特許庁「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」の中核イベントとして、PwCコンサルティング合同会社が、12月11日、15日、21日の3日程で無料ウェビナー「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」を開催しましたが、12月21日に、久保 英明氏 (花王株式会社 研究開発部門副統括 執行役員)の「新事業の創造に向けて 花王の共創イノベーションと知財戦略の事例」の話がありました。
花王は、既存事業では原料調達・R&D・生産・販売までバーティカル・インテグレーション(垂直統合)により自前主義で大きくなってきた会社です。その高度化を図るとともに、近年ではホリゾンタル・コラボレーション(共創)により、大きな社会課題解決に向けた取り組みを進めています。花王が仲間と一緒に歩んでいるオープンイノベーションの中から、ヘアカラーの事例が紹介されました。“インバウンド・ アウトバウンド型オープンイノベーション ”として他社との協働による新市場の創造の事例です。 小川紘一氏(東京大学 未来ビジョン研究センター シニア・リサーチャー)も、林力一氏(PwCコンサルティング合同会社 マネージャー)も、遠山敬彦氏(特許庁 総務部 企画調査課 特許戦略企画調整官)も、絶賛でした。 今回の資料が公開されるかどうかは不明ですが、本事例について、花王の次期社長である長谷部佳宏氏(花王株式会社 代表取締役 専務執行役員 研究開発部門 統括)が今年の1月28日に「グローバル知財戦略フォーラム2020」で行った特別講演「ESG経営を加速する共創イノベーションと知財戦略 既存のヘアカラーリング製品を超えた、新たなカラーリング文化創造への挑戦」の講演資料が下記で公開されています。 https://www.inpit.go.jp/content/100869490.pdf 以下 メモ。 技術インバウンドとしては、染料メーカーと協働し、新たなヘアカラー技術を創造。 技術アウトハウンドとしては、ヘアカラーメーカーに技術を開放し、新たなヘアカラー市場を創造。 酸化型ヘアカラーで悩める人(アレルギー)を救いたい、従来染料では不可能な鮮やかな髪色を実現したい、そのためには、他社と共創し、課題の早期解決を図り、魅力的な製品を他社と共同して世界の皆様へ提供。社会課題解決による新市場を創造したい。 対象をリアルに再現する、写真用染料に着目 富士フイルムからの技術インバウンドによるRainbow染料の開発 互いの強みを活かして技術共創(染毛組成物・染料) ヘアカラー市場成長に向けた戦略 花王は、製品を売るとともに、競合他社に染料・カラー薬剤を売る 知財権を活用したOpen-Close戦略① 知財権許諾 最先端レインボー技術を上市/従来技術は技術開放により市場拡大を加速 知財権を活用したOpen-Close戦略② エリア・カテゴリー マス製品は、日本では非許諾、欧州・米国では各社ごとにエリア・許諾特許を選択 サロン製品は、日本では各社ごとにエリア・許諾特許を選択、欧米では非許諾
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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