11月11日、リコーはディエスジャパンとの間で争われていたトナーカートリッジのICチップに関する特許侵害訴訟(再生トナーカートリッジ訴訟)で、最高裁判所でディエスジャパンの上告を不受理とする決定が下されたため、知的財産高等裁判所にて今年3月29日に下されたリコーの勝訴判決が確定したと発表しました。
東京地裁は、令和2年7月22日の判決で、特許権侵害訴訟において、日本の裁判史上初めて独占禁止法違反を理由とする被告の権利濫用の抗弁を認め、特許権者の請求を棄却しましたが、知財高裁は、原告の特許権の行使は、独占禁止法違反に当たらないとして、権利濫用の抗弁を認めず、特許権者の請求を認容していました。 ただ、この知財高裁判決も、原告の権利行使が独占禁止法に違反する場合に、その権利行使が権利濫用として認められなくなることがあるという理論自体は特に否定していません。 特許権の行使に対する独禁法違反の抗弁の成否 - NAKAMURA & PARTNERS 2022年10月24日 ~原告の特許権行使が独禁法違反(取引妨害)により権利濫用であるとして権利行使を認めなかった東京地裁の判決とそれを取り消した知財高裁判決(リコー事件)について~ (知財高裁令和4年3月29日判決・令和2年(ネ)第10057号) https://www.nakapat.gr.jp/ja/legal_updates_jp/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E6%A8%A9%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BD%BF%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E7%8B%AC%E7%A6%81%E6%B3%95%E9%81%95%E5%8F%8D%E3%81%AE%E6%8A%97%E5%BC%81%E3%81%AE%E6%88%90%E5%90%A6/ 独占禁止法との抵触を理由に特許権行使が権利濫用に当たるとした原判決を覆した「トナーカートリッジ」事件知財高裁判決について 投稿日 : 2022年8月30日 https://innoventier.com/archives/2022/08/13879 令和4年3月29日 知財高裁判決 知財高判令和4年3月29日・令和2年(ネ)第10057号〔リコー対ディエスジャパン〕 知財高裁サイト https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=5759 令和2年7月22日 東京地裁判決 東京地判令和2年7月22日・平成29年(ワ)第40337号〔リコー対ディエスジャパン〕 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89899 再生トナーカートリッジ訴訟、リコーの勝訴確定 2022年11月16日 https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2022/11/16/48488.html 株式会社リコーは11月11日、株式会社ディエスジャパンとの間で争われていたトナーカートリッジのICチップに関する特許侵害訴訟について発表した。 ディエスジャパンでは、リコーが製造及び販売するプリンタに対応する使用済みのトナーカートリッジ製品から電子部品を取り外し、ディエスジャパン社の電子部品に取り替えた上で、トナーを再充填して製造した各トナーカートリッジ製品を販売していた。 リコーではディエスジャパンの行為について、各特許権の侵害に当たる旨を主張し、特許法100条1項及び2項に基づき製品の販売等の差止めと廃棄並びに電子部品の廃棄を求め、各特許権侵害の不法行為に基づき損害賠償請求の連帯支払を求めていた。 最高裁判所では11月2日に、ディエスジャパンの上告を不受理とする決定が下されたため、知的財産高等裁判所にて3月29日に下されたリコーの勝訴判決が確定した。 知的財産高等裁判所の判決では、リコーがディエスジャパンに対し、ディエスジャパンの電子部品に各特許権に基づく差止請求権及び損害賠償請求権を行使することは、競争者に対する取引妨害として独占禁止法(独占禁止法19条、2条9項6号、一般指定14項)に抵触するものではなく、特許法の目的である「産業の発達」を阻害する、特許制度の趣旨を逸脱するものではなく、権利の濫用に当たらないとしている 特許侵害訴訟に関するお知らせ 2022年11月11日 株式会社リコー https://jp.ricoh.com/info/2022/1111_1 11月2日、最高裁第三小法廷において、リコーとディエスジャパン社との間で争われていた、トナーカートリッジのICチップに関する特許侵害訴訟に関して、ディエスジャパン社の上告を不受理とする決定が下されました。 これにより、知財高裁にて3月29日に下されたリコーの勝訴判決が確定し、訴訟の対象となったディエスジャパン社製品がリコーの特許権を侵害すると認められましたので、お知らせします。 本決定は知財高裁判決の妥当性を裏付けるものであり、裁判所で適切な判断がなされた結果であると評価しております。
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著者萬秀憲 アーカイブ
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