カシオ計算機の腕時計「G-SHOCK(ジーショック)」初号機の形状が立体商標として登録されたとのことです。
審査では、令和3年8月12日付けで拒絶理由通知を受け、同年9月29日受付で意見書を提出したものの、同4年4月11日付けで拒絶査定されています。これに対して、同年7月15日に拒絶査定不服審判が請求され、令和5年5月23日付けで「原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。」とする審決が下されています。 審決では、 「上記アの認定事実によれば、本願商標に相当する形状を備える請求人商品は、その後継商品も含めると、1983年の発売以降に約40年の販売期間があり、その販売実績も長期にわたる安定した販売数量をあげ、むしろ近年にかけて販売数量は増加傾向にある。また、広告宣伝として、請求人商品などの商品写真を伴う商品紹介記事が継続してメディアを通じて掲載、放映されており、それら記事情報によれば、請求人商品は、請求人ブランド(G- SHOCK)を象徴する代表的なモデルに位置づけられ、その形状は、従来の腕時計にはない、耐衝撃性を備える独特の形状からなると評価されている 。そして、本件アンケート調査によれば、日本全国に居住する16歳以上の男女のうち、本願商標に相当する画像から、請求人との関連を回答できたのは、多肢選択式の回答も考慮すれば、6割を超える。 そうすると、本願商標に相当する立体的形状(ベゼル、ケース、バンド)は、請求人商品が備える独特な商品形状として、その指定商品に係る需要者の間において、相当程度認知され、請求人に係る出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至っていると認められる。 したがって、本願商標は、請求人による使用の結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるもので、商標法第3条第2項の要件を具備する。」 と判断されており、本願商標の使用実績(甲9、甲174、甲178)や、本願商標(商品の形状)が自他商品の識別機能を獲得している証拠(甲77、甲126、甲159など)とともに、2021年9月9日付け調査報告書(甲143)で、日本全国に居住する16歳以上の男女1,100人を調査対象としたインターネットによるアンケート調査結果を示したことが決め手となったようです。 調査では、導入質問の後に、本願商標に相当する画像を示して、思い浮かぶブランドやメーカーなどを自由回答式で尋ね、次に同様の質問を多肢選択式で尋ね、調査対象者のうち、請求人又はその関連商品(カシオ、G-ショックなど)を回答したのは、自由回答式で55.09%、多肢選択式で66.27%という結果となっています。 さらに、上申書において、出願人は甲第204号証として、「日本を代表する知的財産法学者であり、商標のアンケート調査に関する第一人者であられます一橋大学大学院法学研究科教授、井上由里子先生ご執筆にかかる鑑定意見書」を追加提出しています。 『本鑑定意見書では、請求人が審査段階で提出した需要者アンケート(甲第143号証︓2021年6月実施)により得られた測定結果が「本願商標が『使用による識別力』(3条2項)を獲得するに至っていることを示すものといえる」と明確に述べられています(本鑑定意見書7頁16行目乃至18行目2.3.「鑑定意見の結論」より。)。』 カシオさん、さすが。 商標登録6711392 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-052961/4C292AF7EC757FA4839D5A183C5CD03F26CB611F7C8FE287759DC74012A8EBB2/40/ja カシオ「Gショック」初号機、立体商標に登録…八角形の外枠など認知 2023/07/15 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230714-OYT1T50435/ G-SHOCK立体商標に 初号機、八角形の形状で模倣対策 2023年7月13日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13C9I0T10C23A7000000/#:~:text=%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%BA%81%E3%81%8C%E3%80%81%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%82%AA%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%A9%9F,%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%A8%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82 G―SHOCK立体商標に 初号機、八角形の形状 2023年07月13日 https://www.47news.jp/news/9582848.html 商標登録6711392 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-052961/4C292AF7EC757FA4839D5A183C5CD03F26CB611F7C8FE287759DC74012A8EBB2/40/ja
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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