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作用効果のクレームアップ 令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」

21/1/2023

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発明の効果をクレームアップするやり方が注目されています。
請求項中に記載された「効果」が発明特定事項と認められた裁判例における発明では、クレームアップされた「効果」が、物(の構成、用途等)を、更に特定するものであるものが大多数で、請求項中に記載された「効果」が発明特定事項と認められなかった裁判例における発明では、クレームアップされた「効果」が、物(の構成、用途等)を、更に特定するものではないため、発明特定事項と認められなかったと考えられます。
 
令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」事件では、『請求項1の「噴射製品」及び請求項3の「噴射方法」の各記載事項に、それぞれ「粘膜への刺激が低減された」又は「粘膜への刺激を低減する」という作用に係る記載事項を加える訂正(訂正事項1及び2)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものか。』が争点となり、
『本件明細書には、本件訂正前の請求項1及び3の上記各構成にした場合であっても、「粘膜への刺激の低減」の作用効果を奏しない場合があることについての記載も示唆もない。』として、『訂正事項1及び2により加えられた「粘膜への刺激が低減された」又は「粘膜への刺激を低減する」という作用に係る記載事項は、本件訂正前の請求項1及び3の上記各構成によって奏される作用効果を記載したにすぎないものであるから、訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項1及び3の各発明に係る特許請求の範囲を狭くしたものと認めることはできない。したがって、訂正事項1及び2は、「特許請求の範囲の減縮」…を目的とするものと認めることはできない…。』としました。
発明の効果をクレームアップする場合には注意すべき事項でしょう。 
 
【特許】効果のクレームアップ(進歩性)
https://www.youtube.com/watch?v=-w3mbeWXA_M
 
令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」(知的財産高等裁判所 令和4年8月4日) 1月4日(水)配信
https://ipforce.jp/articles/soei-patent/hanketsu/2023-01-04-5572
 
令和3年(行ケ)第10090号「噴射製品および噴射方法」(知的財産高等裁判所 令和4年8月4日)
https://www.soei.com/%e7%89%b9%e8%a8%b1%e3%80%80%e4%bb%a4%e5%92%8c%ef%bc%93%e5%b9%b4%ef%bc%88%e8%a1%8c%e3%82%b1%ef%bc%89%e7%ac%ac%ef%bc%91%ef%bc%90%ef%bc%90%ef%bc%99%ef%bc%90%e5%8f%b7%e3%80%8c%e5%99%b4%e5%b0%84%e8%a3%bd/
 
令和3年(行ケ)第10090号 判例要旨
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/366/091366_point.pdf
○ 発明の名称を「噴射製品および噴射方法」とする発明に係る特許の無効審判におけ
る訂正請求が「特許請求の範囲の減縮」(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目
的とするものと認められず、審決には訂正要件の判断に誤りがあるとして、審決が取り
消された事例。
(事件類型)審決(取消・不成立)取消 (結論)審決取消
(関連条文)特許法134条の2第1項ただし書1号
(関連する権利番号等)特願2018-509670号
(審決 ) 無効2020-800014号
判 決 要 旨
1 原告は、被告が特許権を有する発明の名称を「噴射製品および噴射方法」とする発明
に係る本件特許について無効審判を請求した。被告が本件特許について訂正請求(以下
「本件訂正」という。)をしたところ、特許庁は、本件訂正を認めた上で、「本件審判の
請求は、成り立たない。」との審決をした。
2 本判決は、要旨次のとおり判断し、本件訂正の訂正事項1及び2は「特許請求の範囲
の減縮」(特許法134条の2第1項ただし書1号)を目的とするものと認められず、
本件審決には訂正要件の判断に誤りがあるとして、本件審決を取り消した。
⑴ 訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項1の「噴射製品」及び請求項3の「噴射
方法」の各記載事項に、それぞれ「粘膜への刺激が低減された」又は「粘膜への刺激
を低減する」という作用に係る記載事項を加えたものと認められる。
しかるところ、本件明細書の「粘膜への刺激の低減」に関する各記載によれば、本
件明細書には、「粘膜への刺激の低減」の作用効果は、本件訂正前の請求項1の「前
記噴口から15cm離れた位置における噴射された前記害虫忌避組成物の50%平均
粒子径r15と、前記噴口から30cm離れた位置における噴射された前記害虫忌避
組成物の50%平均粒子径r30との粒子径比(r30/r15)が、0.6以上と
なるよう調整され」との構成又は本件訂正前の請求項3の「前記噴口から15cm離
れた位置における50%平均粒子径r15と、前記噴口から30cm離れた位置にお
ける50%平均粒子径r30との粒子径比(r30/r15)が、0.6以上となり」
との構成によって奏することの開示があることが認められる。一方で、本件明細書に
は、本件訂正前の請求項1及び3の上記各構成にした場合であっても、「粘膜への刺
激の低減」の作用効果を奏しない場合があることについての記載も示唆もない。
そうすると、訂正事項1及び2により加えられた「粘膜への刺激が低減された」又
は「粘膜への刺激を低減する」という作用に係る記載事項は、本件訂正前の請求項1
及び3の上記各構成によって奏される作用効果を記載したにすぎないものであるか
ら、訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項1及び3の各発明に係る特許請求の範
囲を狭くしたものと認めることはできない。
⑵ したがって、訂正事項1及び2は、「特許請求の範囲の減縮」(特許法134条の
2第1項ただし書1号)を目的とするものと認めることはできない。
本件審決には、本件訂正の訂正要件の判断に誤りがあり、この判断の誤りは、本件
特許の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明の要旨認定の誤りに帰するか
ら、本件審決は取り消されるべきものである。
 
令和4年8月4日判決言渡
令和3年(行ケ)第10090号 審決取消請求事件
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/366/091366_hanrei.pdf

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