日経の「知財経営ランキング」で、3位の東京エレクトロンは、「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター 2023」に2年連続選出されており、パテントリザルト社による半導体製造装置分野における特許資産規模ランキングでトップ、他社牽制力ランキングでもトップとなっています。生成AI向け需要も24年度上期から貢献するとのことで、今後が期待されます。
知的財産への取り組み https://www.tel.co.jp/rd/intellectualproperty/index.html 【半導体製造装置】他社牽制力ランキング2022 トップ3は東京エレクトロン、SCREEN、AMAT 2023年06月21日 https://www.patentresult.co.jp/news/2023/06/fcitsemi.html 【半導体製造装置】特許資産規模ランキング トップ3は東京エレクトロン、AMAT、SCREEN 2023年01月17日 https://www.patentresult.co.jp/news/2023/01/semicon.html 東京エレクトロン、生成AI向け需要「24年度上期から貢献」 2023/6/30 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC26ASV0W3A620C2000000/ 東京エレクトロンのオープンイノベーション 10/6/2021 https://yorozuipsc.com/blog/1608866 東京エレクトロンのオープンイノベーションと地方創生 https://www.iajapan.org/iot/oic/event/2020/pdf/5th_chong.pdf 東京エレクトロン(株)におけるオープンイノベーションの取り組みとかけはしへの期待 https://www.tia-nano.jp/data/doc/1531199874_doc_34_0.pdf
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日経の「知財経営ランキング」で、2位の日本たばこ産業(JT)。
海外M&Aによってグローバル化を推し進めてきたほか、医薬事業なども業績を伸ばしており、レクシスネクシスの分析によると、加熱式たばこの開発と同時に、メディカル関連の特許の価値の向上などが寄与したとみられるということです。 パテントリザルトの「食品分野における特許資産規模ランキング」(2021年4月1日から2022年3月末までの1年間に登録された特許を対象)でも日本たばこ産業(JT)はトップ。「食品分野における他社牽制力ランキング2022」では4位。 出願件数をみると、2018年以降急速に出願を増やしていることがわかります。 出願年 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 件数 87 96 79 74 79 59 67 77 123 202 251 【食品】特許資産規模ランキング トップ3はJT、サントリーHD、アサヒグループHD 2022年11月08日 https://www.patentresult.co.jp/news/2022/11/food.html 1位 日本たばこ産業の注目度の高い特許には「非接触で電源を充電する際の利便性を向上させたエアロゾル吸引器用の電源ユニット」や「外気を流路に取込む入口より遠くに温度センサが配置されている香味生成装置」に関する技術が挙げられます。両技術はいずれも、日本出願のほか中国への出願がみられます。 【食品】他社牽制力ランキング2022 トップ3は味の素、PHILIP MORRIS、キリン 2023年06月30日 https://www.patentresult.co.jp/news/2023/06/fcitfood.html たばこも、ウォーターフォールからアジャイルへ。 JTが挑む、ものづくりのアップデート 2023/06/30 https://www.fastgrow.jp/articles/jt-ishikawa 統合報告書 2022 2023/06/09 https://www.jti.co.jp/investors/library/integratedreport/pdf/integrated2022_J_all.pdf 有価証券報告書 2023/03/24 https://www.jti.co.jp/investors/library/securities_report/pdf/20230324_01.pdf 海外メディアが報じる 相次ぐ海外M&Aに賭けるJT(日本たばこ産業)の思惑とは https://maonline.jp/articles/jt/print 日経の「知財経営ランキング」でトップだった村田製作所。その背景には綿密な知財戦略があったといいます。きっかけは、かつて特許紛争で経験した相次ぐ敗北という屈辱で、知財をベースにしたM&A(合併・買収)が成長を支えているということです。
今年6月に公表された有価証券報告書では、 取締役会の活動状況の中には、知的財産をめぐる戦略・取組について、年2回(5月、10月)議論されていることが記載されています。 そして、「2030年への備え」の中で、「重要経営リスクの評価を進め必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術を発掘、育成し、技術を支える知的財産戦略を立案して実行に努めてまいります。具体的には、イノベーションの創出に向けて、6Gの通信規格の普及や環境問題の解決を含む将来の事業機会に備えたインテリジェンス機能の体制の強化及び技術・事業開発を進めております。」と記載されています。 さらに、知的財産権に関するリスクとしては、「発生頻度 大、影響度 中」とし、対策として、「当社グループでは、材料から製品まで一貫生産体制を構築しており、材料開発、プロセス開発、製品開発、生産技術開発を行う中で、適切なタイミングで他者の知的財産権を調査し、必要に応じて設計回避等の対策を講じております。また研究開発の際に創出される発明について、発明考案等取扱規定により適切に取り扱い、特許出願等を行っております。また当社グループでは、海外売上比率の上昇に合わせて海外への特許出願等も積極的に行っており、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築を進めております。また、知的財産に関する階層・職能教育や知的財産に関する啓発フォーラムなどの様々な社内イベントを開催することにより、当社グループ従業員の知財マインドを醸成しております。」と記載されています。 統合報告書は、9月に公表されることでしょうが、その内容も一層充実していることが期待できそうです。 #3村田製作所・中島社長「知財で技術の流れを読み、M&Aの成功導く」 2023.7.18 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071000003/?n_cid=nbpnb_mled_pre #2村田製作所がランキング首位 屈辱から始まった「攻め」の知財経営 2023.7.18 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071000002/?n_cid=nbpnb_mled_pre #1[新連載]知財経営ランキング 「特許を生かす40社」一挙公開 2023.7.14 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071000001/ AIブームで「イビデン&新光電気」に勝機!“王者”村田製作所に暗雲?電子部品業界の5年後 2023.7.12 https://diamond.jp/articles/-/325728 【有価証券報告書】第87期 2023年6月29日 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/newsroom/news/irnews/irnews/2023/0629b/murata87gorep.ashx?la=ja-jp&cvid=20230629044014000000 「2030年への備え」の中で、「重要経営リスクの評価を進め必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術を発掘、育成し、技術を支える知的財産戦略を立案して実行に努めてまいります。具体的には、イノベーションの創出に向けて、6Gの通信規格の普及や環境問題の解決を含む将来の事業機会に備えたインテリジェンス機能の体制の強化及び技術・事業開発を進めております。」と記載されています。(P.20) 取締役会の活動状況の中に、知的財産をめぐる戦略・取組について、年2回(5月、10月)議論されていることが記載されています。(P.65) (3)知的財産権に関するリスクとしては、「発生頻度 大、影響度 中」とし、対策として、「当社グループでは、材料から製品まで一貫生産体制を構築しており、材料開発、プロセス開発、製品開発、生産技術開発を行う中で、適切なタイミングで他者の知的財産権を調査し、必要に応じて設計回避等の対策を講じております。また研究開発の際に創出される発明について、発明考案等取扱規定により適切に取り扱い、特許出願等を行っております。また当社グループでは、海外売上比率の上昇に合わせて海外への特許出願等も積極的に行っており、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築を進めております。 また、知的財産に関する階層・職能教育や知的財産に関する啓発フォーラムなどの様々な社内イベントを開催することにより、当社グループ従業員の知財マインドを醸成しております。」と記載されています。 コーポレート・ガバナンス報告書 最終更新日:2023年6月30日 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/csr/management/governance/cgreport_20230630.ashx?la=ja-jp&cvid=20230630055648000000 (3) 知的資本への投資について 当社グループでは、知的財産基本方針を策定し、社員が組織の枠を超えて協働し、事業に役立つ知財活動を実践しております。当社の知的財産に関する取り組みは統合報告書(Murata value report)及び当社ウェブサイトをご覧ください。 https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/governance/ip ESG説明会2023株式会社村田製作所 2023.3.2 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/newsroom/news/irnews/irnews/2023/0302/2303-j-speach.ashx?la=ja-jp&cvid=20230301072446000000 Murata value report 2022(統合報告書) 2022/09/30 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/ir/library/murata-value-report/2022_j/murata-value-report2022-a3-j.ashx?la=ja-jp&cvid=20220930010137000000 P61-62に、将来に向けた技術力の強化とそれを支える知的財産活動が紹介されています。 「リーガルテック展2023」のアーカイブ動画(村田製作所、ユーグレナなど) 4/3/2023 https://yorozuipsc.com/blog/20232472744 村田製作所の事業拡大を支える知財部門 13/7/2022 https://yorozuipsc.com/blog/1187685 株式会社村田製作所の知財活動(PATENTSIGHT SUMMIT 2022) 5/6/2022 https://yorozuipsc.com/blog/patentsight-summit-20223711624 今回のモデルを利用すれば、特許庁に出願する前に、特許化される可能性(Prediction > Thershold)と経済的な価値(Predicted Value >Threshold)の両方を考慮して、出願可否を判定できる、ということです。 内容が良く理解できなかったので、ChatGPTに聞いてみた結果を添付しておきます。 論文調査:Predictive Patentomics: Forecasting Innovation Success and Valuation with ChatGPT https://www.enlighton.co.jp/post/%E8%AB%96%E6%96%87%E7%B4%B9%E4%BB%8B%EF%BC%9Apredictive-patentomics-forecasting-innovation-success-and-valuation-with-chatgpt 論文 https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4482536 Predictive Patentomics: Forecasting Innovation Success and Valuation with ChatGPT 56 Pages Posted: 18 Jun 2023 Last revised: 3 Jul 2023 Stephen Yang Pace Academy Date Written: June 16, 2023 Abstract Analysis of innovation has been fundamentally limited by conventional approaches to broad, structural variables. This paper pushes the boundaries, taking an LLM approach to patent analysis with the groundbreaking ChatGPT technology. OpenAI’s state-of-the-art textual model accesses complex information about the quality and impact of each invention to power deep learning predictive models. This nuanced representation of the text drives a 24% incremental improvement in R-squared predicting patent value and clearly isolates the worst and best applications. These models enable a revision of the contemporary Kogan, Papanikolaou, Seru, and Stoffman (2017) valuation of patents by a median deviation of 1.5 times, accounting for potential institutional predictions. Furthermore, the market fails to incorporate timely information about applications; a long-short portfolio based on predicted acceptance rates achieves significant abnormal returns of 3.3% annually. The models provide an opportunity to revolutionize startup and small-firm corporate policy vis-à-vis patenting. 概要 イノベーションの分析は、広範な構造変数に対する従来のアプローチでは根本的に制限されてきました。この論文は、画期的な ChatGPT テクノロジーを使用した特許分析への LLM アプローチを採用し、限界を押し広げます。OpenAI の最先端のテキストモデルは、各発明の品質と影響に関する複雑な情報にアクセスして、ディープラーニングの予測モデルを強化します。このテキストの微妙な表現により、特許価値のR二乗予測が 24% 増加し、最悪の出願と最良の出願を明確に区別できます。これらのモデルにより、現代の Kogan、Papanikolaou、Seru、Stoffman (2017) の特許評価を中央値偏差 1.5 倍に修正することが可能になり、潜在的な制度的予測が考慮されます。さらに、市場はアプリケーションに関するタイムリーな情報を取り込んでいません。予測合格率に基づくロングショートポートフォリオは、年間 3.3% という大幅な異常リターンを達成します。このモデルは、特許取得に比べて新興企業や中小企業の企業ポリシーに革命を起こす機会を提供します。 Keywords: AI, ChatGPT, Large Language Model, Machine Learning, Innovation, Patents, Patent Success, Patent Applications, Patent Value, Textual Analysis, Natural Language Processing, FinTech アジア特許情報研究会では、ChatGPTを活用した外国特許の調査を検討しているようです。
今のところ、Google翻訳に比べChatGPT翻訳の方が「こなれた日本語」になっているようであり、ChatGPTの得意技である要約機能との組合せは、特許のスクリーニングに効果的なようです。 ChatGPTを活用したMENA(Mid East / North Africa)地域特許調査 https://note.com/sasiapi_/n/nac1cdae723d0 トルコ・イスラエル・サウジアラビア ChatGPTを活用したASEAN特許調査 https://note.com/sasiapi_/n/na58585f47a45 インドネシア・タイ・ベトナム ChatGPTを活用した中国特許調査 https://note.com/sasiapi_/n/nef32f4d4b12e 画像生成AI (Midjourney 5.2 , Stable-Diffusion XL 0.9, Adobe Firefly)の現状、映像生成AIの最先端、3D生成AIの最先端が紹介されています。進歩が目覚ましい感じです。
画像生成AIの最先端:画像生成AIの進化と映像・3D生成への拡張 https://www.youtube.com/watch?v=3HPKKwbj8_E 本講演ではStable-DiffusionやMidjourneyといった生成AIのサービスの変遷とそれぞれの特性の比較を行います。さらに、画像生成AIの応用例として、テキスト以外の情報を利用して生成画像をコントロールする技術、そして画像だけでなく映像を生成するtext-to-video、テキストから3D情報を復元するtext-to-3Dといった最新トピックを紹介します。 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-05_Ikehata.pdf 文部科学省は、7月13日に、大学などでの教育活動における生成AIの取り扱いについて、それぞれの大学に指針を作るなどの対応を促す通知を出しました。
利活用可否の検討、利活用が想定される場面例として、「生成 AI を利活用することが有効と想定される場面としては、例えば、ブレインストーミング、論点の洗い出し、情報収集、文章校正、翻訳やプログラミングの補助等の学生による主体的な学びの補助・支援などが考えられる。この他にも、生成 AI は、今後さらに発展し社会で当たり前に使われるようになることが想定されるという視座に立ち、生成 AI の原理への理解、生成 AI へのプロンプト(質問・作業指示)に関する工夫やそれによる出力の検証、生成 AI の技術的限界の体験等により、生成 AI を使いこなすという観点を教育活動に取り入れることも考えられる。また、上記の学生による利活用以外にも、教員による教材開発や、効果的・効率的な大学事務の運営等に利活用することも考えられる。」 留意すべき観点として、生成AIの回答内容に事実関係の間違いが含まれることや、個人情報の流出、著作権の侵害などのおそれがあることも挙げ、取り扱いの方針やルールに反した場合の措置なども検討して示すことが望ましいとしています。 大学生の生成系AI活用実態を調査した結果が、7月7日にオンライン開催された【第67回】 大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム「教育機関DXシンポ」の発表のひとつ「大学生の生成系AI活用実態と今後の展望」(約14分)です。九州大学の発表です。 https://www.youtube.com/watch?v=wWYryI0RdvE 大学生のAI利用意識_アンケート調査(n=584)では、生成系AIの利用経験(活用している26.9%、触れたことがあるが活用していない35.8%)、生成系AIへの期待(10段階の7点以上が7割以上で、期待が高い)、AI活用への抵抗感(抵抗感があるのが2割弱、抵抗感なしが6割以上)、なるほどという結果です。 各大学の生成系AIへの対応調査では、AI 活用䛾ガイドライン (n=61)をみると、2割が推進、2割が規制、5割が中立。 大学生の生成系AI活用事例では、事例 ①:就活における活用事例(短期間で多くの企業のページの確認を効率化したくて、 ChatGPT で自分が知りたい情報のみを抽出してもらう)、事例 ②:プログラミングにおける事例1 (詳しくなくても、周りに聞ける人がいなくても一人でプログラムを書くことができた)、事例 ③:プログラミングにおける事例2(まずは自力で解決を試み、検索しても分からない場合 ChatGPT に解決策を求める)。 学生の生成系AI活用事例は、作業の効率化、スキル活用の補助の2つのカテゴリに分けられる。 九州大学で生成系AI活用が進んでいる理由は、多くの学部でプログラミングの授業が必修となっているので、プログラミングに触れた経験があるため、活用のイメージが湧きやすいため。 今後の展望は、大学生にとって生成系AI䛿よきパートナーとなる。活用で学びが加速。 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-06_Norizoe_Yi_Ikeda.pdf 生成AIの取り扱い 大学に指針を作るなどの対応促す通知 文科省 2023年7月13日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230713/k10014128551000.html 大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて(周知) https://www.mext.go.jp/content/20230713-mxt_senmon01-000030762_1.pdf 令和5年3月27日判決言渡の令和4年(行ケ)第10009号 特許取消決定取消請求事件(「ガス系消火設備」事件)は、「甲1発明、甲2技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。」との異議の決定に対して取り消しを求めた事件。
裁判所は、甲2技術的事項について、甲2には、特許庁が認定した技術的事項(ラプチャーディスクを用いることなく、「複数のシリンダーからのガス供給を開始する時点をずらすという技術思想」)を読み取ることはできないと判示しました。 また、周知技術については、特許庁が認定した周知技術「複数の消火ガス容器の開弁時期を制御部によりずらして防護区画へ消火ガスをあ/導入する手段が、本件出願前、ガス系消火設備の技術分野において周知であった」が周知技術であったとしても、当業者が、甲1発明において、上記周知技術を適用することについての動機付けがあることを認めるに足りる証拠や論理付けがないと判示しました。 主引用発明に副引用発明から技術的事項を抽出し、周知技術と組み合せて容易想到と判断された場合においては、副引用発明の上位概念化により強引に技術的事項が抽出されていないか、証拠や論理付けなく周知技術が適用されていないか、特許庁の判断をよく検討する必要があることがわかる例です。 令和5年3月27日判決言渡 令和4年(行ケ)第10009号 特許取消決定取消請求事件 判決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/973/091973_hanrei.pdf 特許 令和4年(行ケ)第10009号「ガス系消火設備」(知的財産高等裁判所 令和5年3月27日) 2023.06.20 https://www.soei.com/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%80%80%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%88%E8%A1%8C%E3%82%B1%EF%BC%89%E7%AC%AC%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%99%E5%8F%B7%E3%80%8C%E3%82%AC%E3%82%B9%E7%B3%BB/ 令和4年(行ケ)第10009号「ガス系消火設備」事件 2023/05/31 https://unius-pa.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/R04_gyouke_10009.pdf 「ガス系消火設備」事件 (知財高判令和5年3月27日 令和4年(行ケ)第10009号) 2023.04.28 https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/12_2022_Gyo-Ke_10009.pdf カシオ計算機の腕時計「G-SHOCK(ジーショック)」初号機の形状が立体商標として登録されたとのことです。
審査では、令和3年8月12日付けで拒絶理由通知を受け、同年9月29日受付で意見書を提出したものの、同4年4月11日付けで拒絶査定されています。これに対して、同年7月15日に拒絶査定不服審判が請求され、令和5年5月23日付けで「原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。」とする審決が下されています。 審決では、 「上記アの認定事実によれば、本願商標に相当する形状を備える請求人商品は、その後継商品も含めると、1983年の発売以降に約40年の販売期間があり、その販売実績も長期にわたる安定した販売数量をあげ、むしろ近年にかけて販売数量は増加傾向にある。また、広告宣伝として、請求人商品などの商品写真を伴う商品紹介記事が継続してメディアを通じて掲載、放映されており、それら記事情報によれば、請求人商品は、請求人ブランド(G- SHOCK)を象徴する代表的なモデルに位置づけられ、その形状は、従来の腕時計にはない、耐衝撃性を備える独特の形状からなると評価されている 。そして、本件アンケート調査によれば、日本全国に居住する16歳以上の男女のうち、本願商標に相当する画像から、請求人との関連を回答できたのは、多肢選択式の回答も考慮すれば、6割を超える。 そうすると、本願商標に相当する立体的形状(ベゼル、ケース、バンド)は、請求人商品が備える独特な商品形状として、その指定商品に係る需要者の間において、相当程度認知され、請求人に係る出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至っていると認められる。 したがって、本願商標は、請求人による使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。」 と判断されており、本願商標の使用実績(甲9、甲174、甲178)や、本願商標(商品の形状)が自他商品の識別機能を獲得している証拠(甲77、甲126、甲159など)とともに、2021年9月9日付け調査報告書(甲143)で、日本全国に居住する16歳以上の男女1,100人を調査対象としたインターネットによるアンケート調査結果を示したことが決め手となったようです。 調査では、導入質問の後に、本願商標に相当する画像を示して、思い浮かぶブランドやメーカーなどを自由回答式で尋ね、次に同様の質問を多肢選択式で尋ね、調査対象者のうち、請求人又はその関連商品(カシオ、G-ショックなど)を回答したのは、自由回答式で55.09%、多肢選択式で66.27%という結果となっています。 さらに、上申書において、出願人は甲第204号証として、「日本を代表する知的財産法学者であり、商標のアンケート調査に関する第一人者であられます一橋大学大学院法学研究科教授、井上由里子先生ご執筆にかかる鑑定意見書」を追加提出しています。 『本鑑定意見書では、請求人が審査段階で提出した需要者アンケート(甲第143号証︓2021年6月実施)により得られた測定結果が「本願商標が『使用による識別力』(3条2項)を獲得するに至っていることを示すものといえる」と明確に述べられています(本鑑定意見書7頁16行目乃至18行目2.3.「鑑定意見の結論」より。)。』 カシオさん、さすが。 商標登録6711392 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-052961/4C292AF7EC757FA4839D5A183C5CD03F26CB611F7C8FE287759DC74012A8EBB2/40/ja カシオ「Gショック」初号機、立体商標に登録…八角形の外枠など認知 2023/07/15 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230714-OYT1T50435/ G-SHOCK立体商標に 初号機、八角形の形状で模倣対策 2023年7月13日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13C9I0T10C23A7000000/#:~:text=%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%BA%81%E3%81%8C%E3%80%81%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%82%AA%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%A9%9F,%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%A8%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82 G―SHOCK立体商標に 初号機、八角形の形状 2023年07月13日 https://www.47news.jp/news/9582848.html 商標登録6711392 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-052961/4C292AF7EC757FA4839D5A183C5CD03F26CB611F7C8FE287759DC74012A8EBB2/40/ja 日経ビジネス2023年7月17日号の「知財経営ランキング 特許で攻める村田製作所」は、参考になる情報満載です。
「知的財産をうまく活用し、イノベーションにつなげている企業」として、Patentsightの評価手法を用い、過去2年間の被引用件数を基にランキング化、2020年末時点と22年末時点でそれぞれ算出したボイントに基づき、成長度合いを「イノペーションモメンタム(Innovation Momentum) 」としてランキング化したということです。 PART1 特許価値成長ランキング見えない価値で探るイノベーション企業群 この「特許価値の成長に基づく分析から、日本経済の隠れた姿が明らかになった。」ということです。上位40社がリスト化されています。 PART2 首位・村田製作所、知財で未来を創る 屈辱から始まった戦略見直し INTERVIEW村田製作所の中島社長に聞く「技術トレンドを読み、M&Aの成功を導く」 PART3 素材・化学、しぶとさの理由 逆風を乗り越える「攻め」の特許戦略 PART4 上位に食い込んだ新興2社 スタートアップ、高速成長の裏に知財あり PART5 人的資本だけじゃない 求められる情報開示 知財を経営の本丸に 知財経営ランキング 「特許を生かす40社」一挙公開 https://business.nikkei.com/ 除くクレームは、権利範囲をできるだけ広く取得したい場合に、使い勝手の良い方法です。こんなに認められてよいのかな、という感覚はありますが。
7月12日に行われた知財実務情報Lab. 高橋政治弁理士の「除くクレームが新規事項追加になる場合があるのか? 除くクレームによって進歩性を出せるのか?」というセミナーの録画が専用サイトで公開されました。(約1時間3分) 高橋政治弁理士は、知財管理2023.6月号「レーザー加工装置事件①除くクレームと新規事項追加、特許請求の範囲の減縮、進歩性、②図面の記載に基づく補正・訂正」の著者でもあります。 下記サイトから登録することで、録画が見られ資料もダウンロードできます。 https://chizai-jj-lab.com/2022/12/21/faq/ 目次 1.除くクレームが新規事項追加になる場合があるのか︖
除くクレームで進歩性OK 令和3年(行ケ)第10111号 https://yorozuipsc.com/blog/ok-310111 Youtubeにアップされている動画「論理的推論と深層学習ベース自然言語処理の組み合わせによる判決推論」(国立情報学研究所情報学プリンシプル研究系 佐藤 健 教授)では、ChatGPTに聞いた例を示し、
「生成系AIでは論理的な推論を行っておらず、与えられたコンテクストで一番出現しやすい言葉をつないで文章を作っているので、もっともらしいが、間違いも多く、精査しないと使えない。」 「法的推論はまだ記号処理系AIに利点が存在する。」 「現在の法学へのAI応用は、言葉の重みづけのような浅い知識の活用にとどまる。より高度な支援のためには、論理的推論のような高度な推論や、常識的な知識が必要。したがって、生成系AIと記号処理系AIとの適切な融合が今後のキーとなる。」 としています。 生成系AIと記号処理系AIとの適切な融合を期待したいと思います。 論理的推論と深層学習ベース自然言語処理の組み合わせによる判決推論(約16分半) https://www.youtube.com/watch?v=0vtzeo5hG4g 我々は、判決推論をシミュレートする論理ベースの法的推論システム「PROLEG」を開発してきた。PROLEGシステムでは、法律条文や最高裁判例を原則ルールと例外として表現し、事件を事実述語で表現することで、判決に至る推論過程を示すことができる。しかし、弁護士がこのシステムを利用するには、事件の事実を論理的に表現する必要があり、障壁となっていた。 この講演では、自然言語で書かれた事件描写から事実述語に抽出する方法を提案する。この手法は、深層学習を用いた固有表現認識(Name Entity Recognition)に基づいており、通常のNERよりも詳細な固有表現を認識できる。 論理的推論と深層学習ベース自然言語処理の組み合わせによる判決推論 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-04_Satoh.pdf 「ChatGPTはなぜ計算が苦手なのか」京都大学大学院情報学研究科 湊 真一教授の動画「約24分」を視聴しました。
ChatGPTの基本構造では計算が難しいこと、同様に、ChatGPTの基本構造では「特許」や「文献」にIDを付けることをしていないので、回答に関連する特許や文献を正しく生成することは難しいことの理屈がよくわかりました。 ChatGPTはなぜ計算が苦手なのか https://www.youtube.com/watch?v=61XuTQpm7NU ChatGPTは、統計的な学習モデルによって、驚くほど滑らかに自然な対話を自動生成することができ、ここ半年の間にも社会に多大なインパクトを与えつつある。一方でChatGPTは、数を数えることや掛け算のような計算問題を解くのは苦手であり、小学生でも解けるような問題をしばしば間違えることが知られている。本講演では、アルゴリズムや計算量の観点から、ChatGPTがなぜ計算問題が苦手なのかを述べ、ChatGPTの能力の限界や、計算手順を理解するとはどういうことかについて論ずる。 「ChatGPTはなぜ計算が苦手なのか」 資料 https://www.nii.ac.jp/event/upload/20230707-03_Minato.pdf パテントVol. 76 No. 5(2023)の「我が国において知的財産発のイノベーションがなぜ起こらないのか-知的財産権活用の実務的側面である知的財産権法務、実務、投資判断担当者間における相互理解の欠如に焦点を当てて-」は、「米国、中国からは、いわゆるGAFAと呼ばれるような巨大IT企業は誕生するものの、世界トップクラスの経済大国である日本からなぜ知的財産権発のイノベーションが起こらないのか。」と問うています。
「知的財産発のイノベーション」という言葉に引っかかりながらも、『発明者と、投資家、実業家、法律家などとの間に「発明内容の産業的価値(事業成功可能性)」に関する理解の壁がある』『技術的不確実性の問題を重視し、小粒な分かりやすい案件を中心として、リスクマネーの回収を重視して、多くの資金が運用されてきた』などはその通りでしょう。 我が国において知的財産発のイノベーションがなぜ起こらないのか https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4198 日本でイノベーションが起きない「根本的な誤解」 内田氏が警鐘 2022年07月12日 https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00679/00001/ WIPO⽇本事務所では様々なトピックのウェビナー(オンラインセミナー)を日本語で開催(参加無料)しています。
既に終了したウェビナーについても、アーカイブ動画を公開していることが多く、その時に視聴できなくとも後で視聴でき、資料のpdfも公開されているので便利です。 直近では、2023年7月12日に「最近の意匠制度をめぐる動向と施策の紹介」があり、すでに資料もアップされています。また、2023年7月26日に「最近の商標制度をめぐる動向と施策の紹介」があります。 過去のものは、下記のとおり。 2023年7月7日 シリコンバレーから見た米国のスタートアップの特許動向 2023年6月23日 中南米・中東アフリカの知的財産概況 2023年6月22日 マドリッド制度における名義変更、名義人の表示変更、代理人の管理手続 2023年6月9日 インドの知的財産概況 2023年5月31日 米国の知的財産概況 2023年5月25日 ASEANの知的財産概況 2023年5月23日 国際登録出願の準備 - 出願書類の作成方法と欠陥通報を回避するポイント 商標(マドリッド) 2023年5月18日 韓国の知的財産概況 2023年5月16日 欧州の知的財産概況 2023年4月13日 中国の知的財産概況 WIPO⽇本事務所ウェビナー https://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/japan/webinars_in_japanese.html Apple は、米国で「Apple Music」を、保護対象にライブ演奏を含む形で商標出願していましたが、ライブ演奏に関する類似商標権者からの申立に先使用権を主張するという戦術ミスにより、すべての登録が拒絶されるという結果になったということです。
戦術ミスとは思えませんが、それほどむずかしい案件だということでしょうか。 Apple、戦術ミスで「Apple Music」商標登録に失敗 https://www.zaikei.co.jp/article/20230709/728887.html Apple、「Apple Music」の商標取得は不可~個人音楽家に権利 https://news.livedoor.com/article/detail/24573556/ Apple Music trademark denied, after tactical error by company https://9to5mac.com/2023/07/07/apple-music-trademark-denied/ APPLE JAZZ Mark Owner Vindicated at CAFC with Denial of Apple’s Petition for Rehearing https://ipwatchdog.com/2023/07/06/apple-jazz-mark-owner-vindicated-cafc-denial-apples-petition-rehearing/id=163058/ 知的財産高等裁判所の平成 29 年(ネ)第 10090 号「ピタバスタチン製剤医薬品」事件判決は、数値限定発明に対する先使用権を否定した判決で、先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例です。
こういう考え方だと、『製造当時のサンプル薬を所持し、必要に応じて、事後的に請求項記載の構成要件の規定に関係する成分を測定し、範囲内に含まれることを主張するだけでは発明の完成すら証明できない場合があることは留意すべきである。本判決からすれば、未だ出願もされていない内容と同じ発想で、サンプル薬を製造した時点で成分等を測定することや、数値範囲内に管理することが必要であることになり、先使用権の立証は非常に難しいと考えられる。』となります。 『主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例』と言われています。 パテントVol. 76No. 5の論文「特許発明実施の判断における課題を解決する意図の考慮」は、「特許発明は設定課題(発明者が解決しようと意図した主観的な課題)を解決する解決手段についての思想であることからするならば、特許発明実施の判断において、被疑侵害者の特許発明の設定課題を解決する意図を考慮すべきであると考える。すなわち、被疑侵害行為が特許発明の解決手段の具現化であっても、被疑侵害者に特許発明の設定課題を解決する意図がないときには、被疑侵害行為は特許発明の実施ではないとすべきであると考える。」との考え方もその通りと言いたくなります。 数値限定発明に対する先使用権を否定した事案 平成 30 年 4 月 4 日 平成 29 年(ネ)第 10090 号 「ピタバスタチン製剤医薬品」事件 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/3204 【特許★★】(傍論であるが、)先使用医薬が発明の数値範囲に入っていたとしても、数値範囲内に収めるという技術的思想がなく、先使用権が成立しないとした裁判例。主/副引用発明、公然実施発明の認定にも関連し得る、実務上重要な裁判例。(「医薬」事件(東和薬品v.興和)) https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%E3%80%90%E7%89%B9%E8%A8%B1%E2%98%85%E2%98%85%E3%80%91%EF%BC%88%E5%82%8D%E8%AB%96%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8C%E3%80%81%EF%BC%89%E5%85%88%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%8C%BB%E8%96%AC%E3%81%8C%E7%99%BA/ 2018.04.04 「東和薬品 v. 興和」 知財高裁平成29年(ネ)10090 https://www.tokkyoteki.com/2018/05/20180404-v-2910090.html 『東京地裁、医薬特許に対する先使用権の成立を否定』 http://www.abe-law.com/wp/wp-content/uploads/2018/01/180123Newsletter.pdf 平成29年(ネ)10090号「医薬」事件 https://unius-pa.com/infringement_lawsuit/5751/ 特許法の先使用権に関する一考察(2)-制度趣旨に鑑みた要件論の展開- https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/76026/4/54_05-Tamura.pdf 特許発明実施の判断における課題を解決する意図の考慮 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4197 偏光フィルム知財高裁大合議判決のサポート要件判断基準について、中村合同特許法律事務所 高石秀樹弁護士が、パテント Vol. 76No. 5(2023)で論じています。
高石秀樹弁護士は、『【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する 2 段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。』(パテント Vol. 76No. 5(2023))としています。 すなわち、『偏光フィルム知財高裁大合議判決は、サポート要件の判断基準として、 ❶条文の文言、及び ❷当業者が発明の課題を解決できると認識できるという要件に加えて、 ❸「パラメータ発明」については「本件発明はいわゆるパラメータ発明であり、サポート要件に適合するためには、発明の詳細な説明は、その数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意味が、特許出願時において、具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載するか、又は、特許出願時の技術常識を参酌して、当該数式が示す範囲内であれば所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に、具体例を開示して記載することを要する」と判示した。 この要件❸については、「パラメータ発明」に限らない一般的規範を判示した要件❷を「パラメータ発明」に特化して換言しただけであるという見解もあるが、理論的考察に加えて、大合議判決後の下級審判決で「パラメータ発明」が争われて判断されていることに鑑みると、要件❸に一定の意味があると考える。』 ということです。 要件❸は、「具体例の開示がなくとも当業者に理解できる程度に記載する」という『作用機序(メカニズム)によるサポート』、又は、「技術常識を参酌して,当該数式が示す範囲内であれば,所望の効果(性能)が得られると当業者において認識できる程度に,具体例を開示して記載することを要する」という『実施例によるサポート』のどちらのアプローチでも良いということで、わかりやすいと思っていました。 もっと深い意味がある、という議論は、なるほどと思いました。 特集<第28回知的財産権誌上研究発表会>(論考) 【偏光フィルム】知財高裁大合議判決が判示した「パラメータ発明」に関する2段階目のサポート要件の規範は、無意味ではない。 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4196 「大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件」では、他社の特許権を侵害した会社の取締役らに対し、会社法429条1項に基づき、侵害者である会社と同等の損害賠償責任を認める判決でした。この判決では、専門家から非抵触の鑑定を得ていたにもかかわらず、取締役が会社と同等の個人責任を問われました。
この判決を、会社法第 429 条第 1 項の法的性質、他の裁判例との比較から検討したのが、パテント誌2023年5月号に掲載されている「特許権侵害事例における取締役個人の特許権者に対する損害賠償責任」と題する論文です。 取締役の善管注意義務の判断に広く用いられる経営判断原則に即した判断基準が提案されており、なるほどと思いました。 特許権侵害事例における取締役個人の特許権者に対する損害賠償責任 https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/4202 要 約 知的財産権侵害に関する紛争では侵害行為の主体とされる法人等に対する責任追及が行われるのが通常である。しかし、事案によっては、会社法 429 条第 1 項に基づき、侵害行為の主体とされる法人の取締役個人に対する責任追及が行われることも珍しくない。そこで本稿では、本条の法的性質等について概観した上で、複数の裁判例を題材に取締役に課される善管注意義務の内容及びいかなる場合に任務懈怠に関する重過失が認められるかについて検討を行った。その結果、善管注意義務の内容は「取引実施に当たっては、第三者の特許権を侵害しないよう配慮すべき義務」という点で概ね一致していた。しかし、具体的な判断基準に関しては、「中立的な専門家の意見聴取」等の調査義務の存在が示唆される一方、特許権侵害の可能性の多寡にかかわらず実施行為の停止ないし損害賠償相当額の留保等の経営判断が求められるなど著しい相違があることが明らかとなった。 目次 1.はじめに 2.会社法第 429 条第 1 項の法的性質等 3.取締役の責任を認めた裁判例 4.取締役の責任を認めなかった裁判例 5.大阪地判令和 3 年 9 月 28 日発明 119 巻 1 号 41 頁(裁判例⑦) 6.裁判例①ないし⑥と裁判例⑦の比較を踏まえた善管注意義務の判断基準について 7.おわりに 特許権侵害と取締役の対第三者責任 大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 https://innoventier.com/wp-content/uploads/2022/09/672f38f962e3d966bd0d8c2f32d574aa.pdf 特許権侵害の不法行為により特許権者に損害を与えた会社の役員個人に対し、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事例[大阪地方裁判所 令和3年9月28日判決 令和元年(ワ)第5444号] https://www.hanketsu.jiii.or.jp/hanketsu/jsp/hatumeisi/news/202201news.pdf ≪特許権侵害行為を行った会社の代表取締役および取締役に対する会社法429条1項に基づく損害賠償請求が認容された事例≫ 【令和3年9月28日(大阪地裁 令和元年(ワ)5444号)】 https://www.ip-bengoshi.com/archives/5743 【裁判例】令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件 2022.02.16 https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13211.html 特許権侵害と取締役の責任 26/8/2022 https://yorozuipsc.com/blog/8279117 7月5日に公表された国立研究開発法人産業技術総合研究所の情報漏えい事案に係る再発防止策について、ChatGPTに、この対策について問題点を指摘してもらいました。なかなか鋭い指摘です。
**You:** 産業技術総合研究所の研究データが中国企業に漏洩した事件では、業務⽤のメールアドレスを使って研究情報を送信していたが、産総研はすぐに把握できなかったなど情報管理の⽢さが露呈した形で管理体制の強化が問われています。 産業技術総合研究所は再発防⽌策を公表しました。この対策について問題点を指摘してください。 **ChatGPT:** 産業技術総合研究所が公表した再発防⽌策の内容は以下の通りです。 1.モニタリングの強化: システム上の不審な動きを早期に探知し、情報漏えいを未然に防ぐために、情報システム、通信回線及び機器等で取り扱う情報のモニタリングを強化します。 2.採⽤・受⼊時等の適格性審査の強化: 採⽤・受⼊時における技術情報管理等の観点も踏まえた適格性審査を強化します。現職員は、兼業の⼿続きなどを改めて研修を通じて確認し、必要に応じて懸念される者の調査を引き続き⾏います。 3.技術情報の管理の厳格化: 技術情報については、情報の重要性に応じて、エリア管理、技術情報へのアクセス制限等をさらに強化し、厳格に管理します。 4.職員等の意識向上: 個々の研究内容や業務内容の確認を徹底するとともに、技術情報管理等における緊急特別研修を実施しています。今後も定期的に研修を実施していきます。 5.対策等の継続的なフォローアップ: 当⾯の対策の内容とその実施状況に関して、外部専⾨家によるレビューを⾏います。その結果を踏まえ、取組の改善や追加的な対策の実施を含め、再発防⽌を徹底していきます。 これらの対策について、以下のような問題点が考えられます。 1.具体性の⽋如: 上記の対策は⼀般的であり、具体的な⼿法やツールが⽰されていない。具体的な実施計画や⽬標が明確でないと、効果的な対策がとられるかが不透明です。 2.⼈的要因の考慮不⾜: 情報漏洩は往々にして⼈的要因によるものであるため、職員の意識向上だけでなく、内部監査やホイッスルブロー制度の強化など、⼈的要因に対する対策も重要です。 3.外部との連携: セキュリティ問題は⽇進⽉歩であり、外部の専⾨家や他の研究機関との連携を通じて、最新の脅威や対策について学ぶ必要があります。ただし、外部専⾨家によるレビューは⾔及されていますが、これをどの程度積極的に⾏うかが不明です。 4.データの分類と保護: すべてのデータが同じように扱われるべきではなく、機密性の⾼いデータは特別な保護が必要です。データの分類とそれに基づく保護レベルの設定が必要です。 5.緊急対応計画: もし情報漏洩が発⽣した場合の緊急対応計画が必要です。これには、漏洩した情報の特定、関係者への通知、対策の実施などが含まれます。 6.透明性と報告: 内部だけでなく、外部に対してもセキュリティ対策の進捗や結果を定期的に報告し、透明性を確保することが重要です。 7.リスク評価: 定期的なリスク評価を⾏い、新たな脅威や脆弱性に対して適切に対応できるようにする必要があります。これらの点を考慮し、具体的かつ総合的な対策を講じることが、情報漏洩の再発防⽌には必要です。 研究情報管理に甘さ、業務用メアドで送信 産総研漏洩 2023年7月5日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE260ZI0W3A620C2000000/ 情報漏えい事案に係る再発防止策について 令和5年7月5日 国立研究開発法人産業技術総合研究所 https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20230705_2.html ・情報漏えい事案の概要について https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/announce/au2023/0705_2/jiangaiyou0705.pdf ・再発防止策について https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/announce/au2023/0705_2/saihatsuboushi0705.pdf |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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