10月22日、中外製薬は2020年12月期の第3四半期までの決算発表を行いましたが、1-9月の売上高は前年同期比13.3%増の5765億円、コア営業利益は35.5%増の2319億円、コア四半期利益も33.0%増の1656億円と好調です。
スイスの世界⼤⼿ロシュの傘下に⼊り20年近くとなりますが、利益率がここ3年で倍になったこと、費⽤がかさむ臨床開発や販売などの海外展開をほとんどロシュに任せる効率経営で浮いた資⾦をバイオ創薬に集中した成果として2018年に発売した新薬が急成⻑中であることもあり、国内医薬品会社で引き続き時価総額トップとなっています。 そして、今後注⽬すべきは中外独⾃の「抗体エンジニアリング技術」を適⽤した新薬や候補品などの動向とされています。 また、中外製薬は、CHUGAI DIGITAL VISION 2030を掲げ、デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになることを目指し、3つの基本戦略(「デジタル基盤の強化」「すべてのバリューチェーン効率化」「デジタルを活用した革新的な新薬創出」)を、2019年10月に新設したデジタル戦略推進部がこれまで各部署で進めてきたデジタル施策を統括しながら推進しています。この4半期の成果として、「Biofourmis社と子宮内膜症に伴う痛みを客観的に評価するデジタルソリューションの共同開発を開始」「MRを中心にワークスモバイルジャパン社のLINE WORKSを導入」「NTTデータ社とAI技術支援を活用した治験効率化ソリューションの実証完了」があげられていました。 中外製薬株式会社、2020年12月期第3四半期決算発表 カンファレンスコール http://www.c-hotline.net/Viewer/Default/CHPHff54611b8db006e4f14e59acc9d616f8 ⼤鐘進之祐, 中外製薬、利益率3年で倍 ロシュ効果で開発に勢い, ⽇本経済新聞 電⼦版、2020/10/19 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65033390V11C20A0000000/ 橋本宗明、中外製薬「抗体エンジニアリング技術」の破壊⼒、⽇経ビジネス, 2020年10⽉26⽇ https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/102600057/?n_cid=nbponb_twbn 中外製薬のアニュアルレポート2019(統合報告書)には、2019年の知的財産活動のほか、中期経営計画「IBI 21」(2019~2021年)における知的財産のポイント、SWOT分析、知的財産機能の特徴、主な取り組みと進捗が掲載されています(p76-77, 88)。 中外製薬では、抗体エンジニアリング技術や中分⼦創薬技術を重要な創薬技術基盤として位置づけ、基本技術の開発と製品化への応⽤を両輪とした研究開発戦略を展開しており、2018年から富⼠御殿場研究所と鎌倉研究所に知財リエゾンを配置して研究初期段階での連携を強化し、技術や権利のホワイトスペースに⾃らの技術や開発品のポートフォリオを構築する戦略MIXを強化・推進、特に、抗体エンジニアリング技術に関連する特許については、独自のデータベースを構築することで、他社動向の把握を含めて知的財産戦略の立案に活用しているとのことです。 中外製薬 アニュアルレポート2019(統合報告書) https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/annual_reports.html 中外製薬の知的財産活動の景色(2019)、「医薬系 "特許的" 判例」ブログ https://www.tokkyoteki.com/2020/05/chugai-2019.html 中外製薬HP,知的財産 https://www.chugai-pharm.co.jp/profile/rd/intellectual.html
0 Comments
Leave a Reply. |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
カテゴリー |