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ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)

28/12/2020

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​12月24日付けで、産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会 報告書「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)」が公表され、意見募集が令和3年1月25日まで行われています。読むだけでも大変な量です。
ポイントとして、まとめを抜きだしました。
 
ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)
令和 2 年 12 月 24 日
産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会
https://www.jpo.go.jp/news/public/iken/document/201224_covid/houkokusho.pdf
 
はじめに
 特許制度小委員会では、「AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方」についてこれまで議論を実施し、令和 2 年 7 月に中間とりまとめを提示した。
中間とりまとめでは、イノベーションの加速が喫緊の課題であることも踏まえ、AI・IoT 技術やデジタル化への対応や、特許活用の多様化等について現状の分析を行うとともに、円滑な紛争処理に向けた知財紛争処理システムについて、引き続き議論を深化していくべきとした。
さらに、本年度の産業構造審議会総会や知的財産分科会基本問題小委員会では、ウィズコロナ/ポストコロナ時代において、接触回避(デジタル化・オンライン化の加速)等に対応した政策や行政組織のあり方について議論が行われ、新型コロナウイルスの影響により「新たな日常(ニューノーマル)」への移行についても、新たな検討課題となっている。
本小委員会中間とりまとめで取り上げたもののうち、議論を深化するとした以下の知財紛争処理制度について、第 42 回以降の本小委員会にて検討を実施した。
 早期の紛争解決を図る新たな訴訟類型(二段階訴訟制度)
 当事者本人への証拠の開示制限(アトニーズ・アイズ・オンリー制度)
 第三者意見募集制度(アミカス・ブリーフ制度)
 侵害者利益吐き出し型賠償制度
 訂正審判等における通常実施権者の承諾
さらに、基本問題小委員会等の議論を踏まえ、以下に掲げる、新型コロナウイルス感染拡大等に伴い顕在化した課題や制度利用者の要望を踏まえた特許法等の手続上の論点等についても、検討を実施した。
 審判等における口頭審理期日における当事者の出頭のオンライン化
 災害等の発生時における割増手数料の取り扱い
 権利回復制度の見直し
 模倣品の越境取引に関する規制の必要性について
本報告書は、これまでの審議内容を取りまとめ、AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方の議論を踏まえ、ウィズコロナ/ポストコロナ時代の特許制度の見直しについて提言するものである。
 
  • AI・IoT 技術の時代にふさわしい特許制度の在り方―中間とりまとめ―に係る検討事項
  • 早期の紛争解決を図る新たな訴訟類型
二段階訴訟については、ニーズを肯定する意見もあり、また、一定の手段が現行法の下で執りうるとしても、実務になじみがなかったり、訴訟制度や判例についての深い理解を要したりするとすれば、それを法文で明示することにも意味はあるとも考えられるが、二段階訴訟の早急な立法化を強く求める意見はなかった。むしろニーズを疑問視する意見が多数であり、また仮にニ ーズがあったとしても、法改正によらず、現行法の下で執りうる手段によってそれを満たすことができるとの指摘があった。したがって、これまでの二段階訴訟についての議論には大いに意義があったものの、今後、実務の動向を踏まえ、具体的なニーズが高まった時期に改めて検討することとするのが適当である。
  • 当事者本人への証拠の開示制限
企業の有する製造ノウハウや会計情報等の営業秘密は、当該企業の競争力の源泉とも言うべきものであり、訴訟における営業秘密の保護については、一定のニーズが存在する。また、当事者本人への証拠の開示を制限する仕組みを設けることにより、訴訟の場に十分な証拠が提示されるようになることが期待され、有意義であると考えられる。他方、当事者による情報の閲覧等を制限することについては、憲法との関係、訴訟追行の困難性、本人訴訟の取扱いなどの課題が存在している。今後は、秘密保護手続あるいは査証制度に関する裁判実務の運用を注視しつつ、制度導入の要否その他個別の論点について、引き続き議論を深めていくことが適当である。
  • 第三者意見募集制度
裁判所が必要と認めるときに、広く一般の第三者から意見を募集することができる制度を導入することが適当である。
意見を求めることができる範囲は、法律問題や経験則(一般的経験則)などに限定せず、事業実態などの意見も募集できるよう、裁判所が事案に応じて必要と認めた事項とすることが適当である。そして、裁判所が当事者を介さずに第三者の意見を裁判所の判断の基礎とすると、弁論主義についての問題が生じ得るため、意見募集が当事者の申立てにより実施され、第三者が裁判所に意見書を提出し、当事者が意見書を閲覧・謄写し書証として裁判所に提出することで、裁判所が意見書を裁判所の判断の基礎とできるようにすることが適当である。すなわち、本制度の法的な位置づけは、当事者による証拠収集手続であり、裁判所が主体となって意見募集を行う点で、証拠収集手続の特例といえる。また、双方当事者の合意を得ることが困難な場合があるため、一方当事者の申立てを要件としつつ、裁判所が他の当事者の意見を聴いた上で意見募集の要否を判断することが適当である。
対象とする訴訟について、現時点において本制度に適すると考えられる典型的な対象が「判決が当事者の属する業界のみならず、他の業界の企業等にも大きく影響を及ぼし得る特許権侵害事案」であることを踏まえれば、まずは、特許権に係る侵害訴訟を対象とし、今後、意匠権や商標権の分野、審決等取消訴訟などの訴訟類型においても、本制度に適する具体的な事案が見受けられるようにな った段階において、その導入の必要性を検討することが適当である。
対象とする審級について、証拠は本来第一審で全て提出することが望ましいため、特許権に係る侵害訴訟の専属管轄を有する東京地裁、大阪地裁及び知財高裁において本制度を利用できるとすることが適当である。
当事者による第三者への意見提出の働きかけについて、本制度が当事者による証拠収集手続であるため、働きかけを禁止する必要はない。
第三者が提出できる意見書数の制限について、特定の意見の数の有意性を示すことは基本的に困難であるため、提出できる意見書数を制限する必要はない。
特許権と同様に技術的思想に係る権利である実用新案権についても、同様の課題、制度の必要性が存在し得るため、実用新案法においても本制度を導入することが適当である。
  • 特許権者の金銭的救済の充実
特許権を侵害された者を適切に救済し、侵害の抑止が図られるよう、損害賠償制度の充実を図っていくことは重要であると考えられることから、特許権者の金銭的救済について検討したところ、以上のように、懲罰的賠償制度については、否定的な意見が多く出され、早期の制度化に向けた検討を進めることには慎重であるべきだと考えられる。侵害者利益吐き出し型賠償制度については、損害賠償が十分でないという意見があったものの、近時の裁判例において高額な損害賠償額が認められる傾向があり、令和元年改正の施行後は裁判例によりいっそうの発展も見込むことができるため、制度の早期導入に慎重な意見が多数であった。
今後は、裁判の動向を見守りつつ、その上で更なる法改正が必要であるといった具体的なニーズが高まった時期に、改めて制度の法的根拠や要件などを含め、検討することとするのが適当である。
  • 訂正審判等における通常実施権者の承諾の要件の見直し
(ア)特許法の改正の方向性
  訂正審判の請求及び特許無効審判又は特許異議の申立ての手続の中で行う訂正の請求における通常実施権者(許諾に基づく通常実施権者、職務発明に基づく通常実施権者及びいわゆる独占的通常実施権者を含む。以下同じ。)の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
また、特許権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
専用実施権の放棄、仮専用実施権の放棄及び実用新案登録に基づく特許出願における通常実施権者の承諾(仮専用実施権の放棄については仮通常実施権者の承諾)の要否については、特許法上通常実施権者の承諾を不要として契約により対応するという意見、通常実施権者の承諾を不要とした上で通常実施権を対抗できるように手当するという意見及び引き続き通常実施権者の承諾を必要とするという意見があり、引き続き、ユーザーニーズ等を踏まえて、改正の必要性を検討することが適当である。
(イ)実用新案法及び意匠法の改正の方向性
 実用新案法上、訂正及び実用新案権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
 また、意匠法上、意匠権の放棄における通常実施権者の承諾を不要とし、専用実施権者及び質権者の承諾については引き続き承諾を必要とすることが適当である。
  • その他の検討事項
特許制度に係る論点として、例えば、差止請求権のあり方等について検討を進めてほしいとの意見があり、その他、中間とりまとめでは、プラットフォーム化するビジネスへの対応、特許権の実効的な保護のための関連データの取扱い、及び、ライセンス・オブ・ライトや実用新案法の再評価等の特許の活用方法の多様化への対応等について、具体的なニーズの把握や課題の洗い出しを行う等の検討を進めていくこととされている。
このため、今後引き続き、調査研究を通じた実態調査等を通じ、検討を継続していくことが適当である。
  • 新型コロナウイルス感染拡大に伴い顕在化した課題等に係る新たな検討事項
  • 口頭審理期日における当事者等の出頭のオンライン化
特許法、実用新案法、意匠法及び商標法において、ウェブ会議システム等(ウ
ェブ会議システムやテレビ会議システムといった映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる手段)を用いて、当事者、参加人及び代理人が物理的に審判廷に出頭することなく口頭審理の期日における手続に関与することを可能にすることが適当である。
また、ウェブ会議システム等を用いた口頭審理を開催するかどうかの判断については、当事者の希望や原本確認の必要性等の個別の事情を踏まえて柔軟に選択できるような運用とすることが適当であり、また、運用の内容についてはガイドライン等としてまとめてユーザーに周知していく必要がある。
インターネットを通じた公開(傍聴)については、それを積極的に認める意見と導入に慎重な意見の双方からの意見が出されたことを踏まえ、引き続きユーザーの意見等を聴取して慎重に検討することが適当である。
  • 災害等の発生時における割増手数料の取り扱い
コロナ禍において顕在化した問題点、上記検討、各国の対応等を踏まえ、災害の発生等、特許権者の責めに帰することができない理由によって特許料を納付すべき期間を徒過した場合に、割増特許料の納付を免除することが適当である。
また、実用新案法、意匠法、商標法に規定する割増登録料についても同様の趣旨から、併せて措置することが適当である。
  • 権利の回復制度の見直し
特許法等における権利回復の判断基準については、認容率向上、申請者の手続負担軽減とともに回復申請の予見性向上のため、現行の相当な注意基準から、故意基準に転換することが適当である。また、新制度の濫用を防ぐとともに手続期間遵守のインセンティブとして十分な程度の回復手数料を企業規模にかかわらず一律に課すこととし、災害等、出願人等の責めに帰すべきでない理由があるときには免除することが適当である。さらに、小委員会で指摘された点を踏まえ、意図的な期間徒過後の回復申請に対する歯止めの手段や、新制度の趣旨や運用の十分な周知方法についても、併せて検討することが適当である。
  • 模倣品の越境取引に関する規制の必要性について
近年の模倣品の流入増加に対応するため、海外の事業者を侵害主体として、海外の事業者が国内の者に模倣品を直接送付する場合について、日本国内に到達する時点以降を捉えて、新たに商標権及び意匠権侵害行為と位置づけるとしても、特許法及び実用新案法に関する同旨の改正の必要性については、特許法等の解釈にかかる判例・学説の進展や今後の税関における特許権侵害品及び実用新案権侵害品の差止状況等を注視した上で、引き続き議論を深めていくことが適当である。
おわりに
 法目的に鑑みて、新たなビジネス環境に即した特許制度の見直しを図っていく必要があることは言うまでもない。さらに、イノベーション戦略を支援するという視点から、ユーザーにとって利便性の高い特許制度を構築していくことも、特許庁に与えられた役割である。取り巻く環境やユーザーの意見を踏まえ、各国における動向等も参考にしながら、引き続き特許制度の在り方について検討していくことが望ましいものと結論付け、本小委員会において提言する。
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    萬秀憲

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