関で取りこぼしの多い受託研究成果
  5. 出願前譲渡で、研究活動が止められないための注意点
  6. 大学の特許出願時に生じやすい発明者認定問題
  7. 論文と特許の法的責任の違いと大学特有な職務発明
 
2-3があり年の腰掛のつもりで行ったのが16年間続いている。大学の実態が伝わっていない状況で、産学連携がうまくWIN-WINになるように期待している。
 
共同開発には、共同共創型(すもう型)、技術支援型(ピッチング型)がある。前者は共同発明型で大企業主体、後者は利用発明型で主に中小企業。後者は地域産業の活性化をはかるため重要。
 
共同発明の場合の問題は、特許法73条2項、大学は自前で実施できない、実施許諾は共有者の同意が必要。いわゆる不実施補償の問題。これは、国立大学の問題、私立大学は自前で実施できる。米、独、仏は日本と違う、英は日本と同じ。
 
大学が既に特許を取得した発明の利用発明は、実施にあたり大学の了解が必要。
 
不実施補償の打開策として、大学が取っているやり方は、いきなり共同研究ではなく、大学として単独特許を確保してから共同研究に臨むことで、利用内在型共同発明とする。
 
混同しがちな発明の寄与率と持分の問題、大学の先生にはこの混同が多い。
 
大学、研究機関で取りこぼしの多い受託研究成果。受託研究には2つのタイプあり、研究成果で発明が完成した場合は問題なし、研究成果が発明の一部を担い他部は企業研究者が創出した場合に要注意。大学の先生には特許を受ける権利があるのに、報告書を出し委託費をもらったので気づかずに忘れてしまう。後で訴訟になったことあり。
 
出願前譲渡で、研究活動が止められないための注意点。その発明を用いて研究や教育が継続できる保障を取っておくことが必要。特許法69条対応として、特許の持ち分1%。
 
大学の特許出願時に生じやすい発明者認定問題。企業では登録後に揉めるが、大学では発明者の認定で揉める。大学は研究のマネジメントは誰もやっていない、先生の独断決定?知財部がチェック。論文著作者と発明者との混同が多い。
 
論文と特許の法的責任の違いと大学特有な職務発明。論文と特許の危機管理の責任の違い。
研究成果は、論文投稿では研究者個人の全責任(倫理的責任)、特許は組織の全責任(法律的責任)。
 
大学の職務発明の取扱いは、産業界とは異なる。
職務発明規定では、(定義)「本法人の予算その他の支援(含む給与)の下に行なう研究等又は本法人が管理する施設設備を利用して行なった研究によって職員等によって為した発明」(研究内容は職務発明判断に影響なし)
「職員等」とは:本法人の職員(教員・職員)、雇用契約を結んだ者(俸給の支払い)、大学と研究成果の契約を交した学生、院生、ポスドク等」(山口大学職務発明等規則)
 
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機械学習を活用した特許出願技術動向調査

10/1/2021

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特許庁では、調査の際に人手で行っている母集団からのノイズ排除及び技術区分の付与の作業を、機械学習により代替し、効率的に調査を行う手法を検討しており、良い結果が得られているとのこと。
「過去の特許出願技術勁向調査において、人手で母集団からのノイズ排除と技術区分付与を行った結果を学習データとし、週去の調査と同じ検索式を用いて作成した調査終了後の特許文献の母果団に対し、機械学習によりノイズ排除と技術区分付与を行う。」というAIの活用は、民間企業でも普及してきていますが、特許庁の動向調査でも採用され良い結果がでているとのことで、さらなる普及が期待されます。
 
特許出願技術動向調査―機械学習を活用した最新動向推定―
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2020book/20_1_05.pdf
 
特許出願技術動向調査~AI関連技術テーマの調査結果/機械学習を用いた調査手法~
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2019book/19_1_04.pdf
 
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進歩性判断における有利な効果に関する審査基準の点検について

9/1/2021

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1月8日に、昨年11月20日に行われた産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会第15回 審査基準専門委員会ワーキンググループの議事録がアップされました。
「進歩性判断における有利な効果に関する審査基準の点検について」などが議題でしたが、11月24日にアップされた議事要旨では、「進歩性判断における有利な効果に関する審査基準の点検について、事務局から資料1に基づき説明がなされ、以下のとおり了承された。最高裁判決(最三小令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号))は、「特許・実用新案審査基準」で示された基本的な考え方を理解する上で有用なものであるので、参考情報として「特許・実用新案審査ハンドブック」に掲載する。「特許・実用新案審査ハンドブック」には、「引用発明と比較した有利な効果」に関する判断は最高裁判決に即して行うことを記載する。「特許・実用新案審査ハンドブック」の内容について、特許庁内外へ周知を行う。」
という結論だけが記載されていました。
議事録を見ると、前田委員、濱田委員、本田委員、前川委員、奥村委員、淺見委員、清水座長、西井委員、二瀬委員、横山委員の順で、それぞれの立場から発言され、特許庁との間できちんとした議論が行われたことがわかります。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/document/index/15_gijiroku.pdf
 
産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会
第15回 審査基準専門委員会ワーキンググループ
議事要旨
1. 日時・場所
日時:令和2年11月20日(金曜日)14時00分から16時00分
場所:特許庁庁舎16階特別会議室+WEB会議室
2. 出席者
淺見委員、奥村委員、清水座長、西井委員、濱田委員、二瀬委員、本田委員、前川委員、前田委員、横山委員
3. 議題
進歩性判断における有利な効果に関する審査基準の点検について
審査基準等の修正について
4. 議事内容
(1)進歩性判断における有利な効果に関する審査基準の点検について、事務局から資料1に基づき説明がなされ、以下のとおり了承された。
最高裁判決(最三小令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号))は、「特許・実用新案審査基準」で示された基本的な考え方を理解する上で有用なものであるので、参考情報として「特許・実用新案審査ハンドブック」に掲載する。
「特許・実用新案審査ハンドブック」には、「引用発明と比較した有利な効果」に関する判断は最高裁判決に即して行うことを記載する。
「特許・実用新案審査ハンドブック」の内容について、特許庁内外へ周知を行う。
(2)審査基準等の修正について、事務局から資料2に基づき報告がなされた。
[更新日 2020年11月24日]

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IPランドスケープ実践に向けた企業内教育の在り方

8/1/2021

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今年1月4日に公表されたJapio YEAR BOOK 2020に、「IPランドスケープ実践に向けた企業内教育の在り方」(株式会社知財ランドスケープ 執行役員 井上貴夫氏、株式会社知財ランドスケープ 取締役COO田中圭氏、株式会社知財ランドスケープ 代表取締役CEO 山内明氏)が寄稿されています。
IPLで早期に成果を挙げるためには、①IPL専任チーム、②知財部門と他部門(事業部門)との連携、③経営幹部によるIPLへの理解、が重要であるというのは、同感です。
 
1.はじめに
2.IPL実践に向けた企業内教育2.1 IPL教育の在り姿と現実解
2.2 IPL教育の個別化プログラム例
2.3 IPL教育の個別化具体例(特許棚卸/WS/OJT)
2.4 IPL教育の評価
3.企業内IPL体制の在り姿についての考察
4.おわりに 
​
IPランドスケープ実践に向けた企業内教育の在り方
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2020book/20_2_08.pdf
 
 
著者関連で参考になる主なものは、下記のとおりです。
 
IPランドスケープと知財のマネタイズとは
https://www.tokkyo.ai/interview/yamauchi-first-part/
https://www.tokkyo.ai/interview/yamauchi-latter-part/
 
 
知財経営でDX時代を勝ち抜け
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00026/00046/
 
知財実務オンライン「IPランドスケープ実践に役立つ知財情報戦略」
https://www.youtube.com/watch?v=NQ-ngtpdNJs
 
 
IPランドスケープ3.0 
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2019book/19_2_10.pdf
 
 
IPランドスケープ2.0 
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2018book/18_2_08.pdf
 
 
IPランドスケープ実践に役立つ知財情報戦略 
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2017book/17_2_10.pdf
 
 

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人工知能、IPランドスケープなど特許情報をめぐる最新のトレンド

7/1/2021

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1月4日に公表されたJapio YEAR BOOK 2020に株式会社イーパテント 代表取締役社長/知財情報コンサルタント 野崎篤志氏が寄稿した「特許情報をめぐる最新のトレンド―人工知能、IPランドスケープなど特許情報を取り巻く環境の変化―」は、題名通り特許情報をめぐる最新のトレンドがわかりやすく書かれています。
​
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2020book/20_2_02.pdf

  • はじめに
  • 特許情報業務への人工知能ツール活用の現状と考え方
  •  人工知能ツールを巡る現状
  •  人工知能ツール活用の考え方
  • IPランドスケープおよび知財情報分析の戦略的活用に関する取り組み状況
  •  IPランドスケープを巡る最近の状況
  •  知財情報活用を一過性のブームにしないために
  • その他の注目トレンド
  •  知財情報(特許情報)と社会課題―SDGsへの注目―
  •  オンラインを通じたセミナー、講演および情報発信
  •  最新テクノロジーと特許分類
  • おわりに
 
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新たな価値提供分野における旭化成のIPランドスケープ

6/1/2021

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.Japioは、毎年、特許情報の活用、機械翻訳と検索技術等を題材とした寄稿と、民間の産業財産権情報提供事業者による関連システムやサービスの最新情報をまとめた「Japio YEAR BOOK」を作成しており、本年も1月4日にJapio YEAR BOOK 2020が公表されました。
その中で、「新たな価値提供分野提供におけるIPランドスケープの貢献―COVID-19による非連続で不可逆な構造変化の先読みー」(旭化成株式会社 研究・開発本部 理事・知的財産部長 シニアフェロー 中村 栄氏)が寄稿されていました。今回は詳しく触れられていませんが、短期的にはすでにいくつかのテーマで成果がでているとのことです。
本ブログの昨年12月22日付けで「新事業創出に向けての旭化成におけるIPランドスケープ」について触れましたが、基本的なことは今回の寄稿にほぼ書かれているようです。
 
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2020book/20_2_03.pdf

1.はじめに
2.当社中期計画Cs+for Tomorrow 2021
2.1 価値提供分野での取り組み
2.2 5つのC
3.知財面からの取り組み
​3.1 IPLの貢献
 1) 事業を優位に導くために
 2) 新事業創出のために
 3) 事業判断のために
3.2 コロナ禍を受けての新たなチャンス領域へのアプローチ
4.さいごに これからの時代に求められる人財像  
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スタートアップのIPランドスケープ~経営層の意識は高い!~

5/1/2021

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IPジャーナル第15号(最新号)に、「スタートアップのIPランドスケープ~経営層の意識は高い!~」(株式会社スリーダム 執行役員(知財戦略)原田雅子氏)が掲載されています。株式会社スリーダムは東京都立大学発ベンチャーですが、スリーダムの活動だけでなく、知財重視の経営を行っているスタートアップである株式会社メルカリ、Spiber株式会社、株式会社エアロネクストの知財活動も紹介されています。
内閣府「経営デザインシートにおける知財の位置付け」の「ビジネスにおいて果たす役割の例」を用いて、大企業とスタートアップの比較など、IPランドスケープを強力に推進している旭化成知的財産部の技術情報グループご出身の原田雅子氏ならではの考察がちりばめられています。
​
新事業を生み出す               大企業◎ スタートアップ〇
事業の競争力を高める             大企業◎ スタートアップ〇
社外からの評価を高める            大企業〇 スタートアップ◎
直接的な収益の確保              大企業〇 スタートアップ◎
社内(従業員)の意欲を高める         大企業〇 スタートアップ◎
 
  • はじめに 日本のスタートアップ、社会が抱える課題
  • 弊社の紹介 社会課題に立ち向かう
  • IPLの定義、知財の活用、組織について
  • IPランドスケープを進めるにあたって
    • 経営層として
    • マネージャーとして
    • 知財担当として
  • スタートアップ紹介
    • 株式会社メルカリ
    • Spiber株式会社
    • 株式会社エアロネクスト
  • 最後に
 
 
IPランドスケープ
(第8回)スタートアップのIPランドスケープ~経営層の意識は高い!~
原田 雅子 株式会社スリーダム 執行役員(知財戦略)兼務 社長室
IPジャーナル最新号第15号
http://fdn-ip.or.jp/ipjournal/latest.php
 
「飛躍する知的財産アナリスト!」シリーズ  原田 雅子 さん
http://ip-edu.org/view_popup.php?pageId=1377&revision=0&blockId=99360&mode=0
 
座談会「第 3 期研究を終えて」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/67/3/67_135/_pdf
 
企業における異分野融合の成功事例のプロセス解析
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/65/3/65_KJ00009814183/_pdf/-char/ja
 
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仮想事例に基づく進歩性判断に関する議論

4/1/2021

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​国際知財司法シンポジウム2020~日米欧における知財司法の現在地と課題~が、1月21日(木)午後8時から午後11時40分に、ウェブ会議による開催(インターネットによる同時中継)で行われます。https://www.jsip-tokyo.go.jp/index.html
21:55-23:35に行われる第2部特許庁パートでは、仮想事例に基づく進歩性判断に関する議論が行われます。「当日のプログラム視聴前に御覧いただきたい資料」として、「仮想事例に基づく進歩性判断に関する議論」に関する事例説明の動画、事例に関する資料が昨年末にアップされました。特許庁パートパネルディスカッションのモデレーターを務められる特許庁 山下崇審判部長の動画の説明は、非常にわかりやすくなっていました。
各国で進歩性の判断がどう行われるのか楽しみです。
 
「仮想事例に基づく進歩性判断に関する議論」に関する事例説明の動画
https://www.jsip-tokyo.go.jp/reference2_patent_movie.html
仮想事例の説明資料
https://www.jsip-tokyo.go.jp/pdf/patent_hypothetical_case_01.pdf
仮想事例のスライド
https://www.jsip-tokyo.go.jp/pdf/patent_hypothetical_case_02.pdf
 
 
21:55-23:35         パネルディスカッション(特許庁パート)
①仮想事例に基づく進歩性判断に関する議論
②各庁審判部における新型コロナウイルス感染症に対する取組
モデレーター  特許庁 山下 崇審判部長
パネリスト
日本
 特許庁 服部 智首席審判長
 知的財産高等裁判所 鶴岡稔彦部総括裁判官
アメリカ
 米国特許商標庁 Scott R. Boalick審判部首席審判長
EPO
 欧州特許庁 Carl Josefsson審判部長官
 欧州特許庁 Jean-Michel SCHWALLER技術審判部門審判長
 
 
 
国際知財司法シンポジウム2020~日米欧における知財司法の現在地と課題~
2021年(令和3年) 1月21日(木)午後8時から午後11時40分
ウェブ会議による開催(インターネットによる同時中継)
最高裁判所,知的財産高等裁判所,法務省,特許庁,日本弁護士連合会及び弁護士知財ネットの共催
登録不要、視聴無料
日本語版チャンネル https://youtu.be/u3vsKsjtq3w
英語版チャンネル https://youtu.be/VX1S5MmRhfE
第1部(裁判所パート)
①特許権侵害訴訟における均等論の実情
②新型コロナウイルス感染症の影響下での裁判運営
第2部(特許庁パート)
  • 仮想事例に基づく進歩性判断に関する議論
  • 各庁審判部における新型コロナウイルス感染症に対する取組
【パネリスト】以下の国等の裁判官,弁護士又は審判官日本,アメリカ合衆国,英国,ドイツ及び欧州特許庁
【言語】日本語・英語(日英同時通訳あり)
 
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10年後を見据え、出る杭を育てるユニ・チャーム

3/1/2021

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ユニ・チャームは、会社員時代ずっと競合として、その飛躍的な発展を遂げるプロセスを見て、良いところは取り入れ、同様の失敗はしないと、その動向を注視してきた会社です。
昨年、「Kyo-sei Life Vision 2030」を策定、10年後を見据え「杭」を伸ばすという姿勢、今後の発展も楽しみです。
 
「Kyo-sei Life Vision 2030」の実現に向け、出る杭を育てる
http://www.unicharm.co.jp/company/news/2021/1215311_13798.html
 
10年後を見据え「杭」を伸ばす
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ23B1V0T21C20A2000000
 
Kyo-sei Life Vision 2030
http://www.unicharm.co.jp/csr-eco/kyoseilifevision/index.html
 
ユニ・チャーム、2030年に再エネ100%目指す 中長期ESG目標を発表
https://www.kankyo-business.jp/news/026383.php
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花王、「デジタル化」「世界のお手本」に

2/1/2021

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​3年程前に、花王に先端技術戦略室というのが出来たことを知ったのは、当時付き合いのあった人がこの部署に変わったということがきっかけでした。花王がデジタルトランスフォーメーション(DX)を本気でやる組織で、長谷部専務(当時、2021年1月から社長)が統括する先端技術戦略室(SIT)がデジタル先端技術戦略の立案・実行を推進するということでした。
統括直下に戦略企画グループを配置し、実務を担当する以下の4グループの活動をコーディネートする体制。
能率化活用グループ
情報戦略グループ
事業・販売グループ
IT設計管理グループ
 
研究員向けのWatson活用した「統合検索システム」などが成果として挙げられていました。
https://japan.zdnet.com/article/35138405/
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP511766_R10C19A6000000/
 
長谷部新社長が推進してきて、「世界のお手本」になりたい、と言っているだけに、確かに、需要予測など少ないデータで精度の高いシミュレーションをすることなど、生産や運搬をデジタルシミュレーションで管理する「世界のお手本」になるかもしれません。
 
花王、コロナで覚悟した「デジタル化」の本気度
データで需要を高精度予測、無駄な生産撲滅へ
https://toyokeizai.net/articles/print/399657
 
花王にとって8年半ぶりの社長交代となる。前任の澤田道隆氏に代わって社長に昇格したのが専務の長谷部佳宏氏だ。
長谷部氏にとって平穏な時期の社長就任ではない。ユニ・チャームやライオンなど、日用品各社が巣ごもり消費の追い風を受け、純利益は過去最高を予想しているのに対し、花王は化粧品事業が足を引っ張り、2020年12月期は減収減益の見通しだ。
2020年に社長に就任した主要企業トップに聞く連続インタビュー。特別編の今回は、1月1日に社長に昇格する長谷部氏に2021年の展望と課題を聞いた。
 
・・・さまざまな方にこのタイミングでの社長就任を心配されるが、こんなチャンスはない。どん底からどれくらいあがるか、意識を1つにしていくことができる。私は3年前から社内のデジタル化を推進する先端技術戦略室の統括として改革を進めてきたが、(花王の)デジタルトランスフォーメーション(DX)は遅れていた。今までのDXが遅れた状態でも、業績が堅調に推移してきたからだ。
 
・・・先端技術戦略室では、シミュレーションをして無駄な工程を省くということをやっていた。今回、プリファードネットワークスの丸山宏フェローを花王に招いたのは、需要予測など少ないデータで精度の高いシミュレーションをすることができるからだ。生産や運搬をデジタルシミュレーションで管理する、「世界のお手本」になりたい。

 
インタビュー/花王社長 長谷部佳宏「衛生サービスへの需要が高まる」
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25736
 
 
【事例】DXのために花王が実践した“具体的な”体制づくりと取り組み
https://www.sbbit.jp/article/bitsp/36661#continue_reading
 
 
デジタル先端技術戦略
https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/sus-db-2020-06.pdf
 
 
花王の「イノベーション」を生み出す組織のつくり方
https://globis.jp/article/7351
 
 
花王、8年ぶり社長交代に込められた「ある課題」
赤字転落の化粧品と新事業立ち上げがカギ
https://toyokeizai.net/articles/-/379697
 
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謹賀新年

1/1/2021

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​あけましておめでとうございます。
昨年は、長年の会社員生活を卒業し、ゆっくりしようと思っていたところへ、コロナ禍で大変な一年になりました。昨年10月1日(18:30-20:21)に、You Tube で無料配信されている、知財実務オンライン(第17回)「共同開発・知的財産で会社を元気にする ~共同開発・契約のコツ、特許出願大幅増・質向上のコツ~」に登壇しましたが、アーカイブ視聴が1,700回を超えました。多くの方にご視聴いただきありがとうございました。
https://www.youtube.com/watch?v=xU9G0fc_wzI
 
今年は、昨年から実施しているコンサルティング活動や単発セミナーの講師に加え、「若い人に研究開発や知財の実務で本当に役立つ知識・ノウハウを伝えたい!」という思いからセミナー会社の企画したシリーズ講座「萬秀憲の本当に役立つ知財セミナー【全12回】」を引き受けました。
https://www.tech-d.jp/seminar/show/5268
 
今後ともよろしくお願いいたします。
 
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特許庁のミッション・ビジョン・バリュー

31/12/2020

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令和2年12月21日(月)に行われた、産業構造審議会 知的財産分科会第4回基本問題小委員会の議事録には、特許庁のミッション・ビジョン・バリューを再定義する作業が進行中であることが述べられており、特許庁長官の決意が示されています。期待したいと思います。
 
産業構造審議会知的財産分科会第4回基本問題小委員会議事録
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kihonmondai_shoi/document/index/04_gijiroku.pdf
 
○糟谷特許庁長官 資料2でございます。12月15日に私から職員に向けてメッセージを出
しまして、特許庁のミッション・ビジョン・バリューを再定義することなど呼び掛けを行
いました。この背景について御説明をさせていただきます。
まず第1に、危機感の共有であります。この委員会で御議論をいただいて、産業財産権
行政の在り方について見直しを進め、また特許特別会計の抜本改革が待ったなしとなって
いる中で、庁内で改めて危機感を共有し、職員一人ひとりの主体的取組や協力を促す必要
があると考えたことでございます。資料2の1ページ目の最後から2つ目のパラグラフま
でがそれに相当するところであります。
第2に歳出削減という、カットする、小さくなるということだけではなくて、課題対応
- 8 -
と両立させていかなければいけないということでありまして、これは資料2の1ページ目
の最後のパラグラフであります。昨年、庁内に財政本部会合をつくり、特許特会の歳出削
減の取組を本格的に開始をしたわけであります。既存の予算の削減や新規事業の凍結など
を進めてまいりました。ただ、その一方で「予算がないので新しい取組はできない」とい
う発言をときどき職員から聞くようになりました。しかし、新しい取組ができないという
のでは、新たに生じている課題には対応できないわけであります。歳出削減を進めながら
も、同時に新たな課題にも着実に対応することが必要でありまして、“思考停止”に陥って
はならない、お金がないからできないという言い訳をしないということをしっかりと伝え
たかったということであります。
第3に、部門の枠を超えた取組が必要であるということでありまして、これは資料2の
2ページ目の2つ目のパラグラフあたりであります。先ほども御説明がありました来年度
予算案、今日の午前中の閣議で決定をされましたけれども、今年度に比べて5.3%削減した
予算になっております。また来年度の予算を緊縮予算として組むだけではなくて、今年度
の予算の執行に当たっても、もう既にできる限りの節約に努めてきております。今年度は、
締めてみないとわかりませんけれども、今年度予算を数%は使わずに残せることを目指し
て取り組んでおります。
一方で、これまでの節約の取組はそれぞれの部署ごとに、また現在の仕事の進め方を前
提としたものにとどまっているきらいがありまして、このままでは早晩、歳出カットに行
き詰まるのではないか、そういう可能性があるというふうに感じております。歳出削減を
最大限行っても足りない分は料金値上げをお願いせざるを得ないわけでありますけれども、
歳出削減努力が不十分であってはユーザーの皆様の御理解は得られないわけであります。
十分な歳出削減のためには部門の中の最適化ではなくて、部門の壁を越えて最大最適とな
るように見直すこと、また従来のやり方や固定観念にとらわれずに変革していくことが不
可欠でありまして、改めて部門を超えた取組を求める必要があると考えたということが第
3点目であります。
最後に、何でミッション・ビジョン・バリューを再定義するのかということであります
けれども、この資料2の最後の2つぐらいのパラグラフですが、変革を進めていくに当た
っては何を変革するのかということと同時に、何は変えないで維持をするのかということ
について、職員の認識が揃っていることが必要でありまして、その軸になるべきは組織の
ミッションであり、ビジョンであり、バリューであろう。この会議の第1回目で、特許自
- 9 -
身の経営デザインシートをつくったらどうかという御意見をいただきまして、従来の特許
ビジョン、これは資料3にありますけれども、これをもとに経営デザインシートを記載を
してみたのですけれども、何か違和感が残るものになってしまいました。何で違和感があ
るのだろうということを考える中に、従来のビジョンは「グローバルな知財システムの構
築に貢献する」とか、「ユーザーのニーズに応える質の高いサービスの提供をする」、こん
なことが大きな柱になっているのですけれども、それ自体、間違いではないのですけれど
も、グローバルということ以外にどんな知財システムを目指すのかということが明らかで
はない。ユーザーニーズに応えるというのですけれども、多様化するユーザーニーズの全
てに応えられるのか、またコストにかかわらず全て応えるのが適切なのか、少なくとも相
矛盾する要望には応えられないのではないか。経営資源に制約があって優先順位をつけて
選択をしなければいけないという中で、従来のビジョンでは判断の基準にはならないので
はないかというふうに考えたわけでありまして、そのために「ミッション」、「ビジョン」、
「バリュー」を改めて整理、再定義をして共有することが不可欠であるというふうに考え
たわけであります。
特許庁はデザイン経営を進めておりまして、部門横断的なデザイン経営プロジェクトチ
ームというのを数年前から設けて活動しております。このチームが新たなミッション・ビ
ジョン・バリューのたたき台をつくってくれまして、まだ完全なものではありませんけれ
ども、このたたき台をつくる過程ではチーフデザインオフィサーである岩崎技監、それか
ら私も加わって議論をしてまいりました。それについてプロジェクトチーム長の今村から
御説明を申し上げます。
(以下省略)

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ニューノーマル時代の知財戦略~オープンイノベーション3.0~

30/12/2020

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​AI Samurai特許情報フェア2020特別セミナー「ニューノーマル時代の知財戦略~オープンイノベーション3.0~」(Xinova Japan 上級副社長・日本総代表 加藤幹之氏)を視聴しました。
Youtubeで公開されています。
確かに日本企業には、オープンイノベーション3.0(新規の技術開発とビジネスモデル開発に組み合わせ、まったく新しい事業を展開)が求められています。
https://www.youtube.com/watch?v=fz3ZtLI4fv0&t=352s
 
求められるイノベーションのありかた
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
・今まで求められていた変革が待ったなしになった
・多くの要素技術は既に開発済のことが多い。新しいビジネスモデルをつくることが重要
 
イノベーションの定義
 2つの要素の両方の段階で先行し、着実に実現する必要あり
・革新的技術の発明・開発
  日本は、今でも特許件数も多いし、基礎研究も一定の成果はある。しかし、本当に革新的でビジネスに結びつく技術が生まれているか?
・技術の実用化や活用
  日本企業は特に、新しいビジネスモデルの開発や適応、グローバルビジネスの展開に課題がある
 
IoT、AIやビッグデータの時代
 産業のプレーヤーの変化
既存の自動車産業 vs  IT企業
  農業の工業化=IT企業が農業分野に進出
 
結果として、オープンイノベーションが必須の時代になった=自前主義の限界
  業種の垣根が無くなり、新規技術が必要となる
  技術の複雑化・高度化
  莫大な研究開発費用
開発のスピード
単独で技術開発するリスクと負担が増加
自分の研究組織を持たない新興IT企業の出現
研究開発と事業化の分離、分担の傾向が進む
 
しかし、日本ではオープンイノベーションが未発達
  研究開発部門の排他性
外部(特に海外)の技術やビジネスに関する情報不足
技術やビジネスの目利きをし、俯鰍的に分析する能力の欠如
自前での研究開発と、外部から調達する場合との経済的、経営的比較ができない結果、両者の明確な戦略的切り分けができない
日本では伝統的な人事制度、雇用制度の結果、社内開発を優 しがちであり、技術を直ちに外部調達に変えることが難しい傾向にある
ライセンス等の外部からの技術調達の手段の理解や経験、交渉力がない結果、外部調達のメリットを生かせない
 
オープンイノベーションを可能とする知財戦略の手法例
  一方的ライセンス、クロスライセンス
  共同研究、研究委託
  技術や特許等の知財の購入(市場が作られつつある)
  技術をターゲットとした外部研究への投資、ベンチャーや既存事業の買収(グーグルによるモトローラ購入の例)
技術標準化=デファクト標準、(国際)標準機関への参加、コンソーシアム形成
パテントプールヘの参加
 
オープンイノベーション3.0
 オープンイノベーション1.0=違った技術やビジネス形態を結合する段階(マッチメーキングの段階)
オープンイノベーション2.0=技術シーズを見つけて自分なりに開発・応用し、自分のビジネスを展開
 オープンイノベーション3.0=新規の技術開発とビジネスモデル開発に組み合わせ、まったく新しい事業を展開
 今までオープンイノベーションの実現が難しかったのは、新しい技術に必要なビジネスモデルの構築が不完全だったため
 
オープンイノベーションには
 経営者や技術者だけではなく、彼らを支援する周囲の環境が必要
イノベーション・エコシステムが必要
専門家がネットワークを作り、協働して総合的なサービスを経営者や技術者に提供できる仕組み
 
イノベーション・エコシステムのプレイヤー達
 技術コンサルタント=豊富なビジネス経験を持ち、広い見地からより客観的に技術の目利きやコーディネートのできる技術者
 プロフェッショナル=自分の専門分野だけでなく、技術やビジネスを理解する会計士や弁護士、弁理士
 投資家=リスクを負って新しい技術や事業に投資する者(投資と融資は違う)
 プロデューサー=技術が分かり経営ができるビジネスの創出者(時には、新規事業のCEOとして参加できる人)
 
オープンイノベーション実現の仕組み、日米の大きな違い
 
2つのIP
 Internet Protocol     自由でオープンな社会、自分の権利を主張せず、広く利用を促進。
  Intellectual Property   法律に基づく独占と「規制」の世界? クローズドな社会?
 
社会はますますオープン化
  クラウドやビッグデータが、次々と新しいビジネスモデルを生み出す
 
コンテンツ利用から開発、応用もオープンに
  オープンソフトウエア
  コミュニティが無償でソフト開発
  GPL (general public license) で無償開放  
  研究開発もクラウドソーシングする時代に
  最近は、オー分データ化の動きもある
 
コモンズ(共同社会)の形成
 オープンソフトの世界からさらに広範囲に
Creative Commons
 Patent Commons
 
Wisdom of crowds
  群衆の英知(みんなの意見は案外正しい)
大衆参加の時代
クラウドやIoT技術のさらなる進展
ソーシャルネットワークが民主主義を促進
社会のオープン化の中で、クローズド社会を形成する知財制度は逆行?知財は悪か?いずれ絶滅するのか?
 
二律背反?
  知財だけではない
  プライバシーとセキュリティ―
プライバシーと表現の自由、知る権利
国家の安全保障と知る権利(例、Wikileaks)
 
2つのIPのバランス
  2つのIPは対立軸ではなく、両立するもの。
2つの側面を組み合わせて、新しいビジネスモデルが生まれる。オープンにする部分で市場を拡大し、クローズドの部分で利益を確保する。このために知財制度は必須。
仮に知財制度がなければ、逆に権利を事実上独占する者が生まれる。知財制度はその牽制のためにも必要。
 
Xinovaの推進するオープンイノベーション
https://www.xinova.jp/
  技術の発明・開発に、世界中に広がる発明家ネットワークを活用:発明のシェアリング経済
  技術の実用化や活用にも積極的に参加:=試作品の開発や試験の実施。テストデータの作成。
  スタートアップ企業等には、資本出資協力。
 発明者ネットワーク:12,000人以上の (60カ国以上に広がる)大学教授、企業の研究開発やビジネス経験者、専門的なコンサルタント等がXinova と契約
コロナ禍後には、 Xinova の「技術開発のシェアリング」方式は より大きな意味
3つのレベルの基本サービス
 Level 1:Insight on-demand(1カ月程度、2万ドル程度)
  現在直面する課題に絞って 、 短期間で分析を行う。Xinovaのサービスやネットワークの概要を知るにも最適
  顧客の個別の課題に(1か月程度の)短期間で回答
素早く、必要な解決を効率的に提供
最高レベルの広い専門知識と経験を持つ科学者、エンジニア、技術者が貴社の課題悌決の支援を行う。貴社のイノペーション促進を支援し適切な分析と判断を行うため、新鮮で専門的な専門家たちの知見を得ることができる。
ここでは、貴社の必要に応じて、1週間程度で特定の質問に答える場合から、個別具体的な課題に対して詳細な分析を行う場合まで、各種のサーピスを提供。技術や市場の課題が特定されている場合、(1か月程度の)比較的短期間に、(2万ドル程度の)比較的低価格で鰯決方法を回答。
Level 1 servicesには、次のようなものがある。
→(特定の)技術分析Technology Assessment
→(特定の)市場分析Market Assessment
→技術の吟味(ディリジェンス)Technology Diligence
→技術者の確保Talent Scouting
→その他、必要に応じた個別のサービス
 
 Level 2:Innovation Solutions(2カ月程度、
  アイデアを創出し、具体的なソルーションを提案するXinova の中心的な技術開発のサービス 
過去800以上のプロジェクトを推進。 案件ごとに、 必要な専門知識を持つ専門家を特定し 、 彼らと協業して、 効率良い技術開発の場を提供する。
RapidInnovationsessions(RIS) が弊社特有で基本となる手法。 通常2か月程度を用いて、 課題の定義から具体的提案まで行う。 社内の技術者と、 発明者ネットワークから選ばれる専門家がチームとなり、ブレインストームを繰り返し、発明、アイデア、ソルーションを創出する。 途中、依頼企業との打ち合わせや意見交換の場も持たれる。
Xinovaの専門家と組んで イノベーションの課題の定義、 分析、 解決提案を広範囲で行う
Level 2 servicesには、次のようなものがある。
  →イノベーション Requests for Innovation
→発明 Requests for Invention
→応用・活用方法 Requests for Application
→技術と市場の分析 Opportunity Analysis Research
→その他 And more!
 
Level Ill: Map. Design. Build. (MOB) 破壊的ビジネス設計
  多くの企業で、現在の技術や市場を超えて、将来のビジネスモデル構築が求められています。 Xinovaの「破壊的ピジネス設計」は、市場の大きな変化を理解し、現在のビジネスや産業構造を破壊し、将来のビジネス機会を特定し、それに至る方法を提案します。
まず現状の分析とmapping(いろいろな事象を関運付け、 全体像を描いていくこと)を行います。そこでは、現状の商流や技術、慣習や方式等を分析し、次にそれらを個別の要素に分解した上で再構築し、より侵れた革新的で低コストのモデルを提案します。
通常、5人ほどの専門家が担当し、4から6か月をかけて実施します。
  より全般的、 根本的な課題解決、 ビジネス提案を行う
破壊的ビジネス設計のための作業は、 次のようなステップで行われます:
現在持っている技術や能力の評価:新しいピジネスを創造し、理解し、実現する能力の分析
資金力やパリューチェインヘの対応能力の評価
競合を明確化するための構造的な分析
ビジネス戦略の構築 、M&Aや研究開発等、各種・複数のオプションの提示
具体的な製品やサービスの提案や、それに必要な技術ロードマップの提示、さらに資金調達手段や実施計画立案
商流(food chains)や価値の連鎖(value chains)を分析
Replace
Insert
Consolidate
Divert
 
事例
PepsiCo
船井電機
クレジットカード会社
AkzoNobel
Collins Woerman
Coffee Flour
Meat & Livestock Australia
RAISIO  BENEMILK LTD
 
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スタートアップとの事業連携に関する指針(案)

29/12/2020

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公正取引委員会と経済産業省は共同して、スタートアップとの事業連携に関する指針を策定することを検討しており、12月23日付けで、「スタートアップとの事業連携に関する指針(案)」が公表され、意見募集が令和3年1月25日まで行われています。
契約書案は、これまで公表されていた新素材編に、AI編が加わりました。
新素材編では、かなりスタートアップに肩入れした内容になっていましたが、AI編もやはり同じようです。
大企業で契約実務を担当している方は、今後、これまでのやり方を見直すなど、注意したほうが良さそうです。
 
スタートアップとの事業連携に関する指針(案)
令和2年○月○日
公正取引委員会
経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201223005/20201223005-2.pdf
 
スタートアップとの事業連携に関する指針(案)に対する意見公募について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595220056&Mode=0
スタートアップとの事業連携に関する指針(案)   PDF
関連資料1スタートアップとの事業連携に関する指針(別添)(案)   PDF
関連資料2モデル契約書ver1.0_秘密保持契約書(新素材)   PDF
関連資料3モデル契約書ver1.0_技術検証(PoC)契約書(新素材)   PDF
関連資料4モデル契約書ver1.0_共同研究開発契約書(新素材)   PDF
関連資料5モデル契約書ver1.0_ライセンス契約書(新素材)   PDF
関連資料6モデル契約書ver1.0_秘密保持契約書(AI)(案)   PDF
関連資料7モデル契約書ver1.0_技術検証(PoC)契約書(AI)(案)   PDF
関連資料8モデル契約書ver1.0_共同研究開発契約書(AI)(案)   PDF
関連資料9モデル契約書ver1.0_利用契約書(AI)(案)   PDF
 
スタートアップとの事業連携に関する指針(案)
目次
第1 スタートアップとの事業連携に関する指針の必要性と構成·············1
1 本指針の必要性·····················································1
1 本指針の必要性
大企業とスタートアップの連携により、チャレンジ精神のある人材の育成や活用を図り、我が国の競争力を更に向上させることが重要である。他方、大企業とスタートアップが連携するに当たり、スタートアップからは、大企業と共同研究すると、特許権が大企業に独占されたり、周辺の特許を大企業に囲い込まれたりする、といった偏った契約実態を指摘する声がある。
このような現状を踏まえ、未来投資会議(令和2年4月3日開催)において、政府としてオープンイノベーションの促進及び公正かつ自由な競争環境の確保を目指す方針が掲げられ、企業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップが大企業から一方的な契約上の取決めを求められたりしないよう、問題事例とその具体的改善の方向や独占禁止法の考え方を整理したガイドラインを策定するとされ、成長戦略実行計画(令和2年7月17日閣議決定)において、ガイドラインについて、公正取引委員会と経済産業省連名で年内を目途に案を作成し、意見公募手続を開始するとされた。
また、公正取引委員会は、「スタートアップの取引慣行に関する実態調査報告書」(令和2年11月27日)において、スタートアップと事業連携を目的とする事業者(以下「連携事業者」という。)との間の秘密保持契約(以下「NDA」という。)、技術検証(以下「PoC」という。)契約、共同研究契約及びライセンス契約に係る問題事例等を公表した。
本指針は、事業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップと連携事業者との間であるべき契約の姿・考え方を示すことを目的としている。特にNDA、PoC契約、共同研究契約及びライセンス契約の4つの契約に着目し、これらの契約において生じる問題事例とその事例に対する独占禁止法上の考え方を整理するとともに、それらの具体的改善の方向として、問題の背景及び解決の方向性を示した。
本ガイドラインが広く普及することで、契約や交渉に係るスキルが向上するのみならず、スタートアップと連携事業者の双方において、公平で継続的な関係を基礎としたオープンイノベーションが促進されることが期待される。
 
(令和2年11月27日)スタートアップの取引慣行に関する実態調査について(最終報告)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/nov/201127pressrelease.html
 
スタートアップとの事業連携に関する指針(別添)~オープンイノベーションの契約にかかる基本的な考え方~(案)令和2年○月○日 経済産業省
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000211816
 
2 本指針の構成·······················································1
第2 各契約種別における指針···········································3
1 NDA(秘密保持契約)················································3
(1) NDAの概要························································3
(2) NDAに係る問題について············································3
ア 営業秘密の開示·················································3
イ 片務的なNDA等の締結············································7
ウ NDA違反························································9
2 PoC(技術検証)契約··············································10
(1) PoC契約の概要··················································10
(2) PoC契約に係る問題について······································11
ア 無償作業等···················································11
3 共同研究契約·····················································14
(1) 共同研究契約の概要·············································14
(2) 共同研究契約に係る問題について·································15
ア 知的財産権の一方的帰属·······································15
イ 名ばかりの共同研究···········································17
ウ 成果物利用の制限·············································19
4 ライセンス契約···················································21
(1) ライセンス契約の概要···········································21
(2) ライセンス契約に係る問題について·······························22
ア ライセンスの無償提供·········································22
イ 特許出願の制限···············································24
ウ 販売先の制限·················································25
5 その他(契約全体等)に係る問題について···························27
(1) 顧客情報の提供·················································27
(2) 報酬の減額・支払遅延···········································28
(3) 損害賠償責任の一方的負担·······································30
(4) 取引先の制限···················································32
(5) 最恵待遇条件···················································33
第3 参考情報·······················································36

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ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)

28/12/2020

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​12月24日付けで、産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 報告書「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)」が公表され、意見募集が令和3年1月25日まで行われています。読むだけでも大変な量です。
ポイントとして、まとめを抜きだしました。
 
ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)
令和 2 年 12 月 24 日
産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会
https://www.jpo.go.jp/news/public/iken/document/201224_covid/houkokusho.pdf
 
はじめに
 特許制度小委員会では、「AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方」についてこれまで議論を実施し、令和 2 年 7 月に中間とりまとめを提示した。
中間とりまとめでは、イノベーションの加速が喫緊の課題であることも踏まえ、AI・IoT 技術やデジタル化への対応や、特許活用の多様化等について現状の分析を行うとともに、円滑な紛争処理に向けた知財紛争処理システムについて、引き続き議論を深化していくべきとした。
さらに、本年度の産業構造審議会総会や知的財産分科会基本問題小委員会では、ウィズコロナ/ポストコロナ時代において、接触回避(デジタル化・オンライン化の加速)等に対応した政策や行政組織のあり方について議論が行われ、新型コロナウイルスの影響により「新たな日常(ニューノーマル)」への移行についても、新たな検討課題となっている。
本小委員会中間とりまとめで取り上げたもののうち、議論を深化するとした以下の知財紛争処理制度について、第 42 回以降の本小委員会にて検討を実施した。
 早期の紛争解決を図る新たな訴訟類型(二段階訴訟制度)
 当事者本人への証拠の開示制限(アトニーズ・アイズ・オンリー制度)
 第三者意見募集制度(アミカス・ブリーフ制度)
 侵害者利益吐き出し型賠償制度
 訂正審判等における通常実施権者の承諾
さらに、基本問題小委員会等の議論を踏まえ、以下に掲げる、新型コロナウイルス感染拡大等に伴い顕在化した課題や制度利用者の要望を踏まえた特許法等の手続上の論点等についても、検討を実施した。
 審判等における口頭審理期日における当事者の出頭のオンライン化
 災害等の発生時における割増手数料の取り扱い
 権利回復制度の見直し
 模倣品の越境取引に関する規制の必要性について
本報告書は、これまでの審議内容を取りまとめ、AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方の議論を踏まえ、ウィズコロナ/ポストコロナ時代の特許制度の見直しについて提言するものである。
 
  • AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方―中間とりまとめ―に係る検討事項
  • 早期の紛争解決を図る新たな訴訟類型
二段階訴訟については、ニーズを肯定する意見もあり、また、一定の手段が現行法の下で執りうるとしても、実務になじみがなかったり、訴訟制度や判例についての深い理解を要したりするとすれば、それを法文で明示することにも意味はあるとも考えられるが、二段階訴訟の早急な立法化を強く求める意見はなかった。むしろニーズを疑問視する意見が多数であり、また仮にニ ーズがあったとしても、法改正によらず、現行法の下で執りうる手段によってそれを満たすことができるとの指摘があった。したがって、これまでの二段階訴訟についての議論には大いに意義があったものの、今後、実務の動向を踏まえ、具体的なニーズが高まった時期に改めて検討することとするのが適当である。
  • 当事者本人への証拠の開示制限
企業の有する製造ノウハウや会計情報等の営業秘密は、当該企業の競争力の源泉とも言うべきものであり、訴訟における営業秘密の保護については、一定のニーズが存在する。また、当事者本人への証拠の開示を制限する仕組みを設けることにより、訴訟の場に十分な証拠が提示されるようになることが期待され、有意義であると考えられる。他方、当事者による情報の閲覧等を制限することについては、憲法との関係、訴訟追行の困難性、本人訴訟の取扱いなどの課題が存在している。今後は、秘密保護手続あるいは査証制度に関する裁判実務の運用を注視しつつ、制度導入の要否その他個別の論点について、引き続き議論を深めていくことが適当である。
  • 第三者意見募集制度
裁判所が必要と認めるときに、広く一般の第三者から意見を募集することができる制度を導入することが適当である。
意見を求めることができる範囲は、法律問題や経験則(一般的経験則)などに限定せず、事業実態などの意見も募集できるよう、裁判所が事案に応じて必要と認めた事項とすることが適当である。そして、裁判所が当事者を介さずに第三者の意見を裁判所の判断の基礎とすると、弁論主義についての問題が生じ得るため、意見募集が当事者の申立てにより実施され、第三者が裁判所に意見書を提出し、当事者が意見書を閲覧・謄写し書証として裁判所に提出することで、裁判所が意見書を裁判所の判断の基礎とできるようにすることが適当である。すなわち、本制度の法的な位置づけは、当事者による証拠収集手続であり、裁判所が主体となって意見募集を行う点で、証拠収集手続の特例といえる。また、双方当事者の合意を得ることが困難な場合があるため、一方当事者の申立てを要件としつつ、裁判所が他の当事者の意見を聴いた上で意見募集の要否を判断することが適当である。
対象とする訴訟について、現時点において本制度に適すると考えられる典型的な対象が「判決が当事者の属する業界のみならず、他の業界の企業等にも大きく影響を及ぼし得る特許権侵害事案」であることを踏まえれば、まずは、特許権に係る侵害訴訟を対象とし、今後、意匠権や商標権の分野、審決等取消訴訟などの訴訟類型においても、本制度に適する具体的な事案が見受けられるようにな った段階において、その導入の必要性を検討することが適当である。
対象とする審級について、証拠は本来第一審で全て提出することが望ましいため、特許権に係る侵害訴訟の専属管轄を有する東京地裁、大阪地裁及び知財高裁において本制度を利用できるとすることが適当である。
当事者による第三者への意見提出の働きかけについて、本制度が当事者による証拠収集手続であるため、働きかけを禁止する必要はない。
第三者が提出できる意見書数の制限について、特定の意見の数の有意性を示すことは基本的に困難であるため、提出できる意見書数を制限する必要はない。
特許権と同様に技術的思想に係る権利である実用新案権についても、同様の課題、制度の必要性が存在し得るため、実用新案法においても本制度を導入することが適当である。
  • 特許権者の金銭的救済の充実
特許権を侵害された者を適切に救済し、侵害の抑止が図られるよう、損害賠償制度の充実を図っていくことは重要であると考えられることから、特許権者の金銭的救済について検討したところ、以上のように、懲罰的賠償制度については、否定的な意見が多く出され、早期の制度化に向けた検討を進めることには慎重であるべきだと考えられる。侵害者利益吐き出し型賠償制度については、損害賠償が十分でないという意見があったものの、近時の裁判例において高額な損害賠償額が認められる傾向があり、令和元年改正の施行後は裁判例によりいっそうの発展も見込むことができるため、制度の早期導入に慎重な意見が多数であった。
今後は、裁判の動向を見守りつつ、その上で更なる法改正が必要であるといった具体的なニーズが高まった時期に、改めて制度の法的根拠や要件などを含め、検討することとするのが適当である。
  • 訂正審判等における通常実施権者の承諾の要件の見直し
(ア)特許法の改正の方向性
  訂正審判の請求及び特許無効審判又は特許異議の申立ての手続の中で行う訂正の請求における通常実施権者(許諾に基づく通常実施権者、職務発明に基づく通常実施権者及びいわゆる独占的通常実施権者を含む。以下同じ。)の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
また、特許権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
専用実施権の放棄、仮専用実施権の放棄及び実用新案登録に基づく特許出願における通常実施権者の承諾(仮専用実施権の放棄については仮通常実施権者の承諾)の要否については、特許法上通常実施権者の承諾を不要として契約により対応するという意見、通常実施権者の承諾を不要とした上で通常実施権を対抗できるように手当するという意見及び引き続き通常実施権者の承諾を必要とするという意見があり、引き続き、ユーザーニーズ等を踏まえて、改正の必要性を検討することが適当である。
(イ)実用新案法及び意匠法の改正の方向性
 実用新案法上、訂正及び実用新案権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
 また、意匠法上、意匠権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
  • その他の検討事項
特許制度に係る論点として、例えば、差止請求権のあり方等について検討を進めてほしいとの意見があり、その他、中間とりまとめでは、プラットフォーム化するビジネスへの対応、特許権の実効的な保護のための関連データの取扱い、及び、ライセンス・オブ・ライトや実用新案法の再評価等の特許の活用方法の多様化への対応等について、具体的なニーズの把握や課題の洗い出しを行う等の検討を進めていくこととされている。
このため、今後引き続き、調査研究を通じた実態調査等を通じ、検討を継続していくことが適当である。
  • 新型コロナウイルス感染拡大に伴い顕在化した課題等に係る新たな検討事項
  • 口頭審理期日における当事者等の出頭のオンライン化
特許法、実用新案法、意匠法及び商標法において、ウェブ会議システム等(ウ
ェブ会議システムやテレビ会議システムといった映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる手段)を用いて、当事者、参加人及び代理人が物理的に審判廷に出頭することなく口頭審理の期日における手続に関与することを可能にすることが適当である。
また、ウェブ会議システム等を用いた口頭審理を開催するかどうかの判断については、当事者の希望や原本確認の必要性等の個別の事情を踏まえて柔軟に選択できるような運用とすることが適当であり、また、運用の内容についてはガイドライン等としてまとめてユーザーに周知していく必要がある。
インターネットを通じた公開(傍聴)については、それを積極的に認める意見と導入に慎重な意見の双方からの意見が出されたことを踏まえ、引き続きユーザーの意見等を聴取して慎重に検討することが適当である。
  • 災害等の発生時における割増手数料の取り扱い
コロナ禍において顕在化した問題点、上記検討、各国の対応等を踏まえ、災害の発生等、特許権者の責めに帰することができない理由によって特許料を納付すべき期間を徒過した場合に、割増特許料の納付を免除することが適当である。
また、実用新案法、意匠法、商標法に規定する割増登録料についても同様の趣旨から、併せて措置することが適当である。
  • 権利の回復制度の見直し
特許法等における権利回復の判断基準については、認容率向上、申請者の手続負担軽減とともに回復申請の予見性向上のため、現行の相当な注意基準から、故意基準に転換することが適当である。また、新制度の濫用を防ぐとともに手続期間遵守のインセンティブとして十分な程度の回復手数料を企業規模にかかわらず一律に課すこととし、災害等、出願人等の責めに帰すべきでない理由があるときには免除することが適当である。さらに、小委員会で指摘された点を踏まえ、意図的な期間徒過後の回復申請に対する歯止めの手段や、新制度の趣旨や運用の十分な周知方法についても、併せて検討することが適当である。
  • 模倣品の越境取引に関する規制の必要性について
近年の模倣品の流入増加に対応するため、海外の事業者を侵害主体として、海外の事業者が国内の者に模倣品を直接送付する場合について、日本国内に到達する時点以降を捉えて、新たに商標権及び意匠権侵害行為と位置づけるとしても、特許法及び実用新案法に関する同旨の改正の必要性については、特許法等の解釈にかかる判例・学説の進展や今後の税関における特許権侵害品及び実用新案権侵害品の差止状況等を注視した上で、引き続き議論を深めていくことが適当である。
おわりに
 法目的に鑑みて、新たなビジネス環境に即した特許制度の見直しを図っていく必要があることは言うまでもない。さらに、イノベーション戦略を支援するという視点から、ユーザーにとって利便性の高い特許制度を構築していくことも、特許庁に与えられた役割である。取り巻く環境やユーザーの意見を踏まえ、各国における動向等も参考にしながら、引き続き特許制度の在り方について検討していくことが望ましいものと結論付け、本小委員会において提言する。
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ソニー、デンソー、本田技研、昭和電工、住友化学、旭化成の知財活動

27/12/2020

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2020年9月8日 & 9月9日に行われたPatentSight Summit Japan ONLINE『経営に戦略的に活かす知財情報』の講演の一部を、本ブログ9月にご紹介しました(9月11日ソニー、9月14日デンソー、9月15日本⽥技研工業、9月16日昭和電工、9月17日住友化学、9月18日旭化成)。
 
ちゃんとした報告がアップされていましたので、ご参考まで。
 
知財部門における情報分析活動と、新しい価値の創出 ソニー株式会社
https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-sony
 
AIと特許価値情報を活用した知財ポートフォリオの管理 本田技研工業株式会社
https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-honda
 
昭和電工による“知財DX”の実践──「AI活用による特許情報の効率的収集」と「IPランドスケープ」
https://bizzine.jp/article/detail/4971
 
昭和電工のIPランドスケープ活動  昭和電工株式会社
https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-showadenko
 
住友化学による、IPランドスケープを活用した経営戦略──事業・R&D戦略立案に資する情報解析とは?
https://bizzine.jp/article/detail/4970
 
旭化成が挑戦する経営戦略としてのIPランドスケープ──先進企業と語った人材の「要件」と「評価・育成」
https://bizzine.jp/article/detail/5025
 
IPランドスケープを支える知財アナリストの育成
旭化成様、昭和電工様、住友化学様の鼎談
https://www.patentsight.com/ja/psj-summit-report-ipl-talent
 
 
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2020年代の新規事業創造の知財戦略(小川紘一氏)

26/12/2020

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特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しましたが、12月21日に、基調講演2として、小川紘一氏(東京大学 未来ビジョン研究センター シニア・リサーチャー)の話がありました。
「オープン&クローズの戦略思想を必要とする経済が広がる=データ利活用と仮想化の2020年代に新規事業創造の知財戦略をどう方向付けるか=」というテーマです。
2020年代のサイバー空間がコストゼロの新たなデジタル経済を造り出すというまだ見ぬ世界に、コストゼロの経済パワーを取り込む知財戦略を、我々一人一人が自らの手で創り出すこと、新しい知財マネジメントと新しいビジネスモデルを統合するDXが必要とのことでした。
 
 
オープン&クローズの知財思想を必要とする時代の到来
=IoT/データ利活用時代の知財マネジメントをどう方向付けるか=
https://www.inpit.go.jp/content/100868662.pdf
 
IoT時代のイノベーション戦略
http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/shintaku/lecture/s2/lecture/6_open_and_close_strategy.pdf
 
IoT 時代に向けた我が国イノベーションモデルの再構築に向けて(1)イノベーションモデルの再構築が必要となった背景と新たな方向性
https://pari.ifi.u-tokyo.ac.jp/unit/iam/outcomes/pdf/papers_180228.pdf
 
100年に1度の経済革命 データを活かす現場力が価値創造のカギ
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00568349
 
オープンイノベーション白書第三版
https://www.joic.jp/joic_members/_/paper/2016/web_%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%99%BD%E6%9B%B8%E7%AC%AC%E4%B8%89%E7%89%88_%E5%85%A8%E6%96%87.pdf
 
 
 
IoTがバリューチェーンにもたらす影響と革新的ビジネスモデルの調査研究報告書
https://www.bpfj.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/%E3%80%8CIoT%E3%81%8C%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%82%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%99%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%A8%E9%9D%A9%E6%96%B0%E7%9A%84%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%80%8D%E5%85%A8%E6%96%87.pdf
 
 
以下メモ。
 
 
  • いま起きているデジタル経済は100年に一度の経済革命

2.1990年代のエコシステム空間が、分業と繋がりのデジタル経済を造り出す
   オープン・アーキテクチャーのエコ空間システム
    市場が10倍以上へ急成長する
    日本でも、伝統的な大規模企業が市場撤退1990年代 
    1980-90年代にIBMが経営危機、
    モノ単体の経済から分業と繋がりの経済へ
    コンポーネント側の知財権を武器にしたビジネスモデル
オープン&クローズ戦略の登場
 つながる仕組み造りを先導した企業が市場を席捲
 アップルのオープン&クローズ戦略
 欧州企業の携帯電話のオープン・アーキテクチャー
 MSポリマーのオープン&クローズ戦略
コンポーネント試思考イノベーション と アーキテクチャー思考イノベーション
一物一特許(群)の知財権で保護   と コンポーネントの知財権で保護
3.2020年代のサイバー空間が、コストゼロの新たなデジタル経済を造り出す
   サイバー空間に生まれる経済パワー
    距離と時間がどこでもゼロ
    限界費用(追加費用)ゼロ
    仮想化がと黒田素パワー
    データと人工知能 
    どこでもコストゼロのプラットフォーム
   AFV:サイバーイノベーション
    日本 Society5.0
    ドイツ インダストリー4.0
   2020年代は産業データが主役の仮想化経済が進展
   日本企業の勝ちパターンは
    強い領域はさらに強化し苦手な領域はパートナーと協業
    着眼大局、着手小局
    モノ/アセットの仮想化を先導すれば勝てる
 
4.コストゼロの経済パワーを取り込む知財戦略とCPSのビジネスモデル 
   我々一人一人が自らの手で未来を創り出すこと
   新しい知財マネジメントと新しいビジネスモデルを統合するDXが必要
 
 
 
 
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