特許の出願日前に販売していた製品が存在していても、審査段階では公然実施品が調査をされることはほとんどなく文献しか参照されないことが多いため、公然実施品の特性をパラメータや数値で規定しただけのいわゆる数値限定発明やパラメータ発明が特許として認められることが多くなっており、どう対応したらよいか悩んでいる人が増えているようです。
「公然実施発明(29条1項2号)に基づく新規性、進歩性判断における諸論点」(高石秀樹弁護士)という動画(11分30秒は、公然実施発明に基づく新規性、進歩性における諸論点をわかりやすくコンパクトにまとめています。
公然実施発明(29条1項2号)に基づく新規性、進歩性判断における諸論点 https://www.youtube.com/watch?v=DlVnhbFibS0&t=32s 特に、大鷹一郎・知財高裁所長の論文からの下記引用は重要です。 「…引用発明が刊行物記載発明の場合、例えば、刊行物の特許公報には、特許請求の範囲のほか、明細書の発明の説明に、発明の課題、構成、効果、実施例等が記載されているため、これらの記載を手掛かりとして、相違点に係る請求項に係る発明の構成に至る動機付け等となる要素を認定し、論理付けを行うことができる。一方、引用発明が公然実施発明の場合には、実施例自体は実在する具体的な技術そのものであり、市場においてベストモードの完成品として提供されているものであるため、通常は、実施品自体やその取扱説明書等にその課題等の記載がなく、他の資料から、動機付けの手掛かりとなる要素を認定する必要がある。そこで、公然実施発明の場合には、相違点に係る請求項に係る発明の構成を引用発明に結び付けていくために、技術常識や周知技術による論理付けのサポートが必要となり、また、その論理付けは説得的でなければならない。公然実施発明では、この論理付けをいかに行うかが進歩性判断の鍵となる。…公然実施発明に基づく進歩性の判断においては、当業者が特許出願前に実施品(公然実施品)に接したものと想定した上で、かかる当業者が、実施品から、どのような技術的思想を読み取り、どのような課題を認識し、その課題の解決手段に容易に想到できるかが問題となるため、製品開発における当業者の視点を的確に踏まえた考察が重要となる。」 『ビジネスローの新しい流れ-知的財産法と倒産法の最新動向』(青林書院)」、117頁21行~118頁末行)
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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