Siemens AGは、インダストリー4.0を先導する企業として、デジタル化が進むサービス分野に事業変革を進め、イノベーションを加速させるとともに、顧客が感じる価値を知財として保護しているドイツに本社を置くグローバル企業です。
Siemensにおいて価値の高い特許とは「顧客の感じる価値」を保護する特許のことであり、そのような特許を広範な地域にわたって権利を取得して、グローバルに保護することを目標とする知財戦略がSiemens の“Value Driven IP Strategy”。 日本企業に多く見られる、“Invention Driven”と呼ばれる、R&Dの成果を単に特許化するような、発明が提案されて始動する活動ではなく、事業創造を狙う領域や時間軸等を理解した上での活動が求められ、イノベーションの現場に入り込み、R&D部門に先んじて将来を見据え、戦略の策定・実行を進めることを目指しているということです。 経営層や事業部門等へ分かりやすく特許の価値を表現する方法については、市販のツール(Patentsight社)を使った「市場カバー率」と「技術的価値」という二つの指標を導入しており、知財担当者にもビジネス教育が行われ、最近ではソフトウエア発明に関する教育も実施しているということです。 ここまでビジネスに寄り添う知財活動をしている企業は少ないでしょう。 特許庁, 経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】(2020) https://www.jpo.go.jp/support/example/chizai_senryaku_2020.html 株式会社知財ランドスケープCEOの山内明氏は、IPランドスケープによってAI×医療(医療診断/シミュレーション、診断のための検出/測定)を巡る各国企業間の開発競争を深掘り分析した結果、 「IBMでは、AI/ディープラーニングを活用した画像分析支援プラットフォームへの傾注が認められ、Siemensでは、医療機器の売り切りからAIによる医療画像診断サービス、さらにはAs a Serviceモデルへの移行志向が認められた。また、SamsungおよびLGでは、スマートウオッチや家電といった既存の商材についてAIを駆使して訴求力を高める志向が認められた。」 と分析しています。 その中でも、Siemensは、「放射線診断や超音波診断、MRI診断への傾注が認められ」、「AIによる医療画像診断サービス関連の出願に力を入れており、同社が医療機器の売り切りだけではなく、診断サービスへの展開やAs a Service(サービス事業)モデルへの移行を志向していることが明らかになった。」としています。 知財担当者にもビジネスやソフトウエア発明に関する教育を実施している所以でしょう。 山内 明, IBMとシーメンス、サムスン、LGの次の収益源、鍵は医療×AI (第2回 IPランドスケープで医療分野の開発を深掘り分析) 2020.10.15 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04717/
0 Comments
Leave a Reply. |
著者萬秀憲 アーカイブ
December 2024
カテゴリー |