日経の「知財経営ランキング」でトップだった村田製作所。その背景には綿密な知財戦略があったといいます。きっかけは、かつて特許紛争で経験した相次ぐ敗北という屈辱で、知財をベースにしたM&A(合併・買収)が成長を支えているということです。
今年6月に公表された有価証券報告書では、 取締役会の活動状況の中には、知的財産をめぐる戦略・取組について、年2回(5月、10月)議論されていることが記載されています。 そして、「2030年への備え」の中で、「重要経営リスクの評価を進め必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術を発掘、育成し、技術を支える知的財産戦略を立案して実行に努めてまいります。具体的には、イノベーションの創出に向けて、6Gの通信規格の普及や環境問題の解決を含む将来の事業機会に備えたインテリジェンス機能の体制の強化及び技術・事業開発を進めております。」と記載されています。 さらに、知的財産権に関するリスクとしては、「発生頻度 大、影響度 中」とし、対策として、「当社グループでは、材料から製品まで一貫生産体制を構築しており、材料開発、プロセス開発、製品開発、生産技術開発を行う中で、適切なタイミングで他者の知的財産権を調査し、必要に応じて設計回避等の対策を講じております。また研究開発の際に創出される発明について、発明考案等取扱規定により適切に取り扱い、特許出願等を行っております。また当社グループでは、海外売上比率の上昇に合わせて海外への特許出願等も積極的に行っており、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築を進めております。また、知的財産に関する階層・職能教育や知的財産に関する啓発フォーラムなどの様々な社内イベントを開催することにより、当社グループ従業員の知財マインドを醸成しております。」と記載されています。 統合報告書は、9月に公表されることでしょうが、その内容も一層充実していることが期待できそうです。 #3村田製作所・中島社長「知財で技術の流れを読み、M&Aの成功導く」 2023.7.18 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071000003/?n_cid=nbpnb_mled_pre #2村田製作所がランキング首位 屈辱から始まった「攻め」の知財経営 2023.7.18 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071000002/?n_cid=nbpnb_mled_pre #1[新連載]知財経営ランキング 「特許を生かす40社」一挙公開 2023.7.14 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00567/071000001/ AIブームで「イビデン&新光電気」に勝機!“王者”村田製作所に暗雲?電子部品業界の5年後 2023.7.12 https://diamond.jp/articles/-/325728 【有価証券報告書】第87期 2023年6月29日 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/newsroom/news/irnews/irnews/2023/0629b/murata87gorep.ashx?la=ja-jp&cvid=20230629044014000000 「2030年への備え」の中で、「重要経営リスクの評価を進め必要な備えを確立していくとともに、将来の競争力の源泉となる技術を発掘、育成し、技術を支える知的財産戦略を立案して実行に努めてまいります。具体的には、イノベーションの創出に向けて、6Gの通信規格の普及や環境問題の解決を含む将来の事業機会に備えたインテリジェンス機能の体制の強化及び技術・事業開発を進めております。」と記載されています。(P.20) 取締役会の活動状況の中に、知的財産をめぐる戦略・取組について、年2回(5月、10月)議論されていることが記載されています。(P.65) (3)知的財産権に関するリスクとしては、「発生頻度 大、影響度 中」とし、対策として、「当社グループでは、材料から製品まで一貫生産体制を構築しており、材料開発、プロセス開発、製品開発、生産技術開発を行う中で、適切なタイミングで他者の知的財産権を調査し、必要に応じて設計回避等の対策を講じております。また研究開発の際に創出される発明について、発明考案等取扱規定により適切に取り扱い、特許出願等を行っております。また当社グループでは、海外売上比率の上昇に合わせて海外への特許出願等も積極的に行っており、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築を進めております。 また、知的財産に関する階層・職能教育や知的財産に関する啓発フォーラムなどの様々な社内イベントを開催することにより、当社グループ従業員の知財マインドを醸成しております。」と記載されています。 コーポレート・ガバナンス報告書 最終更新日:2023年6月30日 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/csr/management/governance/cgreport_20230630.ashx?la=ja-jp&cvid=20230630055648000000 (3) 知的資本への投資について 当社グループでは、知的財産基本方針を策定し、社員が組織の枠を超えて協働し、事業に役立つ知財活動を実践しております。当社の知的財産に関する取り組みは統合報告書(Murata value report)及び当社ウェブサイトをご覧ください。 https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/governance/ip ESG説明会2023株式会社村田製作所 2023.3.2 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/about/newsroom/news/irnews/irnews/2023/0302/2303-j-speach.ashx?la=ja-jp&cvid=20230301072446000000 Murata value report 2022(統合報告書) 2022/09/30 https://corporate.murata.com/-/media/corporate/ir/library/murata-value-report/2022_j/murata-value-report2022-a3-j.ashx?la=ja-jp&cvid=20220930010137000000 P61-62に、将来に向けた技術力の強化とそれを支える知的財産活動が紹介されています。 「リーガルテック展2023」のアーカイブ動画(村田製作所、ユーグレナなど) 4/3/2023 https://yorozuipsc.com/blog/20232472744 村田製作所の事業拡大を支える知財部門 13/7/2022 https://yorozuipsc.com/blog/1187685 株式会社村田製作所の知財活動(PATENTSIGHT SUMMIT 2022) 5/6/2022 https://yorozuipsc.com/blog/patentsight-summit-20223711624
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著者萬秀憲 アーカイブ
October 2024
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