NECは、7月6日、日本市場向けに、大規模言語モデル(LLM)のライセンスのほか、ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなどを提供する生成AIサービス「NEC Generative AI」について発表しました。コンサルティングからソフトウェア、ハードウェア、データセンターまでをワンストップで提供することが特徴で、「NEC Generative AI Service Menu」として順次提供予定としており、コンサルティング、ナレッジエンジニアリング、教育、環境構築のサービスは7月、LLMは8月に先行評価、ソフトウェアとハードウェアは10月に提供(ハードウェアは評価版)開始の予定とのこと。
NEC社内では5月から生成AIの社内業務利用を開始しており、資料作成時間の50%削減、議事録作成の時間を平均30分から約5分に短縮、社内システム開発におけるソースコード作成業務の効率化で工数80%の削減、といった成果が出ているということです。 また、ソフトバンクは7月7日、生成AI(人工知能)を開発するためのスーパーコンピューターの整備に約200億円を投じると発表、経産省はこの事業に53億円を補助することを発表しました。 ChatGPTなどに対抗できるかどうかはわかりませんが、日本語データがしっかり事前学習された大規模言語モデル(LLM)が登場することは歓迎すべきことだと思います。 NEC、生成AIの総合サービス「NEC Generative AI」の提供を開始 2023年7月7日 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1514481.html NECが国産“生成AI”を発表 「デジタル敗戦」を経て日本企業が生き残る術は顧客ニーズへの最適化 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/587389 NEC、独自生成AIを法人向けに提供 8月から https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC066PT0W3A700C2000000/ NEC、日本市場向け生成AIを開発・提供開始 ~業種ナレッジの構築を目指したカスタマープログラムを開始~ https://jpn.nec.com/press/202307/20230706_01.html NEC “国産”生成AI 事業売り上げ目標 3年間で500億円規模 2023年7月6日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230706/k10014120461000.html NECが生成AI提供開始 高い日本語能力 2023/7/6 https://www.sankei.com/article/20230706-E5XD3NEQVNP37AZQ3OVCL47WI4/#:~:text=%EF%BC%AE%EF%BC%A5%EF%BC%A3%E3%81%AF%EF%BC%96%E6%97%A5%E3%80%81%E7%94%9F%E6%88%90,%E9%96%A2%E9%80%A3%E3%81%A7%E5%A3%B2%E3%82%8A%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A0%E3%80%82 ソフトバンク、生成AI向けスパコンに200億円 経産省も補助 2023年7月7日 https://digital.asahi.com/articles/ASR776601R77ULFA01D.html ソフトバンクは7日、生成AI(人工知能)を開発するためのスーパーコンピューターの整備に約200億円を投じると発表 経産省はこの事業に53億円を補助 政府がソフトバンクの生成AI向けに補助金約50億円 https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/readings/1443?fbclid=IwAR391T_rq8mG1_vLBxA27j3rYR3h8jCIaTfj23MEb0Ymn9RyILfoXpqg5X0 ソフトバンクのスパコンに補助 経産省、生成AI開発で 2023年7月6日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA064GB0W3A700C2000000/
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引用文献に一行記載された化合物(5-アミノレブリン酸リン酸塩)(5-ALAホスフェート)が本願発明の新規性を否定する「引用発明」と言えるかが争点となり、無効審判において新規性ありと判断した審決を知財高裁が支持しています。
新規の化学物質に係る発明の新規性の判断において、「引用発明」と認定するためには、「刊行物に製造方法を理解し得る程度の記載がない場合には、当該刊行物に接した当業者が、思考や試行錯誤等の創作能力を発揮するまでもなく、特許出願時の技術常識に基づいてその製造方法その他の入手方法を見いだすことができることが必要である」との「判断基準」を明確に提示していて、特許・実用新案審査ハンドブック3207にも同趣旨の記載がありますので、この点では、裁判所と特許庁の間に齟齬はなさそうです。 ただ、「特許出願時の技術常識」をどう見るかが難しい。 令和4年(行ケ)第10091号 審決取消請求事件 判決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/964/091964_hanrei.pdf 特許 令和4年(行ケ)第10091号「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」(知的財産高等裁判所 令和5年3月22日) 7月5日(水)配信 https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-07-05-6067 2023.03.22 「東亜産業 v. neo ALA」 知財高裁令和4年(行ケ)10091(5-アミノレブリン酸リン酸塩事件) - 刊行物に新規化学物質の発明が記載されているといえるか(引用発明の適格性)の判断基準 - https://www.tokkyoteki.com/2023/04/2023-03-22-r4-gyo-ke-10091.html 「5-アミノレブリン酸リン酸塩、その製造方法及びその用途」事件 (知財高判令和5年3月22日 令和4年(行ケ)第10091号) https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/09_2022_Gyo-Ke_10091.pdf 特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」について引用発明の適格性を否定した事例 https://www.ohebashi.com/jp/newsletter/IPNewsletter202306.pdf 特許・実用新案審査ハンドブック 第 III 部 第 2 章 新規性・進歩性 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/03.pdf#page=12 3207 刊行物に記載された発明を引用発明とすることができない例 審査基準「第 III 部第 2 章第 3 節 新規性・進歩性の審査の進め方」の 3.1.1(1)b 審査官は、刊行物に記載されている事項及び記載されているに等しい事項か ら当業者が把握することができる発明であっても、以下の(i)又は(ii)の場合は、 当該刊行物に記載されたその発明を「引用発明」とすることができない。 (i)物の発明については、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づい て、当業者がその物を作れることが明らかでない場合 (ii)方法の発明については、刊行物の記載及び本願の出願時の技術常識に基づ いて、当業者がその方法を使用できることが明らかでない場合 例えば、刊行物に化学物質名又は化学構造式によりその化学物質が示されて いる場合において、当業者が出願時の技術常識を参酌しても、当該化学物質を 製造できることが明らかであるように記載されていないときは、当該化学物質 は「引用発明」とはならない(なお、これは、当該刊行物が特許文献であり、引 用発明とした当該化学物質を選択肢の一部とするマーカッシュ形式の請求項を 有するものである場合に、その請求項が第 36 条第 4 項第 1 号の実施可能要件を 満たさないことを意味しない。) 「サマリア」は、ChatGPTを活用した「特許文書(公開公報,特許公報)の効率的な読解を支援するAIアシスタントサービス」ですが、7月5日のアップデートで、特許公報の独自要約などをまとめて作成することができるようになりました。
特に、英語、中国語の特許公報に記載されている「要約」は読みにくいものであることが多いため、独自要約により、海外文献の読解作業が大幅に効率化できるのではないかと思います。 今のところ、「サマリア」は無料で使えますので、一度触ってみることをお勧めします。 サマリア機能アップデート2023/07/05 https://www.youtube.com/watch?v=aZHIQe-jQaw 2023/07/05 サマリア機能アップデート 1. 複数の特許文書に対して一括でAIアシスタントへ質問する一括処理機能 複数の特許文書に対して「わかりやすく説明して」などの質問をまとめて適用する「一括処理」機能が実装されました。 これにより、クライアントや研究開発部署へ特許公報リストを提供する際に、特許公報の独自要約などをまとめて作成することができます。 【主な利用シーン】 ・知財担当者がSDIにより発見した特許公報(国内外)をサマリを添付して研究開発部署へ送付する際 ・クリアランス調査、無効資料調査等においてサーチャーがクライアントへ納品する際のサマリ添付する際 特に、英語、中国語の特許文書に対しても日本語で回答させることが可能なため、海外文献の読解作業を大幅に効率化することができます。 特許公報に記載されている「要約」は一般的に読みにくいものであるため、一括処理機能により特許公報の読解負担を軽減することができます。 2. 簡単質問に、「請求項1の説明」「課題・解決手段の説明を追加 簡単質問の質問文に、以下の2つが追加されました。 ・ 請求項1をわかりやすく説明して ・ 課題・解決手段をわかりやすく説明して(日本語のみ) ・ 「請求項1をわかりやすく説明して」 明細書の特許請求の範囲の「請求項1」の内容を解説してもらいたい場合に使用します。 「請求項1」の内容を、明細書の内容を考慮してAIアシスタントがわかりやすく解説します。 ・ 「課題・解決手段をわかりやすく説明して(日本語のみ)」 日本語の明細書の「解決しようとする課題」「課題を解決するための手段」の箇所を、AIアシスタントがわかりやすく解説します。 明細書の記載事項に基づき、明細書の概要を短時間で把握したい場合に便利な機能です。 これらの簡単質問は「一括処理」機能においても使用することができます。 特許文書読解アシスタント「サマリア」 https://patent-i.com/summaria/ 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、7月4日に発表した、日本語に特化した400億パラメーターの生成AI(LLM:大規模言語モデル)は、まだ試作品で、さらに大規模な1790億パラメーターのLLMを開発中ということです。
「日本語のWebデータのみで学習」というところに引っかかるところはありますが、「国産」生成AIの開発がもっと進むことを期待しています。 日本語に特化した大規模言語モデル(生成AI)を試作~日本語のWebデータのみで学習した400億パラメータの生成系大規模言語モデルを開発~ 2023年7月4日 国立研究開発法人情報通信研究機構 https://www.nict.go.jp/press/2023/07/04-1.html 情報通信研究機構、日本語対応の生成AI 企業と連携へ 2023年7月4日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC039XT0T00C23A7000000/ 400億パラメータで日本語特化 NICT、独自の生成AIを試作 「GPT-3」と同規模のモデルも開発中 2023年07月04日 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2307/04/news174.html 日本語で学習した小規模な生成AI、情報通信研究機構が開発…著作権侵害防ぐ機能も 2023/07/04 https://www.yomiuri.co.jp/science/20230704-OYT1T50168/ 情報通信研究機構、日本語に特化した生成AIを試作 製品化も視野 毎日新聞 2023/7/4 https://mainichi.jp/articles/20230704/k00/00m/300/209000c 2023.07.04 「国産」生成AIの開発競争過熱 NICT、日本語特化モデル試作 https://dempa-digital.com/article/450583 日本語の生成AI開発 国の研究機関、性能アップ着手 2023年07月04日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023070400985&g=eco 日本語AI開発、国立法人も 「チャットGPTにかなわないが意外とつくれる」 情報通信研究機構 2023年7月5日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15679084.html 7月4日に行われた、東大×生成AIシンポジウム「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」では、岸田総理が祝辞を述べ、西村経済産業大臣、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長などが参加され、4つのテーマのパネルディスカッションが行われました。
特に、第1部の孫正義会長兼社長の話、OpenAI ChatGPT開発チーム幹部 シェイン・グウ(Shane Gu)氏の話が印象的でした。 動画がアップされていますので、ぜひ視聴していただきたいと思います。 第1部 生成AIが切り拓く未来(約55分) 第2部 行政機関(政府・自治体)における生成 AIの利用と課題(約46分) 第3部 広島AIプロセスについて(約58分) 第4部 生成AIと研究・教育(約56分) 東京大学でAIシンポジウム(2023年7月4日) https://www.youtube.com/watch?v=I-FtyWkQFZc 「チャットGPT」などの対話型AI=人工知能が急速に拡大していくなか、日本社会の展望について、政府や経済界、識者らが議論するシンポジウムが東京大学で開かれました。 岸田総理大臣「生成AI、本当に世界に大きな衝撃を与えています。この分野の技術の進歩は目まぐるしいわけであります」 シンポジウムで挨拶した岸田総理大臣は、「世界と比較して現時点で日本のAIに関する開発力が高くない」としたうえで、「研究者や企業が技術を向上できるよう、政府として支援していく」と述べました。一方、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、「AIは平均的な人間の100万倍、1兆倍と圧倒的に賢くなる」と述べ、「日本は今こそAIに、真正面から最大限に取り組むべきだ」と訴えました。 日テレNEWS 孫正義氏 生成AI・日本の取り組みに苦言「ガラケーになっちゃいけない」 https://news.ntv.co.jp/category/economy/b6d34b48fc0a4925805d9771fe02d691 ソフトパンクグループの孫正義会長は4日、世界中で研究開発が進む生成AIについて、日本の取り組み方に苦言を呈しました。 これは4日、ソフトバンクグループの孫正義会長が生成AIをテーマにした東京大学でのシンポジウムの中で「脇道にそれたような研究開発とか解決策というのは所詮、枝葉に過ぎない」などの発言をしたものです。 孫会長はさらに「小さな電気代を節約するとか、ちまちましたようなことを言っていると、あっという間に日本は取り残されてしまう」 「ガラケーになっちゃいけない」と、生成AIの本筋の研究開発に取り組むことの重要性を強調しました。 これに対して出席していた西村経産大臣は「効率的な、最先端のGPU(画像処理装置)、チップを日本は作る。これでやりたいと思ってます」と述べました。 岸田首相 AI開発で研究者やスタートアップ企業支援へ 2023年7月4日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230704/k10014118411000.html 生成AIシンポ 孫正義社長らが日本の開発投資の重要性を強調 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230704/k10014118231000.html ソフトバンクG孫氏「日本はAIに最大限取り組むべき」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB038QK0T00C23A7000000/ 孫正義氏「人のあり方議論する時」 生成AIシンポ、岸田首相も登場 https://mainichi.jp/articles/20230704/k00/00m/300/237000c G7原則、有志国とも共有 首相、東大AIシンポで https://www.tokyo-np.co.jp/article/260946 日本語の生成AI開発 国の研究機関、性能アップ着手 2023年07月04日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2023070400985&g=eco 東大×生成AIシンポジウム 令和5年7月4日 総理の一日 https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/04seisei_ai.html 東大×生成AIシンポジウム「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」 日時|2023年7月4日(火)12時30分~17時 場所|東京大学安田講堂 共催|東京大学大学院工学系研究科、TMI総合法律事務所 https://www.t.u-tokyo.ac.jp/ev2023-07-04 開会挨拶東京大学 藤井 輝夫 総長(約7分) 岸田総理 祝辞 令和5年7月4日(約23分) https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202307/04seisei_ai.html 首相から生成AIに関連するさまざまな期待や課題、展望について包括的なお話があった。我が国が今後、この新しい技術をどのように利用し関わりあうべきか、競争力の増強やリスク低減のための政府のさまざまな取組も含め、ビジョンが示された。博士課程、修士課程に所属する大学院生2名の質問を受け、国や産業界、学術界の果たすべき役割などについて、丁寧にお答えいただいた。 パネルディスカッション
宮川 美津子 総合法律事務所パートナー弁護士 パネリスト 西村 康稔 経済産業大臣 孫 正義 ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長執行役員 シェイン・グウ() 開発チーム幹部 松尾 豊 東京大学大学院 工学系研究科 教授(AI戦略会議座長) ChatGPTに代表される生成AIが、ビジネスや教育の現場に急速に浸透しつつある。爆発的な産業の発展も期待される一方、人間の代名詞である高度な知的活動がAIに取って代わられるのではないかという危惧が呈されている。生成AIの技術的な現状や今後の開発の方向性について議論された後で、AI開発における世界での動きや日本の位置づけ、日本政府による強力な支援策も含め、今後の生成AIの発展に日本の産業がどう関わっていくべきか、経済界・政界・アカデミアの立場でのビジョンが示された。
境田 正樹 総合法律事務所パートナー弁護士 パネリスト 村井 英樹 内閣総理大臣補佐官 郷治 友孝 株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ() 代表取締役社長・マネージングパートナー 川原 圭博 東京大学大学院工学系研究科 教授(AI戦略会議構成員) 須賀 千鶴 経済産業省商務情報政策局情報経済課長/デジタル庁参事官 行政機関(政府・自治体)において、どのようなルールで生成AIを利活用するか、また、生成AIの利活用により行政をどのように効率化し、また、行政からイノベーションをどのように創出するか。行政機関で急速に議論が進んでいる現在の状況について紹介された。また、近未来的に急いで実施すべき施策から、より長期的な展望も含めた戦略まで、行政、民間、アカデミアにおける役割分担や連携も含めた広範な議論が行われた。パネリストからは、それぞれの立場や経験に基づく、力強いメッセージが学生へ送られた。
大井哲也 総合法律事務所 パートナー弁護士 パネリスト 松本 剛明 総務大臣 須藤 修 中央大学 国際情報学部 教授 平野 未来 シナモン代表取締役 宍戸 常寿 東京大学大学院 法学政治学研究科 教授 生成AIについては、広島サミット首脳宣言において、「生成人工知能(AI)に係る議論を年内に行うため、「広島AIプロセス」を立ち上げるよう関係閣僚に指示する。」とされ、G7各国による議論が日本主導で行われることとなった。広島AIプロセスを通じて合意される生成AIのガバナンス等の在り方はどのようなものであるべきか、その国内実装のあるべき姿はなにかなどについて議論した。
坂田 一郎 東京大学総長特別参与・教授 パネリスト 西條 正明 文部科学省大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当) 太田 邦史 東京大学 理事・副学長 柴野 相雄 総合法律事務所 パートナー弁護士 宮尾 祐介 東京大学大学院情報理工学系研究科教授 下田 倫大 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社事業開発部長 AI分野は成長分野であり、これを牽引する大学等の役割は多岐にわたるが、日本のAI産業を発展させるためには先端的かつ専門的な研究・教育が不可欠である。研究・教育の在り方とともに研究・教育の成果をどのように産業に結びつけるか、研究・教育の成果をどのように守っていくか、という点などについて、研究室における実例の紹介や、これまでのAI技術発展の経緯などの紹介も含め、議論があった。 閉会挨拶 加藤 泰浩 東京大学大学院工学系研究科 研究科長(約3分半) 参加者への感謝とともに、今回のシンポジウムが生成AIに対する理解を深め、より良い未来社会へと我々が歩みを進めるための議論のきっかけになれば幸いである、という結びの挨拶があった 知財管理誌の6月号(Vol.73 No.6 2023)に掲載の論文「レーザ加工装置事件 令和3年(行ケ)第10111号」が著者の高橋政治弁理士の厚意で、下記からダウンロードできます。
https://chizai-jj-lab.com/2023/07/04/0704/ さらに、この論文では論文の分量(紙面量)の制約上いれられなかった3番目の論点「③ 加工対象物を限定すると装置発明は限定されるのか」についても掲載されています。 大変示唆に富むものでした。 レーザ加工装置事件──①除くクレームと新規事項追加,特許請求の範囲の減縮,進歩性 ②図面の記載に基づく補正・訂正── https://chizai-jj-lab.com/cjj/wp-content/uploads/2023/06/2023_06_chizaikanri.pdf 抄 録 本事件は,引用発明のみを除く「除くクレーム」とする補正を行うことで進歩性が認められた事案である。本事件および関連する裁判例から検討すると,引用発明における課題を解決するための必須構成要件を除くクレームとすることで,本発明の進歩性が認められる可能性があると考えられる。また,本事件は,図面に基づく補正が認められた事案である。図面に基づく補正や訂正が新規事項に該当するか否かを判断するにあたっては明細書等の記載が総合的に判断されるため,出願時明細書に本発明の基本的な技術思想,各構成の作用効果等を明記すべきであると考えられる。また,図面のみに基づく補正が新規事項追加ではないと認められる可能性は高いとは言えないものの,一方で,除くクレームは新規事項追加ではないと判断される可能性が高いため,図面に基づく補正であっても,可能であれば本事件のように,除くクレームであると主張したうえで,図面にも基づいていると主張するべきと考えられる。 令和3年(行ケ)第10111号 審決取消請求事件 判 決 https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/261/091261_hanrei.pdf 【特許★★】明細書中の図面から溝の不存在を看取し、除くクレームの訂正が認められた。引用発明は溝が必須であるから、阻害事由があるとして進歩性〇。 2022年10月26日 https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%e3%80%90%e7%89%b9%e8%a8%b1%e2%98%85%e2%98%85%e3%80%91%e6%98%8e%e7%b4%b0%e6%9b%b8%e4%b8%ad%e3%81%ae%e5%9b%b3%e9%9d%a2%e3%81%8b%e3%82%89%e6%ba%9d%e3%81%ae%e4%b8%8d%e5%ad%98%e5%9c%a8%e3%82%92%e7%9c%8b/ 令和4年(行ケ)第10030号「積層体」事件 「除くクレーム」と訂正要件 https://yorozuipsc.com/blog/410030 数値等の重複を避けるだけの「除くクレーム」での対応を試みる価値はある 29/3/2023 https://yorozuipsc.com/blog/6614236 除くクレーム 14/3/2022 https://yorozuipsc.com/blog/4130957 除くクレームの活用(補正/訂正要件、進歩性) 29/7/2021 https://yorozuipsc.com/blog/9352162 人工知能(AI)による特許情報検索システムであるAmplifiedは、従来の単語のマッチや統計的な類似性評価ではなく、Amplifiedは人間の判断を再現するように特許の全文の意味を学習したことで、類似性評価精度を向上させています。
今回、この独自の文献類似評価モデルに、新たに文書生成モデルを組み合わせることで、特許文献からの様々な推論や提案を行う機能を提供することを発表しました。 今回のリリースでは、既存のシステムに生成AIの得意な「キーワード提案機能」と、「特許文献要約機能」が既存システムに付け加わるという事で、有料ユーザー全員が新機能を利用できるという。また、秘匿性の高い情報を扱う業務での生成モデルの使用に不安を感じる利用者も安心して活用できるように、利用者が入力する情報を一切学習や生成に使わないころで、「発明活動という秘匿性の高い分野でも生成AIを抵抗なく使ってもらいたい」としています。 期待できそうです。 (この新機能の搭載で、2023年内に500社という契約目標の達成を目指しているということです。) 特許情報に基づく生成AIで技術者の特許情報利用を支援 生成AIによるキーワード提案や要約文書生成により特許情報活用と発明創出を加速 Amplified 2023年7月3日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000033344.html 米アンプリファイド、生成AIで発明支援 特許もとに 2023年7月3日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC266Z20W3A620C2000000/ 7月3日の朝日新聞朝刊の1面に、「特許の収益、税優遇検討 企業に研究開発促す 経産省」という記事が三段抜きの見出しで掲載されていました。
「経済産業省が、特許や著作権などが生み出した企業の所得に優遇税率を適用する「イノベーションボックス税制」の創設を検討していることが分かった。知的財産から生じるライセンス料などの所得を優遇することで、国内での研究開発投資を促す狙いがある。年末の税制改正での実現をめざす。」とのことですが、 『政府内には「優遇策を使えない業界との公平感も考える必要がある」と慎重論も根強い。どの分野が対象になるのか、今後議論になりそうだ。』と結んでいます。 経団連が2013年から要望してきたにもかかわらず、経産省はこれまで採用していませんでしたが、風向きがかわったようですので、この機会にぜひ実現していただきたいものです。 特許の収益、税優遇検討 企業に研究開発促す 経産省 2023年7月3日 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15676905.html?ref=pcviewer 国内発の特許・著作権から得た企業収益に税優遇 経産省が制度検討 2023年7月3日 https://digital.asahi.com/articles/ASR6Z6D4CR6XUTFK00G.html 知財収入に税優遇案 医薬やソフトウエア対象 経産省、研究開発投資促す 2023年6月19日 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72000630Y3A610C2NN1000/ 特許やソフトウエアの知財から得る所得に軽減税率を適用する税制 20/6/2023 https://yorozuipsc.com/blog/8257068 今年の北大サマーセミナーは、8月26日(土)~8月29日(火)に、会場での受講とオンライン(Zoom)ライブ配信とのハイブリッドで行われるとのことで、6月30日から申込みが開始されました。
毎年行われている本セミナーでは、知的財産訴訟の最新の問題点とその対策を、一流の講師陣が、実務家向けにわかりやすく解説しています。今年度は、特許に関する課題が取り上げられています。 講師 髙部 眞規子(西村あさひ法律事務所弁護士):知的財産判例の形成と発展 韓 相郁(韓国 金・張法律事務所弁護士):メタバース、AI時代における知財紛争解決方法の望ましいモデル~紛争解決機関及び手続き等を中心に 田村 善之(東京大学大学院法学政治学研究科教授、北海道大学名誉教授):特許適格性要件の機能と意義、明細書記載要件:サポート要件と実施可能要件との関係~食品官能試験・バイオテクノロジーを素材として~ 中山 一郎(北海道大学大学院法学研究科教授):公衆衛生と特許権 駒田 泰土(上智大学法学部教授):ビジネス環境の国際化の進展と特許権の属地性 𠮷田 広志(北海道大学大学院法学研究科教授):特許法におけるパブリック・ドメインの保護 野中 啓孝(弁理士法人レクシード・テック弁護士・弁理士):数値限定発明に特有の留意点 金子 敏哉(明治大学法学部教授):特許権侵害による損害額の算定―近時の議論の焦点を中心に 2023年度 北海道大学サマーセミナー 最新の知的財産訴訟における実務的課題――特許法をめぐって―― https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/event/summer-seminar2023.html 各講義の概要(2023年度講義概要) https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2023/06/b1cfe7ba2ebc0e0513348b351bb47531.pdf 2023年4月~6月に発行された有価証券報告書(4694社)の記載をEDINETの書類全文検索画面から全文検索しました。 ブランド戦略85社、知財戦略78社、特許戦略10社で、ブランドへの関心が高いことがわかります。昨年の同時期の開示と大雑把に比較するといずれも増えており、とくに、知財戦略、IPランドスケープで大幅に増加していました。 IPランドスケープについて記載されていた会社(10社)を下記に記載しました。 知財に関しては、統合報告書への記載が増えていますが、今後、有価証券報告書への記載も増えるものと思われます。 7月6日に追加記載 ご要望に応え、2023年1月~3月に発行された有価証券報告書の記載をEDINETの書類全文検索画面から全文検索しました。 昨年の同時期の開示と大雑把に比較するとやや増えている、ほとんど変わらない、というところでしょうか。 ChatGPTなどの生成AIに対する著作権侵害の懸念が指摘されていますが、6月30日、文化審議会著作権分科会が開かれました。
今後、政策小委員会、法制度小委員会という2つの分科会で、生成AIと著作権に関する論点整理を行うことが決まったようです。 文化審議会著作権分科会(第68回)(第23期第1回) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/bunkakai/68/index.html 1開会 2議事 (1)文化審議会著作権分科会長の選出等について【非公開】 (2)第23期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について (3)小委員会の設置について (4)その他 3閉会 配布資料 資料1第23期文化審議会著作権分科会委員名簿 資料2文化審議会著作権分科会の議事の公開について(案) 資料3知的財産推進計画2023等の政府方針(著作権関係箇所抜粋) 資料4第23期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について(案) 資料5小委員会の設置について(案) 参考資料1文化審議会関連法令等) 参考資料2著作権分科会における審議状況と今後の対応(令和5年3月31日文化審議会総会資料2) 参考資料3著作権法の一部を改正する法律(概要) 参考資料4AIと著作権の関係等について 参考資料5インターネット上の海賊版による著作権侵害対策情報ポータルサイトについて 生成AIと著作権の論点整理へ 文化審議会著作権分科会の議論始まる 2023年6月30日 https://digital.asahi.com/articles/ASR6Z637BR6ZUCVL00R.html |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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