「早期審査された特許の無効性に 影響を与える要因の分析」(知財管理Vol. 73No. 1,2023)では、本稿では異議申立が早期審査された特許に及ぼす影響を解析し、「早期審査された特許は,通常審査されたものと比べて異議申立による取消決定の割合が高く,中でも拒絶査定されずに登録された特許は,拒絶査定を覆したものと比較して,取消決定の割合が高かった。更に,取消決定の割合が高かったものは,拒絶理由通知では指摘されず,異議申立で初めて申立てられたサポート要件違反が高い傾向が認められた。」と結論づけています。
そして、「早期審査の審査過程ではサポート要件違反が見過ごされやすいことを示唆している」と考察しています。そのうえで、早期審査に係るサポート要件違反の回避策について提案しています。 「明確性要件もサポート要件と同様の傾向が認められている。」とのことなので、今後の研究に期待したいと思います。 早期審査された特許の無効性に 影響を与える要因の分析 http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=26c5a5c9d6c8e0da93afa204a40fcdd1 2021年版の特許行政年次報告書1)によると、早期審査制度の活用実績は上昇しており、そのニーズの高さが窺える。一方、早期審査された特許は、通常審査されたものと比較して無効審判を請求される割合が高く、無効リスクを内在していると言われている2)。また、近年、特許異議申立件数は無効審判請求件数を大きく上回り、利便性の高さが窺える。早期審査と異議申立の活用実績は、共に上昇傾向にあることから、本稿では異議申立が早期審査された特許に及ぼす影響を解析した。早期審査された特許は、通常審査されたものと比べて異議申立による取消決定の割合が高く、中でも拒絶査定されずに登録された特許は、拒絶査定を覆したものと比較して、取消決定の割合が高かった。更に、取消決定の割合が高かったものは、拒絶理由通知では指摘されず、異議申立で初めて申立てられたサポート要件違反が高い傾向が認められた。本稿では、早期審査に係るサポート要件違反の回避策についても提案する。
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著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
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